説明

浮体式免震構造物

【課題】本発明は、浮体式免震構造物の水平水位の維持技術である。
【解決手段】本発明は、流体中に浮楊することにより免震性を有する浮体式免震構造物であって、該浮体式免震構造物は、構造体本体と該構造体の底部を上面とする中空箱体からなり、中空箱体中には流体が出入する出入口が設けられ、かつ中空箱体が流体中に沈む体積が構造体本体の重量を浮楊するにたる浮力を発生させ、構造体本体の重量の変化に応じて、前記箱体中の流体量を変化させ構造体本体の重量と浮力とを均衡させる浮体式免震構造物である。構造物の重量変化に合わせ中空箱体内の流体量を変動することで中空箱体の浮力と構造物の重量を均衡させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮体式免震構造物の水平面の維持技術に属する。
【背景技術】
【0002】
従来より、構造物を流体中に浮楊させることにより免震性能を確保する免震構造において、その免震性能が、水平方向についてその効果が高いことが知られている。これに加え鉛直方向の免震性能についても、十分な効果を得ることを目的として、特開2000-110402号公報には、構造体本体の底部に複数の空気室を設けた免震構造物が提案されている。免震構造物の空気室を複数に分割する構造とすることにより、構造物本体の静的安定性を維持し、かつ復元力を確保し水平方向だけでなく鉛直方向の地震動にたいしても免震効果をもたせる構造としたものである。
【0003】
特開2007-023765号公報には、上記複数に分割された空気室の底部近傍に流体に接するように膜が設けられ、空気室を密封し、空気室内が空気を連通し鉛直方向に分割される層構造となる浮体式免震構造物が提案されている。
構造物の重量は本体重量の他に、設備・備品・人の出入により変動する。その重量変化に伴い構造物の流体水平面と接する位置が変化する。
【0004】
【特許文献1】特開2000-110402号公報
【特許文献2】特開2007-023765号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、浮体式免震構造物の水平水位の維持技術である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、流体中に浮楊することにより免震性を有する浮体式免震構造物であって、該浮体式免震構造物は、構造体本体と該構造体の底部を上面とする中空箱体からなり、中空箱体中には流体が出入する出入口が設けられ、かつ中空箱体が流体中に沈む体積が構造体本体の重量を浮楊するにたる浮力を発生させ、構造体本体の重量の変化に応じて、前記箱体中の流体量を変化させ構造体本体の重量と浮力とを均衡させる浮体式免震構造物である。構造物の重量変化に合わせ中空箱体内の流体量を変動することで中空箱体の浮力と構造物の重量を均衡させた。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、浮体式免震構造物の底部に設けた中空箱体中に流体を入れ、その流体量を調節可能としたことで構造物の重量と中空箱体にかかる浮力とを均衡させることができるため、構造物の水平水位を維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下本発明を図により詳細に説明する。
図1は、本発明の浮体式免震構造体の例を示す概念図である。
図1に示すように、貯留槽内の流体中に浮楊する構造体本体とその底部に設けられた中空箱体とからなり、中空箱体中には流体が入っている。中空箱体中の流体量を調節するため流体出入用のポンプ・バルブなどが設けられている。
構造体本体の重量はWであり、中空箱体の貯留槽内の流体中に沈んでいる体積はVであり、中空箱体中の流体の重量はwである。このとき水平水位が均衡している時、W+w=Vσである。σは、貯留槽中の流体の密度である。
構造体本体の重量が人の出入、荷物・備品・装置の重量増加がdwであるとき、
水平水位を維持するためにはV=一定が条件となる。
従いW+dw+w=Vσとなり、dw+wが一定となるように中空箱体中の流体量を調節すればよい。
【0009】
水平水位の変動は図2に示すように、外部に設けた水平水位計と水位を図る赤外線により測定することができる。水位の変動に応じて流体出入口のバルブを調整すればよい。
【0010】
地震動による水位の変動を吸収するため、図3に示すように貯留槽内および中空箱体内に流体通過性の仕切りを設けて浪の変動を軽減させることも必要に応じて実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の浮体式免震構造体の概念図である。
【図2】本発明の浮体式免震構造体の水平水位を測定する概念図である。
【図3】本発明の浮体式免震構造体の貯留槽・中空箱体の他の例の概念図である。
【符号の説明】
【0012】
1 浮体式免震構造体
2 構造物本体
3 中空箱体
4 流体出入部
5 箱体内流体
6 貯留槽
7 水平水位測定器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体中に浮楊することにより免震性を有する浮体式免震構造物であって、該浮体式免震構造物は、構造体本体と該構造体の底部を上面とする中空箱体からなり、中空箱体中には流体が出入する出入口が設けられ、かつ中空箱体が流体中に沈む体積が構造体本体の重量を浮楊するにたる浮力を発生させ、構造体本体の重量の変化に応じて、前記箱体中の流体量を変化させ構造体本体の重量と浮力とを均衡させる浮体式免震構造物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−203766(P2009−203766A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−49731(P2008−49731)
【出願日】平成20年2月29日(2008.2.29)
【出願人】(306024805)株式会社 林物産発明研究所 (155)
【Fターム(参考)】