説明

浴室用折り畳み椅子

【課題】コンパクトに使用でき且つ横転しにくい浴室用折り畳み椅子を提供する。
【解決手段】前脚11および後脚21のうち最も左右の最外端に位置する最外端部分と、第1フレーム10の上部13の最も左右の最外端に位置する部分とは、左右方向に関する位置が略同一である。左右の最外端部分同士の距離をY、左右の肘掛け50の最内端部分同士の距離をW、X=(Y−W)/2、としたときに、Y/X<10である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室用折り畳み椅子に関する。
【背景技術】
【0002】
浴室用折り畳み椅子は、主に高齢者や身体障害者等が浴室内でシャワーを浴びる場合などに利用される。折り畳み椅子は、非使用時には折り畳んでコンパクトにすることができるため、狭い浴室内で使用するには特に好適である。特許文献1には、そのような浴室用折り畳み椅子が開示されている。
【0003】
浴室用折り畳み椅子に肘掛けが設けられていると、使用者は安定して座ることができるだけでなく、着座時または立ち上がる時に肘掛けの上に手を置くことにより、手で体を支えることができる。そのため、浴室用折り畳み椅子には、肘掛けが設けられる場合が多い。
【0004】
高齢者や身体障害者だけでなく、それらの者を介護する介護者も浴室用折り畳み椅子を取り扱う。取扱いが容易なように、浴室用折り畳み椅子はできるだけ軽く作られていることが多い。また、狭い浴室内で使用されるので、浴室用折り畳み椅子はできるだけコンパクトに作られる傾向にある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−261328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、浴室は滑りやすい。使用者が着座する時または立ち上がる時に、肘掛けに横向きの大きな力を加えると、浴室用折り畳み椅子が横転してしまうおそれがある。
【0007】
横転を防ぐ一手段として、浴室用折り畳み椅子の重量を大きくすることが考えられる。しかし上述の通り、浴室用折り畳み椅子には軽量化が求められるので、重量の増大には限界がある。
【0008】
横転を防ぐ他の一手段として、浴室用折り畳み椅子の横幅(特に、左右の脚部の間隔)を大きくすることが考えられる。しかし上述の通り、浴室用折り畳み椅子にはコンパクト化が求められるので、大型化には限界がある。
【0009】
横転を防ぐ他の一手段として、図6(a)に示すように、浴室用折り畳み椅子の脚部101を下方に行くほど左右に広がるように形成し、座部100の横幅L0を大きくすることなく、左右の脚部101の下端部102同士の距離L1を大きく確保することが考えられる。ところが、浴室用折り畳み椅子は、狭い浴室内で使用されるため、コンパクトに使用することが要求される。また、使用時には使用者が浴槽110に移乗しやすいよう、浴槽110の側壁111に沿って配置することが好まれる。このため、脚部101を下方に行くほど左右に広がるように形成したのでは、浴室用折り畳み椅子をコンパクトに使用することができず、また、肘掛け103と側壁111との間に大きな隙間が形成されて移乗がしにくくなる。一方、単に距離L1を小さくしたのでは、それに伴って座部100の横幅L0が小さくなり、座るスペースに余裕がなくなってしまう。
【0010】
そのため、浴室用折り畳み椅子をコンパクトに使用するためには、図6(b)に示すように、浴槽110の側壁111に沿うように、肘掛け103と脚部101の下端部102とがほぼ同一鉛直線V上に位置することが好ましい。
【0011】
本発明はかかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、コンパクトに使用でき且つ横転しにくい浴室用折り畳み椅子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る浴室用折り畳み椅子は、前方斜め下向きに延びる左右一対の前脚と、前記各前脚よりも上側にて上向きまたは後方斜め上向きに延びる上部と、を有する第1フレームと、後方斜め下向きに延びる左右一対の後脚を有し、前記第1フレームに水平軸周りに回転可能に取り付けられた第2フレームと、前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方に支持される座部と、前記左右の第1フレームの上部の間に設けられた背もたれと、前記第1フレームに支持された左右一対の肘掛けと、を備えている。左右の前記肘掛けと前記前脚の下端部と前記後脚の下端部とは、それぞれ略同一鉛直線上に位置している。X=(左右の最外端部分同士の距離−左右の肘掛けの最内端部分同士の距離)/2、Y=左右の最外端部分同士の距離、としたときに、Y/X<10である。このことにより、コンパクトに使用でき且つ横転しにくい浴室用折り畳み椅子を構成することができる。なお、前記座部は、前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方に直接支持されていてもよく、他の部材(例えば、左右の第1フレームおよび第2フレームの少なくとも一方に架け渡されたバー等)を介して間接的に支持されていてもよい。
【0013】
Z=前記肘掛けの最上端部分の床面からの高さとしたときに、Z/Y≦1.35であることが好ましい。
【0014】
Z=前記肘掛けの最上端部分の床面からの高さ、Z1=前記座部の最上端部分の床面からの高さとしたときに、(Z+Z1)/Y≦2.26であることが好ましい。
【0015】
前記肘掛けの後部は、前記第1フレームの上部に水平軸周りに回転可能に支持されていることが好ましい。これにより、後部を支点として肘掛けを上方に回転させることにより、座部の側方を開放することができ、使用者の着座および立ち上がり動作が容易になる。一方、着座および立ち上がり動作が座部の側方にて行われるので、座部の前方からしか着座できないタイプの浴室用折り畳み椅子に比べると、横転の可能性が高くなる。しかし、上述の通り、本発明に係る浴室用折り畳み椅子は構造的に横転しにくいので、座部の側方から着座動作等を行っても、横転は起こりにくい。本発明は、このように回転式の肘掛けを有する浴室用折り畳み椅子にとって特に好適である。
【0016】
X、Y、およびZ等の数値は特に限定される訳ではないが、狭い浴室内で使用される小型且つ軽量な浴室用折り畳み椅子として、典型的にはY≧46cmであり、Z≦68cmである。前記浴室用折り畳み椅子の重量は5kg以下が好ましい。前記左右の肘掛けの最内端部分同士の距離は40cm以下が好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、コンパクトに使用でき且つ横転しにくい浴室用折り畳み椅子を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】一実施形態に係る浴室用折り畳み椅子の斜視図である。
【図2】一実施形態に係る浴室用折り畳み椅子の正面図である。
【図3】一実施形態に係る浴室用折り畳み椅子の背面図である。
【図4】一実施形態に係る浴室用折り畳み椅子の折り畳み時の側面図である。
【図5】他の一実施形態に係る浴室用折り畳み椅子の斜視図である。
【図6】(a)および(b)は、浴室用折り畳み椅子の使用状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。図1〜図4に示すように、本実施形態に係る浴室用折り畳み椅子(以下、単に椅子という)1は、左右一対の第1フレーム10と、左右一対の第2フレーム20と、座部30と、背もたれ40と、左右一対の肘掛け50とを備えている。椅子1は、非使用時には折り畳むことができ(図4参照)、使用時には展開される(図1〜3参照)。
【0020】
図1に示すように、第1フレーム10は、前方斜め下向きに延びる前脚11と、前脚11の上端部から後方に延びる水平部12と、水平部12の後端部から上向きまたは後方斜め上向きに延びる上部13とを有している。第1フレーム10は屈曲したパイプ状に形成されている。図2に示すように、正面から見て第1フレーム10はほぼ真っ直ぐ上向きに延びている。前脚11と水平部12と上部13とは、略同一の鉛直線上に位置している。前脚11は左右に傾斜しておらず、いずれの高さ位置においても、左右の前脚11同士の距離はほぼ等しくなっている。なお、第1フレーム10は、必ずしも水平部12を備えていなくてもよい。前脚11と上部13とが連続していてもよい。第1フレーム10は屈曲していなくてもよく、真っ直ぐであってもよい。
【0021】
第2フレーム20は、後方斜め下向きに延びる後脚21と、後脚21の上端部から前方に延びる水平部22(図4参照)とを有している。第2フレーム20は屈曲したパイプ状に形成されている。ただし、第2フレーム20は必ずしも水平部22を備えている必要はなく、屈曲していなくてもよい。図3に示すように、背面から見て第2フレーム20は若干傾斜している。第2フレーム20は、下方に行くにつれて左右の外側に行くように傾斜している。図4に示すように、第2フレーム20の水平部22と第1フレーム10の水平部12とは、水平軸61を介して連結されている。第2フレーム20は第1フレーム10に対し、水平軸61周りに回転可能に取り付けられている。
【0022】
前脚11および後脚21は、長さの調整が可能となっている。前脚11は、水平部12から連続する内パイプ11aと、内パイプ11aが挿入された外パイプ11bとを有している。後脚21は、水平部22から連続する内パイプ21aと、内パイプ21aが挿入された外パイプ21bとを有している。内パイプ11aおよび外パイプ11bと、内パイプ21aおよび外パイプ21bとは、ほぼ同一の構成を有している。以下では、内パイプ21aおよび外パイプ21bの構成を説明し、内パイプ11aおよび外パイプ11bの構成の説明は省略する。
【0023】
外パイプ21bには、上下に並ぶ複数の孔26が形成されている。内パイプ21aには、孔26と同程度の大きさの突起25が形成されている。突起25は図示しないばね等によって内パイプ21aの側方に向かって付勢されているが、側方から押し付けることにより、内パイプ21a内に埋没させることができる。外パイプ21bに対する内パイプ21aの挿入量を調整し、突起25と所望の孔26との位置を合わせた後、押し付けていた突起25を放すと、突起25は上記孔26に嵌り込む。これにより、内パイプ21aを外パイプ21bに固定することができる。このように、突起25と係合させる孔26を適宜選択することにより、後脚21の長さを段階的に調整することができる。説明は省略するが、前脚11についても同様である。前脚11および後脚21の長さを変更することにより、座部30および肘掛け50の床面からの高さを変更することができる。
【0024】
図4に示すように、座部30は第2フレーム20の水平部22の先端部分に、回転軸62を介して取り付けられている。座部30は第2フレーム20に対して回転可能である。左右の第1フレーム10の水平部12には、左右に延びるバー71およびバー73が架け渡されている。左右の第2フレーム20の水平部22には、左右に延びるバー72が架け渡されている。座部30は、椅子1が折り畳まれた時にはそれらのバー71,72,73から離反するが、展開時にはそれらのバー71,72,73に支持される。座部30は、それらのバー71,72,73を介して第1フレーム10の水平部12および第2フレーム20の水平部22に支持される。
【0025】
図3に示すように、左右の第1フレーム10の上部13同士は、バー14を介して接続されている。本実施形態では、左右の第1フレーム10とバー14とは一体化されている。バー14はパイプ状に形成されている。ただし、バー14は第1フレーム10と別体に形成され、左右の第1フレーム10に組み立てられていてもよい。背もたれ40はバー14に取り付けられている。すなわち、背もたれ40はバー14を介して、左右の第1フレーム10の上部13に架け渡されている。
【0026】
肘掛け50は、第1フレーム10の上部13に回転軸63を介して回転可能に取り付けられている。肘掛け50は回転式のものである。使用者が椅子1に座るときには、例えば図1に示すように、左側の肘掛け50を上向きに回転させ、座部30の左方を開放することによって、使用者が左方から座部30に着座できるようにすることができる。この際、使用者は、右側の肘掛け50の上に手を載せることにより、右側の肘掛け50で体を支えることができる。使用者が座部30に着座した後は、両肘掛け50を水平な姿勢にすることにより、使用者は両手を肘掛け50の上に置き、椅子1の上に安定して座ることができる。
【0027】
高齢者、身体障害者、または介護者等が扱いやすいように、椅子1はできるだけ軽い方が好ましい。椅子1の重量は特に限定される訳ではないが、例えば、5kg以下であることが好ましく、4kg以下が更に好ましい。椅子1の重量は3kg〜4kgであってもよい。第1フレーム10および第2フレーム20等は金属製であってもよいが、椅子1の軽量化のために、樹脂製であってもよい。
【0028】
以上が椅子の構成である。ただし、本発明に係る椅子の構成は前記実施形態のものに限定される訳ではなく、全体または各部品の寸法または形状等を適宜変更することも可能である。例えば、図5に示すように、背もたれの形状および寸法を変更してもよい。
【0029】
前述したように、使用者が座部30に着座するとき、または座部30から立ち上がるときに、一方の肘掛け50を跳ね上げることによって座部30の側方を開放し、他方の肘掛け50に体重をかけることによって、円滑に着座または起立することができる。使用者が肘掛け50に体重を加えたときに、椅子1には斜め下向きの大きな力が加わる。ところが、椅子1は軽く且つコンパクトであり、浴室は滑りやすい。椅子1に加えられる力の水平方向の成分が大きい場合、椅子1が横転してしまわないようにすることが重要である。
【0030】
椅子1の横転のしやすさは、左右の前脚11および後脚21の間隔に影響されると思われる。図2に示すように、左右の前脚11および後脚21のうち、最も左右の最外端に位置する最外端部分同士の距離をYとする。Yが大きいほど椅子1の安定性は高くなり、椅子1は横転しにくい。ただし、Yが大きいほど、椅子1は大型化してしまう。ここでは、最外端部分は、前脚11の下端の外側部分となっている。
【0031】
座っている使用者が立ち上がる際には、肘掛け50に内側から外側に向かって力が加えられる。椅子1の横転のしやすさを検討するにあたって、肘掛け50の内端部分の位置が重要である。左右の肘掛け50の最内端部分同士の距離をWとし、前脚11および後脚21の最外端部分と肘掛け50の最内端部分との距離をXとすると、X=(Y−W)/2である。椅子1は横転時に前脚11および後脚21の下端の外端部分を中心として回転すると仮定すると、肘掛け50に加わる水平方向の力が同一であっても、Xが大きいほど椅子は横転しにくくなる。ただし、Xが大きいほど、座るスペースに余裕がなくなる。
【0032】
また、椅子1の横転のしやすさを検討するにあたって、肘掛け50の床面からの高さが重要となる。また、座部30の床面からの高さも、横転のしやすさに影響を及ぼすものと考えられる。座部30の最上端部分の高さをZ1、座部30の最上端部分から肘掛け50の最上端部分までの高さをZ2、肘掛け50の最上端部分の高さをZとすると、Z=Z1+Z2である。肘掛け50に加わる水平方向の力が同一であっても、肘掛け50の位置が低いほど、椅子1を横転させる回転モーメントは小さくなる。同様に、座部30に加わる水平方向の力が同一であっても、座部30の位置が低いほど、椅子1を横転させる回転モーメントは小さくなる。そのため、Zが小さいほど椅子1を横転させる回転モーメントは小さくなり、椅子1は横転しにくいと考えられる。また、Z1が小さいほど椅子1を横転させる回転モーメントは小さくなり、椅子1は横転しにくいと考えられる。
【0033】
以上のように、Yは椅子1の構造の観点からの安定性を指標するパラメータであり、Yが大きいほど椅子1は横転しにくい。Xは肘掛け50の左右の位置に関連して、椅子1に作用する回転モーメントの観点からの安定性を指標するパラメータであり、Xが大きいほど椅子1は横転しにくい。ZおよびZ1は肘掛け50および座部30の上下の位置に関連して、椅子1に作用する回転モーメントの観点からの安定性を指標するパラメータであり、ZおよびZ1が小さいほど椅子1は横転しにくい。使用者は座部30に着座するときに、肘掛け50に体重をかけつつ、徐々に体重を座部30に移していく。一方、座部30から立ち上がるときには、座部30に体重を残しつつ肘掛け50をつかみ、体重を徐々に肘掛け50に移していく。このように、座部30および肘掛け50の両方に体重がかけられる。そこで、椅子1の安定性を指標するパラメータとして、ZおよびZ1の両方を考慮したパラメータ、すなわちZ+Z1を用いることができる。ただし、Zの方がZ1よりも影響が大きい。よって、Zのみで安定性をある程度評価することができる。
【0034】
本願発明者は、仕様の異なる複数の椅子を対象として、使用者が一方の肘掛けに体重をかけて立ち上がったときに横転しないかどうかを調べる試験を行った。使用者が左側の肘掛けに体重をかけて立ち上がる場合、使用者の重心は左側に寄り、また、使用者の体重は座部と肘掛けとに分散される。試験条件は以下の通りとした(「入浴用いすの認定基準及び基準確認方法」 財団法人 製品安全協会 制定・平成15年8月1日参照)。
【0035】
本試験は横転のしやすさを調べる試験であるので、まず、椅子の前脚および後脚が床面上を滑らないように、左側の前脚および後脚の左方にストッパを配置した。次に、座面の中央から左側に100mm寄った位置であって、座面の後縁から前方に175mm離れた位置に、上方から250Nの垂直力を加えた。次に、肘掛けの前後方向の中央位置に上方から350Nの垂直力を加えた。そして、その状態のまま、肘掛けの前後方向の中央位置に、左方に向かって60Nの水平力を加えた。
【0036】
各サンプルのX、W、Y、Z、Z+Z1、Y/X、Z/Y、(Z+Z1)/Yの値は表1の通りである。表1の「座面サイズ」は、座部の幅×奥行きの寸法を表している。なお、各サンプルに係る椅子は、いずれも脚の長さの調整が可能な椅子である。サンプル1Aとサンプル1Bとは同一の椅子であるが、脚の長さを変更したため、別のサンプルとして扱った。サンプル1Aは脚の長さを最小値に設定した例であり、サンプル1Bは脚の長さを最大値に設定した例である。他のサンプルについても同様である。
【0037】
【表1】

【0038】
試験の結果、サンプル1A,1B,2A,2B,3A,3Bは横転し、4A,4B,5A,5B,6A,6Bは横転しなかった。その結果、Y/X<10の椅子は横転しにくいことが分かった。Y/Xは9以下が好ましく、サンプル4A,4B,5A,5B,6A,6Bでは、Y/X=8.36〜8.67である。
【0039】
表1に示すように、横転しなかったサンプル4A,4B,5A,5B,6A,6Bでは、Z/Yは1.10〜1.35の範囲内にあり、Z/Yは1.35以下が好ましいことが分かる。なお、前述したように、椅子の安定性を高めるためにZは小さい方が好ましく、椅子が大型化しない範囲でYは大きい方が好ましい。
【0040】
また、横転しなかったサンプル4A,4B,5A,5B,6A,6Bでは、(Z+Z1)/Yは1.77〜2.26の範囲内にあり、(Z+Z1)/Yは2.26以下が好ましいことが分かる。なお、椅子の安定性を高めるためにZ+Z1は小さい方が好ましく、椅子が大型化しない範囲でYは大きい方が好ましい。
【0041】
また、横転しなかったサンプル4A,4B,5A,5B,6A,6Bでは、肘掛け内寸法Wは35cm〜40cmであり、Wは40cm以下が好ましいことが分かる。
【0042】
以上のように、本実施形態に係る椅子によれば、コンパクトに使用でき且つ横転しにくいという効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0043】
1 浴室用折り畳み椅子
10 第1フレーム
11 前脚
12 水平部
13 上部
20 第2フレーム
21 後脚
22 水平部
30 座部
40 背もたれ
50 肘掛け

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方斜め下向きに延びる左右一対の前脚と、前記各前脚よりも上側にて上向きまたは後方斜め上向きに延びる上部と、を有する第1フレームと、
後方斜め下向きに延びる左右一対の後脚を有し、前記第1フレームに水平軸周りに回転可能に取り付けられた第2フレームと、
前記第1フレームおよび前記第2フレームの少なくとも一方に支持される座部と、
前記左右の第1フレームの上部の間に設けられた背もたれと、
前記第1フレームに支持された左右一対の肘掛けと、を備え、
左右の前記肘掛けと前記前脚の下端部と前記後脚の下端部とは、それぞれ略同一鉛直線上に位置しており、
X=(左右の最外端部分同士の距離−左右の肘掛けの最内端部分同士の距離)/2、
Y=左右の最外端部分同士の距離、
としたときに、
Y/X<10である、浴室用折り畳み椅子。
【請求項2】
Z=前記肘掛けの最上端部分の床面からの高さとしたときに、
Z/Y≦1.35である、請求項1に記載の浴室用折り畳み椅子。
【請求項3】
Z=前記肘掛けの最上端部分の床面からの高さ、
Z1=前記座部の最上端部分の床面からの高さ、
としたときに、
(Z+Z1)/Y≦2.26である、請求項1または2に記載の浴室用折り畳み椅子。
【請求項4】
前記肘掛けの後部は、前記第1フレームの上部に水平軸周りに回転可能に支持されている、請求項1〜3のいずれか一つに記載の浴室用折り畳み椅子。
【請求項5】
Y≧46cmであり、Z≦68cmである、請求項1〜4のいずれか一つに記載の浴室用折り畳み椅子。
【請求項6】
重量が5kg以下である、請求項1〜5のいずれか一つに記載の浴室用折り畳み椅子。
【請求項7】
前記左右の肘掛けの最内端部分同士の距離が40cm以下である、請求項1〜6のいずれか一つに記載の浴室用折り畳み椅子。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−239482(P2012−239482A)
【公開日】平成24年12月10日(2012.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−109015(P2011−109015)
【出願日】平成23年5月16日(2011.5.16)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】