説明

浴室ユニット

【課題】浴室のコーナ部における止水性をより確実に確保することができる浴室ユニットを提供することを目的とする。
【解決手段】リム部と、前記リム部の外周部に設けられた壁パネル載置面と、前記リム部の上面と、前記壁パネル載置面と、を繋ぐリム外側面と、を有する浴槽と、前記壁パネル載置面に載置された第1の壁パネルと、前記浴槽のコーナ部を間に挟み前記第1の壁パネルと接合された第2の壁パネルと、前記リム外側面に付設されたシール剤受け部と、前記浴槽のコーナ部に設けられ、止水性を確保可能なシール剤が前記第1の壁パネルと前記第2の壁パネルとの間を通過し前記シール剤受け部から漏出することを堰き止めるシール剤漏出防止部と、を備え、前記第1の壁パネルおよび前記第2の壁パネルが前記シール剤受け部と接触し、前記シール剤受け部の上方において前記シール剤を貯留可能なシール剤溜め部が形成されたことを特徴とする浴室ユニットが提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の態様は、一般的に、浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
浴室ユニットの意匠性を高めるために、例えば浴槽の長辺側のリム部の両端部が中央部よりも高い形状を有する浴槽が望まれている。本発明者の検討の結果、浴槽の長辺側のリム部を傾斜させたり、湾曲させたり、弓形状にしたり、階段状にしたりすることで、浴槽の長辺側のリム部の両端部を中央部よりも高くすることは可能である。
【0003】
浴室ユニットに用いられる浴槽のうちで、浴室の壁パネルを載置させる面が浴槽のリム部の外周に設けられた浴槽がある。このとき、浴槽のリム部の高さが全周にわたって略一定である場合には、浴槽の長辺側に配置された壁パネルと、浴槽の短辺側に配置された壁パネルと、の合わせ位置にシリコン(シール剤)を塗布したり目地材を取り付けることで、浴槽のコーナ部すなわち浴室のコーナ部における止水性を確保することができる。
【0004】
すなわち、浴室のコーナ部は、壁パネル同士の接合部である。そのため、壁パネル同士の間に隙間が生ずる。これに対して、壁パネル同士の間の隙間をシリコンや目地材で埋めることにより止水性を確保することができる。これは、浴槽のリム部と、浴室の壁パネルを載置させる面と、の段差が比較的低い場合において可能である。
【0005】
しかしながら、例えば浴槽の長辺側のリム部の両端部が中央部よりも高い場合のように、浴槽のリム部と、浴室の壁パネルを載置させる面と、の段差が比較的高い場合には、壁パネル同士の間の隙間をシリコンで埋めたり、壁パネル同士の間の隙間に目地材を取り付けることは容易ではない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実公平1−39328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、かかる課題の認識に基づいてなされたものであり、浴室のコーナ部における止水性をより確実に確保することができる浴室ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、リム部と、前記リム部の外周部に設けられた壁パネル載置面と、前記リム部の上面と、前記壁パネル載置面と、を繋ぐリム外側面と、を有する浴槽と、前記壁パネル載置面に載置された第1の壁パネルと、前記浴槽のコーナ部を間に挟み前記第1の壁パネルと接合された第2の壁パネルと、前記リム外側面に付設されたシール剤受け部と、前記浴槽のコーナ部に設けられ、止水性を確保可能なシール剤が前記第1の壁パネルと前記第2の壁パネルとの間を通過し前記シール剤受け部から漏出することを堰き止めるシール剤漏出防止部と、を備え、前記第1の壁パネルおよび前記第2の壁パネルが前記シール剤受け部と接触し、前記シール剤受け部の上方において前記シール剤を貯留可能なシール剤溜め部が形成されたことを特徴とする浴室ユニットである。
【0009】
この浴室ユニットによれば、浴槽が設けられた浴室のコーナ部の第1の壁パネルと第2の壁パネルとの接合部において、止水性を確保可能なシール剤が第1の壁パネルと第2の壁パネルとの間を通過しシール剤受け部から下方へ漏れることを抑えるシール剤漏出防止部が設けられている。これにより、第1の壁パネルと第2の壁パネルとの間に隙間が形成される浴室ユニットのコーナ部をより確実に止水することができる。
また、これにより、浴槽の意匠の自由度を向上させることができ、多様な意匠の浴槽を有する浴室ユニットを提供することができる。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記シール剤漏出防止部は、前記浴槽のコーナ部において前記リム部の上面と前記壁パネル載置面との間に挿入されたコーナピースを有し、前記シール剤溜め部は、前記壁パネルと前記コーナピースとが互いに接触しつつ前記シール剤受け部と接触することにより形成されたことを特徴とする浴室ユニットである。
【0011】
この浴室ユニットによれば、浴槽のコーナ部においてリム部の上面と壁パネル載置面との間にコーナピースが挿入されている。そして、壁パネルとコーナピースとが互いに接触しつつシール剤受け部と接触することにより、シール剤受け部の上方にシール剤溜め部が形成されている。これにより、シール剤溜め部は、浴槽のリム外側面に途切れることなく形成される。そのため、浴室ユニットのコーナ部における止水性をより確実に確保することができる。
【0012】
また、第3の発明は、第2の発明において、前記コーナピースが設けられる浴室のコーナ部に取り付けられた接合部材固定具と、前記接合部材固定具に固定され前記壁パネル載置面に前記壁パネルを立設させる接合部材と、をさらに備え、前記コーナピースは、前記浴槽と前記接合部材固定具との間に挿入され、前記接合部材固定具から力を受けて前記シール剤受け部と接触可能とされたことを特徴とする浴室ユニットである。
【0013】
この浴室ユニットによれば、コーナピースは、接合部材固定具から力を受けてシール剤受け部と接触可能とされている。そのため、コーナピースを固定するための特別な部材は、不要である。これにより、より簡略化された構造やより低減されたコストで浴室ユニットの止水構造を実現することができる。
【0014】
また、第4の発明は、第3の発明において、前記コーナピースは、基体を有し、前記基体には、前記浴槽のコーナ部のリム外側面に押し当てられる第1の面と、前記接合部材固定具に押し当てられる第2の面と、前記第1の面と前記第2の面との間に前記壁パネルの側端部が挿入される壁パネル挿入部と、が形成されたことを特徴とする浴室ユニットである。
【0015】
この浴室ユニットによれば、コーナピースは、接合部材固定具からの力を第2の面で直接的に受ける。そのため、コーナピースを固定するための特別な部材は、不要である。これにより、より簡略化された構造やより低減されたコストで浴室ユニットの止水構造を実現することができる。
【0016】
また、第5の発明は、第1の発明において、前記浴室のコーナ部に取り付けられた接合部材固定具と、前記接合部材固定具に固定され前記壁パネル載置面に前記壁パネルを立設させる接合部材と、をさらに備え、前記シール剤漏出防止部は、前記浴槽のコーナ部の前記リム外側面から前記接合部材固定具へ向けて延在するように前記浴槽と一体形成されてなる、または前記接合部材固定具から前記浴槽のコーナ部へ向けて延在するように前記接合部材固定具と一体形成されてなることを特徴とする浴室ユニットである。
【0017】
この浴室ユニットによれば、シール剤漏出防止部が浴槽または接合部材固定具と一体化されているため、作業者がシール剤漏出防止部の設置を忘れることを防止することができる。これにより、施工ミスによる止水不良をより確実に防ぐことができる。
【0018】
また、第6の発明は、第1〜第5のいずれか1つの発明において、前記リム部は、長辺側リム部と、長手方向の長さが前記長辺側リム部の長手方向の長さよりも短い短辺側リム部と、を含み、前記長辺側リム部の両端部の高さは、前記長辺側リム部の中央部の高さよりもそれぞれ高いことを特徴とする浴室ユニットである。
【0019】
この浴室ユニットによれば、浴槽の長辺側リム部の両端部の高さは、浴槽の長辺側リム部の中央部の高さよりもそれぞれ高い。そのため、浴槽の長辺側リム部の両端部をヘッドレストとして利用することができる。また、浴槽の長辺側リム部に設けられたシール部に溜まった水は、浴槽の長辺側リム部中央部に集まり浴槽内に戻りやすい。そのため、水が浴槽のコーナ部に残り難い。これにより、浴室ユニットの清掃の手間を軽減することができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明の態様によれば、浴室のコーナ部における止水性をより確実に確保することができる浴室ユニットが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかる浴室ユニットを表す斜視模式図である。
【図2】本実施形態にかかる浴室ユニットを表す側面模式図である。
【図3】本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す斜視模式図である。
【図4】本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す平面模式図である。
【図5】図4に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
【図6】本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す斜視模式図である。
【図7】本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す斜視模式図である。
【図8】本実施形態のコーナピースの具体例を例示する斜視模式図である。
【図9】本実施形態のコーナピースの他の具体例を説明するための斜視模式図である。
【図10】本実施形態のコーナピースの他の具体例を説明するための平面模式図である。
【図11】本実施形態のコーナピースの他の具体例を例示する斜視模式図である。
【図12】本実施形態のシール剤漏出防止部の他の具体例を説明するための斜視模式図である。
【図13】本実施形態のシール剤漏出防止部のさらに他の具体例を説明するための斜視模式図である。
【図14】本実施形態のシール剤漏出防止部のさらに他の具体例を説明するための斜視模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
図1は、本発明の実施の形態にかかる浴室ユニットを表す斜視模式図である。
図2は、本実施形態にかかる浴室ユニットを表す側面模式図である。
なお、図2は、本実施形態にかかる浴室ユニットを図1に表した矢印A1の方向にみたときの側面模式図である。
【0023】
図1に表した浴室ユニット10は、架台100と、洗い場床200と、浴槽300と、エプロン400と、壁パネル500と、を備える。
架台100は、下部に設けられた支持脚110を有し、図示しない建物床の上に載置されている。洗い場床200は、架台100の上に設置されている。エプロン400は、洗い場床200と浴槽300との間に設置され、浴槽300の側面を覆っている。つまり、エプロン400は、洗い場床200と浴槽300との間に形成される開口を塞ぐように取り付けられている。
【0024】
浴槽300は、架台100の上に設置され、洗い場床200の側方に配置されている。図1に表したように、浴槽300の長辺側リム部310bの両端部は、浴槽300の長辺側リム部310bの中央部よりも高い。具体的には、浴槽300の長辺側リム部310bは、両端部が中央部よりも高い弓形の形状を有する。但し、浴槽300の長辺側リム部310bの形状は、これだけに限定されるわけではない。例えば、浴槽300の長辺側リム部310bは、両端部が中央部よりも高い傾斜部や湾曲部や段差部などを有していてもよい。
【0025】
これによれば、浴槽300の長辺側リム部310bの両端部をヘッドレストとして利用することができる。また、浴槽300の長辺側リム部310bに設けられたシール部に溜まった水は、浴槽300の長辺側リム部310bの中央部に集まり浴槽300内に戻りやすい。そのため、水が浴槽300のコーナ部に残り難い。これにより、浴室ユニット10の清掃の手間を軽減することができる。
【0026】
図1および図2に表したように、壁パネル500は、浴槽300のリム部310の外周部および洗い場床200の外周部に設置されている。なお、壁パネル500の設置数は、図1に表した壁パネル500の設置数だけに限定されるわけではない。例えば、図1に表した浴室ユニット10において、浴槽300の長辺側リム部310bの外周部には、2つの壁パネル500が設置されているが、1つの壁パネル500が設置されていてもよい。また、例えば、図1に表した浴室ユニット10において、浴槽300の短辺側リム部310aの外周部には、1つの壁パネル500が設置されているが、2つの壁パネル500が設置されていてもよい。
【0027】
図3は、本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す斜視模式図である。
図4は、本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す平面模式図である。
図5は、図4に表した切断面A−Aにおける断面模式図である。
図6および図7は、本実施形態にかかる浴室ユニットのコーナ部を表す斜視模式図である。
【0028】
図3および図7は、図1に表した浴室ユニットのコーナ部C1を拡大して眺めた模式図であり、つまり浴槽300のコーナ部C1を拡大して眺めた模式図である。
図4は、コーナ部C1を図3に表した矢印A2の方向にみたときの平面模式図である。 図6は、コーナ部C1を図3に表した矢印A3の方向にみたときの斜視模式図である。 図6および図7に表した浴室ユニットでは、壁パネルを省略している。
【0029】
図5に表したように、浴槽300のリム部310は、リム上面311と、リム外側面313と、を有する。また、リム部310の外周部には、リム外縁部314と、壁パネル載置面315と、リム突部317と、を有する壁パネル載置部が設けられる。壁パネル載置面315は、リム外縁部314の上面に形成されている。言い換えれば、リム外縁部314の上面が壁パネル載置面315として機能する。
【0030】
リム外側面313は、リム上面311に接続され、リム上面311に対して略直交して設けられている。リム外縁部314および壁パネル載置面315は、浴槽300の短辺側リム部310aおよび浴槽300の長辺側リム部310bの外周部に設けられている。但し、図1に表したように、リム外縁部314および壁パネル載置面315は、洗い場床200の側の長辺側リム部310bの外周部には設けられていない。
【0031】
壁パネル載置面315は、リム外側面313に接続されている。つまり、リム外側面313は、リム上面311と壁パネル載置面315とを繋いでいる。言い換えれば、リム上面311と壁パネル載置面315との間には、段差が生じている。リム突部317は、リム外縁部314の外側の端部から上方へ延在している。
【0032】
ここで、本願明細書において「外側」とは、浴槽の外側であって、水(湯)を溜めて使用者がその中に入ることのできる浴槽の内側からみた外側をいうものとする。一方、本願明細書において、「内側」とは、浴槽の内側であって、水(湯)を溜めて使用者がその中に入ることのできる浴槽の内側をいうものとする。本願明細書において「水」という場合には、冷水のみならず、加熱されたお湯も含むものとする。
【0033】
壁パネル載置面315には、パッキン645が設けられている。パッキン645は、例えば発泡材やゴムなどにより形成され弾力性を有する。そして、パッキン645の上に、壁パネル500が立設されている。
【0034】
図3および図4に表したように、浴室ユニット10のコーナ部C1においては、浴槽300の短辺側の壁パネル載置面315に載置された短辺側壁パネル500aと、浴槽300の長辺側の壁パネル載置面315に載置された長辺側壁パネル500bと、が互いに略直交して立設されている。短辺側壁パネル500aの構造は、長辺側壁パネル500bの構造と同様である。そのため、以下の説明では、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bを総称して単に壁パネル500ともいう。
【0035】
壁パネル500は、母材510と、鋼板520と、を有する。母材510としては、例えば石膏ボードなどが用いられる。鋼板520は、例えば壁パネル500の全体の補強などのために母材510の表面に付設されている。図5に表したように、鋼板520は、表面から母材510の下端511の側に折り曲げられた下端部523を有する。
【0036】
壁パネル500は、鋼板520が母材510からみて例えば浴槽300の側(浴室ユニット10内の側)に位置する状態でパッキン645を介して壁パネル載置面315に載置されている。壁パネル500がパッキン645を介して壁パネル載置面315に載置された状態では、鋼板520の下端部523は、パッキン645を介してリム外縁部314を押圧している。これにより、浴室ユニット10内の水が、鋼板520の下端部523と、壁パネル載置面315と、の間から壁パネル500の外側へ漏出することを抑えることができる。また、壁パネル500の製造工程あるいは浴室ユニット10の組立作業において生ずる誤差を吸収し、壁パネル500をより確実に立設することができる。
【0037】
図6および図7に表したように、リム突部317には、例えばねじなどの締結部材692(図4参照)により接合部材固定具610が固定されている。接合部材固定具610の上方部には、例えばねじなどの締結部材691(図3および図4参照)により接合部材620が固定されている。つまり、接合部材固定具610は、接合部材620を固定し立設させる。接合部材620は、隣接する壁パネル500同士を連接あるいは接合することができる。そして、接合部材620は、壁パネル500を壁パネル載置面315に立設させることができる。
【0038】
図3および図4に表したように、接合部材620は、薄板を折り曲げた中空構造を有する。接合部材620は、両端部において折り返された折り返し部621をそれぞれ有する。折り返し部621は、バネ性を有している。
壁パネル500の鋼板520は、両端部において裏側(母材510の側)へ折り返された折り返し部521をそれぞれ有する。鋼板520の折り返し部521は、接合部材620の折り返し部621と同様に、バネ性を有している。
【0039】
短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bを接合部材620に取り付けるときには、鋼板520の折り返し部521を接合部材620の両端部の折り返し部621の間に嵌め込む。鋼板520の折り返し部521は、接合部材620の両端部の折り返し部621の間に嵌め込まれる際には、接合部材620の両端部の折り返し部621の間を押し広げる。そして、鋼板520の折り返し部521が嵌め込まれると、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bは、接合部材620を間にして直交する状態で壁パネル載置面315に立設される。
【0040】
短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置(合わせ位置)における隙間551の止水性を確保するため、壁パネル500同士の接合位置の隙間551には、例えば図示しない目地材が取り付けられる。浴室ユニット10のコーナ部C1において、図示しない目地材は、壁パネル500同士の接合位置の隙間551に嵌め込まれるとともに、リム上面311から壁パネル載置面315へ向かって挿入される。
【0041】
しかしながら、浴室ユニット10のコーナ部C1において、壁パネル500同士の接合位置の隙間551、および浴槽300と壁パネル500との間の隙間は、比較的狭い。そのため、リム上面311と壁パネル載置面315との段差が比較的高い場合には、目地材を壁パネル載置面315まで到達させることは困難である。そうすると、壁パネル載置面315と、目地材の下端と、の間に隙間が生ずる。そのため、浴室ユニット10のコーナ部C1における止水性を確保できないおそれがある。また、目地材が壁パネル載置面315まで到達したか否かを確認することが作業者にとって困難な場合がある。
【0042】
これに対して、本実施形態にかかる浴室ユニット10では、図3、図4、図6、および図7に表したように、浴室ユニット10のコーナ部C1において、浴槽300と接合部材固定具610との間にコーナピース(シール剤漏出防止部)630が設けられている。コーナピース630は、パッキン645を介して壁パネル載置面315に載置され、リム上面311の近傍まで延在している。具体的には、コーナピース630の上面630aの位置は、リム上面311の位置よりも低い。リム上面311と、コーナピース630の上面630aと、の段差は、例えば約5ミリメートル(mm)〜10mm程度である。
【0043】
これによれば、浴室ユニット10のコーナ部C1において、リム上面311から壁パネル載置面315へ向かって目地材を挿入し、コーナピース630の上面630aまで比較的容易に到達させることができる。つまり、コーナピース630の上面630aと、目地材の下端と、の間に隙間が生ずることを抑えることができる。また、目地材がコーナピース630の上面630aまで到達したか否かを比較的容易に確認することができる。
【0044】
コーナピース630は、パッキン631を有する。パッキン631は、例えば発泡材やゴムなどにより形成され弾力性を有する。図4に表したように、壁パネル500は、接合部材620により壁パネル載置面315に立設された状態では、コーナピース630のパッキン631と接触し、コーナピース630のパッキン631から力を受けている。つまり、コーナピース630のパッキン631は、壁パネル500から押され変形している。これにより、コーナピース630は、リム外側面313の側へ押されている。
【0045】
また、コーナピース630は、浴槽300と接合部材固定具610との間に設けられた状態では、接合部材固定具610と接触し接合部材固定具610から力を受けている。そして、コーナピース630は、リム外側面313の側へ押されている。
【0046】
図5〜図7に表したように、リム上面311よりも下方におけるリム外側面313には、シール剤受け部641が付設されている。シール剤受け部641は、例えば発泡材やゴムなどにより形成され弾力性を有する。図6および図7に表したように、シール剤受け部641は、例えば帯状を呈し、洗い場床200に面したリム外側面313を除くリム外側面313に付設されている。
【0047】
壁パネル500は、接合部材620により壁パネル載置面315に立設された状態では、コーナピース630のパッキン631と接触しつつシール剤受け部641と接触し、シール剤受け部641から力を受けている。つまり、シール剤受け部641は、壁パネル500から押され変形している。また、コーナピース630は、壁パネル500および接合部材固定具610から力を受けリム外側面313の側へ押されているため、シール剤受け部641と接触している。このとき、図4、図6、および図7に表したように、コーナ部C1におけるシール剤受け部641は、コーナピース630により押し潰されている。
【0048】
このようにして、図5に表したように、シール剤受け部641の上方において例えばシリコンなどのシール剤647を貯留可能なシール剤溜め部642が形成される。そして、シール剤647をシール剤溜め部642に塗布することにより、浴槽300と壁パネル500との間の止水性を確保することができる。
【0049】
このとき、前述したように、浴室ユニット10のコーナ部C1において、リム上面311と壁パネル載置面315との間にコーナピース630が設けられている。そのため、コーナピース630は、リム上面311と、壁パネル載置面315と、の段差を見かけ上低くすることができる。コーナピース630は、シール剤溜め部642に塗布されたシール剤647を自身の上面630aで受けることで、シール剤647がシール剤受け部641から下方へ漏れることを抑える(堰き止める)ことができる。これにより、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置に隙間551が形成される浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。
【0050】
前述したように、シール剤受け部641は、洗い場床200に面したリム外側面313を除くリム外側面313に付設されている。また、コーナピース630は、シール剤受け部641と接触している。そのため、シール剤溜め部642は、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bが立設されたリム部310の外周部に形成される。つまり、シール剤溜め部642は、洗い場床200に面したリム外側面313を除くリム外側面313に途切れることなく形成される。これにより、浴室ユニット10のコーナ部C1における止水性をより確実に確保することができる。
【0051】
また、コーナピース630は、壁パネル500および接合部材固定具610から受ける力により、浴槽300の側すなわちリム外側面313の側へ押されシール剤受け部641と接触している。そのため、コーナピース630を固定するための特別な部材は、不要である。これにより、より簡略化された構造やより低減されたコストで浴室ユニット10の止水構造を実現することができる。
【0052】
次に、本実施形態にかかる浴室ユニット10の組立手順について説明する。
まず、架台100を図示しない建物床の上に設置する。続いて、洗い場床200を架台100の上の所定位置に設置する。続いて、浴槽300を架台100の上の所定位置、例えば洗い場床200の側方に設置する。なお、作業性を考慮すると、浴槽300を架台100の上に設置する前に、浴槽300のリム外側面313にシール剤受け部641を付設させておくことがより好ましい。但し、浴槽300を架台100の上に設置した後に、浴槽300のリム外側面313にシール剤受け部641に付設させてもよい。
【0053】
続いて、接合部材固定具610を締結部材692により浴槽300のリム突部317に固定する。続いて、コーナピース630を浴槽300と接合部材固定具610との間に設置する。続いて、接合部材620を締結部材691により接合部材固定具610に固定する。
【0054】
続いて、壁パネル500を壁パネル載置面315に立設させる。具体的には、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bを接合部材620に取り付ける。このときには、鋼板520の折り返し部521を接合部材620の両端部の折り返し部621の間に嵌め込む。これにより、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bを、接合部材620を間にして直交する状態で壁パネル載置面315に立設させることができる。
【0055】
続いて、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置の隙間551に目地材を取り付ける。具体的には、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置の隙間551に目地材を嵌め込むとともに、リム上面311から壁パネル載置面315へ向かって目地材を挿入する。そして、目地材がコーナピース630の上面630aと接触するまで目地材を挿入する。このとき、リム上面311と、壁パネル載置面315と、の段差は、コーナピース630により見かけ上低くなっているため、コーナピース630の上面630aと接触するまで目地材を比較的容易に挿入することができる。
【0056】
続いて、シール剤受け部641の上方に形成されたシール剤溜め部642に例えばシリコンなどのシール剤647を塗布する。シール剤647の塗布については、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bが立設されたリム部310の外周部において行う。このとき、コーナピース630は、シール剤溜め部642に塗布されたシール剤647を自身の上面630aで受けることができる。そのため、シール剤647がシール剤受け部641から下方へ漏れることを抑えることができる。これにより、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置に隙間551が形成される浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。
【0057】
浴室ユニット10のコーナ部C1の構造および組立手順は、コーナ部C1と反対側のコーナ部C2においても同様である。そのため、浴室ユニット10のコーナ部C2に関する説明については省略する。また、以下の説明においても、浴室ユニット10のコーナ部C2に関する説明については省略する。
【0058】
図8は、本実施形態のコーナピースの具体例を例示する斜視模式図である。
図8に表したコーナピース630は、基体633と、パッキン631と、を有する。基体633は、例えば樹脂や金属などにより形成されている。パッキン631は、例えば発泡材やゴムなどにより形成され弾力性を有する。
【0059】
基体633には、浴槽300のコーナ部におけるリム外側面313に押し当てられる第1の面635と、接合部材固定具610に押し当てられる第2の面637(図6参照)と、が形成されている。コーナピース630を長手方向にみたときに、第1の面635は、略L字型の形状を有する。第2の面637が接合部材固定具610と接触し、第1の面635が浴槽300のコーナ部におけるリム外側面313に押し当てられることで、コーナピース630の位置が決まる。つまり、第2の面637は、位置決め面として機能する。
【0060】
また、基体633には、第1の面635と第2の面637との間において、壁パネル500の側端部すなわち折り返し部521が挿入される壁パネル挿入部639が形成されている。図8に表したように、パッキン631は、壁パネル挿入部639の側面の少なくとも一部に付設されている。
【0061】
図8に表したコーナピース630は、接合部材固定具610からの力を第2の面637で直接的に受けることができる。そのため、コーナピース630を固定するための特別な部材は、不要である。これにより、より簡略化された構造やより低減されたコストで浴室ユニット10の止水構造を実現することができる。
【0062】
次に、本実施形態のコーナピースの他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。 図9は、本実施形態のコーナピースの他の具体例を説明するための斜視模式図である。 図10は、本実施形態のコーナピースの他の具体例を説明するための平面模式図である。
図11は、本実施形態のコーナピースの他の具体例を例示する斜視模式図である。
【0063】
図9は、浴室ユニットのコーナ部C1を拡大して眺めた模式図であり、つまり浴槽300のコーナ部C1を拡大して眺めた模式図である。
図10は、コーナ部C1を図9に表した矢印A4の方向にみたときの平面模式図である。
【0064】
まず、本実施形態のコーナピースの他の具体例の構造について、図11を参照しつつ説明する。
図11に表したコーナピース650は、基体653と、パッキン651と、を有する。基体653は、例えば樹脂などにより形成されている。パッキン651は、例えば発泡材やゴムなどにより形成され弾力性を有する。
【0065】
パッキン651には、浴槽300のコーナ部におけるリム外側面313に押し当てられる接触面655が形成されている。基体653には、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置の隙間551に嵌合可能な突部653aが形成されている。
【0066】
図9および図10に表した浴室ユニット10のコーナ部は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10のコーナ部C1において、図8に表したコーナピース630が図11に表したコーナピース650に置き換えられた構造を有する。その他の構造は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10のコーナ部C1の構造と同様である。
【0067】
図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順のように、図8に表したコーナピース630を設置する場合には、壁パネル500を壁パネル載置面315に立設させる前にコーナピース630を設置する。
これに対して、図11に表したコーナピース650を設置する場合には、壁パネル500を壁パネル載置面315に立設させた後にコーナピース650を設置する。
【0068】
まず、架台100、洗い場床200、浴槽300、および接合部材固定具610に関する組立手順は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順と同様である。 続いて、接合部材620を締結部材691により接合部材固定具610に固定する。
【0069】
続いて、壁パネル500を壁パネル載置面315に立設させる。具体的には、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bを接合部材620に取り付ける。このときには、鋼板520の折り返し部521を接合部材620の両端部の折り返し部621の間に嵌め込む。これにより、短辺側壁パネル500aおよび長辺側壁パネル500bを、接合部材620を間にして直交する状態で壁パネル載置面315に立設させることができる。
【0070】
続いて、図9および図10に表したように、壁パネル500同士の接合位置の隙間551にコーナピース650の突部653aを嵌め込みつつ、浴槽300のコーナ部におけるリム外側面313と、壁パネル500と、の間にコーナピース650の全体を挿入する。このとき、コーナピース650の接触面655は、浴槽300のコーナ部におけるリム外側面313に押し当てられる。また、浴槽300のコーナ部におけるシール剤受け部641は、コーナピース650の接触面655により押し潰される。そして、コーナピース650の上面650aの位置がリム上面311の位置よりも低くなるまで、コーナピース650を壁パネル載置面315へ向かって挿入する。
【0071】
続いて、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置の隙間551に目地材を取り付ける。具体的には、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置の隙間551に目地材を嵌め込むとともに、リム上面311から壁パネル載置面315へ向かって目地材を挿入する。そして、目地材がコーナピース650の上面650aと接触するまで目地材を挿入する。このとき、リム上面311と、壁パネル載置面315と、の段差は、コーナピース650により見かけ上低くなっているため、コーナピース650の上面650aと接触するまで目地材を比較的容易に挿入することができる。
【0072】
続いて、シール剤受け部641の上方に形成されたシール剤溜め部642に例えばシリコンなどのシール剤647を塗布する。この組立手順は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順と同様である。
【0073】
本具体例によれば、コーナピース650は、シール剤溜め部642に塗布されたシール剤647を自身の上面650aで受けることができる。そのため、シール剤647がシール剤受け部641から下方へ漏れることを抑えることができる。これにより、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置に隙間551が形成される浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。また、コーナピース650を接合部材固定具610に押し当てる必要がないため、コーナピース650の構造をより簡略化あるいは小型化することができる。
【0074】
次に、本実施形態のシール剤漏出防止部の他の具体例について、図面を参照しつつ説明する。
図12は、本実施形態のシール剤漏出防止部の他の具体例を説明するための斜視模式図である。
なお、図12は、浴室ユニットのコーナ部C1を図3に表した矢印A3の方向にみたときの斜視模式図に相当する。
【0075】
図12に表したシール剤漏出防止部680は、接合部材固定具610から浴槽300のコーナ部へ向けて延在するように接合部材固定具610と一体化されている。図12に表したシール剤漏出防止部680の構造は、図3〜図8に関して前述したコーナピース630の構造と同様である。例えば、シール剤漏出防止部680は、ねじなどの締結部材693により接合部材固定具610に予め固定されている。シール剤漏出防止部680を接合部材固定具610に固定する方法は、締結部材693を用いる方法だけでなく、例えば接着剤を用いる方法であってもよい。なお、シール剤漏出防止部680は、接合部材固定具610と一体形成されていてもよい。
【0076】
本具体例における浴室ユニット10の組立手順としては、まず、架台100、洗い場床200、および浴槽300に関する組立手順は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順と同様である。続いて、図12に表したシール剤漏出防止部680を設置する場合には、例えば図12に表した矢印A5のように、接合部材固定具610と一体化された状態でシール剤漏出防止部680を設置する。続いて、接合部材620、壁パネル500、および目地材の取り付け、ならびにシール剤647の塗布は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順と同様である。浴室ユニット10のその他の構造および組立手順は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の構造および組立手順と同様である。
【0077】
本具体例によれば、作業者がシール剤漏出防止部680の設置を忘れることを防止することができる。すなわち、接合部材620は、接合部材固定具610に固定される部材であるため、作業者は、接合部材固定具610を設置しなければ接合部材620を設置することができない。そして、作業者は、接合部材620を設置しなければ壁パネル500を立設させることはできない。つまり、作業者は、接合部材固定具610を設置しなければ浴室ユニット10の組立作業を進めることができない。
【0078】
本具体例では、シール剤漏出防止部680は、設置しなければ浴室ユニット10の組立作業を進めることができない接合部材固定具610に予め固定されている。これにより、作業者がシール剤漏出防止部680の設置を忘れることを防止することができる。そして、施工ミスによる止水不良を防ぐことができ、浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。また、接合部材固定具610に予め固定されたシール剤漏出防止部680の構造は、図3〜図7および図8に関して前述したコーナピース630の構造と同様であるため、図3〜図7および図8に関して前述した効果と同様の効果が得られる。
【0079】
図13は、本実施形態のシール剤漏出防止部のさらに他の具体例を説明するための斜視模式図である。
なお、図13は、浴室ユニットのコーナ部C1を図3に表した矢印A3の方向にみたときの斜視模式図に相当する。
【0080】
図13に表したシール剤漏出防止部(コーナ突出部)660は、浴槽300のコーナ部から接合部材固定具610へ向けて延在するように浴槽300と一体形成されている。言い換えれば、浴槽300は、コーナ部から接合部材固定具610へ向けて延在するコーナ突出部660を有する。壁パネル載置面315には、パッキン645が設けられている。また、図13に表したように、シール剤漏出防止部660の上面660aと、壁パネル載置面315に接続されたシール剤漏出防止部660の側面660b、660cと、においてパッキン645が設けられている。そのため、シール剤受け部641は、浴槽300のコーナ部において途切れており、短辺側リム部310aのリム外側面313に付設された部分と、長辺側リム部310bのリム外側面313に付設された部分と、に分割されている。
【0081】
本具体例における浴室ユニット10の組立手順としては、まず、架台100、洗い場床200、および浴槽300に関する組立手順は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順と同様である。続いて、図13に表した矢印A6のように、リム突部317およびシール剤漏出防止部660の外側面665に接合部材固定具610を固定する。このとき、接合部材固定具610の内側面610aは、シール剤漏出防止部660の外側面665と密着する。続いて、接合部材620、壁パネル500、および目地材の取り付け、ならびにシール剤647の塗布は、図3〜図7に関して前述した浴室ユニット10の組立手順と同様である。
【0082】
本具体例によれば、シール剤漏出防止部660が浴槽300と一体形成されているため、図12に関して前述したように、作業者がシール剤漏出防止部660の設置を忘れることを防止することができる。そして、施工ミスによる止水不良を防ぐことができ、浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。
【0083】
また、シール剤漏出防止部660は、シール剤溜め部642に塗布されたシール剤647を自身の上面660aで受けることで、シール剤647がシール剤受け部641から下方へ漏れることを抑えることができる。さらに、壁パネル500は、接合部材620により壁パネル載置面315に立設された状態では、シール剤漏出防止部660の側面660b、660cに設けられたパッキン645と密着している。また、前述したように、接合部材固定具610の内側面610aは、シール剤漏出防止部660の外側面665と密着している。そのため、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置に隙間551が形成される浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。
【0084】
図14は、本実施形態のシール剤漏出防止部のさらに他の具体例を説明するための斜視模式図である。
なお、図14は、浴室ユニットのコーナ部C1を図3に表した矢印A3の方向にみたときの斜視模式図に相当する。
【0085】
図14に表した具体例では、浴槽300と、シール剤漏出防止部670と、接合部材固定具610と、が一体形成されている。言い換えれば、浴槽300は、コーナ部から接合部材固定具610へ向けて延在するシール剤漏出防止部(コーナ突出部)670と、シール剤漏出防止部670に接続された接合部材固定具610と、を有する。
【0086】
例えば、シール剤漏出防止部670は、浴槽300のコーナ部に接続されている。また、接合部材固定具610の内側面610aは、シール剤漏出防止部670の外側面675と密着している。
【0087】
壁パネル載置面315には、パッキン645が設けられている。また、図14に表したように、シール剤漏出防止部670の上面670aと、壁パネル載置面315に接続されたシール剤漏出防止部670の側面670b、670cと、においてパッキン645が設けられている。そのため、シール剤受け部641は、浴槽300のコーナ部において途切れており、短辺側リム部310aのリム外側面313に付設された部分と、長辺側リム部310bのリム外側面313に付設された部分と、に分割されている。
【0088】
本具体例によれば、浴槽300と、シール剤漏出防止部670と、接合部材固定具610と、が一体形成されているため、浴室ユニット10の組立手順のさらなる簡略化を図ることができる。また、図13に関して前述した効果と同様の効果を得ることができる。
【0089】
以上説明したように、本実施形態によれば、浴室ユニット10のコーナ部C1において、リム上面311と壁パネル載置面315との間にコーナピース630が設けられている。そのため、コーナピース630は、リム上面311と、壁パネル載置面315と、の段差を見かけ上低くすることができる。コーナピース630は、シール剤溜め部642に塗布されたシール剤647を自身の上面630aで受けることで、シール剤647がシール剤受け部641から下方へ漏れることを抑えることができる。これにより、短辺側壁パネル500aと、長辺側壁パネル500bと、の接合位置に隙間551が形成される浴室ユニット10のコーナ部C1をより確実に止水することができる。
【0090】
以上、本発明の実施の形態について説明した。しかし、本発明はこれらの記述に限定されるものではない。前述の実施の形態に関して、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。例えば、シール剤漏出防止部630、650、660、670、シール剤受け部641、接合部材固定具610、接合部材620、および壁パネル500などが備える各要素の形状、寸法、材質、配置などやそれらの設置形態などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。
また、前述した各実施の形態が備える各要素は、技術的に可能な限りにおいて組み合わせることができ、これらを組み合わせたものも本発明の特徴を含む限り本発明の範囲に包含される。
【符号の説明】
【0091】
1 浴室ユニット、 100 架台、 110 支持脚、 200 洗い場床、 300 浴槽、 310 リム部、 310a 短辺側リム部、 310b 長辺側リム部、 311 リム上面、 313 リム外側面、 314 リム外縁部、 315 壁パネル載置面、 317 リム突部、 400 エプロン、 500 壁パネル、 500a 短辺側壁パネル、 500b 長辺側壁パネル、 510 母材、 511 下端、 520 鋼板、 521 折り返し部、 523 下端部、 551 隙間、 610 接合部材固定具、 610a 内側面、 620 接合部材、 621 折り返し部、 630 コーナピース(シール剤漏出防止部)、 630a 上面、 631 パッキン、 633 基体、 635 第1の面、 637 第2の面、 639 壁パネル挿入部、 641 シール剤受け部、 642 シール剤溜め部、 645 パッキン、 647 シール剤、 650 シール剤漏出防止部、 650a 上面、 651 パッキン、 653 基体、 653a 突部、 655 接触面、 660 シール剤漏出防止部、 660a 上面、 660b、660c 側面、 665 外側面、 670 シール剤漏出防止部、 670a 上面、 670b、670c 側面、 675 外側面、 680 シール剤漏出防止部、 691、692、693 締結部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リム部と、
前記リム部の外周部に設けられた壁パネル載置面と、
前記リム部の上面と、前記壁パネル載置面と、を繋ぐリム外側面と、
を有する浴槽と、
前記壁パネル載置面に載置された第1の壁パネルと、
前記浴槽のコーナ部を間に挟み前記第1の壁パネルと接合された第2の壁パネルと、
前記リム外側面に付設されたシール剤受け部と、
前記浴槽のコーナ部に設けられ、止水性を確保可能なシール剤が前記第1の壁パネルと前記第2の壁パネルとの間を通過し前記シール剤受け部から漏出することを堰き止めるシール剤漏出防止部と、
を備え、
前記第1の壁パネルおよび前記第2の壁パネルが前記シール剤受け部と接触し、前記シール剤受け部の上方において前記シール剤を貯留可能なシール剤溜め部が形成されたことを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記シール剤漏出防止部は、前記浴槽のコーナ部において前記リム部の上面と前記壁パネル載置面との間に挿入されたコーナピースを有し、
前記シール剤溜め部は、前記壁パネルと前記コーナピースとが互いに接触しつつ前記シール剤受け部と接触することにより形成されたことを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記コーナピースが設けられる浴室のコーナ部に取り付けられた接合部材固定具と、
前記接合部材固定具に固定され前記壁パネル載置面に前記壁パネルを立設させる接合部材と、
をさらに備え、
前記コーナピースは、前記浴槽と前記接合部材固定具との間に挿入され、前記接合部材固定具から力を受けて前記シール剤受け部と接触可能とされたことを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。
【請求項4】
前記コーナピースは、基体を有し、
前記基体には、
前記浴槽のコーナ部のリム外側面に押し当てられる第1の面と、
前記接合部材固定具に押し当てられる第2の面と、
前記第1の面と前記第2の面との間に前記壁パネルの側端部が挿入される壁パネル挿入部と、
が形成されたことを特徴とする請求項3記載の浴室ユニット。
【請求項5】
前記浴室のコーナ部に取り付けられた接合部材固定具と、
前記接合部材固定具に固定され前記壁パネル載置面に前記壁パネルを立設させる接合部材と、
をさらに備え、
前記シール剤漏出防止部は、前記浴槽のコーナ部の前記リム外側面から前記接合部材固定具へ向けて延在するように前記浴槽と一体形成されてなる、または前記接合部材固定具から前記浴槽のコーナ部へ向けて延在するように前記接合部材固定具と一体形成されてなることを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項6】
前記リム部は、長辺側リム部と、長手方向の長さが前記長辺側リム部の長手方向の長さよりも短い短辺側リム部と、を含み、
前記長辺側リム部の両端部の高さは、前記長辺側リム部の中央部の高さよりもそれぞれ高いことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1つの記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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