説明

浴水浄化装置

【課題】浴槽内の浴水を効率良く浄化することのできる浴水浄化装置を提供すること。
【解決手段】本発明の浴水浄化装置は、浴槽内の浴水を吸入する吸入口601と、吸入口601から吸入された浴水の流路となる循環経路(往き管60a、戻り管60b)と、循環経路に浴水を循環させるポンプと、循環経路を循環した浴水を浴槽内に流出させる流出口と、浴槽内の浴水を浄化する浴水浄化動作時に浴槽内の浴水中に微細気泡を供給する微細気泡発生装置110と、浴水浄化動作時に循環経路に循環する浴水から汚れを除去する汚れ除去手段(皮脂汚れ除去フィルタ171)とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴槽内の浴水を浄化する浴水浄化装置に関する。
【背景技術】
【0002】
浴槽内の浴水には、入浴の度に皮脂や髪の毛などの汚れが蓄積する。浴水に蓄積する皮脂成分などは、排水時に浴槽の壁面に付着して残るため、洗剤を用いたこすり洗いが必要となる。このような使用者の負担を減らすために、下記特許文献1には、浴槽内に浴水がある場合には浴水に浮いた状態で回転し、浴水がない場合には自ら転がることによって浴槽の内壁を掃除する浴槽内掃除機が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−104899号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の浴槽内掃除機は、浴水に浮いた状態では水面付近の浴槽壁面しか掃除できないので、浴水の給排水時の水位の変化を利用しないと、浴槽壁面の全体を掃除できない。また、上記の浴槽内掃除機では、浴水中の汚れを除去することはできないので、連続して人が入浴する場合などにおいて、汚れが浴水中に蓄積され、後続の人が快適に入浴できない場合がある。
【0005】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、浴槽内の浴水を効率良く浄化することのできる浴水浄化装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る浴水浄化装置は、浴槽内の浴水を吸入する吸入口と、吸入口から吸入された浴水の流路となる循環経路と、循環経路に浴水を循環させるポンプと、循環経路を循環した浴水を浴槽内に流出させる流出口と、浴槽内の浴水を浄化する浴水浄化動作時に浴槽内の浴水中に微細気泡を供給する微細気泡発生装置と、浴水浄化動作時に循環経路に循環する浴水から微細気泡と吸着した汚れを除去する汚れ除去手段と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、微細気泡を浴槽内の浴水中に供給することにより浴水中の汚れを静電気力により微細気泡と吸着させて水面に浮揚させることができる。そして、循環経路に浴水を循環させ、その浮揚した汚れを汚れ除去手段にて除去することにより、浴槽内の浴水を給排水することなく効率良く浄化することができる。このため、複数人が連続して入浴する場合や、浴水を洗濯水として再利用する場合の清潔性を向上することができる。また、浴槽へ付着する汚れが少なくなり、浴槽の清掃の手間を軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1の浴水浄化装置を備えた給湯装置を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における浴槽アダプタの断面図である。
【図3】本発明の実施の形態1における微細気泡発生装置の断面図である。
【図4】本発明の実施の形態1における浴水浄化動作時の浴槽内の水流を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2における浴槽アダプタの断面図である。
【図6】本発明の実施の形態3における浴槽アダプタを往き管および戻り管に平行な平面で切断した断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3における浴槽アダプタを往き管および戻り管と直交する平面で切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、各図において共通する要素には、同一の符号を付して、重複する説明を省略する。
【0010】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1の浴水浄化装置を備えた給湯装置を示す構成図である。図1に示す給湯装置150は、熱源機であるヒートポンプユニット10と、タンクユニット120とを備えている。
【0011】
ヒートポンプユニット10は、冷媒を圧縮する圧縮機1と、放熱器に相当する沸き上げ用熱交換器2と、膨張弁3と、蒸発器4と、これらを環状に接続する循環配管5とによって構成された冷凍サイクル部7を有している。冷凍サイクル部7では、二酸化炭素等の冷媒が圧縮機1で圧縮されて高温、高圧となった後に沸き上げ用熱交換器2で放熱し、膨張弁3で減圧され、蒸発器4で吸熱してガス状態となって圧縮機1に吸入される。冷媒として二酸化炭素を用いる場合、高圧側では該二酸化炭素の臨界圧を超える条件下で運転することが好ましい。この冷凍サイクル部7は、ユニットケースUC1に納められている。
【0012】
一方、タンクユニット120は、貯湯タンク20、給水管路30、貯湯用循環管路40、タンク側循環管路50、風呂側循環管路60、追焚き用熱交換器70、第1給湯管路75、風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80b、第2給湯管路90、第3給湯管路95等を有している。
【0013】
貯湯タンク20は、給水管路30から供給される水を貯留すると共にヒートポンプユニット10で沸き上げられた湯を貯留する積層式のタンクである。この貯湯タンク20の下部には、給水管路30が接続される水導入口20aと、貯湯用循環管路40の往き管40aが接続される水導出口20bとが設けられている。貯湯タンク20の上部には、貯湯用循環管路40の戻り管40bが接続される温水導入口20cと、第1給湯管路75が接続される温水導出口20dとが設けられている。貯湯タンク20は、給水管路30からの給水により常に満水状態に保たれる。
【0014】
図示を省略しているが、貯湯タンク20の上部には、貯湯タンク20からタンク側循環管路50、第1給湯管路75に流入する湯の温度を検出するための温度センサが取り付けられている。また、貯湯タンク20の周面部には、貯湯タンク20内の湯水の温度を検出するための複数の温度センサが互いに異なる取付け高さをもって取り付けられている。
【0015】
給水管路30は、市水等の水を貯湯タンク20、風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80b、および一般給湯先180に供給する管路であり、減圧弁25と第1〜第3給水管部30a〜30cとを有している。減圧弁25は、第1給水管部30aの途中に設けられて、水道等の水源からの水圧を所定値に減じる。第1給水管部30aは、水源と貯湯タンク20の水導入口20aとを繋ぎ、第2給水管部30bは、減圧弁25で第1給水管部30aから分岐して該第1給水管部30aと風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80bとを繋ぎ、第3給水管部30cは、減圧弁25の上流側で第1給水管部30aから分岐して該第1給水管部30aと一般給湯先180とを繋ぐ。図示を省略しているが、第2給水管部30bには、該第2給水管部30b内の水の温度を検出するための温度センサが設けられている。
【0016】
なお、この明細書でいう「一般給湯先」とは、使用者が手で直接操作して開栓する(センサを感応させて開栓する場合を含む)給湯先を意味する。図示の例では、一般給湯先180の例として1つの給湯栓が示されている。給水管路30での水の流れ方向を図1中に実線の矢印で示してある。
【0017】
貯湯用循環管路40は、貯湯タンク20下部の水導出口20bからヒートポンプユニット10の沸き上げ用熱交換器2を経由して貯湯タンク20上部の温水導入口20cに達する管路であり、貯湯用送水ポンプ33および電動式の三方弁35が設けられた往き管40aと、戻り管40bと、三方弁35で往き管40aから分岐したバイパス管40cとを有している。上記の往き管40aは水導出口20bと沸き上げ用熱交換器2とを繋ぎ、戻り管40bは沸き上げ用熱交換器2と温水導入口20cとを繋ぎ、バイパス管40cは三方弁35と戻り管40bとを繋ぐ。
【0018】
貯湯タンク20内の水をヒートポンプユニット10で湯に沸き上げる沸き上げ運転の初期段階では、ヒートポンプユニット10による湯の沸き上げ温度が低いので、十分な温度の湯が沸き上げられるようになるまでは三方弁35での貯湯タンク20側の流入路が閉弁される。なお、図示を省略しているが、往き管40aには、該往き管40a内の湯水の温度を検出するための温度センサが設けられている。
【0019】
タンク側循環管路50は、貯湯タンク20上部の温水導出口20dから追焚き用熱交換器70を経由して貯湯タンク20下部に達する管路であり、往き管50aと、タンク側送水ポンプ45が設けられた戻り管50bとを有している。往き管50aは温水導出口20dと追焚き用熱交換器70上部の温水導入口70aとを繋ぎ、戻り管50bは追焚き用熱交換器70下部の温水導出口70bと貯湯タンク20の下部とを繋ぐ。
【0020】
風呂側循環管路60(循環経路)は、浴槽170から追焚き用熱交換器70を経由して浴槽170に戻る管路であり、往き管60aおよび戻り管60bを有している。往き管60aは浴槽170と追焚き用熱交換器70下部の浴水導入口70cとを繋ぎ、戻り管60bは追焚き用熱交換器70上部の浴水導出口70dと浴槽170とを繋ぐ。往き管60aには、追焚き用熱交換器70側から上流側(浴槽170側)に向かって、フロースイッチ53、水位センサ55、および風呂側送水ポンプ57がこの順番で設けられている。また、図示を省略しているが、当該往き管60aには、該往き管60a内の湯水の温度を検出するための温度センサも設けられている。
【0021】
また、フロースイッチ53は往き管60aでの水流の有無を検出し、水位センサ55は、該水位センサ55の取付け位置を基準にした往き管60a内の水圧から浴槽170での浴水の水位を検出し、風呂側送水ポンプ57は、浴槽170内の浴水を風呂側循環管路60に循環させる。そして、図示を省略した上記の温度センサは、往き管60a内の浴水の温度を検出する。往き管60aおよび戻り管60bと、浴槽170との連結部には、浴槽アダプタ165が設けられている。
【0022】
タンクユニット120を構成する上述の構成要素のうち、給水管路30、貯湯用循環管路40、風呂側循環管路60、および第3給湯管路95をそれぞれ除いた残りの構成要素は、ユニットケースUC2に納められている。給水管路30、貯湯用循環管路40、風呂側循環管路60、および第3給湯管路95の各々は、その一部がユニットケースUC2の外部にまで延在している。
【0023】
給湯装置150は、制御部100と、浴室や台所の壁等に設置されるリモコン装置101とを更に備えている。使用者は、リモコン装置101にて、給湯温度の設定や各種運転モードの設定、後述する浴水浄化動作の指示等を行うことができる。制御部100は、上述した各センサで検出された情報、および、リモコン装置101から送信された情報に基づいて、ヒートポンプユニット10、貯湯用送水ポンプ33、三方弁35、タンク側送水ポンプ45、風呂側送水ポンプ57、風呂側湯水混合弁80a、一般側湯水混合弁80bを駆動することにより、運転制御を行う。
【0024】
浴槽170に給湯する場合には、貯湯タンク20から供給される高温の湯と給水管路30から供給される水とが風呂側湯水混合弁80aにて設定温度となるように混合され、その混合された湯が第2給湯管路90、風呂側循環管路60を通って送られ、浴槽アダプタ165を介して浴槽170内に供給される。
【0025】
一般給湯先180に給湯する場合には、貯湯タンク20から供給される高温の湯と給水管路30から供給される水とが一般側湯水混合弁80bにて設定温度となるように混合され、その混合された湯が第3給湯管路95を通って送られて一般給湯先180に供給される。
【0026】
浴槽170内の浴水を加熱または保温する追焚き運転時には、タンク側送水ポンプ45および風呂側送水ポンプ57が駆動される。追焚き用熱交換器70では、浴槽170から往き管60aを通って導入された浴水が、貯湯タンク20からタンク側循環管路50により供給された高温の湯により加熱される。加熱された浴水は、戻り管60bを通って浴槽170内に戻される。
【0027】
また、浴槽170内の浴水を浄化する浴水浄化動作時には、風呂側送水ポンプ57が駆動され、浴槽170内の浴水が風呂側循環管路60に循環する。
【0028】
図2は、本発明の実施の形態1における浴槽アダプタ165の断面図である。図2に示すように、浴槽アダプタ165は、カバー166およびケーシング167を有しており、カバー166およびケーシング167で覆われた空間内には、往き管60aの端部に設けられた吸入口601と、戻り管60bの端部に設けられた浴水出口602(第1流出口)と、微細気泡発生装置110とが配置されている。
【0029】
カバー166には、開口部(図示せず)が設けられており、その開口部を浴水が通過可能になっている。吸入口601には、皮脂汚れ除去フィルタ171(汚れ除去手段)が設置されている。吸入口601は、上方に向いて配置されている。
【0030】
カバー166の内側には、髪の毛などの浴水中の異物を除去する粗フィルタ175が設けられている。浴水浄化動作時には、浴水はこの粗フィルタ175を通過した後、皮脂汚れ除去フィルタ171を通過して、吸入口601から往き管60aに吸入される。このため、髪の毛などの異物が皮脂汚れ除去フィルタ171に付着することを防止することができる。
【0031】
微細気泡発生装置110は、戻り管60bと並列して設けられている。戻り管60bには、切替弁172が設けられており、微細気泡発生装置110は切替弁172と接続されている。切替弁172は、戻り管60bの上流側から流れてきた浴水を、浴水出口602側に流す状態と、微細気泡発生装置110側に流す状態とに切り替え可能になっている。通常の給湯時や追焚き運転時には、切替弁172は浴水出口602側に切り替えられ、風呂側循環管路60を循環して戻り管60bを通って浴槽170内に戻る浴水は、微細気泡発生装置110を通過せず、浴水出口602から吐出されて浴槽170内に流入する。一方、浴水浄化動作時(微細気泡供給時)には、切替弁172は微細気泡発生装置110側に切り替えられ、風呂側循環管路60を循環して戻り管60bを通って浴槽170内に戻る浴水は、微細気泡発生装置110を通過して浴槽170内に流入する。これにより、微細気泡発生装置110で生成された微細気泡が浴槽170内の浴水中に供給される。
【0032】
図3は、微細気泡発生装置110の断面図である。図3に示すように、微細気泡発生装置110は、空気導入部111と、旋回流生成部112と、気液導入部113と、噴射孔部114(第2流出口)とを有している。切替弁172を微細気泡発生装置110側に切り替えると、戻り管60bの浴水が気液導入部113に導入される。空気導入部111は、気液導入部113に対しほぼ直交する角度で接続されている。旋回流生成部112は、円錐形状の内部空間を有しており、その円錐の底面部の接線方向に気液導入部113から気液が導入される。気液導入部113は、戻り管60bより内径が小さくなっており、浴水が戻り管60bから気液導入部113に流入すると流速が高くなる。この増速した水流が旋回流生成部112に導入されることで、円錐形状の内壁面を沿うように旋回水流が形成される。また、流速を高くすることで、分岐して設けられた空気導入部111が負圧となり、空気が誘引導入される。旋回流生成部112内に形成された旋回水流は、円錐の頂上へ進むにつれて高速化され、気液混合状態で旋回流生成部112に導入された水と空気とは分離され、空気は中心に集まり、負圧により円錐頂上方向へ誘引される。噴射孔部114では、旋回流は維持されるが、圧力開放された空気は膨張し、旋回流の内周と接触するときに細かくせん断され、微細気泡が生成される。なお、本発明では、微細気泡発生装置110の構成は、図4に示す構成に限らず、他の方式のものであってもよい。
【0033】
浴水浄化動作時には、上述した微細気泡発生装置110により生成された微細気泡が浴槽170内に充満する。この微細気泡は、負に帯電する性質がある。皮脂汚れを主とする浴水中の汚れは、正に帯電している。このため、浴水中の汚れは、静電気力により微細気泡と吸着し、微細気泡の浮力により水面に浮上する。
【0034】
図4は、浴水浄化動作時における浴槽170内の水流を示す図である。吸入口601は、戻り管60b(浴水出口602)および微細気泡発生装置110(噴射孔部114)より高い位置にあり、且つ上方を向いて配置されている。このため、水面近くの浴水が吸入口601から往き管60a内に吸入される。その際、微細気泡と吸着して水面近くに浮上した汚れは、吸入口601に設置された皮脂汚れ除去フィルタ171に捕捉されて除去される。このため、汚れが除去されて浄化された浴水が往き管60aおよび戻り管60bを流れて浴槽170内に戻る。
【0035】
図4に示すように、戻り管60bから浴槽170内に戻る浴水は、噴射孔部114または浴水出口602から噴出し、浴槽170内の深い位置(底面付近)を対向壁面に向かって流れ、浴槽アダプタ165から遠ざかる水流を形成する。この水流は、対向壁面付近で水面方向に上昇する。水面近くの浴水は、吸入口601に吸入されているので、水面近くでは浴槽アダプタ165に近づく方向に流れる水流が形成される。このようにして、浴槽170内には、図4に示すような循環水流が形成される。これにより、水面上に浮揚している汚れを効率良く浴槽アダプタ165内に導いて除去することができる。
【0036】
皮脂汚れ除去フィルタ171は、取り外し可能な構造とされていることが好ましい。皮脂汚れ除去フィルタ171を取り外し可能とすることにより、定期的なフィルタの掃除や交換を容易に行うことができ、良好な汚れ除去性能を維持することができる。
【0037】
また、皮脂汚れ除去フィルタ171は、レーヨン、ビニロン、ポリエステル、ナイロン(ポリアミド)のうちの少なくとも1つ以上の繊維から構成されていることが好ましい。これらの繊維は、水中で負に帯電するため、正に帯電している浴水中の汚れ成分をより効果的にフィルタ上に捕捉することができる。
【0038】
微細気泡発生装置110は、発生時の平均直径が数十μm以下(例えば10μm〜50μm)の微細気泡(マイクロバブル)を生成可能であることが好ましく、また、発生時の平均直径が10μm以下の微細気泡(マイクロナノバブルあるいはナノバブル)を生成可能であることがより好ましい。このようなサイズの微細気泡、特に10μm以下の直径の微細気泡は、浴槽170内での滞留時間も長くなるため、水中の汚れと接触する確率も高くなる。また、径の小さい微細気泡ほど、負の表面電荷が大きいため、水中の正に帯電している汚れをより確実に静電気力により吸着し、水面に浮揚させることができる。このため、上述したサイズの微細気泡を生成可能な微細気泡発生装置110を用いることにより、より優れた浴水浄化性能が得られる。図3に示すような旋回水流方式の微細気泡発生装置110は、低圧損、低流量で上述したサイズの微細気泡を生成可能であり、好ましい。
【0039】
以上説明したように、本実施形態によれば、浴水浄化動作を行うことにより、浴槽170内に給排水することなく、浴水を清浄な状態に維持することができる。このため、浴槽170へ付着する汚れが少なくなり、浴槽170の清掃の手間を軽減できる。また、複数人が連続して入浴する場合においても、後続の人に快適な入浴を提供することができる。また、浴槽170内の浴水(残り湯)を洗濯水として用いる場合、浴水を洗濯機内に導入する前に浴水浄化動作を実施しておくことにより、きれいな水を洗濯水として利用することができ、衣類への汚れ付着も防止でき、かつ洗濯槽内への汚れ付着も軽減できる。
【0040】
また、本実施形態では、浴槽170への給湯や追焚きに使用される風呂側循環管路60(往き管60aおよび戻り管60b)を浴水浄化動作の循環経路として兼用しているので、新たな配管を設ける必要がなく、コスト増大を抑制することができる。
【0041】
また、本実施形態では、汚れ除去手段(皮脂汚れ除去フィルタ171)を浴槽アダプタ165に設置しているので、浴槽170に特別な加工等が不要であり、据え付けの手間が増加することもない。
【0042】
なお、本実施形態では、微細気泡発生装置110を浴槽アダプタ165内に内蔵した構成としているが、微細気泡発生装置110は、戻り管60bの途中の何れの位置に配置されていてもよい。
【0043】
また、本実施形態では、汚れ除去手段(皮脂汚れ除去フィルタ171)を吸入口601に設置したことにより、汚れ除去手段の清掃や交換を容易に行うことができる。ただし、本発明では、汚れ除去手段は、往き管60aの途中の位置に配置されていてもよい。
【0044】
実施の形態2.
次に、図5を参照して、本発明の実施の形態2について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0045】
図5は、本発明の実施の形態2における浴槽アダプタ165の断面図である。本実施形態は、汚れ除去手段の構成が異なること以外は、実施の形態1と同様である。
【0046】
図5に示すように、本実施形態では、汚れ除去手段として、実施の形態1の皮脂汚れ除去フィルタ171に代えて、一対の電極173,176と、電極173,176間に電圧を印加する通電手段174とを有している。電極173,176は、それぞれ、半円筒形状をなしており、吸入口601の内周面に、互いに対向するように配置されている。通電手段174は、電池で構成されていてもよく、あるいは商用電源を直流に整流して電極173,176間に印加する構成であってもよい。
【0047】
浴水浄化動作時には、通電手段174により、電極173を陰極、電極176を陽極として電圧が印加される。前述したように、浴水中の汚れは、正に帯電している。このため、浴水が吸入口601から吸入される際、浴水中の汚れは陰極である電極173に引き寄せられ、電極173上に捕捉される。これにより、浴水中の汚れを除去することができる。電極173,176は、酸化しない安定な材料であるチタン、白金、ルテニウムなどで構成することが好ましい。また、電極173,176は取り外し可能とすることが好ましい、これにより、電極173,176の清掃を容易に行うことができ、浴水の衛生性をより確実に維持することができる。本実施形態では、電極173,176を汚れ除去手段として用いることで、往き管60aの圧力損失を極力抑制することができる。
【0048】
実施の形態3.
次に、図6および図7を参照して、本発明の実施の形態3について説明するが、上述した実施の形態1との相違点を中心に説明し、同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。
【0049】
図6は、本発明の実施の形態3における浴槽アダプタ165を往き管60aおよび戻り管60bに平行な平面で切断した断面図である。図7は、本発明の実施の形態3における浴槽アダプタ165を往き管60aおよび戻り管60bと直交する平面で切断した断面図である。
【0050】
これらの図に示すように、本実施形態の往き管60aの端部には、吸入口601の高さを可変とする可変機構としての伸縮管168が設置されている。伸縮管168は、径の異なる複数の筒状部材を同心的に配置した構成となっており、それら長さが複数の筒状部材が軸方向にずれることにより伸縮可能になっている。図6は伸縮管168が縮んだ状態を示し、図7は伸縮管168が伸長した状態を示している。伸縮管168を伸縮させることにより、吸入口601の高さを多段階または無段階に変えることができる。吸入口601には、粗フィルタ175および皮脂汚れ除去フィルタ171が設置されている。
【0051】
本実施形態では、浴水浄化動作時に、浴槽170内の水位に応じて、吸入口601の高さが浴槽170内の水面よりやや下の位置になるように調整することができる。これにより、水面付近の浴水をより効率良く吸入口601に吸入することができる。このため、微細気泡と吸着して水面に浮揚した浴水中の汚れをより効率良く皮脂汚れ除去フィルタ171で除去することができ、汚れの捕集効率が向上し、浴槽170内の浴水をより短時間で浄化することが可能となる。吸入口601の高さの調整は、使用者が手動で行うことができるように構成してもよい。また、伸縮管168を伸縮させるアクチュエータ(図示せず)を設け、浴水浄化動作時に、制御部100が、水位センサ55で検出される浴槽水位に応じて、吸入口601の高さを自動で調整するようにしてもよい。これにより、使用者の手間を省くことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 圧縮機
2 沸き上げ用熱交換器
3 膨張弁
4 蒸発器
5 循環配管
7 冷凍サイクル部
10 ヒートポンプユニット
20 貯湯タンク
20a 水導入口
20b 水導出口
20c 温水導入口
20d 温水導出口
25 減圧弁
30 給水管路
33 貯湯用送水ポンプ
35 三方弁
40 貯湯用循環管路
40a 往き管
40b 戻り管
40c バイパス管
45 タンク側送水ポンプ
50 タンク側循環管路
50a 往き管
50b 戻り管
53 フロースイッチ
55 水位センサ
57 風呂側送水ポンプ
60 風呂側循環管路
60a 往き管
60b 戻り管
70 追焚き用熱交換器
75 第1給湯管路
80a 風呂側湯水混合弁
80b 一般側湯水混合弁
90 第2給湯管路
95 第3給湯管路
100 制御部
110 微細気泡発生装置
111 空気導入部
112 旋回流生成部
113 気液導入部
114 噴射孔部
120 タンクユニット
150 給湯装置
165 浴槽アダプタ
166 カバー
167 ケーシング
168 伸縮管
170 浴槽
171 皮脂汚れ除去フィルタ
172 切替弁
173,176 電極
174 通電手段
175 粗フィルタ
180 一般給湯先
601 吸入口
602 浴水出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴槽内の浴水を吸入する吸入口と、
前記吸入口から吸入された浴水の流路となる循環経路と、
前記循環経路に浴水を循環させるポンプと、
前記循環経路を循環した浴水を前記浴槽内に流出させる流出口と、
前記浴槽内の浴水を浄化する浴水浄化動作時に前記浴槽内の浴水中に微細気泡を供給する微細気泡発生装置と、
前記浴水浄化動作時に前記循環経路に循環する浴水から汚れを除去する汚れ除去手段と、
を備える浴水浄化装置。
【請求項2】
前記循環経路の少なくとも一部は、前記浴槽への給湯または追焚きに使用される配管と兼用である請求項1記載の浴水浄化装置。
【請求項3】
前記汚れ除去手段は、前記配管と前記浴槽との連結部であるアダプタに設置されている請求項2記載の浴水浄化装置。
【請求項4】
浴水中の異物を除去する粗フィルタを備え、
前記浴水浄化動作時、浴水は、前記粗フィルタを通過した後に前記汚れ除去手段を通過する請求項1乃至3の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項5】
前記微細気泡発生装置は、直径が10μm以下の微細気泡を生成可能である請求項1乃至4の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項6】
前記汚れ除去手段は、取り外し可能である請求項1乃至5の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項7】
前記汚れ除去手段は、フィルタを有し、該フィルタの繊維は水中で負に帯電する性質を有する請求項1乃至6の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項8】
前記汚れ除去手段は、少なくとも一対の電極と、前記電極間に電圧を印加する通電手段とを有する請求項1乃至6の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項9】
前記吸入口は、前記流出口より高い位置に配置されている請求項1乃至8の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項10】
前記吸入口の高さを可変とする可変機構を備える請求項1乃至9の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項11】
前記浴槽内の水位を検出する水位検出手段と、
前記水位検出手段の検出された水位に応じて、前記吸入口の高さを前記可変機構により調整する制御手段と、
を備える請求項10項記載の浴水浄化装置。
【請求項12】
前記吸入口は、上方を向いて配置されている請求項1乃至11の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項13】
前記浴水浄化動作時、前記浴槽内の水面に近い位置では前記吸入口に近づく方向に流れる水流が形成され、前記浴槽内の深い位置では前記流出口から遠ざかる方向に流れる水流が形成される請求項1乃至12の何れか1項記載の浴水浄化装置。
【請求項14】
前記汚れ除去手段は、前記吸入口の近傍に設けられている請求項1乃至13の何れか1項記載の浴水浄化装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−111108(P2013−111108A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257543(P2011−257543)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】