説明

浮き沈みする貯留槽

【課題】本発明は、動力の得られない災害時においても地下あるいは半地下式の非常用貯水槽内の水が全量使用できるようにする手段を提案するものである。
【解決手段】本発明は、貯水池と貯水槽と浮力体からなり、貯水槽と浮力体は貯水池の中で浮力体上に貯水槽が設けられ、浮力体の浮力は貯水槽中の水が満水状態では貯水池底面に押し付けられ、貯水槽中の水が減少した時、貯水槽底面が貯水池の水面より高い位置にくる大きさに調整され、貯水池の水面より下部に貯留された貯水槽の水が動力なしで利用可能となる浮き沈みする貯留槽。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害時の非常用水を確保する貯水槽技術に属する。
【背景技術】
【0002】
災害時には水道施設の破損、あるいは電力施設の破損により水の供給が損なわれ飲料水あるいはトイレ用水の入手が困難となる。
特開平09-086593には伸縮可撓管を有し、かつキャスター付きのタンクに伸縮可撓管を介して固定配管からの水を貯留する非常用水タンクが開示されている。
特開平09-279641には濾過装置、滅菌装置、滞留防止のため間歇的に回流させる装置を備え必要な電力をソーラーパネルから得る地下貯水槽が開示されている。地下若しくは半地下の設けた貯水槽においては動力の供給なく地下部分の水は死に水となるため貯水槽中の水が全て使用できる非常用貯水槽が必要である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平09-086593
【特許文献2】特開平09-279641
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、動力の得られない災害時においても地下あるいは半地下式の非常用貯水槽内の水が全量使用できるようにする手段を提案するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、貯水池と貯水槽と浮力体からなり、貯水槽と浮力体は貯水池の中で浮力体上に貯水槽が設けられ、浮力体の浮力は貯水槽中の水が満水状態では貯水池底面に押し付けられ、貯水槽中の水が減少した時、貯水槽底面が貯水池の水面より高い位置にくる大きさに調整され、貯水池の水面より下部に貯留された貯水槽の水が動力なしで利用可能となる浮き沈みする貯留槽である。貯水槽を半地下状態から地表面より高い位置に移行させるため、貯水池の中に設け浮力体で浮上可能とした。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、貯水槽と貯水槽の下に設けられた浮力体が貯水池内にあるため、貯水槽の水が減少しその重量を減ずると、浮力体の浮力により貯水槽が上昇し、貯水槽内の貯水池の水平面より下に貯留された水であっても動力の得られない災害時でも利用可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】は、貯水槽中の水を利用するため底部に可撓性配管を設けた例で、貯水地内に沈んだ状態と、浮力体によって浮上した状態を示す概念図である。
【図2】は、貯水槽中の水を利用するため2箇所配管を設けた例で、貯水地内に沈んだ状態と、浮力体によって浮上した状態を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明を図により詳細に説明する。
図1は、貯水槽中の水を利用するため底部に可撓性配管を設けた例で、貯水地内に沈んだ状態と、浮力体によって浮上した状態を示す概念図である。
図1aは、貯水槽が満水状態に近く、その重量が浮力体の浮力より大きく、貯水池内に沈んだ状態を示している。
図1bは、貯水槽中の水が減少し、その重量が浮力体の浮力より小さくなり、貯水池水面上に浮かんだ状態を示している。
図に示す通り、本発明の貯水槽は貯水池と貯水槽と浮力体からなり、貯水槽と浮力体は貯水池の中で貯水槽が浮力体の上に設けられている。
【0009】
貯水槽には、貯水槽中の水を抜き出すための可撓性配管が貯水槽の底部近傍に設けられている。
【0010】
貯水槽が満水状態では、図1aに示す通り、貯水槽の重量は浮力体の浮力より大きく、貯水槽の重量により下に設けられた浮力体は貯水池の底部に押し付けられている。貯水槽中の水は底部近傍に設けられた可撓性配管を水面上に伸ばしておくことにより抜き出される。
貯水槽中の水が減少すると、図1bに示す通り、貯水槽の重量は浮力体の浮力より小さくなり浮上する。底部近傍の可撓性配管を水平に伸ばすことにより貯水槽中の水は全量使用可能となる。
【0011】
図2は、貯水槽中の水を利用するため中間部と、底部近傍の2箇所にそれぞれ抜き出しよう配管1と配管2を設けた例である。図1と同様、本発明の貯水槽は貯水池と貯水槽と浮力体からなり、貯水槽と浮力体は貯水池の中で貯水槽が浮力体の上に設けられている。
図2aは、貯水槽が満水状態に近く、その重量が浮力体の浮力より大きく、貯水池内に沈んだ状態を示している。貯水槽の中間に設けた配管1を水面より上に設けておくことにより利用可能となる。
図2bは、貯水槽中の水が減少し、その重量が浮力体の浮力より小さくなり、貯水池水面上に浮かんだ状態を示している。貯水槽の底部近傍に設けた配管2が利用可能となる。
【0012】
すなわち、浮力体の浮力の大きさを貯留槽内の水が配管1まで減少したとき配管2が利用可能な高さ、すなわち貯水池の水面上まで上昇できるように調整することである。貯水槽中の水が抜き出され貯水槽の重量が減少するにつれ貯水槽は徐々に浮力体の浮力により上昇していくので配管1の相対的な高さも上昇する。
【0013】
いずれの場合も、貯水槽が満水状態の時には貯水池内に沈んだ状態にあり、貯水槽中の水が使用により減少すると浮力体の浮力により浮上し、貯水槽の貯水池の水面以下に位置する貯水槽内の水が動力なしに利用可能となる。
【0014】
浮力体は例えば緻密に作成された空の箱あるいは発泡スチロール等で気泡が独立し水面上に浮くものが好ましい。
浮力体に掛かる浮力が、水量が減少した貯水槽の重量以上となれば図1b、図2bに示す状態が実現可能となる。
【0015】
また図には記載していないが槽の上部に給水用の配管、空気抜きの配管を設けるなど槽として必要な装置を設けるのは当然である。
【0016】
貯水槽は、浮力体を小さくするため、FRP等軽量な材質で形成されることが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0017】
災害時などに一時使用のための非常用水用の貯水槽として使用可能である。
【符号の説明】
【0018】
1 貯水池
2 貯水槽
3 可撓性配管
4 配管1
5 配管2
6 浮力体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯水池と貯水槽と浮力体からなり、貯水槽と浮力体は貯水池の中で浮力体上に貯水槽が設けられ、貯水槽には当該貯水槽の貯水池の水面上の中間部に配管1が底部近傍に配管2が設けられ、浮力体の浮力は貯水槽中の水が満水状態では貯水池底面に押し付けられ、貯水槽中の水が配管1まで減少した時、配管2が貯水池の水面より高い位置にくるように貯水槽を上昇させる大きさに調整され、貯水池の水面より下部に貯留された貯水槽の水が動力なしで利用可能となる浮き沈みする貯留槽である。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2011−25955(P2011−25955A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−173077(P2009−173077)
【出願日】平成21年7月24日(2009.7.24)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】