浴室用鏡のフレーム取付構造
【課題】 本発明は、下側鏡フレーム40内に水が溜まることなく、且つ壁面2の清掃中などに鏡フレーム40の下端をスポンジなどで引っ掛けた場合であっても、鏡フレーム40の固定が外れることがない浴室用鏡のフレーム取付構造を提供することを目的とする。
【解決手段】 壁面2に固定される固定部21と、鏡3の下端が載置される鏡載置部22と、鏡載置部22の前端から上方に向かって折曲された掛止部23とを有する下側鏡止め具20と、下側鏡止め具20に対して一体的に取り付けられ、下側鏡止め具20よりも下方に第1の係合部34が配置された補強具30と、下端部が壁面2と離間した状態で、鏡3の表面側下縁部、下側鏡止め具20、および補強具30を掩蔽することが可能な樹脂製の鏡フレーム40と、を備え、鏡フレーム40は、掛止部23に掛止される折り返し部42と、第1の係合部34と係合可能な第2の係合部43とで固定されている。
【解決手段】 壁面2に固定される固定部21と、鏡3の下端が載置される鏡載置部22と、鏡載置部22の前端から上方に向かって折曲された掛止部23とを有する下側鏡止め具20と、下側鏡止め具20に対して一体的に取り付けられ、下側鏡止め具20よりも下方に第1の係合部34が配置された補強具30と、下端部が壁面2と離間した状態で、鏡3の表面側下縁部、下側鏡止め具20、および補強具30を掩蔽することが可能な樹脂製の鏡フレーム40と、を備え、鏡フレーム40は、掛止部23に掛止される折り返し部42と、第1の係合部34と係合可能な第2の係合部43とで固定されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に取り付けられる鏡の正面側下縁部を掩蔽するための浴室用鏡のフレーム取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の壁面に取り付けられる鏡の周縁部を掩蔽するために、樹脂製の鏡フレームを取り付けたものが知られている。樹脂製の鏡フレームを用いることは、アルミ等の金属製のものに比べて安価に製造できるという利点がある。
【0003】
特許文献1には、背面側が壁面に当接した状態でネジ固定される固定部と、固定部から正面側に向かって延出形成した底部と、 底部の正面側端部から上方に向かって延出形成し鏡正面の下縁部を掩蔽する見え掛り部と、見え掛り部の上端が背面側且つ下方側へ折り返され、鏡取付材の前面を構成する掛止部に引っ掛け固定される折り返し部と、見え掛り部中段やや下方から壁面側へ水平に延出し鏡取付材の下端を支持するための載置部と、を備えた樹脂製の下側鏡フレームが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された下側鏡フレームは、底部の前端および後端からそれぞれ固定部および見え掛り部が延出する形態となっている。従って、下側鏡フレーム内に流れ込んだ水は、底部上に留まりやすく、それに起因してカビが発生するといった虞があった。
【0005】
そこで、図13に示すように、下側鏡フレーム400の下端部を壁面200から離間させて排水用隙間410を形成し、下側鏡フレーム400の上端に形成された折り返し部420を、鏡300の下端を支持するための鏡取付材200の掛止部230に引っ掛けて固定する方法が考えられる。この排水用隙間410により、下側鏡フレーム400内に流れ込んだ水を抜くことは可能となるが、下側鏡フレーム400の固定に関し問題が生じる。すなわち、下側鏡フレーム400は、折り返し部420のみで鏡取付材に固定されるため、例えば壁面200を掃除する際に、スポンジなどの清掃具によって下側鏡フレーム400の下端を引っ掛けてしまうと、下側鏡フレーム400が剛性の低い樹脂製であることから折り返し部420が変形し、下側鏡フレーム400が鏡取付材200から容易に外れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−94939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑み、下側鏡フレーム内に水が溜まることなく、且つ下側鏡フレームを確実に固定することができる浴室用鏡のフレーム取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1によれば、浴室の壁面に取り付けられる鏡の正面側下縁部を掩蔽するための浴室用鏡フレームの取付構造であって、背面側が前記壁面に対して固定される固定部と、前記固定部から正面側に向かって延出し前記鏡の下端が載置される鏡載置部と、前記鏡載置部から上方に向かって延出した掛止部とを有する下側鏡止め具と、前記壁面に対して固定されるとともに、前記下側鏡止め具の下方位置に第1の係合部を有する補強具と、下端部が前記壁面との間に排水用隙間を形成し、前記鏡の正面側下縁部、前記下側鏡止め具、および前記補強具を掩蔽する樹脂製の下側鏡フレームと、を備え、前記下側鏡フレームは、上端部に前記掛止部に掛止する折り返し部を有し、上端部と下端部の上下方向の間に前記第1の係合部と係合する第2の係合部を有することを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造を提供する。
【0009】
この態様によれば、下側鏡フレームの壁面側の端部と壁面との間に排水用隙間が形成されているため、下側鏡フレーム内に流れ込んだ水を排水用隙間から抜くことができる。さらに、下側鏡フレームは、掛止部で鏡止め具の折曲部と、第2の係合部で補強具の第1の係合部とで、それぞれ固定されているため、例えば下側鏡フレームの下端と壁面との間の排水用隙間に清掃用のスポンジなどを引っ掛けた場合等でも、下側鏡フレームが外れることがないよう確実に固定することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2によれば、前記第1の係合部は上方に向かって突出形成された第1の爪部を有し、前記第2の係合部は下方に向かって突出形成された第2の爪部を有し、前記第2の係合部は前記第1の係合部よりも上方位置に配置されることを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造を提供する。
【0011】
この態様によれば、第2の係合部の下方に第1の係合部が配置されている。下側鏡フレームの壁面側の端部を正面側に向けて引っ張った場合、下側鏡フレームは下側鏡止め具の掛止部に掛止している上端部を中心として回転し、第2の係合部がその動きに追随して下方へ移動しようとする。しかしながら、この第2の係合部の移動は第1の係合部によって妨げられ、さらに、第1の係合部の第1の爪部と、第2の係合部の第2の爪部とが深く噛み合うことになるため、係合が外れることがなく、下側鏡フレームをより確実に固定することができる。
【0012】
また、本発明の請求項3によれば、前記下側鏡止め具および前記補強具の少なくともいずれか一方には、互いを嵌合するとともに、互いの相対的な位置関係を規定する嵌合部を有することを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造を提供する。
【0013】
この態様によれば、鏡止め具と補強具の相対位置が嵌合部によって容易に規定されるため、下側鏡フレームの掛止部と第2の係合部を正確な位置に固定することができ、下側鏡フレームをより確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下側鏡フレーム内に水が溜まることなく、且つ下側鏡フレームを確実に固定することができる浴室用鏡のフレーム取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る鏡フレームを備えた浴室ユニットの概略図
【図2】本発明に係る鏡フレーム取付構造を示す分解斜視図
【図3】本発明に係る鏡フレームの取付状態を示す正面図
【図4】(a)上側鏡止めが上方位置にある状態 (b)上側鏡止めが下方位置にある状態
【図5】本発明に係る鏡フレーム取付構造の取付手順を示す図
【図6】下側鏡止め具及び補強具が分解された状態を示す斜視図
【図7】下側鏡止め具及び補強具が壁面に固定される状態を示す断面図
【図8】下側鏡止め具及び補強具が壁面に固定される状態を示す斜視図
【図9】下側鏡止め具及び補強具が一体化された状態を示す正面図
【図10】下側鏡フレームの断面図
【図11】下側鏡フレームが固定される状態を示す断面図
【図12】鏡が設置された状態を示す図
【図13】従来の鏡フレーム取付構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
図1は、本発明に係る鏡フレームを備えた浴室ユニットの概要を示す図である。図1に示すように、浴室ユニットの壁面2に対して鏡3が固定されており、鏡3の上縁部および下縁部を、それぞれ上側鏡フレーム7と下側鏡フレーム40で掩蔽している。
【0018】
図2は、本発明に係る鏡フレームの取付構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明に係る鏡フレームの取付状態を示す正面図である。図2、図3に示すように、鏡3の下部には複数の下側鏡止め具20が間隔を空けて水平状に壁面に固定されており、鏡3の上部にも同様に複数の上側鏡止め具5が間隔を空けて水平状に壁面に固定されている。尚、詳細は後述するが、下側鏡止め具20は、別体で形成された補強具30と一体化された状態で壁面2に固定される。
【0019】
図4に示すように、上側鏡止め具5は、壁面2に固定された状態で、上方位置と下方位置とを切り替え可能なように鉛直方向にスライド可能となっている。つまり、図5に示すように上側鏡止め具5と、下側鏡止め具20および補強具30を所定の間隔となるように壁面2に対してネジ固定し、上側鏡止め具5を上方位置にした状態で鏡3を上側鏡止め具5と下側鏡止め具20の間に設置し、次いで上側鏡止め具5を下方位置に移動させる。この手順で上下の鏡止め具5、20に対して鏡3を固定することができる。
【0020】
上側鏡フレーム7は、鏡3が固定された状態で鏡3の上方から鏡3の上端を間に挟み込むように差し込まれ取り付けられる。一方、下側鏡フレーム40は、鏡3を設置する前に、下側鏡止め具20および補強具30に対して固定される。
【0021】
図6は、下側鏡止め具20と補強具30の斜視図である。図7は、下側鏡止め具20と補強具30が壁面に取り付けられる際の状態を示す断面図である。図8は、複数の下側鏡止め具20と補強具30が壁面に取り付けられる際の状態を示す断面図である。図9は、下側鏡止め具20及び補強具30が一体化された状態を示す正面図である。
【0022】
図6〜図9に示すように、下側鏡止め具20は、壁面2に沿って形成され、背面側が壁面2に対してネジ固定するためのネジ孔25が形成された固定部21と、固定部21の下端から正面側に向かって水平状に延出され、鏡3の下端を支持するための鏡載置部22と、鏡載置部22の前端から上方に向かって延出され、鏡3の下縁部正面側と当接する掛止部23と、を備えている。下側鏡止め具20の固定部21には、正面側に向かって傾斜状に突出した弾性変形可能なストッパー部26が形成されている。このストッパー部26は、鏡3が下側鏡止め具20に設置された状態で、鏡3を掛止部23側に向けて押し付ける力を作用させる。また、固定部21の上部には鉛直方向に形成された一対の切り欠き27が形成されている。
【0023】
補強具30は、壁面2に沿って形成され、下側鏡止め具20の固定部21の背面と壁面との間に装着される介装部31と、下側鏡止め具20の鏡載置部22よりも下方の離間した位置に配置され、介装部31の下端から正面側に向かって水平状に延出された突出部32と、突出部32の先端から上方側且つ壁面(背面)側に向かって傾斜した第1の係合部33(第1の爪部34)と、を備えている。第1の係合部33と下側鏡止め具20の鏡載置部22とは離間して配置されている。
【0024】
補強具30の介装部31には、ネジ孔35が形成されており、下側鏡止め具20のネジ孔25と連通するように配置されている。下側鏡止め具20と補強具30は、それぞれのネジ孔25、35を介して壁面2にネジ固定されている。
【0025】
また、補強具30の介装部31の上部には、正面側に向かって突出形成された
一対の位置決めリブ36が形成されている。図9に示すように、下側鏡止め具20の上端に形成された一対の切り欠き27内に補強具30の一対の位置決めリブ36を背面側から差し込むことで、下側鏡止め具20と補強具30の相対的な位置関係を規定することができる。このように、位置決めリブ36と切り欠き27を嵌合させることで、別体で形成された掛止部23と第1の係合部33を所定の位置関係に配置することができる。
【0026】
図10は、下側鏡フレーム40を示す断面図である。下側鏡フレーム40は鏡3の下端と略同一長さを持った長尺状の樹脂成形品であり、押し出し成形によって製造されるため、断面が長さ方向に対して同形状になっている。図10に示すように下側鏡フレーム40は断面略L字状に形成され、鏡3の下縁部、下側鏡止め具20、および補強具30を掩蔽するための掩蔽部41と、掩蔽部41の上端から後方側且つ下方側に向かって略180度、折り返された折り返し部42と、掩蔽部41の上下方向の中間位置に補強具30の第1の係合部33と係合可能なように背面側に向かって突出形成され、先端に下方側且つ正面側に向かって傾斜した第2の係合部43(第2の爪部44)とを備える。
【0027】
図11は、下側鏡フレーム40が、下側鏡止め具20および補強具30に対して固定される状態の変遷を示した断面図である。
【0028】
まず、下側鏡フレーム40を傾けた状態で、下側鏡フレーム40の折り返し部42を、下側鏡止め具20の掛止部23に引っ掛ける。次いで、下側鏡フレーム40の折り返し部を軸にして、下側鏡フレーム40の第2の係合部43を、下側鏡止め具20の鏡載置部22と補強具30の突出部32の間に差込む。この際、第1の係合部33と第2の係合部43のそれぞれが僅かに弾性変形することで、第2の爪部44が、第1の爪部34を乗り越えることができる。
【0029】
このように、下側鏡フレーム40は、上端が折り返し部42で下側鏡止め具20の掛止部23と、上下方向の中間位置で第2の係合部43が補強具30の第1の係合部33と、それぞれ固定されているため、容易に外れることがない。
【0030】
また、図12に示すように、第1の係合部33と第2の係合部43が係合した状態において、下側鏡フレーム40の下端は壁面2との間に排水用隙間70が形成されるように離間して取り付けられる。排水用隙間70を形成することにより、下側鏡フレーム40に流れ込んだ水は留まることなく排水されることになる。
【0031】
また、本発明では、下方に向かって突出形成した第2の爪部44を有する第2の係合部43が、上方に向かって突出形成した第1の爪部34を有する第1の係合部33よりも上方位置に配置している。このようにすることで、排水用隙間70にスポンジ等の清掃具を引っ掛けて下側鏡フレーム40の下端が正面側に引っ張られた場合であっても、金属材料から形成された比較的強度の高い第1の爪部34で第2の係合部43が拘束されているため、第2の係合部43まで下側鏡フレーム40の下端の動きが追随することがない。
【0032】
例えば、第2の係合部43が第1の係合部33よりも下方位置に配置された状態で係合
している場合は、第2の係合部43が下側鏡フレーム40の下端の動きに追随しやすいため、係合が外れやすくなる。
【0033】
上述したように、本発明によれば、下側鏡フレーム40内に水が溜まることなく、且つ下側鏡フレーム40を確実に固定することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…浴室ユニット、2…壁面、3…鏡、5…上側鏡止め具、7…上側鏡フレーム、20…下側鏡止め具、21…固定部、22…鏡載置部、23…掛止部、25…ネジ孔、26…ストッパー部、27…切り欠き、30…補強具、31…介装部、32…突出部、33…第1の係合部、34…第1の爪部、35…ネジ孔、36…位置決めリブ、40…下側鏡フレーム、41…掩蔽部、42…折り返し部、43…第2の係合部、44…第2の爪部、70…排水用隙間
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の壁面に取り付けられる鏡の正面側下縁部を掩蔽するための浴室用鏡のフレーム取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴室の壁面に取り付けられる鏡の周縁部を掩蔽するために、樹脂製の鏡フレームを取り付けたものが知られている。樹脂製の鏡フレームを用いることは、アルミ等の金属製のものに比べて安価に製造できるという利点がある。
【0003】
特許文献1には、背面側が壁面に当接した状態でネジ固定される固定部と、固定部から正面側に向かって延出形成した底部と、 底部の正面側端部から上方に向かって延出形成し鏡正面の下縁部を掩蔽する見え掛り部と、見え掛り部の上端が背面側且つ下方側へ折り返され、鏡取付材の前面を構成する掛止部に引っ掛け固定される折り返し部と、見え掛り部中段やや下方から壁面側へ水平に延出し鏡取付材の下端を支持するための載置部と、を備えた樹脂製の下側鏡フレームが開示されている。
【0004】
特許文献1に開示された下側鏡フレームは、底部の前端および後端からそれぞれ固定部および見え掛り部が延出する形態となっている。従って、下側鏡フレーム内に流れ込んだ水は、底部上に留まりやすく、それに起因してカビが発生するといった虞があった。
【0005】
そこで、図13に示すように、下側鏡フレーム400の下端部を壁面200から離間させて排水用隙間410を形成し、下側鏡フレーム400の上端に形成された折り返し部420を、鏡300の下端を支持するための鏡取付材200の掛止部230に引っ掛けて固定する方法が考えられる。この排水用隙間410により、下側鏡フレーム400内に流れ込んだ水を抜くことは可能となるが、下側鏡フレーム400の固定に関し問題が生じる。すなわち、下側鏡フレーム400は、折り返し部420のみで鏡取付材に固定されるため、例えば壁面200を掃除する際に、スポンジなどの清掃具によって下側鏡フレーム400の下端を引っ掛けてしまうと、下側鏡フレーム400が剛性の低い樹脂製であることから折り返し部420が変形し、下側鏡フレーム400が鏡取付材200から容易に外れてしまう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−94939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上述した課題に鑑み、下側鏡フレーム内に水が溜まることなく、且つ下側鏡フレームを確実に固定することができる浴室用鏡のフレーム取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の請求項1によれば、浴室の壁面に取り付けられる鏡の正面側下縁部を掩蔽するための浴室用鏡フレームの取付構造であって、背面側が前記壁面に対して固定される固定部と、前記固定部から正面側に向かって延出し前記鏡の下端が載置される鏡載置部と、前記鏡載置部から上方に向かって延出した掛止部とを有する下側鏡止め具と、前記壁面に対して固定されるとともに、前記下側鏡止め具の下方位置に第1の係合部を有する補強具と、下端部が前記壁面との間に排水用隙間を形成し、前記鏡の正面側下縁部、前記下側鏡止め具、および前記補強具を掩蔽する樹脂製の下側鏡フレームと、を備え、前記下側鏡フレームは、上端部に前記掛止部に掛止する折り返し部を有し、上端部と下端部の上下方向の間に前記第1の係合部と係合する第2の係合部を有することを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造を提供する。
【0009】
この態様によれば、下側鏡フレームの壁面側の端部と壁面との間に排水用隙間が形成されているため、下側鏡フレーム内に流れ込んだ水を排水用隙間から抜くことができる。さらに、下側鏡フレームは、掛止部で鏡止め具の折曲部と、第2の係合部で補強具の第1の係合部とで、それぞれ固定されているため、例えば下側鏡フレームの下端と壁面との間の排水用隙間に清掃用のスポンジなどを引っ掛けた場合等でも、下側鏡フレームが外れることがないよう確実に固定することができる。
【0010】
また、本発明の請求項2によれば、前記第1の係合部は上方に向かって突出形成された第1の爪部を有し、前記第2の係合部は下方に向かって突出形成された第2の爪部を有し、前記第2の係合部は前記第1の係合部よりも上方位置に配置されることを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造を提供する。
【0011】
この態様によれば、第2の係合部の下方に第1の係合部が配置されている。下側鏡フレームの壁面側の端部を正面側に向けて引っ張った場合、下側鏡フレームは下側鏡止め具の掛止部に掛止している上端部を中心として回転し、第2の係合部がその動きに追随して下方へ移動しようとする。しかしながら、この第2の係合部の移動は第1の係合部によって妨げられ、さらに、第1の係合部の第1の爪部と、第2の係合部の第2の爪部とが深く噛み合うことになるため、係合が外れることがなく、下側鏡フレームをより確実に固定することができる。
【0012】
また、本発明の請求項3によれば、前記下側鏡止め具および前記補強具の少なくともいずれか一方には、互いを嵌合するとともに、互いの相対的な位置関係を規定する嵌合部を有することを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造を提供する。
【0013】
この態様によれば、鏡止め具と補強具の相対位置が嵌合部によって容易に規定されるため、下側鏡フレームの掛止部と第2の係合部を正確な位置に固定することができ、下側鏡フレームをより確実に固定することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、下側鏡フレーム内に水が溜まることなく、且つ下側鏡フレームを確実に固定することができる浴室用鏡のフレーム取付構造を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係る鏡フレームを備えた浴室ユニットの概略図
【図2】本発明に係る鏡フレーム取付構造を示す分解斜視図
【図3】本発明に係る鏡フレームの取付状態を示す正面図
【図4】(a)上側鏡止めが上方位置にある状態 (b)上側鏡止めが下方位置にある状態
【図5】本発明に係る鏡フレーム取付構造の取付手順を示す図
【図6】下側鏡止め具及び補強具が分解された状態を示す斜視図
【図7】下側鏡止め具及び補強具が壁面に固定される状態を示す断面図
【図8】下側鏡止め具及び補強具が壁面に固定される状態を示す斜視図
【図9】下側鏡止め具及び補強具が一体化された状態を示す正面図
【図10】下側鏡フレームの断面図
【図11】下側鏡フレームが固定される状態を示す断面図
【図12】鏡が設置された状態を示す図
【図13】従来の鏡フレーム取付構造を示す図
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しつつ説明する。なお、各図面中、同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0017】
図1は、本発明に係る鏡フレームを備えた浴室ユニットの概要を示す図である。図1に示すように、浴室ユニットの壁面2に対して鏡3が固定されており、鏡3の上縁部および下縁部を、それぞれ上側鏡フレーム7と下側鏡フレーム40で掩蔽している。
【0018】
図2は、本発明に係る鏡フレームの取付構造を示す分解斜視図である。図3は、本発明に係る鏡フレームの取付状態を示す正面図である。図2、図3に示すように、鏡3の下部には複数の下側鏡止め具20が間隔を空けて水平状に壁面に固定されており、鏡3の上部にも同様に複数の上側鏡止め具5が間隔を空けて水平状に壁面に固定されている。尚、詳細は後述するが、下側鏡止め具20は、別体で形成された補強具30と一体化された状態で壁面2に固定される。
【0019】
図4に示すように、上側鏡止め具5は、壁面2に固定された状態で、上方位置と下方位置とを切り替え可能なように鉛直方向にスライド可能となっている。つまり、図5に示すように上側鏡止め具5と、下側鏡止め具20および補強具30を所定の間隔となるように壁面2に対してネジ固定し、上側鏡止め具5を上方位置にした状態で鏡3を上側鏡止め具5と下側鏡止め具20の間に設置し、次いで上側鏡止め具5を下方位置に移動させる。この手順で上下の鏡止め具5、20に対して鏡3を固定することができる。
【0020】
上側鏡フレーム7は、鏡3が固定された状態で鏡3の上方から鏡3の上端を間に挟み込むように差し込まれ取り付けられる。一方、下側鏡フレーム40は、鏡3を設置する前に、下側鏡止め具20および補強具30に対して固定される。
【0021】
図6は、下側鏡止め具20と補強具30の斜視図である。図7は、下側鏡止め具20と補強具30が壁面に取り付けられる際の状態を示す断面図である。図8は、複数の下側鏡止め具20と補強具30が壁面に取り付けられる際の状態を示す断面図である。図9は、下側鏡止め具20及び補強具30が一体化された状態を示す正面図である。
【0022】
図6〜図9に示すように、下側鏡止め具20は、壁面2に沿って形成され、背面側が壁面2に対してネジ固定するためのネジ孔25が形成された固定部21と、固定部21の下端から正面側に向かって水平状に延出され、鏡3の下端を支持するための鏡載置部22と、鏡載置部22の前端から上方に向かって延出され、鏡3の下縁部正面側と当接する掛止部23と、を備えている。下側鏡止め具20の固定部21には、正面側に向かって傾斜状に突出した弾性変形可能なストッパー部26が形成されている。このストッパー部26は、鏡3が下側鏡止め具20に設置された状態で、鏡3を掛止部23側に向けて押し付ける力を作用させる。また、固定部21の上部には鉛直方向に形成された一対の切り欠き27が形成されている。
【0023】
補強具30は、壁面2に沿って形成され、下側鏡止め具20の固定部21の背面と壁面との間に装着される介装部31と、下側鏡止め具20の鏡載置部22よりも下方の離間した位置に配置され、介装部31の下端から正面側に向かって水平状に延出された突出部32と、突出部32の先端から上方側且つ壁面(背面)側に向かって傾斜した第1の係合部33(第1の爪部34)と、を備えている。第1の係合部33と下側鏡止め具20の鏡載置部22とは離間して配置されている。
【0024】
補強具30の介装部31には、ネジ孔35が形成されており、下側鏡止め具20のネジ孔25と連通するように配置されている。下側鏡止め具20と補強具30は、それぞれのネジ孔25、35を介して壁面2にネジ固定されている。
【0025】
また、補強具30の介装部31の上部には、正面側に向かって突出形成された
一対の位置決めリブ36が形成されている。図9に示すように、下側鏡止め具20の上端に形成された一対の切り欠き27内に補強具30の一対の位置決めリブ36を背面側から差し込むことで、下側鏡止め具20と補強具30の相対的な位置関係を規定することができる。このように、位置決めリブ36と切り欠き27を嵌合させることで、別体で形成された掛止部23と第1の係合部33を所定の位置関係に配置することができる。
【0026】
図10は、下側鏡フレーム40を示す断面図である。下側鏡フレーム40は鏡3の下端と略同一長さを持った長尺状の樹脂成形品であり、押し出し成形によって製造されるため、断面が長さ方向に対して同形状になっている。図10に示すように下側鏡フレーム40は断面略L字状に形成され、鏡3の下縁部、下側鏡止め具20、および補強具30を掩蔽するための掩蔽部41と、掩蔽部41の上端から後方側且つ下方側に向かって略180度、折り返された折り返し部42と、掩蔽部41の上下方向の中間位置に補強具30の第1の係合部33と係合可能なように背面側に向かって突出形成され、先端に下方側且つ正面側に向かって傾斜した第2の係合部43(第2の爪部44)とを備える。
【0027】
図11は、下側鏡フレーム40が、下側鏡止め具20および補強具30に対して固定される状態の変遷を示した断面図である。
【0028】
まず、下側鏡フレーム40を傾けた状態で、下側鏡フレーム40の折り返し部42を、下側鏡止め具20の掛止部23に引っ掛ける。次いで、下側鏡フレーム40の折り返し部を軸にして、下側鏡フレーム40の第2の係合部43を、下側鏡止め具20の鏡載置部22と補強具30の突出部32の間に差込む。この際、第1の係合部33と第2の係合部43のそれぞれが僅かに弾性変形することで、第2の爪部44が、第1の爪部34を乗り越えることができる。
【0029】
このように、下側鏡フレーム40は、上端が折り返し部42で下側鏡止め具20の掛止部23と、上下方向の中間位置で第2の係合部43が補強具30の第1の係合部33と、それぞれ固定されているため、容易に外れることがない。
【0030】
また、図12に示すように、第1の係合部33と第2の係合部43が係合した状態において、下側鏡フレーム40の下端は壁面2との間に排水用隙間70が形成されるように離間して取り付けられる。排水用隙間70を形成することにより、下側鏡フレーム40に流れ込んだ水は留まることなく排水されることになる。
【0031】
また、本発明では、下方に向かって突出形成した第2の爪部44を有する第2の係合部43が、上方に向かって突出形成した第1の爪部34を有する第1の係合部33よりも上方位置に配置している。このようにすることで、排水用隙間70にスポンジ等の清掃具を引っ掛けて下側鏡フレーム40の下端が正面側に引っ張られた場合であっても、金属材料から形成された比較的強度の高い第1の爪部34で第2の係合部43が拘束されているため、第2の係合部43まで下側鏡フレーム40の下端の動きが追随することがない。
【0032】
例えば、第2の係合部43が第1の係合部33よりも下方位置に配置された状態で係合
している場合は、第2の係合部43が下側鏡フレーム40の下端の動きに追随しやすいため、係合が外れやすくなる。
【0033】
上述したように、本発明によれば、下側鏡フレーム40内に水が溜まることなく、且つ下側鏡フレーム40を確実に固定することができる。
【符号の説明】
【0034】
1…浴室ユニット、2…壁面、3…鏡、5…上側鏡止め具、7…上側鏡フレーム、20…下側鏡止め具、21…固定部、22…鏡載置部、23…掛止部、25…ネジ孔、26…ストッパー部、27…切り欠き、30…補強具、31…介装部、32…突出部、33…第1の係合部、34…第1の爪部、35…ネジ孔、36…位置決めリブ、40…下側鏡フレーム、41…掩蔽部、42…折り返し部、43…第2の係合部、44…第2の爪部、70…排水用隙間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室の壁面に取り付けられる鏡の正面側下縁部を掩蔽するための浴室用鏡フレームの取付構造であって、
背面側が前記壁面に対して固定される固定部と、前記固定部から正面側に向かって延出し前記鏡の下端が載置される鏡載置部と、前記鏡載置部から上方に向かって延出した掛止部とを有する下側鏡止め具と、
前記壁面に対して固定されるとともに、前記下側鏡止め具の下方位置に第1の係合部を有する補強具と、
前記壁面側の端部が前記壁面との間に排水用隙間を形成し、前記鏡の正面側下縁部、前記下側鏡止め具、および前記補強具を掩蔽する樹脂製の下側鏡フレームと、を備え、
前記下側鏡フレームは、上端部に前記掛止部に掛止する折り返し部を有し、上端部と下端部の上下方向の間に前記第1の係合部と係合する第2の係合部を有する
ことを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造。
【請求項2】
前記第1の係合部は上方に向かって突出形成された第1の爪部を有し、
前記第2の係合部は下方に向かって突出形成された第2の爪部を有し、
前記第2の係合部は前記第1の係合部よりも上方位置に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の浴室用鏡のフレーム取付構造。
【請求項3】
前記下側鏡止め具および前記補強具の少なくともいずれか一方には、互いを嵌合するとともに、互いの相対的な位置関係を規定する嵌合部を有することを特徴とする請求項1または2記載の浴室用鏡のフレーム取付構造。
【請求項1】
浴室の壁面に取り付けられる鏡の正面側下縁部を掩蔽するための浴室用鏡フレームの取付構造であって、
背面側が前記壁面に対して固定される固定部と、前記固定部から正面側に向かって延出し前記鏡の下端が載置される鏡載置部と、前記鏡載置部から上方に向かって延出した掛止部とを有する下側鏡止め具と、
前記壁面に対して固定されるとともに、前記下側鏡止め具の下方位置に第1の係合部を有する補強具と、
前記壁面側の端部が前記壁面との間に排水用隙間を形成し、前記鏡の正面側下縁部、前記下側鏡止め具、および前記補強具を掩蔽する樹脂製の下側鏡フレームと、を備え、
前記下側鏡フレームは、上端部に前記掛止部に掛止する折り返し部を有し、上端部と下端部の上下方向の間に前記第1の係合部と係合する第2の係合部を有する
ことを特徴とする浴室用鏡のフレーム取付構造。
【請求項2】
前記第1の係合部は上方に向かって突出形成された第1の爪部を有し、
前記第2の係合部は下方に向かって突出形成された第2の爪部を有し、
前記第2の係合部は前記第1の係合部よりも上方位置に配置される
ことを特徴とする請求項1記載の浴室用鏡のフレーム取付構造。
【請求項3】
前記下側鏡止め具および前記補強具の少なくともいずれか一方には、互いを嵌合するとともに、互いの相対的な位置関係を規定する嵌合部を有することを特徴とする請求項1または2記載の浴室用鏡のフレーム取付構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−273815(P2010−273815A)
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128364(P2009−128364)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000010087)TOTO株式会社 (3,889)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]