説明

浸漬測定プローブ、特にドロップイン型の測定プローブ

【課題】構造が簡単で且つ機能的に信頼性のある浸漬測定プローブ、特にはドロップイン型の測定プローブを提供することである。
【解決手段】測定用ヘッド1の長手方向穿孔3内に配置したセンサキャリヤ4が鋳物砂製のリング9を有し、溶融金属の上部のスラグ層を貫通する間、あるいは溶融金属に浸漬されるに際し、測定用ヘッドは溶融金属温度に急加熱される。これにより鋳物砂の孔内のガスは体積が急増してリング9から急速に放出され、センサキャリヤ4あるいは保護キャップ7に付着するスラグを実際に剥ぎ取る。かくして、センサ直近位置におけるスラグの影響が無くなり、測定精度が向上する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は浸漬測定プローブ、特には、溶融金属のための、少なくとも一つのセンサを有する少なくとも一つのセンサキャリヤを配置した測定用ヘッドを有し、前記センサキャリヤが測定用ヘッドの開口部位置あるいは開口部内に保持されたドロップイン型の測定プローブに関する。
【背景技術】
【0002】
この形式の測定代プローブは、例えばDE19849433C1に示されるように既知である。ドロップイン型の測定プローブはある高さのホルダから溶融金属中に投入される。キャリヤ管の一端に測定用ヘッドが取り付けられる。測定用ヘッドは溶融鋼あるいは溶融鉄上に堆積したスラグ層を貫通するために必要な質量を提供するべく全体に鋼製とされる。キャリヤ管内には、測定システムと連結した信号ケーブルが巻き付けられる。信号ケーブルは測定プローブを溶融金属中に投入する際にキャリヤ管から巻き解かれる。測定用ヘッド内には、少なくとも一つのセンサ、例えば温度センサあるいは、溶融金属の酸素含有量を測定するための電気化学的センサを有するセンサキャリヤが配置される。溶融金属の上面のスラグ層を貫く際、測定用ヘッドの保護キャップにスラグが付着し得る。こうして測定用ヘッドに付着し、恐らくはセンサの保護キャップに付着したスラグは溶融金属の特性測定に影響を与え得る。
【0003】
電気化学的センサは、その固体電解質材料と溶融金属とが接触するのに加え、所謂対極と溶融金属とが所謂浴接触をする必要性もある。浴接触は、DE3021949C2に示される如く、溶融金属への信号ラインを介して、あるいは、例えばDE19531661A1あるいはDE19652596A1に記載されるように、それ自体が相応に保護されるべき追加部品によって、測定プローブの外側においてしばしば達成される。しかしながら、これらの例はドロップイン型の測定プローブに係わるものではなく、測定プローブの特定の機械的負荷(特に衝撃負荷)に対しては好適なものではない。
【0004】
センサユニットはDE10203121A1に示されるように既知であり、センサを有するセンサキャリヤが測定用ヘッド位置に位置付けられ、この測定用ヘッドがセンサの各部品と電気的に接触される。類似のセンサはEP363616A2において既知である。更に、溶融金属中の酸素を判定するための測定システムで用いる固体電解質管がDE10103701C1において既知である。固体電解質管は後端が錠止キャップで閉鎖される。
【0005】
【特許文献1】DE19849433C1
【特許文献2】DE3021949C2
【特許文献3】DE19531661A1
【特許文献4】DE19652596A1
【特許文献5】DE10203121A1
【特許文献6】EP363616A2
【特許文献7】DE10103701C1
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
構造が簡単で且つ機能的に信頼性のある浸漬測定プローブ、特にはドロップイン型の測定プローブを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は請求項1に従う浸漬測定プローブにより達成される。有益な実施例が各従属項に記載される。
測定用ヘッドの少なくとも一部分が、測定用ヘッド上に配置した電気化学的センサの対極と電気的に接触し且つ電気化学的センサのための浴接触を形成することから、接触経路長が単純且つ短縮化され、また浴接触面が長くなることから、浴接触の信頼性が高まる。本配列構成は極めて安定的であり、しかもプローブを溶融金属中に投入する間の機械的負荷にも耐え得るものである。測定用ヘッドは好ましくは金属製であり得る。特には、組み込みの簡易性を保証するべく、センサキャリヤが測定用ヘッドと錠止下に連結することが好ましい。センサキャリヤの、測定用ヘッド内に配置した端部には、測定用ヘッドに配置した第2錠止要素と係合する第1錠止要素を配置することが好ましい。接触要素は、センサキャリヤの、好ましくは測定用ヘッド内に配置した端部位置に、測定用ヘッドと対極とを電気的に連結する接触要素を配置するのが有益であり、第1錠止要素はこの接触要素上に配置することが好ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下に、本発明の実施例を図面を参照して詳しく説明する。
図1にはドロップイン型の測定用プローブにおける測定用ヘッド1が示される。測定用ヘッド1は通常、厚紙性のキャリヤ管の一端に取り付けられる。この目的のために測定用ヘッド1のリング溝2あるいはリング溝14が使用され得る。キャリヤ管は明瞭化のために図示されない。
測定用ヘッド1は鋼製であり、長手方向穿孔3をその中央に有している。この長手方向穿孔3内の測定用ヘッドの浸漬端にセンサキャリヤ4が取り付けられる。センサキャリヤ4の、浸漬端とは反対側の後端には、第1錠止要素としての一つ以上のフック5が取り付けられる。各フック5は、センサキャリヤ4を長手方向穿孔3に挿通すると第2錠止要素としての環状溝6と係合し、長手方向穿孔3内でセンサキャリヤ4を固定する。センサキャリヤ4は保護キャップ7の下方に、浸漬測定プローブを使用しての分析において溶融金属のガス含有量を決定するための一つ以上の、例えば熱素子及びあるいは電気化学的センサを有する。センサはセンサキャリヤ4の後端の接点8を介し、穿孔を通して測定ユニットあるいはコンピューターと接続した信号ラインと連結される。
【0009】
測定用ヘッド1の長手方向穿孔3内に配置したセンサキャリヤ4は、鋳物砂製のリング9を有する。センサキャリヤ4全体を鋳物砂製とすることも可能であり、少なくともリング9を厚紙製あるいは類似の燃焼性あるいはガス含有性の多孔質材料製としても良い。センサキャリヤの電気化学的センサは保護キャップ7で覆われ、保護キャップ7は結局、厚紙キャップ10で覆われる。保護キャップ7と厚紙キャップ10とは共に、溶融金属中に没入するに際して破壊され、かくして電気化学的センサが溶融金属と接触する。溶融金属の上部のスラグ層を貫通する間、あるいは溶融金属に浸漬されるに際し、測定用ヘッドは溶融金属温度に急加熱される。これにより鋳物砂の孔内のガスは体積が急増してリング9から急速に放出され、センサキャリヤ4あるいは保護キャップ7に付着するスラグを実際に剥ぎ取る。かくして、センサ直近位置におけるスラグの影響が無くなり、測定精度が向上する。
センサキャリヤ4もまた鋼製であり得、測定用ヘッド1は原理的にキャリヤ管無しでも使用することができる。
【0010】
センサキャリヤ4に配置した電気化学的センサはその機能上、所謂浴接触させる必要がある。浴接触は、測定用ヘッド1の本体そのものが溶融金属と電気的に接触されるよう、電気化学的センサの、センサキャリヤ4の下側からの導出部分(対極)を接触要素11(図2参照)を介して金属製の測定用ヘッド1と電気的に直接接続させることで便宜的に創出される。接触要素11は本来金属リングとして形成され、測定用ヘッド1の内側でセンサキャリヤ4の前端部に配置される。接触ストリップ12が前記対極と接触し、別の接触ストリップ13が測定用ヘッド1と接触する。これにより、センサキャリヤ4と測定用ヘッド1とは、これらを順に挿通させるだけで錠止連結具が係合することから、測定用ヘッド1へのセンサキャリヤ4の取付けが簡単になる他、接触経路長が短く且つ浴接触により接触面が大きくなることで浴接触の信頼性が高まる。本配列構成は安定性が高く、溶融金属中へのプローブ投入に際しての機械的負荷にも耐え得るものである。
以上、本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で種々の変更をなし得ることを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】測定用ヘッドの、斜視図及び平面図である。
【図2】接触要素の斜視図である。
【符号の説明】
【0012】
1 測定用ヘッド
2、14 リング溝
3 長手方向穿孔
4 センサキャリヤ
5 フック
6 環状溝
7 保護キャップ
8 接点
9 リング
10 厚紙キャップ
11 接触要素
12、13 接触ストリップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも一つのセンサを有する少なくとも一つのセンサキャリヤを配置した測定用ヘッドを有する、特にドロップイン型の測定プローブである溶融金属のための浸漬測定プローブであって、
センサキャリヤが測定用ヘッドの開口位置あるいは該開口内に保持され、
測定用ヘッドの少なくとも一部分が、測定用ヘッド位置に配置した電気化学的センサの対極と電気的に接触し且つ電気化学的センサと浴接触し、
測定用ヘッドに配置した第2錠止要素と係合する第1錠止要素がセンサキャリヤに配置されることを特徴とする浸漬測定プローブ。
【請求項2】
測定用ヘッドが金属製である請求項1に記載の浸漬測定プローブ。
【請求項3】
センサキャリヤが測定用ヘッドと錠止連結される請求項1あるいは2に記載の浸漬測定プローブ。
【請求項4】
第1錠止要素が、測定用ヘッドの内側に位置付けたセンサキャリヤ端部に配置される請求項1〜3の何れかに記載の浸漬測定プローブ。
【請求項5】
接触要素が、好ましくは、センサ要素の測定用ヘッドの内側に位置付けた端部にして、測定用ヘッドと対極とを導電連結させる端部上に配置される請求項1〜4の何れかに記載の浸漬測定プローブ。
【請求項6】
第1錠止要素が接触要素上に配置される請求項1〜5の何れかに記載の浸漬測定プローブ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−308587(P2006−308587A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−116654(P2006−116654)
【出願日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(598083577)ヘレーウス エレクトロ−ナイト インターナシヨナル エヌ ヴイ (37)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Electro−Nite International N.V.
【住所又は居所原語表記】Centrum Zuid 1105, B−3530 Houthalen,Belgium
【Fターム(参考)】