説明

海藻含有肥料の製造方法並びにその製造方法により得られる海藻含有肥料

【課題】米ぬかや海藻、その他の自然素材を肥料の主成分として用いることで、廃棄物の再利用に資するとともに、安心かつ安全で、効能にも優れた肥料の提供を図る。
【解決手段】海藻含有肥料10を製造すべく、米ぬか1と糖蜜2と海藻3と発酵菌4とを混合材料として撹拌混合する混合工程と、前記混合工程により得られた混合物を堆積して乾燥させる乾燥工程とから成る。このとき、前記混合工程により得られた混合物をペレット状に成形する固形化工程を経ることもできる。また、前記混合工程において、ニームオイル5a、ステビアパウダー5b、木材チップ5c、木材粉末5d、炭粉末5eから選択される少なくとも1種が添加物5として混合材料に添加することも可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、肥料を製造するための方法並びにその製造方法により得られる肥料に関し、詳しくは、主成分に海藻を含有する肥料の製造方法並びにその製造方法により得られる肥料に関するものである。
【背景技術】
【0002】
植物は、土中に根を張り生育するもので、該土中から生育に必要な栄養分を根によって吸収する。植物の生長が進むにつれ、土中の栄養分は吸収されることによって減少していくため、植物生育に必要な栄養分が枯渇してしまい、更なる植物の生長を阻害することとなる。
【0003】
そのため、土中栄養分を補ったり、植物の生長促進のため、植生箇所周囲の表土上若しくは土中に、肥料を与えることが従来より行われており、特に農業や家庭菜園における野菜等の栽培においては、肥料なしに栽培をすることの方が珍しくなっている。その際に使用される肥料としては、効能や製造コストなどの点で化学肥料が多用される傾向がある。
【0004】
ところで、かかる化学肥料により栽培した野菜を食した場合に、化学物質が人体に蓄積されるとされており、食した人の健康に影響を及ぼす危険も指摘されている。かかる問題から、無農薬により栽培された野菜類が、人々に好まれるようになってきているが、無農薬栽培には植物の生長という面で、発育が遅い等の問題もある。
そこで、自然物を原料とすることで、安心かつ安全であるとともに、化学肥料に劣らない効能を発揮するような、自然素材の肥料の開発が望まれるところである
【0005】
【特許文献1】特開2002−356390号公報
【特許文献2】特開平9−59080号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記問題点に鑑み、本発明は、米ぬかや海藻、その他の自然素材を肥料の主成分として用いることで、廃棄物の再利用に資するとともに、安心かつ安全で、効能にも優れた肥料を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、請求項1に係る発明は、米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌とを混合材料として撹拌混合する混合工程と、前記混合工程により得られた混合物を堆積して乾燥させる乾燥工程と、から成る海藻含有肥料の製造方法である。
【0008】
また、請求項2に係る発明は、米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌とを混合材料として撹拌混合する混合工程と、前記混合工程により得られた混合物をペレット状に成形する固形化工程と、前記固形化工程により得られた固形物を堆積して乾燥させる乾燥工程と、から成る。海藻含有肥料の製造方法である。
【0009】
さらに、請求項3に係る発明は、前記糖蜜について、黒糖を原料としたものを採用した海藻含有肥料の製造方法である。
【0010】
またさらに、請求項4に係る発明は、前記液状海藻について、コットニーを原料としたものを採用した海藻含有肥料の製造方法である。
【0011】
さらにまた、請求項5に係る発明は、前記発酵菌として、納豆菌を採用した海藻含有肥料の製造方法である。
【0012】
そしてまた、請求項6に係る発明は、前記混合工程における混合割合が、米ぬか100容積%に対して、糖蜜3〜10容積%、液状海藻3〜10容積%、発酵菌0.01〜0.05容積%とした海藻含有肥料の製造方法である。
【0013】
そしてさらに、請求項7に係る発明は、前記混合工程において、混合材料の添加物としてニームオイル、ステビアパウダー、木材チップ、木材粉末、炭粉末から選択される少なくとも1種が添加されている海藻含有肥料の製造方法である。
【0014】
さらにまた、請求項8に係る発明は、前記いずれかの方法により製造された米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌とを主成分とする粉末状またはペレット状の海藻含有肥料である。
【発明の効果】
【0015】
本発明にかかる海藻含有肥料の製造方法並びにその製造方法により得られる海藻含有肥料によれば、各種成分を混合し、必要に応じて固形化し、堆積・乾燥させるという簡単な工程で製造することが可能であり、製造における煩わしさがなく、製造コストの削減にも資するものである。
【0016】
また、本発明にかかる海藻含有肥料の製造方法並びにその製造方法により得られる海藻含有肥料によれば、米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌といった、自然素材を主成分とすることで、人体および自然環境にも安心で安全な肥料を提供することが可能となる。
【0017】
さらに、本発明にかかる海藻含有肥料の製造方法並びにその製造方法により得られる海藻含有肥料によれば、廃棄物としての米ぬかの再利用に資するとともに、海藻成分の効能により発根並びに茎、葉の生長が促進され、また、糖蜜成分が土中の有効微生物のエサとなって該微生物の繁殖を活性化し、さらに、納豆菌が有害雑菌の繁殖を抑制するとともに土壌病害の抑制作用を発揮して、これらの相乗効果により植物の生長促進に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る製造方法により海藻含有肥料が製造される工程を示す説明図である。(実施例1)
【図2】本発明に係る製造方法により海藻含有肥料が製造される工程を示す説明図である。(実施例2)
【図3】本発明に係る製造方法により製造された海藻含有肥料を使用した際の植物の発育状態を示す比較説明図である。(実施例3)
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
本発明は、自然素材からなる肥料として、米ぬか1と糖蜜2と液状海藻3と発酵菌4を主成分としたことを最大の特徴とする。以下、本発明にかかる海藻含有肥料10の製造方法並びにその製造方法により得られる海藻含有肥料10の実施形態を、図面に基づいて説明する。
【0020】
なお、本発明は、下記の実施形態に示した構成・態様に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の要旨に逸脱しない範囲で、任意に変更することができるものである。
【実施例1】
【0021】
図1は、本発明の第一の実施例に係る製造方法により海藻含有肥料10が製造される工程を示す説明図である。本実施例に係る海藻含有肥料10の製造方法に使用される原材料は、米ぬか1と、糖蜜2と、液状海藻3と、発酵菌4である。
【0022】
米ぬか1は、本発明における肥料の基材として用いられる。該米ぬか1は、米の精米時に副産物として得られるものであって、一部ぬか床等に利用されているものの、そのほとんどが廃棄されるものである。かかる米ぬか1を肥料基材として利用することで、自然環境に無害であるとともに、廃棄物の再利用・ゴミの減量に資する。
【0023】
糖蜜2は、糖を液状化したものであって、粘性を有する。該糖蜜2の原液は、粘性がかなり強いため、水により5〜8倍程度に希釈して使用する。該糖蜜2を混合することで、植生に有効な微生物・発酵菌4にとってのエサとなって、土壌中微生物の繁殖を活性化させる作用を奏する。また、糖蜜2の粘性は、各混合材料からなる混合物を撹拌後に固形化する際に利用することができる。
なお、糖蜜2の原料については、特に限定するものでないが、例えば黒糖を原料として製造された糖蜜2を採用することが考え得る。黒糖には、ミネラル成分が多く含まれており、該ミネラル成分が植物の生長促進に資するからである。
【0024】
液状海藻3は、カット後に乾燥させた乾燥海藻を水で戻し液状若しくはゲル状にしたものを使用する。すなわち、本発明における液状海藻3の液状とは、ゲル状を含む概念である。乾燥海藻を水で戻すに際しては、例えば、乾燥海藻の容積に対しおよそ4倍の水を使用する。すなわち、4リットルの乾燥海藻から約20リットルの液状海藻3が完成する。
海藻には、ミネラル、糖質、ビタミン、アミノ酸等が豊富に含まれ、これらの要素が植物の生長を促進させ、特に発根促進に有効に作用する。
なお、液状海藻3の原料については、特に限定はないが、ミネラルなど上記要素がより豊富に含まれているものが好ましく、例えば、コットニーを原料とすることが考え得る。
【0025】
コットニーは、オオキリンサイ属の海藻で、上記要素のほか、陰イオン性高分子化合物であるカラギーナン成分を多く含んでいる。該カラギーナンは、弾力のある高分子で二重らせん構造を作って互いにからみ合っており、これにより常温でゲルを形成することから、食品や医薬品、工業製品などの多くの分野でゲル化剤、増粘剤、安定剤などとして使われている。かかるコットニーを液状海藻3の原料として採用することにより、海藻としてのミネラルなどの要素が植物の生長促進に作用するだけでなく、コットニーが有する粘性を撹拌後の混合物固形化に利用することもできる。
【0026】
発酵菌4は、混合物を発酵させて堆肥化するためのものである。すなわち、米ぬか1等の有機物を発酵菌4の作用により微生物発酵させて分解し、有機肥料化するために発酵菌4は用いられる。なお、本発明における発酵菌4の概念は、混合物を堆肥化するにあたって有用な菌のみを意味する概念である。
かかる発酵菌4の種類については、乳酸菌や酵母菌、放線菌、枯草菌、糸状菌など特に限定はないが、発酵作用の安定性を考慮して、一般的にも土壌に良いとされる納豆菌を採用することが考え得る。
ところで、前述した微生物・発酵菌4のエサとなる糖蜜2の原液を水で希釈する段階において、既に雑菌が繁殖して無用な発酵が行われてしまうこととなるが、本発明で発酵菌4を混合することにより、植生に有用な発酵を優先的に行うことが可能となる。
【0027】
本発明の製造方法に係る混合工程において、上記した各混合材料について、撹拌しつつ混合を行うことにより、混合物が得られる。撹拌・混合の方法については、特に限定するものではなく、撹拌機を使用するなど常法に従って行えばよい。
【0028】
本工程における各混合材料の混合割合については、材料単価や効能、発酵にかける日数、その他種々の条件を考慮して決定されることとなる。実験により多くの混合割合のパターンを試した結果、混合割合について、米ぬか1に対して容積比3〜10%の糖蜜2、容積比3〜10%の液状海藻3、容積比0.01〜0.05%の発酵菌4とすることが望ましい。
なお、上記混合割合のうち最良の混合割合は、米ぬか1に対して糖蜜2が容積比5%、液状海藻3が容積比5%、発酵菌4が容積比0.02%である。
【0029】
上記混合割合について、米ぬか1に対して糖蜜2を容積比3〜10%とするのは、3%未満であると微生物の繁殖が進行し難くなるとともに、粘性を混合物の固形化に利用するのは困難であるためである。また、10%より多く添加しても、微生物の繁殖・活性化にさほど影響を及ぼすことがないためである。
また、米ぬか1に対して液状海藻3を容積比3〜10%とするのは、3%未満であると海藻の有効成分が全体的に薄くなって、海藻を混合することによる有用性を発揮し得ないからである。また、液体海藻は高価であるため、10%より多く添加すると、完成する肥料の高騰を招くことになるとともに、3〜10%で充分に植物の生長促進作用を発揮し得るからである。
さらに、米ぬか1に対して発酵菌4を容積比0.01〜0.05%とするのは、0.01%未満であると発酵開始までに時間を要するため、時間的ロスが生じることになるためである。また、0.01〜0.05%程度発酵菌4を混合すれば、微生物自体の繁殖活動によって、発酵が充分に促されるからである。
【0030】
なお、本工程における混合材料の撹拌・混合に際し、目的に合わせて添加物5を適宜添加することも可能である。かかる添加物5としては、例えば、ニームオイル5aやステビアパウダー5b、木材チップ5c、木材粉末5d、炭粉末5eなどが考え得る。
【0031】
ニームオイル5aは、ニームの実の核を圧搾機で絞って抽出するオイルであって、虫除けに効果を奏し、一般に農業用の害虫対策資材として使用されているものである。かかるニームオイル5aの原液を水で適当に希釈し、それを混合材料に添加することで、害虫を寄せ付けない忌避効果を発揮させることが可能となる。
なお、該ニームオイル5aの添加方法として、前記混合材料にニームオイル5aの希釈水をそのまま適量添加したり、あるいは、該ニームオイル5aの希釈水を前記糖蜜2を希釈する水として用いる方法などが考え得る。
【0032】
ステビアパウダー5bの原料となるステビア草は、キク科ステビア属の多年草であって、甘味成分を有するとともに、抗酸化作用等の効能も具え、その葉や茎を熱水抽出した濃縮液その他加工品は、甘味料や医薬品、農業用資材や美容分野において、既に多く用いられている。農業用資材としての利用については、ステビア濃縮液を農作物に与えることにより、残留化学物質を分解し、有効微生物を活性化し、土壌改良(抗酸化作用)、農作物の栄養補強、病害虫の予防に有効に作用するといわれている。また、収穫された農作物の日持ちが良くなり、農産物はみずみずしくビタミン・ミネラルが豊富になり、味も向上するという報告もある。
ステビアパウダー5bは、自然乾燥させたステビア草の茎と葉を粉砕機で微粉末に加工したもので、これを混合材料に添加することで、上記した多くの効果を発揮させることが可能となる。
なお、該ステビアパウダー5bの添加方法としては、前記混合材料にそのまま適量を添加することとなる。
【0033】
木材チップ5c並びに木材粉末5dは、木を製材する際に発生するチップ若しくは粉末で、そのほとんどが廃棄物として処理されてしまう。木材チップ5c並びに木材粉末5dの原料となる木の種類については、特に限定はないが、例えば杉その他落葉樹などが考え得る。木の種類によっては、抗酸化作用を有する成分が含まれており、また、木の香りには、植物の生長促進効果があるといわれている。かかる木材チップ5c若しくは木材粉末5dを混合材料に添加することで、廃棄物の再利用に資するとともに、土壌の抗酸化作用や植物の生長促進作用を発揮させることもでき、さらには、前記発酵菌4等有効微生物の住処としても機能することとなる。
なお、木材チップ5c並びに木材粉末5dの添加方法としては、前記混合材料にそのまま適量を添加することとなる。
【0034】
炭粉末5eは、炭原料を炭化して粉末状に砕いたものである。炭原料については、特に限定はなく、木や竹などが考え得る。該炭粉末5eには、酸化土壌のpHを中和する作用があるとともに、ミネラル分を多く含み、透水性・保水性・保肥性に優れている。かかる炭粉末5eを混合材料に添加することで、土壌の抗酸化作用やミネラルによる植物の生長促進作用を発揮させ、また、前記発酵菌4等有効微生物の住処としても機能し、さらには、水分保持や肥効性の持続にも資することとなる。
【0035】
前記混合工程により得られた混合物は、その後乾燥工程において、堆積されて発酵を促進させて熟成しつつ、乾燥が行われる。
堆積時における発酵促進過程においては、必要に応じて1乃至複数回の切り返しが行われる。
乾燥の方法については、特に限定はなく、自然乾燥であると人工的に乾燥させるとを問わない。ただし、発酵による熟成を行いつつ乾燥させることから、自然乾燥による方法が望ましい。なお、発酵・熟成並びに乾燥にかかる期間は、人工的に乾燥させた場合はおよそ1日程度、自然乾燥の場合でおよそ10日程度である。
【0036】
以上の混合工程と乾燥工程を経て、本発明の第一の実施例に係る海藻含有肥料10が完成する。完成した海藻含有肥料10は、粉末状となっている。該海藻含有肥料10は、全て自然素材であるため自然環境に安心・安全であり、糖蜜2や海藻、発酵菌4そして添加物5の夫々の相乗効果により、優れた植物の生長促進効果を奏するものである。
なお、該海藻含有肥料10の使用方法については、常法に従えばよく、農業用地等の植生地面に略均一に適宜施肥することで使用される。
【実施例2】
【0037】
図2は、本発明の第二の実施例に係る製造方法により海藻含有肥料10が製造される工程を示す説明図である。本実施例に係る海藻含有肥料10の製造方法に使用される原材料は、米ぬか1と、糖蜜2と、液状海藻3と、発酵菌4であって、上記第一の実施例と同様であるため、各構成材料についての説明は省略する。
【0038】
本実施例が上記第一の実施例と相違する点は、混合工程により得られた混合物をペレット状に成形する固形化工程を有する点である。
すなわち、前記混合工程により得られた混合物は、その後乾燥工程に移行する前に、固形化工程においてペレット状に成形される。ペレット状に成形する方法については、特に限定するものではなく、例えば、混合物が撹拌機から排出される際に、機械的に自動でペレット状に成形された状態で排出される態様などが考え得る。
なお、かかるペレット状への成形には、混合材料である糖蜜2や海藻(コットニー)の粘性がそのまま利用されるものであって、改めて増粘剤等の添加は不要である。
【0039】
前記固形化工程により得られた固形物は、その後乾燥工程において、堆積されて発酵を促進させて熟成しつつ、乾燥が行われる。かかる乾燥工程における発酵・熟成並びに乾燥にかかる期間その他乾燥の方法等については、上記第一の実施例と同様である。
【0040】
以上の混合工程と固形化工程と乾燥工程を経て、本発明の第二の実施例に係る海藻含有肥料10が完成する。完成した海藻含有肥料10は、固形化されペレット状となっている。該海藻含有肥料10は、全て自然素材であるため自然環境に安心・安全であり、糖蜜2や海藻、発酵菌4そして添加物5の夫々の相乗効果により、優れた植物の生長促進効果を奏するものである。
なお、該海藻含有肥料10の使用方法については、常法に従えばよく、農業用地等の植生地面に略均一に適宜施肥することで使用される。
【実施例3】
【0041】
図3は、本発明に係る製造方法により製造された海藻含有肥料10を使用した際の植物の発育状態を示す比較説明図である。なお、本発明に係る海藻含有肥料10として、米ぬか100リットル、糖蜜5リットル、液状海藻5リットル、納豆菌20ccを撹拌混合してペレット状に固形化し堆積・乾燥を行ったものを使用した。また比較に際して正確を期すため、本発明に係る海藻含有肥料10を使用した場合と未使用の場合とで、同じ環境の下での植生状態の観察という手法で比較を行った。
【0042】
図3(a)は、観察植物(苺の苗)について、茎S及び葉Rの生長を観察した比較説明図である。該図から明確に判るように、未使用の植物G2に比して本発明に係る海藻含有肥料10を使用した植物G1の方が、茎Sび葉Rが生長している様子が顕著に観察できる。
図3(b)は、観察植物(苺の苗)について、根Cの生長を観察した比較説明図である。該図から明確に判るように、未使用の植物G2に比して本発明に係る海藻含有肥料10を使用した植物G1の方が、根Cが大きく生長している様子が顕著に観察できる。
【0043】
以上の比較考察の結果、本発明に係る海藻含有肥料10を使用することにより、まず植物の発根が促され、該発根作用により根Cが大きく生長することで、植物の茎Sや葉Rの生長も共に促進されることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本発明は、米ぬか1と糖蜜2と液状海藻3と発酵菌4といった、自然素材を主成分とすることで、人体や自然環境に安心かつ安全な肥料を提供することができるとともに、廃棄物としての米ぬか1の再利用に資し、また、海藻と糖蜜2と発酵菌4の相乗効果により、発根並びに茎・葉の生長促進、微生物の繁殖活性化、有害雑菌の繁殖抑制、土壌病害の抑制などといった多くの優れた作用効果を発揮するものであって、本発明に係る海藻含有肥料10の製造方法並びにその製造方法により得られる海藻含有肥料10の産業上の利用可能性は大である。
【符号の説明】
【0045】
1 米ぬか
2 糖蜜
3 液状海藻
4 発酵菌
5 添加物
5a ニームオイル
5b ステビアパウダー
5c 木材チップ
5d 木材粉末
10 海藻含有肥料
G1 植物(本発明使用)
G2 植物(本発明未使用)
S 茎
R 葉
C 根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌とを混合材料として撹拌混合する混合工程と、
前記混合工程により得られた混合物を堆積して乾燥させる乾燥工程と、
から成ることを特徴とする海藻含有肥料の製造方法。
【請求項2】
米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌とを混合材料として撹拌混合する混合工程と、
前記混合工程により得られた混合物をペレット状に成形する固形化工程と、
前記固形化工程により得られた固形物を堆積して乾燥させる乾燥工程と、
から成ることを特徴とする海藻含有肥料の製造方法。
【請求項3】
前記糖蜜が、黒糖を原料とするものであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の海藻含有肥料の製造方法。
【請求項4】
前記液状海藻が、コットニーを原料とするものであることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載の海藻含有肥料の製造方法。
【請求項5】
前記発酵菌が、納豆菌であることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれかに記載の海藻含有肥料の製造方法。
【請求項6】
前記混合工程における混合割合が、米ぬか100容積%に対して、糖蜜3〜10容積%、液状海藻3〜10容積%、発酵菌0.01〜0.05容積%であることを特徴とする請求項1から請求項5のいずれかに記載の海藻含有肥料の製造方法。
【請求項7】
前記混合工程において、混合材料の添加物としてニームオイル、ステビアパウダー、木材チップ、木材粉末、炭粉末から選択される少なくとも1種が添加されていることを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載の海藻含有肥料の製造方法。
【請求項8】
請求項1乃至8いずれか記載の方法により製造された米ぬかと糖蜜と液状海藻と発酵菌とを主成分とする粉末状またはペレット状の海藻含有肥料。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−28504(P2013−28504A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166151(P2011−166151)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(511185069)有限会社クロサワ (1)
【Fターム(参考)】