説明

浴室ユニット

【課題】水栓前位置に入浴者が位置することを基準として二方向に温風を吹出すことで、入浴者を包み込むように浴室を暖め、しかも、短時間で浴室を暖めることができる浴室ユニットを提供すること。
【解決手段】水栓カウンター15の前端部に水栓17が設けられ、当該水栓17の側方には暖房装置として機能する蒸気発生装置20が配置されている。この蒸気発生装置20は、水栓17の手前側を横切る第1横方向A1に温風を吹出す側部吹出し口21と、第1方向と直交する第2横方向A2に温風を吹出す前部吹出し口22とを備えている。これらの吹出し口21、22から吹出す蒸気は、入浴者Hを回り込む流れとなって当該入浴者を包み込むように暖めるようになっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浴室ユニットに係り、更に詳しくは、入浴者を包み込むように暖めるとともに、浴室内を短時間で暖めることのできる暖房装置を備えた浴室ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
冬季の一般家庭における浴室内は寒さを感じるため、浴室を暖房できるようにした浴室ユニットが採用されるようになっている。例えば、特許文献1には、サウナ装置の吹出口から浴室内に加熱空気を吹出して加温できるようにした浴室ユニットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−5305号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された浴室ユニットは、サウナ装置から吹出す加熱空気が一方向に向けられているだけであり、入浴者の身体全体を包み込むように暖めることができない。また、冬季等、浴室内温度が低いときに、浴室全体を暖めるまでに時間を要する、という不都合がある。
【0005】
ところで、浴室の洗い場に入浴者が位置するときは、水栓の前に位置(以下、単に「水栓前位置」という)することが極めて自然であり、且つ、通常と考えられる。従って、入浴者を包み込むような状態で浴室を暖める場合には、水栓前位置を考慮して温風の吹出し口の位置や吹出し方向等を検討することが必要である。
【0006】
[発明の目的]
本発明の目的は、水栓前位置に入浴者が位置することを基準として二方向に温風を吹出すことで、当該入浴者を包み込むように浴室を暖めることができる浴室ユニットを提供することにある。
また、本発明の他の目的は、短時間で浴室を暖めることのできる浴室ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記目的を達成するため、本発明は、特許請求の範囲記載の構成を採用したものである。具体的には、水栓と、当該水栓の側方に併設された暖房装置とを含む浴室ユニットにおいて、
前記暖房装置は前記水栓の手前側を横切る第1横方向に温風を吹出す側部吹出し口と、前記第1方向と直交する第2横方向に温風を吹出す前部吹出し口とを備える、という構成を採っている。
【0008】
本発明において、前記暖房装置は前記側部吹出し口の上端部が浴槽の上端部よりも低くなるように配置され、前記側部吹出し口は上下方向に延びるスロット状に設けられて前記浴槽の側面に向かって温風を吹出す一方、前部吹出し口は横方向に延びるスロット状に設けられて対向する壁面に向かって温風を吹出すように設けることが好ましい。
【0009】
また、前記前部吹出し口内に温風を床面方向に向ける整流板を備えた構成を採用することができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、暖房装置が側部吹出し口と前部吹出し口とを備えた構成であるため、水栓前位置に入浴者が位置したときに、当該入浴者の前方を横切るように温風が通過する一方、入浴者の横を前方から後方に向かって温風が通過することになる。これらの温風は、その後次第に浴室内で拡がるようになり、従って、入浴者を包み込むように浴室を暖めることができ、同時に浴室内を短時間で加温することが可能となる。
また、暖房装置を側部吹出し口の上端部が浴槽の上端部よりも低くなるように配置した構成により、側部吹出し口から吹出す温風を浴槽の上部に逃がすことなく浴槽の側面で反射させることができ、洗い場の温度上昇を早めることができる。
更に、前部吹出し口内に整流板を設けることで最も冷えている床面をすばやく暖めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】実施形態に係る浴室ユニットの概略斜視図。
【図2】前記浴室ユニットの概略平面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0013】
浴室の洗い場を構成する床面10の一端側(図1図中奥行側)において、洗面器等を載せ置くための台11が浴槽12の側面をなすエプロン12Aと壁面13と間に設けられている。台11の上方には、カウンター15が設けられ、当該カウンター15の前端部左寄りの位置に水栓17が設けられている。また、台11の上面には、暖房装置としての蒸気発生装置20が配置されている。この蒸気発生装置20は、その右側面が壁面13に接する状態で配置され、これにより、台11とカウンター15との間において、蒸気発生装置20が水栓17よりも右側に位置するように設定されている。
【0014】
前記蒸気発生装置20は、図2に示されるように、水栓17の手前側(前端側)を横切る第1横方向A1に温風を吹出す側部吹出し口21と、第1方向と直交する第2横方向A2、すなわち、図1中手前側に温風を吹出す前部吹出し口22とを備え、当該前部吹出し口22には、床面10に温風を向ける整流板24(図1参照)が配置されている。
【0015】
前記側部吹出し口21は、上下方向に長いスロット状に開口しており、従って、側部吹出し口21から吹出す温風は、略垂直面内で横方向に流れるカーテンフローを形成しつつエプロン12Aに向かって流れるようになる。
【0016】
一方、前部吹出し口22は、左右方向に長いスロット状に開口しており、従って、横方向に拡がった状態でカーテンフローを形成しつつ床面10に向かい、その後に対向する壁面14に向かって流れるようになる。
【0017】
図2に示されるように、入浴者Hは、身体を洗ったり、洗髪したりする時には、水栓前位置に着座するのが通常であり、本実施形態は、水栓前位置を基準として入浴者Hの身体を包み込むような方向、具体的には、入浴者Hの前方と側方の二方向に温風を通過させるようにし、これにより、自然な感じで心地よさを伴うように入浴者を暖めるとともに、浴室の温度を素早く上げることができるようになっている。
【0018】
従って、本実施形態によれば、蒸気発生装置20に吹出し口を二つ設け、それぞれ異なる方向に温風を吹出す構成とするだけで、入浴者にとって快適な温度を体感させることができ、また、短時間で暖房を行うことができるので冬季利用時の効果が大きい。
【0019】
本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。
すなわち、本発明は、特定の実施の形態に関して特に図示し、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想及び目的の範囲から逸脱することなく、以上に述べた実施例に対し、形状、位置若しくは方向、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。
従って、上記に開示した形状などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状などの限定の一部若しくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。
【0020】
例えば、前記実施形態では、暖房装置が蒸気発生装置20である場合を示したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、温風の送風機等、浴室を暖めることのできるものであれば足りる。
また、蒸気発生装置20は、温風の吹出し方向を2方向とする構成を維持できるものであれば、吹出し口の数は増加してもよい。更に、図示例では、蒸気発生装置20の側部吹出し口21が左側面に設けられているが、浴室の各部レイアウトが左右対称に変更した構成では、右側面に設けられることになる。
また、台11は省略することが可能であり、この場合、蒸気発生装置20は床面10に直接支持させればよい。
【符号の説明】
【0021】
10…床面、12…浴槽、12A…エプロン、13…壁面、14…壁面、17…水栓、20…蒸気発生装置(暖房装置)、21…側部吹出し口、22…前部吹出し口、24…整流板、A1…第1横方向、A2…第2横方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水栓と、当該水栓の側方に併設された暖房装置とを含む浴室ユニットにおいて、
前記暖房装置は前記水栓の手前側を横切る第1横方向に温風を吹出す側部吹出し口と、前記第1方向と直交する第2横方向に温風を吹出す前部吹出し口とを備えていることを特徴とする浴室ユニット。
【請求項2】
前記暖房装置は前記側部吹出し口の上端部が浴槽の上端部よりも低くなるように配置され、前記側部吹出し口は上下方向に延びるスロット状に設けられて前記浴槽の側面に向かって温風を吹出す一方、前部吹出し口は横方向に延びるスロット状に設けられて対向する壁面に向かって温風を吹出すことを特徴とする請求項1記載の浴室ユニット。
【請求項3】
前記前部吹出し口内に温風を床面方向に向ける整流板を備えていることを特徴とする請求項2記載の浴室ユニット。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−94518(P2013−94518A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−241860(P2011−241860)
【出願日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【出願人】(392008529)ヤマハリビングテック株式会社 (349)
【Fターム(参考)】