海洋深層水汲み上げ装置

【課題】本発明は、潮流の運動エネルギーを利用して海洋深層水を効率的に汲み上げる装置を提供する。
【解決手段】フロートから海中に吊り下げられ、海底に設置したアンカーに係留された深層水汲み上げ部の外部に取り付けたスクリューを潮流で回転させ、その動力で深層水汲み上げ部の内部のスクリューを回転させて、深層水汲み上げ部から深層水汲み上げ水深まで垂らしたホースを通じて深層水を汲み上げる構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
この発明は、潮流の運動エネルギーを利用して海洋深層水を汲み上げる装置に関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、ポンプを使って海洋深層水を汲み上げる方法が考案されている。（例えば、特許文献１参照。）
また、深層水取水部における潮流の運動エネルギーを利用して海洋深層水を汲み上げる方法が考案されている。（例えば、特許文献２参照。）
【先行技術文献】
【特許文献】
【０００３】
【特許文献１】特開２００２−３７０６９０号公報
【特許文献２】特開２００２−３０６０１６号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
従来のポンプを使用するものにあっては、電動のポンプを利用している。その電力を太陽光又は風力エネルギーから得ているものがあるが、これらのエネルギーは安定的に供給されることはない。また、電力を潮流の運動エネルギーから得ているものがあるが、一旦、電気エネルギーに変換して、再度、運動エネルギーに変換するのは非効率である。
【０００５】
深層水取水部における潮流の運動エネルギーを利用する方法は、潮流の速さは海面付近で最も早く、水深が増すにつれて遅くなるため、非効率である。
【０００６】
本発明は、潮流の運動エネルギーを利用して海洋深層水を効率的に汲み上げる装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
上記の課題を解決するために、本発明の潮流の運動エネルギーを利用して海洋深層水を汲み上げる装置は、フロートから海中に吊り下げられ、海底に設置したアンカーに係留された深層水汲み上げ部の外部に取り付けたスクリューを潮流で回転させ、その動力で深層水汲み上げ部の内部のスクリューを回転させて、深層水汲み上げ部から深層水汲み上げ水深まで垂らしたホースを通じて深層水を汲み上げる構成とした。
【発明の効果】
【０００８】
本発明の装置は、電動のポンプを使用しないため、発電機、送電設備等の電気関係の施設・設備を使用しないため構造が単純である。
【０００９】
また、潮流が最も速い海面付近の潮流の運動エネルギーを利用することができるため、深層水取水部における潮流の運動エネルギーを利用する方法より効率が高い。
【００１０】
本発明の装置により栄養塩類に富んだ深層水を汲み上げて海藻の養殖に利用できるほか、本装置を多数設置してプランクトンの増殖を図り漁場を形成することもできる。
【図面の簡単な説明】
【００１１】
【図１】本発明の装置の実施例の外観を示す正面図である。
【図２】深層水汲み上げ部の実施例の側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【００１２】
以下、本発明の実施の形態を図１、図２に基づいて説明する。
【００１３】
潮流８を受けて深層水汲み上げ部１の外部に取り付けた外スクリュー１１が回転し、これに連動した内スクリュー１２が回転し、深層水汲み上げ部１の内部の海水が外部に排出される。これに伴い、ホース取り付け部１３に取り付けられたホース２から海水が深層水汲み上げ部１に取り込まれる。ホース２の下端を深層水を汲み上げたい水深に設定すれば意図した水深の深層水を汲み上げることができる。なお、外スクリュー及び内スクリューの形状及び取り付け位置は、実施例のごとく限定するものではない。
【符号の説明】
【００１４】
１深層水汲み上げ部
２ホース
３フロート
４吊り下げ索
５アンカー
６係留索
７海底
８潮流
１１外スクリュー
１２内スクリュー
１３ホース取り付け部

【特許請求の範囲】
【請求項１】
フロートから海中に吊り下げられ、海底に設置したアンカーに係留された深層水汲み上げ部の外部に取り付けたスクリューを潮流で回転させ、その動力で深層水汲み上げ部の内部のスクリューを回転させて、深層水汲み上げ部から深層水汲み上げ水深まで垂らしたホースを通じて深層水を汲み上げる装置。

【図１】