説明

海水淡水化システム

【課題】有機物、微生物の除去の前処理工程を備え、コストを低減する。
【解決手段】本発明の海水淡水化システムSは、海水1中の有機物・微生物を低減する有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5と、淡水化する逆浸透膜処理装置6と、前記装置4に供給・処理される海水1中の有機物濃度を計測する有機物濃度計測装置7と、前記装置5に供給・処理される海水1中の微生物量を計測する微生物量計測装置8と、前記装置4中の吸着処理剤の使用不可の際、吸着処理剤洗浄情報90aを出力する吸着処理剤洗浄条件演算装置9と、洗浄情報90aにて前記装置4に洗浄水41を供給する吸着処理剤洗浄水供給装置10と、前記装置5中の微生物低減処理剤の繰返し使用不可の際、微生物低減処理剤洗浄情報90bを出力する微生物低減処理剤洗浄条件演算装置9と、洗浄情報90bにて前記装置5に洗浄水51を供給する微生物低減処理剤洗浄水供給装置10とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海水から逆浸透膜を用いて淡水を得る海水淡水化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球規模の人口増や新興国の台頭に伴う造水需要の顕在化により、逆浸透膜を用いて淡水を得る海水淡水化装置が増加する傾向が顕著となっている。
逆浸透膜(RO膜:Reverse Osmosis Membrane)は、セルロースやポリアミド等の素材で造られており、この膜に海水の浸透圧の二倍以上の圧力を加えることで水を逆浸透膜の微細孔に通過させ、塩分(主にNaCl)の透過を抑制し淡水を得ることができる。
【0003】
ところで、RO膜を用いた海水淡水化装置の透過性能を低下させる現象にバイオファウリングがある。バイオファウリングは植物プランクトン由来の生体高分子物質、たとえば,非特許文献1には,炭素を含有する有機物のうち特に粘着性を持つ多糖類を含むTEP(Transparent Exopolymer Particles:透明細胞外粒子(透明粒子状有機物))が,ファウリングの生成に大きく寄与していると記載されている。
【0004】
また,逆浸透膜面に微生物が増殖して膜の透過性を阻害し、逆浸透膜の膜透過効率を低下させることが挙げられる。微生物は如何なる海水にも生存(生息)しており、RO膜上に付着した微生物がファウリングを発生あるいは助長し、膜性能の低下を招来する。
【0005】
海水淡水化装置の効率的な運転のためにはバイオファウリング対策が必須であり、バイオファウリング対策としては、孔径0.01〜0.001μm程度のUF膜(Ultrafiltration Membrane)のろ過を用いた前処理工程によってRO膜の上流側で有機物を低減し、RO膜の性能低下を防止する方法がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2011−20072号公報
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】竹内,「RO海水淡水化の前処理とファウリング」,日本海水学会誌 63巻,pp. 367-371(2009)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、UF膜を用いた前処理工程によっても多糖類とくにTEPに代表される有機物は完全に除去することができず、RO膜の性能低下を防止できない問題がある。その他、微生物によるファウリング抑制対策としては供給水を滅菌して、RO膜を通水させることが対策のひとつと考えられるが、飲料水などに適用が限られる。
【0009】
本発明は上記実状に鑑み、バイオファウリングの要因であるTEPで代表される粒子状有機物のほかに微生物の除去をも併せて行う前処理工程を提供し、全ランニングコストを低減できる海水淡水化システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成すべく、本発明に関わる海水淡水化システムは、逆浸透膜を用いて、海水から淡水を得る海水淡水化システムであって、前記海水に含まれる有機物を低減する有機物吸着処理装置と、前記海水に含まれる微生物を低減する微生物低減処理装置と、前記逆浸透膜で前記海水を淡水化する逆浸透膜処理装置と、前記有機物吸着処理装置に供給される海水中の有機物濃度および前記有機物吸着処理装置で処理された海水中の有機物濃度のうちの少なくとも後者を計測する有機物濃度計測装置と、前記微生物低減処理装置に供給される海水中の微生物量および前記微生物低減処理装置で処理された海水中の微生物量のうちの少なくとも後者を計測する微生物量計測装置と、前記有機物濃度計測装置により得られた前記海水中の有機物濃度から前記有機物吸着処理装置中の吸着処理剤の繰返し使用の可否を判断して使用不可の場合に吸着処理剤洗浄情報を出力する吸着処理剤洗浄条件演算装置と、前記吸着処理剤洗浄情報に基づき前記有機物吸着処理装置に洗浄水を供給する吸着処理剤洗浄水供給装置と、前記微生物量計測装置により得られた前記海水中の微生物量から前記微生物低減処理装置中の微生物低減処理剤の繰返し使用の可否を判断して使用不可の場合に微生物低減処理剤洗浄情報を出力する微生物低減処理剤洗浄条件演算装置と、前記微生物低減処理剤洗浄情報に基づき前記微生物低減処理装置に洗浄水を供給する微生物低減処理剤洗浄水供給装置とを具備している。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、バイオファウリングの要因であるTEPで代表される粒子状有機物のほかに微生物の除去をも併せて行う前処理工程を提供し、全ランニングコストを低減できる海水淡水化システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係る実施形態1の海水淡水化システムを示す概念的構成図である。
【図2】実施形態2の微生物低減処理装置に使用される銀担持ゼオライトの合成手順を示す図である。
【図3】(a)は実施形態2の銀ゼオライトのカラム通水試験の状態を示し、(b)は比較例のゼオライトのカラム通水試験の状態を示す図である。
【図4】カラム通水試験結果のうちATPのモル濃度の経時変化を示す図である。
【図5】カラム通水試験結果のうち遊離ATPのモル濃度の経時変化を示す図である。
【図6】カラム通水試験結果のうちTEP濃度の経時変化を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について添付図面を参照して説明する。
ただし、本発明の構成及び効果は、以下説明する実施形態に示す態様に限定されるものではない。
<<実施形態1>>
図1は、本発明に係る実施形態1の海水淡水化システムを示す概念的構成図である。
実施形態1の海水淡水化システムSは、原水である海水1を、逆浸透膜を用いて塩分を除き淡水化するシステムである。
【0014】
海水淡水化システムSの代表的なシステム構成を図1に基づいて説明する。
海水淡水化システムSは、原水の海水1が流入する上流側から順に、海水1から、比較的大きな混入物を除去する前処理装置3、有機物を吸着する有機物吸着処理装置4、微生物を低減させる微生物低減処理装置5、および、海水1を逆浸透処理で塩分を除去し淡水(逆浸透膜処理水2)を得る逆浸透膜処理装置6を具備している。
【0015】
つまり、原水の海水1は、海水淡水化システムSにおいて、最終的に逆浸透膜処理装置6を通過して最終的な淡水の逆浸透膜処理水2となる。
海水淡水化システムSは、その機能を正常に働かせるための機器として、有機物濃度計測装置7、微生物量計測装置8、有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5の各洗浄条件を演算する洗浄条件演算装置9、および、当該両装置4、5にそれぞれ洗浄水を供給して洗浄する洗浄水供給装置10を含む。
【0016】
前処理装置3は、砂ろ過処理相当の装置であって原水の海水1から例えば1μm〜100μmの大きさの夾雑物および/または濁度成分を除去する。前処理装置3としては、例えば自然沈殿や径が1μm〜100μmの孔を多数有する膜が挙げられる。
【0017】
有機物吸着処理装置4は、前処理装置3で除去しきれない有機物等の成分、物質の大きさでいうと例えば1μm以下の成分、物質を吸着により除去する。特に、海水1中に溶解している有機物、例えばTEP(透明細胞外粒子)および/または糖成分を吸着することに有効である。
【0018】
有機物吸着処理装置4は、例えば、ゼオライト(吸着処理剤)を用いた吸着塔を鉛直方向に立設し、前処理装置3で前処理された前処理水30を吸着塔の下方から上方にゼオライトに通過させ、前処理水30中の有機物をゼオライトに吸着させる。有機物吸着処理装置4における吸着塔は単数または複数並設される。
【0019】
微生物低減処理装置5は、例えば、微生物に対して殺菌、抗菌作用がある銀をゼオライトに担持した銀担持ゼオライト(微生物低減処理剤)(実施形態2で詳細を後記)を有する吸着塔に、有機物吸着処理装置4を透過した有機物吸着処理水40を通過させ、微生物を低減する。
微生物低減処理装置5における吸着塔は単数または複数並設される。
【0020】
有機物濃度計測装置7では有機物吸着処理装置4に流入する前の前処理水30の一部の前処理後サンプル水30s中と、有機物吸着処理装置4を通過し処理された有機物吸着処理水40の一部である吸着処理後サンプル水40s中との有機物濃度または/およびTEP濃度を分析する。
【0021】
また、有機物濃度計測装置7は微生物低減処理装置5を通過して処理された微生物低減処理水50の一部である微生物低減処理後サンプル水50s中の有機物濃度、例えば糖類または/およびTEP濃度を分析してもよい。
有機物濃度の定量分析はフェノール硫酸法もしくは高速液体クロマトグラフィー法、TEP濃度の定量分析はアルシアンブルー染色吸光度測定法で行う。なお、有機物濃度の定量分析はその他の測定法を用いてもよい。
【0022】
微生物量計測装置8は、海水1に含有される微生物量を計測する。微生物量計測装置8は、微生物低減処理装置5に流入する前の吸着処理後サンプル水40s中の微生物量と、微生物低減処理装置5を通過し処理された微生物低減処理後の微生物低減処理水50の微生物低減処理後サンプル水50s中の微生物の値を計測する。
また、微生物量計測装置8は、前処理装置3で前処理された前処理水30の一部の前処理後サンプル水30s中の微生物量を分析してもよい。
【0023】
微生物量を計測するに際しては、ATP(Adenosine Triphosphate:アデノシン三リン酸)値およびATPを含む遊離ATP値を、ルシフェリン−ルシフェラーゼ反応法(キッコーマン株式会社製薬剤を使用する定量法)で定量する。なお、微生物量の計測、測定はその他の方法を用いてもよい。
【0024】
洗浄条件演算装置9は、有機物濃度計測装置7から送られる有機物吸着処理装置4の有機物吸着能を示す演算結果70から、有機物吸着処理装置4が繰り返し使用可か否かを判定し、繰り返し使用不可の場合、洗浄水供給装置10に有機物吸着処理装置4を洗浄するための洗浄信号90(90a)を送信する。
【0025】
また、洗浄条件演算装置9は、微生物量計測装置8から送られる微生物低減処理装置5の微生物低減能を示す演算結果80から、微生物低減処理装置5が繰り返し使用可か否かを判定し、繰り返し使用不可の場合、洗浄水供給装置10に微生物低減処理装置5を洗浄するための洗浄信号90(90b)を送信する。
【0026】
洗浄条件演算装置9は、コンピュータ、周辺回路等を有するコントローラやパソコン(personal computer)等で構成される。洗浄条件演算装置9は、その機能の少なくとも一部を回路で構成してもよく、洗浄条件演算装置9は、所定の機能が果たせれば、その構成は限定されない。
【0027】
洗浄水供給装置10は、有機物吸着処理装置4や微生物低減処理装置5がそれぞれ正常に機能せず繰返し使用不可の場合に、不図示のポンプで洗浄水41、51をそれぞれ有機物吸着処理装置4や微生物低減処理装置5に送り、洗浄・再生を行う。なお、洗浄水供給装置10に、洗浄水を加熱するヒータやヒートポンプの加熱手段を設けると洗浄水41、51に温水を用いることができ、付着物の溶解等の洗浄効果がより高まるので好ましい。
【0028】
<有機物濃度計測装置7と微生物量計測装置8と洗浄条件演算装置9との動作>
次に、有機物濃度計測装置7と微生物量計測装置8と洗浄条件演算装置9との動作関係を以下説明する。
有機物吸着処理装置4が有機物吸着能が劣化した際に洗浄して再生するための洗浄・再生操作は、次のように行われる。
【0029】
有機物濃度計測装置7では、有機物吸着処理装置4を通過した有機物が吸着処理された吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度値が経時的に(時間経過に従って連続的に)計測される。
有機物濃度計測装置7から、吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度値である演算結果70が洗浄条件演算装置9に送られる。
【0030】
洗浄条件演算装置9では、送られる演算結果70の吸着処理後サンプル水40s中の有機物濃度が、予め洗浄条件演算装置9の記憶部に入力または設定されている有機物吸着処理装置4の汚染基準の閾値の有機物濃度値よりも高値であるか否か判定される。汚染基準の有機物濃度値とは、有機物吸着処理装置4を洗浄して吸着性能を回復する必要があると判定する基準値である。
【0031】
送られる吸着処理後サンプル水40の有機物濃度が、汚染基準の有機物濃度値以下の低値であると判定された場合、有機物吸着処理装置4の性能を回復する必要がないと判定され、有機物吸着処理装置4を洗浄するための洗浄信号90aは洗浄水供給装置10に送信されない。
【0032】
一方、洗浄条件演算装置9で、送られる演算結果70の吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度が、汚染基準の有機物濃度値よりも高値であると判定された場合、有機物吸着処理装置4を洗浄して吸着性能を回復する必要があると判断され、洗浄条件演算装置9から洗浄水供給装置10に洗浄信号90aを送信する。
【0033】
洗浄信号90aが送信されるのを契機に、洗浄水供給装置10から有機物吸着処理装置4に洗浄水41が送られ、有機物吸着処理装置4が洗浄され、再生が行われる。
例えば、有機物濃度計測装置7で計測される吸着処理後サンプル水40s中の有機物濃度が、C1であったとする。洗浄条件演算装置9には、値C2が有機物吸着処理装置4の洗浄のための閾値(汚染基準の有機物濃度値)として、予め入力または設定されている。
【0034】
洗浄条件演算装置9での演算結果がC2(汚染基準の有機物濃度値)≧C1と判定されるならば、有機物吸着処理装置4が洗浄再生を必要とする条件に達していないので、洗浄水供給装置10に洗浄信号90aは送信されない。
【0035】
これに対して、洗浄条件演算装置9での演算結果がC2(汚染基準の有機物濃度値)<C1ならば、洗浄水供給装置10に洗浄信号90aが送られ、洗浄水供給装置10から洗浄水41が有機物吸着処理装置4に送られて有機物吸着処理装置4の洗浄再生操作が行われる。
【0036】
なお、さらに信頼性高く淡水を得る場合、原水の海水1の状態の変化が大きい場合等には、次のように構成するとよい。
有機物吸着処理装置4の流入前の前処理後サンプル水30sの有機物濃度に対する有機物吸着処理装置4の処理後の吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度の汚染基準の閾値C0を複数、予め洗浄条件演算装置9のROM等の記憶部のテーブル、マップに記憶したり、制御プログラムのプログラムソースに記述して設定しておく。
【0037】
実際の海水淡水化システムSの運用に際して、有機物濃度計測装置7で有機物吸着処理装置4の流入前の前処理後サンプル水30sの有機物濃度C3と有機物吸着処理装置4の処理後の吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度C4とを計測する。
【0038】
そして、洗浄条件演算装置9で予め設定した前処理後サンプル水30sの有機物濃度に対する吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度C4が設定の閾値C0を越えると(C4>C0)と判定されるならば、洗浄水供給装置10に洗浄信号90aが送られ、洗浄水供給装置10から洗浄水41が有機物吸着処理装置4に送られて洗浄再生操作が行われる。
【0039】
一方、洗浄条件演算装置9での演算結果70の吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度C4が、C0(閾値)≧C4と判定されるならば、有機物吸着処理装置4が洗浄再生を必要とする条件に達していないので、洗浄水供給装置10に洗浄信号90aは送信されない。
【0040】
なお、その他、有機物吸着処理装置4の流入前の前処理後サンプル水30sの有機物濃度に対する有機物吸着処理装置4の処理後の吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度の汚染基準の閾値C01を複数予め設定するとともに、有機物吸着処理装置4の流入前の前処理後サンプル水30sの有機物濃度に対する微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの有機物濃度の汚染基準の閾値C02を複数予め設定する。
【0041】
そして、運用に際して、有機物吸着処理装置4の流入前の前処理後サンプル水30sの有機物濃度、吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度、微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの有機物濃度をそれぞれ測定する。
そして、吸着処理後サンプル水40sの有機物濃度が閾値C01を越える場合、または、微生物低減処理後サンプル水50sの有機物濃度が閾値C02を越える場合には、有機物吸着処理装置4を洗浄・再生するように構成してもよい。
【0042】
一方、微生物低減処理装置5に対する洗浄、再生操作は以下のように行われる。
微生物量計測装置8では、微生物低減処理装置5を通過して処理された微生物低減処理水50の一部である微生物低減処理後サンプル水50s中の微生物量が経時的に(時間経過に従って連続的に)計測される。
【0043】
微生物量計測装置8での分析結果の微生物低減処理後サンプル水50s中の微生物量が演算結果80として、微生物量計測装置8から洗浄条件演算装置9に送られる。
演算結果80は微生物低減処理装置5の再生に係る信号である。洗浄条件演算装置9には、予め、微生物低減処理装置5を洗浄する洗浄基準となる微生物量の閾値がROM等の記憶部に入力または設定されている。なお、微生物量の閾値とは、前記した有機物濃度の閾値とは独立して設定されるものである。
【0044】
洗浄条件演算装置9では、微生物低減処理後サンプル水50s中の微生物量が、微生物低減処理装置5を洗浄する閾値より高いか否かの判定が行われる。
洗浄条件演算装置9で、演算結果80の微生物低減処理後サンプル水50s中の微生物量が、洗浄基準の微生物量の閾値以下の低値であると判定された場合、微生物低減処理装置5の性能を回復する必要がないと判定され、洗浄信号90bは洗浄水供給装置10に送信されない。
【0045】
一方、洗浄条件演算装置9で、微生物低減処理後サンプル水50s中の微生物量が、洗浄基準の微生物量の閾値よりも高値であると判定された場合、微生物低減処理装置5の性能を回復する必要があると判定され、洗浄条件演算装置9から洗浄信号90bが洗浄水供給装置10に送信される。
洗浄条件演算装置9からの洗浄信号90bの送信を契機に、洗浄水供給装置10から微生物低減処理装置5に洗浄水51が送られ、微生物低減処理装置5の洗浄および再生が行われる。
【0046】
なお、さらに信頼性高く淡水を得る場合、原水の海水1の状態の変化が大きい場合等には、次のように構成するとよい。
微生物低減処理装置5の流入前の吸着処理後サンプル水40sの微生物量に対する微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量の汚染基準の閾値B0を複数予め、洗浄条件演算装置9のROM等の記憶部のテーブル、マップに記憶したり、制御プログラムのプログラムソースに記述して設定しておく。
【0047】
実際の海水淡水化システムSの運用に際して、微生物量計測装置8で微生物低減処理装置5の流入前の吸着処理後サンプル水40sの微生物量B3と微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量B4とを計測する。
【0048】
そして、洗浄条件演算装置9で予め設定した吸着処理後サンプル水40sの微生物量に対して微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量B4が設定の閾値B0を越えると(B4>B0)と判定されるならば、洗浄水供給装置10に洗浄信号90bが送られ、洗浄水51が微生物低減処理装置5に送られて微生物低減処理装置5の洗浄再生操作が行われる。
【0049】
一方、洗浄条件演算装置9での演算結果がB0(閾値)≧B4と判定されるならば、微生物低減処理装置5が洗浄再生を必要とする条件に達していないので、洗浄水供給装置10に洗浄信号90bは送信されないように構成する。
【0050】
なお、その他、前処理装置3で前処理した前処理後サンプル水30sの微生物量に対する微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量の汚染基準の閾値D01を複数予め設定するとともに、微生物低減処理装置5の流入前の吸着処理後サンプル水40sの微生物量に対する微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量の汚染基準の閾値D02を複数予め設定する。
【0051】
そして、実際の運用に際して、前処理後サンプル水30sの微生物量、微生物低減処理装置5の流入前の吸着処理後サンプル水40sの微生物量、微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量を測定する。
そして、微生物低減処理装置5の処理後の微生物低減処理後サンプル水50sの微生物量が汚染基準の閾値D01、D02の何れかを越える場合には、微生物低減処理装置5の洗浄・再生を行うように構成してもよい。
【0052】
実施形態1の海水淡水化システムSによれば、海水1に含まれるTEPに代表される有機物を低減させることができる。
さらに、逆浸透膜処理装置6の前処理工程として、有機物のほかに微生物の除去をも併せて行う構成とするとともに、有機物を吸着した後の吸着処理剤および微生物を低減した後の微生物処理剤の洗浄を効率よく行うことができる。
【0053】
その結果、バイオファウリングによる海水淡水化のためのRO膜(逆浸透膜処理装置6)の透過性能の低下を抑制し、海水淡水化システムSの延命に寄与できる。そのため、海水淡水化システムSの全ランニングコストを低減できる。
【0054】
なお、実施形態1では、微生物低減処理装置5の処理後の微生物量として、ATPおよび/または遊離ATPの2種類を用いた。ATPは微生物低減処理装置5の処理後の現存する微生物量に相当する分析値であり、遊離ATPは、ATPに過去に存在していた微生物の痕跡量も含めた値となる。
【0055】
RO膜のバイオファウリング抑制のためにはATPと遊離ATP両者の量を低減することが望ましいが、特にATPが低いことが必要である。よって、演算結果80はATPと遊離ATP両者についての構成であることが望ましいが、ATPのみでも本発明の目的は達せられる。
【0056】
なお、図1では洗浄条件演算装置9が有機物濃度計測装置7からの演算結果70と微生物量計測装置8からの演算結果80の両方の結果が入力される構成としているが、洗浄条件演算装置9を有機物濃度と微生物量の場合とで別々に分離した独立の構成としても構わない。
【0057】
<<実施形態2>>
実施形態2では、微生物低減処理装置5に使用される銀担持ゼオライトの合成法および性能について説明する。
微生物低減処理装置5に使用される銀担持ゼオライトは以下のような手順に従い合成した。合成手順を図2に示す。
【0058】
図2に示す第一工程では、ゼオライトに水溶液に溶解した銀を担持するため、ゼオライトの含水量を求める含水量測定工程が行われる。
まず、天然ゼオライトを所定の粒径分布のものに整粒する(図2のS101)。本実施形態2では篩(ふる)い目が1mmから5mmに分離された粒径のものを用いる。粒径は、使用する微生物低減処理装置5の規模およびその予定する吸着性能により異なるため、本実施形態2に示す粒径範囲に限定されるものではない。
【0059】
続いて、整粒後のゼオライトの一部である少量を大気中で十分乾燥させる(S102)。そして、乾燥後のゼオライト粒子に純水を一滴ずつ滴下し含浸させながら(S103)、重量測定を行い、ゼオライトの吸水量を求める(S104)。
【0060】
第二工程は、ゼオライトに銀を担持するための銀含浸液を調製する銀含浸液調製の工程である。
第一工程で求めたゼオライト単位重量当たりの吸水量に基づき、微生物低減処理装置5に使用するゼオライトの全量に対する必要純水量を求め(図2のS201)、これに銀担持濃度から求めた銀担持重量を計算する。
【0061】
銀は単体では水に溶解しないため、水溶性の化合物とする。銀は水溶性の化合物であれば種類を選ばない。本実施形態2では水に対する溶解度の高い硝酸銀(AgNO)を用いた。銀(Ag)担持濃度から換算した硝酸銀試薬の必要量を攪拌した純水中に添加して銀含浸液を調製し(S202)、硝酸銀(AgNO)水溶液が調製される。
【0062】
第三の工程は、実際にゼオライトに銀を担持する銀ゼオライト合成工程である。
すなわち、銀ゼオライト合成工程とは、微生物低減処理装置5に使用するゼオライト粒子に銀含浸液を含浸する操作と、これを乾燥、焼成し、最終的に銀が担持したゼオライトである銀ゼオライトを得る工程である。
【0063】
第三の工程の銀ゼオライト合成工程では、図2のS101で整粒した天然ゼオライトを用いる(図2のS301)。
ゼオライトは十分に乾燥させ(S302)、これに、第三の工程のS301の天然ゼオライトに対応して第二工程で調製済みの銀含浸液(硝酸銀水溶液)をS302で乾燥させたゼオライト粒子全体に満遍なく滴下し、含浸させる(S303)。
【0064】
ここで、ゼオライトの必要量に対するゼオライト粒子全量に均一に含浸するためには少量ずつ小型の磁性皿に秤り分け含浸操作を行うことが望ましい。ゼオライト全体に銀含浸液が十分に均一に滴下された後はこれを十分乾燥し、水分を蒸発させ乾固する(S304)。本実施形態2では、ゼオライトの微細孔の目詰まりを防止するために非常な高温にすることなく120℃で数時間放置して水分を蒸発させ乾固させた。水分が完全に蒸発したのち大気中で焼成して(S305)、最終の銀ゼオライト(銀担持ゼオライト)が得られる。S305での焼成条件は400℃で2時間とした。
【0065】
<銀ゼオライトのカラム通水試験>
次に、合成した銀ゼオライトの微生物低減能を調べるカラム通水試験の手順について説明する。
図3(a)は実施形態2の銀ゼオライトの通水試験の状態を示し、図3(b)は比較例のゼオライトの通水試験の状態を示す。
【0066】
カラム通水試験は、本実施形態2の銀ゼオライトの微生物低減能等を調べるため、対照系(比較例)として同一の試験条件によって銀担持前の通常のゼオライト系によるカラム通水試験を行い、試験において同一項目の分析を行い、本実施形態2の銀ゼオライトと比較例の通常のゼオライトとを比較した。
【0067】
カラム通水試験は断面積30cmのカラムCに銀ゼオライトおよびゼオライトをカラムの軸方向の長さである層高Hで5cm充填し、流量1.5L(リットル)/時で原水の海水1をカラムCに下から上に向けて流して行った。流量をカラムCの通水の断面積Dで除算することで、通水の速度Vが求められる。
【0068】
通水試験中のカラム内の原水線速度LV、空塔速度SVは、それぞれ下式(1)、(2)で求められる。
LV=V/D (1)
空塔速度SVは、
SV=LV/H (2)
Hは層高である。
本試験における空塔速度SV=50cm/h(時)、空塔速度SV=10(h−1)である。本実施形態2の銀ゼオライトのゼオライト中の銀含有量は3.9wt%(重量%)である。
【0069】
分析項目はATP(アデノシン三リン酸)、遊離ATPおよびTEP濃度である。ATPはエネルギを要する生物体の反応素過程に必ず使われる基本成分であり、前記したように、ATP値は海水中に現存する微生物量の示標となる。また、遊離ATPはATPを含む現存微生物以外(微生物が存在した痕跡)を示す値である。TEP濃度は有機物濃度の示標である。
【0070】
カラム通水試験の結果を図4から図6に示す。図4は処理水中のATPのモル濃度の経時変化を示す。図5は処理水中の遊離ATPのモル濃度の経時変化を示す。
図6は処理水中のTEP濃度の経時変化を示す。図6の縦軸の(mg−Xeq/L)のうちのXeqはTEPを成す複数の物質の一つである多糖類のキサンタンガム (xanthan gum)の濃度をTEP濃度と等価とみなすということを意味し、Xanthan gum−eqivalentの頭文字の略である。
【0071】
何れの結果も実施形態2の銀ゼオライトと比較例であるゼオライトのみの両カラム処理水の結果を示す。図4と図6には、その都度の原水中の濃度の分析結果も示した。ここで、原水(海水1)中のATP濃度およびTEP濃度を分析するのは原水(海水1)中の微生物量、有機物濃度が時々刻々連続的に変化するためである。
【0072】
図4で海水1の原水中のATP(現存する微生物量)は実施形態2の銀ゼオライトの試験中の中盤までやや増加する傾向を示した。
対照とした比較例のゼオライトだけを通過させた処理水のATPの経時変化は原水と大きく違いがなく、比較例のゼオライト単体には微生物を変性もしくは不活化する効果がないことを示している。
【0073】
これに対して、実施形態2の銀ゼオライトを通過処理した処理水中のATPは比較例のゼオライトのデータとは傾向が顕著に異なり、通水試験の途中からATPがほとんど検知できない程度に減少した。この結果は、実施形態2の銀ゼオライトが微生物を不活化する(殺菌)作用があることを示す。
【0074】
図5の遊離ATPについては、ATP(現存する微生物量)の傾向ほど明瞭ではないが、実施形態2の銀ゼオライトによる処理水の遊離ATPが比較例のゼオライト単体のデータに比して低い傾向が認められる。すなわち、実施形態2の銀ゼオライトは海水中の微生物を不活化する効果が認められた。
【0075】
図6に示す有機物濃度の示標のTEP濃度は、ATPや遊離ATPの傾向と逆である。すなわち、実施形態2の銀ゼオライト層を通過、処理した処理水中TEP濃度は原水のTEP濃度の経時変化と極似しており、比較例のゼオライト単体の対照データよりも高い。従って、実施形態2の銀ゼオライトは通常のゼオライトに見られるようなTEP吸着除去作用が少ないことを示す。
【0076】
実施形態2の銀ゼオライトを有効ならしめるためには、銀ゼオライトを有する微生物低減処理装置5だけを逆浸透膜処理装置6の前段に設けるよりも、実施形態1の構成図の図1に示すように、予め有機物吸着処理装置4を微生物低減処理装置5の上流側に設置し、先に有機物、例えばTEPおよび/または多糖類成分を吸着除去したのちに銀ゼオライトによる微生物低減処理装置5によって微生物を不活化するシステムがより有効である。これによってRO膜を用いた海水淡水化システムSの長寿命化が可能となる。
【0077】
上記構成によれば、ゼオライトが持つ吸着細孔表面全体に銀化合物(銀の酸化物等)が膜を造ることによって、その銀化合物の膜全体が原水の海水1と接触でき、銀化合物中の銀が原水の海水1中の微生物を不活化する効果を生ずる。これにより、微生物の繁殖を抑制し、ひいては有機物の増加、RO膜のバイオファウリングの増加を抑制する。
【0078】
加えて、本実施形態2の構成と異なり銀をイオン結合でゼオライトに結合した場合、銀がゼオライトから電離して時間経過に従い流出してその働きが弱められることが想定される。しかしながら、本実施形態2の構成では、銀をゼオライトに担持するので、銀がゼオライトに安定的に結合されるため、時間が経過しても安定的に微生物を低減することが可能であり、微生物低減効果の信頼性が高い。
【0079】
一方、銀担持ゼオライトは、TEP等の有機物粒子を吸着作用も併せ持つが、有機物粒子の吸着除去作用はほかの吸着剤でも可能であり、また有機物を吸着除去しても完全に除去できるものでなく、微生物が存在して増殖することによって有機物も増加する。そのため、海水中に含まれる有機物、微生物の両者の量を抑制することが必要となる。
そこで、本構成では、前処理装置中の前段において有機物等を吸着除去する行程があり、有機物を大略除去した後段に銀担持ゼオライトによる微生物、細菌類の抑制行程を配置している。
【0080】
<<その他の実施形態>>
なお、有機物および/または多糖類の吸着低減には例示したゼオライト、活性炭等の多孔質物質を用いることが望ましい。
また、前記実施形態で説明したゼオライトは、天然ゼオライト、人工ゼオライトの何れを使用してもよい。
【0081】
前記実施形態では、有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5を各1つ配設した場合を例示したが、有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5をそれぞれ複数配置してもよく、有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5のそれぞれの数は限定されない。
【0082】
なお、前記実施形態では、有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5の順に配置した場合を例示したが、微生物低減処理装置5、有機物吸着処理装置4の順に配置してもよい。しかし、前記したように、有機物吸着処理装置4、微生物低減処理装置5の順に配置した方がより望ましい。
【0083】
また、有機物濃度計測装置7と微生物量計測装置8と洗浄条件演算装置9とを一つの装置として構成してもよい。また、有機物濃度計測装置7と洗浄条件演算装置9とを一つの装置と構成してもよく、或いは、微生物量計測装置8と洗浄条件演算装置9とを一つの装置として構成してもよい。
【符号の説明】
【0084】
1 海水
4 有機物吸着処理装置
5 微生物低減処理装置
6 逆浸透膜処理装置
7 有機物濃度計測装置
8 微生物量計測装置
9 洗浄条件演算装置(吸着処理剤洗浄条件演算装置、微生物低減処理剤洗浄条件演算装置)
10 洗浄水供給装置(吸着処理剤洗浄水供給装置、微生物低減処理剤洗浄水供給装置)
30 前処理水(海水)
40 有機物吸着処理水(海水)
41 洗浄水
50 微生物低減処理水(海水)
51 洗浄水
70 演算結果(吸着処理剤洗浄情報)
80 演算結果(微生物低減処理剤洗浄情報)
90 洗浄信号(吸着処理剤洗浄情報、微生物低減処理剤洗浄情報)
90a 洗浄信号(吸着処理剤洗浄情報)
90b 洗浄信号(微生物低減処理剤洗浄情報)
S 海水淡水化システム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
逆浸透膜を用いて、海水から淡水を得る海水淡水化システムであって、
前記海水に含まれる有機物を低減する有機物吸着処理装置と、
前記海水に含まれる微生物を低減する微生物低減処理装置と、
前記逆浸透膜で前記海水を淡水化する逆浸透膜処理装置と、
前記有機物吸着処理装置に供給される海水中の有機物濃度および前記有機物吸着処理装置で処理された海水中の有機物濃度のうちの少なくとも後者を計測する有機物濃度計測装置と、
前記微生物低減処理装置に供給される海水中の微生物量および前記微生物低減処理装置で処理された海水中の微生物量のうちの少なくとも後者を計測する微生物量計測装置と、
前記有機物濃度計測装置により得られた前記海水中の有機物濃度から前記有機物吸着処理装置中の吸着処理剤の繰返し使用の可否を判断して使用不可の場合に吸着処理剤洗浄情報を出力する吸着処理剤洗浄条件演算装置と、
前記吸着処理剤洗浄情報に基づき前記有機物吸着処理装置に洗浄水を供給する吸着処理剤洗浄水供給装置と、
前記微生物量計測装置により得られた前記海水中の微生物量から前記微生物低減処理装置中の微生物低減処理剤の繰返し使用の可否を判断して使用不可の場合に微生物低減処理剤洗浄情報を出力する微生物低減処理剤洗浄条件演算装置と、
前記微生物低減処理剤洗浄情報に基づき前記微生物低減処理装置に洗浄水を供給する微生物低減処理剤洗浄水供給装置とを
備えることを特徴とする海水淡水化システム。
【請求項2】
請求項1に記載の海水淡水化システムにおいて、
前記微生物低減処理装置は、前記逆浸透膜処理装置の前段に配置されるとともに、
前記有機物吸着処理装置は、前記微生物低減処理装置の前段に配置される
ことを特徴とする海水淡水化システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の海水淡水化システムにおいて、
前記微生物低減処理装置は、銀化合物を含有する微生物低減処理剤を用いて構成される
ことを特徴とする海水淡水化システム。
【請求項4】
請求項1から請求項3のうちの何れか一項に記載の海水淡水化システムにおいて、
前記微生物低減処理剤は、ゼオライトに銀が硝酸銀水溶液で含浸され大気中で加熱して合成される
ことを特徴とする海水淡水化システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2013−91020(P2013−91020A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233967(P2011−233967)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】