説明

海底検出方法および魚群探知装置

【課題】所定深度毎にその深度での海底検出レベルを演算し、この海底検出レベルを移動することにより海底を検出する方法および装置を提供することにある。また、この海底検出レベルを、海底反射を含む反射信号が横切る深度を記憶し、当該反射信号が検出レベルを上回る場合、当該反射信号の最大値と海底検出レベルとの差を所定の範囲とすることにより、安定して海底を検出する方法および装置を提供することにある。
【解決手段】海底を検出する方法において、所定深度毎に海底検出レベルを演算し、受信機で増幅検波した反射信号を所定深度毎に演算した海底検出レベルと比較し、比較の結果により演算した海底検出レベルを移動することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、魚群探知装置、測深器およびソナーなどにおける海底の検出方法および海底検出を行う魚群探知装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
超音波パルスの指向角、パルス幅、水中音速、深度により決まる、海中からの反射信号をV=20log10r又は、V=30log10rの増幅特性で増幅処理する増幅手段と、該増幅特性を利用して、深度に対応したスライスレベルを設定する手段により、海底を検出する技術が特許文献1により開示されている。ここでrは深度を表す。
【0003】
前記特許文献1には、初期状態は、海底を検出するため、探知範囲全体にわたる深度ゲートが、ゲート回路に設定される。そして、前記スライスレベルは、当該深度ゲートの下端深度でのレベルが設定されている。初期状態で、海底が検出されると、検出された海底深度を基に、上下数メートルに相当する深度値を、改めて所定深度ゲートとして、ゲート回路に設定する。さらに、前記所定深度ゲート内で、海底が検出されないときは、前記所定深度ゲート以上に深度ゲート幅を広げるようにしている。
【0004】
その他技術として、海底の深度データが得られた場合、該当反射信号のレベルを検出する。そして、その深度データが海底であると仮定したとき、その深度での理論上有すべき海底反射信号のレベル(V=20log10r(30log10r))を演算する。さらに、演算による反射信号レベルと、検出された反射信号レベルを比較し、該当反射信号の検出レベルが、演算による反射信号レベルより高いときは、それを海底と判断する。
【0005】
逆に該当反射信号の検出レベルが、演算による反射信号レベルより低いときまたは、該当反射信号の検出レベルが、演算による反射信号レベルより高いが、一定値以上の差で小さいときは、海底でないと判断する。このとき、深度ゲートの変更がなされる。等の技術が記載されている。
【0006】
上記技術では、深度ゲートが設定され、当該深度ゲートにおける海底検出レベル(スライスレベル)として、当該深度ゲート下端のその深度での理論上有すべき海底反射信号のレベルが、スライスレベルとして設定される。このため、当該深度ゲート内では、同一スライスレベルにより海底を検出することとなる。すなわち、当該深度ゲート内では、下端を除き、その深度での理論上有すべき海底反射信号のレベルによる海底検出が行なわれていないという問題がある。
【0007】
さらに、送信毎に、設定された深度ゲート幅のみで海底検出が行なわれる。このため、深度ゲート幅として、探知範囲全体にわたる深度ゲート、所定深度ゲート、所定深度ゲート以上に深度ゲート幅を広げた深度ゲートと、いずれかの深度ゲートを選択することとなる。この選択は、送信毎に海底検出がされたか否かにより行なわれる。所定深度ゲート内で海底が検出されないと、深度ゲート幅を広げ、それでも海底が検出されないと、探知範囲全体にわたる深度ゲートとされる。このように深度ゲートの選択と、深度ゲート下端のその深度でのスライスレベルとで海底検出がされるため、浅い深度での大きな魚群による反射信号を海底と誤って検出するという問題がある。
【0008】
また、V=20log10rまたは、V=30log10rのみの増幅特性を利用して、深度に対応したスライスレベルを設定しているため、海中の音速、超音波パルスの指向角、パルス幅などにより変化する海底からの反射信号を安定に検出できないという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開昭60−171472号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、所定深度毎にその深度での海底検出レベルを演算し、この海底検出レベルを移動することにより海底を検出する方法および装置を提供することにある。また、この海底検出レベルを、海底反射を含む反射信号が横切る深度を記憶し、当該反射信号が検出レベルを上回る場合、当該反射信号の最大値と海底検出レベルとの差を所定の範囲とすることにより、安定して海底を検出する方法および装置を提供することにある。
【0011】
本発明の他の目的は、浅い深度での大きな魚群による反射信号、他船からの干渉信号、海洋ノイズ等を海底と誤って検出しない方法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
海底を検出する方法において、
所定深度毎に海底検出レベルを演算し、受信機で増幅検波した反射信号を所定深度毎に演算した海底検出レベルと比較し、比較の結果により演算した海底検出レベルを移動することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
所定深度毎にその深度での海底検出レベルを演算し、この海底検出レベルを移動させることにより海底を検出するようにしたため、安定に海底を検出することができる。また、この海底検出レベルと海底反射を含む反射信号とを比較し、当該反射信号が検出レベルを上回る場合、当該反射信号と検出レベルとの差を所定の範囲とすることにより、安定して海底を検出することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例を説明する魚群探知装置の構成例を説明する図
【図2】当初の海底検出レベルBLと、送信毎に受信される、受信信号RSとの関係を説明する図
【図3】海底を検出したときの状態を説明する図
【図4】複数の深度において、海底を検出した状態を説明する図
【図5】本発明を実施する魚群探知装置のメイン処理ルーチンの説明図
【図6】海底検出処理ルーチンの詳細を説明する図
【図7】海底検出レベルBLを移動あるいは初期化する処理ルーチンの詳細を説明する図
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
演算した海底検出レベルは、当初、海底反射を含む反射信号のレベルより大とするようにし、演算した海底検出レベルの移動は、海底検出レベルを減算するように構成してある。
【0016】
海底反射を含む反射信号と、移動した海底検出レベルとを所定深度毎に比較し、当該反射信号が、当該海底検出レベルより大の時、当該反射信号と当該海底検出レベルとの差が所定の範囲となるように、移動した海底検出レベルに所定の定数を加算または減算するように構成してある。
【実施例】
【0017】
図1は、本発明の実施例を説明する魚群探知装置の構成例である。1は、海中で超音波の送受信を行うトランスジューサである。10は、超音波送信器で、所定の周波数、所定の電力、所定のパルス幅で、トランスジューサ1を励振する。11は、受信対数増幅器で、トランスジューサ1で受信した海中からの受信波を、対数増幅器で増幅し、検波する。12は、A/D変換器で、検波された受信信号を所定の分解能で、量子化する。
【0018】
100は、制御部で、本装置全体の制御を行う。101は、表示制御手段で、制御部100の制御により、必要な表示制御を行う。102は、メモリで、本装置の制御プログラム、受信信号強度など所定のデータを記憶する。RAM及びROMで構成されている。
【0019】
103は、海底レベル演算手段で、所定の海底検出レベルを演算する。104は、海底レベル移動手段で、所定の条件により、海底レベル演算手段103で演算した海底レベルに加減算を行い、海底検出レベルの変更を行う。105Aは、レベル比較手段で、海底検出レベルと、受信信号強度(レベル)とを、所定の深度毎に比較する。105Bは、許容量比較手段で、予め定めた目標許容量と、海底検出時の海底検出レベルと、受信信号(レベル)の最大強度(レベル)との差を比較する。動作の詳細は後述する。
【0020】
106は、送受制御部で、制御部100の制御により、送信器のパルス幅、送信周期、STCなどの制御信号を送信器10、受信対数増幅器11などへ出力する。13は、操作部で、本装置の動作と、機能などを指定するためのキースイッチが配設されている。これらのキースイッチを操作することにより、動作、機能などを指定する。14は、表示器で、海中からの反射信号の表示、海底の深度表示などを行う。LCD、ELなどの表示器が利用できる。
【0021】
本発明は、海底の検出をその目的としている。ここでは、一般的な魚群探知装置についての説明は省略する。図2及び図3は、本発明の海底検出について受信信号と海底検出レベルとの関係を説明する図である。
【0022】
図2は、当初(初期状態)の海底検出レベルBLと、送信毎に受信される、受信信号RSとの関係を説明する図である。当初、海底検出レベルBLは、
BL=K−20Log10D・・・(1)
により演算する。Kは、定数であり、初期状態では受信信号RSの内で最も強い信号である、発振線の信号強度より大きい信号強度に定める。Dは、深度であり、所定の深度分解能毎に海底検出レベルBLが海底レベル演算手段103で演算される。所定の深度毎に演算された海底検出レベルBLを、メモリ102に海底検出レベルテーブルとして記憶する。図の海底検出レベルBLは、演算された所定の深度毎の値を結んだものである。
【0023】
検出開始深度DSは、操作部13のキースイッチの操作により任意の深度に設定される。通常は、発振線が表示されなくなる深度に設定される。そして、超音波の送信毎に、各深度で受信信号RSと海底検出レベルBLとがレベル比較手段105Aで比較される。このとき、受信信号RSが、各深度で海底検出レベルBLより小さいと、海底レベル移動手段104は、所定の深度分解能毎の海底検出レベルBLから所定の定数を減算して、海底検出レベルBLを図2に記載されているように左方向へ移動させる。すなわち、海底検出レベルテーブルを書き直すこととなる。この動作を受信信号RSが、海底検出レベルBLを上回るまで継続する。
【0024】
図3は、海底を検出したときの状態を説明する図である。海底検出レベルBLが上述のように左へ移動すると、レベル比較手段105Aは、受信信号RSの内の海底信号BSが、海底検出レベルBLを上回る深度を検出することとなる。ここで、海底信号BSが、海底検出レベルBLを上回った深度を、海底深度BDとして、メモリ102に記憶する。
【0025】
さらに、許容量比較手段105Bは、海底信号BSの最大レベルMLをメモリ102に記憶する。この最大レベルMLと、海底信号BSが海底検出レベルBLを上回った深度(海底深度BD)の海底検出レベルBLとの差を、現在許容量NVとしてメモリ102に記憶する。ここで、レベル比較手段105Bは、予めメモリに記憶してある所定の値の目標許容量TVと、現在許容量NVとを比較する。
【0026】
図3では、目標許容量TV<現在許容量NVとなっている。このとき、海底レベル移動手段104は、所定の定数を加算して、海底検出レベルBLを図の右方向へ移動させる。また、目標許容量TV>現在許容量NVとなっているときは、所定の定数を減算して、海底検出レベルBLを図の左方向へ移動させる。この動作を、超音波の送受信毎に行う。この、許容量比較手段105Bと海底レベル移動手段104との機能により、常に安定して海底信号BSを検出することができる。
【0027】
図4は、レベル比較手段105が受信信号RSと海底検出レベルBLとを所定深度毎に比較した結果、複数の深度において、海底を検出した状態を説明する図である。この実施例では、比較的浅い深度において、魚群信号FSが、海底検出レベルBLを超えている。また、海底信号BSが、同様に深い深度で海底検出レベルBLを超えている。
【0028】
このとき、魚群信号FSを海底候補0、海底信号BSを海底候補1とする。ここで、海底候補0の海底位置をBD0、海底候補1の海底位置をBD1とする。海底候補0の最大レベルML0と海底位置BD0での海底検出レベルBLとの差をレベル差Aとする。また、海底候補1の最大レベルML1と海底位置BD1での海底検出レベルBLとの差をレベル差Bとする。そして、海底候補0の最大レベルML0と海底候補1の最大レベルML1とを比較する。ここでは、海底候補0の最大レベルML0<海底候補1の最大レベルML1となっているので、海底信号BSの海底位置BD1を今回の海底とし、所定のメモリに記憶する。そしてレベル差Bの値を現在許容量NVとして所定のメモリに記憶する。
【0029】
つづいて、前述と同様、現在許容量NV(レベル差B)と目標許容量TVとを比較する。通常、図4のように、浅い深度で、魚群信号FSが、海底検出レベルを上回る状態のときは、海底信号BSはさらに強いため、現在許容量NV(レベル差B)>目標許容量TVとなる。海底レベル移動手段104は、所定の定数を加算して、海底検出レベルBLを図の右方向へ移動させる。この動作を現在許容量NV(レベル差B)=目標許容量TVとなるまで行う。これにより、図4の魚群信号FSが、海底検出レベルBLを上回ることがなくなる。このようにして、海底を正しく検出できることとなる。ここでは、海底検出レベルを上回る信号が、2個で説明したが、3個以上となったときでも同様の処理を行うことで、海底を正しく検出できることとなる。
なお、前回に海底が検出されているときは、この前回の海底に最も近い海底位置BDが海底として記憶される。
【0030】
図5は、本発明を実施する魚群探知装置のメイン処理ルーチンの説明図である。S10は、初期化処理で、種々の初期化処理、必要なキースイッチ操作などが行われるとともに、当初の海底検出レベルBLが、式(1)に従って所定深度毎に演算される。ここでKは、先にも説明したように受信対数増幅器11の最大出力より大きい値に設定される。ここで、海底検出レベルBLの算出に式(1)を使用する説明を行ったが、これに固執するものでなく、任意の計算式により海底検出レベルBLを算出することができる。
【0031】
S100は、送受信処理ルーチンであり、通常の魚群探知装置と同様、探知レンジ、使用周波数、STCなどにより必要な制御を行うもので、ここでの説明は省略する。
【0032】
S200は、海底検出処理ルーチンであり、別途詳細を後述する。S300は、魚群探知装置の映像作成処理ルーチンであり、操作部13のキースイッチなどの操作により、種々の表示形態が選択されるようになっている。通常の魚群探知装置と同様であり、説明を省略する。S400は、海底検出レベルBLを移動あるいは初期化する処理ルーチンであり、別途詳細を後述する。
【0033】
図6は、1回の送信で受信される受信信号RSについての海底検出処理ルーチンの詳細を説明する図である。ここで、受信信号RSは、所定深度毎にその受信強度がメモリに記憶されている。海底検出処理ルーチンでは、浅い深度から所定の深度毎に順次受信信号RSをメモリから読み出す。
【0034】
S210は、検出開始深度DSか否かの判断を行っている。この検出開始深度DSは、先にも述べたように、操作部13のキースイッチ操作により、発振線以下の深度で、任意の値を設定する。検出開始深度に到達していなければ、S215受信データ終了の判断により再び210に戻り、次の深度で検出開始深度DSか否かの判断を行う。検出開始深度DSに達するまで当該ループを繰り返す。検出開始深度DSに達すると、S211の判断が行われる。
【0035】
ここで、海底検出中フラッグは、初期化処理時にOFFとされているので、S211の判断は当初海底検出中でないとして、S212海底検出の判断処理を行う。ここでは、メモリから読み出された、所定深度の受信信号RSと、当該深度の海底検出レベルBLとの比較が行われる。ここで、受信信号RS<海底検出レベルBLであれば、S213の処理を、受信信号RS≧海底検出レベルBLであれば、S216の処理を行うこととなる。
【0036】
先の図2で説明したように海底検出レベルBLは、海底検出が行われないと、左側へ移動することとなる。S213の処理は、この左への移動により、海底検出レベルBLが予め設定してあるレベルに到達したとき初期状態へ戻すための判断を行っている。海底検出レベルBLが予め設定してあるレベルに到達したときは、S225の処理で、初期化フラッグをONとし、次の処理S215へ移る。
【0037】
海底検出レベルBLが予め設定してあるレベルに到達していないときは、S214へ移り、受信信号中の最大レベルを所定のメモリアドレスに記憶して、次の処理S215へ移る。S215では、受信信号RSを全てメモリから読み出したか否かの判断が行われる。全ての受信信号RSが読み出されていなければ、再びS210の処理からくり返すこととなる。
【0038】
S212の海底検出の判断処理において、所定の深度で、受信信号RS≧海底検出レベルBLとなっていると次に、S216の処理を行う。S216では、海底検出中のフラッグをONとして、S217の処理へ移行する。
【0039】
S217では、最も浅い深度で検出された海底を海底候補0として、そのときの深度値BD0、海底検出レベルBL0を所定のメモリアドレスに記憶する。そしてS214へ処理を移す。以後、受信信号RSが終了するまでに海底検出がされる毎に、深度が増す順に海底候補1、海底候補2・・・海底候補Nとして、そのときの深度値BD1、海底検出レベルBL1、深度値BD2、海底検出レベルBL2・・・深度値BDN、海底検出レベルBLNをそれぞれ所定のメモリアドレスに記憶する。そして前に説明したS214へ処理を移す。続いてS215で、受信データが終了でなければ、S210、S211と処理が行われる。
【0040】
S211で、海底検出のフラッグがONすなわち、海底検出中であると、S218、S219の処理が海底検出終了まで行われる。ここでの処理は、S218において、海底検出中の最大受信信号レベルMLを記憶する。前述のように、最も浅い深度で検出された海底を海底候補0とし、海底候補0の最大受信信号レベルML0を所定のメモリに記憶する。またS219において、海底検出レベルBLと最大受信信号レベルMLとの差である現在許容量NVを記憶する。ここでも、前記海底候補0の現在許容量NV0を所定のメモリに記憶する。
【0041】
S218では、今回の受信信号レベルと、前回の受信信号レベルを比較して、受信信号レベルの大きいものを記憶するようにしている。これにより、海底検出時から、海底検出終了時までの最大の受信信号レベルが記憶できる。
【0042】
S219では、同様に今回の受信信号レベルと海底検出レベルとの差と、前回の受信信号レベルと海底検出レベルとの差とを比較して、信号レベル差の大きいものを記憶するようにしている。これにより、海底検出時から、海底検出終了時までの最大の信号レベル差(現在許容量NV)が記憶できる。受信信号終了時までに、S218,S219の処理を通過する受信信号を、深度の浅い順に、海底候補0、海底候補1、海底候補2・・・海底候補Nとして、それぞれ所定のメモリに最大受信信号レベルML、最大の信号レベル差(現在許容量NV)を記憶する。
【0043】
S220は、海底検出終了の判定を行う。ここで、今回深度での受信信号レベルと、当該深度での海底検出レベルと比較し、受信信号レベル≧海底検出レベルであれば海底検出中であるとして、S214へ処理が移る。比較の結果、受信信号レベル<海底検出レベルであれば海底検出終了と判断する。そして、S221で、海底検出中のフラッグをOFFとして処理をS214へ移す。S214での処理は前述のとおりである。
【0044】
S215の判断で、浅い深度から所定の深度毎に順次受信信号RSをメモリから読み出す動作が終了したと判定されると、S222へ処理が移る。S222では、海底候補の受信信号の有無を判断する。海底候補がなければ、海底検出処理ルーチンを終了する。
【0045】
S222で海底候補有りと判断すると、S223へ処理が移る。ここでは、海底候補0の最大受信信号レベルML0とS214で記憶した受信信号中の最大レベルとが比較される。ここで、海底候補0の最大受信信号レベルML0<受信信号中の最大レベルであればS225へ処理が移る。S225では、前回の海底検出処理ルーチンで定めた海底深度に最も近い海底候補Nの海底深度BDNを海底とし、海底検出処理ルーチンを終了する。
【0046】
また、S223の判断が、海底候補0の最大受信信号レベルML0<受信信号中の最大レベルでなければ、すなわち海底候補0の最大受信信号レベルML0≧受信信号中の最大レベルであれば、S224の処理で海底候補0の海底深度BD0を海底として海底検出処理ルーチンを終了する。
【0047】
図7は、S400の海底検出レベルBLを移動あるいは初期化する処理ルーチンの詳細を説明する図である。S410では、海底検出レベル初期化フラッグのONの判断を行っている。当該初期化フラッグがONであれば、S411へ処理が移り、海底検出レベルの初期化が、前述のように行われる。そしてこの処理が終了する。
【0048】
当該初期化フラッグがOFFであれば、S412へ処理が移り、海底候補の有無を判断する。ここで、海底候補がないと、処理はS413へ移る。S413では、所定深度毎に今回の海底検出レベルから、予め定めた定数を減算する。そして結果を前述のようにメモリに海底検出レベルテーブルとして記憶して処理が終了する。海底候補があると、処理はS414へ移る。
【0049】
S414では、目標許容量>現在許容量の判断が行われる。ここで、目標許容量>現在許容量と判断されると、処理がS413へ移り、前述の処理が行われる。目標許容量>現在許容量でないと判断されると、処理はS416へ移る。
【0050】
S416では、目標許容量<現在許容量の判断が行われる。ここで、目標許容量<現在許容量と判断されると、処理がS417へ移る。S417では、所定深度毎に今回の海底検出レベルに、予め定めた定数を加算する。そして結果を前述のようにメモリに海底検出レベルテーブルとして記憶して処理が終了する。目標許容量<現在許容量でないと判断される、即ち目標許容量=現在許容量と判断されたときは、海底検出レベルの変更はされず、処理が終了する。
【0051】
本実施例の説明では、海底検出レベルの演算を、式(1)を例に説明したが、この例に以外どのような海底検出レベルの演算式でも本発明が適用できるのは明らかである。
【符号の説明】
【0052】
1:トランスジューサ、10:超音波送信器、11:受信対数増幅器、12:A/D変換器、13:操作部、14:表示器、100:制御部、101:表示制御手段、102:メモリ部、103:海底レベル演算手段、104:海底レベル移動手段、105A:レベル比較手段、105B:許容量比較手段、106:送受制御部、BL:海底検出レベル、RS:受信信号、BD:海底深度、ML:最大レベル、NV:現在許容量、TV:目標許容量、DS:検出開始深度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
海底を検出する方法において、
所定深度毎に海底検出レベルを演算し、受信機で増幅検波した反射信号を所定深度毎に前記演算した海底検出レベルと比較し、前記比較の結果により前記演算した海底検出レベルを移動すること、を特徴とする海底検出方法。
【請求項2】
請求項1において、
前記演算した海底検出レベルは、当初、前記反射信号のレベルより大とする海底検出方法。
【請求項3】
請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、
前記演算した海底検出レベルの移動は、前記演算した海底検出レベルに所定の定数を、加算または減算する海底検出方法。
【請求項4】
請求項1又は請求項2のいずれかにおいて、
前記演算した海底検出レベルの移動は、当初、前記所定深度毎の海底検出レベルを、減算する海底検出方法。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4のいずれかにおいて、
前記反射信号と、前記移動した海底検出レベルとを所定深度毎に比較し、前記反射信号が、当該海底検出レベルより大の時、前記反射信号の最大レベルと海底検出時の当該海底検出レベルとの差が所定の範囲となるように、前記移動した海底検出レベルに所定の定数を加算または減算する海底検出方法。
【請求項6】
所定深度毎に海底検出レベルを演算する手段と、受信機で増幅検波した反射信号を所定深度毎に前記演算した海底検出レベルと比較する手段と、前記演算した海底検出レベルを移動する手段と、を備えたことを特徴とする魚群探知装置。
【請求項7】
請求項6において、
前記演算する手段は、当初、所定深度毎の海底検出レベルを前記反射信号のレベルより大とすることを特徴とする魚群探知装置。
【請求項8】
請求項6又は請求項7にいずれかにおいて、
前記移動する手段は、所定深度毎に前記演算した海底検出レベルに所定の定数を、加算または減算することを特徴とする魚群探知装置。
【請求項9】
請求項6又は請求項7にいずれかにおいて、
前記移動する手段は、当初、前記演算する手段で演算した所定深度毎の海底検出レベルを、減算することを特徴とする魚群探知装置。
【請求項10】
請求項6乃至請求項9のいずれかにおいて、
さらに許容量比較手段を具備し、この許容量比較手段は、前記反射信号の最大レベルと、海底検出時の当該海底検出レベルとの差を比較し、前記移動する手段は、前記反射信号の最大レベルと、海底検出時の当該海底検出レベルとの差が所定の範囲となるように、所定の定数を加算または減算することを特徴とする魚群探知装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−145311(P2011−145311A)
【公開日】平成23年7月28日(2011.7.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102984(P2011−102984)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【分割の表示】特願2005−285454(P2005−285454)の分割
【原出願日】平成17年9月29日(2005.9.29)
【出願人】(000001177)株式会社光電製作所 (32)
【Fターム(参考)】