説明

浮遊選鉱装置

【課題】タンクが溢れる事態を確実に防止すること。
【解決手段】水を貯留するタンク61と、タンク61に貯留した水に気泡を発生する起泡手段63と、タンク61の下部に設けた排出口61bの開口面積を変化する開閉バルブ64とを備え、タンク61に水を貯留し、かつ排出口61bを予め設定した開口面積だけ開放し、少なくとも該タンク61に砂が供給された場合に起泡手段63を動作させ、タンク61の水に発生する気泡により浮上する汚染物質Zを回収する一方、タンク61の底部に堆積する砂を排出口61bから排出してこれを回収する浮遊選鉱装置60において、タンク61の底部に堆積する砂の堆積量を検出する振動センサ73と、振動センサ73が検出する砂の堆積量が所定の閾値を超えた場合に、開閉バルブ64を動作させて排出口61bの開口面積を増加する制御手段70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浮遊選鉱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、土壌洗浄システムにおいて、疎水性を有する重金属などの汚染物質で汚染された土壌から汚染物質を除去する手段の一つに、浮遊選鉱装置が用いられている(例えば、特許文献1参照)。この浮遊選鉱装置の中には、タンク、起泡手段および排出口開閉手段を備えて構成されたものがある。タンクは、水を貯留するためのものである。起泡手段は、タンクに貯留した水に気泡を発生するものである。排出口開閉手段は、タンクの下部に設けた排出口の開口面積を変化するものである。この種の浮遊選鉱装置によれば、タンクに水を貯留し、かつ排出口を予め設定した開口面積だけ開放し、該タンクに汚染土壌の砂と水とが供給された場合に起泡手段を動作させる。この状態で、タンクの水に発生する気泡により浮上する汚染物質を回収する一方、水とタンクの底部に堆積する砂とを排出口から排出してこれを回収することにより、汚染物質を含んだ汚染土壌の砂を砂と汚染物質とに分離することが可能となる。
【0003】
【特許文献1】特開2006−116397号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来の浮遊選鉱装置では、タンクにおいて浮上する汚染物質の回収を安定して行うため、タンクの水位を略一定に保つ必要がある。一方、従来の浮遊選鉱装置では、タンクの水に発生する気泡と汚染土壌の砂とを十分に反応させるべく、この砂がタンク内の気泡と接触する時間を一定時間以上確保する必要がある。そのため、従来の浮遊選鉱装置では、これらの条件を満足するように排出口の開口面積を可及的に小さくすることにより、排出口から排出される水や砂を制限している。
【0005】
しかしながら、排出口から排出される水や砂を制限した場合には、次第にタンクの底部に砂が堆積することになり、排出口が詰まる場合がある。排出口が詰まった場合には、タンクの水位が上昇することになり、やがてタンクが溢れる事態を招来することになる。そこで、従来の浮遊選鉱装置では、タンクの水位を監視するオペレータを常駐させ、タンクの水位が上昇した場合に、オペレータが排出口開閉手段を手動操作して排出口の開口面積を増加させている。これにより、水と砂とを排出口から排出して詰まりを解消することができ、タンクが溢れる事態を防止することができる。
【0006】
しかしながら、従来の浮遊選鉱装置では、オペレータが排出口開閉手段を手動操作することにより、排出口の開口面積を増加させるため、例えば、オペレータが排出口開閉手段を誤操作した場合に、結局タンクが溢れる事態を招来する虞れがある。
【0007】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、タンクが溢れる事態を確実に防止することのできる浮遊選鉱装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の請求項1にかかる浮遊選鉱装置は、水を貯留するタンクと、前記タンクに貯留した水に気泡を発生する起泡手段と、前記タンクの下部に設けた排出口の開口面積を変化する排出口開閉手段とを備え、前記タンクに水を貯留し、かつ前記排出口を予め設定した開口面積だけ開放し、少なくとも該タンクに砂が供給された場合に前記起泡手段を動作させ、前記タンクの水に発生する気泡により浮上する浮遊物を回収する一方、前記タンクの底部に堆積する砂を前記排出口から排出してこれを回収する浮遊選鉱装置において、前記タンクの底部に堆積する砂の堆積量を検出する検出手段と、前記検出手段が検出する砂の堆積量が所定の閾値を超えた場合に、前記排出口開閉手段を動作させて前記排出口の開口面積を増加する開閉制御手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、検出手段が検出する砂の堆積量が所定の閾値を超えた場合に、排出口開閉手段を動作させて排出口の開口面積を増加する開閉制御手段を備えて構成してある。このため、仮に排出口が詰まった場合にも、検出手段が砂の堆積を検出することにより排出口の開口面積を増加することができ、タンクが溢れる事態を防止することができる。さらに、この場合、タンクの水位を監視するオペレータを常駐させ必要がなく、オペレータの誤操作によりタンクが溢れる事態を招来する虞れがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる浮遊選鉱装置の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明の実施の形態である浮遊選鉱装置を適用した土壌洗浄システムを示す説明図である。ここで例示する土壌洗浄システムは、疎水性を有する重金属などの汚染物質で汚染された土壌から汚染物質を除去することにより、土壌の浄化を図るためのもので、搬送ユニット10、解泥機20、前処理ユニット30、分級装置40、攪拌装置50、浮遊選鉱装置60および脱水装置80を備えて構成してある。
【0012】
搬送ユニット10は、汚染土壌ストックヤード(図示せず)に貯留された汚染土壌Xを後述する解泥機20に送給するための送給手段である。具体的には、例えば、エプロンフィーダとベルトコンベアとを備えたものであり、エプロンフィーダの駆動により汚染土壌Xが略定量的に順次ベルトコンベアに送出され、この送出された汚染土壌Xがベルトコンベアの駆動により順次解泥機20に送給されることになる。なお、解泥機20に送給される汚染土壌Xは、疎水性を有する重金属などの汚染物質Zで汚染された土壌を掘削したもので、粒径が150mmを超える礫や砂などを主とする土砂である。
【0013】
解泥機20は、搬送ユニット10から送給された汚染土壌Xをスラリー状に流動化させるためのものである。より詳細には、解泥機20の内部において汚染土壌Xと給水手段21から送給される水とを攪拌して混合させることにより、汚染土壌Xをスラリー状に流動化させるものである。
【0014】
前処理ユニット30は、解泥機20でスラリー状とした汚染土壌Xを粒径が40mmを超えるスラリー状の土砂と粒径40mm以下のスラリー状の砂利とに分離し、さらにこの分離した粒径40mm以下の砂利を粒径が2mmを超えるスラリー状の砂利と粒径2mm以下のスラリー状の砂とに分離するものである。
【0015】
分級装置40は、移送ポンプ(図示せず)介して前処理ユニット30から送給された粒径2mm以下のスラリー状の砂を粒径が125μmを超える砂と粒径125μm以下の砂やシルトとに分離するための分離手段である。具体的には、例えば、いわゆるサイクロンが適用可能であり、このサイクロンの内部に上部導入口から粒径2mm以下のスラリー状の砂を噴射することにより、該サイクロンの上部導出口から粒径125μm以下の砂やシルトが水とともに導出されるとともに、該サイクロンの下部導出口から粒径が125μmを超える砂が導出されることになる。
【0016】
攪拌装置50は、装置内部において分級装置40で分離した粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂と薬剤とを攪拌して混合させるための攪拌手段である。具体的には、例えば、いわゆるパドルミキサーが適用可能であり、パドルが設けられた軸部材を回転駆動することにより、粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂と薬剤供給手段51から適量供給される薬剤とが攪拌されることになる。薬剤供給手段51が供給する薬剤としては、種々の界面活性剤があるが、その中から除去対象となる汚染物質Zに合わせて選定すると良い。
【0017】
浮遊選鉱装置60は、汚染物質Zが含まれた砂(汚染土壌X)を砂と汚染物質Zとに分離するためのもので、図2に示すように、タンク61、攪拌手段62、起泡手段63および開閉バルブ(排出口開閉手段)64を有している。タンク61は、水を貯留するためのもので、上面が開口した略箱状を成している。このタンク61には、図2に示すように、側壁61aの下部に排出口61bが設けてある。排出口61bは、タンク61と、このタンク61に隣接して画成された排出空間65とを上下方向に連通する態様で形成した開口である。この排出口61bは、その開口面が円状を成している。攪拌手段62は、タンク61に貯留した水を攪拌するもので、タンク61の水面よりも下方に配設してある。起泡手段63は、タンク61に貯留した水に気泡を発生するもので、攪拌手段62よりも下方に配設してある。開閉バルブ64は、排出口61bの開口面積を変化するためのもので、電動シリンダ64aを備えている。
【0018】
電動シリンダ64aは、電気信号の入力に応じて、3段階に伸縮可能に構成したものである。具体的には、図3(a)に示すような長手方向に沿った長さが最も長い最長状態、図3(c)に示すような長手方向に沿った長さが最も短い最短状態、図3(b)に示すような長手方向に沿った長さが最長状態と最短状態との中間となる中間状態の3段階に伸縮可能に構成してある。図3からも明らかなように、この電動シリンダ64aは、固定体64bに固定されており、伸縮した場合に長手方向に沿った長さが上下方向に変化することになる。また、電動シリンダ64aは、上下方向に延在するロッド64cを下端部に有しており、さらにこのロッド64cは、下端部に開閉体64dを有している。開閉体64dは、上端部から下端側に向かうにつれて漸次細径となるテーパー形状に構成したもので、傾斜延在する外周面64eを有している。図3からも明らかなように、この開閉体64dは、電動シリンダ64aの伸縮に応じて3位置に配置されることになる。具体的には、電動シリンダ64aが最短状態にある場合、図3(a)に示すように、外周面64eを介して排出口61bを閉塞する閉塞位置に配置され、電動シリンダ64aが最長状態にある場合、図3(c)に示すように、排出口61bを全開放する開放位置に配置され、電動シリンダ64aが中間状態にある場合、図3(b)に示すように、外周面64eを介して排出口61bを予め設定した開口面積だけ開放する中間位置に配置されることになる。
【0019】
また、タンク61に隣接して画成された排出空間65の側壁65aには、当該排出空間65と外部とを水平方向に連通する態様で流出口65bが設けてある。この流出口65bは、排出口61bから排出空間65に排出された砂を、移送ポンプ(図示せず)を介して回収するための開口である。さらに、タンク61の上方部には、図2に示すように、回収手段66が配設してある。回収手段66は、タンク61に貯留した水に浮上する浮遊物を回収するためのものである。
【0020】
脱水装置80は、移送ポンプ(図示せず)介して浮遊選鉱装置60から送給された粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂を脱水するための脱水手段である。具体的には、例えば、いわゆるサイクロンが適用可能であり、このサイクロンの内部に上部導入口から粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂を噴射することにより、該サイクロンの上部導出口から水が導出されるとともに、該サイクロンの下部導出口から粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂が脱水された状態で導出されることになる。
【0021】
図4は、図1に示した浮遊選鉱装置において開閉バルブの開閉動作を制御する制御系のブロック図である。浮遊選鉱装置60は、図4に示すように、制御手段(開閉制御手段)70を備えている。制御手段70は、分級装置40、攪拌装置50の監視結果およびタンク61の内部に配設した振動センサ(検出手段)73の検出結果に基づいて、開閉バルブ64における電動シリンダ64aの動作を制御するものである。振動センサ73は、検出ロッド73aを介してタンク61の底部に堆積する砂の堆積量を検出するものである。検出ロッド73aは、振動センサ73から下方に延在するもので、その延在端部がタンク61の下方で、かつ排出口61bよりも上方に位置している。この検出ロッド73aの延在端部は、排出口61bの近傍に配置することが好適である。また、制御手段70は、図4に示すように、装置監視部71および開閉制御部72を有している。
【0022】
装置監視部71は、分級装置40および攪拌装置50の稼動状況を監視し、この監視結果に基づいて開閉バルブ64における電動シリンダ64aの動作を制御するものである。開閉制御部72は、振動センサ73の検出結果に基づいて、開閉バルブ64における電動シリンダ64aの動作を制御するものである。
【0023】
以下、上述した浮遊選鉱装置60の動作について説明する。なお、この説明では、タンク61に予め水が貯留されているものとして説明している。この浮遊選鉱装置60では、制御手段70は、装置監視部71が分級装置40あるいは攪拌装置50が稼動したことを検出すると、タイマを作動させ、このタイマがタイムアップした後に、装置監視部71を通じて、開閉バルブ64における電動シリンダ64aに最長状態から中間状態へと短縮するよう電気信号を入力することになる。電気信号が入力された開閉バルブ64における電動シリンダ64aは、図3(a)に示す最長状態から、図3(b)に示す中間状態へと短縮することになる。開閉バルブ64における電動シリンダ64aが中間状態に短縮すると、開閉体64dが、図3(a)に示す閉塞位置から、図3(b)に示す中間位置に配置されることになる。また、この浮遊選鉱装置60では、装置監視部71が分級装置40あるいは攪拌装置50が稼動したことを検出すると、攪拌手段62および起泡手段63が駆動することになる。
【0024】
開閉体64dが中間位置に配置されると、当該開閉体64dの外周面64eを介して排出口61bを予め設定した開口面積だけ開放されることになる。この状態で、攪拌装置50で薬剤を攪拌して混合された粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂(汚染土壌X)、および給水手段21の水がタンク61に貯留した水に供給されると、砂(汚染土壌X)に含まれる汚染物質Zが疎水性を有するため、起泡手段63が発生する気泡が汚染物質Zに付着することになる。また、この状態では、攪拌装置50の駆動によりタンク61の水が攪拌されるため、汚染物質Zへの気泡の付着が促進されることになる。さらに、このとき、汚染物質Zの表面には、攪拌装置50で供給された薬剤が付着しているため、付着した気泡が汚染物質Zから容易に離れにくくなっている。その後、砂(汚染土壌X)に含まれる汚染物質Zは、徐々に付着する気泡が増加することにより、やがて泡沫(気泡)とともにタンク61の水面付近に浮上して浮遊物となる。タンク61の水面付近に浮上した汚染物質(浮遊物)Zは、回収手段66により回収されることになる。
【0025】
一方、砂(汚染土壌X)における汚染物質Z以外の砂(清浄土壌Y)は、タンク61の底部に堆積することになる。その後、タンク61の底部に堆積した砂(清浄土壌Y)は、水とともに排出口61bから排出され、移送ポンプ(図示せず)に回収されることになる。これにより、汚染物質Zが含まれた砂(汚染土壌X)を砂(清浄土壌Y)と汚染物質Zとに分離することができる。
【0026】
開閉体64dが中間位置に配置されている間、攪拌装置50で薬剤を攪拌して混合された粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂(汚染土壌X)、および給水手段21の水がタンク61に貯留した水に供給されると、上述したように、汚染物質Zが含まれた砂(汚染土壌X)を砂(清浄土壌Y)と汚染物質Zとに分離することができる。
【0027】
ところで、この浮遊選鉱装置60では、タンク61において浮上する汚染物質Zの回収を安定して行うため、タンク61の水位を略一定に保つ必要がある。一方、この浮遊選鉱装置60では、タンク61の水に発生する気泡と汚染土壌Xの砂とを十分に反応させるべく、この砂がタンク61内の気泡と接触する時間を一定時間以上確保する必要がある。そのため、この浮遊選鉱装置60では、これらの条件を満足するように排出口61bの開口面積を可及的に小さくすることにより、排出口61bから排出される水や砂を制限している。すなわち、図3(b)に示す排出口61bの予め設定した開口面積とは、上記の条件を満足するように可及的に小さくした開口面積であり、より詳細には、タンク61に供給される砂(汚染土壌X)および水の供給量と、排出口61bから排出される水や砂の排出量とがほぼ同量となるように設定してある。
【0028】
しかしながら、排出口61bから排出される水や砂を制限した場合には、次第にタンク61の底部に砂が堆積することになり、排出口61bが詰まる場合がある。排出口61bが詰まった場合には、タンク61の水位が上昇することになり、やがてタンク61が溢れる事態を招来することになる。すなわち、図3(b)に示すように、開閉体64dが中間位置に配置された状態を継続していると、タンク61の排出口61bが詰まる場合がある。
【0029】
そこで、上記のように構成した浮遊選鉱装置60では、制御手段70は、振動センサ73の検出ロッド73aが砂と接触して振動することによりタンク61の底部に堆積する砂を検出すると(図3(c)参照)、開閉制御部72を通じて、開閉バルブ64における電動シリンダ64aに中間状態から最短状態へと短縮するよう電気信号を入力することになる。ここで、振動センサ73は、検出ロッド73aを介して砂を検出するものであるため、底部に堆積する砂の堆積量を相対的に検出することができる。電気信号が入力された開閉バルブ64における電動シリンダ64aは、図3(b)に示す中間状態から、図3(c)に示す最短状態へと短縮することになる。開閉バルブ64における電動シリンダ64aが最短状態に短縮すると、開閉体64dが、図3(b)に示す中間位置から、図3(c)に示す開放位置に配置されることになる。
【0030】
開閉体64dが開放位置に配置されると、排出口61bが全開放されることになる。この状態では、排出口61bの開口面積が開閉体64dを中間位置に配置した場合と比較して増加することになる。すなわち、このとき、タンク61に供給される砂(汚染土壌X)および水の供給量以上に、排出口61bから排出される水や砂の排出量が増加することになる。これにより、水と砂とを排出口61bから排出して詰まりを解消することができ、タンク61が溢れる事態を防止することができる。また、開閉体64dが開放位置に配置されている間にも、攪拌装置50で薬剤を攪拌して混合された粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂(汚染土壌X)、および給水手段21の水がタンク61に貯留した水に供給されると、上述したように、汚染物質Zを含んだ汚染土壌Xの砂を砂(清浄土壌Y)と汚染物質Zとに分離することができる。
【0031】
上記のように構成した浮遊選鉱装置60によれば、振動センサ73が相対的に検出する砂の堆積量が所定の閾値を超えた場合に、開閉バルブ64を動作させてタンク61における排出口61bの開口面積を増加する制御手段70を備えて構成してある。このため、仮に排出口61bが詰まった場合にも、振動センサ73が砂の堆積を検出することにより排出口61bの開口面積を増加することができ、タンク61が溢れる事態を防止することができる。さらに、この場合、タンク61の水位を監視するオペレータを常駐させ必要がなく、オペレータの誤操作によりタンク61が溢れる事態を招来する虞れがない。
【0032】
なお、本実施の形態では、汚染土壌Xにおける粒径が125μmを超えかつ2mm以下の砂のみが浮遊選鉱装置60に供給されているが、汚染土壌Xにおける粒径が2mm以上の砂利や礫が浮遊選鉱装置60に供給されるようにしても良い。
【産業上の利用可能性】
【0033】
以上のように、本発明にかかる浮遊選鉱装置は、汚染物質が含まれた砂を砂と汚染物質とに分離するための浮遊選鉱装置に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態である浮遊選鉱装置を適用した土壌洗浄システムを示す説明図である。
【図2】図1に示した浮遊選鉱装置の断面概念図である。
【図3】図1に示した浮遊選鉱装置において開閉バルブの動作を示す概念図である。
【図4】図1に示した浮遊選鉱装置において開閉バルブの開閉動作を制御する制御系のブロック図である。
【符号の説明】
【0035】
40 分級装置
50 攪拌装置
60 浮遊選鉱装置
61 タンク
61b 排出口
62 攪拌手段
63 起泡手段
64 開閉バルブ
64a 電動シリンダ
64c ロッド
64d 開閉体
65 排出空間
65b 流出口
66 回収手段
70 制御手段
71 装置監視部
72 開閉制御部
73 振動センサ
73a 検出ロッド
X 汚染土壌
Y 清浄土壌
Z 汚染物質

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を貯留するタンクと、前記タンクに貯留した水に気泡を発生する起泡手段と、前記タンクの下部に設けた排出口の開口面積を変化する排出口開閉手段とを備え、
前記タンクに水を貯留し、かつ前記排出口を予め設定した開口面積だけ開放し、少なくとも該タンクに砂が供給された場合に前記起泡手段を動作させ、前記タンクの水に発生する気泡により浮上する浮遊物を回収する一方、前記タンクの底部に堆積する砂を前記排出口から排出してこれを回収する浮遊選鉱装置において、
前記タンクの底部に堆積する砂の堆積量を検出する検出手段と、
前記検出手段が検出する砂の堆積量が所定の閾値を超えた場合に、前記排出口開閉手段を動作させて前記排出口の開口面積を増加する開閉制御手段と
を備えることを特徴とする浮遊選鉱装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−262030(P2009−262030A)
【公開日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−113201(P2008−113201)
【出願日】平成20年4月23日(2008.4.23)
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【Fターム(参考)】