説明

浴室用リモコン

【課題】従来の浴室用リモコンでは、リモコン内部の空気の膨張によってシートが剥がれないように、両面テープを貼着する面積を広く確保する必要がある。そこで、シートを貼着するための両面テープの糊代を可及的に狭くすることのできる小型で水密性を担保した浴室用リモコンを提供する。
【解決手段】シートと上面との粘着力のうち、シートの周縁部の粘着力より周縁部の内側の粘着力を弱くし、リモコン内部の空気の膨張により、この内側部分が上面から剥がれ内部空気の圧力上昇を緩和するようにした。上記内部空気が収縮すると、一旦剥がれた内側部分が上面に再接着される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば浴室テレビなどの浴室用機器の操作を行うため、浴室内で使用される浴室用リモコンに関する。
【背景技術】
【0002】
近年浴室内にテレビ装置を設け、入浴しながらテレビを鑑賞する場合がある。また、浴室内にスピーカを設け、音響装置によってスピーカから音楽を浴室内に流すことも行われている。このような浴室用のテレビ装置や音響装置の操作は、入浴者が入浴した姿勢でも行うことができるように、無線式のリモコンが用いられる。
【0003】
このような浴室用のリモコンはリモコン内に湯水が浸入しないように防水構造が採用される。但し、操作するためのボタン類は押し下げることができるように可動自在に設ける必要があるが、可動自在に設けると、その可動するボタン類とケースとの間に隙間を設ける必要があり、水密性が損なわれる。
【0004】
そこで、浴室用のリモコンの表面にボタン類を可動自在に配列し、その上からボタン類を覆うように薄いシートを貼着する構造が採用される(例えば、特許文献1参照)。この構造では、リモコンに温水が掛かる等によりリモコン内部の温度が上昇し内部の空気が膨張すると、ボタン類を覆っているシートの裏面に内部空気の圧力が作用してシートを浮き上がらせようとする。そのため、ボタン類を覆っている部分以外の部分、すなわち、リモコン本体の上面のほぼ全域にわたって強力な両面テープでシートを接着している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−281575号公報(段落0015、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来の浴室用リモコンでは、リモコン内部の空気の膨張によってシートが剥がれないように、両面テープを貼着する面積を広く確保する必要がある。特に、シートの周縁部分は剥がれにくくする必要があるので、リモコンのデザインは、ボタン類を設けたエリアの外側に両面テープのためのエリアを広く確保することになる。このため、リモコン自体が大型化し、機能上必要とされる大きさよりも大きくせざるを得ないという問題が生じる。
【0007】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、シートを貼着するための両面テープの糊代を可及的に狭くすることのできる浴室用リモコンを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために本発明による浴室用リモコンは、上面に押し操作可能なボタン類を備え、可撓性を有し、この上面に貼着される1枚のシートで上面およびボタン類を覆うことにより上面の水密性を担保した浴室用リモコンにおいて、上記シートと上面との粘着力のうち、シートの周縁部の粘着力より周縁部の内側の粘着力を弱くし、リモコン内部の空気の膨張により、この内側部分が上面から剥がれ内部空気の圧力上昇を緩和するようにしたことを特徴とする。
【0009】
上記浴室用リモコンはシートを貼着することにより水密性を確保しているので、浴室用リモコンの内部の空気が膨張して圧力が上昇すると、その内部圧力はシートを剥がす方向に作用する。内側部分の粘着力が弱く設定されているので内部圧力がある程度高くなると内側部分がリモコンの上面から剥がれて圧力上昇分を緩和し圧力を低下させる。なお、外側部分の粘着力は強いので、内側部分が剥がれて浮き上がっても外側部分は上面に貼着したままの状態を保持するので水密性が損なわれることはない。
【0010】
なお、上記内部空気が収縮すると、一旦剥がれた内側部分が上面に再接着されることが望ましい。
【発明の効果】
【0011】
以上の説明から明らかなように、本発明は、内側部分が剥がれることによりリモコン内部の圧力上昇を緩和するので、外側部分の糊代を従来の浴室用リモコンよりも狭く設定することができる。その結果、本発明による浴室リモコンは従来のものより小型化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0013】
図1を参照して、1は本発明による浴室用リモコンである。この浴室用リモコン1は本体2と、その本体2の上面に貼着されるシール3とで構成されている。本体2の上面には液晶表示部21と各種操作をするための複数個のボタン類22とが設けられている。一方、シート3には液晶表示部21が露出するように開口部31が設けられており、また、ボタン類22を覆う突状部32が設けられている。
【0014】
ボタン類22は押し込み操作ができるように本体2の上面との間に微小な隙間が形成されている。そのため、その隙間を通って本体2内に湯水が浸入しないようにする必要がある。シート3を本体2の上面に貼着するが、上面のうち、境界線Bより内側であってボタン類22が設けられている内側部分Binと、境界線Bより外側であってこの内側部分Binを囲む外側部分Boutとの粘着力を相違させることとした。
【0015】
なお、ボタン類22自体はシート3の下面に貼着させない。そのためボタン類22を避けて内側部分Binの本体2の上面部分とシート3の下面とが相互に貼着するように両面テープを配設する。この内側部分Binに用いられる両面テープは上述のように外側部分Boutの粘着力よりも弱い粘着力のものを使用するので、本体2内部の空気が膨張して圧力が上昇すると剥がれる。但し、本体2の内部が冷えて内部空気が収縮すると再びシート3の下面が本体2の上面の内側部分Binに貼着できるよう、再貼着できる両面テープを用いる。
【0016】
これに対して外側部分Boutに用いられる粘着テープは強力な粘着力を発揮して、本体2の内部圧力が上昇しても外側部分Boutは剥がれない両面テープを用いる。
【0017】
上記構成により、浴室用リモコン1が例えば湯船内の温水に接触し、あるいは温水シャワーが掛けられて本体2内部の空気が加熱され膨張しても、内側部分Binが剥がれて圧力上昇を緩和する。そのため、外側部分Boutの面積が従来のものより狭くても外側部分Boutの両面テープが剥がれることはない。従って、本発明による浴室リモコン1は従来のものより小型化することができる。
【0018】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0019】
1 浴室用リモコン
2 本体
3 シート

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面に押し操作可能なボタン類を備え、可撓性を有し、この上面に貼着される1枚のシートで上面およびボタン類を覆うことにより上面の水密性を担保した浴室用リモコンにおいて、上記シートと上面との粘着力のうち、シートの周縁部の粘着力より周縁部の内側の粘着力を弱くし、リモコン内部の空気の膨張により、この内側部分が上面から剥がれ内部空気の圧力上昇を緩和するようにしたことを特徴とする浴室用リモコン。
【請求項2】
上記内部空気が収縮すると、一旦剥がれた内側部分が上面に再接着されることを特徴とする請求項1に記載の浴室用リモコン。

【図1】
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