説明

海藻類加工食品の製造方法

【課題】海藻類固有の味、香および色などを維持することができ、海藻類に含有された人体有効成分の損失および変性が発生しないようにする。
【解決手段】本発明の海藻類加工食品の製造方法は、海藻類を粉砕して海藻類粉砕物を得る段階と、前記海藻類粉砕物と塩基性塩類を真空攪拌器に投入した後、40〜80℃の温度で加熱し攪拌して海藻類ペーストを得る段階と、前記海藻類ペーストを2価以上の金属イオン溶液でゲル化させて海藻類ゼリーを得る段階とを含んでなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海藻類加工食品の製造方法に係り、より詳しくは、海藻類固有の味、香および色などを維持することができ、栄養成分および機能性成分の損失や変性が発生しないようにするうえ、これらの有効成分を倍加させることができる、海藻類加工食品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
海藻類は、食用、飼料および肥料などとして多く使われており、バイオ燃料の原料としても検討されている。海藻類はその種類および量が豊富である。最近では、人工養殖方法の発達によりその生産量が増加している。また、海藻類は、食生活に応える健康食品として認定され、その消費量も益々増加しつつある。一般に、海藻類は、各種食品に添加剤として添加されて消費されている。
【0003】
海藻類は、栄養成分と機能性成分が豊富である。海藻類には、ビタミンや無機質以外にも、生理活性を示すことが可能なタウリン(taurine)、不飽和脂肪酸(unsaturated acid)
、アルギン酸(alginic acid)、フコイダン(fucoidan)、ラミナリン(laminarin)および食
物繊維などの各種機能性成分が含有されている。特に、若布と昆布には、例えばカリウム、カルシウム、鉄、リン、ナトリウムなどの無機質だけでなく、食物繊維、葉酸およびビタミンなどが豊富であり、アルギン酸およびフコイダンなどの生理活性成分が多量含有されている。これらの成分の中でも、アルギン酸はコレステロール数値と血圧を降ろすのに効果があり、有害酸素の生成を抑制するなどの生理活性に効果的であると知られている。そして、フコイダンは抗菌、抗酸化、抗ウイルスおよび抗癌活性だけでなく、例えば動脈硬化、心筋梗塞、高血圧、狭心症および脳卒中などの成人病の予防にも効果的であると報告されている。
【0004】
上述したように、海藻類は栄養成分や機能性成分が豊富である。しかし、海藻類は海から採取した生の原料そのままでは流通が難しい。よって、消費者への普及および流通のためには加工が必要である。一般に、海藻類は塩蔵または抽出方法によって加工されている。ところが、塩蔵は塩辛い味が強くて摂取し難く、何よりも塩分摂取による現代人の健康に悪影響を及ぼすおそれがある。このため、抽出方法が好まれている。抽出方法としては熱水抽出方法と高圧抽出方法が採用されている。
【0005】
ところが、熱水抽出方法は、収得過程で損失が多いため低い収率を示すという欠点がある。また、熱水抽出方法は、高温で行われて海藻類固有の味、香および色などを維持し難く、栄養成分や機能性成分などの人体有効成分が損失してしまうという問題点がある。これに比べて、高圧抽出方法は短時間で高い収率を得ることができる。しかし、高圧抽出方法は高い圧力で抽出が行われて工程に危険性が伴い、一定の体積で高圧を形成することにより発生する熱によって人体有効成分が変性してしまうとうい問題点がある。しかも、高圧抽出方法は高圧を形成するための設備および費用が多くかかって実用化に難しさがある。
【0006】
したがって、海藻類を加工するにおいて、海藻類固有の味、香および色などを維持することができ、栄養成分や機能性成分などの人体有効成分の損失および変性なしに加工することが可能な方法が要求される。また、経済的な面と実用的な面も考慮されるべきである。
【0007】
一方、海藻類は、微量であるが、環境ホルモン(例えば、ダイオキシン)や重金属など
の人体有害成分を含むことができる。このような有害成分は、例えば海藻類の加工過程および/または移送過程で含まれるか、或いは海藻類加工食品の包装材(合成樹脂やパルプなど)に由来してもよい。また、有害成分は近年増加している海の汚染が原因になることもある。よって、海藻類の加工の際には前記環境ホルモンや重金属などの有害成分に対する除去が考慮されるべきである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そこで、本発明の目的は、海藻類固有の味、香および色などを維持することができ、海藻類に含有された人体有効成分の損失および変性が発生しないようにする、海藻類加工食品の製造方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、海藻類に含まれた有害成分を考慮し、前記有害成分を除去し或いは体外に放出されるようにし、人体に有益な栄養成分や機能性成分を倍加させることのできる、海藻類加工食品の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
(a)海藻類を粉砕して海藻類粉砕物を得る段階と、
(b)前記海藻類粉砕物と塩基性塩類を真空攪拌器に投入した後、40〜80℃の温度で加熱し攪拌して海藻類ペーストを得る段階と、
(c)前記海藻類ペーストを2価以上の金属イオン溶液でゲル化させて海藻類ゼリーを得る段階とを含んでなる、海藻類加工食品の製造方法を提供する。
この際、前記(c)段階は、海藻類ペーストを押出成形機に投入して押出成形する工程と、前記押出成形された成形物を2価以上の金属イオン溶液に浸漬し、ゲル化した海藻類ゼリーを得る工程とを含むことがよい。
また、前記(c)段階に続いて、
(d)海藻類ゼリーを乾燥させた後、粉末化した海藻類粉末を得る段階と、
(e)前記海藻類粉末を真空チャンバーに投入する段階と、
(f)前記真空チャンバーを真空状態に維持させた後、海藻類粉末を流動させながらクロレラ液を噴射して海藻類粉末にクロレラ液を塗布する段階と、
(g)前記クロレラ液の塗布された海藻類粉末を乾燥させる段階とをさらに含むことが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る海藻類加工食品の製造方法は、海藻類加工食品に対して、海藻類固有の味、香および色などを維持することができ、海藻類に含有された人体有効成分の損失および変性がないようにすることができる。
また、本発明に係る海藻類加工食品の製造方法は、海藻類加工食品に対して、ゲル化した海藻類に含まれ得る有害成分を考慮し、有害成分を除去し或いは体外に放出されるようにし、人体に有益な栄養成分や機能性成分を倍加させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に用いられる塗布装置の一例を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明に係る海藻類加工食品の製造方法は、
(a)海藻類の粉砕段階と、
(b)低温真空加熱による海藻類のペースト(paste)化段階と、
(c)海藻類ペーストのゲル化段階とを含んでなる。
前記(a)段階〜(c)段階は連続的である。これらの段階を経てゼリー状の海藻類加工食品が製造される。製造された加工食品(ゼリー)は、海藻類の含量が殆ど100重量%に近い。製造された加工食品(ゼリー)は、包装段階を経た後で消費者に普及されてもよく、別途の加工を経て消費者に普及されてもよい。次に、各段階別に説明する。
【0013】
(a)海藻類の粉砕
均質なペーストを製造するために、まず海藻類を粉砕する。この際、粉砕の前に、海藻類をきれいな水で洗うことが良い。例えば、海藻類を流水で洗って異物を除去する。好ましくは、海藻類を約30分〜5時間きれいな水に浸漬して水洗と共に水和が行われるようにする。この際、水洗のための水は海水(seawater)または淡水(fresh water)を使用する
ことができる。このように水洗工程を行った後、適正の大きさに粉砕する。例えば、500meshの篩(sieve)を通過することが可能な大きさに粉砕する。好ましくは200m
esh以下の大きさ、より具体的には50〜200meshの大きさに海藻類を粉砕する。
【0014】
本発明において、海藻類の種類は限定されない。海藻類は、生の原料(海から採取したそのまま)、乾燥製品(生の原料を乾燥させたもの)および塩蔵製品(生の原料を塩で塩蔵したもの)などを含む。これらの海藻類試料を、前述したように、まず綺麗な水で水洗した後、適正の大きさに粉砕する。海藻類は、紅藻類、褐藻類および緑藻類などから選ばれた少なくとも一つを使用することができる。紅藻類は天草、海苔、フノリ、イバラノリ、海髪およびアミクサなどを例示することができ、褐藻類は若布、昆布、カヤモノリ、カジメ(搗布)、ホンダワラ(馬尾藻)およびヒジキ(鹿尾菜)などを例示することができる。緑藻類はアオミドロ、青海苔、ミル(海松)およびタマジュズモなどを例示することができる。海藻類は前記羅列した種類に限定されず、好ましくは褐藻類から選ばれる。海藻類は、具体的に若布、昆布、天草およびフノリなどから選ばれた数なくとも一つがよい。好ましくは若布や昆布が良い。
【0015】
(b)低温真空加熱による海藻類のペースト化
前記海藻類粉砕物を低温真空加熱してペーストに製造する。ペーストは真空攪拌器で40〜80℃の低温加熱によって製造される。この際、塩基性塩類が使用される。具体的に、真空攪拌器に海藻類粉砕物と塩基性塩類を共に投入した後、40〜80℃の低温で加熱攪拌して海藻類ペーストを得る。このような低温真空加熱によって海藻類の有効成分が溶け出てペースト化する。低温真空加熱は、好ましくは30〜120分間行われる。この際、加熱時間があまり短ければ、有効成分の溶出性が非常に低く、加熱時間があまり長ければ、海藻類の固有特性維持の面で好ましくないおそれがある。すなわち、加熱時間があまり長ければ、海藻類固有の味、香および色などが変わるおそれがある。
【0016】
前記塩基性塩類は、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウムおよび炭酸ナトリウムなどの中から選ばれた少なくとも一つを使用することができる。また、これらの塩基性塩類は水溶液状態で真空攪拌器に投入されてもよい。塩基性塩類は、特に限定しないが、海藻類粉砕物100重量部に対して0.01〜10重量部で使用できる。好ましくは、海藻類粉砕物の乾燥重量100重量部に対して0.1〜4.0重量部で使用されてもよい。
【0017】
前記塩基性塩類は、海藻類に含有された有効成分の溶出性を高める。塩基性塩類は、特に海藻類に含有されたアルギン酸の溶出性を高める。この際、溶け出たアルギン酸は海藻類の加工性を向上させる。すなわち、アルギン酸の溶出によって別途の加工を行わなくてもゼリー状の加工食品を得ることができる。アルギン酸は海藻類の細胞内に存在する酸性粘質の多糖類であって、これは2価の金属イオンと反応してゲル化(凝固)する。
【0018】
本発明によれば、前記40〜80℃の低温真空加熱によるペースト化工程によって、海藻類の固有特性、すなわち海藻類固有の味、香および色などを維持することができる。また、海藻類に含有された栄養成分や機能性成分などの人体有効成分を容易に溶出させるが、低温で行われて前記有効成分の損失および変性を防止する。この際、低温真空加熱は上述したように40〜80℃で行われるが、温度が40℃未満であれば、有効成分の溶出性が劣ってペースト化が難しい。温度が80℃超過であれば、海藻類の固有特性(味、味および色など)を維持することが難しく、有効成分が損失および変性するおそれがある。しかも、本発明によれば、前記低温真空加熱の際に使用された塩基性塩類によってアルギン酸の溶出性が向上する。前記溶け出たアルギン酸によってゲル化が図られるから、別途の加工を行わなくても、優れた粘弾性を有するゼリー状の加工製品を得ることができる。
【0019】
また、本発明の具現例によって、前記低温真空加熱の際(ペースト化段階)には別途のアルギン酸をさらに添加することができる。具体的に、真空攪拌器に海藻類粉砕物100重量部に対して別途のアルギン酸を0.05〜4.0重量部でさらに添加することができる。この際、アルギン酸は水溶液の形で添加できる。このようなアルギン酸の添加によって柔らかい、質感に優れた加工食品(ゼリー)を得ることができる。
【0020】
(c)海藻類ペーストのゲル化
こうして得られた海藻類ペーストを2価以上の金属イオン溶液でゲル化させる。前述したように、前記海藻類ペーストには塩基性塩類を用いた低温真空加熱によって多量のアルギン酸が溶け出て含まれている。この際、アルギン酸は2価以上の金属イオンと反応してゼリー状にゲル化(凝固)する(海藻類ゼリーの製造)。
【0021】
前記金属イオン溶液は、2価以上の金属イオンを含むものであれば限定されない。金属イオン溶液は、例えばCa2+およびMg2+から選ばれた少なくとも一つの金属イオンを含んでいればよい。具体的に例を挙げれば、金属イオン溶液は、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムなどから選ばれた少なくとも一つの溶液(例えば、水溶液)を使用することができる。この際、金属イオン溶液に含まれた金属イオンと前記アルギン酸のカルボキシル基が架橋結合(ゲル化反応)して網目構造を有する粘弾性のゼリーが生成される。前記金属イオン溶液は、特に限定するのではないが、0.1〜5重量%の水溶液相を使用することができる。また、前記金属イオン溶液はカルシウムイオン溶液を好ましく使用することができるが、この際、前記カルシウムイオン溶液は卵殻や貝殻などを酢などの酸味料に溶解させたものを使用することができる。
【0022】
しかも、前記ゲル化による海藻類ゼリーを製造するにおいて、前記海藻類ゼリーは所定の形状を持ってもよい。例えば、前記ゲル化段階、すなわち前記(c)段階は、まず海藻類ペーストを押出成形機に投入して所定の形状に押出成形する成形工程と、前記押出成形物を2価以上の金属イオン溶液に浸漬し、ゲル化した海藻類ゼリーを得るジェル化工程とを含むことができる。この際、前記浸漬を用いたゲル工程は、2価以上の金属イオン溶液が収容された浸漬槽に押出成形物を例えば3〜10分間浸漬して行われてもよい。前記ゼリー状の押出成形物は多様な形状を持つことができる。例えば、押出成形物は円筒形、多角筒形、板状形および球形などの形状を持ってもよいが、これに限定されない。
【0023】
また、前記ゲル化段階、すなわち前記(c)段階は、海藻類ペーストと2価以上の金属イオン溶液を押出成形機に同時に投入し、ゲル化と成形工程を同時に行うことができる。上述した工程によって製造された海藻類ゼリーは、包装された後で消費者に普及できる。海藻類ゼリーは、好ましくは包装された後で殺菌処理されるか、殺菌処理された後で包装されて消費者に普及できる。例えば、前述したように製造された海藻類ゼリーは、包装容器(例えば、ポリエチレンやポリプロピレンなどのパウチ)に保存水と共に包装された後
、殺菌熱処理されて消費者に普及できる。この際、前記保存水はオゾン水、精製水および食塩水の中から選択できる。前記保存水は海藻類ゼリーに対して1倍〜3倍の体積比で使用できる。
【0024】
しかも、前記殺菌熱処理は、高圧スチームを用いて80〜100℃で2〜30分間1次熱処理した後、続いて100〜130℃で2〜30分間2次熱処理する方法で行われてもよい。また、殺菌熱処理は、他の例として包装容器に包装された状態で80〜100℃の熱湯に10分〜120分間浸漬する方法で行われてもよい。
【0025】
一方、海藻類は、微量であるが、環境ホルモンや重金属などの人体有害成分を含むことができる。このような有害成分はクロレラによって除去または体外排出できる。クロレラの正式名称はクロレラピレノイドサ(chlorella pyrenoidosa)である。クロレラは単細胞
緑藻類たる植物性プランクトンであって、これは約0.002〜0.1マイクロメートル程度の大きさを有し、球形の形状をする。クロレラは体内に吸収された環境ホルモン(ダイオキシンなど)や重金属などを体外に排泄させる作用を有する。また、クロレラはタンパク質、炭水化物、脂肪、ビタミン、ミネラル、葉緑素、食物繊維などの多様な栄養成分を均一に含有しており、生理活性効果として成長促進効果、抗癌効果、免疫増強効果、コレステロールおよび血圧調節機能、細胞賦活作用などの様々な機能性効果を有するものと報告されている。
【0026】
よって、海藻類加工食品にクロレラ液を塗布する場合、環境ホルモンや重金属などの人体有害成分の除去(体外排出)効果と栄養学的/生理活性的効果を図ることができる。クロレラを用いた有害成分(環境ホルモンや重金属など)の除去(体外排出)技術は公知になっている。そして、クロレラ液の製造、例えば40倍程度に濃縮した技術も公知になっている。クロレラは、なるべく海藻類加工食品に多くの量で塗布されればよい。このために、本発明に係る海藻類加工食品の製造方法は、前記(a)〜(c)段階に加えて、(d)前記海藻類ゼリーを乾燥させた後、粉末化した海藻類粉末を得る段階と、(e)前記海藻類粉末を真空チャンバーに投入する段階と、(f)前記真空チャンバーを真空状態に維持させた後、海藻類粉末を流動させながらクロレラ液を噴射して海藻類粉末にクロレラ液を塗布する段階と、(g)前記クロレラ液の塗布された海藻類粉末を乾燥させる段階とをさらに含むことが好ましい。
【0027】
この際、前記(d)段階は特に限定されない。(d)段階は、前記(c)段階で製造された海藻類ゼリーを熱風乾燥、冷風乾燥、常温自然乾燥または冷凍乾燥させた後、粉末化させる。例えば、乾燥した海藻類ゼリーを50〜200meshの大きさに粉末化させることができる。
【0028】
前記(e)段階および(f)段階は図1を参照して説明する。図1は本発明に使用できる塗布装置を例示したものである。
まず、図1に示した塗布装置について簡略に説明する。塗布装置は、真空チャンバー10、真空ポンプ20およびクロレラ液噴射機30を含んでなる。
前記真空チャンバー10は、真空容器(Vacuum Vessel)12と、前記真空容器12の上部
に密閉結合したキャップ(cap)15とを有する。このような真空チャンバー10には海藻
類粉末を攪拌して流動させるための攪拌器16が設置されている。攪拌器16は真空チャンバー10の内部または外部に設置されたモーターMによって駆動される。この際、モーターMを真空チャンバー10の外部に設置した場合、キャップ14の上部に真空管13をシーリング(sealing)構造で設置し、前記真空管13の上側にモーターMをシーリング構
造で設置する。そして、真空管13の内部にモーター軸M−1を設置することにより、外部から密閉されるようにして真空状態となるようにする。
【0029】
前記真空ポンプ20は、真空チャンバー10の内部圧力を真空状態、すなわち大気圧より低い760mmHg未満の圧力に減圧させるためのものであって、これは真空チャンバー10と配管ラインLを介して連通している。
【0030】
前記クロレラ液噴射機30は、真空チャンバー10にクロレラ液を定量噴射するためのものであって、これは真空チャンバー10の内部にクロレラ液を噴射することが可能な構造であれば限定されない。例示的な具現例によって、前記クロレラ液噴射機30は、図1に示すように、クロレラ液の貯留された液収容槽32と、前記液収容槽2からクロレラ液を真空チャンバー10側に吐き出させる吸込ポンプ34と、吸い込まれたクロレラ液を真空チャンバー10の内部に霧状に噴射するノズル36とを含むことができる。前記液収容槽32、吸込ポンプ34およびノズル36はパイプPを介して連結できるが、この際、真空チャンバー10に連結されるパイプPの終端はゴム輪などのシーリング部材を用いて真空状態が図れるようにすることができる。
【0031】
前記塗布装置は、好ましくは真空チャンバー10の内部圧力を測定する圧力ゲージ40をさらに含む。このような圧力ゲージ40は装置内に少なくとも1つ設置される。例えば、前記圧力ゲージ40は、図1に示すように、真空チャンバー10の上部に設置できる。また、前記圧力ゲージ40は、図1に示すように、真空チャンバー10と真空ポンプ20との間に位置した配管ラインLにも設置できる。
【0032】
また、前記塗布装置は、真空ポンプ20の駆動によって真空チャンバー10に収容された内容物(クロレラ液および海藻類粉末)が流出する場合に備えて、前記流出した内容物が収容できるように真空ポンプ20の後端には貯留タンク50が連結および設置できる。しかも、前記真空ポンプ20の駆動(作動と停止)は、手作業によって制御できるが、好ましくは装置内に制御部(図示せず)が設置されて自動制御されることが良い。具体的に、塗布装置は圧力ゲージ40で測定された圧力に応じて真空ポンプ20の駆動(作動と停止)を制御する制御部(図示せず)をさらに含んで構成できる。そして、真空ポンプ20の駆動によって真空チャンバー10の内部圧力が真空状態(760mmHg未満の圧力;例えば圧力ゲージの測定圧が740mmHg〜60mmHgの範囲)の圧力に到達すると、このときからの時間を測定するタイマーをさらに含んで構成できる。また、塗布装置は、クロレラ液の塗布された海藻類粉末が吐き出される吐出部18が真空チャンバー10の下端に備えられてもよい。
【0033】
上述した塗布装置は本発明に有用に適用できる。次に、前記塗布装置を用いて、前記(e)段階および前記(f)段階について説明する。ところが、本発明において前記(e)段階および(f)段階は、図1に示した塗布装置を用いることにのみ限定されるのではない。
【0034】
まず、真空チャンバー10には(d)段階で得られた海藻類粉末を投入する。海藻類粉末の投入後には、真空ポンプ20を駆動させて真空チャンバー10内の圧力を大気圧未満(760mmHg未満の圧力)の真空状態に維持する。特に限定されないが、真空チャンバー10内の圧力を、圧力ゲージ40で測定される圧力として740mmHg〜60mmHgの範囲となるように維持することができる。次に、上述したような真空状態で攪拌器16を作動させ、投入された海藻類粉末を攪拌流動させながら、これと同時にクロレラ液噴射機30を介して真空チャンバー10の内部にクロレラ液を噴射して海藻類粉末にクロレラ液を塗布(浸透/吸着)させる。この際、塗布時間、すなわち真空チャンバー10内における海藻類粉末の滞留時間は、特に限定しないが、30分〜2時間であってもよい。
【0035】
上述したような塗布方法によれば、真空状態でクロレラ液が塗布されるから、一般な含浸または噴射コーティング方法に比べてクロレラ液の塗布量が多い粉末を製造することが
できる。具体的に、前記(d)段階で得られた海藻類粉末は多数の微細ポア(pore)を有する。この際、ポアに捕集されている空気が減圧(真空状態)によって外部へ抜け出て、クロレラ液が浸透できるポアの空間が大きくなる。すなわち、クロレラ液は粉末の外表面に吸着されるのはもとより、ポアの内部まで浸透する。また、粉末表面へのクロレラ液の吸着速度が速いと同時に、ポア内部への浸透速度および浸透量も増加して塗布量が多くなる。
【0036】
上述したように真空チャンバー10内で海藻類粉末にクロレラ液を塗布(浸透/吸着)させた後には、真空チャンバー10から海藻類粉末(クロレラ液が塗布された粉末)を収得して乾燥させる。この際、乾燥は熱風乾燥、冷風乾燥、常温自然乾燥または冷凍乾燥を含む。
【0037】
よって、前記(d)〜(g)段階を追加して製造する場合、クロレラが高含量で塗布された粉末状の加工食品を得ることができる。前記粉末状の加工食品は食品添加物として使用されるか、或いは丸薬(pill)などに剤形化されて消費者に普及できる。粉末状の加工食品は、海藻類自体(粉末)に含有された栄養成分および機能性成分のみならず、クロレラによるタンパク質や無機質などの多様な栄養成分も多量含まれている。これと共に、クロレラが持っている生理活性効果として成長促進効果や抗癌効果、免疫増強効果、コレステロールおよび血圧調節機能、細胞賦活作用などの各種機能性効果を図ることができる。しかも、海藻類に人体有害成分(環境ホルモンや重金属など)が含まれている場合、これらの有害成分はクロレラによって除去(体外排出)できる。
【符号の説明】
【0038】
10…真空チャンバー、12…真空容器、14…キャップ、16…攪拌器、20…真空ポンプ、30…クロレラ液噴射機、32…液収容槽、34…吸込ポンプ、36…ノズル、40…圧力ゲージ、50…貯留タンク。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)海藻類を粉砕して海藻類粉砕物を得る段階と、
(b)前記海藻類粉砕物と塩基性塩類を真空攪拌器に投入した後、40〜80℃の温度で加熱し攪拌して海藻類ペーストを得る段階と、
(c)前記海藻類ペーストを2価以上の金属イオン溶液でゲル化させて海藻類ゼリーを得る段階とを含んでなることを特徴とする、海藻類加工食品の製造方法。
【請求項2】
前記(c)段階は、
海藻類ペーストを押出成形機に投入して押出成形する工程と、
前記押出成形された成形物を2価以上の金属イオン溶液に浸漬し、ゲル化した海藻類ゼリーを得る工程とを含むことを特徴とする、請求項1に記載の海藻類加工食品の製造方法。
【請求項3】
前記(c)段階は、海藻類ペーストと2価以上の金属イオン溶液を押出成形機に投入し、ゲル化した海藻類ゼリーを得ることを特徴とする、請求項1に記載の海藻類加工食品の製造方法。
【請求項4】
前記塩基性塩類は、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、塩化アンモニウム、第2リン酸ナトリウム、第2リン酸カリウムおよび炭酸ナトリウムの中から選ばれた少なくとも一つであることを特徴とする、請求項1に記載の海藻類加工食品の製造方法。
【請求項5】
前記金属イオン溶液は、乳酸カルシウム、塩化カルシウム、クエン酸カルシウム、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、塩化マグネシウムおよび硫酸カルシウムの中から選ばれた少なくとも一つの溶液であることを特徴とする、請求項1に記載の海藻類加工食品の製造方法。
【請求項6】
(d)海藻類ゼリーを乾燥させた後、粉末化した海藻類粉末を得る段階と、
(e)前記海藻類粉末を真空チャンバーに投入する段階と、
(f)前記真空チャンバーを真空状態に維持させた後、海藻類粉末を流動させながらクロレラ液を噴射して海藻類粉末にクロレラ液を塗布する段階と、
(g)前記クロレラ液の塗布された海藻類粉末を乾燥させる段階とをさらに含むことを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載の海藻類加工食品の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2012−170419(P2012−170419A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−37358(P2011−37358)
【出願日】平成23年2月23日(2011.2.23)
【出願人】(511048384)株式会社 海清浄 (1)
【Fターム(参考)】