説明

海藻抽出物からのアガロースポリマーの調製方法

本発明は、グラシラリア(Gracilaria)種およびゲリジエラ(Gelidiella)種、さらに詳細にはインド(India)海域からのグラシラリア・デュラ(Gracilaria dura)およびゲリジエラ・アセロサ(Gelidiella acerosa)からのアガロースの調製のためのより好都合で、かつエネルギー効率的な方法に関し、前記方法が乾燥海藻をアルカリで前処理するステップと、洗浄液が7〜9に及ぶpHを示すまで、前処理した海藻をすすぐステップと、水を添加するステップと、オートクレーブ処理して抽出物を取得するステップと、高温海藻抽出物を遠心分離するステップと、次に透明な高温抽出物を界面活性化学薬品によって処理して、アガロースの沈殿を誘発するステップと、塊体を遠心分離して付着する液体を除去するステップと、遠心分離した塊体を水ですすいで界面活性化学薬品を除去するステップと、アガロース塊体の高温ゾルを最小量の水で調製するステップと、アガロースをイソプロパノールで再沈殿させて、分散性を有する生成物を達成すると同時にゲルを調製するステップと、およびDNAゲル電気泳動試験において前記ゲルが、市販の基準品から調製されたゲルと同じ海藻抽出物からアガロース調製のより在来の方法によって取得されたゲルと等しい性能を有することを証明するステップとを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グラシラリア(Gracilaria)属およびゲリジエラ(Gelidiella)属の抽出物ならびにさらに詳細にはグジャラートおよびタミルナドゥの海岸から取得されたインド(India)海域の海藻のグラシラリア・デュラ(Gracilaria dura)およびゲリジエラ・アセロサ(Gelidiella acerosa)の抽出物からのアガロースの改良された単離方法に関する。
【背景技術】
【0002】
大半の市販の寒天が高温抽出によって産生されることが指摘されている、Selby&Wynne(in R.L.Whistler(ed.):Polysaccharides and Their Derivatives,2nd ed.,Academic Press,New York 1973,pp.29−48)が参照され得る。グリセロール、無水アンモニア、また他の溶媒による抽出などの他の方法が可能であるが、高温を使用する伝統的なプロセスが最も推奨される(www.marinalg.org)。寒天抽出手順は、処置された海藻の品種によって変動する。手順は概して、下記のような(1)抽出(2)精製(3)脱水の3つの段階に従う:最初に、海藻は、海塩および砂などの異物を除去するために、水で慎重に洗浄される。抽出は、高温水によって圧力下で、または海藻がアルカリ性処置を受けている場合には開放タンク中で行われる。この後者のプロセスは、生じた寒天中のサルフェート含有率を低下させるために、主にグラシラリア海藻に適用される。抽出液は、99%の水および1%の寒天で構成され、高温条件下で濾過されて、次に室温に冷却される。生じたゲルは機械圧の下でまたは凍結解凍によって脱水される。加圧脱水では、49〜98N/cmの圧力が印加されて、挿入フィルタを通じてゲルを圧迫する。水がフィルタを通過して、寒天分子がフィルタケーキとして保持される。ゲル凍結は−18℃にて行われる。この温度にて寒天分子は、氷網目から選択的に排除され、細片を形成する。解凍ステップは氷細片を溶融して、寒天細片が選択的に回収される。個別に行われるこのような2回の脱水操作によって、最初の含水量の約70%が除去される。次に残留水分の一部は、温風を用いた乾燥によって除去される。乾燥寒天フレークは、異なるメッシュサイズを有する粉末形の最終製品を調製するために粉砕される。
【0003】
寒天の処理が記載され、寒天が抽出ステップで海藻から抽出され、次に脱水ステップで脱水されて寒天ゲルまたは粉末を形成し、脱水が凍結解凍もしくは機械圧搾によって、または単軸もしくは2軸押出機を通過させることによって行われた、Lebbar Thami,Lebbar Rachid and Riad Abdelwahabによる特許(US Patent 5,496,936)が参照され得る。本プロセスは、凍結解凍のエネルギー集約的プロセスまたはさもなければ高性能の機器を必要とする機械圧搾の厄介なプロセスを使用するという欠点を被っている。
【0004】
寒天が「浸漬、中和、漂白、およびゼラチン抽出を含む産生プロセス。材料は高温および加圧条件の低濃度アルカリ溶液に浸漬され、続いての濾過、水洗浄、酸によるpH調節、次亜塩素酸ナトリウムによる漂白、助剤の添加、ゼラチンを抽出するための煮沸、脱水および乾燥のための加圧濾過によって、ゲルが取得される」後に産生された、D.Du,Z.Zhuang and C.Zhuangによる特許(CN1587284−A,March 2,2005;CN1296390−C,January 24,2007)が参照され得る。本プロセスの欠点は、該プロセスが高性能の機器を必要とする「寒天を脱水および乾燥させるための加圧濾過」を使用するという事実にある。
【0005】
「アガロースは、寒天または寒天を含む海藻から単離された直鎖ガラクタンハイドロコロイドである。アガロースは、バイオポリマーの拡散および動電学的移動にほぼ理想的であるゲルマトリクスを形成する。したがってアガロースは、電気泳動、免疫電気泳動および免疫拡散に有用である」ことが示されている、Sigma Catalog(2006−2007;pages 269−270)が参照され得る。そこでは各種のグレードのアガロースが、分子生物学、タンパク質電気泳動および細胞培養での用途に好適である0.10〜0.35%に及ぶサルフェート含有率を有することがさらに記されている。
【0006】
アガロースが寒天から単離された、または紅藻植物門(Rhodophyta)などの寒天を含む海藻から直接回収された精製直鎖ガラクタンハイドロコロイドであることが示されている、複数の報告が参照され得る。アガロースが抽出される属は、テングサ(Gelidium)、グラシラリア、ユイキリ(Acanthopeltis)、イギス(Ceramium)、オバクサ(Pterocladia)、およびエゴノリ(Campylaephora)を含む。Grabar(1957)は、寒天が水中で煮沸することによって紅藻類から抽出され、次に微粒子の濾過、水溶性不純物を除去するためのコロイドのゲル化および凍結解凍、およびエタノールによる沈殿によって単離されることを報告した(Methods Biochem.Anal.7(1957)1−38)。生じた生成物は、1,4−結合3,6−無水−α−L−ガラクトースおよび1,3−結合β−D−ガラクトースの交互コポリマーであるポリサッカライドの混合物である。反復ジサッカライドは、アガロビオースと称される(Araki,Proceedings 5th International Seaweed Symposium,Halifax,1965,pp.3-17)。もちろんこれが理想化された構造であるのは、精製されたアガロースでさえ、測定可能な量の以下の置換基:サルフェート基、ピルベート基、およびメトキシル基を含有するためである。サルフェートは概して、β−D−ガラクトピラノースのC−4、ならびに3,6−無水−α−L−ガラクトースのC−2およびC−6にてヒドロキシルにエステル化される。ピルベートは、β−D−ガラクトピラノースのいくつかの残基のC−4およびC−6の両方に結合される。得られた化合物は、DuckworthおよびYaphe(Carbohydr.Res.16,1971,189-197)によって4,6−O−カルボキシエチリデンと称される。
【0007】
粗寒天250mgが沸騰蒸留水100mlに溶解されたCraigieおよびLeighによる「部分精製アガロースの第4級塩基による単離」(in Handbook of Phycological Methods,edited by J A Hellebust and J S Craigie,Cambridge University Press,Cambridge,1978;pp.126)が参照され得る。ラムダ−カラゲナン25mgが添加され、2%セタブロン(セチルピリジニウムクロライド)10mlが80〜100℃の溶液で添加された。高温抽出物がセライトで濾過され、膜(0.8ミクロン)で加圧濾過されて、生成物の凍結および解凍が続き、部分精製アガロースが得られるが、本プロセスの欠点は、アガロースポリマーが高温抽出物から、エネルギー集約的である凍結解凍プロセスによって分離されたことである。
【0008】
本発明で使用されたインド(India)海域の海藻グラシラリア・デュラが18SリボソームRNA遺伝子についての受入番号DQ399795を有する、米国(USA)National Centre for Biological Information(NCBI)のウェブサイトwww.ncbi.nlm.nih.govが参照され得る。
【0009】
異なる方法による寒天およびアガロースの調製の従来技術が含まれている、Siddhanta,A.K.,et al.(PCT 2005/118830;US 20050267296 A1)が参照され得る。発明者らは、グラシラリア・デュラからの高ゲル強度および低ゲル化温度のアガロースの改良された調製プロセスをさらに開示し、前記プロセスは、乾燥海藻をアルカリによって前処理するステップと;前処理された海藻を、洗浄液が7〜8の範囲のpHを示すまですすぐステップと;水を添加し、オートクレーブ処理して抽出物を取得するステップと;高温抽出物を木炭およびセライトで処理して、高温抽出物を取得すステップと;高温抽出物をセライト床で真空濾過するステップと;濾液を凍結して塊体とし、塊体を解凍するステップと;オートクレーブ内で加熱することにより塊体を水に再溶解させて、凍結−解凍サイクルを反復して、生成物を濾して解凍された液体を除去して、その後、圧搾してアガロース、およびそのアガロースを取得できる程度まで残留液体を放出させるステップとを含み、本プロセスの欠点は、高温抽出物が−15℃未満で15時間冷却され、このことが非常に時間を消費して、エネルギー集約的であることである。さらに本プロセスの凍結−解凍サイクルの反復によって、本プロセスは、より費用重視型となる。
【0010】
同じアガロースが特徴づけられ、その性能が市販のアガロースと比較された、Meena,et al.の論文(Carbohydrate Polymers 69:179−188,2007)も参照され得る。
【0011】
粗寒天がジメチルホルムアミド(DMF)によって抽出されて、高純度アガロースが分離されることが報告されている、Kiyoshi Arai et al.による「寒天の精製」(JP 7017,130,January 13,1970;Chemical Abstr.74,32889r,1971)が参照され得る。寒天10gを撹拌しながらDMF 500mlと混合し、高温水に10時間浸漬して、遠心分離して、上清をアセトン2リットルに注入し、沈殿をガラスフィルタに通し、アセトン500mlで洗浄して、高温水に溶解させ、濾過してアガロース粉末を得る。
【0012】
精製アガロースを寒天または純粋でないアガロースから、寒天またはアガロースを低級アルキレングリコールに溶解させることによって回収して、ここで十分な寒天またはアガロースをグリコールに溶解して、少なくとも約0.1重量%の寒天またはアガロースを含有するグリコール溶液を高温にて形成して、寒天またはアガロース含有グリコール溶液を冷却して、精製アガロース生成物の沈殿を誘発し、沈殿したアガロース生成物を回収する、R.B.Provoncheeによる「グリセロールを使用するアガロース精製法」(US 4,990,611,February 1991)が参照され得る。
【0013】
0.2重量%未満のサルフェート含有率および少なくとも1200g/cmの(1%)のゲル強度を特徴とする、高速電気泳動に好適な精製アガロースの調製について記載している、Kirkpatrick et al.によるUS Patent No.4,983,268が参照され得る。アガロースは、アガロースまたはアルカリ修飾寒天をpH6.0〜8.0に緩衝させ、2.0nM以下のクロライドとしての塩を含有する水性媒体に溶解させること、およびアガロースを低級アルカノールとの接触により、次のように:「アガロースを再度濾過して、次に総重量1000gまで水に再懸濁させて、沸騰することによって溶解させ、そのため2%溶液が形成された。溶液を74℃まで冷却して、共沸イソプロピルアルコール(IPA)(87.7重量%のIPA)2リットルと混合した。」沈殿させることによって精製される。
【0014】
アガロースの調製についてアガロースおよびアガロペクチンの混合物の分画が記載された、Alfred Polsonの研究(Chemical Abstract 65:p5865a;1965)も参照され得る。混合物を分子量300のポリエチレングリコールの水溶液で処理して、アガロースが濃縮された沈殿を得る。本プロセスでは、Ion agar No.2 80gを水2リットルに溶解させた。高温溶液(80℃)を分子量6000の40%(重量/体積)ポリエチレングリコール2リットルを添加して、生じた沈殿を110メッシュナイロン布による濾過で分離した。次に沈殿を40℃にて2〜3分間洗浄して、15℃の水に懸濁させ、水5リットル中で一晩撹拌して、ナイロンメッシュ中に収集して、アセトンで洗浄し、温風で乾燥させた。
【0015】
イオン性および非イオン性界面活性剤が寒天ゾルおよびゲルのレオロジー的特性および熱的特性を異なる方法で修飾することが報告されている、Prasad et al.による論文(Int.J.Biol.Macromol.35,135−144,2005)が参照され得る。該論文は、界面活性剤が使用する他の従来技術についても記載している。
【0016】
上記従来技術では、大量の複数の有機溶媒を使用することに加えて、エネルギー集約型の海藻抽出物からの寒天単離の問題も残存している。しかし上記論文もその他の従来技術も、本発明の主な目的である、水性海藻抽出物からアガロースを周囲条件下でいずれの有機溶媒も使用せずに沈殿させるための界面活性剤の有用性を開示していない。
【0017】
寒天/アガロースが水性海藻抽出物から凍結−解凍方法によって、および他の場合で加圧シネレシス(syneresis)によって単離されることは、従来技術より明らかである。生成物は続いて、溶媒沈殿またクロマトグラフィー画分によって精製される。抽出物からの生成物の単離のために従った方法はしたがって、非常にエネルギー集約的であるか、または高性能の機器を必要とし、抽出物からの生成物の改良された単離方法を同定することが所望である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
本発明の主な目的は、凍結−解凍または機械圧搾または抽出物中への大量の溶媒の添加に対する要求を不要にする、希薄水性海藻抽出物からのアガロースの改良された単離方法を発明することである。
【0019】
本発明の別の目的は、非イオン性界面活性剤を凝固剤として使用して、水性抽出物からのアガロースの凝固を誘発することである。
【0020】
本発明の別の目的は、凝固方法が、通例0.3%(重量/重量)以下のサルフェートを有するアガロースで特に有効であることを証明することである。
【0021】
本発明の別の目的は、上記目的のためにグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサからの抽出物を利用することである。
【0022】
本発明の別の目的は、海藻をアルカリで処理して、従来技術で開示されたようにそのゲル強度を向上させることに加えて、寒天/アガロースのサルフェート含有率を低減させて、本発明の方法による凝固に適するようにすることである。
【0023】
別の目的は、高温抽出物を遠心分離して、界面活性剤の添加前にすべての懸濁物を除去することである。
【0024】
本発明の別の目的は、単に生成物を水で洗浄することによって、凝固アガロース中の残留界面活性剤を除去することである。
【0025】
別の目的は、アガロースをただちに分散可能にすることである。
【0026】
別の目的は、生成物を高温水に7%(重量/体積)までの濃度で再溶解させることおよび溶液をイソプロピルアルコールで処理することによってこのように容易な分散可能性を達成して、最低限の溶媒の使用により所望の生成物を取得することである。
【0027】
別の目的は、溶媒および界面活性剤を再循環および再使用することである。
【0028】
別の目的は、本発明のアガロースが従来技術の方法によって取得されたアガロースに似ていることを証明することである。
【課題を解決するための手段】
【0029】
本発明は、グラシラリア種およびゲリジエラ種から調製された希薄海藻抽出物よりアガロースを取得する改良方法に関する。海藻を、(i)アルカリによって処理してサルフェート含有率を低下させ、(ii)水で洗浄してアルカリを除去し、次に(iii)水中で加熱して希薄抽出物を調製する。材料を次に、(iv)ホモジナイズ(homogenized)して、(v)高温条件下で遠心分離して、不溶性不純物を含まない透明な海藻抽出物が得られる。次に高温抽出物を(vi)激しく撹拌しながら水溶性非イオン性界面活性剤で処理して、(vii)含有物を静置して室温まで冷却すると、アガロースが沈殿して、次に(viii)沈殿を遠心分離によって分離し、(ix)水で洗浄して付着している界面活性剤を除去する。次に、(x)湿潤アガロース塊体を高温条件下で最小体積の水に再分散させ、(xi)等体積のイソプロピルアルコールで処理してアガロース塊体を脱水し、これを(xii)濾過および乾燥すると、DNAゲル電気泳動に好適な、精製されただちに分散可能な生成物を生じる。
【0030】
したがって、本発明は、界面活性剤を使用して海藻の水性抽出物からアガロースを精製するための改良方法を提供し、前記方法は:
(a)アルカリ処理高温海藻抽出物(70〜80℃)を10000〜14000rpmにて5〜15分間遠心分離するステップと;
(b)ステップ(a)で取得した高温海藻抽出物を、2〜5%の界面活性剤と、60〜100℃の範囲の温度にて連続撹拌して混合するステップと;
(c)ステップ(b)で取得した含有物を25〜35℃の範囲の温度にて1〜10時間静置して、アガロースの固体塊体を沈殿させるステップと;
(d)固体中の残留界面活性剤を除去するために、上清液をデカンテーションして、前記塊体を水で洗浄するステップと;
(e)アガロースを沈殿させるために、ステップ(d)で取得した湿潤塊体を最小量の水に、アガロース生成物を7〜10重量/重量%の範囲で再溶解させて、アガロースゾル対イソプロパノールの比が1:0.5〜1:1.5重量/重量であるような最小量のイソプロパノールで処理するステップと;
(f)200〜300の範囲のメッシュサイズを有するアガロース粉末を取得するために、固体生成物を単離して、好適な乾燥器で乾燥させるステップと;
を含む。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1.1】グラシラリア・デュラアガロースゲル試料での、PCR増幅生成物のDNAゲル電気泳動を表す。本発明のアガロースゲル試料は図1.1aによって指摘されるが、以前の発明(PCT 2005/118830;US 2005/0267296 A1)のアガロースゲル試料は図1.1bによって示されている。図aおよびbは同様のレーンから成り、レーンは:レーン1:1kbラダーレーン2、3:1.2kbのPCR生成物レーン4、5:1.4kbのPCR生成物である。
【図1.2】グラシラリア・デュラアガロースゲル試料での、図1.1のゲルから溶離されたDNAのゲル電気泳動を扱う。本発明のアガロースゲル試料は図1.2aによって表されるが、以前の発明(PCT 2005/118830;US 2005/0267296 A1)のアガロースゲル試料は図1.2bによって指摘されている。図aおよびbは同様のレーンから成り、レーンは:レーン1:100bpラダーレーン2:ゲルからの溶離1.2kb生成物(1.1b)レーン3:ゲルからの溶離1.4kb生成物(1.1b)レーン4:ゲルからの溶離1.2kb生成物(1.1a)レーン5:ゲルからの溶離1.4kb生成物(1.1a)である。
【図1.3】グラシラリア・デュラアガロースゲル試料での、(図1.1から取得)溶離生成物をテンプレートとして使用する、PCR増幅生成物のDNAゲル電気泳動を表す。本発明のアガロースゲル試料は図1.3aとして示されるが、以前の発明(PCT 2005/118830;US 2005/0267296 A1)のアガロースゲル試料は図1.3bによって指摘されている。図aおよびbは同様のレーンから成り、レーンは:レーン1:1kbラダーレーン2:−ve対照レーン3、4:ゲル(1.1b)および(1.1a)溶離生成物からのPCR生成物1.0kbレーン5:−ve生成物レーン6、7:ゲル(1.1b)および(1.1a)溶離生成物からのPCR生成物1.4kbである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、グラシラリア属およびゲリジエラ属、さらに詳細にはグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサから高いおよび低いゲル化温度を有する高強度のアガロースを調製するための、新規で直接の費用効率的な方法に関し、前記方法は、(i)乾燥海藻をアルカリによって前処理してサルフェート含有率を低下させるステップと、(ii)水で洗浄してアルカリを除去するステップと、および次に(iii)水中で加熱して希薄抽出物を調製するステップとを含む。材料を次に、(iv)ホモジナイズ(homogenized)して、(v)高温条件下で遠心分離して、不溶性不純物を含まない透明な海藻抽出物が得られる。次に高温抽出物を(vi)激しく撹拌しながら水溶性非イオン性界面活性剤で処理して、(vii)含有物を静置して室温まで冷却すると、アガロースが沈殿して、次に(viii)沈殿を遠心分離によって分離し、(ix)水で洗浄して付着している界面活性剤を除去する。次に、(x)湿潤アガロース塊体を高温条件下で最小体積の水に再分散させ、(xi)等体積のイソプロピルアルコールで処理してアガロース塊体を脱水し、これを(xii)濾過および乾燥すると、DNAゲル電気泳動に好適な、精製されただちに分散可能な生成物を生じる。さらに、取得されたアガロースの品質は、少なくとも最長1年間いずれの劣化もなく、プラスチック容器中に保管することができる。
【0033】
本発明は、新規方法による、グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサそれぞれからの「海藻抽出物からのアガロースポリマーの改良された調製方法」について記載し、アガロースポリマーは高性能用途、高いゲル強度を有し、高いおよび低いゲル化温度を有し、新規方法は(i)グラシラリア属35部およびゲリジエラ属20部それぞれを(体積/重量)を、アルカリが1〜15%の濃度範囲のアルカリ性水溶液によって、25〜95℃の範囲の温度にて、0.5〜5.0時間の範囲にわたって前処理すること、
(ii)前処理された海藻を水で完全にすすいで、洗浄液が7〜9の範囲のpHを示すまで過剰なアルカリを除去すること、
(iii)元の海藻各1部に対してグラシラリア属には約35部およびゲリジエラ属には20部(体積/重量)の水をそれぞれ添加して、100〜125℃の範囲で1.0〜2.5時間の範囲の期間にわたってオートクレーブ処理して抽出物を取得すること、
(iv)遠心分離の前に高温抽出物をホモジナイズすること、
(v)高温抽出物を10,000〜14,000rpmにて5〜15分間遠心分離すること、
(vi)抽出物を約2〜5%の界面活性剤によって、連続撹拌しながら60〜100℃の範囲の温度にて処理すること、
(vii)抽出物を界面活性剤と共に周囲温度(25〜35℃)に維持して、1〜10時間の範囲の期間にわたって海藻抽出物固体塊体を凝固させること、
(viii)遠心分離によってアガロースの固体塊体を液体から分離すること、
(ix)最終洗浄液が水に類似した表面張力を示すまで、単なる洗浄によってまたは透析を使用することによって、残留界面活性剤を除去すること、
(x)場合により、湿潤塊体を7〜10%(重量/重量)の範囲の最小量の水に再溶解させること、
(xi)アガロース分散物100gに対して50〜150gの範囲のIPA中の最小量のイソプロパノールで、アガロース分散物を脱水すること、
(xii)濾過、乾燥および粉砕して、DNAゲル電気泳動に好適な、ただちに分散可能なアガロース生成物を取得すること、
を包含する。
【0034】
本発明のアガロース生成物のゲル強度は、1.0%および1.5%のアガロースゲルを20℃にて日寒水型ゲル試験機で測定した。熱重量分析(TGA)は、STAR−Toledo TGA装置、スイス(Switzerland)で行った。分子量の決定は、オストワルド粘度計で固有粘度を測定して行った(C.Rochas and M.Lahaye.Carbohydrate Polymers 1989,10:289を参照)。ゲル化および溶融温度は、Craigie et al.(Hand Book of Phycological Methods,1978(Eds.Hellebust.J A and Craigie J S,Cambridge University Press);pp.127)によって記載された方法に従って測定し、灰分含有率は固体を800℃にて6時間焼却することによって測定し、サルフェート含有率は、灰分を濃硝酸によって処理すること、蒸発乾固させること、残渣を水に溶解すること、濾過すること、および硫黄について誘導結合プラズマ発光分光(ICP−OES)分析を受けさせることによって概算した。
【0035】
本発明の実施形態において、アガロースは、グラシラリア属およびゲリジエラ属ならびにさらに詳細にはグジャラートおよびタミルナドゥの海岸から取得されたインド(India)海域のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサから取得され得る。
【0036】
本発明の別の実施形態において、ステップi〜ivは従来技術で実施されたように行われる。
【0037】
本発明のなお別の実施形態において、界面活性剤は60〜90℃の、かつさらに明確には70〜80℃の温度範囲の高温抽出物中に添加され得て、高温抽出物を10,000〜14,000rpmにて5〜15分間遠心分離する。
【0038】
本発明のまた別の実施形態において、界面活性剤は高温抽出物に、2%〜5%(重量/重量)およびさらに明確には3%(重量/重量)の範囲で、60〜100℃の温度範囲にて連続撹拌しながら添加され得る。
【0039】
本発明のなお別の実施形態において、アガロースポリマーは、界面活性剤含有抽出物を周囲温度(25〜35℃)にて1〜10時間およびさらに明確には3〜4時間にわたって静置したときに凝固され得る。
【0040】
本発明のまた別の実施形態において、沈殿後の粗アガロースは周囲温度での遠心分離によって分離され得る。
【0041】
本発明のなお別の実施形態において、粗アガロース中の残留界面活性剤は、単なる水洗浄によってまたは再分散された粗アガロースに透析を受けさせることによって除去され得る。
【0042】
本発明の別の実施形態において、アガロースの濃度を7%〜10%の範囲の、かつさらに明確には7%に維持しながら、湿潤アガロース塊体を高温水(120℃)に再分散させる。
【0043】
本発明のまた別の実施形態において、アガロース塊体の脱水および容易な分散のために、濃縮アガロース塊体を等体積のイソプロパノールによって処理する。
【0044】
本発明のなお別の実施形態において、好適な乾燥器にて固体生成物の単離および乾燥を行って、200〜300の範囲のメッシュサイズを有するアガロース粉末を取得する。
【0045】
本発明のまた別の実施形態において、抽出物は、乾燥海藻を25〜95℃の1〜15%(重量/重量)水酸化ナトリウム水溶液20〜35部(重量/重量)によって0.5〜5時間処理し、続いて洗浄してpHを7〜9の範囲に調整するステップと、次に脱塩水を洗浄した海藻に添加して、10〜125℃に及ぶ温度にて1〜2.5時間オートクレーブ処理するステップとを含む公知の方法によって調製した。
【0046】
本発明のなお別の実施形態において、使用された界面活性剤は、水溶性非イオン性界面活性剤ならびにさらに詳細にはTriton X−100およびSynperonic 91/6である。
【0047】
本発明のなお別の実施形態において、洗浄操作の数は5〜20回の範囲、さらに明確には6〜10回の操作であり得て、洗浄の期間は各洗浄操作で10〜30分間の範囲であり得る。
【0048】
本発明のまた別の実施形態において、他のポリサッカライドは、サルフェート含有率および灰分含有率が同様であるかまたはそれぞれ0.3%および1.0%以下であり、かつ本方法に適するときに使用され得る。
【0049】
本発明の別の実施形態において、高温抽出物中のアガロースのサルフェート含有率は、グラシラリア海藻およびゲリジエラ海藻それぞれで0.20%〜0.25%の範囲であり得る。
【0050】
本発明のまた別の実施形態において、使用された界面活性剤は、アガロース中のサルフェートのレベルは、1%(重量/重量)未満、好ましくは0.5%(重量/重量)未満およびなおさらに好ましくは0.25%未満であるときにのみ、綿状沈殿を誘発する。
【0051】
本発明のまた別の実施形態において、ポリサッカライドは、化学的または生化学的に脱硫化されて、約0.3%以下の硫酸化含有率を有し得る。
【0052】
本発明のなお別の実施形態において、海藻抽出物から単離され得るアガロースポリマーは、DNAのアガロースゲル電気泳動に好適であり、より低い濃度、たとえば0.8%以下の濃度で満足な分解性能を呈する。
【0053】
本発明のまた別の実施形態において、DNAの質および量は、アガロースゲルから回収された後に同様であった。
【0054】
本発明のまた別の実施形態において、DNAセグメントの分離は、本発明で取得されたアガロースから調製されたアガロースゲルで良好であった。
【0055】
本発明のさらなる実施形態において、取得されたアガロースの品質は、少なくとも最長1年間いずれの劣化もなく、プラスチック容器中に保管することができる。
【0056】
以下の実施例は、例証の目的で与えられ、したがって本発明の範囲を制限するとして解釈されるべきではない。本発明の実施例1〜6は、従来技術で記されたような凍結解凍プロセスに従う。しかし本発明の主な目的は、凍結解凍プロセスを使用しない実施例7〜11に存する。
【実施例1】
【0057】
グラシラリア・デュラ(25g)海藻を水道水に35℃にて1時間浸漬して、次に水酸化ナトリウム(NaOH)なしで85℃にて2時間浸漬した。浸漬した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、非水溶性不純物から透明抽出物を得た。高温抽出物をステンレス鋼トレーに入れて、室温まで冷却した。ゲル化抽出物を含有するトレーを冷蔵庫内に−20℃にて20時間維持した。凍結したゲルを次に室温にて解凍した。解凍したゲルを圧搾して付着した液体を除去して、その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、最後に圧搾して付着した水を除去した。未変性寒天を空気乾燥させて、続いて50℃の乾燥器内で2時間乾燥させた。
【0058】
収率:絶乾海藻に対して6.5g(26.0%);ゲル強度(1%ゲル):20℃にて250gcm−2;ゲル化温度:34.0℃;灰分:8.06%以下;サルフェート:3.26%以下。
【実施例2】
【0059】
ゲリジエラ・アセロサ(25g)海藻を水道水に35℃にて1時間、次にNaOHなしで85℃にて2時間浸漬した。浸漬した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、非水溶性不純物から透明抽出物を得た。高温抽出物をステンレス鋼トレーに入れて、室温まで冷却した。ゲル化抽出物を含有するトレーを冷蔵庫内に−20℃にて20時間維持した。凍結したゲルを次に室温にて解凍した。解凍したゲルを圧搾して付着した液体を除去して、その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、最後に圧搾して付着した水を除去した。未変性寒天を空気乾燥させて、続いて50℃の乾燥器内で2時間乾燥させた。
【0060】
収率:絶乾乾燥に対して5.5g(22.0%);ゲル強度(1.5%ゲル):20℃にて300g;ゲル化温度:41.0℃;灰分:4.56%以下;サルフェート:2.60%以下。
【実施例3】
【0061】
グラシラリア・エデュリス(Gracilaria edulis)(25g)海藻を水道水に35℃にて1時間、次にNaOHなしで85℃にて2時間浸漬した。浸漬した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、非水溶性不純物がない透明抽出物を得た。高温抽出物をステンレス鋼トレーに入れて、室温まで冷却した。ゲル化抽出物を含有するトレーを冷蔵庫内に−20℃にて20時間維持した。凍結したゲルを次に室温にて解凍した。解凍したゲルを圧搾して付着した液体を除去して、その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、最後に圧搾して付着した水を除去した。未変性寒天を空気乾燥させて、続いて50℃の乾燥器内で2時間乾燥させた。
【0062】
収率:絶乾乾燥に対して5.0g(20.0%);ゲル強度(1.5%ゲル):20℃にて100gcm−2未満;ゲル化温度:40.0℃;灰分:6.56%以下;サルフェート:5.60%以下。
【実施例4】
【0063】
実施例1および2のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサ(各25g)海藻を別々の実験で35℃の水道水に1時間浸漬した;洗浄水を廃棄して、湿潤海藻を2%NaOHによって85℃にて2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。前処理した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35または1:20重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサの抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、1.87%以下および1.76%以下のサルフェート含有率をそれぞれ有する、非水溶性不純物を含まない透明抽出物を得た。これらの抽出物を2つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));Synperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤(抽出物に対して3重量/重量%)で処理した。界面活性剤を激しく撹拌しながらそのままの形で徐々に添加した。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。いずれの場合でも沈殿は観察されなかった。
【0064】
グラシラリア・デュラのアガロース:収率:18%;ゲル強度:530gcm−2;サルフェート:1.87%以下。
ゲリジエラ・アセロサのアガロース:収率:14%;ゲル強度:850gcm−2;サルフェート:1.76%以下。
【実施例5】
【0065】
実施例1および2のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサ海藻を別々の実験で35℃の水道水に1時間浸漬した;洗浄水を廃棄して、湿潤海藻を3.5%NaOHによって85℃にて2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。3.5%NaOHによって前処理した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35または1:20重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサの抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、1.22%以下および1.47%以下のサルフェート含有率をそれぞれ有する、非水溶性不純物を含まない透明抽出物を得た。これらの抽出物を2つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));Synperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤(抽出物に対して3重量/重量%)で処理した。界面活性剤を激しく撹拌しながらそのままの形で徐々に添加した。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。いずれの場合でも沈殿は観察されなかった。
【0066】
グラシラリア・デュラのアガロース:収率:16%;ゲル強度:820gcm−2;サルフェート:1.02%以下。
ゲリジエラ・アセロサのアガロース:収率:14%;ゲル強度:980gcm−2;サルフェート:1.47%以下。
【実施例6】
【0067】
実施例1および2のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサ海藻を別々の実験で35℃の水道水に1時間浸漬した;洗浄水を廃棄して、湿潤海藻を4%NaOHによって85℃にて2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。4%NaOHによって前処理した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35または1:20重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサの抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、0.72%以下および1.38%以下のサルフェート含有率をそれぞれ有する、非水溶性不純物を含まない透明抽出物を得た。これらの抽出物を2つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));Synperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤(抽出物に対して3重量/重量%)で処理した。界面活性剤を激しく撹拌しながらそのままの形で徐々に添加した。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。沈殿は非イオン性界面活性剤によって、0.82%以下のサルフェートを含有するグラシラリア・デュラから調製した抽出物で観察された。1.38%以下のサルフェートを含有するゲリジエラ・アセロサから調製した抽出物では、上記の界面活性剤のいずれによっても沈殿が観察されなかった。
【0068】
グラシラリア・デュラのアガロース:収率:15%;ゲル強度:1300gcm−2;サルフェート:0.82%以下.
ゲリジエラ・アセロサのアガロース:収率:13%;ゲル強度:1020gcm−2;サルフェート:1.38%以下.
【0069】
【表1】

【0070】
実施例6は、サルフェート含有率がポリサッカライドの0.82%以下である場合に、非イオン性界面活性剤は高温海藻抽出物からアガロースを凝固させるのに有用であり、したがって本発明の方法は低硫酸化寒天またはアガロースの調製に理想的に適用されるという結論に至る。
【実施例7】
【0071】
実施例1および2のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサ海藻を別々の実験で35℃の水道水に1時間浸漬した;洗浄水を廃棄して、湿潤海藻を5%NaOHによって85℃にて2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。5%NaOHによって前処理された海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、0.50%以下および1.08%以下のサルフェート含有率をそれぞれ有する、非水溶性不純物を含まない透明抽出物を得た。これらの抽出物を2つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));Synperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤(抽出物に対して3重量/重量%)で処理した。界面活性剤を激しく撹拌しながらそのままの形で徐々に添加した。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。沈殿は、0.5%サルフェートを含有するグラシラリア・デュラから調製した抽出物で観察された。1.08%サルフェートを含有するゲリジエラ・アセロサから調製した抽出物では、沈殿は観察されなかった。
【0072】
グラシラリア・デュラのアガロース:収率:14%;ゲル強度:1600gcm−2;サルフェート:0.50%以下.
ゲリジエラ・アセロサのアガロース:収率:13%;ゲル強度:1140gcm−2
サルフェート:1.08%以下。
【0073】
【表2】

【0074】
実施例7は、サルフェート含有率が0.50%以下である場合に、非イオン性界面活性剤が高温海藻抽出物からアガロースを完全に凝固させるのに有用であるという結論に至る。
【実施例8】
【0075】
実施例1および2のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサ海藻を別々の実験で35℃の水道水に1時間浸漬した;洗浄水を廃棄して、湿潤海藻を7%NaOHによって85℃にて2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。5%NaOHによって前処理された海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、0.50%以下および1.08%以下のサルフェート含有率をそれぞれ有する、非水溶性不純物を含まない透明抽出物を得た。これらの抽出物を2つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));Synperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤(抽出物に対して3重量/重量%)で処理した。界面活性剤を激しく撹拌しながらそのままの形で徐々に添加した。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。沈殿は、0.5%サルフェートを含有するグラシラリア・デュラから調製した抽出物で観察された。0.80%サルフェートを含有するゲリジエラ・アセロサから調製した抽出物では、沈殿は観察されなかった。
【0076】
グラシラリア・デュラのアガロース:収率:13%;ゲル強度:1800gcm−2;サルフェート:0.38%以下.
ゲリジエラ・アセロサのアガロース:収率:12%;ゲル強度:1550gcm−2;サルフェート:0.80%以下。
【0077】
【表3】

【0078】
実施例8は、サルフェート含有率が0.80%以下である場合に、非イオン性界面活性剤がゲリジエラ・アセロサから取得された高温海藻抽出物からアガロースを完全に凝固させるのに有用であるという結論に至る。
【実施例9】
【0079】
実施例1のグラシラリア・デュラ(gracilaria dura)(それぞれ25g)海藻を35℃の水道水に1時間浸漬し、次に水を廃棄して、湿潤海藻を85℃にて10%NaOHで2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。前処理した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、非水溶性不純物から透明抽出物を得た。高温抽出物をステンレス鋼トレーに入れて、室温まで冷却した。ゲル化抽出物を含有するトレーを冷蔵庫内に−20℃にて20時間維持した。凍結したゲルを次に室温にて解凍した。解凍したゲルを圧搾して付着した液体を除去して、その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、最後に圧搾して付着した水を除去した。未変性寒天を空気乾燥させて、続いて50℃の乾燥器内で2時間乾燥させた。
【0080】
収率:絶乾乾燥に対して5.0g(20.0%);ゲル強度(1.0%ゲル):20℃にて1900gcm−2より大きい;ゲル化温度:35.00℃;灰分:1.0%以下;サルフェート:0.25%以下。
【実施例10】
【0081】
実施例2のゲリジエラ・アセロサ(G.acerosa)(25g)海藻を35℃の水道水に1時間浸漬し、次に水を廃棄して、湿潤海藻を85℃にて10%NaOHで2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。前処理した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、非水溶性不純物から透明抽出物を得た。高温抽出物をステンレス鋼トレーに入れて、室温まで冷却した。ゲル化抽出物を含有するトレーを冷蔵庫内に−20℃にて20時間維持した。凍結したゲルを次に室温にて解凍した。解凍したゲルを圧搾して付着した液体を除去して、その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、最後に圧搾して付着した水を除去した。未変性寒天を空気乾燥させて、続いて50℃の乾燥器内で2時間乾燥させた。
【0082】
収率:絶乾乾燥に対して3.5g(14.0%);ゲル強度(1.5%ゲル):200℃にて2000gcm−2以上;ゲル化温度:41.0℃;灰分:1.1%以下;サルフェート:0.30%以下。
【実施例11】
【0083】
実施例3のグラシラリア・エデュリス(G.edulis)(25g)海藻を35℃の水道水に1時間浸漬し、次に水を廃棄して、湿潤海藻を85℃にて10%NaOHで2時間処理して、続いて海藻を水で洗浄して過剰なアルカリを除去した。前処理した海藻を次に蒸留水(海藻:水=1:35重量/重量)に取り、120℃にて1.5時間オートクレーブ処理した。抽出物をホモジナイズおよび遠心分離して、非水溶性不純物から透明抽出物を得た。高温抽出物をステンレス鋼トレーに入れて、室温まで冷却した。ゲル化抽出物を含有するトレーを冷蔵庫内に−20℃にて20時間維持した。凍結したゲルを次に室温にて解凍した。解凍したゲルを圧搾して付着した液体を除去して、その後、ゲルを脱塩水で洗浄し、最後に圧搾して付着した水を除去した。未変性寒天を空気乾燥させて、続いて50℃の乾燥器内で2時間乾燥させた。
【0084】
収率:絶乾乾燥に対して3.0g(12.0%);ゲル強度(1.5%ゲル):20℃にて400gcm−2以上;ゲル化温度:40.0℃;灰分:2.56%以下;サルフェート:1.90%以下。
【実施例12】
【0085】
実施例1、2および3で調製され、ならびに3.26、2.60および5.60のサルフェート含有率(%重量/重量)をそれぞれ有する、グラシラリア・デュラ、ゲリジエラ・アセロサおよびグラシラリア・エデュリス海藻の高温(70℃)寒天抽出物を、2つのカチオン性[セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB);およびセチルピリジニウムクロライド(CPC)]、3つのアニオン性[ナトリウムラウリルサルフェート(SLS);SC−896(ICI Uniqema、インド(India))およびSC−229(ICI Uniqema、インド(India))]および5つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));Synperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India));SC−892(ICI Uniqema、インド(India));Tween−80(ICI Uniqema);およびAtplus 245(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤によって処理した。界面活性剤を激しく撹拌しながらそのままの形で徐々に添加した。抽出物に対して用いた界面活性剤の濃度は3%(重量/重量)であった。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。いずれの場合でも沈殿は観察されなかった。
【実施例13】
【0086】
0.25、0.30および1.90のサルフェート含有率をそれぞれ有するアガロースを含有する実施例9、10および11のアルカリ処理海藻の高温(70℃)抽出物を使用して、実施例12の実験を反復した。観察結果を表4にまとめる。実施例9および10の高温抽出物が3%の濃度で用いた非イオン性界面活性剤によって沈殿を生じたのに対して、イオン性界面活性剤ではいずれの濃度によっても沈殿が観察されなかったことがわかる。さらに実施例11の抽出物は、非イオン性界面活性剤によってもいずれの沈殿も生じなかった。すべての非イオン性界面活性剤が実施例9および10の高温抽出物によって沈殿を誘発したのに対して、Triton X−100およびSynperonic 91/6は3重量/重量%のより低い濃度にて完全沈殿を生じ、本発明のさらなるプロセスのために選択された。
【0087】
【表4】

【0088】
実施例12および13は、ポリサッカライドのサルフェート含有率がアガロースの場合と同様に低い場合、非イオン性界面活性剤が高温海藻抽出物からアガロースを凝固させるのに有用であり、したがって本発明の方法はアガロースの調製に理想的に適用されるという結論に至る。
【0089】
実施例12の結果は、グラシラリア・デュラ、ゲリジエラ・アセロサおよびグラシラリア・エデュリスからの未変性寒天の凝固または沈殿は、未変性寒天が3%を超える高いサルフェート含有率を有したときには、イオン性および非イオン性界面活性剤の存在下では起こらないことを指摘した。
【0090】
実施例13(表4)は、カチオン性およびアニオン性界面活性剤の存在下では、アガロースポリマー中のサルフェート含有率が約1%であるときでも、グラシラリア・デュラ、ゲリジエラ・アセロサ)、およびグラシラリア・エデュリスから取得された海藻抽出物からの凝固または沈殿が発生しなかったことを示す。実施例13(表4)はさらに、非イオン性界面活性剤の存在下では、アルカリ処理グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサのみから取得された海藻抽出物からの完全凝固または沈殿は、アガロース中のサルフェート含有率がそれぞれ0.25%および0.3%であるときに発生するという結論に至る。アルカリ処置後でも比較的高いサルフェート含有率(1.9%)を有したグラシラリア・エデュリスの海藻抽出物の場合、寒天ポリマーの沈殿は、非イオン性界面活性剤の添加時に起こらなかった。寒天のサルフェート含有率が十分に低い(1%未満)場合のみに、寒天の界面活性剤(非イオン性)誘発沈殿が良好に作用することが結論付けられる。
【実施例14】
【0091】
実施例9および10で調製され、それぞれ0.25および0.30のサルフェート含有率(重量/重量%)を有する、グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサ海藻の高温(70℃)アガロース抽出物を、2つの非イオン性[Triton X−100(S.D.Fine Chemicals、インド(India));およびSynperonic 91/6(ICI Uniqema、インド(India))]界面活性剤で処理した。抽出物に対する界面活性剤の濃度は3%(重量/重量)であった。界面活性剤の添加が完了した後、撹拌を中止して、含有物を室温にて5時間静置した。アガロースポリマーの完全沈殿は、両方の非イオン性界面活性剤の存在下で起こった。抽出物からのアガロースポリマーの沈殿後、沈殿したポリマーを遠心分離によって収集した。過剰な界面活性剤を水(6×1リットル)による反復洗浄によってアガロースポリマーから除去し、各洗浄操作は水−ポリマー混合物を15分間撹拌することによって、または粗アガロース塊体の再分散後の透析に行い、その後、遠心分離によって洗浄液を除去することによりアガロース塊体を分離した。界面活性剤を含まない湿潤アガロース塊体を高温水に再溶解させて、濃縮溶液を生じさせた(7重量/重量%)。これを次に脱水のために等量のイソプロピルアルコールで処理して、容易に分散可能なアガロースを得た。
【0092】
非イオン性界面活性剤のTriton X−100およびSynperonic 91/6による処理後の、グラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサの海藻抽出物から取得されたアガロースポリマー生成物の基準値(specifications)は、以下の通りである。
【0093】
グラシラリア・デュラのアガロース:収率:絶乾乾燥に対して3.15g(14.0%);ゲル強度(1%ゲル):20℃にて1900gcm−2以上;ゲル化温度:35.0℃;灰分:0.80%以下;サルフェート:0.20%以下。
ゲリジエラ・アセロサのアガロース:収率:絶乾乾燥に対して2.47g(11.0%);ゲル強度(1.5%ゲル):20℃にて1900gcm−2以上;ゲル化温度:41.0℃;灰分:0.95%以下;サルフェート:0.25%以下。
【実施例15】
【0094】
実施例14でグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサから調製されたアガロースポリマーをその金属イオン含有量について、Wolnik,K.A.(Methods Enzymol.,158:190−205,1988)によって記載された方法に従って、誘導結合プラズマ(ICP)分光法によってPerkin−Elmer ICP−OES Optima 2000DV装置で分析した。結果を、Fluka(Cat.No.05068,2003/2004)のアガロースについて報告された値と比較した(表5)。本発明のアガロースは、電気泳動作業に好適であると思われる。
【0095】
【表5】

【実施例16】
【0096】
本発明(実施例14)および前の発明(PCT 2005/118830;US 2005/0267296 A1)のグラシラリア・デュラ[ゲル強度:1%ゲル中1900gcm−2以上]アガロースゲルの比較評価を同一の実験条件下で行い、ゲル電気泳動のゲル濃度は両方のゲルで0.8%であった。これらの2つのアガロース試料の適切な量を90℃のマイクロ波オーブンを使用して、1×TBE(10.8gmトリスベース、5.5gmホウ酸、0.744gm NaEDTA)緩衝液50mlに溶解させた。アガロース溶液を60℃まで冷却して、エチジウムブロミド溶液2μl(1ml当り10mg)を添加して、ゲルをゲルトレーにキャストした。
【0097】
DNAラダーおよび2つの異なるDNA試料(1.2kbおよび1.5kb)を両方のゲルに添加して、1×TBE緩衝液を使用して電気泳動を50Vにて90分間受けさせた。ゲルを泳動させた後、DNAを含有するゲル片をゲルから切断して、滅菌水50μl中でQIA−quickゲル抽出キット(Qiagen、米国(USA))を使用してDNAを抽出した。溶離後、DNA 5μlを新たにキャストしたゲルに添加して、溶離したDNAの濃度および品質を確認した。
【0098】
溶離したDNAは、遺伝子特異的プライマーを標準PCR条件(反応体積50μl中に、DNAテンプレート25ng、1×Taqポリメラーゼ緩衝液、PCRプライマー150ng、dNTP 200μMおよびTaqポリマメラーゼ酵素 2.5U)で使用して、再度増幅した。PCR条件は、94℃にて5分間;55℃にて1分間および72℃にて1分間を35サイクルであった。PCR増幅DNAを、電気泳動によって0.8%の新旧のアガロースゲルを使用して再確認した。ゲルをUV光下で描出した(UV管8W、312nm;Bangalore Genei、インド(India))。
【0099】
本発明で取得されたアガロースゲル(図1.1、1.2および1.3のゲル)の品質および性能を確認するために、DNAゲル電気泳動を行って、前の発明(PCT 2005/118830;US 2005/0267296 A1)のアガロースゲル(図1.1、1.2および1.3のゲルb)と比較した。図1.1において、PCR増幅DNAを分析して、DNA生成物をこれらのゲルから溶離させ、DNAゲル電気泳動によって再分析した(図1.2)。図1.1のゲルから溶離したDNA生成物を使用してPCR増幅を行い、増幅DNA生成物の品質をDNAゲル電気泳動によって確認した(図1.3)。DNA試料の分離ならびに溶離したDNAの品質は、両方のゲル試料、すなわちすべての図(図1.1、1.2および1.3)のゲルaおよびbで類似していることが見出された。
【0100】
実施例6は、本発明の方法が、従来技術によってグラシラリア・デュラから取得されたアガロースと比較して類似の品質のアガロースを生じるという結論に至る。
【0101】
本発明の利点
本発明の主な利点は、所望の基準値(specifications)のアガロースが、インド(India)海域のグラシラリア・デュラおよびゲリジエラ・アセロサから、従来技術と比較してあまり大きな資本を必要とせず、より好都合に着手され、匹敵する品質の生成物をなお与えるプロセスを通じて産生できるということである。
【0102】
別の利点は、凍結解凍操作を不要にすることにより、アガロースがさらにエネルギー効率のよい方式で調製されたことである。
【0103】
別の利点は、高温海藻抽出物が清澄剤としてのセライトおよび木炭への要求を不要にする方法である遠心分離によって浄化されたことである。
【0104】
別の利点は、本発明で使用されたすべての非イオン性界面活性剤が水溶性であり、水溶性であることにより簡単な水による洗浄によって生成物から非イオン性界面活性剤を容易に除去できることである。
【0105】
別の利点は、界面活性剤が再利用可能であることである。
【0106】
別の利点は、生成物が抽出物からの凝固および洗浄の後に、高濃度の水性分散物を調製して、最小量のアルコールによって析出させて所望の粒子サイズ範囲の生成物を取得することによって、よりただちに水に分散可能とさせて、これによりいずれの粉砕に対する要求も不要になることである。
【0107】
別の利点は、このような精製生成物が周知の市販生成物によって要求されるよりも低い濃度にてDNAゲル電気泳動に好適であったことである。
【0108】
別の利点は、取得されたアガロースの品質は、少なくとも最長1年間いずれの劣化もなく、プラスチック容器中に保管できることである。
【図1.1a】

【図1.1b】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
界面活性剤を使用して海藻の水性抽出物からアガロースを精製するための改良方法であって:
a.アルカリ処理高温海藻抽出物(70〜80℃)を10000〜14000rpmにて5〜15分間遠心分離するステップと;
b.ステップ(a)で取得した高温海藻抽出物を、2〜5%の界面活性剤と、60〜100℃の範囲の温度にて連続撹拌して混合するステップと;
c.ステップ(b)で取得した含有物を25〜35℃の範囲の温度にて1〜10時間静置して、アガロースの固体塊体を沈殿させるステップと;
d.前記固体中の残留界面活性剤を除去するために、上清液をデカンテーションして、前記塊体を水で洗浄するステップと;
e.アガロースを沈殿させるために、ステップ(d)で取得した湿潤塊体を最小量の水に、アガロース生成物を7〜10重量/重量%の範囲で再溶解させ、アガロースゾル対イソプロパノールの比が1:0.5〜1:1.5重量/重量であるような最小量のイソプロパノールで処理するステップと;
f.200〜300の範囲のメッシュサイズを有するアガロース粉末を取得するために、該固体生成物を単離して、好適な乾燥器で乾燥させるステップと;
を含む方法。
【請求項2】
前記抽出物の調製に使用される海藻が、グラシラリア(Gracilaria)種およびゲリジエラ(Gelidiella)種、さらに詳細にはグジャラートおよびタミルナドゥの海岸から取得されたインド海域のグラシラリア・デュラ(Gracilaria dura)およびゲリジエラ・アセロサ(Gelidiella acerosa)から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記抽出物が、該乾燥海藻を25〜95℃の1〜15%(重量/重量)水酸化ナトリウム水溶液20〜35部(重量/重量)によって0.5〜5時間処理し、続いて洗浄してpHを7〜9の範囲に調整するステップと、次に脱塩水を洗浄した海藻に添加して、100〜125℃に及ぶ温度にて1〜2.5時間オートクレーブ処理するステップとを含む公知の方法によって調製された、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
使用された前記界面活性剤が市販のオクチルフェノールエトキシレート(Triton X−100)およびノニルフェノールエトキシレート(Synperonic 91/6)から選択された非イオン性界面活性剤である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(d)の前記洗浄または透析操作が周囲条件下で、洗浄液の表面張力が水の表面張力と同じになるまで行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記界面活性剤が使用済み抽出物および洗浄液から再利用される、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記使用された界面活性剤が、アガロース中のサルフェートのレベルが0.82%(重量/重量)未満、好ましくは0.5%(重量/重量)未満およびなおさらに好ましくは0.25%未満であるときにのみ、綿状沈殿を誘発する、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、本質的に少ないサルフェートを含有しているか、およびまたはこのような低レベルのサルフェート含有率まで化学的もしくは生化学的に脱硫酸できるかのどちらかであるこれらのポリサッカライドを精製するために有用である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
取得されたアガロースポリマーがDNAのゲル電気泳動に好適である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
取得されたアガロースの品質が、少なくとも最長1年間いずれの劣化もなく、プラスチック容器中に保管することができる、請求項1に記載の方法。

【図1.2】
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【図1.3】
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【公表番号】特表2012−521475(P2012−521475A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−501402(P2012−501402)
【出願日】平成22年3月19日(2010.3.19)
【国際出願番号】PCT/IB2010/000588
【国際公開番号】WO2010/109289
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(511110762)カウンシル・オヴ・サイエンティフィック・アンド・インダストリアル・リサーチ (7)
【Fターム(参考)】