説明

浴室用電子機器

【課題】浴室の壁面に取り付けられる浴室テレビでは、内部に水等が侵入しないようにケーシングは水密構造にする必要がある。但し、完全にケーシングを外部に対して密閉すると、ケーシング内の温度変化により内部圧力が高低しスピーカが壊れる場合がある。そのため、ケーシングの背面部に通気孔を設けていたが、通気孔を設けることによりケーシングの密閉性が損なわれ、密閉性の観点からは望ましくない。
【解決手段】ケーシングの背面部12に開口13を形成し、その開口13をゴム製のダイアフラム2で封鎖した。そして、このダイアフラム2と壁部Wとの間に形成される空間4を、通気チューブ31を介して外聞時連通させた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室テレビや風呂リモコンのように、水密なケーシングを備え、浴室内に取り付けられる浴室用電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の浴室用電子機器は浴室内で使用されるため、ケーシング内に水や水蒸気が侵入しないように水密構造のケーシングが採用されている。但し、ケーシング内には画像表示部やその他の電子基板やその他の電子部材が内蔵されており、通電されるとケーシング内部で発熱し内部の空気が膨張する。逆に通電が停止するとケーシング内部の空気が冷却され収縮する。膨張時に内部空気が徐々に漏出すると、冷却時に内部の圧力が不圧になり、水分をケーシング内部に吸引するおそれが生じる。また、浴室テレビのようにスピーカを備えるものでは、ケーシング内の圧力によって振動板が撓み音質が低下し、もしくはスピーカが破損するおそれが生じる。
【0003】
そこで、浴室内の水分がかからない位置に対してケーシングを積極的に開口して通気を可能とし、ケーシング内の圧力が変化しないようにするため、ケーシング自体に通気孔が形成されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−208046号公報(図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ケーシングは防水の観点からは完全に密閉することが望ましいが、上述の理由により、通気孔を設ける必要がある。すると、この通気孔により密閉性が損なわれ、通気シールで通気孔を塞いでも完璧な密閉性が期待できるものではない。
【0005】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、ケーシングを完全な密閉構造としてもケーシング内の圧力変化がほとんど生じない浴室用電子機器を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明による浴室用電子機器は、水密に密閉されたケーシング内に電子基板その他の電子部材を備え、浴室内に設置される浴室用電子機器において、ケーシングの背面部に、ダイアフラムを設け、このダイアフラムを介してケーシング内と外気圧部分とを接触させ、ケーシング内の圧力を常に外気圧部分と略同じ圧力になるようにしたことを特徴とする。
【0007】
但し、浴室用電子機器は壁部に固定される場合に、固定された状態で浴室用機器と浴室の壁部との間の隙間をコーキングしてケーシングの背面部を浴室内部に対して完全に隔絶する場合が多い。すると、ケーシングの背面部が大気圧部分と隔絶されるおそれが生じる。
【0008】
そこで、上記ダイアフラムをケーシングの背面部より凹んだ位置に設けると共に、ケーシングの背面部に、ケーシング内の回路基板その他の電子部材に接続されるケーブル類が一体にまとめられたハーネスを取り付け、このハーネス内にケーブル類と共に通気チューブを組み込み、ケーシングの背面部を浴室の壁部に取り付けた状態でダイアフラムと壁部との間に形成される空間に対して通気チューブの一端を開口し、この空間を通気チューブを介して大気圧部分に連通させることが望ましい。
【0009】
あるいは、上記ダイアフラムとケーシングとで挟まれる空間を形成すると共に、ケーシングの背面部に、ケーシング内の回路基板その他の電子部材に接続されるケーブル類が一体にまとめられたハーネスを取り付け、このハーネス内にケーブル類と共に通気チューブを組み込み、上記空間に通気チューブの一端を接続して、この空間を通気チューブを介して大気圧部分に連通させてもよい。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、本発明は、ケーシング内部と外部とを連通する通気孔を設ける必要がないので、ケーシングが完全に密閉構造となり、水やその他の小昆虫などのケーシング内への侵入を完全に遮断することができる。なお、ケーシング内の圧力が変化してもダイアフラムが変形して、ケーシング内の圧力は常に大気圧とほぼ同じ圧力に保たれる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
図1を参照して、1は本発明にかかる浴室用電子機器の一例である浴室テレビであり、浴室BRの壁部Wに固定されている。この浴室テレビ1は、壁部Wに固定されたあと、壁部と浴室テレビ1との隙間がコーキング剤Cによって埋められ、壁部Wと浴室テレビ1との間に水が入り込まないように施工されている。なお、浴室テレビ1にはメッシュ状のカバーで隠されているが、左右にスピーカが設けられている。
【0012】
浴室テレビ1のケーシングは水密性が確保されるように密閉されているが、図3に示すように、背面部12に窓状の開口13を形成し、その開口13をゴム製のダイアフラム2で、ケーシングの内側から封鎖した。このように開口13をダイアフラムで封鎖したので、ケーシングの密閉性が損なわれることはない。なお、ダイアフラム2には波状に形成した可撓部21を設け、ダイアフラム2が変形しやすいようにした。
【0013】
このように、ダイアフラム2を設けることによりケーシング内部と外部の大気圧部分とがダイアフラム2を介して隣り合うことになるので、例えばケーシングに熱湯が掛けられたり内部での発熱で、ケーシング内の空気が加熱されても、ダイアフラム2が外側に変形してケーシング内の圧力が上昇することを防止する。
【0014】
なお、上述のように浴室テレビ1を壁部Wに取り付けると周囲をコーキング剤Cで封止するので、ダイアフラム2の外側の圧力が大気圧に保持されなくなるおそれが生じる。その場合には、図4に示すように、ハーネス3内に通気チューブ31を組み込み、通気チューブ31の一端31aを、ダイアフラム2と壁部Wとの間に形成される空間4に対して開口させればよい。このように構成することにより、この空間4は通気チューブ31を介して大気圧部分と連通することになり、したがって、空間4内の圧力が大気圧状態に保持される。
【0015】
また、図5に示すように、ケーシングの背面部12を延長して底板部12aを形成し、この底板部12aとダイアフラム2とで形成される空間5を通気チューブ31を介して大気圧部分に連通させるようにしてもよい。
【0016】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。例えば、上記実施の形態では、浴室テレビ1の背面部全体を浴室BRの壁部Wに固定し、浴室テレビ1の周囲をコーキングしたが、浴室テレビ1を壁部Wから若干浮かせて取り付け、更に浴室テレビ1の角度を調節できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【図2】浴室テレビの外観図
【図3】浴室テレビの背面部を示す図
【図4】通気チューブの取り付け状態を示すIV-IV断面図
【図5】通気チューブの他の取り付け状態を示す図
【符号の説明】
【0018】
1 浴室テレビ
2 ダイアフラム
3 ハーネス
4 空間
5 空間
12 背面部
12a 底板部
13 開口
21 可撓部
31 通気チューブ
BR 浴室
C コーキング剤
W 壁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水密に密閉されたケーシング内に電子基板その他の電子部材を備え、浴室内に設置される浴室用電子機器において、ケーシングの背面部に、ダイアフラムを設け、このダイアフラムを介してケーシング内と外気圧部分とを接触させ、ケーシング内の圧力を常に外気圧部分と略同じ圧力になるようにしたことを特徴とする浴室用電子機器。
【請求項2】
上記ダイアフラムをケーシングの背面部より凹んだ位置に設けると共に、ケーシングの背面部に、ケーシング内の回路基板その他の電子部材に接続されるケーブル類が一体にまとめられたハーネスを取り付け、このハーネス内にケーブル類と共に通気チューブを組み込み、ケーシングの背面部を浴室の壁部に取り付けた状態でダイアフラムと壁部との間に形成される空間に対して通気チューブの一端を開口し、この空間を通気チューブを介して大気圧部分に連通させたことを特徴とする請求項1に記載の浴室用電子機器。
【請求項3】
上記ダイアフラムとケーシングとで挟まれる空間を形成すると共に、ケーシングの背面部に、ケーシング内の回路基板その他の電子部材に接続されるケーブル類が一体にまとめられたハーネスを取り付け、このハーネス内にケーブル類と共に通気チューブを組み込み、上記空間に通気チューブの一端を接続して、この空間を通気チューブを介して大気圧部分に連通させたことを特徴とする請求項1に記載の浴室用電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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