説明

浸透スクリューケーシング工法

【課題】施工コストが安価で維持管理費が安い、浸透スクリューケーシング工法の提供。
【解決手段】浸透スクリューケーシング工法は、切削ビットで雨水枡の底板を切削して底板下方に浅い空所を形成し、オーガースクリューで浅い空所を更に掘り下げ深穴空所64を形成して濾過石41を投入し、深穴空所64内へスクリューケーシング3Bを押し込み、その開口部に浸透フィルターを取り付ければ、既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修することができる。この浸透スクリューケーシング工法は、雨水浸透枡への改修に必要な作業時間が短くて済むので、改修コストが安価であり、長期間、目詰まりすることなく浸透性が維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する、浸透スクリューケーシング工法に関する。
【背景技術】
【0002】
雨水枡は、宅地や歩道等に降った雨水を溜めるものであり、雨水枡内の雨水は全て排水路へ流出する。
雨水浸透枡は、土中に雨水を浸透させる機能が有るため、排水路への雨水流出量を低減させることができる。
既設の雨水枡を雨水浸透枡へ改修すれば、排水路へ流出する汚濁物質の低減や、冠水防止等が図れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
従来より、既設の雨水枡の底板を回転掘削器具で穿って浸透部材収納穴を形成し、二重構造の浸透部材を浸透部材収納穴内へ配設する工法が知られている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特許第3932053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1は、下記の課題を有する。
浸透部材が装入可能な浸透部材収納穴を正確に開けるために、精密な回転掘削器具を用意する必要があり、施工コストが高くなる。
ストレーナーのフィルタ材から直接、雨水が土中に浸透する構造であるので目詰まりし易く、短期間でストレーナーを交換する必要がある。
【0005】
本発明の目的は、施工コストが安価で、維持管理費が安い、浸透スクリューケーシング工法の提供にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(請求項1について)
地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する浸透スクリューケーシング工法は、以下の工程で行う。
先部に切削ビットを配設した切削用ロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により、既設の雨水枡内を回転降下させ、切削ビットで雨水枡の底板を切削して貫通する浅い空所を底板下方に形成する(切削工程)。
【0007】
切削ビットを配設した切削用ロッドを枡外へ搬出した後、ロッド先部へ取り付けた連結具にスクリューケーシングの後端を連結した掘削用ロッドを、回転掘削機により回転降下させ、スクリューケーシングで浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する(掘削工程)。このスクリューケーシングは、先端が閉塞し後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、容器内に濾過材を配し、容器壁に複数の連通穴を穿設したものである。この掘削工程で、空所をスクリューケーシングで更に掘り下げる際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁により、掘削により生じた掘削土が上方へ上がっていき、底板上に堆積する。
【0008】
底板上に堆積した掘削土を枡外へ搬出し、回転掘削機によりロッドを上方へ引き上げ、深穴空所からスクリューケーシングを抜いて退避させ、深穴空所の容積より少ない容量の濾過石を深穴空所内へ投入する(濾過石投入工程)。
【0009】
掘削用ロッドを回転掘削機により回転降下させ、濾過石が入った深穴空所内へスクリューケーシングを押し込む(押込工程)。
押し込む際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁により、深穴空所内の濾過石が螺旋壁に案内されて上方に揚げられ、スクリューケーシング外周に濾過石層が構築される。なお、濾過石が不足していた時は、回転掘削機により掘削用ロッド(スクリューケーシング)を逆回転させ、螺旋壁の機能を利用して濾過石を上方から送り込むことにより、深穴空所−スクリューケーシング間の隙間へ濾過石を補充すれば良い。
【0010】
連結具の連結を解除し、スクリューケーシングを深穴空所内に残して掘削用ロッドを枡外へ搬出した後に、スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付ける(フィルター取付工程)。
【0011】
(請求項2について)
地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する、浸透スクリューケーシング工法は、以下の工程で行う。
先部に切削ビットを連結したロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により回転降下させ、切削ビットで雨水枡の底板を切削して底板下方に浅い空所を形成する(切削工程)。
【0012】
回転掘削機によりロッドを上方へ引き上げ、ロッド先部の切削ビットをオーガースクリューと交換し、回転掘削機によりロッドを回転降下させ、オーガースクリューで浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する(掘削工程)。なお、浅い空所をオーガースクリューで更に掘り下げる際に、掘削により生じた掘削土が上方へ上がっていき、底板上に堆積する。
堆積した掘削土を雨水枡から搬出する。
【0013】
回転掘削機によりロッドを上方へ引き上げて深穴空所からオーガースクリューを抜き、深穴空所の容積より少ない容量の濾過石を深穴空所内へ投入する(濾過石投入工程)。
【0014】
ロッドおよびオーガースクリューを枡外へ搬出した後に、先部へ取り付けた連結具にスクリューケーシングの後端を連結した押込用ロッドを、回転掘削機により回転降下させ、濾過石が入った深穴空所内へスクリューケーシングを押し込む(押込工程)。このスクリューケーシングは、先端が閉塞し後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、容器壁に連通穴を穿設したものである。
【0015】
押し込む際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁により、深穴空所内の濾過石が螺旋壁に案内されて上方に揚げられ、濾過石がスクリューケーシング外周に層状に構築される。なお、濾過石が不足していた時は、押込用ロッドを回転掘削機により逆回転させ、螺旋壁の機能を利用して濾過石を上方から送り込むことにより、深穴空所−スクリューケーシング間の隙間へ濾過石を補充すれば良い。
【0016】
連結具の連結を解除し、スクリューケーシングを深穴空所内に残して押込用ロッドを枡外へ搬出した後に、スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付ける(フィルター取付工程)。
【0017】
(請求項3について)
地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する浸透スクリューケーシング工法は、以下の工程で行う。
先部に切削ビットを配設した切削用ロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により、既設の雨水枡内を回転降下させ、切削ビットで雨水枡の底板を切削して貫通する浅い空所を底板下方に形成する(切削工程)。
【0018】
切削ビットを配設した切削用ロッドを枡外へ搬出した後、ロッド先部へ取り付けた連結具にスクリューケーシングの後端を連結した掘削用ロッドを、回転掘削機により回転降下させ、スクリューケーシングで浅い空所を更に掘り下げ、深穴空所を形成する(掘削工程)。このスクリューケーシングは、先端が閉塞し後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、容器内に濾過材を配し、容器壁に複数の連通穴を穿設したものである。
この掘削工程で、浅い空所をスクリューケーシングで更に掘り下げる際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁により、掘削により生じた掘削土が上方へ上がっていき、底板上に堆積する。
【0019】
底板上に堆積した掘削土を枡外へ搬出する。
深穴空所とスクリューケーシングとの間の隙間上方へ濾過石を配し、回転掘削機により掘削用ロッド(スクリューケーシング)を逆回転させ、螺旋壁の機能を利用して濾過石を下方へ送り込む(濾過石送込工程)。
【0020】
連結具の連結を解除し、スクリューケーシングを深穴空所内に残して掘削用ロッドを枡外へ搬出した後に、スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付ける(フィルター取付工程)。
【0021】
(請求項4について)
請求項4のスクリューケーシングは、請求項2に記載の浸透スクリューケーシング工法において、円筒容器内に濾過材を配したものである。
(請求項5について)
請求項1、3、4の何れか1項に記載の浸透スクリューケーシング工法において、スクリューケーシングの円筒容器内には、濾過材を籠内に配した網籠が、籠上部に取り付けたワイヤーを介して装脱可能に収容されている。
雨水浸透枡に改修後、長期間が経過し、スクリューケーシング内の濾過材を交換する際には、スクリューケーシングの開口部に取り付けた浸透フィルターを外した後に、ワイヤーを引き上げ、古い濾過材を網籠から出し、新しい濾過材を網籠に詰め直し、円筒容器内に収納する。
【発明の効果】
【0022】
(請求項1について)
請求項1の浸透スクリューケーシング工法は、以下の利点を有する。
改修に必要な作業時間が短くて済むので、改修コストが安価である。
濾過石が入った深穴空所内へ、スクリューケーシングを回転降下させて押し込む際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁により小さな力で深穴空所内へ押し込むことができる。 また、非回転時(改修完了後)には、スクリューケーシングと濾過石との摩擦が大きいので、スクリューケーシングを押え具で枡底に固定しなくても、スクリューケーシングの枡内への飛び出しを防止できる。
【0023】
スクリューケーシングの外周に濾過石層が構築されるため、枡内の雨水をスクリューケーシングから枡下方の土中へ目詰まりすること無く、長期間、浸透させることができる。 また、スクリューケーシングの円筒容器内に濾過材を配する構造であるので、雨水の濾過性に優れ、濾過材の変形、流出、破損が起き難い。
【0024】
(請求項2、4について)
請求項2の浸透スクリューケーシング工法は、以下の利点を有する。
浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する際に、オーガースクリューを用いているので、枡下方の地盤が比較的固い場合に、容易に改修作業を行うことができる。
【0025】
改修に必要な作業時間が短くて済むので、改修コストが安価である。
濾過石が入った深穴空所内へ、スクリューケーシングを回転降下させて押し込む際に、容器外周に周設した螺旋壁により、小さな力で深穴空所内へ押し込むことができる。また、非回転時(改修完了後)には、スクリューケーシングと濾過石との摩擦が大きいので、スクリューケーシングを押え具で枡底に固定しなくても、スクリューケーシングの枡内への飛び出しを防止できる。
ケーシング外周に濾過石層が構築されるため、枡内の雨水をスクリューケーシングから枡下方の土中へ、目詰まりすること無く、長期間、浸透させることができる。
【0026】
請求項4の浸透スクリューケーシング工法の場合、スクリューケーシングの円筒容器内に濾過材を配する構造であるので、雨水の濾過性に優れる。なお、濾過材が円筒容器内に配されているので、濾過材の変形、流出、破損が起き難い。
【0027】
(請求項3について)
請求項3の浸透スクリューケーシング工法の場合、深穴空所内からスクリューケーシングを上方へ抜く必要がない。また、濾過石の深穴空所内への投入量を予め調べておく必要がない。
よって、改修に必要な作業時間を更に短縮できるので、改修コストを、より一層低減できる。
スクリューケーシングの外周に濾過石層が構築されるため、枡内の雨水をスクリューケーシングから枡下方の土中へ目詰まりすること無く、長期間、浸透させることができる。 また、スクリューケーシングの円筒容器内に濾過材を配する構造であるので、雨水の濾過性に優れ、濾過材の変形、流出、破損が起き難い。
【0028】
(請求項5について)
雨水浸透枡に改修後、長期間が経過して浸透性が低下して来た場合には、スクリューケーシング内の濾過材を、以下の様に容易に交換することができる。
スクリューケーシングの開口部に取り付けた浸透フィルターを外す。
ワイヤーを引き上げ、古い濾過材を網籠から出す。
新しい濾過材を網籠に詰め直し、円筒容器内に収納する。
スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付ける。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】(a)〜(c)は、実施例1、2に係る切削工程の説明図である。
【図2】(a)〜(c)は、実施例1に係る掘削工程の説明図である。
【図3】(a)は実施例1、2に係る濾過石投入工程の説明図、(b)、(c)は実施例1、2に係る押込工程の説明図である。
【図4】(a)、(b)は実施例1、2に係るフィルター取付工程の説明図である。
【図5】実施例1に係るスクリューケーシングの説明図である。
【図6】(a)、(b)は実施例2に係る掘削工程の説明図、(c)は実施例2に係る濾過石投入工程の説明図である。
【図7】実施例2に係るスクリューケーシングの説明図である。
【図8】実施例1、2に係る回転掘削機の説明図である。
【図9】実施例1、2に係る切削ビットを螺着した切削用ロッドの説明図である。
【図10】実施例1、2に係るスクリューケーシングを掘削用ロッドへ連結する連結具の説明図である。
【図11】(a)〜(c)は、実施例3に係る掘削工程の説明図である。
【図12】(a)〜(c)は、実施例3に係る濾過石送込工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する浸透スクリューケーシング工法は、先端が円錐台状で後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、円筒容器内に濾過材を装填し、容器壁に複数の連通穴を穿設したスクリューケーシングを用い、以下の工程で行う。
先部に切削ビットを配設したロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により回転降下させ、切削ビットで雨水枡の底板を切削して底板下方に浅い空所を形成する(切削工程)。
【0031】
回転掘削機によりロッドを上方へ引き上げ、ロッド先部の切削ビットをオーガースクリューと交換し、回転掘削機によりロッドを回転降下させ、オーガースクリューで浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する(掘削工程)。
回転掘削機によりロッドを上方へ引き上げて深穴空所からオーガースクリューを抜き、深穴空所の容積より少ない容量の濾過石を深穴空所内へ投入する(濾過石投入工程)。
【0032】
ロッドおよびオーガースクリューを枡外へ搬出した後に、ロッド先部へ取り付けた連結具にスクリューケーシングの後端を連結した押込用ロッドを、回転掘削機により回転降下させ、濾過石が入った深穴空所内へスクリューケーシングを押し込む(押込工程)。
【0033】
連結具の連結を解除し、スクリューケーシングを深穴空所内に残して押込用ロッドを枡外へ搬出した後に、スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付ける(フィルター取付工程)。
【実施例】
【0034】
[実施例1]
本発明の実施例1(請求項1、5に対応)に係る浸透スクリューケーシング工法を用いた、雨水枡Aの雨水浸透枡Bへ改修を、図1〜図5、図8〜図10に基づいて説明する。 雨水枡Aは、底板11(コンクリート製)と、底板11の端縁から立設する枡壁12(コンクリート製)と、枡壁12下部の取付穴13に接続される流出管(ヒューム管)14と、蓋15(金属製)が嵌め込まれる天板16(コンクリート製)とにより構成され、土中に埋設されている{図1(a)、図4参照}。
この雨水枡Aは、民地や歩道から流入する雨水を一時的に溜めて流出管14へ流すためのものであり、流出管14へ排水された雨水は、排水路を経て河川に流される。
【0035】
この浸透スクリューケーシング工法を用いて改修された雨水浸透枡Bは、貫通穴10が開けられた底板11と、底板11の端縁から立設する枡壁12と、枡壁12下部の取付穴13に接続される流出管14と、蓋15が嵌め込まれる天板16と、上部が貫通穴10に臨む深穴空所64と、深穴空所64内に押し込まれたスクリューケーシング3(ステンレス、樹脂、鋼製)と、スクリューケーシング3の外側に構築された濾過石41の層と、スクリューケーシング3の開口部に取り付けられた浸透フィルター4とを備え、土中に埋設されている{図4(b)参照}。
【0036】
この浸透スクリューケーシング工法を用いた、雨水枡Aの雨水浸透枡Bへの改修は、以下の手順で行う。
(切削工程)
先部に切削ビット51を螺着した切削用ロッド52の基部を、地表に据え付けた回転掘削機5の駆動クランプ53に取り付ける{図1(a)参照}。
回転掘削機5(図8参照)を作動させて切削用ロッド52(図9参照)を回転降下させ、切削ビット51の切削刃54で雨水枡Aの底板11を切削して、底板11を貫通する浅い空所63を底板11下方に形成する{図1(b)参照}。なお、61は切削ビット51の切削刃54が切削した部分の底板11のコンクリート板であり、62は土である。
切削ビット51を配設した切削用ロッド52を引き上げ、コンクリート板61および土62を枡外へ撤去すると底板11下方に浅い空所63が形成される{図1(c)参照}。
【0037】
(掘削工程)
切削ビット51を螺着した切削用ロッド52を枡外へ搬出した後、先部に連結具7を固定した掘削用ロッド55の基部を回転掘削機5の駆動クランプ53に取り付ける。つぎに、連結具7の爪71を切欠30へ嵌め込んで掘削用ロッド55へスクリューケーシング3を固定する(図10参照)。
【0038】
回転掘削機5を作動させ、スクリューケーシング3を固定した掘削用ロッド55を回転降下させ、スクリューケーシング3で浅い空所63を更に掘り下げ深穴空所64を形成する{図2(a)〜(c)参照}。この掘削工程で、浅い空所63をスクリューケーシング3で更に掘り下げる際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁31により、掘削により生じた掘削土60が上方へ上がっていき、底板11上に堆積する。
【0039】
スクリューケーシング3は、先端が円錐台状を呈し、切欠30を設けた後端が開口する円筒容器の外周に螺旋壁31を周設し、容器壁に複数の連通穴hを穿設したものである。そして、円筒容器内に、網籠34が、籠上部に取り付けたワイヤーwを介して装脱可能に収容されている(図5参照)。
なお、網籠34内には、網籠内壁に臨む袋状フィルター35と、袋状フィルター35内に詰められる多数の砕石33とからなる濾過材が封入されている。
【0040】
(濾過石投入工程)
回転掘削機5を作動させて掘削用ロッド55を上方へ引き上げ、深穴空所64からスクリューケーシング3を抜いて退避させ、底板11上に堆積した掘削土60を枡外へ搬出し、深穴空所64の容積より少ない容量(深穴空所64の容積−スクリューケーシング3の容積)の濾過石41を深穴空所64内へ投入する{図2(c)、図3(a)参照}。
【0041】
(押込工程)
図3(b)に示す様に、回転掘削機5を作動させて掘削用ロッド55を回転降下させ、濾過石41が入った深穴空所64内へスクリューケーシング3を押し込む。押し込む際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁31により、深穴空所64内の濾過石41が螺旋壁31に案内されて上方に揚げられ、スクリューケーシング3の外周に濾過石41の層が構築される{図3(c)参照}。なお、濾過石41が不足している場合は、回転掘削機5を作動させて掘削用ロッド55(スクリューケーシング3)を回転上昇させ、濾過石41を上方から下方へ送り込むことにより、深穴空所64−スクリューケーシング3間の隙間へ補充すれば良い。
【0042】
(フィルター取付工程)
連結具7の爪71を切欠30から外して、連結具7と掘削用ロッド55との締結を解除し、スクリューケーシング3を深穴空所64内に残して掘削用ロッド55を枡外へ搬出する。
続いて、スクリューケーシング3の開口部に浸透フィルター4を嵌め込んで取り付ける{図4(a)参照}。
回転掘削機5を撤収し、蓋15を天板16に嵌め込むと、雨水浸透枡Bが完成する{図4(b)参照}。
【0043】
実施例1の浸透スクリューケーシング工法を用いた雨水枡Aの雨水浸透枡Bへ改修方法は、以下の利点を有する。
比較的短い作業時間で、雨水枡Aを雨水浸透枡Bへ改修することができ、改修に伴う工事費が安価である。
【0044】
図3(b)に示す様に、濾過石41が入った深穴空所64内へ、スクリューケーシング3を回転降下させて押し込む際に、円筒容器外周に螺旋壁31を周設しているので、小さな力で深穴空所64内へ押し込むことができる。
雨水浸透枡Bへ改修が完了して、濾過石41が入った深穴空所64内へスクリューケーシング3が押し込まれていると、スクリューケーシング3と濾過石41との摩擦が大きいので、スクリューケーシング3が枡内へ飛び出さない。つまり、スクリューケーシング3を枡底に固定するための押え具が不要である。
【0045】
スクリューケーシング3の外周に濾過石41の層が構築されるため、枡内の雨水をスクリューケーシング3から枡下方の土中へ、目詰まりすること無く、長期間、浸透させることができる。
【0046】
雨水浸透枡Bは、スクリューケーシング3の円筒容器内に、網籠34が、籠上部に取り付けたワイヤーwを介して装脱可能に収容され、網籠34内には、網籠内壁に臨む袋状フィルター35と、袋状フィルター35内に詰められる多数の砕石33とからなる濾過材がが配されている。このため、雨水の濾過性に優れるとともに、濾過材の変形、流出、破損が起き難い。
【0047】
雨水枡Aを雨水浸透枡Bへ改修した後、長期間が経過して雨水浸透枡Bの浸透性が低下して来た場合には、スクリューケーシング3内の袋状フィルター35および砕石33を、以下の様に容易に交換することができる。
スクリューケーシング3の開口部に取り付けた浸透フィルター4を取り外す。
ワイヤーwを引き上げ、古い砕石33および袋状フィルター35を網籠34から出す。 新しい砕石33および袋状フィルター35を網籠34に詰め直し、網籠34を円筒容器内に収納する。
スクリューケーシング3の開口部に浸透フィルター4を取り付ける。
【0048】
[実施例2]
つぎに、本発明の実施例2(請求項2、4に対応)に係る、浸透スクリューケーシング工法を用いた、雨水枡Aの雨水浸透枡Cへ改修を、図1、図3、図4、図6〜図10に基づいて説明する。
【0049】
雨水枡Aは、実施例1と同様のものである。
浸透スクリューケーシング工法を用いて改修された雨水浸透枡Cは、貫通穴10が開けられた底板11と、底板11の端縁から立設する枡壁12と、枡壁12下部の取付穴13に接続される流出管14と、蓋15が嵌め込まれる天板16と、上部が貫通穴10に臨む深穴空所2と、深穴空所2内に押し込まれたスクリューケーシング3B(ステンレス、樹脂、鋼製)と、スクリューケーシング3Bの外側に構築された濾過石41の層と、スクリューケーシング3Bの開口部に取り付けられた浸透フィルター4とを備え、土中に埋設されている{図4(b)参照}。
【0050】
浸透スクリューケーシング工法を用いた、雨水枡Aの雨水浸透枡Cへの改修は、以下の手順で行う。
(切削工程)
先部に切削ビット51を螺着した切削用ロッド52の基部を、地表に据え付けた回転掘削機5の駆動クランプ53に取り付ける{図1(a)参照}。
回転掘削機5を作動させて切削用ロッド52を回転降下させ、切削ビット51の切削刃54で雨水枡Aの底板11を切削して、底板11を貫通する浅い空所63を底板11の下方に形成する{図1(b)参照}。なお、61は切削ビット51の切削刃54が切削した部分の底板11のコンクリート板であり、62は土である。
切削ビット51を螺着した切削用ロッド52を引き上げ、コンクリート板61および土62を枡外へ撤去すると、底板11の下方に浅い空所63が形成される{図1(c)参照}。
【0051】
(掘削工程)
切削用ロッド52の先部から切削ビット51を外してオーガースクリュー8を螺着した後、回転掘削機5を作動させて切削用ロッド52を回転降下させて、オーガースクリュー8で浅い空所63を更に掘り下げ深穴空所64を形成する{図6(a)、(b)参照}。 この掘削工程で、浅い空所63をオーガースクリュー8で更に掘り下げる際に、掘削により生じた掘削土60が上方へ上がっていき、底板11上に堆積する。
【0052】
(濾過石投入工程)
回転掘削機5を作動させて切削用ロッド52を上方へ引き上げ、深穴空所64からオーガースクリュー8を抜いて退避させ、底板11上に堆積した掘削土60を枡外へ搬出し{図6(c)参照}、深穴空所64の容積より少ない容量(深穴空所64の容積−スクリューケーシング3の容積)の濾過石41を深穴空所64内へ投入する。
【0053】
図7に示す如く、スクリューケーシング3Bは、先端が円錐台状を呈し、後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁31を周設し、円筒容器内に濾過材を配し、容器壁に複数の連通穴hを穿設したものである。
濾過材は、スクリューケーシング3Bの内壁(約2/3位置迄)に臨む袋状フィルター32と、袋状フィルター32内に詰められる多数の砕石33とからなる。
【0054】
(押込工程)
切削ビット51を螺着した切削用ロッド52を枡外へ搬出した後、先部に連結具7を固定した掘削用ロッド55(以下、第2実施例において押込用ロッド55という、図10参照)の基部を回転掘削機5の駆動クランプ53に取り付ける。つぎに、連結具7の爪71を切欠30へ嵌め込んで押込用ロッド55へスクリューケーシング3Bを固定する{図3(a)参照}。
【0055】
回転掘削機5を作動させて押込用ロッド55を回転降下させ、濾過石41が入った深穴空所64内へスクリューケーシング3Bを押し込む。押し込む際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁31により、深穴空所64内の濾過石41が螺旋壁31に案内されて上方に揚げられ、スクリューケーシング3の外周に濾過石41の層が構築される{図3(b)、(c)参照}。なお、濾過石41が不足している場合は、回転掘削機5の駆動クランプ53により押込用ロッド55を回転上昇させ、濾過石41を上方から下方へ送り込むことにより、深穴空所64−スクリューケーシング3間の隙間へ補充すれば良い。
【0056】
(フィルター取付工程)
連結具7の爪71を切欠30から出して、連結具7と押込用ロッド55との締結を解除し、スクリューケーシング3を深穴空所64内に残して押込用ロッド55を枡外へ搬出する。
続いて、スクリューケーシング3の開口部に浸透フィルター4を嵌め込んで取り付ける{図4(a)参照}。
回転掘削機5を撤収し、蓋15を天板16に嵌め込むと、雨水浸透枡Cが完成する{図4(b)参照}。
【0057】
実施例2の浸透スクリューケーシング工法を用いた雨水枡Aの雨水浸透枡Cへ改修方法は、以下の利点を有する。
比較的短い作業時間で、雨水枡Aを雨水浸透枡Cへ改修することができ、改修に伴う工事費が安価である。
【0058】
図3(b)に示す様に、濾過石41が入った深穴空所64内へ、スクリューケーシング3を回転降下させて押し込む際に、スクリューケーシング3の円筒容器外周に周設した螺旋壁31により、小さな力で深穴空所64内へ押し込むことができる。
【0059】
雨水浸透枡Cへ改修が完了して、濾過石41が入った深穴空所64内へスクリューケーシング3が押し込まれていると、スクリューケーシング3と濾過石41との摩擦が大きいので、スクリューケーシング3が枡内へ飛び出さない。つまり、スクリューケーシング3Bを枡底に固定するための押え具が不要である。
【0060】
スクリューケーシング3Bの外周に濾過石41の層が構築されるため、枡内の雨水をスクリューケーシング3から枡下方の土中へ、目詰まりすること無く、長期間、浸透させることができる。
浅い空所63を更に掘り下げ、深穴空所64を形成する際に、オーガースクリュー8を用いているので、枡下方の地盤が比較的固い場合でも、容易に改修作業を行うことができる。
【0061】
[実施例3]
つぎに、本発明の実施例3(請求項3〜5に対応)に係る、浸透スクリューケーシング工法を用いた、雨水枡Aの雨水浸透枡Dへの改修を、図1、図4、図5、図8〜図12に基づいて説明する。
既設の雨水枡Aは、実施例1と同様のものである。
この浸透スクリューケーシング工法を用いて改修された雨水浸透枡Dは、貫通穴10が開けられた底板11と、底板11の端縁から立設する枡壁12と、枡壁12下部の取付穴13に接続される流出管14と、蓋15が嵌め込まれる天板16と、上部が貫通穴10に臨む深穴空所64と、深穴空所64内に押し込まれたスクリューケーシング3(ステンレス、樹脂、鋼製)と、スクリューケーシング3の外側に構築された濾過石41の層と、スクリューケーシング3の開口部に取り付けられた浸透フィルター4とを備え、土中に埋設されている{図4(b)参照}。
【0062】
この浸透スクリューケーシング工法を用いた、雨水枡Aの雨水浸透枡Dへの改修は、以下の手順で行う。
(切削工程)
先部に切削ビット51を螺着した切削用ロッド52の基部を、地表に据え付けた回転掘削機5の駆動クランプ53に取り付ける{図1(a)参照}。
回転掘削機5(図8参照)を作動させて切削用ロッド52(図9参照)を回転降下させ、切削ビット51の切削刃54で雨水枡Aの底板11を切削して、底板11を貫通する浅い空所63を底板11下方に形成する{図1(b)参照}。なお、61は切削ビット51の切削刃54が切削した部分の底板11のコンクリート板であり、62は土である。
切削ビット51を配設した切削用ロッド52を引き上げ、コンクリート板61および土62を枡外へ撤去すると底板11下方に浅い空所63が形成される{図1(c)参照}。
【0063】
(掘削工程)
切削ビット51を螺着した切削用ロッド52を枡外へ搬出した後、先部に連結具7を固定した掘削用ロッド55の基部を回転掘削機5の駆動クランプ53に取り付ける。つぎに、連結具7の爪71を切欠30へ嵌め込んで掘削用ロッド55へスクリューケーシング3を固定する(図10参照)。
【0064】
回転掘削機5を作動させ、スクリューケーシング3を固定した掘削用ロッド55を回転降下させ、スクリューケーシング3で浅い空所63を更に掘り下げ深穴空所64を形成する{図11(a)〜(c)参照}。この掘削工程で、浅い空所63をスクリューケーシング3で更に掘り下げる際に、円筒容器の外周に周設した螺旋壁31により、掘削により生じた掘削土60が上方へ上がっていき、底板11上に堆積する。
【0065】
スクリューケーシング3は、先端が円錐台状を呈し、切欠30を設けた後端が開口する円筒容器の外周に螺旋壁31を周設し、容器壁に複数の連通穴hを穿設したものである。そして、円筒容器内に、網籠34が、籠上部に取り付けたワイヤーwを介して装脱可能に収容されている(図5参照)。
なお、網籠34内には、網籠内壁に臨む袋状フィルター35と、袋状フィルター35内に詰められる多数の砕石33とからなる濾過材が封入されている。
【0066】
(濾過石送込工程)
底板11上に堆積した掘削土60を枡外へ搬出する{図11(c)参照}。
深穴空所64とスクリューケーシング3との間の隙間上方へ濾過石41を配し、回転掘削機5により掘削用ロッド55(スクリューケーシング3)を逆回転させ、螺旋壁31の機能を利用して濾過石41を下方へ送り込む{図12(a)、(b)、(c)参照}。
【0067】
(フィルター取付工程)
連結具7の爪71を切欠30から外して、連結具7と掘削用ロッド55との締結を解除し、スクリューケーシング3を深穴空所64内に残して掘削用ロッド55を枡外へ搬出する。
続いて、スクリューケーシング3の開口部に浸透フィルター4を嵌め込んで取り付ける{図4(a)参照}。
回転掘削機5を撤収し、蓋15を天板16に嵌め込むと、雨水浸透枡Dが完成する{図4(b)参照}。
【0068】
実施例3の浸透スクリューケーシング工法を用いた雨水枡Aの雨水浸透枡Dへの改修方法は、以下の利点を有する。
実施例3の浸透スクリューケーシング工法の場合、深穴空所64内からスクリューケーシング3を上方へ抜く必要がない。また、濾過石41の深穴空所64内への投入量を予め調べておく必要がない。
よって、改修に必要な作業時間を更に短縮できるので、改修コストを、より一層低減できる。
【0069】
雨水浸透枡Dは、スクリューケーシング3の外周に濾過石41の層が構築されるため、枡内の雨水をスクリューケーシング3から枡下方の土中へ目詰まりすること無く、長期間、浸透させることができる。また、スクリューケーシング3の円筒容器内に濾過材を配する構造であるので、雨水の濾過性に優れ、濾過材の変形、流出、破損が起き難い。
【0070】
雨水浸透枡Dは、スクリューケーシング3の円筒容器内に、網籠34が、籠上部に取り付けたワイヤーwを介して装脱可能に収容され、網籠34内には、網籠内壁に臨む袋状フィルター35と、袋状フィルター35内に詰められる多数の砕石33とからなる濾過材がが配されている。このため、雨水の濾過性に優れるとともに、濾過材の変形、流出、破損が起き難い。
【0071】
雨水枡Aを雨水浸透枡Dへ改修した後、長期間が経過して雨水浸透枡Dの浸透性が低下して来た場合には、スクリューケーシング3内の袋状フィルター35および砕石33を、以下の様に容易に交換することができる。
スクリューケーシング3の開口部に取り付けた浸透フィルター4を取り外す。
ワイヤーwを引き上げ、古い砕石33および袋状フィルター35を網籠34から出す。 新しい砕石33および袋状フィルター35を網籠34に詰め直し、網籠34を円筒容器内に収納する。
スクリューケーシング3の開口部に浸透フィルター4を取り付ける。
【0072】
[変形例1]
実施例1〜3において、スクリューケーシング内の濾過材は、袋状フィルターまたは砕石の何れか一方だけでも良い。
[変形例2]
実施例1、2において、押込工程の時点で、濾過材がスクリューケーシング内へ装填されていなくても良く、押込工程の完了後に、濾過材をスクリューケーシング内へ装填する様にしても良い。
[変形例3]
実施例1〜3において、濾過材は、浸透フィルターと分離していても、一体化していても良い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
この浸透スクリューケーシング工法を採用すれば、地中に埋設した既設の雨水枡を、短い作業時間で、且つ安価に雨水浸透枡に改修でき、浸透性が長期間、維持できる。
【符号の説明】
【0074】
A 雨水枡
B、C、D 雨水浸透枡
h 連通穴
w ワイヤー
3、3B スクリューケーシング
4 浸透フィルター
5 回転掘削機
7 連結具
11 底板
31 螺旋壁
33 砕石(濾過材)
35 袋状フィルター(濾過材)
41 濾過石
51 切削ビット
52 切削用ロッド
55 掘削用ロッド、押込用ロッド
63 浅い空所
64 深穴空所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
先端が閉塞し後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、容器内に濾過材を配し、容器壁に複数の連通穴を穿設したスクリューケーシングを用いて、地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する、浸透スクリューケーシング工法であって、
先部に切削ビットを配設した切削用ロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により回転降下させ、前記切削ビットで前記雨水枡の底板を切削して、底板下方に浅い空所を形成する切削工程と、
前記切削ビットを配設した切削用ロッドを枡外へ搬出した後、ロッド先部へ取り付けた連結具に前記スクリューケーシングの後端を連結した掘削用ロッドを、前記回転掘削機により回転降下させ、前記スクリューケーシングで前記浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する掘削工程と、
前記回転掘削機により前記掘削用ロッドを上方へ引き上げ、前記深穴空所から前記スクリューケーシングを抜いて退避させ、深穴空所の容積より少ない容量の濾過石を深穴空所内へ投入する濾過石投入工程と、
前記掘削用ロッドを前記回転掘削機により回転降下させ、前記濾過石が入った深穴空所内へ前記スクリューケーシングを押し込む押込工程と、
前記連結具の連結を解除し、前記スクリューケーシングを深穴空所内に残して前記掘削用ロッドを枡外へ搬出した後に、前記スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付けるフィルター取付工程とからなる浸透スクリューケーシング工法。
【請求項2】
先端が閉塞し後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、容器壁に連通穴を穿設したスクリューケーシングを用いて、地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する、浸透スクリューケーシング工法であって、
先部に切削ビットを連結したロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により回転降下させ、前記切削ビットで前記雨水枡の底板を切削して、底板下方に浅い空所を形成する切削工程と、
前記回転掘削機により前記ロッドを上方へ引き上げ、ロッド先部の前記切削ビットをオーガースクリューと交換し、前記回転掘削機により前記ロッドを回転降下させ、前記オーガースクリューで前記浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する掘削工程と、
前記回転掘削機により前記ロッドを上方へ引き上げて前記深穴空所から前記オーガースクリューを抜き、前記深穴空所の容積より少ない容量の濾過石を深穴空所内へ投入する濾過石投入工程と、
前記ロッドおよび前記オーガースクリューを枡外へ搬出した後に、ロッド先部へ取り付けた連結具に前記スクリューケーシングの後端を連結した押込用ロッドを、前記回転掘削機により回転降下させ、前記濾過石が入った深穴空所内へ前記スクリューケーシングを押し込む押込工程と、
前記連結具の連結を解除し、前記スクリューケーシングを前記深穴空所内に残して前記押込用ロッドを枡外へ搬出した後に、前記スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付けるフィルター取付工程とからなる浸透スクリューケーシング工法。
【請求項3】
先端が閉塞し後端が開口した円筒容器の外周に螺旋壁を周設し、容器内に濾過材を配し、容器壁に複数の連通穴を穿設したスクリューケーシングを用いて、地中に埋設した既設の雨水枡を雨水浸透枡に改修する、浸透スクリューケーシング工法であって、
先部に切削ビットを配設した切削用ロッドを、地表に据え付けた回転掘削機により回転降下させ、前記切削ビットで前記雨水枡の底板を切削して、底板下方に浅い空所を形成する切削工程と、
前記切削ビットを配設した切削用ロッドを枡外へ搬出した後、ロッド先部へ取り付けた連結具に前記スクリューケーシングの後端を連結した掘削用ロッドを、前記回転掘削機により回転降下させ、前記スクリューケーシングで前記浅い空所を更に掘り下げ深穴空所を形成する掘削工程と、
前記深穴空所と前記スクリューケーシングとの間の隙間上方へ濾過石を配し、前記回転掘削機により前記掘削用ロッドを逆回転させ、前記螺旋壁を利用して前記濾過石を下方へ送り込む濾過石送込工程と、
前記連結具の連結を解除し、前記スクリューケーシングを深穴空所内に残して前記掘削用ロッドを枡外へ搬出した後に、前記スクリューケーシングの開口部に浸透フィルターを取り付けるフィルター取付工程とからなる浸透スクリューケーシング工法。
【請求項4】
前記スクリューケーシングの円筒容器内に濾過材を配したことを特徴とする請求項2に記載の浸透スクリューケーシング工法。
【請求項5】
請求項1、3、4の何れか1項に記載の浸透スクリューケーシング工法において、
前記スクリューケーシングの円筒容器内には、濾過材を籠内に配した網籠が、籠上部に取り付けたワイヤーを介して装脱可能に収容されていることを特徴とする浸透スクリューケーシング工法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2011−190567(P2011−190567A)
【公開日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−54981(P2010−54981)
【出願日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【出願人】(599024001)株式会社サンリツ (20)
【Fターム(参考)】