説明

浴室用カウンター

【課題】 カウンター本体が深型の場合でも簡単且つ楽に設置でき、配管作業に左右されることなく設置でき、またメンテナンス時やリフォーム時等に配管を撤去することなく取り外すことができ、更には設置作業を浴室壁面の正面から楽にできるようにする。
【解決手段】 浴室壁面1に固定する支持具2と、この支持具2に支持させて浴室壁面1に取り付けるカウンター本体3とを備えてなる。支持具2を、後側を開放した枠状の本体部材2aと、浴室壁面1に固定する壁取付け用部材2bとで形成する。この壁取付け用部材2bの上下方向に延びる差込みスペースSに上方から差込む差込み片2a2を、上記の本体部材2aの上枠2a1の開放状の後端部に垂下状に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用カウンターに関し、更に詳しくは入浴時に洗面器等を載置して使用する浴室用カウンターに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来この種のカウンターとしては、例えば特許文献1に記載されているものがある。
この従来品は、支持具としてのブラケットで、カウンター本体を支持するよう形成され、ブラケットは開口部を窓状に有して略D字状に形成され、浴室壁面にネジ止めされるよう形成されている。
【0003】
従来品は、上記の通り、支持具それ自体を浴室壁面にネジ止めし、この支持具にカウンター本体を被せて設置する構造であった。
従って従来、例えばカウンター本体の前垂れが浴室壁面の側に深く長く延ばされている場合(カウンター本体が深型の場合)は、支持具にカウンター本体をネジ止めする際、下方からカウンター本体の中を覗き込んで窮屈な姿勢で作業を行う必要があった。
その結果、従来品によると、カウンター本体が深型の場合は、簡単且つ楽に設置できない、という問題点があった。
【0004】
また従来品は、上記の通り、支持具が略D字状に形成されているため、浴室壁面に給水管等が配管されていると、それを跨いで支持具を取り付けることができない、という問題点があった。
また従来品において、支持具の窓状の開口部に給水管等を通して配管する場合は、給水管等を開口部の側方からしか通すことができなかった。
従って従来品によると、例えば配管数が増加すると、作業に手間暇がかかり易く、また支持具を取り付けた後に配管作業をする場合は作業効率が悪くなるのを避けられなかった。
【0005】
また従来品は、上記の通り、支持具が略D字状に形成されているため、支持具の開口部に給水管等を通して配管した場合は、例えばメンテナンス時やリフォーム時に、給水管等をそのままにして支持具だけを取り外す、ということができなかった。
従って従来品によると、配管までも取り外す必要があったから、撤去作業に手間暇やコストがかかる、という問題点があった。
【0006】
また従来、この種の支持具は、通常、カウンター本体を支持する必要性から、浴室壁面の前方に、ある程度長く突き出されるものである。
従って従来品のように、支持具の全体を浴室壁面に取り付ける場合は、支持具を浴室壁面にネジ止めするとき、支持具の先端が邪魔になり易いものであった。それ故、従来品によると、浴室壁面に正対して楽な姿勢でネジ止めすることができ難い、という問題点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2009−100903号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、このような従来品の問題点に鑑み、提案されたものである。
従って本発明の解決しようとする技術的課題は、カウンター本体が深型の場合でも簡単且つ楽に設置でき、配管作業に左右されることなく設置でき、またメンテナンス時やリフォーム時等に配管を撤去することなく取り外すことができ、更には設置作業を浴室壁面の正面から楽にできるよう形成した浴室用カウンターを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、次のような技術的手段を採る。
即ち本発明は、図1等に示されるように、浴室壁面1に固定される支持具2と、この支持具2に支持されて浴室壁面1に取り付けられるカウンター本体3とを備えてなる浴室用カウンターであって、上記の支持具2が、後側が開放された枠状の本体部材2aと、上記の浴室壁面1に固定される壁取付け用部材2bとで形成され、この壁取付け用部材2bの上下方向に延びる差込みスペースSに上方から差込まれる差込み片2a2が、上記の本体部材2aの上枠2a1の開放状の後端部に垂下状に設けられていることを特徴とする(請求項1)。
【0010】
本発明の場合、カウンター本体3は、前垂れ31が短い浅型のものでも良く、またカウンター本体3の下方を覆う下カバー10(図5等参照)を備えて形成されているのでも良い。本発明の場合、本体部材2aは、後側が開放されて枠状に形成されているのであれば、その形状は任意であり、具体的には側面視で略コの字形や略フの字形に形成されることにより実現される。また本発明は、壁取付け用部材2bに本体部材2aを差し込んで着脱可能に形成されているのであれば、差込みスペースSや差込み片2a2の形状、個数等は自由である。
【0011】
また本発明の場合、壁取付け用部材2bは、図1B、図3等に示されるように、浴室壁面1に当接する左右一対の板片状のベース部2b1と、このベース部2b1の間の凹溝状の段差部2b2とで横断面が浅底の略皿形状に形成されているのが好ましい(請求項2)。
なぜならこれによると、差込みスペースSを、壁面1との間で作ることができ、例えば金属板を折り曲げ加工することで壁取付け用部材2bを、簡単且つ低コストで形成できるからである。なお、ここで、横断面が浅底の略皿形状とは、壁取付け用部材2bは、ベース部2b1から段差部2b2の底までの間隔が短い、底が浅い状態に形成されている、ということを意味する。
【0012】
また本発明は、図3等に示されるように、壁取付け用部材2bの段差部2b2の下部に、本体部材2aの下枠2a3(図2等参照)の開放状の後端部を接続するための接続部2b22が設けられているのが好ましい(請求項3)。
なぜならこれによると、本体部材2aのガタつきをより防止でき、確実且つ強固に浴室壁面1に取り付けることができるからである。またこの場合は、本体部材2aの下枠2a3を固定するために、あらためて浴室壁面1にネジ孔をあけたり、接続用の部品を取り付ける必要がないからである。従ってこれによると、カウンターを取り外す場合にも浴室壁面1の螺子止め部からの漏水リスクを回避でき、また固定作業の手間暇やコストを軽減できるものである。なお、ここで接続部2b22としては、例えばネジ孔や、その他例えばバネ圧等を利用した圧着部材等がある。
【0013】
而してこの場合本発明は、接続部2b22に、本体部材2aの下枠2a3の開放状の後端部が嵌め付け可能に形成されているのが好ましい(請求項4)。
なぜならこれによると、螺子締め等の煩わしい作業を伴うことなく、迅速且つ楽に本体部材2aを壁取付け用部材2bに固定できるからである。
【0014】
この場合、嵌め付け構造は任意であるが、例えば図9等に示されるように、本体部材2aの下枠2a3の開放状の後端部に、壁取付け用部材2bの段差部2b2と対向する鍔状の嵌め込み片15が設けられ、この嵌め込み片15を上方から嵌め込むための隙間16を段差部2b2の前面と形作るよう、接続部2b22が立ち上げ片状に形成され、この接続部2b22が、本体部材2aの上記後端部の直近を両側から挟む状態に左右一対形成されていると共に、嵌め込み片15が上記の隙間16に嵌め込まれると、この嵌め込み片15の抜脱を防止する嵌合手段17を備えて形成されているのが好ましい(請求項5)。
なぜならこれによると、左右一対の接続部2b22と、嵌合手段17によって、嵌め込み片15の上下、左右への移動を防止でき、下枠2a3を壁取付け用部材2bにしっかりと固定できるからである。
【0015】
またこの本発明の場合は、接続部2b22に、嵌め込み片15との嵌合状態を解除するのに使用する手指操作部19が形成されているのが好ましい(請求項6)。
なぜならこれによると、手指操作部19を利用して嵌め込み片15の嵌合状態の解除操作を容易にできるからである。ここで、手指操作部19とは、摘んだり、指先を掛けたり、或いは把持する箇所を意味し、具体的には摘みや指掛かり可能な板片や孔、或いは把手等に形成されることで実現される。
【0016】
また本発明は、図1等に示されるように、カウンター本体3を受ける本体部材2aの上枠2a1に、この上枠2a1とカウンター本体3とを連結するためのネジ8の締め込み部9が、本体部材2aの前側上方にネジ8を上向きに傾斜させてネジ込み可能に形成されているのが好ましい(請求項7)。
なぜならこれによると、例えばカウンター本体3が深型の場合でも、中を覗き込むような無理な姿勢を強いられることなく、また前垂れ31の下端より前方の位置でも、本体部材2aとカウンター本体3とを楽な姿勢でネジ止めできるからである(カウンター本体3が深型の場合は、垂直ラインL(図8参照)より前側の位置は、通常、ドライバーを真上に向けて楽な姿勢でネジ8を締めることができない、という不便がある)。
【0017】
またこの場合、本発明は、ネジ8の締め込み部9に対応するカウンター本体3の内側下面にナット部3aが形成され、このナット部3aに上記の締め込み部9からネジ込まれるネジ8の螺子孔3a1が形成されているのが好ましい(請求項8)。
なぜならこれによると、ネジ8のネジ込み操作を、楽に且つ円滑にできるからである。
【0018】
また本発明は、図15、図16等に示されるように、本体部材2aと、カウンター本体3とが、嵌め付け可能に形成されているのが好ましい(請求項9)。
なぜならこれによると、カウンター本体3に螺子止め用の厚肉部を形成する必要がなく、成形歪み等の外観不良を低減できるからである。またこれによると、螺子を一掃でき、工具なしで、簡単、迅速に本体部材2aとカウンター本体3とを固定でき、省施工、省コスト効果を得られるからである。またこれによると、例えば本体部材2aを壁に固定してから、この本体部材2aにカウンター本体3を嵌め付けることができ、配管を交わし易く、施工し易くなるからである。なお、この本発明の場合、嵌め付け構造は、本体部材2aとカウンター本体3の対応する位置に、一方に嵌合用の雄部を、他方に嵌合用の雌部を形成することで実現される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、このように形成されているから、カウンター本体の内側下面に支持具の本体部材を取り付けてから、壁取付け用部材の差込みスペースに差し込み、カウンター本体を浴室壁面に取り付けることができる。
従ってこれによると、カウンター本体の前垂れが深型の場合でも、作業者に無理な姿勢を強いることなく、簡単且つ楽に設置できる。
【0020】
また本発明は、上記の通り、支持具の本体部材が、後側が開放された枠状に形成されているから、支持具の空間部に給水管等を配管する場合、左右側からだけではなく、後側からも給水管等を空間部に差し入れて配管できる。
従ってこれによると、支持具の空間部を利用して配管できるだけではなく、配管作業を、簡単化、迅速化できる。
【0021】
また本発明は、上記の通り、壁取付け用部材に本体部材を差し込んで支持具を浴室壁面に取り付けるものである。従って取り外すときは、本体部材を壁取付け用部材から抜き取ることで済むから、これによると、施工ミス等により、支持具を取り外す必要が生じたときでも、漏水の危険が最も起き易い配管自体には手を付けることなく、作業を行うことができる。
【0022】
また本発明は、浴室壁面に既に配管されている場合でも、例えば、配管と浴室壁面との間の隙間に差込み片を差し込んで、その下方の壁取付け用部材に本体部材を取り付けることにより、配管を跨いで支持具を浴室壁面に取り付けることができる。また本発明は、同様の理由から、メンテナンス時やリフォーム時は、配管を撤去することなく、支持具を解体してカウンター本体を取り外すことができる。
従って本発明によると、配管作業が済んだ後でも設置でき、またメンテナンス時やリフォーム時は配管に影響を与えることなく撤去できる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明のカウンターの好適な一実施形態を示し、Aは要部縦断面図、Bは支持具の斜視図である。
【図2】支持具の本体部材の斜視図である。
【図3】支持具の壁取付け用部材の斜視図である。
【図4】カウンター本体の斜視図である。
【図5】同上カウンターを下方から見たときの要部分解斜視図である。
【図6】同上カウンターを下方から見たときの要部斜視図である。
【図7】同上カウンターの要部縦断面図である。
【図8】カウンター本体の要部縦断面図である。
【図9】支持具の他の実施形態を示す斜視図である。
【図10】図9の引き出し線Aの位置の要部斜視図である。
【図11】図9の支持具の斜視図である。
【図12】同上支持具の要部斜視図である。
【図13】同上支持具の側面図である。
【図14】同上支持具の要部側面図である。
【図15】カウンター本体と本体部材との他の取り付け例を示す、下方から見た要部斜視図である。
【図16】図15のXVI−XVI線における断面図である。
【図17】図15の実施形態のカウンター本体の要部側面図である。
【図18】図15の実施形態のカウンター本体の要部底面図である。
【図19】図15の実施形態の本体部材の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための好適な一実施形態を添付図面に従って説明する。
本発明の浴室用カウンターは、図1等に示されるように、浴室壁面1に固定される支持具2と、この支持具2に支持されて浴室壁面1に取り付けられるカウンター本体3とを備えて形成されている。
【0025】
上記の支持具2は、後側が開放された枠状の本体部材2aと、上記の浴室壁面1に固定されてこの壁面1との間に上下方向に延びる差込みスペースSを作る壁取付け用部材2bとで形成されている。本体部材2aは、この実施形態では側面視で略コの字形に形成されている。なお、この支持具2は、図5に示されるように、この実施形態ではカウンター本体3の横方向の2ヶ所を支持可能に、2個備えて形成されている。
【0026】
上記の本体部材2aは、金属材で形成され、左右側と後側が開口され、給水管4等を通すための空間部5を備えて形成されている。またこの本体部材2aは、その上枠2a1の開放状の後端部に、上記の差込みスペースSに上方から差込み、本体部材2aを壁取付け用部材2bに取り付けるための差込み片2a2が垂下状に形成されている。この実施形態の場合、差込み片2a2は、その厚みが差込みスペースSの前後方向の間隔と略同じ長さに選定されて舌片状に形成され、差込みスペースSにガタつくことなく差込み可能に形成されている。
【0027】
また上記の壁取付け用部材2bは、金属板が折り曲げられ、図1B、図3等に示されるように、浴室壁面1に当接する左右一対の板片状のベース部2b1と、このベース部2b1の間の凹溝状の段差部2b2とで横断面が浅底の略皿形状に形成されている。従って差込みスペースSは、この実施形態では壁面1との間に薄い板状の空間として形作られ、壁取付け用部材2bが浴室壁面1に取り付けられたときは、壁取付け用部材2bの上下方向に開口するよう形成されている。
【0028】
また上記のベース部2b1には、螺子6(図1A参照)の止め付け孔2b11が、縦方向に一定の間隔をあけて複数形成されている。また図3に示されるように、段差部2b2の下部には、本体部材2aの下枠2a3の開放状の後端部を接続するための接続部2b22が形成されている。この接続部2b22は、この実施形態では複数のネジ孔で形成されている。また下枠2a3の後端部には、図1B、図2に示されるように、ネジ孔7aを有するフランジ7が、壁取付け用部材2bの段差部2b2と対向するよう、垂直状に形成されている。従って下枠2a3は、上記のネジ孔7aと接続部2b22としてのネジ孔とが合わされるように、フランジ7が段差部2b2に突き当てられてネジ止めされるものである。
【0029】
また本発明は、図1、図2等に示されるように、カウンター本体3を受ける本体部材2aの上枠2a1に、この上枠2a1とカウンター本体3とを連結するためのネジ8の締め込み部9が、本体部材2aの前側上方にネジ8を上向きに傾斜させてネジ込み可能に形成されている。この締め込み部9は、具体的には、上枠2a1の上面板が側面視で山形に屈曲され、本体部材2aの前側上方に上面が向けられている傾斜板9aと、この傾斜板9aの両側端に形成されている螺子挿通用の切り欠き9bとで形成されている。そして、図1Aに示されるように、傾斜板9aの下面に、ネジ8の頭部が当接するよう形成されている。
【0030】
またネジ8の締め込み部9に対応するカウンター本体3の内側下面には、ナット部3a(図1A等参照)が、例えば一体成形により形成されている。このナット部3aには、上記の締め込み部9からネジ込まれるネジ8の螺子孔3a1(図8参照)が形成されている。この螺子孔3a1により、ネジ8を円滑且つ楽にネジ込むことができるものである。
【0031】
なお、この実施形態の本発明では、ネジ8の締め込み部9が、全てネジ8を傾斜状に締め込み可能に形成されているが、本発明はこれに限定されるものではない。但し、この実施形態のように、カウンター本体3が深型の場合は、螺子止め作業が楽になるよう、カウンター本体3の前垂れ31の下端を通る垂直ラインL(図8参照)と略同じ位置か、このラインLより、カウンター本体3の前側の位置には、少なくとも上例のような形式の締め込み部9が形成されているのが良い。
【0032】
またこの実施形態の本発明品は、図5、図6等に示されるように、カウンター本体3の下方を覆う下カバー10を備えて形成されている。カウンター本体3の前垂れ31は、深型のため、浴室壁面1の側に斜め下方に延ばされて型抜き勾配がつけられ、下カバー10とは低い位置で接続可能に形成されている。
【0033】
従ってこの本発明品では、カウンター本体3と下カバー10との継ぎ目11(図7参照)が下方になるため、継ぎ目11が目立ち難くなる。それ故本発明品の場合は、意匠性が向上し、また継ぎ目11の箇所の掃除の頻度を低減できるものである。
なお、この実施形態の本発明は、図7等に示されるように、下カバー10の前端に化粧モール12を挟み込み、この化粧モール12で継ぎ目11を装飾可能に形成されている。この場合は、化粧モール12によってアクセントを付けることができるから、一層、意匠性に優れたカウンターを提供できる。また本発明は、例えば下カバー10を半透明にし、カウンター内に防水対策を施した照明装置を設置すれば、カウンター下部の間接照明として意匠性などを更に向上できる。
【0034】
また図5に示されるように、カウンター本体3の前垂れ31と、下カバー10の接続箇所には、リベット13(図6参照)の差込み孔13aが対応位置に形成され、この差込み孔13aを介してリベット13でカウンター本体3と下カバー10とが接続可能に形成されている。このように、リベット13で直接固定する場合は、他の接続部品を省略でき、またリベット13の圧着力で接続箇所を密着でき、水密性の向上を図ることができる。
なお、図8に示されるように、カウンター本体3の内面には、補強用のリブ14が適宜位置に傾斜状に形成され、前垂れ31の箇所のリブ14は、前垂れ31の延長方向に延ばされて形成されている。
【0035】
次に本発明品の設置作業の一例を説明する。
先ず、作業者は、浴室壁面1(図1A参照)に壁取付け用部材2bをネジ止めする。次に作業者は、カウンター本体3の内側下面に、締め込み部9を利用して本体部材2aを、ネジ8で止め付ける。
【0036】
そして作業者は、本体部材2aの空間部5に給水管4等を通して配管し、図1Bに示されるように、本体部材2aの差込み片2a2を壁取付け用部材2bの差込みスペースSに上方から差込み、壁取付け用部材2bにカウンター本体3を取り付ける。
【0037】
次に作業者は、本体部材2aの下枠2a3の後端部のフランジ7を、壁取付け用部材2bの段差部2b2の下部にあてがい、接続部2b22(図3参照)としてのネジ孔を利用して壁取付け用部材2bに、正面側からネジ止めする。その後、作業者は、カウンター本体3と下カバー10の差込み孔13aを合わせ、この差込み孔13aにリベット13を押し込み、カウンター本体3に下カバー10を取り付ける。
なお、解体作業は、上例と逆の手順で行えば良い。
【0038】
以上の処において、上記の壁取付け用部材2bの形状は自由であり、壁取付け用部材2bは、例えば横断面が横長の長方形状(口状)の差込みスペースSを有して形成されているのでも良い。また差込みスペースSは、壁取付け用部材2bの上側に、上面開口状態で所定の深さだけ、形成されているのでも良い。またネジ8の締め込み部9は、上枠2a1に、例えばネジ込み孔が傾斜状に形成されることで実現されるのでも良く、上例に限定されるものではない。
【0039】
また本発明の場合、上記の接続部2b22は、ネジ孔に代え、本体部材2aの下枠2a3の開放状の後端部が嵌め付け可能に形成されているのでも良い。嵌め付け構造としては、例えば凹部や孔を形成した接続部2b22に、下枠2a3の後端部を嵌め付けたり、或いは図9〜図14に示されるような構造がある。
【0040】
図9等に示される実施形態の場合は、本体部材2aの下枠2a3の開放状の後端部に、壁取付け用部材2bの段差部2b2と対向する鍔状の嵌め込み片15が設けられ、この嵌め込み片15を上方から嵌め込むための隙間16を段差部2b2の前面と形作るよう、接続部2b22が立ち上げ片状に形成され、この接続部2b22が、本体部材2aの上記後端部の直近を両側から挟む状態に左右一対形成されていると共に、嵌め込み片15が上記の隙間16に嵌め込まれると、この嵌め込み片15の抜脱を防止する嵌合手段17を備えて形成されている。
【0041】
鍔状の嵌め込み片15は、この実施形態では後端部の両側と上側に伸ばされてプレート状に形成されている。またこの嵌め込み片15の下端15aは、隙間16に差し込み易くなるよう、図10等に示されるように、前側が面取り状に形成され、傾斜面状に形成されている。
【0042】
また接続部2b22は、この実施形態では復元力を有する金属板で形成されている。また嵌合手段17は、接続部2b22の上端が後方に屈曲されることにより、鉤形状の箇所として形成されている。そして、この嵌合手段17としての鉤形状の箇所の後端と対応する嵌め込み片15の位置に、この鉤形状の箇所が嵌まり込む嵌合孔18が、貫通孔状に形成されている。
【0043】
またこの本発明の場合は、接続部2b22に、嵌め込み片15との嵌合状態を解除するのに使用する手指操作部19が形成されている。この手指操作部19は、この実施形態では図12等に示されるように、接続部2b22の上端の前側に、前方に上向き状に突き出された板片で形成されている。
【0044】
次にこの実施形態に係る本発明品の設置作業の一例を説明する。
先ず作業者は、図1に示される本発明品の場合と同様、浴室壁面1(図1A参照)に壁取付け用部材2bをネジ止めし、カウンター本体3に本体部材2aをネジ止めした後、図9に示されるように、本体部材2aの差込み片2a2を壁取付け用部材2bの差込みスペースSに、また嵌め込み片15を隙間16に上方から嵌め込み、本体部材2aを壁取付け用部材2bに取り付ける(図11参照)。
【0045】
而して、嵌め込み片15が隙間16に上方から嵌め込まれると、嵌合手段17としての鉤形状の箇所の後端に、先ず嵌め込み片15の下端15aが接触する。この場合、嵌め込み片15の下端15aは、上記の通り、傾斜面状に形成されているため、嵌め込み片15が嵌め込まれるのに連れ、接続部2b22は、その上部が徐々に前側に押され、反り返るように引き起こされる。
【0046】
そして嵌め込み片15が、隙間16に完全に嵌め込まれると、図11、図12等に示されるように、嵌合手段17としての鉤形状の箇所の後端が、嵌め込み片15の嵌合孔18に嵌合し、嵌め込み片15の下端15aが、接続部2b22の水平状の箇所20に支持される。また下枠2a3は、後端部の直近の両側が左右の接続部2b22で挟まれる。これにより、下枠2a3は、上下移動、及び横移動が制止され、壁取付け用部材2bにピタッと固定される。
【0047】
なお、本体部材2aを壁取付け用部材2bから取り外す場合は、先ず作業者は、手指操作部19を摘んで手前に引き、接続部2b22を引き起こして嵌合手段17としての鉤形状の箇所と嵌合孔18との嵌合を解く。そして次に、本体部材2aを持ち上げ、差込み片2a2と嵌め込み片15の係合を解く。これにより本体部材2aの取り外しが可能になる。
【0048】
また本発明は、図15、図16等に示されるように、本体部材2aとカウンター本体3とが、嵌め付け可能に形成されているのでも良い。
【0049】
この実施形態では、図18に示されるように、リブ14で補強されているカウンター本体3の下面に、本体部材2aの嵌合スペース21が形成されている。そして、この嵌合スペース21の両側のリブ14に、本体部材2aを固定するための断面L字形の鉤爪22が、一定の間隔をあけて、且つ嵌合スペース21側に爪先を突き出して複数形成されている。
【0050】
また本体部材2aは、図19に示されるように、鉤爪22が嵌合する凹段差部23が、両側縁に切り欠き状に形成されている。凹段差部23は、この実施形態では鉤爪22に対応して両側縁に3個づつ形成されている。
【0051】
而して作業者は、先ず本体部材2aを上記の嵌合スペース21にあてがい、次にこの本体部材2aを鉤爪22の復元力に抗して押し込む。これにより、鉤爪22は、一旦、外側に反らされた後、復元して凹段差部23に嵌合し、本体部材2aがカウンター本体3に嵌め付けられる。作業者は、その後、上例と同様、壁取付け用部材2bに本体部材2aを嵌め込み、カウンター本体3を壁面1に取り付ける。
【0052】
なお、本発明の場合、本体部材2aとカウンター本体3との嵌め付け手順は、上例に限定されるものではない。即ち、先ず本体部材2aを壁取付け用部材2bを介して壁面1に固定し、次にこの本体部材2aにカウンター本体3を嵌め付けるのでも良い。
【符号の説明】
【0053】
1 浴室壁面
2 支持具
2a 本体部材
2a1 上枠
2a2 差込み片
2b 壁取付け用部材
3 カウンター本体
S 差込みスペース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室壁面に固定される支持具と、この支持具に支持されて浴室壁面に取り付けられるカウンター本体とを備えてなる浴室用カウンターであって、上記の支持具が、後側が開放された枠状の本体部材と、上記の浴室壁面に固定される壁取付け用部材とで形成され、この壁取付け用部材の上下方向に延びる差込みスペースに上方から差込まれる差込み片が、上記の本体部材の上枠の開放状の後端部に垂下状に設けられていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項2】
請求項1記載の浴室用カウンターであって、壁取付け用部材が、浴室壁面に当接する左右一対の板片状のベース部と、このベース部の間の凹溝状の段差部とで横断面が浅底の略皿形状に形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項3】
請求項1又は2記載の浴室用カウンターであって、壁取付け用部材の段差部の下部に、本体部材の下枠の開放状の後端部を接続するための接続部が設けられていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項4】
請求項3記載の浴室用カウンターであって、接続部に、本体部材の下枠の開放状の後端部が嵌め付け可能に形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項5】
請求項4記載の浴室用カウンターであって、本体部材の下枠の開放状の後端部に、壁取付け用部材の段差部と対向する鍔状の嵌め込み片が設けられ、この嵌め込み片を上方から嵌め込むための隙間を段差部の前面と形作るよう、接続部が立ち上げ片状に形成され、この接続部が、本体部材の上記後端部の直近を両側から挟む状態に左右一対形成されていると共に、嵌め込み片が上記の隙間に嵌め込まれると、この嵌め込み片の抜脱を防止する嵌合手段を備えて形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項6】
請求項5記載の浴室用カウンターであって、接続部に、嵌め込み片との嵌合状態を解除するのに使用する手指操作部が形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載の浴室用カウンターであって、カウンター本体を受ける本体部材の上枠に、この上枠とカウンター本体とを連結するためのネジの締め込み部が、本体部材の前側上方にネジを上向きに傾斜させてネジ込み可能に形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項8】
請求項7記載の浴室用カウンターであって、ネジの締め込み部に対応するカウンター本体の内側下面にナット部が形成され、このナット部に上記の締め込み部からネジ込まれるネジの螺子孔が形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。
【請求項9】
請求項1乃至6の何れかに記載の浴室用カウンターであって、本体部材と、カウンター本体とが、嵌め付け可能に形成されていることを特徴とする浴室用カウンター。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2011−45697(P2011−45697A)
【公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15881(P2010−15881)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000004709)株式会社ノーリツ (1,293)
【Fターム(参考)】