説明

浴槽用手摺り

【課題】浴槽の側壁の厚みに合わせて容易に固定でき、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な浴槽用手摺りを提供する。
【解決手段】浴槽用手摺り1は、浴槽の側壁の外側と内側にそれぞれ配置される外側本体部材100と内側本体部材200とを備える。固定帯歯120は外側本体部材100上に配置される。可動帯歯220は内側本体部材200上に配置されて、固定帯歯120と嵌合する。ロックレバー140は、外側本体部材100に回動可能に取り付けられる。ロックレバー140が回動することによって、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが固定される固定状態と、固定帯歯120と可動帯歯220とが固定されない非固定状態とを切り替える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には浴槽用手摺りに関し、特定的には、浴槽に着脱可能に取り付けられる浴槽用手摺りに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、浴槽の側壁に着脱可能に取り付けられる浴槽用手摺りがある。
【0003】
例えば、特開2010−246691号公報(特許文献1)には、浴槽の側壁の上端部に取り付けて使用される浴槽用手摺りが記載されている。この浴槽用手摺りを使用するときには、まず、側片が浴槽の外側に位置するように本体具を側壁の上端部に被せて配置し、押圧具の押圧板を側壁の浴槽外の面に、押圧受け具の押圧受け板を側壁の浴槽内の面に、それぞれ対向させる。そして一対の押圧受け具のスライド片を本体具の差込穴の奥へとスライドさせることによって、各押圧受け具の押圧受け板を移動させ、側壁の浴槽内の面に押圧受け板の滑り止めシートを貼った外面を当接させるものである。
【0004】
この浴槽用手摺りでは、押圧受け具のスライド片には係合溝が設けられ、本体具にはラッチ爪が設けられている。ラッチ爪は、スライド片に向かって付勢されて、係合溝と係合している。ラッチ爪にはスライド傾斜面が形成され、係合溝には傾斜面が形成されている。ラッチ爪のスライド傾斜面と係合溝の傾斜面とは、スライド片を差込穴の奥へスライドさせる方向で対面している。スライド片を差込穴の奥へ押し込む力をかけることによって、係合溝の傾斜面でラッチ爪のスライド傾斜面が押され、ラッチ爪が係合溝から抜ける。このためスライド片を差込穴の奥へ押し込む方向に力をかけることによって、大きな抵抗なく押圧受け具をスライドさせることができる。
【0005】
また、この浴槽用手摺りでは、操作ハンドルのハンドルノブを回す操作を行って、ボルト軸を回動させて螺進させ、ボルト軸の先端に設けた押圧具の押圧板を浴槽の側壁面に向かって前進移動させる。ハンドルノブを強く回して押圧板を浴槽の側壁に圧接させることによって、押圧板と押圧受け板との間に側壁を挟み込む。このようにして、押圧板と押圧受け板による安定した挟持力で、浴槽用手摺りを浴槽の側壁の上端部に強固に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2010−246691号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の浴槽用手摺りでは、ラッチ爪のスライド傾斜面と係合溝の傾斜面とを対向させ、スライド時にはラッチ爪のスライド傾斜面を係合溝の傾斜面で押すために、係合溝は、スライド方向に沿ってある程度の大きさの幅を有する必要がある。スライド方向に沿った係合溝の幅が大きければ大きいほど、スライド操作による押圧受け具の移動距離の調整が粗くなる。スライド操作による押圧受け具の移動距離の調整が粗ければ、押圧受け板を浴槽の側壁に当接させるように押圧板と押圧受け板との間隔を調整するために、ハンドルノブを大きく締め込まなければならなくなる。
【0008】
このように、特許文献1の浴槽用手摺りでは、押圧板と押圧受け板とを浴槽の側壁に当接させるために、スライド操作で押圧受け具を移動させた上、さらに、ハンドルノブを大きく締め込まなければならない。そのため、押圧板と押圧受け板との間隔の調整や、浴槽の側壁への浴槽手摺りの取り付け作業、取り外しを容易に行うことができない。
【0009】
そこで、この発明の目的は、浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することが容易であって、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な浴槽用手摺りを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に従った浴槽用手摺りは、外側本体部材と、内側本体部材と、第1の嵌合部と、第2の嵌合部と、挟み部材とを備える。
【0011】
外側本体部材は、浴槽の側壁の外側に配置される。内側本体部材は、浴槽の側壁の内側に配置される。第1の嵌合部は、複数の凹部および/または凸部を含み、外側本体部材に配置される。第2の嵌合部は、複数の凹部および/または凸部を含み、内側本体部材に配置されて、第1の嵌合部と嵌合する。挟み部材は、第1の嵌合部または第2の嵌合部の一方を第1の嵌合部または第2の嵌合部の他方との間で挟むために外側本体部材または内側本体部材に取り付けられる。そして、当該浴槽用手摺りは、第1の嵌合部または第2の嵌合部の一方が、第1の嵌合部または第2の嵌合部の他方と挟み部材とによって挟まれることによって第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合した状態で第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定される固定状態と、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定されない非固定状態とを切り替えることが可能となるように構成されている。
【0012】
以上のように構成される本発明の浴槽用手摺りは、使用時には、まず、外側本体部材が浴槽の外側に配置され、内側本体部材が浴槽の内側に配置される。外側本体部材と内側本体部材とは、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合するように配置される。第1の嵌合部と第2の嵌合部はそれぞれ、複数の凹部と凸部とを含むので、第1の嵌合部のどの凹部または凸部と、第2の嵌合部のどの凸部または凹部とを嵌合させるのかを変更することによって、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合する長さを調節することができる。第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合する長さを、浴槽の側壁の厚みに沿った方向において調節できるように、第1の嵌合部と第2の嵌合部とを配置すれば、浴槽の側壁の厚みに合わせて、外側本体部材と内側本体部材とを浴槽の側壁の側面上に配置することができる。第1の嵌合部と第2の嵌合部に配置される複数の凹部と凸部の間隔は、必要に応じて細かくすることができる。
【0013】
外側本体部材と内側本体部材とを浴槽の側壁の側面上に配置し、第1の嵌合部と第2の嵌合部とを嵌合させるときには、第1の嵌合部または第2の嵌合部の一方が、第1の嵌合部または第2の嵌合部の他方と挟み部材とによって挟まれるようにして、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合した状態で第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定される固定状態にする。このようにすることにより、内側本体部材と外側本体部材との位置関係が固定される。
【0014】
一方、使用者が第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合する長さを調節するときには、使用者は挟み部材を操作して、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定されない非固定状態にする。第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定されていないので、使用者は、比較的容易に、第1の嵌合部と第2の嵌合部との位置関係を調整することができる。
【0015】
このように、使用者は挟み部材を操作するだけで、浴槽用手摺りが浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。
【0016】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することが容易であって、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な浴槽用手摺りを提供することができる。
【0017】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、挟み部材は、使用者が挟み部材を操作するための操作部を含み、外側本体部材または内側本体部材は、操作部を係止する係止部を含み、操作部と係止部とは、固定状態となるよう挟み部材が操作されたときに係合されるように配置されていることが好ましい。また、操作部は、凹部または凸部を有し、係止部は、操作部の凹部または凸部と係合する凸部または凹部を有することが好ましい。
【0018】
挟み部材が操作部を含むことによって、使用者はより容易に、浴槽用手摺りが浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。また、固定状態にするように挟み部材が操作されたときに操作部が係止部に係止されることによって、浴槽用手摺りを浴槽の側壁上に固定された状態に保つことが容易になる。
【0019】
この発明に従った浴槽用手摺りは、操作部が係止部に係合された状態であることを確認するための係止確認部を備えることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、浴槽用手摺りを浴槽の側壁上に固定された状態に保つことが確実になる。
【0021】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、係止確認部は、係止部に係合された操作部を被覆するように配置されることが好ましい。
【0022】
このようにすることにより、使用者が不用意に操作部と係止部との係合を外して、浴槽用手摺りが浴槽の側壁上に固定されなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0023】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、第1の嵌合部と第2の嵌合部とは帯歯である。
【0024】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて外側本体部材と内側本体部材の位置関係を調整することがさらに容易になる。
【0025】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、挟み部材は、外側本体部材または内側本体部材に回動可能に取り付けられた偏心カムであることが好ましい。偏心カムはカム面を有する。そして、当該浴槽用手摺りは、偏心カムが回動することによって、固定状態と非固定状態とを切り替えることが可能となるよう構成されていることが好ましい。
【0026】
このようにすることにより、使用者は偏心カムを回動させるだけで、浴槽用手摺りが浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。
【0027】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、第1の嵌合部または第2の嵌合部の一方は、第1の嵌合部または第2の嵌合部の他方と偏心カムのカム面とによって挟まれることが好ましい。
【0028】
このようにすることにより、偏心カムを回動させることによって、固定状態と非固定状態とを切り替えることができる。
【0029】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、外側本体部材と内側本体部材とは、それぞれ、水平面内に延在する水平部を含むことが好ましい。第1の嵌合部は外側本体部材の水平部に形成され、第2の嵌合部は内側本体部材の水平部に形成され、偏心カムは鉛直面内で回動するように外側本体部材または内側本体部材に取り付けられていることが好ましい。
【0030】
第1の嵌合部と第2の嵌合部とが水平面内で嵌合する場合、第1の嵌合部と第2の嵌合部との厚みを必要に応じて小さくすることで、嵌合した状態の外側本体部材と内側本体部材との全体の厚みを薄くすることができる。このようにすることにより、浴槽を覆う浴槽蓋と浴槽の側壁の上端面との間にすき間が生じにくくなる。
【0031】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、偏心カムは外側本体部材に取り付けられ、第2の嵌合部は第1の嵌合部と偏心カムのカム面とによって挟まれることが好ましい。
【0032】
このようにすることにより、例えば、内側本体部材を軽くして、使用者が内側本体部材を動かして、浴槽用手摺りを浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することを容易にすることができる。
【0033】
この発明に従った浴槽用手摺りは、内側本体部材に固定される内側把手を備えることが好ましい。
【0034】
このようにすることにより、使用者が内側本体部材を動かすことをさらに容易にすることができる。
【0035】
この発明に従った浴槽用手摺りにおいては、偏心カムは、回動軸からカム面までの距離が相対的に小さい小径部と、回動軸からカム面までの距離が相対的に大きい大径部とを含むことが好ましい。偏心カムは、第1の嵌合部または第2の嵌合部から回動軸までの距離が固定された位置に、第1の嵌合部と第2の嵌合部との嵌合面に略直交する面内で回動するように取り付けられていることが好ましい。
【0036】
偏心カムは、小径部と大径部とを含み、第1の嵌合部または第2の嵌合部から回動軸までの距離が固定されるように配置されている。そのため、偏心カムが回動軸を中心にして回動すると、偏心カムのカム面から第1の嵌合部と第2の嵌合部までの距離が変化する。例えば、偏心カムの大径部が小径部よりも第1の嵌合部と第2の嵌合部側にあるときには、偏心カムの小径部が大径部よりも第1の嵌合部と第2の嵌合部側にあるときと比較して、偏心カムのカム面から第1の嵌合部と第2の嵌合部までの距離が短い。一方、偏心カムの小径部が大径部よりも第1の嵌合部と第2の嵌合部側にあるときには、偏心カムの大径部が小径部よりも第1の嵌合部と第2の嵌合部側にあるときと比較して、偏心カムのカム面から第1の嵌合部と第2の嵌合部までの距離が長い。
【0037】
外側本体部材と内側本体部材とを浴槽の側壁の側面上に配置し、第1の嵌合部と第2の嵌合部とを嵌合させるときには、偏心カムの大径部が小径部よりも第1の嵌合部と第2の嵌合部側にあるように、偏心カムを回動させる。このとき、偏心カムのカム面から第1の嵌合部と第2の嵌合部との距離が相対的に短く、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合した状態で第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定される固定状態になる。このようにすることにより、内側本体部材と外側本体部材との位置関係が固定される。
【0038】
一方、使用者が第1の嵌合部と第2の嵌合部とが嵌合する長さを調節するときには、偏心カムの小径部が大径部よりも第1の嵌合部と第2の嵌合部側にあるように、偏心カムを回動させる。このとき、偏心カムのカム面から第1の嵌合部と第2の嵌合部との距離が相対的に長いので、第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定されない非固定状態になる。第1の嵌合部と第2の嵌合部とが固定されていないので、使用者は、比較的容易に、第1の嵌合部と第2の嵌合部との位置関係を調整することができる。
【0039】
このようにすることにより、偏心カムが回動することによって、固定状態と非固定状態とを切り替えることができる。
【発明の効果】
【0040】
以上のように、この発明によれば、浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することが容易であって、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な浴槽用手摺りを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の一つの実施形態の浴槽用手摺りの断面を示す図である。
【図2】浴槽用手摺りの外側本体部材の全体を示す斜視図である。
【図3】固定状態のときのロックレバーを示す断面図(A)と、非固定状態のときのロックレバーを示す断面図(B)である。
【図4】浴槽用手摺りの内側本体部材の全体を示す斜視図である。
【図5】第2実施形態の浴槽用手摺りが固定状態のときの楔部材を示す断面図(A)と、非固定状態のときの楔部材を示す断面図(B)である。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0043】
(第1実施形態)
図1に示すように、本発明の第1実施形態の浴槽用手摺り1は、本体10と手摺り部材20とを備える。本体10は、外側本体部材100と、内側本体部材200と、係止確認部としてフレーム隠しカバー300と、ハンドルノブ隠しカバー400とから構成されている。
【0044】
外側本体部材100は、主に、固定フレーム110と、第1の嵌合部として固定帯歯120と、第1の押圧板130と、偏心カムとしてロックレバー140と、ロックレバー支持部材150と、フレーム支持部材160と、ハンドルノブ170とから構成されている。ロックレバー140は、挟み部材の一例である。
【0045】
固定フレーム110はL字形状に形成されており、水平部111と鉛直部112とを含む。外側本体部材100が浴槽の側壁に取り付けられた状態で、水平部111は水平面内に延在し、鉛直部112は鉛直面内に延在する。フレーム支持部材160は、固定フレーム110の鉛直部112の外側面を覆うように取り付けられている。フレーム支持部材160には、手摺り部材20を収容する手摺り部材収容部161が形成されている。固定帯歯120は、固定フレーム110の水平部111の上面に取り付けられている。固定帯歯120の表面上には、複数の凹部と凸部として平行に並んだ多数の歯が形成されている。固定帯歯120は、固定フレーム110の水平部111に直接、形成された凹凸や歯であってもよい。第1の押圧板130は、固定フレーム110の鉛直部112の内側面112aから突出するように取り付けられている。ロックレバー140は、ロックレバー支持部材150を介して固定フレーム110の水平部111の上面に取り付けられている。ハンドルノブ170は、フレーム支持部材160に取り付けられている。ハンドルノブ170と第1の押圧板130とはボルト軸によって連結されている。ハンドルノブ170を回動させることによって、ハンドルノブ170からボルト軸に回動力が伝達され、第1の押圧板130平面に直交する方向に沿って、第1の押圧板130が前進後退される。
【0046】
内側本体部材200は、主に、可動フレーム210と、第2の嵌合部として可動帯歯220と、第2の押圧板230と、内側把手として側部グリップ240とから構成されている。可動フレーム210はL字形状に形成されており、水平部211と鉛直部212とを含む。内側本体部材200が浴槽の側壁に取り付けられた状態で、水平部211は水平面内に延在し、鉛直部212は鉛直面内に延在する。可動帯歯220は、可動フレーム210の水平部211の下面に取り付けられている。可動帯歯220の表面上には、複数の凹部と凸部として平行に並んだ多数の歯が形成されている。可動帯歯220は、可動フレーム210の水平部211に直接、形成された凹凸や歯であってもよい。第2の押圧板230は、可動フレーム210の鉛直部212の内側面212aから突出するように可動フレーム210に取り付けられている。側部グリップ240は、可動フレーム210の鉛直部212の外側面212bから突出するように可動フレーム210に取り付けられている。
【0047】
手摺り部材20は、主に、上部グリップ21と支柱22とから構成されている。上部グリップ21は支柱22に固着されている。手摺り部材20は、支柱22の一部が外側本体部材100の手摺り部材収容部161に収容されることによって、外側本体部材100によって支持される。
【0048】
外側本体部材100と内側本体部材200とは、第1の押圧板130と第2の押圧板230とが浴槽の側壁(図示しない)を挟んで対向し、固定帯歯120と可動帯歯220とが対向するように配置される。対向して配置された固定帯歯120と可動帯歯220とは、それぞれの複数の凹部と凸部とで嵌合する。
【0049】
フレーム隠しカバー300は、固定フレーム110の水平部111と可動フレーム210の水平部211を上方から覆うように配置される。フレーム隠しカバー300が外側本体部材100に取り付けられた状態では、フレーム隠しカバー300の内側下面300aは、ロックレバー140の上面と接触する。
【0050】
ハンドルノブ隠しカバー400は、ハンドルノブ170を覆うように、固定フレーム110のフレーム支持部材160に取り付けられる。
【0051】
図2に示すように、外側本体部材100の固定フレーム110の水平部111の上面には、固定帯歯120が取り付けられている。図中に矢印Xで示す方向は、固定フレーム110の鉛直部112(図1)に直交する方向であり、図中に矢印Yで示す方向は、鉛直部112と水平部111とに平行な方向である。固定帯歯120は、長手方向が、固定フレーム110の鉛直部112に直交する方向、すなわち、図中に矢印Xで示す方向に沿うように配置されている。固定帯歯120の凹部と凸部(歯)は、固定帯歯120の長手方向に沿って交互に配置されている。それぞれの歯は、固定帯歯120の長手方向に直交する方向に沿って延びている。固定帯歯120は、図中に矢印Yで示す、固定フレーム110の鉛直部112に平行な面に沿って、水平部111の幅全体の一部に取り付けられている。なお、固定帯歯120は、水平部111の幅全体に取り付けられていてもよい。
【0052】
また、外側本体部材100の固定フレーム110の水平部111の上面には、ロックレバー支持部材150を介してロックレバー140が取り付けられている。ロックレバー支持部材150は、固定帯歯120から所定の距離、離れた位置に、ロックレバー140の回動軸を固定するためのものである。
【0053】
図3に示すように、ロックレバー140は、回動軸141と、カム面142と、使用者がロックレバー140を回動させるための操作部143とを含む。図3においては、可動帯歯220を一点鎖線で示す。ロックレバー140の回動軸141は水平面内に配置され、ロックレバー140は鉛直面内で回動する。ロックレバー140は、また、固定帯歯120の長手方向に平行な面内で回動する。使用者は操作部143を保持して、ロックレバー140を回動させることができる。
【0054】
ロックレバー140は、回動軸141からカム面142までの距離が相対的に小さい小径部142aと、回動軸141からカム面142までの距離が相対的に大きい大径部142bとを含む。操作部143には、凹部144が形成されている。回動軸141は、回動軸141と固定帯歯120とが距離Dの間隔を保つように、ロックレバー支持部材150に固定されている。ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間には隙間が形成されている。ロックレバー支持部材150の端部には、係止部として凸部151が形成されている。
【0055】
図3の(A)に示すように、ロックレバー140の大径部142bが小径部142aよりも固定帯歯120側にある場合には、ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間に距離Dの隙間が形成される。このとき、ロックレバー140の操作部143の凹部144とロックレバー支持部材150の凸部151とが係合し、ロックレバー140は回動しないように固定される。このとき、ロックレバー140はロック状態にされている。
【0056】
一方、図3の(B)に示すように、ロックレバー140の小径部142aが大径部142bよりも固定帯歯120側にあるときには、カム面142と固定帯歯120との間に距離Dの隙間が形成される。このとき、ロックレバー140の操作部143の凹部144とロックレバー支持部材150の凸部151とは係合しない。このとき、ロックレバー140は非ロック状態にされている。
【0057】
図3の(A)に示すように、ロックレバー140がロック状態にあるときには、ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の距離Dの隙間は、相対的に小さい。一方、図3の(B)に示すように、ロックレバー140が非ロック状態にあるときには、ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の距離Dの隙間は、相対的に大きい。
【0058】
このように、使用者は、操作部143を持ってロックレバー140を回動させて、ロックレバー140のロック状態と非ロック状態を切り替えることができる。使用者は、同時に、ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の隙間の大きさを変化させることができる。
【0059】
図4に示すように、内側本体部材200の可動フレーム210の水平部211の下面には、可動帯歯220が取り付けられている。可動帯歯220は、複数の凹部と凸部を有する。可動帯歯220の凹部と凸部(歯)は、固定帯歯120(図3)の歯と嵌合するように形成されている。可動フレーム210は、可動フレーム210の水平部211が、図3に示すロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の隙間を通って、矢印Xで示す方向に沿ってスライドするように、固定フレーム110(図2)と組み合わされる。固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合された状態では、固定帯歯120の上端面よりも上方に延在する可動フレーム210の水平部211の厚みは、非ロック状態にあるときのロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の距離Dよりも小さく、ロック状態にあるときのロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の距離Dとほぼ同じ大きさである。
【0060】
以上のように構成される浴槽用手摺り1の使用方法について説明する。
【0061】
浴槽の側壁に浴槽用手摺り1を取り付けるときには、まず、外側本体部材100と内側本体部材200とが組み合され、第1の押圧板130と第2の押圧板230との間隔が浴槽の側壁の厚みよりも広くされた状態で、本体10が浴槽の側壁上に配置される。このとき、フレーム隠しカバー300とハンドルノブ隠しカバー400とは取り外しておく。また、ロックレバー140を、操作部143が凸部151と係合しない状態、すなわち、図3の(B)に示す非ロック状態にする。外側本体部材100は、固定フレーム110の水平部111の下面が浴槽の側壁の上面に接触し、第1の押圧板130が浴槽の外側の浴槽の側壁面(浴槽の側壁の外側面)に対向するように配置される。内側本体部材200は、第2の押圧板230が浴槽の内側の浴槽の側壁面(浴槽の側壁の内側面)に対向するように配置される。
【0062】
次に、使用者が内側本体部材200の側部グリップ240を保持して、可動フレーム210の水平部211を、固定フレーム110の水平部111上で、浴槽の側壁面に直交する方向に沿ってスライドさせる。このようにして、第1の押圧板130が浴槽の側壁の外側面に接触し、第2の押圧板230が浴槽の側壁の内側面に接触するように、外側本体部材100と内側本体部材200との位置を調整する。
【0063】
固定フレーム110の固定帯歯120と可動フレーム210の可動帯歯220とには、それぞれ、多数の歯が形成されている。固定帯歯120のどの歯と、可動帯歯220のどの歯とを嵌合させるのかを変更することによって、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合する長さを調節することができる。
【0064】
外側本体部材100と内側本体部材200との位置を調整した後、使用者は、ロックレバー140の操作部143を持ってロックレバー140を回動させて、ロックレバー140を図3の(A)に示すロック状態にする。ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の隙間は、非ロック状態での距離Dの隙間よりも小さく、距離Dの隙間になる。ロックレバー140のカム面142は、可動フレーム210の水平部211の上面に当接し、外側本体部材100の水平部111の固定帯歯120と、内側本体部材200の水平部211の可動帯歯220とが互いに押圧される。このようにして、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが互いに押圧されて固定状態になる。ロックレバー140は、操作部143と凸部151とが係合されるまで回動される。
【0065】
使用者は、必要があれば、ハンドルノブ170を回して、第1の押圧板130と第2の押圧板230とが浴槽の側壁に完全に接触するように、微調整することができる。このようにすることにより、浴槽用手摺り1を浴槽の側壁上に強固に固定することができる。
【0066】
最後に、使用者は、フレーム隠しカバー300とハンドルノブ隠しカバー400を本体10に取り付ける。フレーム隠しカバー300は、外側本体部材100側から内側本体部材200側に向かって、外側本体部材100の水平部111に沿ってスライドするように取り付けられる。ハンドルノブ隠しカバー400はハンドルノブ170を覆うように外側本体10に取り付けられる。
【0067】
外側本体部材100の水平部111に取り付けられたフレーム隠しカバー300は、ロックレバー140の全体を覆う。フレーム隠しカバー300の内側下面300aはロック状態のロックレバー140の上面と接触する。このように、フレーム隠しカバー300は、ロックレバー140がロック状態になければ、外側本体部材100に取り付けることができない。使用者は、フレーム隠しカバー300を外側本体部材100に取り付けることができれば、ロックレバー140がロック状態にあると判断することができる。一方、使用者は、フレーム隠しカバー300を外側本体部材100に取り付けることができなければ、ロックレバー140がロック状態にないと判断することができる。したがって、使用者は、フレーム隠しカバー300を外側本体部材100に取り付けることによって、ロックレバー140がロック状態にあることを確認することができる。
【0068】
浴槽から浴槽用手摺り1を取り外すときには、使用者は、まず、フレーム隠しカバー300とハンドルノブ隠しカバー400とを本体10から取り外す。次に、使用者はロックレバー140の操作部143を持って、ロックレバー140を鉛直面内で、下から上に向かって回動させるように力を加える。このようにすることにより、ロックレバー140の操作部143と凸部151との係合が外れる。使用者はさらにロックレバー140を回動させて、ロックレバー140を図3の(B)に示す非ロック状態にする。非ロック状態では、ロックレバー140のカム面142と固定帯歯120との間の隙間が相対的に大きくなり、外側本体部材100の水平部111の固定帯歯120と、内側本体部材200の水平部211の可動帯歯220とが互いに押圧されなくなる。このようにして、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが互いに押圧されない非固定状態になる。
【0069】
非固定状態では、使用者は、比較的容易に可動フレーム210を固定フレーム110上でスライドさせることができる。なお、可動フレーム210と固定フレーム110との脱離性等がわるい場合は、帯歯どうしの摩擦低減のために、ロックレバー140のロックの解除前または解除後に、必要に応じてハンドルノブ170を回して、第1の押圧板130と第2の押圧板230による浴槽の側壁面の押圧を緩めてもよい。使用者は側部グリップ240を保持して、第2の押圧板230が浴槽の内壁面から遠ざかる方向に内側本体部材200を移動させる。第1の押圧板130と第2の押圧板230との間隔が浴槽の側壁の厚みよりも広くなると、浴槽用手摺り1は浴槽の側壁から取り外される。
【0070】
以上のように、浴槽用手摺り1は、外側本体部材100と、内側本体部材200と、固定帯歯120と、可動帯歯220と、ロックレバー140とを備える。
【0071】
外側本体部材100は、浴槽の側壁の外側に配置される。内側本体部材200は、浴槽の側壁の内側に配置される。固定帯歯120は、複数の凹部と凸部とを含み、外側本体部材100に配置される。可動帯歯220は、複数の凹部と凸部とを含み、内側本体部材200に配置されて、固定帯歯120と嵌合する。ロックレバー140は、固定帯歯120または可動帯歯220の一方を固定帯歯120または可動帯歯220の他方との間で挟むために外側本体部材100または内側本体部材200に取り付けられる。
【0072】
そして、浴槽用手摺り1は、固定帯歯120または可動帯歯220の一方が、固定帯歯120または可動帯歯220の他方とロックレバー140とによって挟まれることによって、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが固定される固定状態と、固定帯歯120と可動帯歯220とが固定されない非固定状態とを切り替えることが可能となるよう構成されている。
【0073】
以上のように構成される浴槽用手摺り1は、使用時には、まず、外側本体部材100が浴槽の外側に配置され、内側本体部材200が浴槽の内側に配置される。外側本体部材100と内側本体部材200とは、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合するように配置される。固定帯歯120と可動帯歯220はそれぞれ、複数の凹部と凸部とを含むので、固定帯歯120のどの凹部または凸部と、可動帯歯220のどの凸部または凹部とを嵌合させるのかを変更することによって、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合する長さを調節することができる。固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合する長さを、浴槽の側壁の厚みに沿った方向において調節できるように、固定帯歯120と可動帯歯220とを配置すれば、浴槽の側壁の厚みに合わせて、外側本体部材100と内側本体部材200とを浴槽の側壁の側面上に配置することができる。固定帯歯120と可動帯歯220に配置される複数の凹部と凸部の間隔は、必要に応じて細かくすることができる。
【0074】
外側本体部材100と内側本体部材200とを浴槽の側壁の側面上に配置し、固定帯歯120と可動帯歯220とを嵌合させるときには、固定帯歯120または可動帯歯220の一方が、固定帯歯120または可動帯歯220の他方とロックレバー140とによって挟まれるようにして、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが固定される固定状態にする。このようにすることにより、内側本体部材200と外側本体部材100との位置関係が固定される。
【0075】
一方、使用者が固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合する長さを調節するときには、使用者はロックレバー140を操作して、固定帯歯120と可動帯歯220とが固定されない非固定状態にする。固定帯歯120と可動帯歯220とが固定されていないので、使用者は、比較的容易に、固定帯歯120と可動帯歯220との位置関係を調整することができる。
【0076】
このように、使用者はロックレバー140を操作するだけで、浴槽用手摺り1が浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。
【0077】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することが容易であって、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な浴槽用手摺り1を提供することができる。
【0078】
また、浴槽用手摺り1においては、ロックレバー140は、使用者がロックレバー140を操作するための操作部143を含む。操作部143は、凹部144を有する。外側本体部材100は、操作部143を係止する凸部151を含む。操作部143と凸部151とは、固定状態となるようロックレバー140が回動されたときに係合されるように配置されている。
【0079】
ロックレバー140が操作部143を含むことによって、使用者はより容易に、浴槽用手摺り1が浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。また、固定状態にするようにロックレバー140が回動されたときに操作部143が凸部151に係止されることによって、浴槽用手摺り1を浴槽の側壁上に固定された状態に保つことが容易になる。
【0080】
また、浴槽用手摺り1は、操作部143が凸部151に係合された状態であることを確認するためのフレーム隠しカバー300を備える。
【0081】
このようにすることにより、浴槽用手摺り1を浴槽の側壁上に固定された状態に保つことが確実になる。
【0082】
また、フレーム隠しカバー300は、凸部151に係合された操作部143を被覆するように配置される。
【0083】
このようにすることにより、使用者が不用意に操作部143と凸部151との係合を外して、浴槽用手摺り1が浴槽の側壁上に固定されなくなってしまうことを防ぐことができる。
【0084】
また、浴槽用手摺り1においては、固定帯歯120と可動帯歯220とは帯歯である。
【0085】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて外側本体部材100と内側本体部材200の位置関係を調整することがさらに容易になる。
【0086】
また、浴槽用手摺り1においては、ロックレバー140は、外側本体部材100または内側本体部材200に回動可能に取り付けられた偏心カムである。ロックレバー140は、カム面142を有する。そして、浴槽用手摺り1は、ロックレバー140が回動することによって、固定状態と非固定状態とを切り替えることが可能となるよう構成されている。
【0087】
このようにすることにより、使用者はロックレバー140を回動させるだけで、浴槽用手摺り1が浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。
【0088】
また、浴槽用手摺り1においては、固定帯歯120または可動帯歯220の一方は、固定帯歯120または可動帯歯220の他方とロックレバー140のカム面142とによって挟まれる。
【0089】
このようにすることにより、ロックレバー140を回動させることによって、固定状態と非固定状態とを切り替えることができる。
【0090】
また、浴槽用手摺り1においては、外側本体部材100は水平面内に延在する水平部111を含み、内側本体部材200は水平面内に延在する水平部211を含む。固定帯歯120は外側本体部材100の水平部111に形成されている。可動帯歯220は内側本体部材200の水平部211に形成されている。ロックレバー140は鉛直面内で回動するように外側本体部材100に取り付けられている。
【0091】
固定帯歯120と可動帯歯220とが水平面内で嵌合する場合、固定帯歯120と可動帯歯220との厚みを必要に応じて小さくすることで、嵌合した状態の外側本体部材100と内側本体部材200との全体の厚みを薄くすることができる。このようにすることにより、浴槽を覆う浴槽蓋と浴槽の側壁の上端面との間にすき間が生じにくくなる。
【0092】
また、浴槽用手摺り1においては、ロックレバー140は外側本体部材100に取り付けられ、可動帯歯220は固定帯歯120とロックレバー140のカム面142とによって挟まれる。
【0093】
このようにすることにより、例えば、内側本体部材200を軽くして、使用者が内側本体部材200を動かして、浴槽用手摺り1を浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することを容易にすることができる。
【0094】
また、浴槽用手摺り1は、内側本体部材200に固定される側部グリップ240を備える。
【0095】
このようにすることにより、使用者が内側本体部材200を動かすことをさらに容易にすることができる。
【0096】
また、浴槽用手摺り1においては、ロックレバー140は、回動軸141からカム面142までの距離が相対的に小さい小径部142aと、回動軸141からカム面142までの距離が相対的に大きい大径部142bとを含む。ロックレバー140は、固定帯歯120から回動軸141までの距離Dが固定された位置に、固定帯歯120と可動帯歯220との嵌合面に略直交する面内で回動するように取り付けられている。
【0097】
ロックレバー140は、小径部142aと大径部142bとを含み、固定帯歯120から回動軸141までの距離Dが固定されるように配置されている。そのため、ロックレバー140が回動軸141を中心にして回動すると、ロックレバー140のカム面142から固定帯歯120と可動帯歯220までの距離が変化する。例えば、ロックレバー140の大径部142bが小径部142aよりも固定帯歯120と可動帯歯220側にあるときには、ロックレバー140の小径部142aが大径部142bよりも固定帯歯120と可動帯歯220側にあるときと比較して、ロックレバー140のカム面から固定帯歯120と可動帯歯220までの距離Dが短い。一方、ロックレバー140の小径部142aが大径部142bよりも固定帯歯120と可動帯歯220側にあるときには、ロックレバー140の大径部142bが小径部142aよりも固定帯歯120と可動帯歯220側にあるときと比較して、ロックレバー140のカム面142から固定帯歯120と可動帯歯220までの距離Dが長い。
【0098】
外側本体部材100と内側本体部材200とを浴槽の側壁の側面上に配置し、固定帯歯120と可動帯歯220とを嵌合させるときには、ロックレバー140の大径部142bが小径部142aよりも固定帯歯120と可動帯歯220側にあるように、ロックレバー140を回動させる。このとき、ロックレバー140のカム面142から固定帯歯120と可動帯歯220との距離Dが相対的に短く、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが互いに押圧される固定状態になる。このようにすることにより、内側本体部材200と外側本体部材100との位置関係が固定される。
【0099】
一方、使用者が固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合する長さを調節するときには、ロックレバー140の小径部142aが大径部142bよりも固定帯歯120と可動帯歯220側にあるように、ロックレバー140を回動させる。このとき、ロックレバー140のカム面142から固定帯歯120と可動帯歯220との距離Dが相対的に長いので、固定帯歯120と可動帯歯220とが互いに押圧されない非固定状態になる。固定帯歯120と可動帯歯220とが互いに押圧されていないので、使用者は、比較的容易に、固定帯歯120と可動帯歯220との位置関係を調整することができる。
【0100】
このように、ロックレバー140が回動することによって、固定状態と非固定状態とを切り替えることができる。すなわち、使用者はロックレバー140を回動させるだけで、浴槽用手摺り1が浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。
【0101】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することが容易であって、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な浴槽用手摺り1を提供することができる。
【0102】
なお、ロックレバー140は外側本体部材100ではなく、内側本体部材200に配置されていてもよい。また、ロックレバー140の操作部143に凹部が形成され、ロックレバー支持部材150に凸部が形成されることによって操作部143とロックレバー支持部材150とが係合されてもよい。ロックレバー140とロックレバー支持部材150とは他の方法で係合されてもよいし、ロックレバー140を係合する別の部材が備えられていてもよい。
【0103】
なお、この実施形態においては、ロックレバー140は外側本体部材100に配置されているが、ロックレバー140は内側本体部材200に配置されていてもよい。また、この実施形態においては、内側本体部材200の可動帯歯220が、ロックレバー140のカム面142と外側本体部材100の固定帯歯120との間に挟まれるが、浴槽用手摺りは固定帯歯120が可動帯歯220とカム面142との間に挟まれるように構成されていてもよい。さらにまた、カム面142は、別の部材を介して、可動帯歯220が配置される可動フレーム210の水平部211、または、固定帯歯120が配置される固定フレーム110の水平部111に当接されてもよい。
【0104】
(第2実施形態)
第2実施形態の浴槽用手摺りの主な構成は、第1実施形態の浴槽用手摺りと同様である。第2実施形態の浴槽用手摺りが第1実施形態の浴槽用手摺りと異なる点としては、挟み部材として、ロックレバー140(図3)の代わりに楔部材を備える。また、第2実施形態の浴槽用手摺りは、フレーム隠しカバー300(図1)を備えない点で第1実施形態の浴槽用手摺りと異なる。
【0105】
図5に示すように、楔部材540には、底面541と、底面541に対向する傾斜した傾斜面542と、使用者が楔部材540を移動させるために保持する操作部543とが形成されている。操作部543には、凹部544が形成されている。楔部材540の底面541は可動帯歯220の上面に接触するように配置され、楔部材540は可動帯歯220の上面上でスライドするように移動させられる。
【0106】
第2実施形態の浴槽用手摺りにおいては、外側本体部材100は、ロックレバー支持部材150(図3)の代わりに、楔固定部材550を含む。外側本体部材100のその他の構成と効果は、第1実施形態と同様である。
【0107】
楔固定部材550は、外側本体部材100において固定帯歯120の上方に取り付けられている。楔固定部材550の端部には、凸部551が形成されている。楔固定部材550の下面には傾斜面552が形成されている。楔固定部材550の傾斜面552と固定帯歯120との間には隙間がある。可動帯歯220は、傾斜面552と固定帯歯120との間の隙間に差し込まれて、この隙間内でスライドするように動かされる。可動帯歯220が固定帯歯120と嵌合するように固定帯歯120の上面に配置されるとき、楔固定部材550と可動帯歯220の上面との間には隙間が形成される。
【0108】
図5の(A)に示すように、楔固定部材550の傾斜面552と可動帯歯220の上面との間の隙間に楔部材540が差し込まれて、楔部材540の傾斜面542の全体が楔固定部材550の傾斜面552の全体と接触するように楔部材540が配置される。このとき、楔部材540の操作部543の凹部544と楔固定部材550の凸部551とが係合し、楔部材540は移動しないように固定される。楔部材540はロック状態にされている。固定帯歯120と可動帯歯220とは嵌合した状態で固定された固定状態になる。
【0109】
一方、図5の(B)に示すように、楔部材540の傾斜面542が楔固定部材550の傾斜面552と接触しないように楔部材540が配置されている場合には、楔部材540の操作部543の凹部544と楔固定部材550の凸部551とは係合しない。楔部材540は非ロック状態にされている。このとき、可動帯歯220の上面と、楔固定部材550の傾斜面552との間に隙間が形成されて、固定帯歯120と可動帯歯220とは固定されない非固定状態になる。
【0110】
このように、使用者は、操作部543を持って楔部材540を移動させて、楔部材540のロック状態と非ロック状態を切り替えることができる。
【0111】
以上のように、第2実施形態の浴槽用手摺りは、外側本体部材100と、内側本体部材200と、固定帯歯120と、可動帯歯220と、楔部材540とを備える。
【0112】
外側本体部材100は、浴槽の側壁の外側に配置される。内側本体部材200は、浴槽の側壁の内側に配置される。固定帯歯120は、複数の凹部と凸部とを含み、外側本体部材100に配置される。可動帯歯220は、複数の凹部と凸部とを含み、内側本体部材200に配置されて、固定帯歯120と嵌合する。楔部材540は、固定帯歯120または可動帯歯220の一方を固定帯歯120または可動帯歯220の他方との間で挟むために外側本体部材100に取り付けられる。
【0113】
そして、第2実施形態の浴槽用手摺りは、固定帯歯120または可動帯歯220の一方が、固定帯歯120または可動帯歯220の他方と楔部材540とによって挟まれることによって、固定帯歯120と可動帯歯220とが嵌合した状態で固定帯歯120と可動帯歯220とが固定される固定状態と、固定帯歯120と可動帯歯220とが固定されない非固定状態とを切り替えることが可能となるよう構成されている。
【0114】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて固定することが容易であって、浴槽の側壁への取り付け作業と浴槽の側壁からの取り外し作業とを容易に行うことが可能な第2実施形態の浴槽用手摺りを提供することができる。
【0115】
また、第2実施形態の浴槽用手摺りにおいては、楔部材540は、使用者が楔部材540を操作するための操作部543を含む。操作部543は、凹部544を有する。外側本体部材100は、操作部543を係止する凸部551を含む。操作部543と凸部551とは、固定状態となるよう楔部材540が操作されたときに係合されるように配置されている。
【0116】
楔部材540が操作部543を含むことによって、使用者はより容易に、浴槽用手摺りが浴槽の側壁上に固定された状態と固定されていない状態とを切り替えることができる。また、固定状態にするように楔部材540が操作されたときに操作部543が凸部551に係止されることによって、第2実施形態の浴槽用手摺りを浴槽の側壁上に固定された状態に保つことが容易になる。
【0117】
また、第2実施形態の浴槽用手摺りにおいては、固定帯歯120と可動帯歯220とは帯歯である。
【0118】
このようにすることにより、浴槽の側壁の厚みに合わせて外側本体部材100と内側本体部材200の位置関係を調整することがさらに容易になる。
【0119】
なお、第2実施形態においては、楔部材540において底面541に対向する面に傾斜面542が形成され、楔固定部材550の下面に傾斜面552が形成されているが、例えば、楔部材540の底面に傾斜面が形成され、可動帯歯220の上面に傾斜面が形成されていてもよい。
【0120】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変形を含むものである。
【符号の説明】
【0121】
1:浴槽用手摺り、100:外側本体部材、111:水平部、120:固定帯歯、140:ロックレバー、141:回動軸、142:カム面、142a:小径部、142b:大径部、143:操作部、144:凹部、151:凸部、200:内側本体部材、211:水平部、220:可動帯歯、240:側部グリップ、300:フレーム隠しカバー、540:楔部材、543:操作部、544:凹部、551:凸部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽の側壁の外側に配置される外側本体部材と、
浴槽の側壁の内側に配置される内側本体部材と、
複数の凹部および/または凸部を含み、前記外側本体部材に配置される第1の嵌合部と、
複数の凸部および/または凹部を含み、前記内側本体部材に配置されて前記第1の嵌合部と嵌合する第2の嵌合部と、
前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部の一方を前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部の他方との間で挟むために前記外側本体部材または前記内側本体部材に取り付けられた挟み部材とを備え、
当該浴槽用手摺りは、前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部の一方が、前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部の他方と前記挟み部材とによって挟まれることによって前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とが嵌合した状態で前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とが固定される固定状態と、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とが固定されない非固定状態とを切り替えることが可能となるよう構成されている、浴槽用手摺り。
【請求項2】
前記挟み部材は、使用者が前記挟み部材を操作するための操作部を含み、
前記外側本体部材または前記内側本体部材は、前記操作部を係止する係止部を含み、
前記操作部と前記係止部とは、前記固定状態となるよう前記挟み部材が操作されたときに係合されるように配置されている、請求項1に記載の浴槽用手摺り。
【請求項3】
前記操作部は、凹部または凸部を有し、
前記係止部は、前記操作部の凹部または凸部と係合する凸部または凹部を有する、請求項1または請求項2に記載の浴槽用手摺り。
【請求項4】
前記操作部が前記係止部に係合された状態であることを確認するための係止確認部を備える、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の浴槽用手摺り。
【請求項5】
前記係止確認部は、前記係止部に係合された前記操作部を被覆するように配置される、請求項4に記載の浴槽用手摺り。
【請求項6】
前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部とは、帯歯である、請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の浴槽用手摺り。
【請求項7】
前記挟み部材は、前記外側本体部材または前記内側本体部材に回動可能に取り付けられてカム面を有する偏心カムであり、当該浴槽用手摺りは、前記偏心カムが回動することによって、前記固定状態と前記非固定状態とを切り替えることが可能となるよう構成されている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の浴槽用手摺り。
【請求項8】
前記外側本体部材と前記内側本体部材とは、それぞれ、水平面内に延在する水平部を含み、
前記第1の嵌合部は前記外側本体部材の水平部に形成され、
前記第2の嵌合部は前記内側本体部材の水平部に形成され、
前記偏心カムは鉛直面内で回動するように前記外側本体部材または前記内側本体部材に取り付けられている、請求項7に記載の浴槽用手摺り。
【請求項9】
前記偏心カムは前記外側本体部材に取り付けられ、
前記第2の嵌合部は前記第1の嵌合部と前記偏心カムのカム面とによって挟まれる、請求項8に記載の浴槽用手摺り。
【請求項10】
前記内側本体部材に固定される内側把手を備える、請求項9に記載の浴槽用手摺り。
【請求項11】
前記偏心カムは、回動軸からカム面までの距離が相対的に小さい小径部と、回動軸からカム面までの距離が相対的に大きい大径部とを含み、前記第1の嵌合部または前記第2の嵌合部から回動軸までの距離が固定された位置に、前記第1の嵌合部と前記第2の嵌合部との嵌合面に略直交する面内で回動するように取り付けられている、請求項7から請求項10までのいずれか1項に記載の浴槽用手摺り。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2013−17625(P2013−17625A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−152993(P2011−152993)
【出願日】平成23年7月11日(2011.7.11)
【出願人】(000000505)アロン化成株式会社 (317)
【Fターム(参考)】