説明

浴室暖房ユニットの取付け用具

【課題】従来から設けられていた浴室暖房乾燥機の取り付け構造を利用して、支障なく、新しい浴室暖房乾燥機を取り付けられる用具を提供すること。
【解決手段】浴室暖房ユニット50が挿入される開口部22aを囲む枠状であって、開口部22aの周辺に浴室暖房ユニットを固定するための機器固定部26と、浴室天井裏にある構造体に支持される支持部36とを有する枠状体22を備え、機器固定部26は浴室天井よりも下側に配置され、枠状体22の外周縁で囲まれる領域が浴室天井に既に開けられている天井穴を覆い隠せる大きさとされており、さらに、支持部36は機器固定部26の周辺に配置されており、枠状体22の浴室天井側の面には、天井穴70aの内面に当接するように起立した突出部が設けられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室暖房乾燥機等の浴室暖房ユニットを新しい浴室暖房ユニットに交換する際などに用いられる用具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ガス給湯機等で作られる湯を循環させ、その湯を内蔵した熱交換器内に通すことで温風を作るタイプの温水式浴室暖房乾燥機がある。
図23は、従来の浴室暖房乾燥機の取り付け構造例を示す図である(例えば、特許文献1参照)。
この図のように、浴室暖房乾燥機1は、浴室天井3と建物側天井2との間に配置して、浴室天井3に設けられた560×430mmの天井穴4から浴室側に露出させている。この点、浴室暖房乾燥機1は、熱交換器が内蔵されているので重く、しかも、熱源用の湯が熱交換器内に入るとさらに重量が増す。このため、浴室暖房乾燥機1を浴室天井3、特にユニットバスの天井に直接載せる方法では浴室天井3が抜けてしまう。そこで、建物側天井(例えば、戸建ての張り、マンション等では上の階の住宅の床面等)2からボルト等6をつり下げ、このボルト等6に浴室暖房乾燥機1をつり下げることで、浴室天井3に浴室暖房乾燥機1の重さがかからないようにしている。
【0003】
また、例えば住宅の購入後、ユニットバスに浴室暖房乾燥機を設置する場合において、浴室暖房乾燥機を設置したい場所の建物側天井が例えば石膏ボード等であって、対応する場所に根太等の張りが存在しなかったりして、建物側天井からボルトで上手く吊り下げることができないことがある。図24は、このためのねじ釘やドリルビスを用いた浴室暖房乾燥機の取り付け構造例を示す図である。
【0004】
図24に示すように、ユニットバス10の点検口12から複数の角材14A〜14Dを入れて、これら複数の角材14A〜14Dをユニットバス天井18でユニットバス10の幅以上の長さになるように接続すると共に、ユニットバス10の壁(例えばユニットバス天井部材とユニットバス壁部材を接合するリブ)16の上に載せるようにしている。そして、この角材に浴室暖房乾燥機を取り付けることで、ユニットバス天井18に加重がかからないようにしている。なお、このような取り付け構造は、その工事の容易性から、新築時に浴室暖房乾燥機を取り付ける際でも多用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2001−201257公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、技術の進歩により、温水式浴室暖房乾燥機などの浴室暖房ユニットは、その集積度を上げて体積を小さくできるようになり、浴室天井に設ける天井穴のサイズが410×285mmでも設置できる小型の温水式浴室暖房乾燥機が市場に販売されるようになった。
そして、建物やユニットバスの寿命に対して寿命の短い浴室暖房乾燥機は、買換・交換が必要になるため、需要者は小型の浴室暖房ユニットを購入する場合がある。ところが、新しい小型の浴室暖房ユニットを取付けようとすると、従来から設けられていた天井穴では孔が大き過ぎ、また、建物側天井の根太やユニットバス天井裏の角材等の構造体も上手く利用できない恐れがあり、これらが無駄になってしまう。
【0007】
また、最近は、ミスト機能付きの浴室暖房ユニットも販売されているが、このミスト機能付きの機器の高さ寸法は、従来の温水式浴室暖房乾燥機に比べて大きいため、このミスト機能付きの浴室暖房ユニットについても、既に設けられている天井穴などの取付け構造では設置できないという問題も生じる。
【0008】
本発明はこのような問題を解決するためのもので、従来から設けられていた浴室暖房ユニットの取り付け構造を利用して、支障なく、新しい浴室暖房ユニットを取り付けられる用具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的は、請求項1の発明によれば、浴室暖房ユニットが挿入される開口部を囲む枠状であって、前記開口部の周辺に前記浴室暖房ユニットを固定するための機器固定部と、浴室天井の裏側空間にある構造体に支持される支持部とを有する枠状体を備え、前記機器固定部は、前記浴室天井よりも下側に配置され、前記枠状体の外周縁で囲まれる領域が、前記浴室天井に既に開けられている天井穴を覆い隠せる大きさとされており、さらに、前記支持部は、前記機器固定部の周辺に配置されており、前記枠状体の前記浴室天井側の面には、前記天井穴の内面に当接するように起立した突出部が設けられている浴室暖房ユニットの取付け用具により達成される。
【0010】
請求項1の構成によれば、浴室暖房ユニットの取付け用具の枠状体は、浴室天井の裏側空間にある構造体に支持される支持部を有するため、例えば、建物の梁から吊り下げられたボルトとこの支持部とを接続して、当該枠状体を吊り下げることができる。また、枠状体は、浴室暖房ユニットが挿入される開口部を有し、この開口部周辺には浴室暖房ユニットを固定するための機器固定部を有しているため、開口部に浴室暖房ユニットを挿入して固定できる。このようにして、従来の取付け構造を利用して、浴室暖房ユニットを取付けることができる。
ここで、例えば高さのあるミスト機能付き浴室暖房ユニットが浴室天井裏に入りきらず、浴室天井から下側にはみ出してしまった場合であっても、枠状体の機器固定部は、浴室天井よりも下側に配置されているため、浴室天井よりも下側にある当該ユニットの取り付け部を機器固定部に接続することもできる。
そして、このような枠状体は、その外周縁で囲まれる領域が、浴室天井に既に開けられている天井穴を覆い隠せる大きさとされている。したがって、小型の浴室暖房ユニットを取り付けた際、そのユニットで隠しきれなかった天井穴の一部があっても、枠状体がその目隠しになる。
【0011】
さらにここで、単に、例えば建物側の梁に既に吊り下げられている従来のボルトと支持部とを接続すると、新しい浴室暖房ユニットは小型であるため、支持部と機器固定部とが離間し、枠状体が変形することなく浴室暖房ユニットの重みを支持するには、枠状体の強度を大きくする必要があり、重くなってしまう。しかし、本発明の支持部は機器固定部に隣接して配置(周辺)されているため、そのような強度を大きくする必要なしに枠状体の変形を有効に防止することができる。
ところで、このように支持部を機器固定部の周辺に配置するということは、逆に支持部と接続される例えばボルトと天井穴の内面とが離間することになる。しかも、枠状体は浴室天井よりも下側に配置されている。そうすると、浴室内に衣服を干すための物干し竿が当たったり、或いは地震が起きたりすると、シャンデリアのように枠状体は大きく揺れてしまう(初期微動のP波ではなく主要動のS波によって揺れてしまう)ことが判明した。そして、この揺れにより、例えば入浴中に天井穴の中の暗闇が覗けるようになったりして、使用者に恐怖心を抱かせ、また、浴室天井と枠状体とが衝突したり擦れたりして音が発生し、さらに恐怖心を煽ると同時に機器の破損の原因にもつながる。ところが、本発明の場合、枠状体の浴室天井側の面には、天井穴の内面に当接するように起立した突出部が設けられている。したがって、枠状体が揺れようとしても、この突出部が天井穴の内面に当接して、その揺れを防止する。しかも、この突出部は、枠状体を取り付ける際に位置決めになって、例えば取りつけナットを締めた場合に枠状体が回動して位置がずれやすいといった問題が起き難く、役に立つ。特に、狭い浴室内の一人での取付け作業に際しての利便性は大きい。
【0012】
請求項2の発明は、請求項1の構成において、前記枠状体の浴室床側の面には、前記枠状体を化粧するための枠状の化粧カバー部が配置されるようになっており、前記化粧カバー部の主面は、取付けられた際、前記浴室床側に凸となるように湾曲していることを特徴とする。したがって、化粧カバー部が浴室天井から緩やかに突出したような形態となり、機器固定部を浴室天井よりも下側に配置することで生じる出っ張り感ないし違和感を和らげることが出来る。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項2の構成において、前記化粧カバー部は、取付けられた状態において、前記枠状体の水平方向の四方を囲む壁部を有しており、この四方を囲む壁部のうち長手方向に沿った壁部は、前記浴室天井に当接しないように切り欠き部を有することを特徴とする。このため、四方を囲む壁部で、枠状体の視認を遮って、化粧することができる。
ところで、長年、浴室暖房ユニットを設置していた場合、浴室天井を若干持ち上げるような形態で取付けられて浴室天井に歪みが生じている可能性があり、ユニットバスの天井の場合はなお更である。一方、化粧カバー部は新しく、そのような歪みがない。そうすると、化粧カバー部の壁部の端面近くにある浴室天井の歪みが、その対比によって目立ってしまう。ところが、本発明は、長手方向に沿った壁部が、浴室天井に当接しないように切り欠き部を有している。したがって、壁部端面を浴室天井から遠ざけて、浴室天井の歪みが分かり難くすることができる。特に、長手方向に沿った壁部は長いことから当該歪みを目立たせ易く、このため、長手方向の壁部に切り欠き部を設けることの意義は大きい。
【0014】
請求項4の発明は、請求項2または3の構成において、前記化粧カバー部は、その枠状を形成する開口側周縁に、浴室天井側に向かって延びる折り返し部が設けられており、この折り返し部のうち、前記主面を湾曲にすることで形成された最も床側に凸とされた部分に貫通孔を設けたことを特徴とする。このため、壁部の切り欠き部から侵入した湯気等で生じる液体は、最も床側に凸とされた部分に集まり、貫通孔から水抜きされる。さらに天井等にシャワーをかけて洗浄した場合の進入水も水抜きできる。また、このように折り返し部に貫通孔を作ることで、貫通孔を下から見え難くできる。
【0015】
請求項5の発明は、請求項3の構成において、前記枠状体及び前記化粧カバー部を取付けた状態において、前記枠状体は、前記切り欠き部に対応した位置の端部が、浴室床側に折り曲げられていることを特徴とする。したがって、切り欠き部を設けたとしても、そこから、取付け用具の中が見えることがない。
【0016】
請求項6の発明は、請求項1ないし5のいずれかの構成において、前記枠状体は、ビスや釘等の固定具により前記浴室天井と密着するようにした平坦面を有していることを特徴とする。したがって、平坦面と浴室天井が密着することで、歪んだ浴室天井を平坦に矯正することができる。
【0017】
請求項7の発明は、請求項6の構成において、前記枠状体の前記平坦面には、前記固着具としてのビス等のネジ類を打ち込むための穴が形成されていることを特徴とする。したがって、例えば作業員が一人であっても、ネジ類を容易に打ち込んで、歪んだ浴室天井を平坦に矯正することができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、従来から設けられていた浴室暖房ユニットの取り付け構造を利用して、支障なく、新しい浴室暖房ユニットを取り付けられる用具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施形態に係る取付け用具を用いて浴室暖房ユニットを設置した使用状態図。
【図2】図1の取付け用具と浴室暖房ユニット等に関する概略分解斜視図。
【図3】図1の取付け用具の枠状体であり、図3(a)は枠状体を浴室側から見た概略斜視図、図3(b)は枠状体を天井裏側から見た概略斜視図。
【図4】図3のA−A断面図。
【図5】設置した浴室暖房ユニット等の地震等の状況下における仮想図。
【図6】支持部周辺の概略縦端面図。
【図7】浴室暖房ユニットの取り付け構造を説明するための模式図。
【図8】図1の取付け用具の化粧カバー部であり、図8(a)は化粧カバー部を浴室側から見た斜視図、図8(b)は化粧カバー部を天井裏側から見た斜視図。
【図9】枠状体と化粧カバー部とを接続した浴室暖房ユニットの取付け用具を浴室側から見た概略正面図。
【図10】図1の取付け用具を用いて設置した浴室暖房ユニットを浴室側から見た概略斜視図。
【図11】図3(b)の枠状体の各変形例。
【図12】本発明の実施形態に係る取付け用具を用いて浴室暖房ユニットをユニットバス天井裏の構造体に設置した使用状態図。
【図13】図12の使用状態における地震等の状況下の仮想図。
【図14】浴室暖房ユニットの取付け用具の変形例に係る正面図。
【図15】図14の取付け用具の背面図。
【図16】図14の取付け用具の平面図。
【図17】図14の取付け用具の底面図。
【図18】図14の取付け用具の右側面図。
【図19】図14の取付け用具の左側面図。
【図20】図14のB−B断面図。
【図21】図20のC−C部分の拡大図。
【図22】図14の取付け用具の枠状体の斜視図。
【図23】従来の浴室暖房乾燥機の取り付け構造例を示す図。
【図24】従来の浴室暖房乾燥機の他の取り付け構造例を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下に、本発明の好ましい実施形態を、図面を参照して詳しく説明する。なお、以下に説明する各図面において同一の符号が付されている箇所は共通する構成である。
〔浴室暖房ユニット及び取付け用具の全体構成と設置方法等〕
先ず、本発明の浴室暖房ユニットの取付け用具の理解が容易になるように、本取付け用具を使用した浴室暖房ユニットの設置方法と、当該設置し終えた状態の全体の概略構成を、図1及び図2をもって説明する。
図1及び図2は、買い替え乃至交換前の浴室暖房ユニット(以下、「旧式暖房ユニット」という)が設置されていた天井穴70a等を利用して、新しい浴室暖房ユニット50を設置する図であり、図1は、本発明の実施形態に係る浴室暖房ユニットの取付け用具(以下、「取付け用具」という)20を用いて、浴室暖房ユニット50を設置した使用状態図、図2は、図1の取付け用具20と浴室暖房ユニット50等に関する概略分解斜視図である。
【0021】
先ず、本取付け用具20を使用して浴室暖房ユニット50を設置した状態の概略を説明する。
図1に示すように、買い替え乃至交換された小型の浴室暖房ユニット50は、浴室側から浴室の天井穴70aへ挿入され、その温風の吹出し口58b等が浴室72に露出するようにして、浴室天井70と建物側天井60との間の空間Sに配置されている。なお、浴室暖房ユニット50を天井裏に挿入するための天井穴70aの開口面積は、旧式暖房ユニットの寸法に合わせて、例えば560×430mmである。
浴室暖房ユニット50は、浴室暖房機、浴室暖房乾燥機、及びミスト機能付きの浴室暖房乾燥機を含む機器であり、温水式や電気式を問わない。本実施形態の浴室暖房ユニット50は、その例示として、浴室に温風とミストを吐出すると共に換気を行う機能を有するミスト機能付き浴室暖房乾燥機が図示してある。
この浴室暖房ユニット50は、旧式暖房ユニットに比べて、水平方向の寸法が小さく、天井穴の開口面積が仮に410×285mmであっても設置できる大きさである。一方、高さ方向の寸法については旧式暖房ユニットに比べて大きく、図1の場合、浴室天井70と建物側天井60との距離H1よりも大きいため、浴室天井70よりも下側(浴室床側)に飛び出ている。
【0022】
そして、浴室暖房ユニット50は、図2に示すように、機器本体51と、この機器本体51のフランジ部51aに接続され、浴室側から視認されるフロントパネル58とを有している。
機器本体51は、図1に示すように、ガス給湯器等の熱源機(図示せず)から温水配管52を通じて供給された温水を、胴部に内蔵した熱交換器54で熱交換して温風にし、これをフロントパネル58の吹出し口58bから浴室内72に送風するようになっている(暖房機能)。また、機器本体51は、ファン59でフロントパネル58の吸気口58aから湿気を含んだ空気を吸い込む換気機能を有しており、この換気機能を有効に発揮させるため、浴槽74の真上に設置されている。また、機器本体51は、温水配管52とは別の配管である給水管56から送られてくる水を温水にして、これをフロントパネル58のノズル噴出し口58cから噴霧するミスト機能を有している。前記暖房機能と換気機能を同時に行う乾燥機能もまた有している。
【0023】
このような浴室暖房ユニット50は、浴室天井70の裏側空間Sにある構造体に直接取り付けられるのではなく、取付け用具20を介して取り付けられている。
取付け用具20は、浴室暖房ユニット50を設置するためもので、アダプターと言うこともでき、図1及び図2に示すように、全体的には厚い板状であって枠状の外観を呈し、枠状体22と化粧カバー部24を有している。
枠状体22は、取付け用具20の技術的機能を主に担うもので、アダプター本体と言うこともでき、化粧カバー部24がなくても、これのみをもって後述する様々な機能を充足できる。この枠状体22は、浴室天井70の裏側空間Sにある構造体と接続され、吊った状態に支えられており、本実施形態の場合、建物側天井60の梁や根太、或いはマンションの場合は上の階の住宅の床面等から垂直に下げられた長いボルト62に接続して吊られている。
【0024】
そして、このように吊られた枠状体22に浴室暖房ユニット50を接続することで、浴室暖房ユニット50は支持されている。
具体的には、図2に示すように、枠状体22は、中央領域に形成された開口部22aを囲む枠状とされ、この開口部22aの中心に向かって張り出す機器固定部26と機器本体51のフランジ部51aとがネジやビス等で接続されている。
なお、枠状体22は、金属製の板材を適宜折り曲げ加工、ないし複数の金属製の板材を接合して形成されており、本実施形態の場合は、錆を考慮してステンレス鋼(例えばSUS430)が採用されている。
【0025】
化粧カバー部24は、枠状体22を化粧するためカバーであり、本実施形態の場合、ABS樹脂等の樹脂で形成されている。この化粧カバー部24は、枠状体22の側面に設けられた化粧カバー取付け部28に対して、ネジやビス等で接続されている。そして、化粧カバー部24も、枠状体22の開口部22aと同様の形状を有する開口部80を中央領域に有しており、この開口部80の内側に、浴室暖房ユニット50のフロントパネル58が隙間を略開けないように配置される。
【0026】
次に、浴室暖房ユニット50の設置方法の概略を説明する。
浴室暖房ユニット50を設置する前に、枠状体22を先ず設置する。
具体的には、図2に示すように、既に建物側天井60に設置してある古いボルト66に、ボルト取付け用補助金具64を介して、新しいボルト62を連結する。補助金具64は、ボルトの位置を枠状体22の支持部36の位置に合わせて内側にするための金具である(この点については後で詳細に説明する)。この補助金具64は、新しいボルト62を留めるための長円状の孔64bが建物側天井60と平行になるようにして、古いボルト66の位置から延伸し、縦断面が建物側天井60側に向かって開放した略コの字又は略Uの字状となっている。そして、この補助金具64の孔64bに新しいボルト62を挿通して接続する。なお、上述したように、浴室暖房ユニット50は浴室天井70よりも下側(浴室床側)に飛び出るため、新しいボルト62はそれに合わせて長さを決める。
【0027】
次いで、この垂下した長いボルト62を枠状体22の支持部36の孔に挿通して、ゴムパッキンを挟み込んでナット等で固定する。この際、枠状体22は、浴室天井70に対して平行になると共に、既に開けられている天井穴70aの位置と開口部22aの位置とが合うようにして取り付ける。また、枠状体22は浴室天井70より下側(浴室床側)に配置する。
次いで、枠状体22の開口部22aの下側(浴室床側)から浴室暖房ユニット50の機器本体51を挿入し、枠状体22の開口部22aに張り出す機器固定部26と機器本体51のフランジ部51aとをネジやビス等で接続することで、機器本体51と枠状体22とを接続する。
次いで、機器本体51のフランジ部51aにフロントパネル58を接続し、その後、枠状体22の側面に設けられた化粧カバー取付け部28にネジ留めなどして、枠状体22に化粧カバー部24を接続する。
【0028】
〔枠状体22について〕
浴室暖房ユニット50及び取付け用具20の全体構成や設置方法等の概略は以上の通りであり、次に、枠状体22について、上述した図1及び図2に加え、図3及び図4を用いてさらに詳細に説明する。
図3は図1の取付け用具20の枠状体22であり、図3(a)は枠状体22を浴室側から見た概略斜視図、図3(b)は枠状体22を天井裏側から見た概略斜視図である。また、図4は図3(b)のA−A概略断面図である。
枠状体22は、天井穴に比べて小さな開口面積からなる開口部22aが、浴室側及び天井裏側から視認して天井穴と重なるように設置されている。また、開口部22aは、浴室暖房ユニットの水平方向の外形、及び取り付け手段に対応した形状とされ、本実施形態の場合は、図4のように、二点鎖線で示される機器本体51の胴部51b(図2も参照)の水平方向の外形に対応した長方形状とされている。
【0029】
そして、図3(b)に示すように、枠状体22の浴室天井側の面であって、長方形状の開口部22aの周縁部四隅には、開口部22aに向かって張り出す機器固定部26が設けられている。この機器固定部26は、機器本体のフランジ部51aの取付け孔51c(図2、図4参照)と対応した位置に貫通孔26aを有している。このように、貫通孔26aは開口部22aを通じて下側から視認可能とされ、機器本体のフランジ部の取り付け孔とビス留め等される(図2の浴室暖房ユニット50は、胴部51bのコーナーが、第1の機器固定部26の開口部22aに出っ張った分えぐれており、図4の電気式の浴室暖房乾燥機EBよりも、その分、水平方向の面積が小さい)。なお、本実施形態の浴室暖房ユニットの場合、図4に示すように、フランジ部51aは、後述する第2の機器固定部30のフランジ状の先端部に、パッキング材(図示せず)を間に挟んで、当接するようになっている。
また、本実施形態の浴室暖房ユニットはミスト機能付きの機器であって、浴室天井より下側(浴室床側)に突出するため、その突出した長さに合わせて、図4に示すように、機器固定部26も浴室天井70より下側(浴室床側)に配置されている。
【0030】
そして、本実施形態の枠状体22は、開口部22aの周縁部に設けられた機器固定部26は第1の機器固定部26であり、さらに、枠状体22を取付けた状態において、図3(a)に示すように、開口部22aの周縁部から下側(図1の場合の浴槽側)に突出してフランジ状の先端部を有する第2の機器固定部30を有している。
この第2の機器固定部30は、浴室暖房ユニットが開口部22aに挿入できない大きさである場合において、当該浴室暖房ユニットを接続するために用いられる。すなわち、設置する新しい浴室暖房ユニットが、例えば、図2の浴室暖房ユニット50よりも水平方向の面積が大きい電気式の浴室暖房乾燥機EB(図4参照)であった場合、これを第2の機器固定部30の水平な先端部34aにビス等で固定できるようにしている。なお、図3の第2の機器固定部30は、開口部22aの周縁部全体が下側に垂直に突出(図3の場合、30mm突出)して筒状とされた後、先端部34aが水平かつ外側に曲げられてフランジ状を形成している。
【0031】
ところで、上述のように、第1の機器固定部26は開口部22aに張り出しているため、第1の機器固定部26が邪魔になって、水平方向の面積が大きい電気式の浴室暖房乾燥器EB(図4参照)は開口部22aから天井裏側Sに挿入できない。そこで、本実施形態の枠状体22は、第1の機器固定部26を取外し可能としている。
具体的には、図4に示すように、第1の機器固定部26及び第2の機器固定部30を、枠状体22の開口部22aの周縁部22bに一緒に接続している。すなわち、主面22fの板厚が1mmである枠状体22の開口周縁部22bに、板厚0.6mmの断面L字状の金属板32を、板厚1mmの第1の機器固定部26と共にネジやビス等25で着脱可能に接続し、この金属板32の下側に垂直に突出した突出部又は筒状部32aに、板厚1mmの断面L字状の金属板34が接合されている(つまり、金属板32,34で第2の機器固定部30が構成されている)。
【0032】
なお、第1の機器固定部26を取り外すと、開口部22aの周縁部22b(特に四隅)の厚みD1は、2.6mmから1.6mmに減少してしまうが、電気式の浴室暖房乾燥器EBは温水式に比べて熱交換器がなく、代わりにより軽いヒーターが入っているので総重量が軽いため、強度的にも問題はない。
かくして、本実施形態の枠状体22によれば、高さ方向の寸法や水平方向の面積が異なる様々な浴室暖房ユニットを取り付けることができる。
【0033】
そして、枠状体22は、図3に示すように、浴室天井の裏側空間にある構造体に支持される支持部36を有している。本実施形態の枠状体22は、図1に示すように、建物側天井の梁等60から垂下するボルト62を介して支持されるため、図3の支持部36は当該ボルトの直径に合わせた貫通孔とされている。
この支持部36は、機器固定部26の周辺に配置されている。このように、支持部36を機器固定部26の周辺に配置したのは、枠状体22の変形を防止するためである。すなわち、古いボルト66(図2参照)を転用して支持する等すると、支持部36と機器固定部26との距離が離れ、支持部36と機器固定部26との距離が離れるほど、図3(a)の二点鎖線で示すように、軽くするために全体が板状に形成された枠状体22は浴室暖房ユニットの重みで撓んでしまう恐れがある。このため、本実施形態の場合、第1及び第2の機器固定部26,30が接続されている開口部22aの周縁付近に、支持部36が形成されている。なお、支持部36は、長方形状の開口部22aの周縁四隅付近、つまり、複数の第1の機器固定部26,26,26,26の夫々の近くに形成されている。
【0034】
そして、図3(b)及び図4に示すように、枠状体22の浴室天井70側の面には、天井穴70aの内面に当接するように起立した突出部40が設けられている。この突出部40の主な機能は、枠状体22の水平方向の揺れ防止である。すなわち、上述のように支持部36を第1の機器固定部26(つまり開口部周縁)に近づけたため、浴室暖房ユニット等の地震等の状況下における仮想図である図5に示すように、支持部に接続されるボルト62と天井穴70aの内面とが逆に離間することになる。しかも、枠状体22は浴室天井70よりも下側に配置されている。そうすると、浴室内に衣服を干すための物干し竿が当たったり、或いは地震が起きたりすると、シャンデリアのように枠状体22は大きく揺れてしまう(初期微動のP波ではなく主要動のS波によって揺れてしまう)。そこで、図4に示すように、突出部40を天井穴70aの内面に当接するように起立させることで、枠状体22の揺れを防止している。また、この突出部40は、枠状体22を取り付ける際の位置決めにでき、例えば図2に示すように、取りつけナットNBを締めた場合に枠状体22が回動して位置がずれ易いといった問題も解決してくれる。
【0035】
具体的には、図3(b)に示すように、開口部22aを間に挟むようにして、矩形状の枠状体22の対角線上に2つの突出部40−1,40−2が設けられており、この2つの突出部40−1,40−2が矩形状の天井穴の4辺の内面すべてに当接するようになっている。すなわち、突出部40−1,40−2の夫々には、枠状体22の主面22fに対して直角に起立する2つの爪部42a,42bが設けられ、この2つの爪部42a,42bは互いに直角であり、矩形状の天井穴の隣接する2つの内面70a−1,70a−2(図2参照)に当接している。
【0036】
そして、図3(b)及び図4に示すように、枠状体22は、ビスや接着剤等の固着具により、浴室天井と密着するようにした平坦面48(図4参照)を有している。この平坦面48は、突出部40よりも外側の外周縁全周であって、長方形状の4辺に沿って設けられている。これにより、図23に示すように、古いボルト6で浴室暖房乾燥機のフランジ部分が、長年、浴室天井3を支持していたために生じる浴室天井3の歪を、平坦に矯正することができる。また、図3(b)に示すように、本実施形態の枠状体22の平坦面48には、固着具としてのビス等のネジ類を打ち込むための穴49が予め形成されており、これにより、例えば作業員が一人であっても、ネジ類を容易に打ち込んで、歪んだ浴室天井を平坦に矯正することができる。なお、図4に示すように、施工をする際は、上記平坦面48の上にゴム等のパッキング材57を配置して、浴室天井裏の空間Sに湯や水が侵入しないようにしている。この点、パッキング材57を平坦部48の上に配置したとしても、パッキング材57は図示するよりも実際は薄くて柔軟性があるため、平坦面48を浴室天井70に押しつけて、浴室天井70を平坦に矯正できる。
【0037】
そして、図1に示すように、枠状体22は、その外周縁で囲まれる領域が天井穴70aを覆い隠せる大きさとされ、浴室暖房ユニット50のフロントパネル58と協働して、浴槽74側から天井穴70aが覗かれることを防いでいる。
【0038】
ところで、本実施形態の枠状体は以上のように構成されているため、図3(b)及び図4に示すように、枠状体22は、第2の機器固定部30を開口周縁部22bに接続することで、浴室天井側のアダプター本体(主面)22fに段差部33が形成されている。段差部33は、浴室暖房ユニットの脱落を防止するための段部となる。
この点、この段差部33の機能を説明する前に、枠状体及び浴室暖房ユニットの取付け構造を、図6及び図7を用いてさらに詳細に説明する。
図6は支持部周辺の概略縦端面図であり、図7は浴室暖房ユニットの取り付け構造を説明するための模式図である。なお、図7の右側半分は段差部33を設けた状態を、左側半分は当該段差部を設けていない状態を示している。
【0039】
図6に示すように、枠状体22は、支持部の貫通孔にボルト62を挿通し、支持部の上面と下面にクッション材46,47を介在させ、ボルト62にナット45を締め付けて、吊り下げるようになっている。そして、浴室暖房ユニットを枠状体22の第1又は第2の機器固定部に接続すると、図6の一点鎖線で囲った図に示すように、浴室暖房ユニットの重みで下側のクッション材46が圧縮し、浴室天井70とパッキング材57との間に隙間OPが生じる恐れがある。そのため、この隙間OPの有無を確認する作業が必要であり、作業員は点検口から天井裏に入って、天井裏側(暗闇側)に浴室側の光りが漏れてくることの確認をする場合がある。
【0040】
一方、図7に示すように、浴室暖房ユニット50の機器本体51は、上述のように浴室側から天井穴(枠状体の開口部を含む)に挿入されるが、仮固定をするため、板状弾性体77(通常2枚)が付いている場合が多い。この仮固定用板状弾性体77は、機器本体51の側面に設けられ、下方に向かうに従って外側に開くように形成されており、天井穴に挿入するときは窄み、天井穴を通過すると元に戻って、先端部が枠状体のアダプター本体(主面)22fに当接するようになっている。
【0041】
以上のような浴室暖房ユニット及び取付け用具の取り付け構造であるため、作業員が図6の浴室天井70とパッキング材57との間の隙間OPの有無を確認するため、例えば点検口から身を乗り出し、不用意に仮固定用板状弾性体77に触れると、仮固定用板状弾性体77が図7の矢印方向に動いて、開口部22aから脱落する恐れがある。そうすると、図7の破線で示すように、浴室暖房ユニットの機器本体51が開口部22aから脱落する非常に危険な状態となる。
【0042】
ところが、本実施形態の枠状体は、図3(b)、図4、及び図7の右側半分に示すように、アダプター本体(主面)22fの仮固定用板状弾性体77が当接する箇所よりも内側(開口部22a側)に段差部33を有する。より具体的に説明すれば、図4に示すように、開口部22aよりも浴室床側に配置されたフランジ状の第2の機器固定部30を作るための断面L字型の金属板32は、アダプター本体(主面)22fの浴室側ではなく、開口部22aを超えた裏側である浴室天井側に接続されている。さらに、本実施形態の場合、第2の機器固定部30の金属板32の終端(段差部33)は、開口部周縁22bの約全周にわたり形成され、第1の機器固定部26が第2の機器固定部30の金属板32に重ねて接続されているため、第1の機器固定部26の取り付け状態に係わらず段差部33の形成は維持される。したがって、図7の左側半分に示すように、仮固定用板状弾性体77が矢印方向に動いたとしても、図7の右側半分に示すように、浴室天井側のアダプター本体(主面)22fに形成された段差部33と仮固定用板状弾性体77とが係止して、仮固定用板状弾性体77の脱落を防止することができる。
【0043】
〔化粧カバー部24について〕
次に、化粧カバー部24について、上述した図1〜図4に加え、図8〜図10を用いて詳細に説明する。
図8は、本実施形態に係る取付け用具の化粧カバー部であり、図8(a)はこれを浴室側から見た概略斜視図、図8(b)は天井裏側から見た概略斜視図である。また、図9は、枠状体と化粧カバー部とを接続した取付け用具を浴室側から見た概略正面図、図10は本実施形態に係る取付け用具を用いて設置した浴室暖房ユニットを浴室側から見た概略斜視図である。なお、図10の一点鎖線で囲った図は、図10の実線の円で囲った部分の概略拡大縦断面図(厚み方向に切断して、図10の奥側を視た図)である。
【0044】
化粧カバー部24は、枠状体の浴室側を化粧するためのカバーであって、取付けられた状態において、枠状体の下側(浴槽側)の主面22c(図3参照)を覆う主面24eを有すると共に、枠状体の水平方向(図3のXY方向)の四方を囲む壁部24a,24b,24c,24dを有し、これにより枠状体を化粧している。
本実施形態の化粧カバー部24は、全体的に水平方向から見て、キノコの天地を逆さにしたような傘状体を有しており、具体的には、図8(a)に示すように、浴室天井から下方に延びる壁部24a等(キノコの茎部分)と、この壁部24a等の端部から水平方向に延びて鍔状とされた主面24e(キノコの傘部分)とを有する。
また、化粧カバー部24は中央領域に開口部80を有し、枠状体と接続した状態において、開口部80からは下側(浴槽側)から見て、図9のように枠状体22の第1及び第2の機器固定部26,30が露出している。なお、この開口部80には、図10に示すように、浴室暖房ユニットのフロントパネル58が挿入され、浴室暖房ユニット50を設置し終えた状態では、図9に示す枠状体22の第1及び第2の機器固定部26,30も視認不可となる。
【0045】
このような、枠状の化粧カバー部24は、図2及び図8に示すように、枠状体22に対して、壁部24a,24b,24c,24dの側面方向から複数本(図8の場合は4本)のビス(化粧ネジ)等で固定される。すなわち、図8に示す対向する壁部24a,24cの夫々の孔82が形成されたビス固定位置と、図2に示す枠状体22の下側に舌片状に突出する化粧カバー取付け部28とが固定用ビス87で接続される。このビス固定位置は下から見て鍔状の主面(キノコの傘部分)24eに隠れるため、その結果、例えば浴室内で使用される物干しバーの取付、取り外し時に、物干しバーが固定用ビス87に当たらない構造とされる。したがって、固定用ビス87が不用意にゆるむことがなく、化粧カバー部24の落下が防止される。
【0046】
さらに、この化粧カバー部24の取り付け構造について説明すれば、図2・図8・図10に示すように、化粧カバー部24は、設置された際、浴室暖房ユニットの機器本体51とフロントパネル58の間に挟まれる縁状部31を有している。すなわち、浴室暖房ユニットの機器本体51とフロントパネル58とはスプリングやビス等で連結、固定されるが、前記連結、固定を解除してフロントパネル58を外し、かつ、固定用ビス87を外して、初めて化粧カバー部24が取り外せるようにした。したがって、万が一、固定用ビス87がすべて脱落しても、化粧カバー部24が落下することはない。
【0047】
ここで、図8に示すように、枠状体の水平方向の四方を囲む壁部24a,24b,24c,24dのうち、長手方向(図8のY方向)に沿った壁部24b,24dは、角部を残すようにして、浴室天井に当接しないように切り欠き部86を有している。切り欠き部86は、浴室天井の歪みを目立たなくするためのものである。
すなわち、上述のように、浴室天井に歪みが生じている場合、枠状体22の平坦面(外周縁部)48(図4参照)をビス等で浴室天井に連結させて、その歪みを矯正するが、それでも歪みが残る場合がある。この場合、壁部24a,24b,24c,24dを浴室天井に接触させると、壁部24a等の平坦な端面との対比において、浴室天井の歪みが目立ってしまう。特に、長手方向に沿った壁部24b,24d付近の浴室天井については、その長さから当該歪みが目立ち易い。そこで、長手方向(図8のY方向)に沿った壁部24b,24dの端面を浴室天井から遠ざけて、浴室天井の歪みを分かり難くしている。
なお、このように切り欠き部86を形成することで、長手方向に沿った領域については、浴室側から化粧カバー部24の内側が視認可能とされるが、本実施形態の枠状体は、図3及び図10に示すように、切り欠き部86に対応した位置の端部22eが、浴室床側に折り曲げられている。したがって、切り欠き部86を設けたとしても、そこから中が見えることもない。
【0048】
また、浴室天井に歪みが生じていると、化粧カバー部24の浴室暖房ユニットのフロントパネルが入る開口部80に前記歪みの影響が出る場合がある。そこで、図8(a)及び図10の一点鎖線で囲った図に示すように、化粧カバー部24の開口部80の内面と浴室暖房ユニットのフロントパネル58とは、線・面で接触しないように、すなわち、たとえ化粧カバー部24がゆがんでもフロントパネル58を押し込むことができるように、開口部80の内面に点接触用突起体37を設け、点接触とした。本実施形態の点接触用突起体37は、水平方向が矩形状の開口部80の内面(具体的には後述する折り返し部84の開口部80側の面)の各四辺に、互いに略等間隔となるように複数設けられており、浴室内の使用者から見て(遠目で見て)、開口部80の内面とフロントパネル58とがほとんど密着して視認されるような出幅となっている。
【0049】
そして、図8及び図10に示すように、化粧カバー部24の主面24eは、取付けられた際、下側(浴室床側)に凸となるように湾曲しており、これにより、化粧カバー部24が浴室天井から緩やかに突出したような形態となり、浴室天井よりも下側に配置することで生じる出っ張り感ないし違和感を和らげている。なお、本実施形態の化粧カバー部24の主面24eは、短手方向(図8のX方向)のみが湾曲している。
また、化粧カバー部24には、軽量化と強度を図ると共に、フロントパネル58と開口部80との間の隙間から奥が覗けないようにするため、その枠状を形成する開口部80の周縁全体が、浴室天井側に向かって垂直に延伸した折り返し部84が設けられている。
【0050】
そして、図8(b)に示すように、折り返し部84と壁部24a,24b,24c,24dとで囲まれた浴室天井側の主面24fは、主面24eを湾曲にしたことに伴って、浴室天井側から見て窪んでいる。この際、この窪んだ領域、特に最も下側に凸となる部分には水が溜り易い。すなわち、侵入した湯気が金属製の枠状体に接触して結露し、この結露水が湾曲する化粧カバー部内側の最下端に溜り易くなる。また、浴室天井にシャワーをかけて洗浄した場合も、その水が同じ場所に溜り易くなる。そこで、化粧カバー部24は、浴室天井側から見て最も窪んだ部分、本実施形態の場合、短辺方向(図8のX方向)に沿った折り返し部84,84の中央部に、水抜き用の貫通孔29が設けられている。
【0051】
この貫通孔29からの水滴排出を円滑に行わせるため、図10の一点鎖線で囲った図に示すように、貫通孔29と浴室暖房ユニットのフロントパネル58との間に隙間が形成されるように、上述した点接触用突起体37が配置されている。本実施形態の場合、複数の点接触用突起体37,37が、図8(a)に示すように、水抜き用貫通孔29を間に挟むようにして、折り返し部84の浴室天井側に配置されている。
【0052】
また、貫通孔29は、開口部80に浴室暖房ユニットのフロントパネルが挿入された状態で、下から視認され難いように、図8(a)に示すように、折り返し部84の浴室床側ではなく浴室天井側に形成されている。
さらに、この見られたくない部分の下からの視認防止について説明すれば、化粧カバー部24の鍔状の主面24e及び前記縁状部31も、その機能を発揮する。
すなわち、上述のように、化粧カバー部24の主面24eは鍔状であって、壁部24a等よりも水平方向の外側に延びた傘状であるため、固定用ビス保護以外にも、壁部24a等との対比において目立ち易い浴室天井面の歪みが入浴者から見え難くする役割も有する。
また、上述のように、点接触用突起体37により、ゆがみ補正と、水滴排出を確実にする隙間を作ったが、この隙間があるがゆえに、光の差さない奥が隙間から暗闇として見えてしまう。そこで、浴室暖房ユニットの機器本体とフロントパネルとに挟まれる縁状部31を設けることで、点接触用突起体37で形成された隙間を終わらせている。
【0053】
なお、図8(a)に示すように、折り返し部84であって、開口部80の周縁に接した部分には、凹部ないし切り込み部(以下、「凹部」という)85が形成されており、この凹部85によって画される空間が開口部80及び浴室側空間とつながっている。この凹部85は浴室暖房ユニットのフロントパネルを着脱する際の手掛かりであって、短辺方向(図8のX方向)に沿った二つの折り返し部84,84の夫々に一箇所形成されている。すなわち、浴室暖房ユニットのフロントパネルは、図10の一点鎖線で囲った図に示すように、その側面58dが主面58eに対して垂直であって、この側面58dに指をかけてフロントパネル58を取り外すようになっている。ところが、この側面58dは折り返し部84の内面と略密着するように挿入されている。そこで、フロントパネル58の着脱が容易となるように、手掛かりとなる凹部85が設けられている。この凹部85については、上述の水抜き用の穴である貫通孔79が下から見えないように、貫通孔79を避けて、短手方向(図8のX方向)の端側に設けられている。
【0054】
本発明の実施形態に係る取付け用具20は以上のように構成されており、枠状体22は既存の構造体に支持される支持部36を有し、かつ、浴室暖房ユニットが挿入される開口部22aの付近に第1及び第2の機器固定部26,30を有している。したがって、従来の取付け構造を利用して、浴室暖房ユニットを取付けられる。また、この枠状体22は天井穴の目隠しともなる。
そして、第1の機器固定部26は浴室天井よりも下側に配置されるため、浴室天井よりも下側にはみ出す浴室暖房ユニットでも取り付けることができる。また、第1の機器固定部26に比べて外側に配置された第2の機器固定部30により、水平方向の面積が大きな浴室暖房ユニットでも取り付けることができる。かくして、取付け用具20は、様々な寸法を有する浴室暖房ユニットに対応できる取り付けアダプターとなる。
従って、この取付け用具20により、大型の旧式暖房ユニットから、小型で新式の温水式浴室暖房ユニットに変更できるのは勿論のこと、小型だけれど高さのある新式のミスト機能付き温水式浴室暖房ユニットへ変更することもできる。また、大型の旧式暖房ユニットから電気式浴室暖房ユニットへ変更することもできる(この場合、第2の機器固定部を利用可能)。この点、例えば家族4人いたときは、ランニングコストが安いものの機器の価格が高い旧式暖房ユニットを使用していたが、家族構成が変化して、2人になった時には、ランニングコストが高いものの機器の価格が安い電気式の浴室暖房乾燥機に使用を変更する場合などに意義は大きい。また、電気式浴室暖房ユニットから小型で新式の温水式浴室暖房ユニットに変更することも勿論できる。
しかも、枠状体22の支持部36は機器固定部26の周辺に配置されているため、枠状体22の変形を有効に防止し、さらに、このように支持部36を機器固定部26の周辺に配置したとしても、突出部40bにより地震等による揺れを防止できる。かくして、使用に際して支障のない取付け用具20を提供できる。
【0055】
ところで、本発明は上記実施形態に限定されず、種々の変形例を採用できる。
例えば、枠状体の突出部40は、図3(b)の枠状体の各変形例である図11に示すような形態としても、枠状体22の水平方向の揺れを防止できる。すなわち、図11(a)の突出部40−1は四角柱であり、矩形状の天井穴70aの対角線LB上にある2つの角部に合わせて、2本配置されている。このような構成でも、一つの四角柱の隣接する2側面が天井穴70aの隣接する2つの内面を規制できる。また、図11(b)の突出部40−2は斜めに配置された平板状であるが、この場合でも、天井穴70aの対角線上にある2つの角部に合わせて配置することで、一つの突出部40−2の上下方向に沿った側面が天井穴70aの隣接する2つの内面を規制できる。また、図11(c)の突出分40−3は、天井穴70aの4辺の内面それぞれに対応して設けられている。
【0056】
また、図1〜図10では、建物側天井の梁などの構造体に、ボルトを介して取付け用具(具体的には枠状体)を接続したが、図12に示すように、取付け用具20を接続する構成はこれに限られない。すなわち、図12では、ユニットバスUBの壁部又は壁部に接合されたリブRBの上に、複数の角材等を接合して構造体90を載置し(角材等は点検口から挿入)、この構造体90に対して、浴室天井穴の下まで配置されるように添え木92をネジ釘や木ネジ等で接合し、この添え木92に上述した枠状体をネジ釘や木ネジ等で接続している。この時、枠状体の添え木92と接続される面が支持部36に相当する。このような構造であると、浴室天井70に加重をかけずに済むと共に工事も容易である。一方で、地震などがあると、構造体90は図13に示すように移動して落下する恐れがあり、図13の矢印で示す隙間から内側が見えるだけでなく、最悪の事態では浴室天井70を突き破る事態も想定される。この点、上述した実施形態では、取付け用具(枠状体)20には突出部が設けられているため、水平方向の移動を規制できる。
【0057】
また、本発明の取付け用具は、浴室暖房ユニットを一度も設置したことがなく、全く新しく設置する場合にも勿論用いることができる。特に、浴室天井裏の高さがないマンション等に本取付け用具を用いることの意義は大きい。
また、本発明の機器固定部や支持部の位置や数などは、以上の形態に限られるものではなく、取り付けようとする浴室暖房ユニットに合わせて、適宜選択される。例えば、第2の機器固定部は、図4に示すように、複数枚の金属板32,34からではなく、図6に示すように、一枚の金属板を折り曲げ加工して形成してもよい。
【0058】
また、本発明の枠状体は、図14〜図22に示すように、穴49(図3参照)がなく、貫通孔26a(図3参照)にナットが溶接されていてもよい。すなわち、図14〜図19は上述した実施形態の変形例に係る取付け用具(枠状体と化粧カバー部とを組み合わせた状態であり、天井穴を目隠しするという意義に鑑みれば、浴室暖房乾燥機用の化粧パネルということもできる。)であり、図14は正面図、図15は背面図、図16は平面図、図17は底面図、図18は右側面図、図19は左側面図である。また、図20は図14のB−B断面図、図21は図20のC−C部分の拡大図、図22は図14の枠状体の斜視図である。
【符号の説明】
【0059】
20・・・取付け用具、22・・・枠状体、22a・・・開口部、24・・・化粧カバー部、26・・・(第1の)機器固定部、30・・・(第2の)機器固定部、36・・・支持部、40・・・突出部、86・・・切り欠き部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室暖房ユニットが挿入される開口部を囲む枠状であって、
前記開口部の周辺に前記浴室暖房ユニットを固定するための機器固定部と、
浴室天井の裏側空間にある構造体に支持される支持部と
を有する枠状体を備え、
前記機器固定部は、前記浴室天井よりも下側に配置され、
前記枠状体の外周縁で囲まれる領域が、前記浴室天井に既に開けられている天井穴を覆い隠せる大きさとされており、
さらに、前記支持部は、前記機器固定部の周辺に配置されており、
前記枠状体の前記浴室天井側の面には、前記天井穴の内面に当接するように起立した突出部が設けられている
ことを特徴とする浴室暖房ユニットの取付け用具。
【請求項2】
前記枠状体の浴室床側の面には、前記枠状体を化粧するための枠状の化粧カバー部が配置されるようになっており、
前記化粧カバー部の主面は、取付けられた際、前記浴室床側に凸となるように湾曲している
ことを特徴とする請求項1に記載の浴室暖房ユニットの取付け用具。
【請求項3】
前記化粧カバー部は、取付けられた状態において、前記枠状体の水平方向の四方を囲む壁部を有しており、
この四方を囲む壁部のうち長手方向に沿った壁部は、前記浴室天井に当接しないように切り欠き部を有する
ことを特徴とする請求項2に記載の浴室暖房ユニットの取付け用具。
【請求項4】
前記化粧カバー部は、その枠状を形成する開口側周縁に、浴室天井側に向かって延びる折り返し部が設けられており、この折り返し部のうち、前記主面を湾曲にすることで形成された最も床側に凸とされた部分に貫通孔を設けたことを特徴とする請求項2又は3に記載の浴室暖房ユニットの取付け用具。
【請求項5】
前記枠状体及び前記化粧カバー部を取付けた状態において、前記枠状体は、前記切り欠き部に対応した位置の端部が、浴室床側に折り曲げられていることを特徴とする請求項3に記載の浴室暖房ユニットの取付け用具。
【請求項6】
前記枠状体は、ビスや接着剤等の固着具により前記浴室天井と密着するようにした平坦面を有していることを特徴とする請求項1ないし5のいずれかに記載の浴室暖房ユニットの取付け用具。
【請求項7】
前記枠状体の前記平坦面には、前記固着具としてのビス等のネジ類を打ち込むための穴が形成されていることを特徴とする請求項6に記載の浴室暖房ユニットの取付け用具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−58755(P2011−58755A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210925(P2009−210925)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【出願人】(000220262)東京瓦斯株式会社 (1,166)
【Fターム(参考)】