説明

浴室のカウンターの取付構造

【課題】カウンターの取付作業を容易とする、施工性の向上した浴室のカウンターの取付構造を提供すること。
【解決手段】断面コ字型形状を有するカウンター1の内部における上面部2側に引掛け金具が配設され、カウンターの下面部に背側の端部から下方に壁面固定部が延設され、浴室5の壁面6に固定ブロック21が取り付けられ、引掛け金具の引掛け片が、固定ブロックの係止部25に上方からの挿入によって係止され、カウンターの下面部の壁面固定部から浴室の壁面に向けて固着具が取り付けられ、カウンターが浴室の壁面に取り付けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室のカウンターの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室にカウンターを設置するための構造について、本出願人は、下記特許文献1に記載した浴室のカウンターの取付構造を提案している。
【0003】
特許文献1に記載した浴室のカウンターの取付構造では、浴室の壁面に取り付けたカウンターキャリアを、断面コ字型形状を有するカウンターの背面開口から内部に挿入し、カウンターをカウンターキャリアに支持している。また、同じく浴室の壁面に取り付けたカラン取付具をカウンターの背面開口から内部に挿入し、カウンターの前面部に設けたカラン用開口部にカランを挿通してカランをカラン取付具に取り付けている。
【0004】
このような浴室のカウンターの取付構造は、断面コ字型形状によって強度が高められたカウンターを、カウンターキャリアで支持し、カウンターキャリアに強固に取り付けることができ、また、カラン用開口部に挿通したカランをカラン取付具に強固に取り付けることができるという利点を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−87577号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方、カウンターの浴室壁面への取付作業には、カウンターキャリアおよびカラン取付具の設置、カランまでの接続管の設置および接続管とカランの接続、カウンターのカウンターキャリアへの固定などの諸作業が含まれる。このため、取付作業の全体を考慮すると、上記浴室のカウンターの取付構造は、必ずしも簡便なものであるとは言いがたく、施工性を改善するための工夫が必要とされる。
【0007】
たとえば、カウンターの取付けに際して、カウンターキャリアの載置片の下側からビスなどの固着具をカウンターの上面部に向けて取り付けるとともに、カウンターの下面部において化粧ビスなどの固着具を浴室壁面に取り付けるようになっており、固着具の取付作業が多くなっている。
【0008】
本発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、カウンターの取付作業を容易とする、施工性の向上した浴室のカウンターの取付構造を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の特徴を有している。
【0010】
第1の発明は、上面部、前面部および下面部から形成され、背側が開放された、断面コ字型形状を有するカウンターの内部における上面部側に引掛け金具が配設され、引掛け金具は、カウンターの背側の端部に対応する位置に下方に折れ曲がった引掛け片を有し、カウンターの下面部には、背側の端部から下方に壁面固定部が延設され、浴室の壁面に固定ブロックが取り付けられ、固定ブロックは、上方から挿入される引掛け金具の引掛け片を係止する係止部を有し、引掛け金具の引掛け片が、固定ブロックの係止部に上方からの挿入によって係止され、カウンターの下面部の壁面固定部から浴室の壁面に向けて固着具が取り付けられ、カウンターが浴室の壁面に取り付けられていることを特徴としている。
【0011】
第2の発明は、上記第1の発明の特徴において、水栓固定金具を支持する水栓支持金具が、浴室の壁面に取り付けられ、カウンターの背側の端部から内部に挿入され、カウンターの前面部に水栓固定金具が挿入される開口部が形成され、水栓支持金具に取り付けられ、支持された水栓固定金具が、開口部内に挿入され、カウンターの前面部に取り付けられていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
上記第1の発明によれば、引掛け金具の引掛け片を固定ブロックの係止部に上方から挿入して係止させ、カウンターの下面部の壁面固定部から浴室の壁面に向けて固着具を取り付けることによって、カウンターを浴室の壁面に取り付けることができる。このため、固着具の取付作業が軽減され、カウンターの取付作業は簡便なものとなり、施工性の向上が図られる。
【0013】
上記第2の発明によれば、上記第1の発明の効果に加え、カウンターの前面部に取り付けられる水栓金具固定用の水栓固定金具が、浴室の壁面に取り付けられた水栓支持金具に取り付けられ、支持されているので、水栓固定金具のカウンターの前面部への取付作業を安定した状態において容易に行うことができる。施工性の向上がより図られる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の浴室のカウンターの取付構造の一実施形態を示した分解斜視図である。
【図2】図1に示した浴室のカウンターの取付構造の、カウンターの正面から見た正面図である。
【図3】図2に示したX−X方向の断面図と要部拡大図である。
【図4】施工後のカウンターの取付状態を示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
上記のとおり、図1は、本発明の浴室のカウンターの取付構造の一実施形態を示した分解斜視図である。図2は、図1に示した浴室のカウンターの取付構造の、カウンターの正面から見た正面図であり、図3は、図2に示したX−X方向の断面図と要部拡大図である。
【0016】
本実施形態では、カウンター1は、上面部2、前面部3および下面部4から形成され、背側が開放されて断面コ字型形状を有している。カウンター1は、たとえば、硬質の合成樹脂などの押し出しによる一体成形品として作製することができる。カウンター1は、浴室5のたとえば洗い場側の壁面6に沿って取り付けられる。
【0017】
上面部2は、その上に石鹸、シャンプーなどの備品やタオルなどを安定して置くことができるように、浴室5において水平に配置される。前面部3の中央寄りの部分7には、水栓金具を固定するために、略円形の開口部8が2つ形成されている。開口部8の大きさは、後述する水栓固定金具9の大きさに対応し、水栓固定金具9よりも若干大きめとされている。開口部8の形成にともない、また、カウンター1の意匠性などを考慮して、開口部8が形成された中央寄りの部分7は、前面部3の他の部分よりも下方に延在している。
【0018】
下面部4には、壁面固定部10が、背側の端部からフランジ状に下方に延設されている。壁面固定部10は、下面部4において、前面部3の下方に延在する中央寄りの部分7の左右両側に配置されている。壁面固定部10は、その背側が浴室5の壁面6に当接して配置され、タッピンねじなどの固着具が取り付けられる部位であり、前面部3の中央寄りの部分7の左右のそれぞれに1箇所の固着具の取付位置11が存在している。
【0019】
このような上面部2、前面部3および下面部4の、浴室5の壁面6に沿った方向の両端部、すなわち、左右両端部12は閉じられ、カウンター1の内部13は、カウンター1の背側にのみ開放する中空状となっている。
【0020】
浴室5の壁面6においてカウンター1が取り付けられる箇所には、開口部8に対向する部位に、給水管Aの端部を浴室5側に引き出し、固定するための壁出し金具14が2つ配設されている。壁出し金具14は、Oリングを介在させて壁面6に取り付けられている。それぞれの壁出し金具14には、短尺の接続管15を介して水栓固定金具9が接続されている。上記のとおり、水栓固定金具9は、開口部8に挿入可能とされており、開口部8の大きさは、水栓固定金具9の大きさよりも若干大きいため、開口部8は遊びを有しており、カウンター1の前面部3への水栓固定金具9の取付けが容易となっている。接続管15には、蛇腹管などの伸縮自在なものを使用することができ、この場合、カウンター1の取付け時に、背側の端部から内部13に挿入される接続管15を伸長させて水栓固定金具9の取付けに適した配置状態に置くことができる。
【0021】
2つの水栓固定金具9は、補助金具16を介して水栓支持金具17に取り付けられ、浴室5において水平に支持されている。補助金具16は、横長形状を有する金具であり、長手方向の端部、すなわち、左右両端部に水栓固定金具9が挿入される開口部が1つずつ形成されている。この開口部に水栓固定金具9の前端部を挿入し、補助金具16の前方からビスなどの固着具を水栓固定金具9の前端側に形成されたフランジに向けて取り付けることにより、水栓固定金具9は、補助金具16に固定される。
【0022】
水栓支持金具17は、浴室5の壁面6に背側において当接可能な板状の取付部18と、カウンター1の内部13の断面形状に対応した略台形状の形状を有し、カウンター1の内部13に挿入可能な支持部19とを備えている。支持部19は、取付部18の左右両端から前方に延設されている。
【0023】
このような水栓支持金具17は、2つの壁出し金具14の間に配置され、取付部18の背側を浴室5の壁面6に当接して配置し、ビスなどの固着具を取付部18の前方から壁面6に向けて取り付けることによって、壁面6に取り付けられている。水栓支持金具17の支持部19の前端には、水栓支持金具17の外側に延在するフランジが設けられており、補助金具16は、水平器などを用いて水平出しされて、前方からビスなどの固着具が、水栓支持金具17のフランジに向けて取り付けられて連結される。こうして、水栓固定金具9が、水栓支持金具17に取り付けられて支持されている。
【0024】
また、水栓支持金具17では、取付部18の上端に支持片20が、支持部19と同様に前方に延設されている。カウンター1の取付け時に上面部2の背側の端部が支持片20の上に載置され、水栓支持金具17は、カウンター1を背側の端部において支持することができるようにしている。
【0025】
浴室5の壁面6には、また、壁出し金具14の外側に、カウンター1を取り付けるための固定ブロック21が2つ取り付けられている。固定ブロック21は、浴室5の壁面6に背側において当接可能な円板状の取付部22と、取付部22を貫通し、溝を切って壁面6に取り付けられる、タッピンねじなどのような固着具23とから形成されている。取付部22には、固着具23の頭部23aに接触可能で、接触によって頭部23aを取付部22の前方に若干離して配置する円筒状の保持部24が配設されている。これらの取付部22、保持部24および固着具23の頭部23aによって、固定ブロック21では係止部25が形成されている。
【0026】
そして、カウンター1には、固定ブロック21に対応する位置に引掛け金具26が配設されている。
【0027】
引掛け金具26は、矩形板状の本体部27と、本体部27の一端から直角に折り曲げられた、矩形状の固定片28とから形成され、断面L字型形状を有している。引掛け金具26は、カウンター1の内部13に挿入され、固定片28と反対側に位置する本体部27の端部をカウンター1の背側の端部に配置するとともに、本体部27を上面部2の内面に接触させてカウンター1に取り付けられている。カウンター1の内部13には、前面部3の内面からカウンター1の背側に向かってボス29が突設されている。前面部3の内面から突出するボス29の端面に、下向きに配置された固定片28を当接させ、ビスなどの固着具30を固定片28側からボス29の内部に向けて取り付けることによって、引掛け金具26がカウンター1の内部13における上面部2側に固定されている。固着具30は、固定片28の左右両側の2箇所に取り付けられている。
【0028】
また、引掛け金具26は、固定片28と反対側に位置する、すなわち、カウンター1の背側の端部に対応して位置する本体部27の端部に、矩形状の引掛け片31を有している。引掛け片31は、本体部27の端部中央部から下方に折れ曲がっている。引掛け片31は、固定ブロック21の係止部25に挿入可能な厚さとされ、また、上面部2の背側の端面から固定ブロック21の取付部22の厚み分内側に配置されている。また、引掛け片31では、下端部の略中央部に、固定ブロック21の保持部24または固着具23の外形に略等しい大きさで半円状の切欠32が形成されている。引掛け片31は、固定ブロック21の係止部25に上方からの挿入が可能とされ、切欠32が保持部24または固着具23に掛け止められることによって係止部25に係止される。
【0029】
以上の浴室のカウンターの取付構造では、カウンター1を取り付ける際には、まず、浴室5の壁面6に固定ブロック21および水栓支持金具17を取り付け、水栓固定金具9を水栓支持金具17に取り付け、支持させておく。この状態において、カウンター1の前面部3の開口部8に水栓固定金具9を挿入し、カウンター1を水栓支持金具17の上方から被せるように降ろし、引掛け金具26の引掛け片31を固定ブロック21の係止部25に上方から挿入する。そして、引掛け片31を固定ブロック21の係止部25に係止させながら、上面部2の上に置いた水平器などによって水平状態を確認、調整し、最後に、下面部4の壁面固定部10の取付位置11においてタッピンねじなどの固着具を前方から壁面6に向けて取り付ける。
【0030】
こうして、カウンター1が、浴室5の壁面6に沿って取り付けられ、固定される。カウンター1の上面部2は、背側の端部において水栓支持金具17の支持片20に支持され、補強される。
【0031】
この後、図4に示したように、前面部3の開口部8に挿入した水栓固定金具9の外周部に前方から締め付けリング33をねじ込み、締め付けて、水栓固定金具9をカウンター1の前面部3に固定する。水栓金具は、固定された水栓固定金具9に取り付けられる。
【0032】
このように、図1−4に示した浴室のカウンターの取付構造では、引掛け金具26の引掛け片31を固定ブロック21の係止部25に上方から挿入して係止させ、カウンター1の下面部4の壁面固定部10から浴室5の壁面6に向けて固着具を取り付けることによって、カウンター1は、壁面6に取り付けられる。このため、固着具の取付作業が、従来に比べ少なくなり、軽減されている。したがって、カウンター1の取付作業は簡便なものとなり、施工性の向上が図られている。
【0033】
また、固着具の取付作業が軽減されているので、カウンター1の取外作業も容易となっており、カウンター1に特に点検用の開口を形成しなくとも、メンテナンスを容易に行うことができる。メンテナンス時にはカウンター1を容易に取り外すことができる。
【0034】
しかも、図1−4に示した浴室のカウンターの取付構造では、カウンター1の前面部3に取り付けられる水栓金具固定用の水栓固定金具9が、浴室5の壁面6に取り付けられた水栓支持金具17に取り付けられ、支持されているので、水栓固定金具9の取付作業を安定した状態において容易に行うことができる。施工性の向上がより図られている。
【0035】
以上、本発明の浴室のカウンターの取付構造の一実施形態を示したが、本発明は、上記実施形態に限定されることはない。カウンターの形状および大きさや、引掛け金具、固定ブロック、水栓固定金具および水栓支持金具の形状、大きさおよび構造などについては、それらが所定の機能を果たしうることができる限り、様々な態様が可能である。
【符号の説明】
【0036】
1 カウンター
2 上面部
3 前面部
4 下面部
5 浴室
6 壁面
8 開口部
9 水栓固定金具
10 壁面固定部
13 内部
17 水栓支持金具
21 固定ブロック
25 係止部
26 引掛け金具
31 引掛け片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面部、前面部および下面部から形成され、背側が開放された、断面コ字型形状を有するカウンターの内部における上面部側に引掛け金具が配設され、引掛け金具は、カウンターの背側の端部に対応する位置に下方に折れ曲がった引掛け片を有し、カウンターの下面部には、背側の端部から下方に壁面固定部が延設され、
浴室の壁面に固定ブロックが取り付けられ、固定ブロックは、上方から挿入される引掛け金具の引掛け片を係止する係止部を有し、
引掛け金具の引掛け片が、固定ブロックの係止部に上方からの挿入によって係止され、カウンターの下面部の壁面固定部から浴室の壁面に向けて固着具が取り付けられ、カウンターが浴室の壁面に取り付けられている
ことを特徴とする浴室のカウンターの取付構造。
【請求項2】
水栓固定金具を支持する水栓支持金具が、浴室の壁面に取り付けられ、カウンターの背側の端部から内部に挿入され、
カウンターの前面部に水栓固定金具が挿入される開口部が形成され、水栓支持金具に取り付けられ、支持された水栓固定金具が、開口部内に挿入され、カウンターの前面部に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室のカウンターの取付構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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