説明

浴室用液体洗浄剤組成物

【課題】水道水中のケイ素成分が少ない場合でも、優れた洗浄力と泡立ちを有し、かつすすぎ性の良好な浴室用液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)成分:水溶性ケイ酸塩をケイ素換算で0.000005〜0.05質量%と、(B)成分:炭素数8〜18の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩と、(C)成分:(B)成分以外の界面活性剤と、(D)成分:金属イオン封鎖剤と、(E)成分:特定の溶剤と、(F)成分:水とを特定比で含有し、25℃でpH7〜9であることよりなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の洗浄において、水道水の水質に影響されにくく、洗浄力と泡立ちとすすぎ性に優れる浴室用液体洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、環境への配慮から節電・節水効果が得られる電化製品や住宅設備等が普及し、消費者の関心を集めている。また、家庭用水の使い道は、トイレ・浴室・炊事・洗濯と洗浄に関わる部分が大半を占めるため、洗浄剤においても使用量が少量でも高い洗浄効果を得られるものや、すすぎの回数が減らせる機能を有する組成物が開発されている。浴室分野に関しては、特に水を多く使用する場所としての認識が高く、残り湯を洗濯に活用する等の水の再利用や、掃除の際の節水効果が期待できるすすぎ性の高い洗浄剤へのニーズが高い。
浴室用洗浄剤のすすぎ性は基本性能の一つとして多くの組成物が提案されてきた。特許文献1、2には特にすすぎ性改善効果の高い基剤として脂肪酸(アルカリ金属塩)が用いられ、他の界面活性剤や金属イオン封鎖剤との組み合わせが開示されている。脂肪酸(アルカリ金属塩)は水道水中のカルシウムやマグネシウムと反応し、水に不溶な脂肪酸塩を生成することで、消泡効果が得られると考えられている。
また、特許文献2、3には、硬表面洗浄剤組成物に水酸化ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、アルカノールアミン等のアルカリ剤を配合し、台所周りの油汚れにも洗浄効果を有する液体洗浄剤組成物が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平9−53092号公報
【特許文献2】特開平11−335700号公報
【特許文献3】特開平1−221496号公報
【特許文献4】特開2009−91431号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、上記のような浴室用洗浄剤においても、水道水の水質によっては、すすぎ性が低下する現象があった。
本発明者らは、原因解明のため、日本各地の水道水を採取し、ICP発光分光分析法によるイオン濃度分析、ならびに市販の浴室用洗浄剤を用いたすすぎ性の評価を実施したところ、従来から知られているようにカルシウム量の多い水道水の方が、すすぎ性が良好となる傾向が観られた。加えて、水道水中のケイ素成分が少ない場合には、カルシウム量が多くてもすすぎ性が低下するという、新たな知見を見出した。
なお、日本の水道水は水道法にて硬度が300mg/L(炭酸カルシウムとして)以下と定められており、実質的には10〜250mg/Lとなっており季節や地域によって変動する。一方、ケイ素成分に関しては開示されたデータが少ない。本発明者らの調査では1〜25mg/L(ケイ素として)程度となっており、ケイ素分が少ないほど、すすぎ性が低下する傾向にあった。
このように、浴室洗浄において水道水にケイ素成分が少ない場合には、脂肪酸(アルカリ金属塩)等のすすぎ改良剤を配合しても、すすぎ性の改善効果が低下することが判明した。
本発明は、水道水中のケイ素成分が少ない場合でも、優れた洗浄力と泡立ちを有し、かつすすぎ性の良好な浴室用液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、鋭意研究の結果、浴室用液体洗浄剤組成物に、特定量のケイ素成分と、炭素数8〜18の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩と、特定の界面活性剤と、金属イオン封鎖剤と、溶剤とを組み合わせて配合し、かつ特定のpHにすることで上記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。さらに、本発明者らは、亜鉛塩を配合することにより、優れた洗浄力とすすぎ性とに加え、浴室排水口の悪臭を抑制する効果を見出した。
【0006】
即ち、本発明の浴室用液体洗浄剤組成物は、下記(A)〜(F)成分を混合して得られる浴室用液体洗浄剤組成物であって、(B)成分と(C)成分との合計が3〜15質量%、(B)成分/{(B)成分+(C)成分}で表される質量比が0.2〜0.8、(B)成分/(D)成分で表される質量比が1〜8、25℃でpH7〜9であることを特徴とする。
(A)成分:水溶性ケイ酸塩をケイ素換算で0.000005〜0.05質量%。
(B)成分:炭素数8〜18の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩。
(C)成分:(B)成分以外の界面活性剤。
(D)成分:金属イオン封鎖剤。
(E)成分:炭素数2〜4の1価アルコール、炭素数4〜12の多価アルコール、炭素数4〜10のグリセリルエーテル及び炭素数3〜10のグリコールエーテルから選ばれる1種以上の溶剤。
(F)成分:水。
(B)成分/(A)成分(ケイ素換算)で表される質量比が50〜50,000であることが好ましく、(D)成分はアミノカルボン酸及び/又はその塩であることが好ましく、さらに、(G)成分:20℃の水100gにおける溶解度が5g以上の亜鉛塩を混合してなることがより好ましい。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、優れた洗浄力と泡立ち、及び水道水の水質に影響されない良好なすすぎ性を有する浴室用液体洗浄剤組成物を提供できる。さらに、浴室排水口の悪臭を抑制する浴室用液体洗浄剤組成物を提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(浴室用液体洗浄剤組成物)
本発明の浴室用液体洗浄剤組成物(以下、単に液体洗浄剤ということがある)は、以下に示す(A)〜(F)成分、好ましくは(G)成分を混合して得られるものである。
【0009】
<(A)成分:水溶性ケイ酸塩>
本発明の(A)成分は、水溶性ケイ酸塩である。(A)成分は、25℃の蒸留水100gにケイ素成分として0.5g以上を透明に溶解可能なケイ酸塩であればよく、好ましくはアルカリ金属ケイ酸塩である。(A)成分が配合されることで、液体洗浄剤はケイ素成分の少ない水道水を使用した場合であっても、すすぎ性を良好にできる。
アルカリ金属ケイ酸塩としては、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム及びこれらの水和物等が挙げられる。ケイ酸ナトリウムとしてはメタケイ酸ナトリウム、オルトケイ酸ナトリウムや、二酸化ケイ素と酸化ナトリウムとの混合物であり、一般的にNaO・nSiOで表される、JIS規格(K1408)の1号ケイ酸ソーダ(n=2)、2号ケイ酸ソーダ(n=2.5)、3号ケイ酸ソーダ(n=3)等が挙げられる。ケイ酸カリウムとしては、二酸化ケイ素と酸化カリウムとの混合物であり、一般的にKO・mSiOで表される、1号ケイ酸カリウム(m=2)、2号ケイ酸カリウム(m=3.5)等が挙げられる。
液体洗浄剤への(A)成分の配合量は、液体洗浄剤を100質量%とした場合、ケイ素換算で0.000005〜0.05質量%であり、0.001〜0.02質量%が好ましい。上記範囲内とすることで、使用する水道水の水質によらず、良好なすすぎ性を得ることができる。(A)成分の配合量が0.000005質量%未満では、すすぎ性の改善効果が小さく、(A)成分の配合量が0.05質量%を超えると、液体洗浄剤に濁りや沈殿が生じてすすぎ性が低下する。
これらの(A)成分は、1種単独で、又は2種以上組み合わせて使用することができる。
【0010】
(A)成分のすすぎ性改善効果に関する作用機構の詳細は不明であるが、以下のように推測できる。例えば、後述する(B)成分は、水道水中のカルシウム等と塩交換し、水に不溶な脂肪酸カルシウムに変化して、すすぎ性を高めることが知られている。この塩交換の際、(A)成分が存在することで脂肪酸ケイ酸カルシウム等の化合物を生成することにより、すすぎ時の泡破効果を促進し、すすぎ性を高めていると考えられる。
加えて、液体洗浄剤への(A)成分の配合量(ケイ素換算)が0.05質量%を超えると、(A)成分が溶解しにくくなり析出する傾向となる。このため、すすぎ時には上記の脂肪酸ケイ酸カルシウム等の化合物が生成しにくくなり、すすぎ性改善効果が低下すると考えられる。
【0011】
ケイ素換算とは、(A)成分のケイ素(Si)の質量を表し、以下のように計算されるものである。例えば、(A)成分として、メタケイ酸ナトリウムを液体洗浄剤に0.04質量%配合した場合は、ケイ素換算(質量%)=メタケイ酸ナトリウム(質量%)×(ケイ素原子量/メタケイ酸ナトリウム分子量)=0.04×(28/122)=0.0092(質量%)となる。
【0012】
なお、液体洗浄剤への(A)成分の配合量が少ないため、本稿では(A)成分及び(A)成分のケイ素換算量をppmにて表記する場合がある。ここで、ppmは液体洗浄剤1000gに配合した(A)成分の質量(mg)又は(A)成分のケイ素換算量の質量(mg)である。例えば、上記の0.0092(質量%)は92(ppm)となる。
【0013】
<(B)成分:炭素数8〜18の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩>
本発明の(B)成分は、炭素数8〜18の脂肪酸又はその塩(石鹸)である。(B)成分は、後述する(C)成分と共に、浴室に付着する汚れに対する洗浄力を高め、かつすすぎ性を改善できる。
【0014】
(B)成分の脂肪酸としては、飽和であっても不飽和であってもよく、炭素数8〜18の直鎖又は分岐鎖の脂肪酸が使用される。脂肪酸としては、例えばカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、イソステアリン酸、ヤシ油脂肪酸、パーム油脂肪酸、パーム核油脂肪酸等が挙げられる。これらの中でも、高い洗浄力とすすぎ性の観点から、ラウリン酸、ミリスチン酸又はヤシ油脂肪酸が好ましい。
脂肪酸塩の塩としては、特に制限はなく、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。これらの中でも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0015】
液体洗浄剤への(B)成分の配合量は、液体洗浄剤を100質量%とした場合、0.6〜12質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。0.6質量%未満では、すすぎ性の改良効果が充分に得られない場合があり、12質量%を超えると、低温安定性が低下し、例えば、−10〜5℃の条件下で保存した際に沈殿が生じるおそれがある。
【0016】
液体洗浄剤中、(B)成分/(A)成分(ケイ素換算)で表される質量比(以下、(B)/(A)比ということがある)は、50〜50,000が好ましく、100〜1,500がより好ましい。(B)/(A)比が上記範囲内であれば、すすぎ性の改善効果が特に良好となる。加えて、(B)/(A)比が上記範囲内であれば、脂肪酸ケイ酸カルシウムの生成を促進し、すすぎ性を改善していると推定される。
【0017】
<(C)成分:(B)成分以外の界面活性剤>
本発明の(C)成分は、(B)成分以外の界面活性剤である。
(C)成分が配合されることで、液体洗浄剤は、浴室内に付着した皮脂汚れ等に対して、効果的な洗浄力、洗浄時の泡立ちを発揮する。さらに(C)成分は、後述する(D)成分及び(E)成分と共に浴室に付着する汚れに対する洗浄力を高める。
(C)成分としては、下記に示すアニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン性界面活性剤等が挙げられる。これらの(C)成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
【0018】
(1)アニオン性界面活性剤
アニオン性界面活性剤としては、(B)成分以外のものであれば特に限定されず、公知のものを使用することができる。
(C)成分のアニオン性界面活性剤としては、例えば、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩;α−オレフィンスルホン酸塩;直鎖又は分岐鎖のアルキル硫酸エステル塩;アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩;アルキル基を有するアルカンスルホン酸塩;α−スルホ脂肪酸エステル塩等が挙げられる。
これらの塩としては、ナトリウム、カリウム等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアルカノールアミン塩等が挙げられる。
【0019】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としては、直鎖アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく、炭素数10〜14のものが特に好ましい。
α−オレフィンスルホン酸塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
アルキルエーテル硫酸エステル塩又はアルケニルエーテル硫酸エステル塩としては、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均1〜10モルの酸化エチレンを付加したもの(即ち、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸エステル塩又はポリオキシエチレンアルケニルエーテル硫酸エステル塩)が好ましい。
アルカンスルホン酸塩の炭素数は10〜20、好ましくは14〜17であり、2級アルカンスルホン酸塩が特に好ましい。
α−スルホ脂肪酸エステル塩としては、炭素数10〜20のものが好ましい。
これらのアニオン性界面活性剤は市場において容易に入手することができる。また、公知の方法により合成してもよい。
上記のアニオン性界面活性剤の中でも、洗浄力、泡立ちの点から炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、及び炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸塩から選択される少なくとも1種が好ましい。
【0020】
(2)非イオン性界面活性剤
非イオン性界面活性剤としては特に限定されず、公知のものを使用することができる。
非イオン性界面活性剤としては、例えば、アルキルアミンオキシド型界面活性剤として、N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド、N−ミリスチル−N,N−ジメチルアミンオキシド、N−パルミチル−N,N−ジメチルアミンオキシド、ラウロイルアミノプロピルジメチルアミンオキシド等のアルキルアミンオキシドが好ましい。中でも、特に洗浄性能、発泡性能の点から、N−ラウリル−N,N−ジメチルアミンオキシド、N−ミリスチル−N,N−ジメチルアミンオキシドがより好ましい。
また、R−O−(RO)−H(Rは炭素数10〜18の直鎖又は分岐鎖の炭化水素基、Rは炭素数1〜3の炭化水素基、好ましくはアルキレン基、pは平均付加モル数であり1〜20、好ましくは5〜15の数である。)で表されるポリオキシアルキレン付加型非イオン性界面活性剤、アルキルグリコシド、ソルビタン脂肪酸エステル等を用いてもよい。これらの中では、ポリオキシアルキレン(炭素数2〜3)アルキル(炭素数10〜18)エーテル(アルキレンオキシド平均付加モル数5〜20)が好ましい。
【0021】
(3)両性界面活性剤
両性界面活性剤としては、特に限定されず、例えば、カルボン酸塩型のもの、硫酸エステル塩型のもの、スルホン酸塩型のもの、及びリン酸エステル塩型のものからなる群から選択されるものが挙げられる。中でも洗浄力の点から、カルボン酸塩型が好ましい。
カルボン酸塩型のものとしては、例えば、ラウリルアミノプロピオン酸ナトリウム等のアミノ酸型両性界面活性剤、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン、ラウリン酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ヤシアルキルアミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン等のベタイン型両性界面活性剤が挙げられる。これらの中でも、特に洗浄力の点からラウリルアミノプロピオン酸ナトリウムが好ましい。
【0022】
(4)カチオン性界面活性剤
カチオン性界面活性剤としては、特に限定されず公知のものを使用することができる。
カチオン性界面活性剤としては、例えば、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ジデシルジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジステアリルジメチルアンモニウムクロライド、ジオクチルジメチルアンモニウムクロライド、ジステアリルジヒドロキシエチルアンモニウムクロライド、ジ牛脂アルキルジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(パルミトイルオキシエチル)ジメチルアンモニウムメトサルフェート、ジ(ステアロイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシイソプロピル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(オレオイルオキシブチル)ジメチルアンモニウムクロライド、ジ(ステアロイルオキシエチル)メチルヒドロキシエチルアンモニウムメトサルフェート、トリ(ステアロイルオキシエチル)メチルメトサルフェート等が挙げられる。なお、「牛脂アルキル」基の炭素数は14〜18である。
上記の中でも、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライドが好ましい。
【0023】
上記の(C)成分の中でも、泡立ち性、洗浄力の点から(1)のアニオン性界面活性剤がより好ましく、炭素数10〜14の直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩)、炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸塩(ナトリウム塩、カリウム塩)がより好ましい。
【0024】
液体洗浄剤への(C)成分の配合量は、液体洗浄剤を100質量%とした場合、0.6〜12質量%が好ましく、1〜8質量%がより好ましい。0.6質量%未満では洗浄力、泡立ちが不足する場合があり、12質量%を超えるとすすぎ性が低下することがある。
【0025】
液体洗浄剤中の(B)成分と(C)成分との合計量である(B)成分+(C)成分は、3〜15質量%であり、好ましくは5〜10質量%である。3質量%未満では、界面活性剤である(B)成分、(C)成分を配合することによる効果が充分に得られず泡立ちや洗浄力が不充分になり、15質量%を超えるとすすぎ性が低下する。
【0026】
液体洗浄剤中、(B)成分/{(B)成分+(C)成分}で表される質量比(以下、(B)/{(B)+(C)}比ということがある)は、0.2〜0.8であり、0.35〜0.65が好ましい。この範囲内で(B)及び(C)成分を用いることで、優れた泡立ち及び洗浄力と、優れたすすぎ性とを両立できる。(B)/{(B)+(C)}比が0.2未満ではすすぎ性が不充分になり、(B)/{(B)+(C)}比が0.8を超えると泡立ちと洗浄力が不充分になる。
【0027】
<(D)成分:金属イオン封鎖剤>
本発明の(D)成分は金属イオン封鎖剤である。(D)成分が配合されることで、液体洗浄剤は、種々の汚れと複合した石鹸カス汚れ等に対して優れた洗浄力を発揮できる。
(D)成分としては、従来、洗浄剤に使用されるものであれば特に限定されないが、例えば、有機カルボン酸類、アミノカルボン酸類、ホスホン酸類、ホスホノカルボン酸類、リン酸類等が挙げられる。
【0028】
有機カルボン酸類としては、酢酸、アジピン酸、モノクロル酢酸、シュウ酸、コハク酸、オキシジコハク酸、カルボキシメチルコハク酸、カルボキシメチルオキシコハク酸等、またグリコール酸、ジグリコール酸、乳酸、酒石酸、カルボキシメチル酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、グルコン酸等のヒドロキシカルボン酸等が挙げられる。
アミノカルボン酸類としては、ニトリロトリ酢酸、イミノジ酢酸、エチレンジアミンテトラ酢酸、ジエチレントリアミノペンタ酢酸、N−ヒドロキシエチルエチレンジアミン酢酸、エチレンジアミンテトラプロピオン酢酸、トリエチレンテトラヘキサ酢酸、エチレングリコールジエーテルジアミンテトラ酢酸、ヒドロキシエチルイミノジ酢酸、シクロヘキサン−1,2−ジアミンテトラ酢酸、メチルグリシンジ酢酸等が挙げられる。
ホスホン酸類としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸及びその誘導体、1−ヒドロキシエタン−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、アミノトリメチレンホスホン酸等が挙げられる。
ホスホノカルボン酸類としては、2−ホスホノブタン−1,2−ジカルボン酸、1−ホスホノブタン−2,3,4−トリカルボン酸、α−メチルホスホノコハク酸等を挙げることができる。リン酸類としては、オルソリン酸、ピロリン酸、トリポリリン酸、メタリン酸、ヘキサメタリン酸、フィチン酸等の縮合リン酸等が挙げられる。
これらの中でもアミノカルボン酸類が好ましく、特に、洗浄力の点から、エチレンジアミンテトラ酢酸、メチルグリシンジ酢酸がより好ましい。
これら金属イオン封鎖剤は、酸の形であってもよいし、カリウム、ナトリウム等のアルカリ金属との塩、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンとの塩等、塩基性物質との塩であってもよい。これらの金属イオン封鎖剤は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0029】
液体洗浄剤への(D)成分の配合量は、液体洗浄剤を100質量%とした場合、0.1〜12質量%が好ましく、0.2〜8質量%がより好ましく、0.5〜5質量%がさらに好ましい。0.1質量%未満では洗浄力が不足することがあり、12質量%を超えると洗浄後のすすぎ性が低下することがある。
【0030】
液体洗浄剤中、(B)成分/(D)成分で表される質量比(以下、(B)/(D)比ということがある)は、1〜8であり、1.5〜4がより好ましい。(B)/(D)比が1未満ではすすぎ性が低下し、8を超えると洗浄力が低下する。即ち、上記範囲内であれば、すすぎ性と洗浄力とを両立する良好な液体洗浄剤が得られる。
【0031】
<(E)成分:溶剤>
本発明の(E)成分は、炭素数2〜4の1価アルコール、炭素数4〜12の多価アルコール、炭素数4〜10のグリセリルエーテル及び炭素数3〜10のグリコールエーテルから選ばれる1種以上の溶剤である。
【0032】
炭素数2〜4の1価アルコールとしては、例えば、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、ノルマルブタノール、セカンダリーブタノール、ターシャルブタノール等が挙げられる。
炭素数4〜12の多価アルコールとしては、例えば、イソプレングリコール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、グリセリン等が挙げられる。
炭素数4〜10のグリセリルエーテルとしては、ヘキシルグリセリルエーテル等が挙げられる。
炭素数3〜10のグリコールエーテルとしては、例えば、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、フェニルカルビトール、フェニルセロソルブ、ベンジルカルビトール等が挙げられる。
これらの(E)成分の中でも、後述する(F)成分に対する(A)〜(D)成分の溶解性の向上、洗浄力及び使用感の向上の観点から、炭素数3〜10のグリコールエーテルが好ましく、ジエチレングリコールモノブチルエーテルがより好ましい。
液体洗浄剤への(E)成分の配合量は、液体洗浄剤を100質量%とした場合、1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。1質量%未満では液体洗浄剤の濁りが生じたり、洗浄力及び泡立ちが不充分になることがある。また、20質量%を超えると(A)〜(D)成分や他の任意成分の(F)成分への溶解性が低下し、ゲル化やダマが生じて均一な液体洗浄剤が得られない場合がある。
これらの(E)成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0033】
<(F)成分:水>
(F)成分は、水であり、溶媒として用いられるものである。(F)成分としては、精製水、イオン交換水、蒸留水等が挙げられる。
液体洗浄剤への(F)成分の配合量は、特に限定されないが、液体洗浄剤を100質量%とした場合、例えば、60〜95質量%とされる。
【0034】
<(G)成分:20℃の水100gにおける溶解度が5g以上の亜鉛塩>
(G)成分は20℃の水100gにおける溶解度が5g以上の亜鉛塩である。(G)成分が配合されることで、液体洗浄剤は、(A)〜(E)成分により発揮される優れた洗浄力、泡立ち及びすすぎ性を損なうことなく、浴室排水口の悪臭を抑制できる。(G)成分は、(D)成分としてメチルグリシンジ酢酸と組み合わされることにより、浴室排水口の悪臭を抑制する効果をより高められる。
【0035】
(G)成分としては、硫酸亜鉛、塩化亜鉛、グルコン酸亜鉛、臭化亜鉛、硝酸亜鉛、塩化亜鉛アンモニウム、酢酸亜鉛、硫酸亜鉛アンモニウム、硫酸亜鉛アルミニウム、硫酸亜鉛カリウム、ヨウ化亜鉛及びこれらの水和物等が挙げられ、中でも、悪臭抑制効果、液体洗浄剤の貯蔵安定性の観点から、硫酸亜鉛、塩化亜鉛又はこれらの水和物が好ましい。
これらの(G)成分は、1種単独で、又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
液体洗浄剤への(G)成分の配合量は、液体洗浄剤100質量%に対し、亜鉛換算量として、0.004〜4質量%が好ましく、0.4〜2質量%がより好ましい。0.004質量%未満では悪臭抑制効果が減少する場合があり、4質量%を超えると液体洗浄剤の貯蔵安定性が低下する場合がある。
【0036】
<その他の任意成分>
液体洗浄剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じて、上記(A)〜(G)成分以外に任意成分が配合されてもよい。任意成分としては、例えば、pH調整剤、香料、色素、粘度調整剤、表面改質剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、パラトルエンスルホン酸等のハイドロトロープ剤等が挙げられる。
【0037】
pH調製剤としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アルカノールアミン(モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン)等のアルカリ剤や、塩酸や硫酸等の無機酸や、パラトルエンスルホン酸、メタキシレンスルホン酸、安息香酸等の酸剤が挙げられる。
【0038】
本発明の液体洗浄剤におけるpHは、25℃において7〜9である。上記範囲内であれば、良好なすすぎ性を発揮できる。pH7〜9の範囲で、良好なすすぎ性が発揮される作用機構の詳細は不明であるが、pH7未満では、液体洗浄剤に配合した(A)成分が析出し、脂肪酸ケイ酸カルシウムの生成が阻害されて、すすぎ性が低下すると考えられる。一方、pHが高くなるほど、カルシウムに対する(D)成分のキレート力が高まる。このため、pH9超では、カルシウムに対する(D)成分のキレート力が高くなりすぎて、(B)成分と結合できるカルシウムが不足して、脂肪酸ケイ酸カルシウムの生成が阻害されるためと考えられる。
従って、例えば、台所周りの油汚れ洗浄力の向上を目的としてメタケイ酸ナトリウム等のアルカリ剤を多量に配合したような組成では、液体洗浄剤のpHが9を超え、すすぎ性改善効果を得ることができない。
液体洗浄剤のpHは、アルカリ性タイプや酸性タイプの(B)成分、(C)成分及び(D)成分を適宜組み合わせたり、pH調整剤を用いることで調整できる。
pHは、25℃に調温し、ガラス電極式pHメーター(製品名:HM−30G、東亜ディーケーケー株式会社製)を用い、ガラス電極を液体洗浄剤に直接に浸漬し、1分間経過後に示す値である。
【0039】
(製造方法)
本発明の液体洗浄剤の製造方法は、従来公知の液体洗浄剤の製造方法に準じて製造できる。
例えば、(F)成分に(A)〜(E)成分、ならびに必要に応じて(G)成分及び/又は任意成分を順次投入し、混合する方法が挙げられる。各原料の投入順序は特に限定されないが、(A)成分以外の原料と(F)成分とを混合し、pH7以上に調整した後、さらに(A)成分を混合することが好ましい。pH7未満の条件下に(A)成分を添加すると、(A)成分が析出し、析出した(A)成分の溶解に時間を要することがある。
【実施例】
【0040】
以下、実施例を示して本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の記載によって限定されるものではない。
なお、表中、(A)成分及び(A)成分のケイ素換算値をppm、他の成分を質量%にて表した。
【0041】
(使用原料)
<(A)成分>
A1:無水メタケイ酸ナトリウム(日本化学工業株式会社製、粒状無水メタ珪酸ソーダ)
A2:3号ケイ酸ナトリウム(富士化学株式会社製、3号珪酸ソーダ)
A3:2号ケイ酸カリウム(富士化学株式会社製、2号珪酸カリ)
【0042】
<(B)成分>
B1:ヤシ油脂肪酸カリウム(ライオンケミカル株式会社製、ヤシ油脂肪酸カリウム)
B2:ミリスチン酸カリウム(日油株式会社製、ノンサールMK−1)
【0043】
<(C)成分>
C1:炭素数10〜14のアルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム(テイカ株式会社製のテイカパワーL121を水酸化ナトリウムにて中和、略称:LAS−Na)
C2:炭素数14〜17の2級アルカンスルホン酸ナトリウム(クラリアントジャパン株式会社製、HOSTAPUR SAS 30A、略称:SAS)
C3:n−ドデシルジメチルアミンオキサイド(ライオンアクゾ株式会社製、アロモックスDM12D−W)
【0044】
<(D)成分>
D1:エチレンジアミンテトラ酢酸2ナトリウム(BASF社製、Trilon BD、略称:EDTA−2Na)
D2:メチルグリシン二酢酸3ナトリウム(BASF社製、Trilon M、略称:MGDA)
D3:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(キレスト株式会社製、PH−212、略称:HEDP)
【0045】
<(E)成分>
E1:ジエチレングリコールモノブチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、ブチルジグリコール)
E2:ジエチレングリコールモノエチルエーテル(日本乳化剤株式会社製、エチルジグリコール)
【0046】
<(F)成分>
F1:蒸留水
【0047】
<(G)成分>
G1:硫酸亜鉛(関東化学株式会社製、試薬特級)
G2:塩化亜鉛(関東化学株式会社製、試薬特級)
【0048】
<その他の任意成分>
水酸化ナトリウム(関東化学株式会社製、試薬特級)
パラトルエンスルホン酸(関東化学株式会社製、試薬特級)
【0049】
(実施例1〜35、比較例1〜13)
表1〜6に示す組成に従い、液体洗浄剤1000gを下記の手順で調製した。
1Lビーカーに(F)成分の70〜80質量%を投入し、次いで(B)成分、(C)成分、(D)成分及び(E)成分を投入し、マグネチックスターラー(Fine製、F−606N)で充分に攪拌した。混合終了後、25℃でのpHが7〜9の範囲になるように、必要に応じpH調整剤(実施例32は水酸化ナトリウムで調整した。その他はpHが7〜9の範囲であったため調整は行わなかった)を適量加えた後、(A)成分を加え攪拌しながら、全体量が98質量%になるように(F)成分を加え、さらによく攪拌した。表中のpH(25℃)になるように、必要に応じpH調整剤(水酸化ナトリウム又はパラトルエンスルホン酸)を適量加えた後、全体量が100質量%になるように(F)成分を加えて、各例の液体洗浄剤を得た。
なお、(A)成分の配合量が少ない実施例5〜7、比較例2については、予め(A)成分を(F)成分の一部で希釈したものを適量添加した。実施例5〜7には、(A)成分の0.1質量%水溶液を用い、比較例2には(A)成分の0.001質量%水溶液を用いた。
得られた液体洗浄剤について、すすぎ性評価、泡立ち評価、洗浄力評価及び液外観評価を行い、その結果を表中に示す。
【0050】
(実施例36〜44、比較例14)
表7〜8に示す組成に従い、液体洗浄剤1000gを下記の手順で調製した。
1Lビーカーに(F)成分の70〜80質量%を投入し、続いて、(D)成分及び(E)成分を投入し、さらに(G)成分を投入し、マグネチックスターラー(Fine製 F−606N)で充分に攪拌した。その後、(B)成分及び(C)成分を加え、攪拌した。この段階で、液体のpH(25℃)は7〜9であった。次いで、(A)成分を加え、攪拌しながら、全体量が98質量%になるように(F)成分を加え、さらによく攪拌した。表中のpH(25℃)になるように、必要に応じpH調整剤(パラトルエンスルホン酸)を適量加えた後、全体量が100質量%になるように(F)成分を加えて、各例の液体洗浄剤を得た。
得られた液体洗浄剤について、すすぎ性評価、泡立ち評価、洗浄力評価、液外観評価及び浴室排水口の悪臭抑制評価を行い、その結果を表中に示す。
【0051】
(評価方法)
<すすぎ性評価>
≪評価水≫
以下の3種類の評価水を用いてすすぎ性評価を行った。
・評価水1
神奈川県横浜市にて採水した水道水(ケイ素含有量が多い水道水のモデル)
カルシウム(Ca):17mg/L、マグネシウム(Mg):4mg/L、ケイ素(Si):9mg/L
・評価水2
沖縄県浦添市にて採水した水道水(ケイ素含有量が少ない水道水のモデル)
Ca:17mg/L、Mg:2mg/L、Si:2mg/L
・評価水3
塩化カルシウム二水和物(関東化学株式会社試薬特級)1.6gを蒸留水に溶解して20Lとしたもの(ケイ素を含有しない水道水のモデル)
Ca:17mg/L、Mg:0mg/L、Si:0mg/L
【0052】
≪評価水中のCa、Si、Mgの測定方法≫
下記条件にて、評価水中のCa、Si、Mgの各々の含有量を測定した。
装置:ICP発光分光分析装置(Perkin Elmer製、Optima5300DV)
測定条件:キャリアガス;2.3kg/cm、補助ガス;0.4L/min、プラズマガス;16.0L/min、高周波出力;1.3kW
標準液の調製:混合標準液(SPEX社製、XSTC−22:100μg/mL)を0.01mL、1mL採取し、これに5質量%硝酸水溶液(硝酸(特級、関東化学株式会社製)と蒸留水を用いて調整)を加えて10mLとし、0.1μg/mL、10μg/mL標準液を調製した。
【0053】
≪評価方法≫
各例の液体洗浄剤20gと各評価水のいずれか30gとを含浸させたウレタン製のスポンジ(20×10×5cm)を用いて、FRP浴槽(TOTO株式会社製:135×65×55cm)の内側全面を擦り、泡立てた。
その後、スポンジに含浸させたものと同じ評価水を用いて浴槽をすすいだ。評価水を掛け始めてから泡が目視で確認できなくなるまでの時間(すすぎ時間)を測定した。浴槽をすすぐ際には、各評価水を20L容器に入れ、アウトドア用シャワー(パール金属製、どこでもシャワーTP−V10、ブライトンネット株式会社製、DC−ACコンバーター)を用い、評価水を浴槽に掛けた(水温25℃、流量4L/分)。評価水毎に、すすぎ時間を5回測定し、その平均を求め、下記判定基準に従って評価した。評価が「○」以上であれば、実使用上、すすぎ性が良好である。
【0054】
≪評価基準≫
◎◎:すすぎ時間が60秒未満。
◎:すすぎ時間が60秒以上80秒未満。
○:すすぎ時間が80秒以上100秒未満。
△:すすぎ時間が100秒以上120秒未満。
×:すすぎ時間が120秒以上。
【0055】
<泡立ち評価>
≪評価方法≫
「すすぎ性評価」で液体洗浄剤を泡立てた際の泡の状態を、下記の判定基準に基づいて目視評価した。判定基準は以下の通りである。なお、判定が3点以上であれば、実使用上、泡立ちが良好である。
【0056】
≪評価基準≫
5点:泡立ちが非常に良好で、浴槽全体に豊かな泡が立つ。
4点:泡立ちがかなり良好で、浴槽全体を泡が覆い、一部に豊かな泡が立つ。
3点:泡立ちが良好で、浴槽全体を泡が覆う。
2点:泡立ちにむらがある。
1点:若干泡立つ程度。
【0057】
<浴室汚れに対する洗浄力評価>
≪評価方法≫
牛脂(関東化学株式会社製)10g、大豆油(関東化学株式会社製)10g、ステアリン酸カルシウム(関東化学株式会社製、鹿1級)3g、ウシ血清アルブミン(SIGMA社製、A2153)2gをクロロホルム(関東化学株式会社製、特級)30mLと混合して汚垢液を調製した。この汚垢液に1×5cmのFRP板(TOTO株式会社製)を浸漬して汚れを付着させ、1晩乾燥させる工程を3回繰り返して汚垢板とした。
100mLガラス瓶に液体洗浄剤50mLを入れ、この液体洗浄剤に汚垢板を1分間浸漬し、その後、汚垢板を取り出して、汚れ落ちの状態を目視で観察した。3個の汚垢板について、汚れ落ちの状態を観察し、下記評価基準に従って総合的に評価した。なお、評価が3点以上であれば、実使用上、洗浄力が良好である。
【0058】
≪評価基準≫
5点:汚れ落ちが非常に良好
4点:汚れ落ちがかなり良好
3点:汚れ落ちが良好
2点:汚れ落ちにムラがある
1点:ほとんど汚れが落ちない
【0059】
<液外観評価>
≪評価方法≫
調製直後の液体洗浄剤100mLを100mLガラス瓶(広口規格びん:PS−No11)に入れ、蓋をして25℃の恒温槽に1時間放置後、液外観を下記評価基準に従って目視判定した。なお、評価「○」以上であれば、実使用上、外観が良好である。
【0060】
≪評価基準≫
◎:透明均一で異物なし。
○:わずかに濁っているが透明感を有し、沈殿、浮遊物は認められない。
△:濁っているが、沈殿、浮遊物、分離は認められない。
×:沈殿、浮遊物又は分離が認められる。
【0061】
<浴室排水口の悪臭抑制効果>
評価水3を用いたすすぎ性評価と同様な手順ですすぎ性評価を行い、すすぎ完了後の、排水口の臭気を評価した。
予め、排水口には、以下の処理を施した。塩素系パイプクリーナー(ルック濃効パイプマン、ライオン株式会社製)で殺菌洗浄した後、充分量の水道水ですすぎ、排水口に汚れや臭気が無いことを確認した。その後、排水口の排水部からその下部1cmの間に、家庭の浴室排水口から採取したヌメリを塗布し、これを悪臭源とした。前記ヌメリの塗布量は、臭気強度が5点となるように、0.1〜0.5gで調整された。
30歳代の男性5名、30歳代の女性5名の評価者が、排水口の上部5cmに鼻を近づけて、下記臭気強度の判定基準に従って浴室排水口の臭気強度を判定した。即ち、洗浄前の排水口の臭気強度5点に設定し、各液体洗浄剤のすすぎ評価が完了した後の排水口の臭いを評価した。評価者10名の判定結果の平均を下記評価基準に分類し、浴室排水口の悪臭抑制効果を評価した。なお、評価「○」以上であれば、悪臭抑制効果が良好である。
【0062】
≪臭気強度の判定基準≫
5点:耐えられない程度の強い臭気。
4点:強い臭気。
3点:明らかに感じる臭気。
2点:何のニオイかわかる程度の臭気。
1点:やっと感知できる程度の臭気。
0点:無臭
【0063】
≪評価基準≫
◎:0点以上1点未満。
○:1点以上〜3点未満。
×:3点以上。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】

【0066】
【表3】

【0067】
【表4】

【0068】
【表5】

【0069】
【表6】

【0070】
【表7】

【0071】
【表8】

【0072】
表1〜5に示すように、本発明の液体洗浄剤は、優れた洗浄力と泡立ちを有し、かつ、ケイ素成分の少ない水ですすぎを行ってもすすぎ性が良好であった。液体洗浄剤の液外観も良好であった。
実施例1〜7において、(B)/(A)比が100〜1500の範囲である実施例1〜4は、特にすすぎ性に優れていた。また、実施例18〜21において、(B)/(D)比が1.5〜4の範囲である実施例19、20は、すすぎ性評価がいずれの評価水でも「◎◎」で、かつ洗浄力及び泡立ちが他の実施例より優れていた。
一方、表5〜6に示すように、(A)成分の配合量(ケイ素換算)が本発明の範囲外となる、比較例1、2は、ケイ素成分が少ない評価水(評価水2、3)を用いた場合のすすぎ性が劣っていた。また、(B)成分と(C)成分との合計量、(C)/{(B)+(C)}比、又は(B)/(D)比が本発明の範囲外となる、比較例3〜10はすすぎ性、洗浄力又は泡立ちが劣っていた。(E)成分を配合しない比較例11は液外観が濁りを呈し、すすぎ性、泡立ち、洗浄力も劣っていた。また、本発明のpHの範囲外となる比較例12〜13はケイ素成分が少ない評価水(評価水2、3)を用いた場合のすすぎ性が劣る結果であった。
さらに、表7〜8の結果に示すように、(G)成分を配合した実施例36〜43は、すすぎ性、泡立ち、洗浄力及び液外観が良好であり、かつ(G)成分を配合していない実施例44及び比較例14に比べて浴室排水口の悪臭抑制効果に優れていた。実施例38と実施例43との比較において、(D)成分としてMGDAを用いた実施例38は、実施例43に比べて、浴室排水口の悪臭抑制効果に優れるものであった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)〜(F)成分を混合して得られる浴室用液体洗浄剤組成物であって、(B)成分と(C)成分との合計が3〜15質量%、(B)成分/{(B)成分+(C)成分}で表される質量比が0.2〜0.8、(B)成分/(D)成分で表される質量比が1〜8、25℃でpH7〜9であることを特徴とする浴室用液体洗浄剤組成物。
(A)成分:水溶性ケイ酸塩をケイ素換算で0.000005〜0.05質量%。
(B)成分:炭素数8〜18の脂肪酸又はそのアルカリ金属塩。
(C)成分:(B)成分以外の界面活性剤。
(D)成分:金属イオン封鎖剤。
(E)成分:炭素数2〜4の1価アルコール、炭素数4〜12の多価アルコール、炭素数4〜10のグリセリルエーテル及び炭素数3〜10のグリコールエーテルから選ばれる1種以上の溶剤。
(F)成分:水。
【請求項2】
(B)成分/(A)成分(ケイ素換算)で表される質量比が50〜50,000であることを特徴とする請求項1に記載の浴室用液体洗浄剤組成物
【請求項3】
(D)成分はアミノカルボン酸及び/又はその塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室用液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
さらに、(G)成分:20℃の水100gにおける溶解度が5g以上の亜鉛塩を混合してなることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の浴室用液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−82407(P2012−82407A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−203035(P2011−203035)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】