説明

浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法

【課題】浴槽ミスト洗浄装置の洗浄効率を向上させることができる浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法を提供する。
【解決手段】この課題を解決するために、浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法は、径が0.1乃至50μmの液体のミストMを発生させるミスト発生部40を備えると共にミスト発生部40にて発生させた液体のミストMを浴槽内空間2に吐出する浴槽ミスト洗浄装置4を用いた洗浄方法であって、浴槽内空間2の容積を増減させることで、浴槽内空間2に吐出した液体のミストMの浴槽壁1への付着効率を調節するものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽壁の汚れを洗剤液を微粒子状にした洗剤ミストによって洗浄する浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、浴槽壁の表面に付着した汚れを除去するのには手間がかかり、殊に入浴後の浴槽壁に付着した垢の除去は不愉快で面倒な作業であった。
【0003】
従来より、浴槽壁等の浴室の汚れを除去するための洗浄システムとして、浴室の上部に設置したスプレーノズルから洗剤をスプレーし、その後、水噴霧ノズルから水を霧状に噴霧して洗剤をすすぐものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
ところが、上記特許文献1に示された洗浄システムでは、洗剤用のスプレーノズルと水噴霧ノズルとがそれぞれ必要となり、設備コストが高くつくだけでなく、浴槽壁の細部には洗剤が浸透しないものであった。殊に洗剤や水の行き渡らない陰になる部分は汚れが除去され難く十分な洗浄ができず、洗浄効率が高くないという課題を有していた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002−253440号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の従来の問題点に鑑みて発明したものであって、その目的とするところは、浴槽ミスト洗浄装置の洗浄効率を向上させることができる浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために請求項1記載の浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法は、径が0.1μm乃至50μmの液体のミストMを発生させるミスト発生部40を備えると共にミスト発生部40にて発生させた液体のミストMを浴槽内空間2に吐出する浴槽ミスト洗浄装置4を用いた洗浄方法であって、浴槽内空間2の容積を増減させることで、浴槽内空間2に吐出した液体のミストMの浴槽壁1への付着効率を調節することを特徴とするものである。
【0008】
このような構成とすることで、浴槽壁1への付着効率を高めて、洗浄効率を向上させることができ、高効率のミスト洗浄を行うことが可能となる。
【0009】
また請求項2記載の発明は、請求項1において、浴槽内空間2に溜まっている浴水を増減させることで、浴槽内空間2の容積を増減させることを特徴とするものである。このような構成とすることで、簡単な構成で浴槽壁1への付着効率を高めて高効率のミスト洗浄を行うことが可能となる。
【0010】
また請求項3記載の発明は、請求項1において、浴槽内空間2内に突出する膨大部71を設けた風呂蓋7を載置することで、浴槽内空間2の容積を増減させることを特徴とするものである。このような構成とすることで、簡単な構成で浴槽壁1への付着効率を高めて高効率のミスト洗浄を行うことが可能となる。
【0011】
また請求項4記載の浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法は、径が0.1μm乃至50μmの液体のミストMを発生させるミスト発生部40を備えると共にミスト発生部40にて発生させた液体のミストMを浴槽内空間2に吐出する浴槽ミスト洗浄装置4を用いた洗浄方法であって、浴室Bの吸排気手段8による加圧・減圧により、ミストを浴槽の細部に行き渡らせることを特徴とするものである。このような構成とすることで、ミストMを浴槽の細部に行き渡らせて、洗浄効率を向上させることができ、高効率のミスト洗浄を行うことが可能となる。
【0012】
また請求項5記載の発明は、請求項4において、浴室Bの上下方向の略中央部に仕切り9を設置することで、ミストMを浴槽の細部に行き渡らせることを特徴とするものである。このような構成とすることで、浴槽を設けた下部の細部にミストMがより多く行き渡ると共に、吸排気手段8にてミストが循環して洗浄効率が向上する。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、浴槽ミスト洗浄装置の洗浄効率を向上させることができ、高効率のミスト洗浄を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の洗浄方法で用いる浴槽ミスト洗浄装置の構成例の断面図である。
【図2】ミスト発生部の一例の断面図である。
【図3】本発明の一実施形態の断面図である。
【図4】同上の他の実施形態の要部断面図である。
【図5】同上の更に他の実施形態の断面図である。
【図6】同上の更に他の実施形態の要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を添付図面に示す実施形態に基いて説明する。
【0016】
本洗浄方法の実施形態に用いる浴槽ミスト洗浄装置4は、図1に示すように、浴槽壁1に形成された連通空間3及びミスト発生部40と、ミスト発生部40に溜める洗剤液5を生成するための液貯留タンク41、液搬送経路42、給水経路43で主体が構成される。
【0017】
液貯留タンク41は、洗剤の原液44を貯留するタンクであり、浴槽外に設置される。液貯留タンク41の底部付近には、液貯留タンク41内に貯留している洗剤の原液44を搬送する液搬送経路42となる配管の一端部が配置される。液搬送経路42には、途中に液搬送経路42を開閉するための液搬送バルブ45が設けてあり、液搬送経路42の他端部はミスト発生部40に接続される。
【0018】
ミスト発生部40は、液体を溜めることができる構造となっており、液搬送経路42の他端部が接続されると共に、水道等の給水源からの給水経路43が接続される。給水経路43の途中には給水弁46が設けてある。このミスト発生部40には、液搬送バルブ45を開いて液貯留タンク41内に貯留してある洗剤の原液44を液搬送経路42を介して供給すると共に、給水弁46を開いて給水源より給水経路43を介して水を供給し、洗剤の原液44の所定の濃度の水溶液を生成してミスト洗浄用の洗剤液5とするものである。なお、すすぎ洗浄を行う場合には、ミスト発生部40に水のみを溜めておくものである。
【0019】
ミスト発生部40としては、超音波振動によるミスト発生部40、スチームによるミスト発生部40、圧力噴霧によるミスト発生部40、アーク放電によるミスト発生部40が挙げられる。これにより、高効率でミスト発生部40にてミストMを発生させることが可能となる。
【0020】
超音波振動子47を設けたミスト発生部40の場合には、超音波振動子47はミスト発生部40に溜まっている洗剤液5中に浸漬されるように配置され、発信器(図示せず)からの発振出力が供給されて洗剤液5を超音波振動させて、例えばミスト径が0.1〜50μm程度の微粒子状の洗剤ミストMが生成されるようになっている。このミスト発生部40は、連通空間3を介して浴槽内空間2に連通している。
【0021】
スチームによるミスト発生部40の場合には、液体を加温してスチームを発生させることでミストMを発生させる。また、アーク放電によるミスト発生部の場合には、高電圧ブロックにより高電圧を印加してミスト化するものである。また、図2に示すように、超音波振動子47およびアーク放電の電極48を設けたミスト発生部40の場合には、高効率でミストMを発生させることができる。
【0022】
また、ミスト発生部40に液体のミストMの温度を加温する加温手段6を設けてもよく、これにより、加温された温ミストMを発生させて拡散性及び洗浄力を向上させることができる。
【0023】
連通空間3は、浴槽内空間2とミスト発生部40とを連通してミストMの浴槽内空間2への経路となる空間であり、本実施形態ではダクト状部材30の一端側の開口を浴槽壁1に形成した開口に接続して浴槽内空間2への開口部31とすると共に、他端側の開口をミスト発生部40に接続してあり、ダクト状部材30内が連通空間3となるものである。
【0024】
この浴槽ミスト洗浄装置4の動作について説明すると、まず、液搬送バルブ45を開いて、洗剤の原液44を液貯留タンク41から液搬送経路42を介してミスト発生部40に搬送すると共に、給水弁46を開いて水道等の給水源より給水経路43を介してミスト発生部40に給水し、洗剤の原液44を所定の濃度に薄めてミスト洗浄用の洗剤液5を生成する。洗剤の原液としては市販の浴室用洗剤(例えば「バスマジックリン」)でよく、希釈濃度は通常例えば10倍(この場合例えば洗剤30ccに対して水270cc)とし、浴槽内空間2の容積が300Lの浴槽に300ccの洗剤液5を準備する。
【0025】
次に、ミスト発生部40の超音波振動子47を振動させて、ミスト発生部40に溜まっている洗剤液5を霧状化して洗剤ミストMを発生させる。発生した洗剤ミストMは、連通空間3を介して浴槽内空間2に所定時間(例えば通常60分間)吐出し、浴槽壁1に付着することで既に浴槽壁1に付着している汚れを浮かせるものである。
【0026】
また、浴槽壁1のすすぎ洗浄を行う場合には、液搬送バルブ45は閉じたままにしてミスト発生部40に洗剤の原液44を供給せず、給水弁46を開いてミスト発生部40に給水して水のみを溜める。そして、ミスト発生部40の超音波振動子47を振動させて、ミスト発生部40に溜まっている水を霧状化して水のミストMを発生させて浴槽内空間2に吐出し、水のミストMを浴槽壁1に付着させて浴槽壁1のすすぎ洗浄を行うものである。
【0027】
なお、上述した動作は図示しない制御部によって制御されるものである。
【0028】
このように、径が0.1〜50μmの洗剤液5のミストMをミスト発生部40により発生させてミスト洗浄を行うことで、浴槽壁1の表面に付着している汚れに浸透してこの汚れを浮かせて除去することができ、浴槽形状に関係なく隅々まで洗浄を行うことができて、カビや菌の繁殖を抑えることが可能となる。
【0029】
本例では、一つのミスト発生部40に液搬送経路42と給水経路43とを接続して、洗剤液5のミストMを発生させる場合には液搬送経路42を介して洗剤の原液を供給すると共に給水経路43を介して水を供給してミスト発生部40に洗剤液5を溜め、水のミストMを発生させる場合には給水経路43を介して水を供給してミスト発生部40に水を溜めることができて、一つのミスト発生部40にて洗剤液5のミストMと水のミストMの両方を発生させることができる。
【0030】
また、このような超音波振動によるミスト発生部40を備えたものにおいては、超音波の振動数を増減することで発生させるミストMの径が調節可能となる。高周波の超音波振動によりミストMを発生させると、径の小さな(0.1〜20μm程度)のミストMが生成され、少量であっても拡散効率及び浸透性が高くなって洗浄効果が高く、低周波の超音波振動によりミストMを発生させると、径の大きな(1〜50μm程度)のミストMが生成され、多量のミストMを発生させてすすぎ洗浄が効果的に行われる。
【0031】
次に、本装置の変形例について説明する。本例では、ミスト発生部40にて洗剤液5のミストMを発生させるための洗剤液5の洗剤濃度及び、洗剤液5のミストMの吐出量を自動で調節するように制御するものである。
【0032】
これは例えば、汚れがひどい場合には、操作部により「強力洗浄モード」を入力することで、洗剤濃度が例えば通常の二倍(即ち五倍希釈)の洗剤液5を生成してミスト発生部40に溜め、通常の1.5〜3倍の時間(即ち90〜180分間)ミスト洗浄を行う。これにより、「強力洗浄モード」とするだけで強力なミスト洗浄が可能となる。
【0033】
次に、本洗浄方法の実施形態について説明する。本実施形態では、浴槽内空間2の容積を増減させることで、浴槽内空間2に吐出した液体のミストMの浴槽壁1への付着効率を調節するものである。
【0034】
浴槽内空間2の容積の増減は、浴槽内空間2に溜まっている浴水を増減させることで増減したり、浴槽内空間2内に突出する膨大部71を設けた風呂蓋7を載置することで増減したりするものである(図3参照)。
【0035】
浴水を増減させる場合には、喫水面を通常の喫水面よりも数cm下げることで、汚れが最も付着し易い浴槽壁1の喫水面付近に集中的にミストMを吐出することができて洗浄効率を向上させることができる。また、図3に示すように膨大部を設けた風呂蓋7を載置する場合には、ミストMを浴槽壁1の表面全面付近に集中的にミストMを吐出することができて洗浄効率を向上させることができる。
【0036】
次に、他の実施形態について説明する。本実施形態では、浴室Bの吸排気手段8による加圧・減圧により、浴室Bの換気扇等の吸排気手段8により浴室B内を加圧・減圧して浴室B内を正圧・負圧とすることで、ミストMを浴槽の細部に行き渡らせるものである。これにより、浴槽の細部の汚れを除去することが可能となる。また図4に示すように、連通空間3より分岐して浴槽壁1とエプロン9との間の空間Sに吐出可能な分岐経路33を設け、連通空間3と分岐経路33に弁32、34をそれぞれ設け、ミストMの吐出を浴槽内空間2だけでなくエプロン9内の空間Sにも切替えて吐出可能に形成すれば、エプロン内の汚れも除去することが可能となる。
【0037】
またこの時、図5に示すように浴室Bの上下方向の略中央部に仕切り9を設置することで、浴槽を設けた下部の細部にミストMがより多く行き渡ると共に、吸排気手段8にてミストが循環して洗浄効率が向上する。
【0038】
また、図6に示すようにミスト洗浄開始と同時に浴槽の封水部Fの封水を抜くためのバルブV1を開として封水を抜くことで、封水部FにミストMが多く行き渡って洗浄される。
【符号の説明】
【0039】
1 浴槽壁
2 浴槽内空間
3 連通空間
40 ミスト発生部
5 洗剤液
M ミスト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
径が0.1μm乃至50μmの液体のミストを発生させるミスト発生部を備えると共にミスト発生部にて発生させた液体のミストを浴槽内空間に吐出する浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法であって、浴槽内空間の容積を増減させることで、浴槽内空間に吐出した液体のミストの浴槽壁への付着効率を調節することを特徴とする浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法。
【請求項2】
浴槽内空間に溜まっている浴水を増減させることで、浴槽内空間の容積を増減させることを特徴とする請求項1記載の浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法。
【請求項3】
浴槽内空間内に突出する膨大部を設けた風呂蓋を載置することで、浴槽内空間の容積を増減させることを特徴とする請求項1記載の浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法。
【請求項4】
径が0.1μm乃至50μmの液体のミストを発生させるミスト発生部を備えると共にミスト発生部にて発生させた液体のミストを浴槽内空間に吐出する浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法であって、浴室の吸排気手段による加圧・減圧により、ミストを浴槽の細部に行き渡らせることを特徴とする浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法。
【請求項5】
浴室の上下方向の略中央部に仕切りを設置することで、ミストを浴槽の細部に行き渡らせることを特徴とする請求項4記載の浴槽ミスト洗浄装置を用いた洗浄方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−194336(P2010−194336A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108418(P2010−108418)
【出願日】平成22年5月10日(2010.5.10)
【分割の表示】特願2005−280945(P2005−280945)の分割
【原出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】