浸出用飲料製品の製造方法
【課題】凝集の問題を伴わない、果実片を含む浸出用飲料製品を提供する。
【解決手段】a)直径が1.5mm未満の植物材料粒子及び乾燥果実片を準備する工程;b)前記植物材料粒子と果実片とを混合する工程;更にc)前記植物材料及び果実片を、更なる浸出用飲料製品成分と混合する工程を含む浸出用飲料製品の製造方法を提供する。
【解決手段】a)直径が1.5mm未満の植物材料粒子及び乾燥果実片を準備する工程;b)前記植物材料粒子と果実片とを混合する工程;更にc)前記植物材料及び果実片を、更なる浸出用飲料製品成分と混合する工程を含む浸出用飲料製品の製造方法を提供する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実片を含む浸出用飲料製品に関する。とりわけ、本発明は、製造または貯蔵の間に凝集を起こすことのない果実片を含む浸出用飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
水を別とすれば、浸出用飲料製品、例えば茶は、全飲料の中で最も広く消費されている。飲料製造のために使用可能な浸出用飲料製品の多数の異なる変形が存在し、こうした変形の一群は、世界中でますます人気が上昇している果実浸出液である。果実浸出液は、典型的には標準的な浸出用飲料製品、例えば茶葉を主成分とするが、更なる果実風味及び香味を有する。これらの浸出用飲料製品は、茶などの飲料の全ての典型的な利点を備えるが、果実風味及び香味の更なる利点を備える。現在、本物の果実片を含みさえする浸出用飲料製品が入手可能であり、例えば、Lipton Tea Forest Fruitは、乾燥させた苺、レッドカラント、ラズベリー、及びグラックベリーの小片が添加された風味付け紅茶からなる。本物の果実片を含むこれらの製品は、果実の健康的な含意、魅力的な味及び香り、並びに果実片によってもたらされる消費者の胸躍る経験及び視覚的刺激のため、消費者には特別に歓迎されている。特に、果実片は、使用前の製品中で明らかに観察でき、ブルーイング(brewingお茶淹れ)の間にこの飲料中で回転運動しているのが見られる。
【0003】
典型的な浸出用飲料製品は、以下の方法で、標準的な製造ラインで製造される。浸出用飲料成分は、必要とされる成分の正確な量(すなわち体積)を量り分ける、ホイールの外周に刻み目を有する注入ホイールを使用して、製造ライン中に注入される。注入ホイールが回転すると、前記成分は使用してよいあらゆる実装材料上に落ちるが、これは、例えばティーバッグまたは葉茶(loose-leaf)製品のためのより大きな包みであってよい。別の製造ラインでは、注入ホイールによって量り分けられた成分は、実装のための装置の別の部分に実際に運搬される。この運搬は、ベルトまたはホッパーを使用して行うことができるが、空気圧または真空系を用いて製品を管に通すことによって、空気圧で達成してもよい。果実片を含む浸出用引用製品の製造方法は、実装装置に運搬される前に果実片もまた浸出用飲料成分と共に注入ホイールに注入されること以外は、上述の方法と非常に類似している。しかしながら、果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法は、果実片の粘着特性によって悪影響を及ぼされる。浸出用飲料製品中に使用される果実片は、典型的には乾燥または脱水されているが、周囲からの湿分を吸収するにつれ、製造の前後及び最中にこれらはべたつき、且つ凝集して固体塊になりうる。このことが製造ラインの稼働を妨害し、ひいては粗悪な製品をもたらす。更に、果実片は、注入ホイール自体のべたつき並びに成分が正しく注入されない原因ともなる。更にまた、果実片は、製造ラインを通過するにつれで装置の残りの部分をべたつかせて、機械の清浄化のために製造を遅延させること、さらには停止さえさせることの原因になる。凝集が機械の破損につながりうる場合さえある。
【0004】
食品におけるべたつきを最小限に抑えようとする予定の取り組みが、B. Adhikari et al.(2001)”stickiness in foods: a review of mechanisms and test methods” Int J Food Prop 4: 1-33に概説されている。例えば、食品等級の凝固防止剤、例えば二酸化ケイ素の添加が、食品粉末の流動性を改善すると言われている。しかしながら、消費者はますます、こうした添加物が人工的であり、然るに望ましくないととらえている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】B. Adhikari et al.(2001)”stickiness in foods: a review of mechanisms and test methods” Int J Food Prop 4: 1-33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、こうした製品の消費者に許容される全ての特性を保持するが、凝集の問題を伴わない、果実片を含む浸出用飲料製品が求められている。
【0007】
発明者は、特定サイズの植物材料粒子を利用することによって、凝集を起こさず、非常なおいしさ及び消費者に許容される特性を有する果実片を含む浸出用飲料製品を製造することが可能である。更にまた、こうした植物材料粒子は、消費者にとって許容できる完全に天然の成分である。更に、こうした植物材料粒子は、容易に製品中に導入することができ、現在使用されている製造ラインの変更を必要としない。
【0008】
このように、第一の態様では、本発明は、吸湿性の果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法であって、
a)直径が1.5mm未満の植物材料粒子及び乾燥果実片を準備する工程;
b)前記植物材料粒子と果実片とを混合する工程;更に
c)前記植物材料及び果実片を、更なる浸出用飲料製品成分と混合する工程
を含む方法を提供する。
【0009】
第二の態様では、本発明は、吸湿性果実片、植物材料粒子、及び浸出用飲料製品成分を含む浸出用飲料製品であって、前記果実片が直径8mm未満であり、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満であり、前記飲料製品成分が1.5mm以上の直径を有することを特徴とする製品を提供する。
【0010】
第三の態様では、本発明は、
a.果実片を準備する工程;
b.植物材料粒子と果実片とを混合する工程
を含む、吸湿性果実片の凝集防止方法であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である方法を提供する。
【0011】
第四の態様では、本発明は、吸湿性果実片の凝集を回避するための植物材料粒子の使用であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である使用を提供する。
【0012】
最後の態様では、本発明は、第一の態様の方法で得られた、または得られる、浸出用飲料製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、粉茶の存在下でのパイナップル果実片の凝集の防止を示す。
【図2】図2は、茶小葉(small leaf tea)の存在下でのパイナップル果実片の凝集の防止を示す。
【図3】図3は、粉茶の存在下での苺果実片の凝集の防止を示す。
【図4】図4は、茶小葉の存在下での苺果実片の凝集の防止を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特記のない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、(例えば、浸出用飲料製造における)当業者によって通常理解されるものと同様の意味を有する。
【0015】
(粘着性果実片)
本発明は、凝集を起こさない果実片を含む浸出用飲料製品に関する。以上に議論した通り、果実片は、凝集を引き起こし、また加工装置をべたつかせて故障を起こさせもする粘着特性を有する。理論に縛られることなく、果実片の粘着性の性質は、一つには、果実が水を含んだ時には部分的に可溶化して果実片の表面上に粘着性層を形成する、果実中の糖に起因すると考えられる。浸出用飲料製品中に使用される果実片は、典型的には乾燥または脱水されている。例えば、果実片は凍結乾燥に処せられ、ここでは、果実片が凍結され、周囲圧が低減され、対応する温度上昇のために果実片中の凍結水が固相から気相に直接昇華する。乾燥と脱水との両方のために果実片はその水含量を失うが、結果として乾燥果実片は吸湿性であり、これは前記果実片が周囲環境から水分子を誘引可能であることを意味する。この誘引は、吸収または吸着のいずれによっても可能である。結果として、乾燥果実片が少しでも湿度のある環境に暴露されればいつでも、これらは水を吸収し、粘着性になり、凝集が起こる。
【0016】
特定サイズの植物材料粒子の使用によって、凝集を回避可能なことがここに判明している。理論に縛られることなく、果実片を植物材料粒子に接触させると、前記粒子は果実片の表面に粘着し、バリアを作り出して果実片間の凝集を回避し、更に果実片がその粘着層を別の物体、例えば加工装置に移動させることを防ぐと考えられている。植物材料粒子がこのように機能することができることを確実にするためには、前記粒子は直径1.5mm未満、好ましくは直径1mm未満、更に好ましくは0.75mm未満、更にいっそう好ましくは0.5mm未満、更により好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満であることが判明している。好ましくは、植物材料粒子は、少なくとも直径0.01mm、より好ましくは少なくとも0.025mm、更にいっそう好ましくは少なくとも0.05mmである。
【0017】
本発明の第一の態様は、こうした植物材料粒子を使用する、果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法を提供する。前記果実片は典型的には乾燥されているが、なぜなら、果実片はこの形態での方が、非脱水果実片よりも加工が容易であり、また長期保存されるためである。乾燥果実片は、30%未満の湿分含量、好ましくは0.1乃至10%の湿分含量を有する。このように、果実片は吸湿性であって、水を誘引し、かくして粘着性になる(例えば、上述のように粘着層の形成による)。したがって、使用前に既に凝集してしまった果実片を見出すことは珍しくなく、例えば、乾燥果実片の容器には、工場で開けられた際に固形ブロックに凝集してしまっていることが判明し、このため使用前に粉砕して完全に分割せねばならないものがある。本発明による方法では、果実片を植物材料粒子と混合して、果実片が分離すること及びその表面が前記粒子に暴露されていることを確実にする。この分離及び混合は、当業者には既知の技術及び装置を使用して行うことができ、例えば回転式混合樽または振動台を使用して良い。果実片及び植物材料粒子が混合されたところで、過剰のあらゆる植物材料粒子が任意に除去される。好ましい実施態様では、過剰の植物材料粒子の任意の除去は、適切なメッシュサイズ(すなわち、篩によって果実片が保持される一方で、過剰なあらゆる植物材料粒子は篩を通過するように選択されたメッシュサイズ)の篩を使用して篩うことにより達成される。
【0018】
果実片と植物材料粒子との混合の後に、以下に説明する更なる浸出用飲料製品成分が、次いで添加される。
【0019】
(植物材料粒子)
植物材料粒子は、植物のあらゆる部分を含んで良いが、好ましくは葉、茎、及び/または花由来である。好ましくは、植物材料粒子は、30質量%未満の水含量に、より好ましくは0.1乃至10質量%の水含量に乾燥させてある。植物材料粒子は、茶植物材料である必要はないが、特に好ましい実施態様では茶植物材料である。別の好ましい実施態様では、植物材料粒子は、通常は廃棄物と見なされる植物材料、例えば、ピーナッツの皮及び/または殻を含んで良い。好ましくは、浸出用飲料製品は、植物材料粒子を、少なくともこの製品の0.05質量%、更に好ましくは少なくとも0.1質量%、更にいっそう好ましくは0.2質量%、更にいっそう好ましくは少なくとも0.5質量%の量で含む。好ましくは、浸出用飲料製品は、植物材料粒子を、最高でこの製品の5質量%、更に好ましくは最高で2質量%、更にいっそう好ましくは最高で1質量%の量で含む。
【0020】
(直径)
植物材料粒子は、不均一な形状、サイズ、体積、表面積などを有して良い。粒子は、円形、非円形、またはこれらの混合であってよい。好ましい実施態様には、粒子が実質的に平坦なものがある。本明細書中で使用されるように、直径なる語は植物材料粒子のあらゆる寸法での最大長を意味する。不規則な形状を有する粒子については、直径とは、粒子の本体を横断することのできる最も長い断面の長さである。植物材料粒子の直径または果実片の直径に言及されている際には、これは、前記粒子または小片の数にして少なくとも90%、より好ましくは数にして90乃至100%がその直径を有することを意味する。
【0021】
(植物材料のタイプ)
植物材料粒子は人の消費のために適したあらゆる植物由来であってよい。この植物材料粒子は、好ましくは不溶性植物材料、すなわち、実質的に水性液体に不溶性である植物材料を含む。特に好ましい実施態様では、植物材料粒子は、水に不溶性である植物材料を含む。それでもやはり、通常は植物材料粒子から所定の水溶性物質を抽出できることは認識されるべきである。茶植物材料、特に茶葉は本発明に特に適切であり、このため好ましい実施態様では植物材料粒子は茶である。本発明の目的のための「茶」とは、カメリアシネンシス(Camellia sinensis)のsinensis種及び/またはカメリアシネンシスのassamica種由来の材料を意味する。別の好ましい実施態様では、植物材料粒子は、薬草植物材料、または茶植物材料と薬草植物材料との混合物であってよい。
【0022】
(果実片)
人の消費に適したあらゆる果実を、浸出用飲料製品に使用することができ、例えば、アセロラ、林檎、杏、ビルベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、桜桃、シトロン、クレメンタイン、クラウドベリー、クランベリー、デーツ、ドラゴンフルーツ、エルダーベリー、イチジク、グースベリー、トケイソウ、葡萄、グレープフルーツ、セイヨウスモモ、グァバ、キーウィーフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ローガンベリー、ライチ、マンダリン、マンゴー、セイヨウカリン、メロン、マルベリー、オレンジ、パパイヤ、パッションフルーツ、パパイヤ果(paw paw)、桃、梨、ホオズキ、パイナップル、プラム、ザクロ、マルメロ、ラズベリー、苺、タンジェリン、西瓜、またはこれらの混合物を使用可能である。
【0023】
果実片は、本物の果実片または再成形果実顆粒であってよく、本物の果実片が特に好ましい。いずれの場合も、果実片は、水性液体、例えば水中に実質的に不溶性である。(すなわち、果実片は水性液体中に浸すかまたは漬けても溶解しない。しかし、これらは典型的には所定の水溶性物質、例えば風味及び/または香味分子を液体中に放出する。)
【0024】
より小さな果実片は特に凝集し易く、このため、果実片は、好ましくは直径8mm未満、より好ましくは4mm未満、よりいっそう好ましくは2mm未満、最も好ましくは1mm未満であることが判明している。
【0025】
(果実片に対する植物材料の比率)
果実片は、植物材料粒子で適切に被覆できることを確実にするために、浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比は、好ましくは最高で20:1、より好ましくは最高で10:1、よりいっそう好ましくは最高で5:1である。好ましくは、浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比は、少なくとも1:20、より好ましくは少なくとも1:10、よりいっそう好ましくは1:5である。
【0026】
(浸出用飲料製品)
本明細書中に使用される通り、浸出用飲料製品なる語は、水性液体中に浸すかまたは漬けた場合に所定の可溶性物質を液体中に放出し、これによって飲料を形成する、浸出用成分を含む製品を意味する。この処理はブルーイングと呼称され、これは浸出用成分への液体の添加及びこれにより飲料が形成されることである。ブルーイングはいかなる温度で行っても良いが、好ましくは少なくとも40℃、更に好ましくは少なくとも55℃、更にいっそう好ましくは少なくとも70℃で、且つ、好ましくは120℃未満、更に好ましくは100℃未満、更にいっそう好ましくは90℃未満、最も好ましくは80℃未満で行われる。飲料とは、人の消費に適した、実質的に水性の飲用可能な組成物を意味する。好ましくは、飲料は、この飲料の少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、最も好ましくは95乃至99.9質量%の水を含む。
【0027】
(更なる浸出用飲料製品成分)
上述の通り、果実片及び植物材料粒子が混合されて過剰の植物材料粒子が任意に除去された時点で、残りの浸出用飲料製品成分が添加される。これら残りの成分には、浸出用飲料製品の浸出用成分、すなわち、水性液体中に浸すかまたは漬けた場合に所定の可溶性物質を液体中に放出し、こうして飲料を形成する成分が含まれる。好ましい実施態様では、浸出用成分は茶である。本発明の目的のための茶とは、カメリアシネンシスのsinensis種及び/またはカメリアシネンシスのassamica種の葉及び/または茎由来の材料を意味する。好ましくは、浸出用飲料製品成分の数にして少なくとも90%が1.5mm以上の直径を有する。「茶固体」なる語は、カメリアシネンシスのsinensis種及び/またはカメリアシネンシスのassamica種の植物の葉から抽出可能な乾燥材料を意味する。この材料は、この材料が「紅茶」製造の初期の段階の間に放出される所定の内因性酵素によって酸化される、いわゆる「発酵」工程に処せられていても良い。この酸化は、外因性酵素、例えばオキシダーゼ、ラッカーゼ、及びペルオキシダーゼなどの作用で補填さえされうる。あるいはまた、この材料は、部分的に発酵されているか(「ウーロン」茶)または実質的に未発酵(「緑茶」)であってよい。したがって、茶ベースの飲料は、少なくとも0.01質量%の茶固体を含む飲料である。好ましくは、茶ベースの飲料は、0.04乃至3質量%、より好ましくは0.06乃至2質量%、最も好ましくは0.1乃至1質量%の茶固体を含む。
【0028】
別の実施態様では、浸出用成分は、アンジェリカ(angelica archangelica、セイヨウトウキ)、アニス(pimpinella anisum)、ベルガモット(monarda didyma)、ボリジ(borago officinalis)、カレンデュラ(calendula officinalis)、クスノキ(cinnamomum camphora)、チャービル(anthriscus cerefolium)、チコリ(cichorium intybus)、シラントロ(coriandrum sativum)、クミン(cuminum cyminum)、ディル(anethum graveolens)、エルダーフラワー(sambucus spp.)、フェンネル(foeniculum vulgare)、フェヌグリーク(trigonella foenum-graecum)、ジンジャー(zingiber officinale)、ハイビスカス(hibiscus spp.)、ホップ(humulus lupulus)、ヒソップ(hyssopus officinalis)、ジャスミン(jasminum spp.)、ラベンダー(lavandula spp.)、レモングラス(cymbopogon citratus)、甘草、リコリス(glycyrrhiza glabra)、ラビッジ(levisticum officinale)、マージョラム(origanum majorana)、ミント、キンレンカ(tropaeolum majus)、ペパーミント(mentha piperata)、ルイボス(aspalathus linearis)、ローズヒップ(rosa spp.)、ローズマリー(rosmarinus officinalis)、スイバ(rumex acetosa)、スペアミント(mentha spicata)、タイム(thymus vulgaris)、ターメリック(curcuma longa)、またはこれらの混合物からなる群より選択してよい薬草であってよい。別の実施態様では、浸出用成分は、茶と上述の薬草の一つもしくは複数との混合物であっても良い。
【0029】
浸出用成分はまた、当業者に既知の他のあらゆる適当な成分であって良い。
【0030】
好ましくは、浸出用飲料成分は、水含量30質量%未満にまで乾燥させられ、より好ましくは、水含量は、0.1乃至10質量%の範囲内である。別の成分をさらに添加して、甘味料、糖、風味剤、着色料、及び香料を含む最終浸出用飲料製品を形成して良い。
【0031】
(多孔質容器)
浸出用飲料製品の全ての成分が混合されたところで、これらを、好ましくは多孔質容器に、実装して良い。したがって、この方法は、浸出用飲料製品を適切な容器、例えばティーバッグ、飲料を淹れる機械のためのカートリッジ、ティースティック等に実装する工程を任意に提供してよい。
【0032】
第二の態様では、本発明は、吸湿性果実片、植物材料粒子、及び浸出用飲料製品成分を含む浸出用飲料製品を提供する。上述の通り、前記果実片は直径8mm未満であり、前記植物材料粒子は直径1.5mm未満であり、前記飲料製品成分は1.5mm以上の直径を有する。したがって、この製品は、吸湿性の果実片が湿分を吸収した際にその表面に粘着する植物材料粒子の作用の恩恵を受けており、前記製品は、こうして、貯蔵中に果実片の凝集を起こさない。最適な粘着を得るために、好ましくは、植物材料粒子は、直径1mm未満、より好ましくは0.75mm未満、より一層好ましくは0.5mm未満、更により一層好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満である。好ましくは、植物材料粒子は、少なくとも直径0.01mm、より好ましくは少なくとも直径0.025mm、よりいっそう好ましくは少なくとも0.05mmである。好ましくは、浸出用飲料製品は、植物材料粒子を、この製品の少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも0.2質量%、さらによりいっそう好ましくは少なくとも0.5質量%の量で含む。好ましくは、浸出用飲料製品は、果実片を最高でこの製品の20質量%、より好ましくは最高で10質量%、よりいっそう好ましくは最高で5%、さらによりいっそう好ましくは最高で2質量%、最も好ましくは最高で1質量%含む。
【0033】
果実片は、直径が好ましくは8mm未満、より好ましくは4mm未満、最も好ましくは2mmである。消費者が果実片を認識できるようにするためには、果実片の直径は好ましくは0.1mmより大であり、より好ましくは0.2mmより大であり、よりいっそう好ましくは0.3mmより大である。好ましくは、浸出用飲料製品は、果実片を、この製品の少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも0.2質量%、さらによりいっそう好ましくは少なくとも0.5質量%の量で含む。好ましくは、浸出用飲料製品は、果実片を、この製品の最高で5質量%、より好ましくは最高で2質量%、よりいっそう好ましくは最高で1質量%の量で含む。
【0034】
この研究は、直径が1.5mm未満である植物材料粒子が、吸湿性の果実片の凝集を防ぐために驚くほど好適であることを確定した。したがって、本発明の第三の態様は、
a.果実片を準備する工程;
b.植物材料粒子と果実片とを混合する工程
を含み、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である、吸湿性果実片の凝集防止方法を提供する。
【0035】
第四の態様では、本発明は、直径8mm未満の吸湿性の果実片の凝集を防止するための、直径1.5mm未満の植物材料粒子の使用を提供する。
【実施例】
【0036】
ここに本発明を、単に例示のためであって限定的でない、以下の実施例に準拠してさらに詳説する。
植物材料粒子の、果実片の凝集を防止する能力を検定するために、以下の実験を行った。これらの実験は、上述のように果実片が大気から水を吸収して凝集を起こす、実装工場において発生しうる条件の代表例である、湿度75%の制御環境中で行った。
【0037】
(果実片)
凍結乾燥したパイナップル及び凍結乾燥した苺の果実片を、Dr. Suwelack, Germanyから得た。果実片を、当業者には既知の篩い分け法を用いて分別し、1-2mm、2-4mm、及び4-6mmの3つのサイズ範囲に等級付けした。
【0038】
(植物材料粒子)
これらの実験に使用される植物材料粒子は、標準紅茶(Kenyan Kericho Tea)の粒子であった。植物材料粒子を、当業者には既知の篩い分け法を用いて分別し、直径が0.5mmより小さい粒子を有する「粉茶」及び、直径が0.5mmから最大で1.5mmである、より大きな粒子を有する「茶小葉」の2つのサイズ範囲に等級付けした。
【0039】
(比較例)
比較例のために、およそ1gの各サイズ範囲(1-2mm、2-4mm、及び4-6mm)の乾燥果実片(パイナップルまたは苺)を、高さ7cm及び直径2.5cmの別々のネジ蓋付き管に仕込んだ。これらの果実片のみの対照管を、立てた状態で大気に暴露して24時間おいた。24時間後に管のネジ蓋を閉め、以下に記載のように果実片の凝集を評価した。これらの管を更に4日間おいた後に再度果実片の凝集を評価した。
【0040】
(本発明による試料)
本発明による方法において、およそ1gの各サイズ範囲(1-2mm、2-4mm、及び4-6mm)の乾燥果実片(パイナップルまたは苺)を、同型のネジ蓋付き管に仕込んだ。1セットの管において、およそ1.75gの小植物材料粒子(粉茶)を乾燥果実片に加えた。別のセットの管においては、およそ1.75gの大植物材料粒子(茶小葉)を乾燥果実片に加えた。管を穏やかに回転させることにより果実片を植物材料粒子と混合して、内容物を均質に分配した。果実片及び植物材料粒子を入れたこれらの管もまた、立てた状態で大気に暴露して24時間おいた。24時間後に、過剰な植物材料粒子を篩い分けによって除去した。(粉茶または茶小葉を入れた)二つのセットの管のネジ蓋を閉め、以下に記載のように果実片の凝集を評価した。これらの管を更に4日間おいた後に再度果実片の凝集を評価した。
【0041】
(果実片の凝集の評価)
比較例の試料及び本発明の試料を入れた各管を、木製作業台に穏やかにたたきつけ、横にしておいた。管内の果実片の挙動を観察することにより、凝集を定量的に評価した。凝集した果実片は、管内の果実片の塊形成のために容易に認識された。管が立ててあった時と全く同じ位置に果実片が維持される(すなわち、管の底部で固体塊として凝集していた)ほどの極度の凝集を示す試料もあった。他の凝集果実片は、管の側面から落ちたが、明らかに認識可能な塊として維持された。逆に、凝集を起こさなかった果実片は、穏やかにたたきつけると直ちに自由流動性の非凝集形態を成して管の底に沿って一様に広がることから、容易に観察できた。
【0042】
全ての試料の写真を撮り、結果は以下に示す通りである。全ての図(すなわち、図1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、3b、3c、4a、4b、及び4c)において、対照試料は左の管中に示され、本発明の試料は右の管中に示される。図1a乃至4cのそれぞれにおいて、上の画像は24時間後の試料を示し、下の画像はさらに4日おいた後の試料を示す。全ての図において、最初の図(すなわち、図1a、2a、3a、4a)は1-2mmの果実片、二番目(すなわち、図1b、2b、3b、4b)は2-4mmの果実片、更に三番目(すなわち、図1c、2c、3c、4c)は4-6mmの果実片を示す。
【0043】
(結果)
(実験1−パイナップルの果実片及び小植物材料粒子)
図1の写真の左側の管においては、全てのサイズ範囲の果実片が24時間後と4日後のいずれでも凝集を起こし、パイナップル片が確かに管の底部で固体塊中に残っていることが明らかに見て取れる。対照的に、粉茶の存在によれば果実片は凝集を起こさず、明らかに管の底全般に均一に広がっていた。管の操作により、これらの果実片が自由流動することが観察された。
【0044】
(実験2−パイナップルの果実片及び大植物材料粒子)
この場合も、図2の写真の左側の管においては、植物材料粒子の非存在下で全てのサイズ範囲の果実片が24時間後と4日後のいずれでも凝集を起こし、パイナップル片が確かに管の底部で固体塊状態で維持されていることが明らかに見て取れる。茶小葉は実験1の粉茶のように明らかに自由流動性の果実片をもたらしはしなかったが、果実片に加えて茶小葉を入れた管の穏やかな撹拌の後には、図2の右側の管に見られた塊が崩壊して非凝集片を成すことが観察された。この追加の穏やかな撹拌が、果実片に加えて茶小葉を含む製品の製造の、処理前工程において容易に実施されるであろうことから、このレベルの凝集防止は、完全に許容可能である。
【0045】
(実験3−苺の果実片及び小植物材料粒子)
パイナップルの果実片を用いた場合と同様に、図3の写真の左側の管における苺の果物片は、凝集して管の底部に固まることが観察された。図3の左側の管における4-6mmの苺片の凝集は、実験1及び2におけるほど顕著ではなかった。これは、苺の大型果実片の異なる充填特性に起因すると考えられる。それにしても、粉茶の存在下(右側の管)では果実片は管の底に均一に広がり、凝集は起こっていないことが容易に観察された。管の操作により、これらの果実片もまた自由流動することが観察された。
【0046】
(実験4−苺の果実片及び大植物材料粒子)
実験3と同様に、図4の写真の左側の管における苺の果物片は、凝集して確かに塊を形成していることが観察されたが、この場合も、図4cの左側の管における4-6mmの苺片の凝集は、実験1及び2におけるほど顕著ではなかった(これも大型果実片の異なる充填特性に起因すると考えられる)。しかしながら、茶小葉の存在下(右側の管)では果実片は管の底に均一に広がり、凝集は全く起こっていないことが観察された。
【0047】
これらの実験の結果は、果実片の凝集が重大な懸念であることを示し、また凝集が容易に起こって撹拌によってさえも逆行不能であることを示す。この結果はさらに、本発明による植物材料粒子の使用を、非常に湿度の高い条件下でさえ、また果実片をこうした条件下で非常に長期に亘って貯蔵した後でさえも、果実片の凝集防止のために利用できることを示す。
【技術分野】
【0001】
本発明は、果実片を含む浸出用飲料製品に関する。とりわけ、本発明は、製造または貯蔵の間に凝集を起こすことのない果実片を含む浸出用飲料製品に関する。
【背景技術】
【0002】
水を別とすれば、浸出用飲料製品、例えば茶は、全飲料の中で最も広く消費されている。飲料製造のために使用可能な浸出用飲料製品の多数の異なる変形が存在し、こうした変形の一群は、世界中でますます人気が上昇している果実浸出液である。果実浸出液は、典型的には標準的な浸出用飲料製品、例えば茶葉を主成分とするが、更なる果実風味及び香味を有する。これらの浸出用飲料製品は、茶などの飲料の全ての典型的な利点を備えるが、果実風味及び香味の更なる利点を備える。現在、本物の果実片を含みさえする浸出用飲料製品が入手可能であり、例えば、Lipton Tea Forest Fruitは、乾燥させた苺、レッドカラント、ラズベリー、及びグラックベリーの小片が添加された風味付け紅茶からなる。本物の果実片を含むこれらの製品は、果実の健康的な含意、魅力的な味及び香り、並びに果実片によってもたらされる消費者の胸躍る経験及び視覚的刺激のため、消費者には特別に歓迎されている。特に、果実片は、使用前の製品中で明らかに観察でき、ブルーイング(brewingお茶淹れ)の間にこの飲料中で回転運動しているのが見られる。
【0003】
典型的な浸出用飲料製品は、以下の方法で、標準的な製造ラインで製造される。浸出用飲料成分は、必要とされる成分の正確な量(すなわち体積)を量り分ける、ホイールの外周に刻み目を有する注入ホイールを使用して、製造ライン中に注入される。注入ホイールが回転すると、前記成分は使用してよいあらゆる実装材料上に落ちるが、これは、例えばティーバッグまたは葉茶(loose-leaf)製品のためのより大きな包みであってよい。別の製造ラインでは、注入ホイールによって量り分けられた成分は、実装のための装置の別の部分に実際に運搬される。この運搬は、ベルトまたはホッパーを使用して行うことができるが、空気圧または真空系を用いて製品を管に通すことによって、空気圧で達成してもよい。果実片を含む浸出用引用製品の製造方法は、実装装置に運搬される前に果実片もまた浸出用飲料成分と共に注入ホイールに注入されること以外は、上述の方法と非常に類似している。しかしながら、果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法は、果実片の粘着特性によって悪影響を及ぼされる。浸出用飲料製品中に使用される果実片は、典型的には乾燥または脱水されているが、周囲からの湿分を吸収するにつれ、製造の前後及び最中にこれらはべたつき、且つ凝集して固体塊になりうる。このことが製造ラインの稼働を妨害し、ひいては粗悪な製品をもたらす。更に、果実片は、注入ホイール自体のべたつき並びに成分が正しく注入されない原因ともなる。更にまた、果実片は、製造ラインを通過するにつれで装置の残りの部分をべたつかせて、機械の清浄化のために製造を遅延させること、さらには停止さえさせることの原因になる。凝集が機械の破損につながりうる場合さえある。
【0004】
食品におけるべたつきを最小限に抑えようとする予定の取り組みが、B. Adhikari et al.(2001)”stickiness in foods: a review of mechanisms and test methods” Int J Food Prop 4: 1-33に概説されている。例えば、食品等級の凝固防止剤、例えば二酸化ケイ素の添加が、食品粉末の流動性を改善すると言われている。しかしながら、消費者はますます、こうした添加物が人工的であり、然るに望ましくないととらえている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】B. Adhikari et al.(2001)”stickiness in foods: a review of mechanisms and test methods” Int J Food Prop 4: 1-33
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
然るに、こうした製品の消費者に許容される全ての特性を保持するが、凝集の問題を伴わない、果実片を含む浸出用飲料製品が求められている。
【0007】
発明者は、特定サイズの植物材料粒子を利用することによって、凝集を起こさず、非常なおいしさ及び消費者に許容される特性を有する果実片を含む浸出用飲料製品を製造することが可能である。更にまた、こうした植物材料粒子は、消費者にとって許容できる完全に天然の成分である。更に、こうした植物材料粒子は、容易に製品中に導入することができ、現在使用されている製造ラインの変更を必要としない。
【0008】
このように、第一の態様では、本発明は、吸湿性の果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法であって、
a)直径が1.5mm未満の植物材料粒子及び乾燥果実片を準備する工程;
b)前記植物材料粒子と果実片とを混合する工程;更に
c)前記植物材料及び果実片を、更なる浸出用飲料製品成分と混合する工程
を含む方法を提供する。
【0009】
第二の態様では、本発明は、吸湿性果実片、植物材料粒子、及び浸出用飲料製品成分を含む浸出用飲料製品であって、前記果実片が直径8mm未満であり、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満であり、前記飲料製品成分が1.5mm以上の直径を有することを特徴とする製品を提供する。
【0010】
第三の態様では、本発明は、
a.果実片を準備する工程;
b.植物材料粒子と果実片とを混合する工程
を含む、吸湿性果実片の凝集防止方法であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である方法を提供する。
【0011】
第四の態様では、本発明は、吸湿性果実片の凝集を回避するための植物材料粒子の使用であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である使用を提供する。
【0012】
最後の態様では、本発明は、第一の態様の方法で得られた、または得られる、浸出用飲料製品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】図1は、粉茶の存在下でのパイナップル果実片の凝集の防止を示す。
【図2】図2は、茶小葉(small leaf tea)の存在下でのパイナップル果実片の凝集の防止を示す。
【図3】図3は、粉茶の存在下での苺果実片の凝集の防止を示す。
【図4】図4は、茶小葉の存在下での苺果実片の凝集の防止を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
特記のない限り、本明細書中で使用される全ての技術的及び科学的用語は、(例えば、浸出用飲料製造における)当業者によって通常理解されるものと同様の意味を有する。
【0015】
(粘着性果実片)
本発明は、凝集を起こさない果実片を含む浸出用飲料製品に関する。以上に議論した通り、果実片は、凝集を引き起こし、また加工装置をべたつかせて故障を起こさせもする粘着特性を有する。理論に縛られることなく、果実片の粘着性の性質は、一つには、果実が水を含んだ時には部分的に可溶化して果実片の表面上に粘着性層を形成する、果実中の糖に起因すると考えられる。浸出用飲料製品中に使用される果実片は、典型的には乾燥または脱水されている。例えば、果実片は凍結乾燥に処せられ、ここでは、果実片が凍結され、周囲圧が低減され、対応する温度上昇のために果実片中の凍結水が固相から気相に直接昇華する。乾燥と脱水との両方のために果実片はその水含量を失うが、結果として乾燥果実片は吸湿性であり、これは前記果実片が周囲環境から水分子を誘引可能であることを意味する。この誘引は、吸収または吸着のいずれによっても可能である。結果として、乾燥果実片が少しでも湿度のある環境に暴露されればいつでも、これらは水を吸収し、粘着性になり、凝集が起こる。
【0016】
特定サイズの植物材料粒子の使用によって、凝集を回避可能なことがここに判明している。理論に縛られることなく、果実片を植物材料粒子に接触させると、前記粒子は果実片の表面に粘着し、バリアを作り出して果実片間の凝集を回避し、更に果実片がその粘着層を別の物体、例えば加工装置に移動させることを防ぐと考えられている。植物材料粒子がこのように機能することができることを確実にするためには、前記粒子は直径1.5mm未満、好ましくは直径1mm未満、更に好ましくは0.75mm未満、更にいっそう好ましくは0.5mm未満、更により好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満であることが判明している。好ましくは、植物材料粒子は、少なくとも直径0.01mm、より好ましくは少なくとも0.025mm、更にいっそう好ましくは少なくとも0.05mmである。
【0017】
本発明の第一の態様は、こうした植物材料粒子を使用する、果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法を提供する。前記果実片は典型的には乾燥されているが、なぜなら、果実片はこの形態での方が、非脱水果実片よりも加工が容易であり、また長期保存されるためである。乾燥果実片は、30%未満の湿分含量、好ましくは0.1乃至10%の湿分含量を有する。このように、果実片は吸湿性であって、水を誘引し、かくして粘着性になる(例えば、上述のように粘着層の形成による)。したがって、使用前に既に凝集してしまった果実片を見出すことは珍しくなく、例えば、乾燥果実片の容器には、工場で開けられた際に固形ブロックに凝集してしまっていることが判明し、このため使用前に粉砕して完全に分割せねばならないものがある。本発明による方法では、果実片を植物材料粒子と混合して、果実片が分離すること及びその表面が前記粒子に暴露されていることを確実にする。この分離及び混合は、当業者には既知の技術及び装置を使用して行うことができ、例えば回転式混合樽または振動台を使用して良い。果実片及び植物材料粒子が混合されたところで、過剰のあらゆる植物材料粒子が任意に除去される。好ましい実施態様では、過剰の植物材料粒子の任意の除去は、適切なメッシュサイズ(すなわち、篩によって果実片が保持される一方で、過剰なあらゆる植物材料粒子は篩を通過するように選択されたメッシュサイズ)の篩を使用して篩うことにより達成される。
【0018】
果実片と植物材料粒子との混合の後に、以下に説明する更なる浸出用飲料製品成分が、次いで添加される。
【0019】
(植物材料粒子)
植物材料粒子は、植物のあらゆる部分を含んで良いが、好ましくは葉、茎、及び/または花由来である。好ましくは、植物材料粒子は、30質量%未満の水含量に、より好ましくは0.1乃至10質量%の水含量に乾燥させてある。植物材料粒子は、茶植物材料である必要はないが、特に好ましい実施態様では茶植物材料である。別の好ましい実施態様では、植物材料粒子は、通常は廃棄物と見なされる植物材料、例えば、ピーナッツの皮及び/または殻を含んで良い。好ましくは、浸出用飲料製品は、植物材料粒子を、少なくともこの製品の0.05質量%、更に好ましくは少なくとも0.1質量%、更にいっそう好ましくは0.2質量%、更にいっそう好ましくは少なくとも0.5質量%の量で含む。好ましくは、浸出用飲料製品は、植物材料粒子を、最高でこの製品の5質量%、更に好ましくは最高で2質量%、更にいっそう好ましくは最高で1質量%の量で含む。
【0020】
(直径)
植物材料粒子は、不均一な形状、サイズ、体積、表面積などを有して良い。粒子は、円形、非円形、またはこれらの混合であってよい。好ましい実施態様には、粒子が実質的に平坦なものがある。本明細書中で使用されるように、直径なる語は植物材料粒子のあらゆる寸法での最大長を意味する。不規則な形状を有する粒子については、直径とは、粒子の本体を横断することのできる最も長い断面の長さである。植物材料粒子の直径または果実片の直径に言及されている際には、これは、前記粒子または小片の数にして少なくとも90%、より好ましくは数にして90乃至100%がその直径を有することを意味する。
【0021】
(植物材料のタイプ)
植物材料粒子は人の消費のために適したあらゆる植物由来であってよい。この植物材料粒子は、好ましくは不溶性植物材料、すなわち、実質的に水性液体に不溶性である植物材料を含む。特に好ましい実施態様では、植物材料粒子は、水に不溶性である植物材料を含む。それでもやはり、通常は植物材料粒子から所定の水溶性物質を抽出できることは認識されるべきである。茶植物材料、特に茶葉は本発明に特に適切であり、このため好ましい実施態様では植物材料粒子は茶である。本発明の目的のための「茶」とは、カメリアシネンシス(Camellia sinensis)のsinensis種及び/またはカメリアシネンシスのassamica種由来の材料を意味する。別の好ましい実施態様では、植物材料粒子は、薬草植物材料、または茶植物材料と薬草植物材料との混合物であってよい。
【0022】
(果実片)
人の消費に適したあらゆる果実を、浸出用飲料製品に使用することができ、例えば、アセロラ、林檎、杏、ビルベリー、ブラックベリー、ブルーベリー、桜桃、シトロン、クレメンタイン、クラウドベリー、クランベリー、デーツ、ドラゴンフルーツ、エルダーベリー、イチジク、グースベリー、トケイソウ、葡萄、グレープフルーツ、セイヨウスモモ、グァバ、キーウィーフルーツ、キンカン、レモン、ライム、ローガンベリー、ライチ、マンダリン、マンゴー、セイヨウカリン、メロン、マルベリー、オレンジ、パパイヤ、パッションフルーツ、パパイヤ果(paw paw)、桃、梨、ホオズキ、パイナップル、プラム、ザクロ、マルメロ、ラズベリー、苺、タンジェリン、西瓜、またはこれらの混合物を使用可能である。
【0023】
果実片は、本物の果実片または再成形果実顆粒であってよく、本物の果実片が特に好ましい。いずれの場合も、果実片は、水性液体、例えば水中に実質的に不溶性である。(すなわち、果実片は水性液体中に浸すかまたは漬けても溶解しない。しかし、これらは典型的には所定の水溶性物質、例えば風味及び/または香味分子を液体中に放出する。)
【0024】
より小さな果実片は特に凝集し易く、このため、果実片は、好ましくは直径8mm未満、より好ましくは4mm未満、よりいっそう好ましくは2mm未満、最も好ましくは1mm未満であることが判明している。
【0025】
(果実片に対する植物材料の比率)
果実片は、植物材料粒子で適切に被覆できることを確実にするために、浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比は、好ましくは最高で20:1、より好ましくは最高で10:1、よりいっそう好ましくは最高で5:1である。好ましくは、浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比は、少なくとも1:20、より好ましくは少なくとも1:10、よりいっそう好ましくは1:5である。
【0026】
(浸出用飲料製品)
本明細書中に使用される通り、浸出用飲料製品なる語は、水性液体中に浸すかまたは漬けた場合に所定の可溶性物質を液体中に放出し、これによって飲料を形成する、浸出用成分を含む製品を意味する。この処理はブルーイングと呼称され、これは浸出用成分への液体の添加及びこれにより飲料が形成されることである。ブルーイングはいかなる温度で行っても良いが、好ましくは少なくとも40℃、更に好ましくは少なくとも55℃、更にいっそう好ましくは少なくとも70℃で、且つ、好ましくは120℃未満、更に好ましくは100℃未満、更にいっそう好ましくは90℃未満、最も好ましくは80℃未満で行われる。飲料とは、人の消費に適した、実質的に水性の飲用可能な組成物を意味する。好ましくは、飲料は、この飲料の少なくとも85質量%、より好ましくは少なくとも90質量%、最も好ましくは95乃至99.9質量%の水を含む。
【0027】
(更なる浸出用飲料製品成分)
上述の通り、果実片及び植物材料粒子が混合されて過剰の植物材料粒子が任意に除去された時点で、残りの浸出用飲料製品成分が添加される。これら残りの成分には、浸出用飲料製品の浸出用成分、すなわち、水性液体中に浸すかまたは漬けた場合に所定の可溶性物質を液体中に放出し、こうして飲料を形成する成分が含まれる。好ましい実施態様では、浸出用成分は茶である。本発明の目的のための茶とは、カメリアシネンシスのsinensis種及び/またはカメリアシネンシスのassamica種の葉及び/または茎由来の材料を意味する。好ましくは、浸出用飲料製品成分の数にして少なくとも90%が1.5mm以上の直径を有する。「茶固体」なる語は、カメリアシネンシスのsinensis種及び/またはカメリアシネンシスのassamica種の植物の葉から抽出可能な乾燥材料を意味する。この材料は、この材料が「紅茶」製造の初期の段階の間に放出される所定の内因性酵素によって酸化される、いわゆる「発酵」工程に処せられていても良い。この酸化は、外因性酵素、例えばオキシダーゼ、ラッカーゼ、及びペルオキシダーゼなどの作用で補填さえされうる。あるいはまた、この材料は、部分的に発酵されているか(「ウーロン」茶)または実質的に未発酵(「緑茶」)であってよい。したがって、茶ベースの飲料は、少なくとも0.01質量%の茶固体を含む飲料である。好ましくは、茶ベースの飲料は、0.04乃至3質量%、より好ましくは0.06乃至2質量%、最も好ましくは0.1乃至1質量%の茶固体を含む。
【0028】
別の実施態様では、浸出用成分は、アンジェリカ(angelica archangelica、セイヨウトウキ)、アニス(pimpinella anisum)、ベルガモット(monarda didyma)、ボリジ(borago officinalis)、カレンデュラ(calendula officinalis)、クスノキ(cinnamomum camphora)、チャービル(anthriscus cerefolium)、チコリ(cichorium intybus)、シラントロ(coriandrum sativum)、クミン(cuminum cyminum)、ディル(anethum graveolens)、エルダーフラワー(sambucus spp.)、フェンネル(foeniculum vulgare)、フェヌグリーク(trigonella foenum-graecum)、ジンジャー(zingiber officinale)、ハイビスカス(hibiscus spp.)、ホップ(humulus lupulus)、ヒソップ(hyssopus officinalis)、ジャスミン(jasminum spp.)、ラベンダー(lavandula spp.)、レモングラス(cymbopogon citratus)、甘草、リコリス(glycyrrhiza glabra)、ラビッジ(levisticum officinale)、マージョラム(origanum majorana)、ミント、キンレンカ(tropaeolum majus)、ペパーミント(mentha piperata)、ルイボス(aspalathus linearis)、ローズヒップ(rosa spp.)、ローズマリー(rosmarinus officinalis)、スイバ(rumex acetosa)、スペアミント(mentha spicata)、タイム(thymus vulgaris)、ターメリック(curcuma longa)、またはこれらの混合物からなる群より選択してよい薬草であってよい。別の実施態様では、浸出用成分は、茶と上述の薬草の一つもしくは複数との混合物であっても良い。
【0029】
浸出用成分はまた、当業者に既知の他のあらゆる適当な成分であって良い。
【0030】
好ましくは、浸出用飲料成分は、水含量30質量%未満にまで乾燥させられ、より好ましくは、水含量は、0.1乃至10質量%の範囲内である。別の成分をさらに添加して、甘味料、糖、風味剤、着色料、及び香料を含む最終浸出用飲料製品を形成して良い。
【0031】
(多孔質容器)
浸出用飲料製品の全ての成分が混合されたところで、これらを、好ましくは多孔質容器に、実装して良い。したがって、この方法は、浸出用飲料製品を適切な容器、例えばティーバッグ、飲料を淹れる機械のためのカートリッジ、ティースティック等に実装する工程を任意に提供してよい。
【0032】
第二の態様では、本発明は、吸湿性果実片、植物材料粒子、及び浸出用飲料製品成分を含む浸出用飲料製品を提供する。上述の通り、前記果実片は直径8mm未満であり、前記植物材料粒子は直径1.5mm未満であり、前記飲料製品成分は1.5mm以上の直径を有する。したがって、この製品は、吸湿性の果実片が湿分を吸収した際にその表面に粘着する植物材料粒子の作用の恩恵を受けており、前記製品は、こうして、貯蔵中に果実片の凝集を起こさない。最適な粘着を得るために、好ましくは、植物材料粒子は、直径1mm未満、より好ましくは0.75mm未満、より一層好ましくは0.5mm未満、更により一層好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満である。好ましくは、植物材料粒子は、少なくとも直径0.01mm、より好ましくは少なくとも直径0.025mm、よりいっそう好ましくは少なくとも0.05mmである。好ましくは、浸出用飲料製品は、植物材料粒子を、この製品の少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも0.2質量%、さらによりいっそう好ましくは少なくとも0.5質量%の量で含む。好ましくは、浸出用飲料製品は、果実片を最高でこの製品の20質量%、より好ましくは最高で10質量%、よりいっそう好ましくは最高で5%、さらによりいっそう好ましくは最高で2質量%、最も好ましくは最高で1質量%含む。
【0033】
果実片は、直径が好ましくは8mm未満、より好ましくは4mm未満、最も好ましくは2mmである。消費者が果実片を認識できるようにするためには、果実片の直径は好ましくは0.1mmより大であり、より好ましくは0.2mmより大であり、よりいっそう好ましくは0.3mmより大である。好ましくは、浸出用飲料製品は、果実片を、この製品の少なくとも0.05質量%、より好ましくは少なくとも0.1質量%、よりいっそう好ましくは少なくとも0.2質量%、さらによりいっそう好ましくは少なくとも0.5質量%の量で含む。好ましくは、浸出用飲料製品は、果実片を、この製品の最高で5質量%、より好ましくは最高で2質量%、よりいっそう好ましくは最高で1質量%の量で含む。
【0034】
この研究は、直径が1.5mm未満である植物材料粒子が、吸湿性の果実片の凝集を防ぐために驚くほど好適であることを確定した。したがって、本発明の第三の態様は、
a.果実片を準備する工程;
b.植物材料粒子と果実片とを混合する工程
を含み、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である、吸湿性果実片の凝集防止方法を提供する。
【0035】
第四の態様では、本発明は、直径8mm未満の吸湿性の果実片の凝集を防止するための、直径1.5mm未満の植物材料粒子の使用を提供する。
【実施例】
【0036】
ここに本発明を、単に例示のためであって限定的でない、以下の実施例に準拠してさらに詳説する。
植物材料粒子の、果実片の凝集を防止する能力を検定するために、以下の実験を行った。これらの実験は、上述のように果実片が大気から水を吸収して凝集を起こす、実装工場において発生しうる条件の代表例である、湿度75%の制御環境中で行った。
【0037】
(果実片)
凍結乾燥したパイナップル及び凍結乾燥した苺の果実片を、Dr. Suwelack, Germanyから得た。果実片を、当業者には既知の篩い分け法を用いて分別し、1-2mm、2-4mm、及び4-6mmの3つのサイズ範囲に等級付けした。
【0038】
(植物材料粒子)
これらの実験に使用される植物材料粒子は、標準紅茶(Kenyan Kericho Tea)の粒子であった。植物材料粒子を、当業者には既知の篩い分け法を用いて分別し、直径が0.5mmより小さい粒子を有する「粉茶」及び、直径が0.5mmから最大で1.5mmである、より大きな粒子を有する「茶小葉」の2つのサイズ範囲に等級付けした。
【0039】
(比較例)
比較例のために、およそ1gの各サイズ範囲(1-2mm、2-4mm、及び4-6mm)の乾燥果実片(パイナップルまたは苺)を、高さ7cm及び直径2.5cmの別々のネジ蓋付き管に仕込んだ。これらの果実片のみの対照管を、立てた状態で大気に暴露して24時間おいた。24時間後に管のネジ蓋を閉め、以下に記載のように果実片の凝集を評価した。これらの管を更に4日間おいた後に再度果実片の凝集を評価した。
【0040】
(本発明による試料)
本発明による方法において、およそ1gの各サイズ範囲(1-2mm、2-4mm、及び4-6mm)の乾燥果実片(パイナップルまたは苺)を、同型のネジ蓋付き管に仕込んだ。1セットの管において、およそ1.75gの小植物材料粒子(粉茶)を乾燥果実片に加えた。別のセットの管においては、およそ1.75gの大植物材料粒子(茶小葉)を乾燥果実片に加えた。管を穏やかに回転させることにより果実片を植物材料粒子と混合して、内容物を均質に分配した。果実片及び植物材料粒子を入れたこれらの管もまた、立てた状態で大気に暴露して24時間おいた。24時間後に、過剰な植物材料粒子を篩い分けによって除去した。(粉茶または茶小葉を入れた)二つのセットの管のネジ蓋を閉め、以下に記載のように果実片の凝集を評価した。これらの管を更に4日間おいた後に再度果実片の凝集を評価した。
【0041】
(果実片の凝集の評価)
比較例の試料及び本発明の試料を入れた各管を、木製作業台に穏やかにたたきつけ、横にしておいた。管内の果実片の挙動を観察することにより、凝集を定量的に評価した。凝集した果実片は、管内の果実片の塊形成のために容易に認識された。管が立ててあった時と全く同じ位置に果実片が維持される(すなわち、管の底部で固体塊として凝集していた)ほどの極度の凝集を示す試料もあった。他の凝集果実片は、管の側面から落ちたが、明らかに認識可能な塊として維持された。逆に、凝集を起こさなかった果実片は、穏やかにたたきつけると直ちに自由流動性の非凝集形態を成して管の底に沿って一様に広がることから、容易に観察できた。
【0042】
全ての試料の写真を撮り、結果は以下に示す通りである。全ての図(すなわち、図1a、1b、1c、2a、2b、2c、3a、3b、3c、4a、4b、及び4c)において、対照試料は左の管中に示され、本発明の試料は右の管中に示される。図1a乃至4cのそれぞれにおいて、上の画像は24時間後の試料を示し、下の画像はさらに4日おいた後の試料を示す。全ての図において、最初の図(すなわち、図1a、2a、3a、4a)は1-2mmの果実片、二番目(すなわち、図1b、2b、3b、4b)は2-4mmの果実片、更に三番目(すなわち、図1c、2c、3c、4c)は4-6mmの果実片を示す。
【0043】
(結果)
(実験1−パイナップルの果実片及び小植物材料粒子)
図1の写真の左側の管においては、全てのサイズ範囲の果実片が24時間後と4日後のいずれでも凝集を起こし、パイナップル片が確かに管の底部で固体塊中に残っていることが明らかに見て取れる。対照的に、粉茶の存在によれば果実片は凝集を起こさず、明らかに管の底全般に均一に広がっていた。管の操作により、これらの果実片が自由流動することが観察された。
【0044】
(実験2−パイナップルの果実片及び大植物材料粒子)
この場合も、図2の写真の左側の管においては、植物材料粒子の非存在下で全てのサイズ範囲の果実片が24時間後と4日後のいずれでも凝集を起こし、パイナップル片が確かに管の底部で固体塊状態で維持されていることが明らかに見て取れる。茶小葉は実験1の粉茶のように明らかに自由流動性の果実片をもたらしはしなかったが、果実片に加えて茶小葉を入れた管の穏やかな撹拌の後には、図2の右側の管に見られた塊が崩壊して非凝集片を成すことが観察された。この追加の穏やかな撹拌が、果実片に加えて茶小葉を含む製品の製造の、処理前工程において容易に実施されるであろうことから、このレベルの凝集防止は、完全に許容可能である。
【0045】
(実験3−苺の果実片及び小植物材料粒子)
パイナップルの果実片を用いた場合と同様に、図3の写真の左側の管における苺の果物片は、凝集して管の底部に固まることが観察された。図3の左側の管における4-6mmの苺片の凝集は、実験1及び2におけるほど顕著ではなかった。これは、苺の大型果実片の異なる充填特性に起因すると考えられる。それにしても、粉茶の存在下(右側の管)では果実片は管の底に均一に広がり、凝集は起こっていないことが容易に観察された。管の操作により、これらの果実片もまた自由流動することが観察された。
【0046】
(実験4−苺の果実片及び大植物材料粒子)
実験3と同様に、図4の写真の左側の管における苺の果物片は、凝集して確かに塊を形成していることが観察されたが、この場合も、図4cの左側の管における4-6mmの苺片の凝集は、実験1及び2におけるほど顕著ではなかった(これも大型果実片の異なる充填特性に起因すると考えられる)。しかしながら、茶小葉の存在下(右側の管)では果実片は管の底に均一に広がり、凝集は全く起こっていないことが観察された。
【0047】
これらの実験の結果は、果実片の凝集が重大な懸念であることを示し、また凝集が容易に起こって撹拌によってさえも逆行不能であることを示す。この結果はさらに、本発明による植物材料粒子の使用を、非常に湿度の高い条件下でさえ、また果実片をこうした条件下で非常に長期に亘って貯蔵した後でさえも、果実片の凝集防止のために利用できることを示す。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸湿性果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法であって、
a.直径が1.5mm未満の植物材料粒子及び乾燥果実片を準備する工程;
b.前記植物材料粒子と果実片とを混合する工程;更に
c.前記植物材料及び果実片を、更なる浸出用飲料製品成分と混合する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程a)及びb)が、後続のあらゆる処理工程に先立って行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物材料粒子が、直径1mm未満、より好ましくは0.75mm未満、より好ましくは0.5mm未満、よりいっそう好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記浸出用飲料製品が、前記植物材料粒子を、該製品の0.05乃至5質量%の量で含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比が、20:1乃至1:20である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記植物材料粒子が、茶の粒子である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
浸出用飲料製品が実装される更なる工程を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法によって得られる、浸出用飲料製品。
【請求項9】
吸湿性果実片、植物材料粒子、及び浸出用飲料製品成分を含む浸出用飲料製品であって、前記果実片が直径8mm未満であり、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満であり、前記飲料製品成分が1.5mm以上の直径を有することを特徴とする製品。
【請求項10】
前記植物材料粒子が、直径1mm未満、より好ましくは0.75mm未満、より一層好ましくは0.5mm未満、更により一層好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満である、請求項9に記載の浸出用飲料製品。
【請求項11】
前記植物材料粒子を、当該製品の0.05乃至5質量%の量で含む、請求項9または10に記載の浸出用飲料製品。
【請求項12】
前記植物材料粒子が茶の粒子である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の浸出用飲料製品。
【請求項13】
浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比が、20:1乃至1:20である、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の浸出用飲料製品。
【請求項14】
a.果実片を準備する工程;
b.植物材料粒子と果実片とを混合する工程
を含む、吸湿性果実片の凝集防止方法であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である、方法。
【請求項15】
吸湿性果実片の凝集を回避するための植物材料粒子の使用であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である、使用。
【請求項1】
吸湿性果実片を含む浸出用飲料製品の製造方法であって、
a.直径が1.5mm未満の植物材料粒子及び乾燥果実片を準備する工程;
b.前記植物材料粒子と果実片とを混合する工程;更に
c.前記植物材料及び果実片を、更なる浸出用飲料製品成分と混合する工程
を含む方法。
【請求項2】
工程a)及びb)が、後続のあらゆる処理工程に先立って行われる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記植物材料粒子が、直径1mm未満、より好ましくは0.75mm未満、より好ましくは0.5mm未満、よりいっそう好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記浸出用飲料製品が、前記植物材料粒子を、該製品の0.05乃至5質量%の量で含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比が、20:1乃至1:20である、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記植物材料粒子が、茶の粒子である、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
浸出用飲料製品が実装される更なる工程を含む、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか一項に記載の方法によって得られる、浸出用飲料製品。
【請求項9】
吸湿性果実片、植物材料粒子、及び浸出用飲料製品成分を含む浸出用飲料製品であって、前記果実片が直径8mm未満であり、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満であり、前記飲料製品成分が1.5mm以上の直径を有することを特徴とする製品。
【請求項10】
前記植物材料粒子が、直径1mm未満、より好ましくは0.75mm未満、より一層好ましくは0.5mm未満、更により一層好ましくは0.4mm未満、最も好ましくは0.25mm未満である、請求項9に記載の浸出用飲料製品。
【請求項11】
前記植物材料粒子を、当該製品の0.05乃至5質量%の量で含む、請求項9または10に記載の浸出用飲料製品。
【請求項12】
前記植物材料粒子が茶の粒子である、請求項9乃至11のいずれか一項に記載の浸出用飲料製品。
【請求項13】
浸出用飲料製品中における果実片に対する植物材料粒子の質量比が、20:1乃至1:20である、請求項9乃至12のいずれか一項に記載の浸出用飲料製品。
【請求項14】
a.果実片を準備する工程;
b.植物材料粒子と果実片とを混合する工程
を含む、吸湿性果実片の凝集防止方法であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である、方法。
【請求項15】
吸湿性果実片の凝集を回避するための植物材料粒子の使用であって、前記果実片が直径8mm未満であって、前記植物材料粒子が直径1.5mm未満である、使用。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図2】
【図3】
【図4】
【公開番号】特開2012−10700(P2012−10700A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−147534(P2011−147534)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−147534(P2011−147534)
【出願日】平成23年7月1日(2011.7.1)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】
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