説明

浴室内における事故防止自動装置

【課題】入浴者に異常が発生したとき、単に外部に報知するだけでなく、重大事故を未然に阻止するため、入浴者や救護者を能動的に支援する装置を提供する。
【解決手段】浴室内の動きを動的に捉えるための光電センサと、浴室の出入り口に人感センサを設置する。入浴タイマーを内蔵させ、時間を予め設定し入浴時間経過の旨を浴室内外に報知する。入浴者が意識障害等に陥り身体が動かない状態となり、浴槽の沈水や洗い場にて転倒する事故等の、事故が発生した場合は、危険信号音に変換され警報音を鳴らし、同時に止栓脱着装置が作動し浴槽のお湯を短時間で排水する、浴室内における事故防止自動装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、入浴中の事故を未然に回避するため、浴室内の浴槽及び洗い場の動きを動的に捉える人感センサと光電センサ及び浴槽の止栓脱着装置を内蔵した、浴室内における事故防止自動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
家庭内での死亡事故は浴室に集中しており、特に浴室内での事故死は年間約1万4千件を超えている、なかでも高齢者の入浴中の突然死が増えている。浴槽内での典型的なケースとしては一人で入浴中に心臓疾患、痙攣、ひきつけ等々の発作で意識を失い、頭部の沈水で溺死する場合と、洗い場に於ける転倒事故がある。
【0003】
入浴中の意識障害などで身体を動かせない要因は、心臓梗塞等の循環器系疾患と脳内出血等の脳疾患でその8割を占いる。浴室から出てこないので、不審に思い家族が事故を発見するも、すでに手遅れだった事例がある。この様な事故は高齢者に限らず、対象者が足を滑らした幼児の場合もあり、健康な若者でも飲酒後の酩酊状態で入浴中の昏睡から溺死にいたる例もある。
【0004】
従来は、浴槽内に入浴監視装置を浮かべ、波立が減衰しながら凪になるように静かな状態になると、警報が鳴り入浴者の身体の動きを監視し、警報を発する方式が提案されているが(特許文献1参照)浴槽での波立は2秒〜3秒で静かになるので、誤報が多いと言った問題がある。
【0005】
入浴時間を予めタイマーでセットし、時間を経過したら、浴室内に呼び出しボタンを設置し、又は入浴者が自身の異常を自覚したら、呼び出しボタンを押し同居家族に知らせる方式がある、(特許文献2、特許文献3参照)。しかし現実に具合の悪くなった人が冷静に呼び出しボタンを押す保証がなく確実性に乏しい。
【0006】
入浴者の意思に関係なく、浴室内にカメラを取り付け浴室内の様子を家人が監視するシステムがある。入浴者の様子が一目瞭然で確実性が高いという利点がある。浴室内の画像にモザイク等の修正処置を施してから浴室外に表示するものもあるが(特許文献5参照)、これらは入浴対象者の抱く羞恥心に対する配慮がないなどプライバシーの問題がある。監視する側もそちらに注意を払う必要があり、監視者の時間が拘束される欠点がある。
【0007】
異常検知装置による、電話通報システムとの組み合せ、離れた場所にいる特定の人に異常を通報するものを提案されている。しかし沈水事故の場合は迅速な対応があれば、蘇生率が高く、こうした実情に適した方式の装置を求められている。
【0008】
【特許文献1】 特許公開2007−133459号公報
【特許文献2】 特許公開2002−216266号公報
【特許文献3】 特許公開2001−224650号公報
【特許文献4】 特許公開2002−74543号公報
【特許文献5】 特許公開2003−42536号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
これまで提案されている装置を一般家庭に導入する場合には、既存の浴槽に装置を取り付ける等、実用性に乏しく取替や増設らに工事費の負担が大きく、普及を妨げている。
【0010】
浴室内での事故が多い現状で、浴槽内での沈水による溺死及び洗い場の転倒事故が最も多いが、従来技術では浴槽内の事故についてのみ提案されて、洗い場における事故についての提案はない。本発明は浴槽内事故と洗い場に於ける事故を、同時に解決する装置を現実することを目的とするものである。
【0011】
本発明は、入浴者が浴槽や洗い場での事故を早急に感知し、重大事故を未然に防ぐことができ、コスト的にも優れた、簡易な浴室内における事故防止自動装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、図1に示す通り浴室内の浴槽6及び洗い場7の一部に光電センサを設置する。
【0013】
無線対応のネットワーク経由で携帯電話又は各自冶体の緊急通報システムに送信する。
【0014】
浴室に点灯スイッチ1Aを入れる。入浴者8が入室し通過すると人感センサ2が感知しタイマー2Bが起動する。同時に光電センサ投光器3、光電センサ受光器4が作動し、入浴者8を反射光4Dが検知してメロデーが鳴る。入浴者8が洗い場7及び浴槽6に居る間は鳴りつづく。退室時に人感センサ2を通過すると全部のシステムは終了する構造である。
【0015】
転倒又は沈水事故が発生した場合、入浴者8が光電センサ投光器3より発射する投過光3Cの検知範囲から外れるとメロデーが消え、検知リレーにより異なる危険信号音に変換され、浴室外部に事故を知らせる。しかも自動的に連動して携帯電話等(緊急通報システム)に危険信号を送信する事が出来る構造である。
【0016】
上述したように本発明は危険信号の報知と同時に止栓脱着装置9が作動し、浴槽内のお湯を1分〜2分で排水し、最悪の溺死を免れる構造である。
【発明の効果】
【0017】
本発明の、浴室内における事故防止自動装置は、入浴者を光電センサによって検出距離と広角投光の測定範囲や動作領域を調整できる構造で、光電センサは、光電センサ投光器3、受光器4から構成されている。投過光3Cによって受光器4に到達する光量が変化し、受光器4はこの変化を検出して電気信号に変換し出力する。人感センサ2は赤外線による検知するセンサである。同時に止栓脱着装置によって排水し重大な事故を防止する効果を発揮するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図1〜7に基づいて説明する。
【0019】
図1、図2は、入浴出入り口1の点灯スイッチ1Aを入力すると、人感センサ2が稼動し、浴室に設けられたタイマー2B、光電センサ3、止栓脱着装置9、スピーカー5、及び携帯電話又は緊急通報システムに連動する。
【0020】
入浴者8が、浴室出入り口1を通過すると、人感センサスイッチ2が検知しタイマー2B及び全システムに連動する。光電センサ投光器3光電センサ受光器4を浴槽6及び洗い場7に設置する。設置場所は浴槽6の上部より約20cm〜30cm高に上向きに設置する方法と(図4)、天井部に光電センサ投光器3受光器4に配設する方法がある(図3)。いずれも現場の環境に応じて設置する。前記タイマー2Bは入浴時間を予め設定し、計時された経過時間を報知手段スピーカー5によって、入浴時間経過の旨を報知する。
【0021】
光電センサ受光器4の感知により浴室内挙動検知装置本体21を経由して、家屋内外部に警告、又は携帯電話等に報知すると同時に、入浴者8の沈水を感知し溺死を防止する為、ただちに浴槽6の止栓脱着装置9が作動し、排水弁12が開き、短時間に浴槽6のお湯を排水し溺死を免れ、最悪の事態は避けられる。
【0022】
止栓脱着装置9については図5、図6に示す通り、入浴時に手動レバー20を押し下げセットすると回転ストップ板16にある突起棒挿脱口15に挿脱突起棒14が入り固定する。事故発生の危険信号をキャッチしたら円筒状コイル13によって挿脱突起棒14を解除し、回転ストップ板16が元の位置に戻る。連結された鎖10を通して、排水口11より排水弁12を引抜き排水し、入浴者8の最悪の状態から安全を確保する為の装置である。止栓脱着装置9の排水弁12については、上述以外に排水口11に電磁弁を装着できる事は言うまでもない。
【0023】
浴室内挙動検知装置本体21は、センサ部、信号処理回路、制御部、浴室内警報発生部、浴室外通報部から構成している。
【0024】
前項「0014」に記述したタイマー2Bについて説明すると、入浴者8が浴槽6と洗い場7での意識障害に陥り危機的な状態にも関わらず、入浴者8が光電センサ投光器3の検知範囲内に居て危険な状態を確認出来ない場合もある。其の場合のセイフティーネットの役割としてタイマー2Bによる入浴時間を設定し、入浴経過時間をスピーカー5により入浴者8及び家屋内家屋内の家人に報知する。
【0025】
フローチャート図7について説明する。
1、ア〜カは、全システムの浴室内挙動検知装置本体21を経由して派生する順序を示す。
2、キ〜サは、セイフティーネットの役割の経過を示す。
3、シ〜ソは、本線(ア〜カ)の役割を補助的に経過を説明する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施形態を示す全体の立面図
【図2】 図1の浴槽内の平面図
【図3】 浴室内の天井部にセンサを取付た検出視野図
【図4】 浴室内の側面部にセンサを取付た検出視野図
【図5】 止栓挿着装置図
【図6】 止栓脱離装置図
【図7】 フローチャート図
【符号の説明】
1 浴室出入口
1A 点灯スイッチ
2 人感センサ 投光器
2B タイマー
3 光電センサ 投光器
3C 投過光
4 光電センサ 受光器
4D 反射光
5 スピーカー
6 浴槽
7 洗い場
8 入浴者
9 止栓脱着装置
10 鎖
11 排水口
12 排水弁
13 円筒状コイル
14 挿脱突起棒
15 突起棒挿脱口
16 回転ストップ板
17 回転軸
18 バネ固定軸
19 コイルバネ
20 手動レバー
21 浴室内挙動検知装置本体
22 光電センサ測定範囲

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室出入口に人感センサとタイマー及びスピーカーを配設し、浴室には光電センサと止栓脱着装置を配設し、光電センサ投光器の発射する投過光により入浴者の動き又は状態を監視し、危険信号を発信する手段を有する事を特徴とする、浴室内における事故防止自動装置。
【請求項2】
入浴者の動きを計測する手段は、光電センサの投過光を浴槽の湯面に対して水平方向や、天井部より下向きに円錐形に投光することを特徴とする、請求項1記載の浴室内における事故防止自動装置。
【請求項3】
止栓脱着装置による排水する手段は、上記記載の危険信号が送信され排水弁が自動的に開蓋し排水する事を特徴とする、請求項1に関する、浴室内おける事故防止自動装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2010−97581(P2010−97581A)
【公開日】平成22年4月30日(2010.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292787(P2008−292787)
【出願日】平成20年10月20日(2008.10.20)
【出願人】(594186083)
【Fターム(参考)】