説明

浴用通電装置および電極ユニット

【課題】通電による刺激感を軽減でき、かつ電極ユニットを容易に取り付けることができるとともに、電極ユニットの取付位置の自由度を高めることができる浴用通電装置および電極ユニットを提供すること。
【解決手段】浴用通電装置は、電源装置と、前記電源装置に接続して浴槽内の溶液に通電する第1電極と、前記電源装置に接続して人体に通電する電極ユニットとを備える。前記電極ユニットは、前記溶液を内部に含んだ状態で人体に吸着する吸盤と、前記吸盤内にあり前記電源装置に接続する第2電極と、前記第2電極と人体との間に位置することとなるスペーサであって、前記第2電極が前記スペーサより前記吸盤内の底側に位置し、かつ、内部に満たされる前記吸盤内の前記溶液を介して前記第2電極が人体に通電する孔が形成されたスペーサと、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴用通電装置および電極ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、入浴剤が溶けた浴槽内の湯に導入電極により通電するとともに、前記導入電極と反対の極性の電極ユニットにより人体に通電することにより、入浴剤中の有効性分を人体に吸収させる浴用通電装置が知られる(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の浴用通電装置は、電極ユニットは、腕に巻き付けられる装着板と、装着板の内側に設けられて内部が真空となる状態で腕に吸着する吸着盤と、吸着盤の内面に貼り付けられ、人体に接触した状態で通電する対極電極とを備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−223365号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の浴用通電装置では、対極電極が人体に接触した状態で人体に通電するため、刺激感があるという問題がある。また、電極ユニットを取り付けるために人体に装着板を巻き付ける必要があり、電極ユニットの取り付けが煩わしいという問題がある。また、装着板を巻き付けることができる部位にしか電極ユニットを取り付けることができず不便であるという問題がある。
【0006】
本発明は、通電による刺激感を軽減でき、かつ電極ユニットを容易に取り付けることができるとともに、電極ユニットの取付位置の自由度を高めることができる浴用通電装置および電極ユニットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記課題を解決するために、本願発明に係る浴用通電装置は、 電源装置と、前記電源装置に接続して浴槽内の溶液に通電する第1電極と、前記電源装置に接続して人体に通電する電極ユニットとを備える浴用通電装置であって、前記電極ユニットは、前記溶液を該吸盤の内側に流入させた状態で人体に吸着する吸盤と、前記吸盤の内側に位置する前記電源装置に接続する第2電極と、前記第2電極と人体との間に位置するスペーサであって、前記第2電極が前記スペーサより前記吸盤内の底側に位置し、かつ、吸盤内の内側の前記溶液が流入することにより前記第2電極から人体への通電を許容する孔が形成されたスペーサと、を備える。
【0008】
(2)上記(1)の構成において、前記スペーサには、前記第2電極を挟み込んで保持する凹部を形成してもよい。
【0009】
(3)上記(1)または(2)の構成において、前記吸盤は、可撓性を有してもよい。
【0010】
(4)上記(1)〜(3)のいずれかの構成において、前記吸盤の開口部の縁には、外側に曲がって延びる拡開部が設けられていてもよい。
【0011】
(5)上記(1)〜(4)のいずれかの構成において、前記スペーサは、絶縁性を有していてもよい。
【0012】
(6)上記課題を解決するために、本願発明に係る電極ユニットは、溶液を収容する浴槽に入った人体部分に取り付けられ、人体に対し通電する電極ユニットであって、前記溶液を該吸盤の内側に流入させた状態で人体に吸着する吸盤と、前記吸盤の内側に位置する第2電極と、前記第2電極と人体との間に位置することとなるスペーサであって、前記第2電極が前記スペーサより前記吸盤内の底側に位置し、かつ、吸盤内の内側の前記溶液が流入することにより前記第2電極から人体への通電を許容する孔が形成されたスペーサと、を備える。
【発明の効果】
【0013】
本願発明によれば、通電による刺激感を軽減でき、かつ電極ユニットを容易に取り付けることができるとともに、電極ユニットの取付位置の自由度を高めることができる浴用通電装置および電極ユニットを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】浴用通電装置の全体図である。
【図2】使用時の浴用通電装置を示す図である。
【図3】電極ユニットの斜視図である。
【図4】電極ユニットの分解斜視図である。
【図5】吸盤の断面図を示す図である。
【図6】吸盤の孔の変形例を示す図である。
【図7】電極ユニットの人体腰部分への取り付け方法を説明するための図であり、(A)は、電極ユニットの取り付け前の状態を示す図であり、(B)は、電極ユニットの人体への取り付け時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。図1は、浴用通電装置100の全体図である。浴用通電装置100は、電源装置1と、電源装置1に接続して浴槽201(図2参照)内のイオン化溶液202に通電する導入電極2と、電源装置1に接続して人体に通電する電極ユニット3とを備える。
【0016】
電源装置1は、スイッチ11を備える。電源装置1において図1の底面12には導入電極2(第1電極)が設けられている。この導入電極2は、複数の弧状電極を同一円上に間欠的に配列することにより構成されている。底面12のうち導入電極2に包囲された領域には電極ユニット3のコード31の第1端部311が接続する。図1に図示する点線は、電源装置1をイオン化溶液に投下した際の液面レベルを示しており、電源装置1は、浮力により、底面12に設けられた導入電極2がイオン化溶液202に沈んだ状態で浮かぶようになっている(図2参照)。電源装置1は、プラス極性の複数のパルス信号(以下、複数のパルス信号(パルス電圧)を群発パルス信号と記載)と、マイナス極性の群発パルス信号とを交互に導入電極2および電極ユニット3に出力する。各導入電極2および電極ユニット3には、それぞれ反対の極性の群発パルス信号が同時に出力される。
【0017】
図2は、浴用通電装置100の使用状態を示す図面である。浴用通電装置100は、浴槽201内のイオン化溶液202に導入電極2が沈んだ状態となる姿勢で電源装置1がイオン化溶液202に浮かべられるとともに、人体の例えば腰のあたりに電極ユニット3が取り付けられた状態で使用される。イオン化溶液202は、浴槽201内の湯に入浴剤が溶けたものであり、プラスにイオン化される有効成分(例えばカルシウム)と、マイナスにイオン化される有効成分(例えばビタミンC)とが含まれる。
【0018】
電源装置1がイオン化溶液202に浮かべられるとともに、電極ユニット3が人体に取り付けられた状態で、電源装置1のスイッチ11がONされると、電源装置1から導入電極2および電極ユニット3にプラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とが交互に出力される。パルス信号は、例えばデューティー比が50%で、出力周波数が4800HZに設定される。導入電極2および電極ユニット3に出力されるパルス信号における極性の切り替え周期は例えば3.0secであり、出力電圧は7Vに設定される。
【0019】
導入電極2にプラス極性の群発パルス信号が出力されると、イオン化溶液202に含まれるプラスイオン化成分は、同極であるプラス極の導入電極2に反発する。この際、電極ユニット3にはマイナス極性の群発パルス信号が出力されており、人体はマイナスの極性を帯びる。そのため、イオン化溶液202中のプラスイオン化成分は、人体に引き寄せられ、人体内に導入される。これとは反対に、導入電極2にマイナス極性の群発パルス信号が出力される場合には、イオン化溶液202に含まれるマイナスイオン化成分は、導入電極2に反発し、プラスの極性を帯びる人体に引き寄せられて人体内に導入されることとなる。
【0020】
このように、浴用通電装置100は、導入電極2および電極ユニット3にプラス極性の群発パルス信号とマイナス極性の群発パルス信号とを交互に出力することにより、イオン化溶液202中に含まれるプラスイオン化成分とマイナスイオン化成分とを効率よく人体に導入することができる。なお、イオン化溶液202は、プラスおよびマイナスイオン化成分のいずれか一方のイオン化成分しか含まなくてもよい。その場合でも、浴用通電装置100は、導入電極2および電極ユニット3に出力する群発パルス信号の極性をプラス極性およびマイナス極性に交互に切り替えるので、イオン化成分の極性がプラスまたはマイナスであっても、該イオン化成分を人体に導入することができる。
【0021】
図3は、電極ユニット3の斜視図であり、図4は、電極ユニット3の分解斜視図である。電極ユニット3は、人体に取り付けられ、人体に対して通電する。電極ユニット3は、コード31、プラグ32、吸盤33、対極電極34(第2電極)、およびスペーサ35を備える。コード31の図3中右側の第1端部311(図1)は電源装置1に接続し、コード31の図3中左側の第2端部312はプラグ32に接続する。
【0022】
吸盤33は、底面部331と、底面部331から湾曲かつ拡開する皿部332とを備えたお椀形状に形成されている。吸盤33は、可撓性を有する。吸盤33は、シリコンゴム、エストラマなどのゴム製であってもよい。底面部331には、コード31の第2端部312を内部に収容する収容部333が吸盤33外方に向けて突設されている。収容部333には、コード31を通す孔部334が設けられている。
【0023】
図5は、電極ユニット3の断面図である。吸盤33の縁には、吸盤33外側に曲がって延びる拡開部335が設けられており、これにより、吸盤33の縁部分の内面側は曲面状とされている。吸盤33の径方向の長さLが60mmの場合、拡開部335の丸みRは0.25mmに設定される。
【0024】
図4に戻って、対極電極34は、円板状であり、中央に孔341がある。プラグ32の先端部321がこの孔341に通された後潰されて外側に開くことにより、対極電極34はプラグ32に取り付けられる。対極電極34は、吸盤33の底部分に配置される。対極電極34には、プラグ32およびコード31を通して電源装置1から群発パルス信号が出力される。
【0025】
スペーサ35は、シリコンゴムやエストラマからなるゴム製である。スペーサ35は、円板状のスペーサ部351と、円板状のスペーサ部351の縁に沿って立ち上がり、内側に溝が形成された溝部352とを備える。スペーサ部351には、周方向に延びる複数の孔353が形成されている。なお、スペーサ35には、図6に示すように、丸穴状の孔353Aが形成されていてもよい。スペーサ35は、溝部352に対極電極34の縁が嵌め込まれることにより、対極電極34を被覆する(図5)。
【0026】
以下、電極ユニット3の人体腰部分への取り付け方法について。図7を参照しながら説明する。まず、吸盤33を裏返した図7(A)の状態で、浴槽201のイオン化溶液202内に投入する。そして、図7(B)に示すように、イオン化溶液202内に入った人体の腰部分にスペーサ35を当接させた状態で吸盤33をひっくり返す。このようにして潰された状態の吸盤33は、吸盤33内部を密封したまま復元力により元の形状に復帰しようとする。そのため、吸盤33は、吸盤33内外のイオン化溶液202の圧力差により、イオン化溶液202が内部に満たされた状態で人体腰部分に吸着することとなる。この際、対極電極34を被覆するスペーサ部351における孔353の内部は、吸盤33内のイオン化溶液202に満たされる。本実施形態では、この状態で対極電極34に群発パルス信号が出力されるので、対極電極34は、スペーサ部351の孔353内のイオン化溶液202を介して人体に通電することとなる。
【0027】
このように、本実施形態では、イオン化溶液202を介して、対極電極34から人体へ通電するので、無刺激で通電できる。また、人体に吸着する吸盤33を用いて電極ユニット3を人体に取り付けるので、電極ユニット3を人体に巻き付けるために従来用いられていた装着板を不要にでき、電極ユニット3の人体への取り付けを容易にできる。また、吸盤33により電極ユニット3を人体に取り付けるので、装着板を巻き付けることのできない部位にも電極ユニット3を取り付けることができ、電極ユニット3の人体への取付位置の自由度を高めることができる。
【0028】
また、本実施形態では、電極ユニット3を人体の腰部分に取り付けるので、全身へほぼ均一に通電できる。なお、電極ユニット3は、内部にイオン化溶液202を含んだ状態で取り付けるならば、人体のどの部位に取り付けてもよい。また、本実施形態では、吸盤33がゴム製なので、吸盤33が柔らかく、シール性が良好である。そのため、丸みを帯びた人体の部位に対しても、良好に取り付けることができる。
【0029】
さらに本実施形態では、吸盤33の縁には、吸盤33外側に曲がって延びる拡開部335が設けられており、これにより、吸盤33の縁部分の内面側は曲面状とされている。そのため、本実施形態では、人体に接する吸盤33縁部分の内面側が鋭角状とされている場合に比べ、浴用通電装置100の使用後に吸盤33の跡が人体に残ることを抑制できる。
【符号の説明】
【0030】
1 電源装置
2 第1電極(導入電極)
3 電極ユニット
33 吸盤
34 第2電極(対極電極)
35 スペーサ
100 浴用通電装置
353 スペーサの孔
335 拡開部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電源装置と、前記電源装置に接続して浴槽内の溶液に通電する第1電極と、前記電源装置に接続して人体に通電する電極ユニットとを備える浴用通電装置であって、
前記電極ユニットは、
前記溶液を該吸盤の内側に流入させた状態で人体に吸着する吸盤と、
前記吸盤の内側に位置する前記電源装置に接続する第2電極と、
前記第2電極と人体との間に位置するスペーサであって、前記第2電極が前記スペーサより前記吸盤内の底側に位置し、かつ、吸盤内の内側の前記溶液が流入することにより前記第2電極から人体への通電を許容する孔が形成されたスペーサと、を備える
ことを特徴とする浴用通電装置。
【請求項2】
請求項1に記載の浴用通電装置において、
前記スペーサには、前記第2電極を挟み込んで保持する凹部が形成されていることを特徴とする浴用通電装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の浴用通電装置において、
前記吸盤は、可撓性を有することを特徴とする浴用通電装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれかに記載の浴用通電装置において、
前記吸盤の開口部の縁には、外側に曲がって延びる拡開部が設けられていることを特徴とする浴用通電装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれかに記載の浴用通電装置において、
前記スペーサは、絶縁性を有することを特徴とする浴用通電装置。
【請求項6】
溶液を収容する浴槽に入った人体部分に取り付けられ、人体に対し通電する電極ユニットであって、
前記溶液を該吸盤の内側に流入させた状態で人体に吸着する吸盤と、
前記吸盤の内側に位置する第2電極と、
前記第2電極と人体との間に位置することとなるスペーサであって、前記第2電極が前記スペーサより前記吸盤内の底側に位置し、かつ、吸盤内の内側の前記溶液が流入することにより前記第2電極から人体への通電を許容する孔が形成されたスペーサと、を備えることを特徴とする電極ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−74937(P2013−74937A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215675(P2011−215675)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(390018913)株式会社ホーマーイオン研究所 (10)
【Fターム(参考)】