説明

海面装飾発泡方法及びその装置

【課題】 静的な変化である色彩の変化による演出のみではなく、自然現象を活用した、意外性があり、動的な変化を楽しむことができる観光スポットの演出を可能とするものであり、海水中で気泡を発生させ、その気泡の弾ける現象を利用した幻想的な演出を実現するものである。
【解決手段】 炭酸含有海水の海上洞窟内において、海水中で攪拌を行い、かつ、海水中から海面に向けてライトを照らすことにより、海水中で炭酸ガスによる細かな気泡を発生させ、該気泡が海面で弾けたときに、海中からのライトにより、青い光が弾けた気泡を照らし、幻想的な青色のバブルバースト現象を発生させることにより海面上を幻想的に装飾するための海面装飾発泡方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、海上の観光スポットとして美しい景観をみせる海上洞窟内での演出効果を高めるために、海面上で気泡が弾ける美しい現象を意識的に発生させることのできる海面装飾発泡方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、海上の洞窟などの観光スポットが各地に存在する。たとえば、イタリアの青の洞窟などが有名である。
【0003】
これは、太陽光が洞窟内に差し込み、海底で光が反射し、海上に出たときに青く光る現象である。
【0004】
このような洞窟内へ差し込む光によって、さまざまな色彩の光、海水の色などを演出するものである。
【0005】
これらは、自然現象により、太陽の光の屈折や拡散現象により、海の色や洞窟内の岩の色がさまざまな美しく色に輝いて見えるものである。
【0006】
特開2003−255826号公報では、水の学習施設において、各種の色調の照明を施設の構造物に照らして演出効果を高めることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−255826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、各種の色調の照明を用いることは、観光地などでその対象となる観光スポットを演出するために広く利用されている。
【0009】
特に洞窟などの比較的暗い観光スポット等では、各種の色調の照明は非常に効果的であるが、自然現象を利用したものではなく、洞窟の壁面の輝きに変化を与えるもので、静的な変化であり、自然現象のように、その時々で同じでない、意外性のある変化とはならない。
【0010】
光の演出のみでは、単調となり、繰り返しの魅力に欠けるという問題があった。
【0011】
また、海上洞窟では、海水中から水中照明を用いるものもあるが、同様に、海面の波による動的な変化が得られるが、全体的な印象としては、単一な色彩の変化にとどまるものであった。
【0012】
本発明は、静的な変化である色彩の変化による演出のみではなく、自然現象を活用した、意外性があり、動的な変化を楽しむことができる観光スポットの演出を可能とするものであり、海水中で気泡を発生させ、その気泡の弾ける現象を利用した幻想的な演出を実現することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は諸課題を解決するために、請求項1では、炭酸含有海水の海上洞窟内において、海水中で攪拌を行い、かつ、海水中から海面に向けてライトを照らすことにより、海水中で炭酸ガスによる細かな気泡を発生させ、該気泡が海面で弾けたときに、海中からのライトにより、青い光が弾けた気泡を照らし、幻想的な青色のバブルバースト現象を発生させることにより海面上を幻想的に装飾するための海面装飾発泡方法とするものである。
【0014】
該炭酸含有海水は、日本近海の海水には炭酸ガスが多少含有しているが、特にサンゴ礁が多い、沖縄県の近海の海水には多くの炭酸ガスが含まれている。
【0015】
該海上洞窟は、たとえば、沖縄県の恩納村に存する観光スポットである「青の洞窟」などが知られている。
【0016】
炭酸ガスを多く含有する海水を海中で攪拌すると、炭酸ガスが気泡となって発生する。この気泡は海面で一気に弾けて、サアーッという音ととも小さな噴水のように広がりながら跳ね上がり、バブルバースト現象が起こる。
【0017】
このバブルバースト現象をある一定の範囲で行い、海中から水中ライトなどで海面のバブルバースト現象の発生する地点に向けて光を当てると、海水の青い色とバブルバースト現象による細かな水滴の弾けるハレーションにより、幻想的な青い噴水のような光景を演出することができるものである。
【0018】
請求項2では、前記の海水中での攪拌は複数の穴の開いた板材を揺動させて気泡を発生させることを特徴とする請求項1に記載の海面装飾発泡方法とするものである。
【0019】
該板材は、海水を攪拌するのに適した大きさの穴が複数開いているものであればいずれでも良い。穴の径は、10mm〜50mm程度が好ましい。また、穴の径の異なる穴を複数開けたものでも良い。
【0020】
板材は、取っ手を設けて手で持って揺動させても良く、揺動させるための振動装置を用いても良い。揺動の状態は、揺動により、気泡が発生する程度の速度で揺動させれば良く、例えば、30〜10回/分程度の速度で数回(2〜5回程度)揺動させることで、適度な大きさと量の気泡を発生させることができる。
【0021】
請求項3では、海水を海中で攪拌して気泡を発生させるための海水攪拌手段と、海中から海面に向けて照らすための照明手段とからなることを特徴とする海面装飾発泡装置とするものである。
【0022】
該海水攪拌手段は、海水を攪拌することで気泡を発生させることができる手段であればいずれでも良く、例えば、棒状や板状の部材を海中で強く揺動あるいは振動させるものでも良い。
【0023】
該照明手段は、海中から海面に向けて照らすことができる水中用照明装置であればいずれでも良く、前記の海水攪拌手段により発生した気泡に光を当てることができるものであれば良い。
【0024】
請求項4では、前記の海水攪拌手段は、穴の開いた攪拌板と、該攪拌板を揺動させるための振動装置とからなることを特徴とする請求項3に記載の海面装飾発泡装置とするものである。
【0025】
該攪拌板は、径が10mm〜50mm程度の複数の穴が設けられた板材であり、材質は、木製、樹脂製、金属製など適度の剛性を有するものであればいずれでも良く、板厚は揺動しやすい程度の比較的薄い板材が好ましい。
【0026】
該振動装置は、前記の攪拌板を気泡が発生するように揺動できるものであればいずれの振動装置でも良く、揺動速度は、30〜100回/分程度が好ましい。揺動時間は、5〜30秒程度が好ましく、適時間欠作動させても良い。
【0027】
請求項5では、前記の海水攪拌手段は、攪拌羽根と、該攪拌羽根を回転させるための回転装置とからなることを特徴とする請求項3に記載の海面装飾発泡装置としたものである。
【0028】
該攪拌羽根は、水中攪拌用のスクリューなどでも良く、プロペラなどでも良い。
【0029】
回転速度は、気泡が発生する程度の回転速度であれば良く、60〜200回/分程度が好ましい。
【0030】
請求項6では、前記の照明手段は、ライトの前面に各種のオブジェクトを配置し、そのオブジェクトのシルエットをバブルバースト現象に映し出すこと照度と点灯時間を調整するための調整手段が設けられていることを特徴とする海面装飾発泡装置とするものである。
【0031】
該オブジェクトは、シルエットを映しだせるものであればいずれでも良く、各種の人形や半透明の写真などでも良い。
【0032】
シルエットを動かしたり、変化させるようにしたものでも良い。カラー照明や複数の照明を組み合わせて用いても良い。
【発明の効果】
【0033】
本発明は以下の効果を奏する。
1)海上洞窟において、今までにない、演出効果を発揮できる。
【0034】
2)自然現象を用いた、意外性の高い、演出効果を実現できる。
【0035】
3)バブルバースト現象を幻想的に演出できる。
【0036】
4)バブルバースト現象を確実にかつ効果的に発生させることができる。
【0037】
5)海上洞窟のいずれの場所でも効果的なバブルバースト現象を発生させることができる。
【0038】
6)シルエットを映し出すことにより、より幻想的なバブルバースト現象を発生させることができる。
【0039】
7)バブルバースト現象により、マイナスイオンの効果を発揮させ、癒しの効果が得られる。
【0040】
8)遠隔操作で幻想的なバブルバースト現象を発生させることができる。
【0041】
9)サンゴに対する知識が深まり、琉球に対する関心が高まる。
【0042】
10)自然体感となり、効果的なエコツアーを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明による海面装飾発泡方法の実施例の手順を示すフローである。
【図2】本発明による海面装飾発泡装置の実施例を示す概略図である。
【図3】本発明による海面装飾発泡装置を用いて海中で気泡を発生させた状況を示す図である。
【図4】本発明による海面装飾発泡装置を用いたバブルバースト発生状況を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0045】
図1は、本発明による海面装飾発泡方法の実施例の手順を示すフローである。尚、海水は、沖縄県の恩納村の海上洞窟内で炭酸ガスが通常より多く含有する海水を用いた。サンゴの生息地域であり、サンゴにより海水中の炭酸ガスの含有率が高い。
【0046】
S−1)海底に水中照明を設置
海底に水中照明を設置し、海面に向けてライトを照らす。
【0047】
S−2)海中で海水を攪拌
バブルバースト現象を発生させようとする場所の海底において、穴開き攪拌板を用いて、海水を強く攪拌する。
【0048】
S−3)多数の気泡発生
攪拌動作により、攪拌板から多数の気泡が発生する。海水中の炭酸ガスが一気に解放され、無数の大小の気泡となる。
【0049】
S−4)気泡が海上に浮上
発生した多数の気泡は、一斉に海上に浮上していく。
【0050】
S−5)海面でバブルバースト発生
多数の気泡は、海面で一気に破裂し、「サァーッ」という音とともに弾ける。この現象は、高さが20cm〜50cm程度にもなる。
【0051】
S−6)バブルバーストが光輝く
海面にバブルバーストが発生すると、海底からライトアップされているので、バブルバーストの細かな水滴がライトにより、キラキラと輝いて見え、非常に幻想的な光景を演出することができる。
【0052】
また、ライトの調整により、カラーを変更したり、点滅させたりするなど様々なライトアップが可能である。
【0053】
図2は、本発明による海面装飾発泡装置の実施例を示す概略図である。
【0054】
この海面装飾発泡装置は、クジラをモチーフとしたキャラクターの形状とした板状の攪拌板1であり、4か所に円形の穴2が開けられ、取っ手部3が設けられている。
【0055】
該攪拌板1の形状は任意であり、複数個所に穴が設けられたものである。該穴の径は10mm〜500mm程度が良く、好ましくは、30mm〜50mm程度の穴が3個〜10個程度設けられたものが良い。
【0056】
穴の形状は、円形である必要はなく、多角形でも良く、スリット状に設けられたものでも良い。
【0057】
また、海水を容易に攪拌できるものであれば、板状でなくても良く、複数の棒材を束ねた形状のものなどでも良い。
【0058】
図3は、本発明による海面装飾発泡装置を用いて海中で気泡を発生させた状況を示す図である。
【0059】
(1)のように攪拌板1の取っ手2を握りしめ、(2)、(3)に示すように、強く振り下ろす。
【0060】
この動作により、(2)、(3)に示すように、多数の気泡が一斉に発生させることができる
【0061】
図4は、本発明による海面装飾発泡装置を用いてバブルバースト現象を発生状況を示す図である。
【0062】
海中で発生した多数の気泡は、海面で一斉に弾け、海面が波立ち、上方に向けて、多数の細かな水滴が跳ね上がるのである。
【0063】
この光景は、まるで青く光る噴水のようであり、海底からライトで照らされていると、これらの細かな水滴がキラキラと青く輝いて非常に幻想的光景となるものである。
【符号の説明】
【0064】
1 攪拌板
2 穴
3 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭酸含有海水の海上洞窟内において、海水中で攪拌を行い、かつ、海水中から海面に向けてライトを照らすことにより、海水中で炭酸ガスによる細かな気泡を発生させ、該気泡が海面で弾けたときに、海中からのライトにより、青い光が弾けた気泡を照らし、幻想的な青色のバブルバースト現象を発生させることにより海面上を幻想的に装飾するための海面装飾発泡方法。
【請求項2】
前記の海水中での攪拌は複数の穴の開いた板材を揺動させて気泡を発生させることを特徴とする請求項1に記載の海面装飾発泡方法。
【請求項3】
海水を海中で攪拌して気泡を発生させるための海水攪拌手段と、海中から海面に向けて照らすための照明手段とからなることを特徴とする海面装飾発泡装置。
【請求項4】
前記の海水攪拌手段は、穴の開いた攪拌板と、該攪拌板を揺動させるための振動装置とからなることを特徴とする請求項3に記載の海面装飾発泡装置。
【請求項5】
前記の海水攪拌手段は、攪拌羽根と、該攪拌羽根を回転させるための回転装置とからなることを特徴とする請求項3に記載の海面装飾発泡装置。
【請求項6】
前記の照明手段は、ライトの前面に各種のオブジェクトを配置し、そのオブジェクトのシルエットをバブルバースト現象に映し出すことを特徴とする請求項3から請求項5までのいずれかの項に記載の海面装飾発泡装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−104051(P2011−104051A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−261216(P2009−261216)
【出願日】平成21年11月16日(2009.11.16)
【出願人】(505042309)