説明

浸透エネルギー

原動機の駆動方法であって、a)液体と液体よりも高い浸透ポテンシャルを有する溶液との間に選択膜を配置し、膜を横切る液体の流入により溶液を加圧状態にすること、b)溶液において生じた圧力を用いて原動機を駆動すること、c)溶液を回収すること、d)溶液から溶媒の少なくともいくらかを分離して残留生成物を生成すること、ならびに、e)工程d)の分離溶媒および/または残留生成物を工程a)にリサイクルすることを含んで成る方法を提供する。


【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、原動機の駆動方法に関する。本発明は、例えば、流体動力(または水力)を発生させる、原動機の駆動装置にも関する。
【0002】
半透膜によって、濃縮水溶液(高い浸透ポテンシャルおよび高エントロピー)から希薄水溶液(低い浸透ポテンシャル、低いエントロピー)を分離するとき、希薄水溶液の水は、半透膜を横切って流れて、濃縮水溶液を希釈する。この現象は、浸透として知られている。
【0003】
米国特許第3978344号には、浸透エネルギーを他の形態のエネルギーに変える方法が記載されている。特に、この参照文献では、半透膜を用いて多くの海水から多くの淡水(または真水)を分離する方法が記載されている。淡水と海水との間の浸透ポテンシャルの差は、水が膜を通り抜けて海水に入ることを可能にし、結果として、膜の海水側での静水圧の増加をもたらす。この海水を加圧ストリームとして排出することができ、発電装置に連結しているタービンの回転に用いることができる。
【0004】
半透膜を介した淡水の移動は、結果として海水の希釈をもたらし、結局は、所定量の海水からのエネルギーの生産を制限する。従って、希釈された海水に、定期的または連続的に新たな海水を補充する必要がある。
【0005】
本発明は、原動機の駆動方法を提供し、該方法は、
a)液体と液体よりも高い浸透ポテンシャルを有する溶液との間に選択膜を配置し、膜を横切る液体の流入により溶液を加圧状態にすること
b)溶液において生じた圧力を用いて原動機を駆動すること
c)溶液を回収すること
d)溶液から溶媒の少なくともいくらかを分離して残留生成物を形成すること、ならびに
e)工程d)の分離溶媒および/または残留生成物を工程a)にリサイクルすること
を含んで成る。
【0006】
一態様において、工程d)の残留生成物を工程a)の溶液にリサイクルする。別法または追加として、分離溶媒を、工程a)における膜の液体側にリサイクルしてよい。
【0007】
選択膜を横切って液体が流入することにより、溶液に圧力(例えば、静水圧)を発生させる。工程a)からの加圧溶液を直接用いて原動機を駆動してよい。別法では、工程a)からの溶液を回収してよく、また、回収溶液の溶媒のいくらかを除去してよい。生じた濃縮溶液は、工程a)にリサイクルする前に、原動機の駆動に用いてよい。別法または追加として、溶液から分離した溶媒を用いて原動機を駆動してよい。すべての場合において、工程a)の溶液において生じた圧力の少なくともいくらかを用いて、原動機を駆動する。オプションとして、溶液において生じた圧力を用いて、次の処理での溶液をポンピングしてよい。
【0008】
工程a)では、いずれの適当な選択膜を用いてもよい。膜は、1〜60Å、好ましくは2〜50Å、より好ましくは5〜40Å、例えば10〜30Åの平均ポアサイズ(または孔径:pore size)を有し得る。一態様において、膜は、12〜25Åの平均ポアサイズを有する。
【0009】
膜の平均ポアサイズは、溶液中の溶質のサイズより好ましくは小さい。好都合にも、このことは、拡散によって膜を横切る溶質の流れを防止または減少し、液体が、浸透(エントロピー)勾配に沿って膜を横切って流れることを可能にする。膜を横切る液体の流量は、膜のポアサイズに左右される。一般に、ポアサイズが大きい程、流量はより多い。
【0010】
適当な選択膜の例として、内在性膜(integral membrane)および複合膜がある。適当な膜の具体例として、セルロースアセテート(CA)から形成された膜およびポリアミド(PA)から形成された膜を含む。好ましくは、膜は、イオン選択性膜である。常套の半透膜を用いてもよい。
【0011】
膜は、平面であり得、またはチューブもしくは中空ファイバの形であり得る。所望により、膜は、例えばメッシュ支持体等の支持構造体によって支持されていてよい。膜は、波形または曲がりくねった形であってよい。
【0012】
原動機は、溶液中のエネルギーを機械力(または機械原動力)に変える、いずれの適当な装置でもあってもよい。適当な原動機として、例えばタービン等の回転式原動機がある。このようにして、原動機を用いて動力を発生させることができる。
【0013】
別法では、原動機は、圧力変換システムであってよく、またはその一部を形成していてもよい。このようにして、原動機を用いて、加圧溶液から他の流体にエネルギーを移動することもできる。適当な圧力変換システムの例が、米国特許第4887942号、第5338158号、第5988993号、および第6540487号に記載されている。圧力変換システムは、本体部分(その反対端に端エレメントを含む)を有するハウジングを含んで成り得る。ローターを、端プレートに接触させて実質的にシールしながら、本体部分に配置してよい。ローターには、その1端から反対端まで縦に広がり、各端に開口部を有する、少なくとも1つのチャンネルが備わっていてよい。使用に際し、チャンネルは、高圧液体(例えば、工程a)からの加圧溶液)と低圧液体との間の交互の水圧の伝達を提供し、液体間で圧力を移動させる。
【0014】
本発明の方法では、選択膜は、液体と溶液との間に位置する。溶液は、液体よりも高い浸透ポテンシャルを有する。従って、溶液の全溶解固形物(TDS)濃度は、典型的には、液体のそれよりも高い。
【0015】
液体と溶液との間の浸透ポテンシャルの差は、溶媒に、低い浸透ポテンシャルの側(即ち、低い溶質濃度もしくは低いエントロピーまたは高い溶媒濃度)から高い浸透ポテンシャルの側(即ち、高い溶質濃度もしくは高いエントロピーまたは低い溶媒濃度)へと選択膜を通過させる。この液体の流入は、溶液の圧力の増加をもたらす。例えば、溶液の圧力は、液体の流入に起因して、10〜10Paから1.1x10〜5.0x10Paの圧力まで増大し得る。好ましい態様では、溶液の圧力は、液体の流入に起因して、10〜10Paから1.5x10〜2.5x10Paの圧力まで増大し得る。
【0016】
本発明の方法の工程a)をハウジングで実施することができる。ハウジングは、好ましくは、選択膜の1つの側に液体を導入する入口、および該膜の反対側から加圧溶液を除去する出口が備わっている。好ましい態様では、液体の溶液への流入は十分であり、1.1x10〜5.0x10Pa、好ましくは1.5x10〜2.5x10Paの圧力でハウジングから溶液を排出する。ハウジングの出口は、適当な圧力での溶液の排出を保証する大きさにすることができる。追加または別法として、ノズル(圧力調整器)を出口に連結して、これにより溶液の圧力を調整してよい。
【0017】
加圧溶液を、例えば、加圧ストリームとしてハウジングから除去してよい。溶液において生じる圧力を用いて原動機を駆動することができる。溶液を原動機に直接導入して、原動機を駆動し、例えば、動力を発生させることができる。別法では、溶液において生じる圧力を、圧力変換システムを介して他の液体に移してよい。工程a)からの加圧溶液を工程b)に直接用いて原動機を駆動することができる。別法では、工程b)の前に、本方法の工程c)および工程d)を実施することができる。
【0018】
溶液において生じる圧力は、溶液を、ハウジングから、例えば10〜2500m、好ましくは50〜1500mの高所まで排出(または噴出)するのに十分であり得る。従って、高所から溶液を原動機に導入することができる。このようにして、溶液のポテンシャルエネルギーの少なくとも一部分を機械エネルギーに変換する。続いて、原動機の機械エネルギーを、例えば、電気および/または熱等の他の形態のエネルギーに変換することができる。ある態様では、原動機に溶液を導入する前に、溶液を高い位置で保存することが望ましい。
【0019】
工程c)において、溶液を回収する。次いで、回収溶液から溶媒を除去する(工程d))。この溶媒除去工程を、いずれの適当な溶媒除去/分離方法によって実施してもよい。熱および/または膜分離工程を用いてもよい。1もしくはそれより多くの熱分離工程および/または1もしくはそれより多くの膜分離工程の組み合わせを用いてもよい。
【0020】
適当な熱分離技術の例として、蒸発、蒸留および結晶化がある。例えば、周囲条件下、空気中で溶媒を蒸発させることにより、蒸発を自然に実施することができる。別法では、蒸発を冷却塔で実施してもよい。適当な蒸留法として、多段フラッシュ蒸留法(MSF:multi-stage flash distillation)、多重効用蒸留法(MED:multi-effect distillation)、機械的蒸気圧縮法(MVC:mechanical vapour compression)、高速噴霧脱塩法(rapid spray desalination)がある。
【0021】
多段フラッシュ蒸留法では、溶液を直列(または一連)のチューブに導入し、高い温度まで加熱する。次いで、加熱溶液を蒸留チャンバーに導入し、その蒸気圧よりも低い圧力に付す。圧力の突然の減少により、沸騰またはフラッシュ(蒸発:flash)を引き起こす。入ってくる溶液ストリームをチューブにおいて濃縮することにより、塩を含む残渣からフラッシュ蒸気を分離する。典型的には直列の蒸発チャンバーを用いる。このようにして、蒸発またはフラッシュ工程が多段階で起こる。
【0022】
多重効用蒸留は、直列の効用缶(effects)で行われ、各種効用缶において、周囲圧力を下げる原理を利用する。このことは、第1効用の後に供給されるべき追加の熱を必要とすることなく、一連の段階において溶液の沸騰を可能にする。
【0023】
多重効用蒸留法では、溶液を予熱して、蒸発器チューブの表面に液体の薄膜としてスプレー(または噴霧)する。チューブは、チューブを通る水蒸気によって加熱する。チューブの加熱表面に接触させながら、スプレー液体を蒸発させる。この蒸気を用いて次の効用缶の蒸発器チューブを加熱し、熱の移動によってチューブにおける蒸気を凝縮させる。このようにして溶液を蒸発および凝縮することによって、溶液から溶媒を回収することができる。
【0024】
少なくとも1つの効用缶の蒸気を圧縮することにより、多重効用蒸留工程の効率を上げることができる。多重効用蒸留と圧縮との組み合わせは、MED−熱圧縮として知られている。
【0025】
機械的蒸気圧縮法(MVD)を用いて、溶液から溶媒を除去することもできる。機械的蒸気圧縮法では、典型的には容器から蒸気を抽出して、次いで容器内に設置されているチューブで圧縮することによって凝縮する。圧縮および凝縮工程は熱を発生させ、チューブ壁を加熱する。溶液は、チューブ表面にスプレーされるときに、更なる蒸気を発生して蒸発する。抽出、圧縮および凝縮工程を繰り返すことにより、溶液から更なる溶媒を回収することができる。
【0026】
高速噴霧脱塩法(RSD)を用いて、溶液から溶媒を除去することもできる。典型的な高速噴霧脱塩法では、エアーが加熱要素を通って蒸発チャンバーに吹き込まれる。加熱エアーが蒸発チャンバーに沿って移動するとき、例えば海水の霧状溶液を、蒸発チャンバーに注入する。動いている蒸気および海水滴は、海水滴を捕捉して純粋な気相を凝縮器に通すメカニカルフィルターを通る。海水滴は、フィルターから定期的に洗い流すことができる。
【0027】
上述のように、結晶化法を用いて、溶液から溶媒を分離することもできる。結晶化作用により、溶液中の溶媒または溶質を結晶化することができる。
【0028】
例えば、溶媒の凝固点まで溶液を冷却することにより、結晶化を行うことができる。これにより、溶液中の溶媒の少なくともいくらかを結晶化させる。次いで、この結晶化された溶媒を除去することができる。結晶化には冷涼な環境が好ましく、低い周囲温度を用いて溶液温度を下げて、結晶化をもたらすことができる。
【0029】
別法では、熱分離塔を用いて結晶化を行うことができる。例えば、溶解している溶質の少なくともいくらかが溶液から沈殿するように、溶液を熱分離カラムで冷却する。これらの沈殿物は、溶質濃度が減少した溶液をカラムの上部に残しながら、カラムの底部に集めて回収することができる。好適には、温度変化に敏感な溶解度を有する塩を用いて溶液を生成してもよい。好ましくは、そのような塩は、低温で溶液から容易に沈殿する。そのような塩の例として、リン酸水素2ナトリウム(NaHPO・12HO)等のリン酸水素がある。
【0030】
一態様において、工程a)からの溶液を高所(例えば山頂)に移すことができ、高所の周囲温度は、i)溶液において溶質種を結晶化するのに十分低いか、またはii)溶媒を結晶化する溶液の凝固点よりも下であるか、いずれかである。このことは、溶液を2つの部に分離させる。1の部は、低い溶質濃度を有するが、他の部は、より高い溶質濃度を有する。溶液のポテンシャルエネルギーを用いて原動機を駆動することができるように、これらの各溶液を基底準位(ground level)に戻してよい。これらの溶液は、工程a)にリサイクルすることができる。
【0031】
溶液から溶媒を分離するのに適する膜法として、イオン交換法、電気透析法、逆電気透析法(electro-dialysis reversal)、ナノ濾過法および逆浸透法がある。膜を用いるとき、これらは、システムにおいて生じる高圧に耐え得る必要がある。
【0032】
溶媒除去工程を動かすのに必要な熱エネルギーを、多くのソースから供給することができる。例えば、熱エネルギーを、外界(例えば、周囲温度における蒸発)、地熱ソースおよび/または太陽エネルギーによって供給することができる。高温の環境では、周囲温度での蒸発が有利であり得る。溶媒の蒸発を効果的に行うために、エアー、例えば、乾燥した温風(ウォームエアー)を溶液に通すことによって、溶媒除去をもたらすこともできる。別法または追加として、産業プロセス(例えば、発電装置、精製装置、化学プラント)からの余剰熱を用いて、溶媒除去工程を運転することができる。換言すれば、本発明の溶媒除去工程を用いて、産業プロセスから余剰熱を除去することができる。
【0033】
更なる態様では、例えば、オイル、木材、ピート(peat)、ブッシュ(bushes)、草、わら、天然ガスおよび石炭等の燃料の消費によって、溶媒除去工程の運転に必要な熱エネルギーを供給することができる。廃棄物を焼却処分して、溶媒除去工程に必要な熱エネルギーを供給することもできる。
【0034】
他の更なる態様では、例えば、熱発生(または産熱)および発酵等の生物学的プロセスによって、溶媒除去工程の運転に必要な熱エネルギーを供給することができる。
【0035】
他の態様では、ガス(例えばエアー)の圧縮および減圧によって、溶媒除去工程の運転に必要な熱エネルギーを供給することができる。ガスが所定の温度で等方的に膨張するとき、新たな圧力での最終的な温度は、その温度よりもかなり低い。生じた冷ガスを、開放系に直接的に、または閉鎖系に熱交換によって間接的に、冷媒として用いることができる。逆に言えば、ガスの圧縮は、ガスの温度の増大をもたらす。圧縮熱を用いて、溶液を加熱および/または溶媒を蒸発することができる。
【0036】
更なる他の態様では、溶媒除去工程の運転に必要な熱エネルギーを、風力によって供給することができる。風力をエアーの圧縮に用いることができ、また、圧縮熱を用いて、溶液を加熱および/または溶媒を蒸発することができる。次いで、エアーを減圧し、減圧による冷却効果を用いて、溶液を冷却および/または蒸気を凝縮することができる。冷却剤としてのエアーの使用は、ガスが所定の温度で等方的に膨張するとき、新たな圧力での最終的な温度は、その温度よりもかなり低いという原理に基づいている。次いで、生じた冷ガス(この場合ではエアー)を、開放系に直接的に、または閉鎖系に熱交換によって間接的に、冷媒として用いることができる。
【0037】
上述の熱エネルギーのソースは、蒸発/蒸留による溶媒除去に特に有用であり得る。
【0038】
ひとたび溶液から溶媒が除去されると、残留生成物が生じる。この残留生成物は、工程a)での使用に適する溶液に好ましくはリサイクルする。例えば、方法の工程d)で生じた残留生成物を、該方法の工程a)にリサイクルすることができる。別法では、1以上の本発明の方法を(例えば同時に)実施するとき、1の方法の残留生成物を、他の方法の工程a)にリサイクルすることができる。
【0039】
本発明の方法を連続的に実施することができ、工程a)の溶液を新たな溶液で置換または補充する必要性を減少または排除する。これは、場合によって望ましいことであり、溶液に新たな溶質を追加する必要もない。
【0040】
残留生成物は、固体生成物または濃縮溶液の形態であり得る。残留生成物が固体生成物であるとき、固体生成物を工程a)の溶液に添加して、工程a)の溶液の溶質濃度を増大させることができる。このことは、膜の2つの側の間の溶質濃度差を維持すること、および膜を横切る液体の流れが十分量で生じることを保証するのを助けることができる。
【0041】
残留生成物が固体生成物であるとき、固体生成物を溶媒で希釈して(dilute)濃縮溶液を生成することができる。この濃縮溶液は、工程a)の溶液に導入することができる。従って、この溶液の濃度を調整することにより、工程a)の溶液の溶質濃度を所望のレベルに維持することができる。このことは、膜の2つの側の間の溶質濃度差を維持すること、および膜を横切る液体の流れが十分量で生ずることを保証するのを助けることができる。
【0042】
残留生成物が濃縮溶液であるとき、工程a)の選択膜の溶液側に濃縮溶液を導入することができる。ある態様では、例えば、更なる溶媒または溶質を溶液に添加することによって使用する前に、濃縮溶液の濃度を変更する必要もあり得る。従って、この溶液の濃度を調整することにより、工程a)の溶液の溶質濃度を所望のレベルに維持することができる。このことは、膜の2つの側の間の溶質濃度差を維持すること、および膜を横切る液体の流れが十分量で生ずることを保証するのを助けることができる。
【0043】
溶媒除去工程で除去された溶媒を、回収して、例えば工程a)での使用に適する液体にリサイクルすることができる。方法の工程d)で除去された溶媒を方法の工程a)にリサイクルすることができ、また、別法では、本発明の複数の方法を(例えば連続的に)実施するとき、1つの特定の方法の工程d)で除去された溶媒を他の方法の工程a)にリサイクルすることができる。
【0044】
別法または追加として、除去された溶媒を、廃棄するか、または他の目的に用いてもよい。一態様では、液体は海水であり、溶液は水溶液である。従って、工程d)の溶液から除去された溶媒は水である。この水を、農業用途、産業用途、および家庭用途(例えば、飲料水等)等の、多くの用途に用いることができる。このように、本発明のこの態様では、本発明の方法を海水の脱塩に用いることができる。
【0045】
工程a)の液体を、例えば、周期的または連続的に、新たな液体で補充または置換することができる。
【0046】
本発明の方法の工程a)で用いる液体は、好ましくは水または水溶液である。例えば、液体は、海水、(例えば、川、湖および地下のソースからの)淡水および汽水であり得る。例えば、洗濯の廃水(例えば、ランドリー)等の中水道水ストリーム、および雨水からのストリームを用いてもよい。従って、液体は、これらのソースからの水において典型的に見られる不純物を含み得る。例えば、液体は、金属またはアンモニウム塩等の溶解塩を含み得る。含み得る塩の例として、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、リン酸塩、アルミン酸塩、硼酸塩、臭素酸塩、炭化物、塩化物、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、クロム酸塩、フルオロ珪酸塩、フルオロ硫酸塩、珪酸塩、シアン化物およびシアン酸塩がある。好ましくは、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の塩を用いる。そのような金属の例として、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムがあるが、これらに限定されない。一態様では、液体は海水であり、従って、少なくとも3%の濃度で塩化ナトリウムを含む。
【0047】
別の態様では、液体は、産業または農業プロセスからの流出物であり得る。
【0048】
液体の溶質濃度(即ち、TDS)は、0〜40重量%、好ましくは0.0〜6重量%であり得る。
【0049】
浸透の間に、溶液に溶解する溶質および懸濁する不純物の少なくともいくらかが、膜を横切って流れるのを防ぐ。好ましくは、全ての溶解溶質/不純物が膜の液側に残り、膜を横切って液体を流して、膜のもう1つの側の溶液を希釈する。このように、液体が、溶媒に溶解する溶質の溶液であるとき、溶質が膜を横切って流れるのを好ましくは防ぎ、膜を横切って液体を流して、膜のもう1つの側の溶液を希釈する。特に、液体が水溶液であるとき、溶液に溶解する溶質および懸濁する不純物が、膜を横切って流れるのを好適に防ぎ、膜を横切って水を流して、もう1つの側の溶液を希釈する。
【0050】
溶液は、有機および/または無機溶媒から成っていてよい。適当な有機溶媒は、脂肪族または芳香族炭化水素等の炭化水素を含む。有機溶媒の混合物を用いてもよい。炭化水素は、直鎖、枝分かれおよび/または環状であってよい。例として、アルカン、アルケンおよびアルキンがあるが、これらに限定されない。炭化水素は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素および/またはリン原子等のヘテロ原子で置換されていてよい。一態様において、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル、エステル、アルコールおよび/またはこれらの誘導体等の酸化された炭化水素を用いてもよい。例えば、グリコールエステルおよびグリコールエーテルを用いることもできる。別法または追加として、例えば、塩化、臭素化および/またはフッ素化炭化水素等のハロゲン化溶媒を用いることもできる。
【0051】
適当な無機溶媒として、酸性溶媒、アルカリ性溶媒および/または水がある。溶液の溶媒として好ましくは水を用いる。
【0052】
溶液は、好ましくは水溶液である。
【0053】
溶液の適当な溶質として、有機化合物、生体化合物および/または無機化合物がある。
【0054】
適当な有機化合物として、例えば、脂肪族および芳香族炭化水素等の炭化水素がある。2またはそれより多くの有機化合物の混合物を用いることもできる。炭化水素は、直鎖、枝分かれおよび/または環状であってよい。適当な炭化水素の例として、アルカン、アルケンおよびアルキンがあるが、これらに限定されない。炭化水素は、例えば、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素、酸素、硫黄、窒素および/またはリン原子等のヘテロ原子で置換されていてよい。一態様において、例えば、アルデヒド、ケトン、カルボン酸、エーテル、エステル、アルコールおよび/またはこれらの誘導体等の酸化された炭化水素を用いてもよい。有機溶質種は、100〜10000gmol―1、好ましくは300〜5000gmol―1、より好ましくは400〜2000gmol―1、更により好ましくは500〜1000gmol―1の分子量を有し得る。
【0055】
適当な生体化合物の例として、プロテイン、アミノ酸、核酸、炭水化物および脂質がある。2またはそれより多くの生体化合物の混合物を用いてもよい。好ましい生体溶質として、例えば、ショ糖および/またはビート糖等の糖がある。グルコース、フルクトースおよびスクロースを用いてもよい。生体溶質種は、100〜10000gmol―1、好ましくは300〜5000gmol―1、より好ましくは400〜2000gmol―1、更により好ましくは500〜1000gmol―1の分子量を有し得る。
【0056】
好ましくは、溶液は、例えば、無機塩等の、1またはそれより多くの無機化合物の溶液である。適当な塩の例として、金属またはアンモニウム塩がある。2またはそれより多くの塩の混合物を用いてもよい。例として、フッ化物、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硫酸塩、亜硫酸塩、硫化物、炭酸塩、炭酸水素塩、硝酸塩、亜硝酸塩、窒化物、リン酸塩、アルミン酸塩、硼酸塩、臭素酸塩、炭化物、塩化物、過塩素酸塩、次亜塩素酸塩、クロム酸塩、フルオロ珪酸塩、フルオロ硫酸塩、珪酸塩、シアン化物およびシアン酸塩がある。好ましくは、アルカリおよび/またはアルカリ土類金属の塩を用いる。そのような金属の例として、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウムおよびストロンチウムがあるが、これらに限定されない。
【0057】
好ましくは、溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸マグネシウム(例えば、MgSO・6HOまたはMgSO・7HO)、塩化マグネシウム(例えば、MgCl・6HO)、硫酸ナトリウム(例えば、NaSO・10HO)、塩化カルシウム(例えば、CaCl・2HOまたはCaCl・6HO)、炭酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム(NaHPO・12HO)およびカリウムミョウバン(24HO)から選択した少なくとも1つの塩の溶液である。好ましい態様において、溶液は、塩化ナトリウム水溶液である。
【0058】
好ましくは、既知の量の溶媒に既知の量の溶質を加えることによって溶液を生成する。好ましくは、溶液は、本質的には、選択した溶媒に溶解している選択した溶質を含む。例えば、一態様において、本発明の方法は、選択溶媒に選択溶質を溶解する工程を更に含んで成る。一態様において、溶液は、アンモニアおよび二酸化炭素を水で混合することにより生成する。生じた溶液は、国際公開公報02/060825に記載のように、アンモニア、二酸化炭素、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、およびカルバミン酸アンモニウムの濃縮溶液を含み得る。
【0059】
別法では、溶液は、産業プロセスからの廃ストリーム等の既存のストリームから取り出すことができる。例えば、溶液は、冷却塔のブローダウン排出物、海水、脱塩排出物、またはオイル抽出プロセスからの排出物であってよい。
【0060】
一態様において、溶液は、1〜400重量%、好ましくは2〜100重量%、より好ましくは5〜80重量%、例えば、10〜50重量%の溶質(例えば塩)濃度を有する。溶質は、上述の1またはそれより多くの溶質であり得る。例えば、溶質は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸マグネシウム(例えば、MgSO・6HOまたはMgSO・7HO)、塩化マグネシウム(例えば、MgCl・6HO)、硫酸ナトリウム(NaSO・10HO)、塩化カルシウム(例えば、CaCl・2HOまたはCaCl・6HO)、炭酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウム(NaHPO・12HO)およびカリウムミョウバン(24HO)から選択した塩であってよい。別法では、溶質は糖であってよい。
【0061】
一態様では、溶液は、2〜39重量%、好ましくは5〜35重量%、より好ましくは10〜30重量%の塩化ナトリウム濃度を有する塩化ナトリウム溶液である。他の態様では、溶液は、5〜50重量%、好ましくは10〜45重量%、より好ましくは15〜35重量%の塩化カリウム濃度を有する塩化カリウム溶液である。他の態様では、溶液は、5〜80重量%、好ましくは10〜60重量%、より好ましくは15〜45重量%の硝酸カリウム濃度を有する硝酸カリウム溶液である。更なる他の態様では、溶液は、5〜120重量%、好ましくは10〜100重量%、より好ましくは15〜80重量%の塩化カルシウム濃度を有する塩化カルシウム溶液である。別の態様では、溶液は、5〜45重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%の炭酸ナトリウム濃度を有する炭酸ナトリウム溶液である。更なる態様では、溶液は、5〜39重量%、好ましくは10〜35重量%、より好ましくは15〜30重量%のリン酸水素2ナトリウム濃度を有するリン酸水素2ナトリウム溶液である。他の態様では、溶液は、5〜45重量%、好ましくは10〜40重量%、より好ましくは15〜39重量%の硫酸ナトリウム濃度を有する硫酸ナトリウム溶液である。更なる他の態様では、溶液は、5〜100重量%、好ましくは10〜80重量%、より好ましくは15〜75重量%の硫酸マグネシウム濃度を有する硫酸マグネシウム溶液である。
【0062】
液体と溶液とのTDSの差は、少なくとも1重量%、例えば、1〜39重量%、好ましくは5〜35重量%である。
【0063】
本発明の方法において、いずれの適当な選択膜を用いてもよい。膜のアレイを用いてもよい。適当な膜の例として、セルロースアセテート(CA)およびポリアミド(PA)膜がある。膜は平面であり得るか、または、チューブもしくは中空ファイバの形であり得る。薄膜を用いてもよい。所望により、例えばメッシュ支持体等の支持構造体で膜を支持してもよい。
【0064】
一態様において、1またはそれより多くの管膜をハウジング内に配置してよい。液体をハウシングに導入してよく、一方で、溶液を管膜に導入してよい。液体の溶媒濃度が溶液の溶媒濃度よりも高いとき、液体は膜を横切って溶液中に拡散する。このようにして、溶液は、次第に液体によって希釈される。希釈溶液は、管膜の内側から回収することができ、一方で、液体は、ハウジングから除去することができる。
【0065】
平面膜を用いるとき、シートは、断面において螺旋形を画定するように巻かれていてよい。
【0066】
膜のポアサイズは、分離を要する溶媒分子のサイズによって選択してよい。膜は、1〜60Å、好ましくは2〜50Å、より好ましくは5〜40Å、例えば10〜30Åの平均ポアサイズを有する。一態様において、膜は、12〜25Åの平均ポアサイズを有する。
【0067】
2またはそれより多くの異なるタイプの溶媒分子に膜を通させるポアサイズを有する膜を用いてもよい。常套の半透膜を用いてもよい。典型的には、そのような半透膜は、例えば、1〜5Åの平均ポアサイズを有する。
【0068】
選択膜を横切る溶媒のフローは、一般に、熱的条件に影響を受ける。従って、膜の各々の側の液体および溶液を、所望により加熱または冷却する。好ましくは、溶液を、30〜90℃、好ましくは50〜70℃に加熱してよい。液体を、例えば、−20〜20℃、例えば7〜12℃に冷却してよい。所望により、膜のいずれかの側で化学反応を実施してもよい。一態様では、溶液および/または液体を撹拌してよい。他の態様では、溶液および/または液体を、例えば、電気、マイクロ波および/またはレーザ電場等の外部場に付し、2つの溶液の間の浸透ポテンシャル差を高くすることができる。
【0069】
本発明の方法は、液体(例えば、廃ストリーム、海水、河川水、湖沼水または汽水)から、例えば、懸濁粒子および生体物質等の不純物(または汚染物質:contaminant)を除去する前処理工程を更に含んで成ってよい。追加または別法として、スケーリングを制御する開始抑制剤(threshold inhibitor)を液体に添加してよい。液体のpHを変更する前処理工程を用いてもよい。
【0070】
必要に応じて、溶液を処理して、例えば、懸濁粒子および生体物質等の不純物を除去してもよい。追加または別法として、スケーリングを制御する開始抑制剤を液体に添加してよい。液体のpHを変更する前処理工程を用いてもよい。
【0071】
必要に応じて、方法の工程a)を一回以上繰り返してよい。このように、工程a)からの加圧溶液を更なる選択膜の1つの側に入れてよく、また、更なる溶液を膜の他の側に入れてよい。更なる溶液は、膜の他の側にある溶液よりも高い浸透ポテンシャルを有し、膜を横切る液体の流入によって加圧状態にする。更なる溶液の圧力を用いて原動機を駆動させてもよい。
【0072】
本発明の更なる要旨により、原動機の駆動装置を提供し、該装置は
原動機、
液体よりも高い溶質濃度を有する溶液から液体を分離する選択膜を含んで成り、膜を通過する液体が溶液を加圧するように構成されているハウジング、
溶液において生じた圧力を原動機に伝達する手段、
溶液を回収する手段、
溶液から溶媒を分離して残留生成物を生成させる手段、および
残留生成物および/または分離された溶媒をハウジングにリサイクルする手段
を含んで成る。
【0073】
残留生成物を装置のハウジング内の溶液にリサイクルしてよい。別法では、本発明の他の装置のハウジング内の溶液にリサイクルしてよい。
【0074】
原動機は、溶液のエネルギーを機械力に変換するのに適当ないずれの適当な装置であってもよい。適当な原動機の例として、例えばタービン等の回転式原動機がある。このようにして、原動機を用いて発電することができる。
【0075】
別法では、原動機は、圧力交換システムであり得、またはその一部を形成していてよい。このように、原動機は、加圧溶液からのエネルギーを他の流体に移すこともできる。適当な圧力交換システムの例は、米国特許第4887942号、米国特許第5338158号、米国特許第5988993号および米国特許第6540487号に記載されている。
【0076】
本発明のこれらおよび他の要旨は、添付の図面を参照にして本明細書に記載する。
【0077】
まず、図1に関して記載する。該図は、本発明の第1態様の方法を示す。浸透セル(または槽)12、原動機14(例えば、発電装置に連結しているタービン)および分離器16を含んで成る装置10を用いて、該方法を実施する。浸透セルは、半透膜18を含んで成る。
【0078】
使用に際し、水11(例えば海水)を膜18の1つの側に導入する。30重量%の塩化ナトリウム溶液13を膜18の反対側に導入する。塩化ナトリウム溶液が、海水の全溶解固形物(TDS)濃度よりも高い塩化ナトリウム濃度を有するときに、浸透によって水が膜18を横切って流れる。膜18を横切る水の流入は、塩化ナトリウム溶液の圧力を増大させる。
【0079】
加圧された塩化ナトリウム溶液を浸透セル12から除去して原動機14に導入する。溶液は浸透工程によって加圧されているため、塩化ナトリウム溶液のポンピングは必要ない。加圧された塩化ナトリウム溶液を用いて原動機14を駆動する。生じた機械エネルギーを、例えば、電気エネルギー等の他の形態のエネルギーに変換することができる。
【0080】
次いで、塩化ナトリウム溶液を原動機14から除去して分離器16に導入してよい。分離器16において、蒸発によって水を塩化ナトリウム溶液から除去する。塩化ナトリウム溶液から水を一旦除去すると、塩化ナトリウム溶液を再利用のために浸透セルにリサイクルする。従って、浸透工程において、塩化ナトリウム溶液を補充または置換するための新たな塩化ナトリウム溶液を必要としない。
【0081】
蒸発工程で除去された水を回収して、例えば飲料水等に用いてよい。このように、本発明のこの態様を用いて海水を脱塩することができる。
【0082】
装置10を、常套の発電装置22に近接して設置する。発電装置22は、ボイラー24、原動機26(スチームタービン)、およびサーマルユニット28(発電装置のコンデンサ)を含んで成る。
【0083】
使用に際し、ポンプ30を介してボイラー24に水を導入する。燃料32の燃焼によりボイラー24で水を加熱して、過熱水蒸気を生成する。次いで、過熱水蒸気を高圧で原動機(スチームタービン)26に導入し、過熱水蒸気を用いて原動機26を駆動して機械エネルギーを発生させる。回転している原動機26の機械エネルギーを、例えば、電気エネルギー等の他の形態のエネルギーに変換することができる。
【0084】
次いで、飽和または過熱水蒸気を、原動機26から回収して、サーマルユニット28に導入する。サーマルユニットにおいて、水蒸気を水に凝縮する。水蒸気からの余剰熱を用いて、装置10の塩化ナトリウム溶液から水を蒸発させる。このように、装置10の原動機14からの塩化ナトリウム溶液を、発電装置22のサーマルユニット28において冷却剤として用いる。従って、装置10の分離器16は、発電装置22のサーマルユニット28と実質的に同一である。
【0085】
冷却したら、発電装置の凝縮水蒸気を、ポンプ30を介してボイラー24にリサイクルする。
【0086】
分離器16によって塩化ナトリウム溶液から除去した水蒸気または水を、純水生成物として用いることができ、またはユニット10にリサイクルすることができる。
【0087】
次に、図2に関して記載する。該図は、本発明の第2態様の方法を示す。装置100を用いて該方法を実施する。装置100は、図1の装置10に類似しており、装置の同じコンポーネントには、同じ数字を付している。しかしながら、装置100は、冷涼な環境での使用に適合している。従って、図1の装置10と異なり、装置100は、晶析装置である分離器116を含んで成る。使用に際し、原動機14からの新たな溶液を分離器116に導入し、周囲温度によって冷却して、氷、および濃縮された塩化ナトリウム溶液を生成する。前者は除去して廃棄するが、後者は浸透セル12にリサイクルする。
【0088】
次に、図3に関して記載する。該図は、本発明の第3態様の方法を示す。装置200を用いて該方法を実施する。装置200は、図1の装置10に類似しており、装置の同じコンポーネントには、同じ数字を付している。しかしながら、装置200は、暖かく乾燥した環境での使用に適合している。従って、図1の装置10と異なり、装置100は、自然の、または効果的な蒸発および/もしくは太陽エネルギーに依る分離器216を含んで成り、原動機14から生じた新たな溶液から溶媒を除去する。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】図1は、本発明の第1態様の方法の概略フロー図である。
【図2】図2は、本発明の第2態様の方法の概略フロー図である。
【図3】図3は、本発明の第3態様の方法の概略フロー図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原動機の駆動方法であって、
a)液体と液体よりも高い浸透ポテンシャルを有する溶液との間に選択膜を配置し、膜を横切る液体の流入により溶液を加圧状態にすること、
b)溶液において生じた圧力を用いて原動機を駆動すること、
c)溶液を回収すること、
d)溶液から溶媒の少なくともいくらかを分離して残留生成物を生成すること、ならびに
e)工程d)の分離溶媒および/または残留生成物を工程a)にリサイクルすること
を含んで成る方法。
【請求項2】
原動機は、回転式原動機である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
原動機は、圧力変換システムの一部を形成する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
溶液は、水溶液である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
溶液は、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硝酸カリウム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、塩化カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素2ナトリウムおよびカリウムミョウバンから選択した塩の溶液である、請求項1〜4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
水溶液は、水にアンモニアおよび二酸化炭素を溶解することによって生成する、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
アンモニア、二酸化炭素、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウムおよびカルバミン酸アンモニウムの水溶液である、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
溶液は、1〜400重量%の溶質濃度を有する、請求項1〜7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
液体は、淡水、海水、汽水および産業または農業プロセスからの廃ストリームから成る群から選択する、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
液体は、溶液の溶媒と同じ溶媒であるか、またはそれを含んで成る、請求項1〜9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
工程d)において、熱および/または膜分離法によって溶媒を除去する、請求項1〜10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
蒸発、蒸留および結晶化から選択した方法を用いて溶媒を除去する、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
多段フラッシュ蒸留法、多重効用蒸留法、機械的蒸気圧縮法および高速噴霧脱塩法から選択した、少なくとも1の方法によって溶媒を除去する、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
イオン交換法、電気透析法、ナノ濾過法および浸透法から選択した少なくとも1の方法によって、溶媒を除去する、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
工程d)での溶媒除去に必要なエネルギーを、風力、周囲環境の熱エネルギー、太陽エネルギー、地熱エネルギー、生物学的プロセスからのエネルギー、燃料の燃焼によるエネルギーおよび/または発電装置および他の産業プロセスからの余剰熱によって供給する、請求項1〜14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
工程d)で回収する溶媒の少なくともいくらかを、工程a)の液体にリサイクルする、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
溶液において生じた圧力を用いて溶液を高い位置に移動させること、および高い位置にある溶液のポテンシャルエネルギーを用いて原動機を駆動することを含んで成る、請求項1〜16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
原動機の駆動装置であって、
原動機、
液体を、液体よりも高い溶質濃度を有する溶液から分離する選択膜を含んで成り、膜を通過する液体が溶液を加圧するように構成されているハウジング、
溶液において生じた圧力を原動機に伝達する手段、
溶液を回収する手段、
溶液から溶媒を分離して残留生成物を生成する手段、および
残留生成物および/または分離された溶媒をハウジングにリサイクルする手段
を含んで成る装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2007−533884(P2007−533884A)
【公表日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−523048(P2006−523048)
【出願日】平成16年8月11日(2004.8.11)
【国際出願番号】PCT/GB2004/003450
【国際公開番号】WO2005/017352
【国際公開日】平成17年2月24日(2005.2.24)
【出願人】(595042184)ユニバーシティ オブ サリー (7)
【Fターム(参考)】