説明

浸透促進剤

【課題】身体に安全かつ優れた浸透促進剤を提供することである。
【解決手段】下記一般式(1)の化合物を含有する浸透促進剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浸透促進剤に関する発明である。本発明は、該浸透促進剤を用いて、有効成分の身体への浸透性を促進することに関する発明である。
【背景技術】
【0002】
化粧料又は皮膚外用剤の有効成分を身体、例えば、皮膚、毛髪、爪など、への浸透を促進させることは、有効成分の効果を高めるために重要である。そのため、従来から種々の浸透促進剤が用いられている。例えば、ジメチルスルホキシド、オレイン酸、ベンジルアルコール等が挙げられるが、皮膚刺激性、皮膚感作性等の安全性、又は使用感の問題があった。
【0003】
また、分子内に疎水基と親水基とを2個以上づつ有する化合物(多鎖多親水基型化合物)は、身体に対して低刺激性であり、ダメージを受けた皮膚や毛髪を修復する機能等を有することが知られているが、浸透促進能については、全く知られてなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】WO2006/134890
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】Advanced Drug Delivery Reviews 56(2004)603−618
【非特許文献2】Chem.Pharm.Bull.,36(1988)1519−1528
【非特許文献3】Chem.Pharm.Bull.,29(1981)519−531
【非特許文献4】Chem.Pharm.Bull.,29(1981)1708−1714
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したように、身体に安全な浸透促進剤を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、前記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、特定の化合物、即ち、分子内に疎水基と親水基とを2個以上づつ有する化合物(多鎖多親水基型化合物)に着目し、有効成分と併用することで身体への浸透が促進されることを見出し、本発明の完成に至った。すなわち、本発明は下記に示す通りである。すなわち、本発明は下記に示す通りである。
[1]下記一般式(1)で示される化合物を含有する浸透促進剤。
【化1】


(上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す。Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖を示す。)
[2]一般式(1)のXの炭素数が1〜40である[1]に記載の浸透促進剤。
[3]下記一般式(2)で示される化合物を含有する[1]または[2]に記載の浸透促進剤。
【化2】


(上記一般式(2)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、X’はカルボキシル基またはその塩、−NHR’基(R’は、水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)、−OH基、−SH基のうち少なくともいずれか一つを有する炭素数が1〜20の炭化水素鎖を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではない。)
[4]身体に対して作用することを特徴とす[1]〜[3]の何れかに記載の浸透促進剤。
[5]皮膚に対して作用することを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の浸透促進剤。
[6]毛髪に対して作用することを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の浸透促進剤。
[7]爪に対して作用することを特徴とする[1]〜[3]の何れかに記載の浸透促進剤。
[8]水溶性の有効成分を浸透促進させることを特徴とする[1]〜[7]の何れかに記載の浸透促進剤。
[9]油溶性の有効成分を浸透促進させることを特徴とする[1]〜[7]の何れかに記載の浸透促進剤。
[10][1]〜[7]の何れかに記載の浸透促進剤と有効成分とを含有する化粧料。
[11][1]〜[7]の何れかに記載の浸透促進剤と有効成分とを含有する皮膚外用剤。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、特定の化合物、即ち、分子内に疎水基と親水基とを2個以上づつ有する化合物(多鎖多親水基型化合物)と有効成分とを併用することで、身体への有効成分の浸透を促進させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の浸透促進剤は、特定の一般式(1)又は(2)で示される化合物を含有する浸透促進剤である。
下記一般式(1)で示される化合物について説明する。
【化3】


一般式(1)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基である。好ましくは、炭素数が7から17の炭化水素基である。一般式(1)において、Rは水素または、カルボキシル基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基である。炭化水素基の具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシ(イソ)プロピル基、ジヒドロキシ(イソ)プロピル基、カルボキシメチル基、カルボキシエチル基、カルボキシプロピル基及びスルホエチル基等を挙げることができる。好ましくは、水素である。一般式(1)において、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩である。好ましくは、カルボキシル基又はその塩である。
【0010】
Yは、種々の塩基性物質との間に塩を形成し得る。塩を形成しうる金属の具体例を以下で挙げる。
【0011】
アルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム及びリチウム等が挙げられる。アルカリ土類金属としては、カルシウム及びマグネシウム等が挙げられる。上記した以外の金属としては、アルミニウム、亜鉛、鉄、コバルト、チタン及びジルコニウム、銀等の塩が挙げられる。また、上記した金属を含む塩基性物質としては、特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0012】
有機アミン塩としては、アンモニア、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリイソプロパノールアミン等の塩が挙げられる。
【0013】
塩基性アミノ酸塩としては、アルギニン及びリジンの塩が挙げられる。
【0014】
その他にも、アンモニウム塩や多価金属塩等が挙げられる。
また、一般式(1)において、Yは上記した塩から任意に選ばれる1種又は2種以上の塩を含んでいてもよい。一般式(1)において、Zは、−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−である。
【0015】
次に一般式(1)中のXについて説明する。
Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖である。Xは、直鎖でも分枝鎖でも環状鎖でも芳香族炭化水素鎖でもよい。また、Xは、置換基を有していてもよく、特にカルボキシル基を有していることが好ましい。Xの炭素数は、好ましくは1〜40であり、分子量は28〜2000が好ましい。
また、Xがカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基及びリン酸エステル基等を含む場合は、種々の塩基性物質との間に塩を形成してもよい。塩を形成しうる金属及びその金属を含む塩基性物質としては、上記したものが挙げられる。また、一般式(1)中の括弧内の部分はn個あり、それぞれ同一でも異なっていてもよい。
【0016】
下記一般式(2)で示される化合物は、一般式(1)で示される化合物における、n=2の場合の一例である。その化合物を用いた浸透促進剤は、身体への有効成分への優れた浸透促進能が見られるため特に好ましい。
【化4】


上記一般式(2)において、X’は、カルボキシル基またはその塩、−NHR’基(R’は、水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)、−OH基、−SH基のうち少なくともいずれか一つを有する炭素数が1〜20の炭化水素鎖を示す。また、R、R、Y、Z、j、kは一般式(1)と同様である。
一般式(1)で示される化合物の製造方法としては、下記一般式(3)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物と、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる官能基をm個(mはn以上)有する分子量100万以下の化合物(以下、m価の化合物とする)とを、反応させることにより得ることができる。
【化5】


一般式(3)で示されるN−アシル酸性アミノ酸無水物とは、酸性アミノ酸がN−アシル化された無水物である。N−アシル酸性アミノ酸無水物は、光学異性体であるD−体、L−体、ラセミ体のいずれであってもよい。特に、L−体であるL−酸性アミノ酸が、生分解性に優れることから好ましい。
【0017】
酸性アミノ酸は、分子中に存在するカルボキシル基の数がアミノ基より多いものである。例えば、カルボキシル基とアミノ基の数がそれぞれ2個と1個であるモノアミノジカルボン酸などが挙げられる。アミノ基の水素は、炭素数1〜3の炭化水素基で置換されていてもよい。酸性アミノ酸の具体例としては、グルタミン酸、アスパラギン酸が挙げられる。
【0018】
m価の化合物は、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる官能基をm個(m≧n、かつ、2〜20の整数)有する分子量100万以下の化合物である。ここで、m価の化合物は、m個の官能基に由来する結合を作り得る。つまり、ヒドロキシル基は、エステル結合を作り、アミノ基は酸アミド結合を作り、チオール基はチオエステル結合を作ることができる。また、この化合物は上記した官能基以外の置換基を有していてもよい。
【0019】
このようなm価の化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。分子内にヒドロキシル基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
【0020】
2価のヒドロキシル化合物としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、シクロヘキサンジオール、ジメチロールシクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、イソプレングリコール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ソルバイト、カテコール、レゾルシン、ヒドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、水添ビスフェノールA、水添ビスフェノールF、ダイマージオール、ジメチロールプロピオン酸、ジメチロールブタン酸、酒石酸、ジヒドロキシ酒石酸、メバロン酸、3,4−ジヒドロキシケイ皮酸、3,4−ジヒドロキシヒドロけい皮酸、ヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシステアリン酸、ジヒドロキシフェニルアラニン等が挙げられる。
【0021】
3価のヒドロキシル化合物としては、グリセリン、トリオキシイソブタン、1,2,3−ブタントリオール、1,2,3−ペンタントリオール、2−メチル−1,2,3−プロパントリオール、2−メチル−2,3,4−ブタントリオール、2−エチル−1,2,3−ブタントリオール、2,3,4−ペンタントリオール、2,3,4−ヘキサントリオール、4−プロピル−3,4,5−ヘプタントリオール、2,4−ジメチル−2,3,4−ペンタントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,4−ペンタントリオール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン及びトリヒドロキシステアリン酸等が挙げられる。
【0022】
4価のヒドロキシル化合物としては、ペンタエリスリトール、エリスリトール、1,2,3,4−ペンタンテトロール、2,3,4,5−ヘキサンテトロール、1,2,4,5−ペンタンテトロール、1,3,4,5−ヘキサンテトロール、ジグリセリン及びソルビタン等が挙げられる。
【0023】
5価のヒドロキシル化合物としては、アドニトール、アラビトール、キシリトール及びトリグリセリン等が挙げられる。
【0024】
6価のヒドロキシル化合物としては、ジペンタエリスリトール、ソルビトール、マンニトール、イジトール、イノシトール、ダルシトール、タロース及びアロース等が挙げられる。
【0025】
又は上記した2〜6価のヒドロキシル化合物の脱水縮合物やポリグリセリン等が挙げられる。
【0026】
また、m価のポリヒドロキシル化合物として、糖類も挙げられる。以下でその具体例を挙げる。
【0027】
テトロースとしては、エリスロース、スレオース及びエリスルロース等が挙げられる。ペントースとしては、リボース、アラビノース、キシロース、リクソース、キシルロース及びリブロース等が挙げられる。単糖類としては、アロース、アルトロース、グルコース、マンノース、ギューロース、イドース、ガラクトース、タロース、フラクトース、ソルボース、プシコース及びタガトース等のヘキソース等が挙げられる。
【0028】
オリゴ糖類としては、マルトース、イソマルトース、セロビオース、ゲンチオビオース、メリビオース、ラクトース、ツラノース、トレハロース、サッカロース、マンニトリオース、セロトリオース、ゲンチアノース、ラフィノース、メレチトース、セロテトロース及びスタキオース等が挙げられる。
【0029】
その他の糖類としては、ヘプトース、デオキシ糖、アミノ糖、チオ糖、セレノ糖、アルドン糖、ウロン酸、糖酸、ケトアルドン酸、アンヒドロ糖、不飽和糖、糖エステル、糖エーテル及びグリコシド等の残基でもよく、デンプン、グリコーゲン、セルロース、キチン及びキトサン等の多糖類又は上記した糖類を加水分解したものでもよい。
【0030】
分子内にアミノ基を2個以上有する化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。
脂肪族ジアミン類としては、N,N’−ジメチルヒドラジン、エチレンジアミン、N,N’−ジメチルエチレンジアミン、ジアミノプロパン、ジアミノブタン、ジアミノペンタン、ジアミノヘキサン、ジアミノヘプタン、ジアミノオクタン、ジアミノノナン、ジアミノデカン、ジアミノドデカン、ジアミノアジピン酸、ジアミノプロパン酸、ジアミノブタン酸等が挙げられる。
脂肪族トリアミン類としては、ジエチレントリアミン、トリアミノヘキサン、トリアミノドデカン、1,8−ジアミノ−4−アミノメチル−オクタン、2,6−ジアミノカプリン酸−2−アミノエチルエステル、1,3,6−トリアミノヘキサン、1,6,11−トリアミノウンデカン、ジ(アミノエチル)アミン等が挙げられる。
脂環族ポリアミン類としては、ジアミノシクロブタン、ジアミノシクロヘキサン、3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミン及びトリアミノシクロヘキサン等が挙げられる。
芳香族ポリアミン類としては、ジアミノベンゼン、ジアミノトルエン、ジアミノ安息香酸、ジアミノアントラキノン、ジアミノベンゼンスルホン酸、ジアミノ安息香酸等が挙げられる。
芳香脂肪族ポリアミン類としては、ジアミノキシレン、ジ(アミノメチル)ベンゼン、ジ(アミノメチル)ピリジン、ジ(アミノメチル)ナフタレン等が挙げられる。ジアミノヒドロキシプロパンのように、上記したアミン類誘導体にヒドロキシル基が置換したポリアミン類等が挙げられる。
また、アミノ酸類としては、セリン、トレオニン、システイン、シスチン、シスチンジスルホキシド、シスタチオニン、メチオニン、アルギニン、リジン、チロシン、ヒスチジン、トリプトファン及びオキシプロリン等が挙げられる。これらのアミノ酸は、タンパク質やペプチド等、又はそれらを加水分解したもの等でもよい。
分子内にチオール基を2個以上有する化合物の具体例としては、ジチオエチレングリコール、ジチオエリトリトール及びジチオトレイトール等のジチオール化合物類等を挙げることができる。ここで、m価の化合物は、ヒドロキシル基、アミノ基、チオール基から選ばれる官能基を2種以上有していてもよい。その例を以下で挙げる。
【0031】
分子内にアミノ基とヒドロキシル基を有する化合物としては、アミノエタノール、アミノプロパノール、アミノブタノール、アミノペンタノール、アミノヘキサノール、アミノプロパンジオール、アミノエチルエタノールアミン、アミノエチルアミノエタノール、アミノクレゾール、アミノナフトール、アミノナフトールスルホン酸、アミノヒドロキシ安息香酸、アミノヒドロキシブタン酸、アミノフェノール、アミノフェネチルアルコール及びグルコサミン等が挙げられる。分子内にチオール基とヒドロキシル基を有する化合物としては、メルカプトエタノール、メルカプトフェノール、メルカプトプロパンジオール及びグルコチオース等が挙げられる。分子内にチオール基とアミノ基を有する化合物としては、アミノチオフェノール及びアミノトリアゾールチオール等が挙げられる。
【0032】
m価の化合物は、光学異性体であるD−体、L−体、ラセミ体のいずれであってもよく、各異性体であってもよい。また、m価の化合物の中でも、炭素数1〜40のものが好ましい、さらに好ましくは炭素数1〜20のものである。また、天然に存在する化合物の方が、生分解性に優れているため、アミノ酸類、ペプチド類、糖類等が好ましい。N−アシル酸性アミノ酸無水物とm価の化合物とを反応させる際、溶媒を使用してもよい。反応の際に使用する溶媒としては、水、水と有機溶媒との混合溶媒、またはテトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン、キシレン、四塩化炭素、クロロホルム及びアセトン等の不活性溶媒が挙げられる。反応温度としては、−5℃〜200℃、かつ上記化合物の融点以上の温度で混合し、反応させることが好ましい。
【0033】
一般式(1)で示される化合物の別の製造方法としては、N−アシル酸性アミノ酸無水物ではなくN−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステル(例えば、メチルエステル、エチルエステル)と、上記したm価の化合物とを反応させることによっても得られる。
【0034】
N−アシル酸性アミノ酸モノ低級エステルとm価の化合物とを、ジメチルホルムアミド等の適当な溶媒中に溶解し、炭酸カリウム等の触媒を加え、減圧下において−5℃〜250℃で加熱反応させた後、反応溶媒を除去することで得られる。または、溶媒を用いずに無溶媒で加熱溶融し、水酸化ナトリウム等の触媒を加えて室温〜250℃でエステル交換反応させることによっても得ることもできる。
【0035】
このようにして得られた多鎖多親水基型化合物は、有効成分の身体への優れた浸透促進効果を有し、更に水溶性を兼ね備えたものであるため、そのまま浸透促進剤として用いることができるが、酸化防止剤や他の化粧料用又は皮膚外用剤用保湿剤・感触向上剤等と混合して用いることもできる。酸化防止剤としては、トコフェロール(ビタミンE)、酢酸トコフェロール等のトコフェロール誘導体。BHT、BHA。没食子酸プロピル等の没食子酸誘導体。ビタミンC(アスコルビン酸)および/またはその誘導体等を用いることができる。酸化防止剤を含有させる場合、酸化防止剤の含有量は0.0001〜0.1重量%が好ましい。
【0036】
本発明の浸透促進剤は、有効成分の身体への優れた浸透促進効果を有し、更に水溶性を兼ね備えたものであるため、化粧料又は皮膚外用剤に有効成分の浸透促進目的で好ましく配合することができる。本発明の浸透促進剤の化粧料又は皮膚外用剤への配合量は、特に限定されないが、0.01〜99重量%程度が好ましく、より好ましくは0.1〜50重量%、更に好ましくは0.2〜20重量%である。
【0037】
一方、本発明の化粧料又は皮膚外用剤は、本発明の浸透促進剤と有効成分とを含有するものである。本発明の浸透促進剤と有効成分とを含有させることにより、有効成分の浸透性を高めた化粧料又は皮膚外用剤を得ることができる。本発明の化粧料又は皮膚外用剤への本発明の浸透促進剤の配合量は、前述の通りである。
【0038】
本発明の化粧料又は皮膚外用剤に含有させる水溶性有効成分としては、十分な水溶性があり、毛髪又は皮膚に有効性を発揮する成分であれば特に制限はないが、具体例を挙げると、ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体。パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等のアシル化ペプチド類。ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン、γ−アミノ酪酸、γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸、カルニチン、カルノシン、クレアチン等のアミノ酸類及びその塩並びに誘導体。18−メチルエイコサン酸塩、分岐脂肪酸(12〜31)塩、ラノリン脂肪酸塩、エチル硫酸18−メチルエイコサン酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸長鎖分岐脂肪酸(12〜31)アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム、エチル硫酸ラノリン脂肪酸アミノプロピルエチルジメチルアンモニウム等の18−メチルエイコサン酸及びアンテイソ脂肪酸誘導体。糖セラミド等の水溶性スフィンゴ脂質。アスコルビン酸及びそのナトリウム等の塩等のビタミンC類。アスコルビン酸エチルエーテル等のアスコルビン酸アルキルエーテル、アスコルビン酸−2−グルコシド等のアスコルビン酸グルコシド及びその脂肪酸エステル、アスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩及びアスコルビン酸リン酸エステルマグネシウム塩、パルミトイルアスコルビン酸リン酸エステルナトリウム塩、リン酸トコフェリルアスコルビル等のアスコルビン酸リン酸エステル塩等のアスコルビン酸誘導体。チアミン塩酸塩、チアミン硫酸塩、リボフラビン、酢酸リボフラビン、塩酸ピリドキシン、フラビンアデニンジヌクレオチド、シアノコバラミン、葉酸類、ニコチン酸、ニコチン酸アミド等のニコチン酸類、コリン類等のビタミンB群類。パントテン酸、パンテニルエチルエーテル、パンテノール、ビオチン等のその他ビタミン類。トコフェロールリン酸エステル等の水溶性ビタミンE類。アルブチン、α−アルブチン等のヒドロキノン配糖体及びそのエステル類。コウジ酸、エラグ酸塩、トラネキサム酸塩及びその誘導体、フェルラ酸塩及びその誘導体、プラセンタエキス、グルタチオン、グリチルリチン酸及びその誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、グアイアズレン、アラントイン、インドメタシン、カフェイン、α−リポ酸、ルチン及び配糖体等の誘導体。ヘスペリジン及び配糖体等の誘導体。西河柳エキス等の各種植物エキス等が挙げられる。本発明の化粧料又は皮膚外用剤への水溶性有効成分の配合量は、有効成分の種類によって異なるが、概ね0.01〜10重量%である。
【0039】
また、本発明の化粧料又は皮膚外用剤に含有させる油性有効成分としては、セタノール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、ラウリルアルコール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、アラキルアルコール、ベヘニルアルコール、ホホバアルコール、キミルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール、ヘキシルデカノール、イソステアリルアルコール、2−オクチルドデカノール、ダイマージオール等の高級アルコール類。ベンジルアルコール等のアラルキルアルコール及び誘導体。ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、ベヘン酸、ウンデシレン酸、12−ヒドロキシステアリン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレイン酸、エルカ酸、ドコサヘキサエン酸、エイコサペンタエン酸、イソヘキサデカン酸、アンテイソヘンイコサン酸、長鎖分岐脂肪酸、ダイマー酸、水素添加ダイマー酸等の高級脂肪酸類及びそのアルミニウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、亜鉛塩、カリウム、ナトリウム塩等の金属石けん類、及びアミド等の含窒素誘導体類。流動パラフィン(ミネラルオイル)、重質流動イソパラフィン、軽質流動イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリイソブテン、水添ポリイソブテン、ポリブテン、スクワラン、オリーブ由来スクワラン、スクワレン、ワセリン、固型パラフィン等の炭化水素類。キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木ろう、みつろう、モンタンワックス、オゾケライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム、フィッシャートロプシュワックス、ポリエチレンワックス、エチレン・プロピレンコポリマー等のワックス類。ヤシ油、パーム油、パーム核油、サフラワー油、オリーブ油、ヒマシ油、アボカド油、ゴマ油、茶油、月見草油、小麦胚芽油、マカデミアナッツ油、ヘーゼルナッツ油、ククイナッツ油、ローズヒップ油、メドウフォーム油、パーシック油、ティートリー油、ハッカ油、トウモロコシ油、ナタネ油、ヒマワリ油、小麦胚芽油、アマニ油、綿実油、大豆油、落花生油、コメヌカ油、カカオ脂、シア脂、水素添加ヤシ油、水素添加ヒマシ油、ホホバ油、水素添加ホホバ油等の植物油脂類。牛脂、乳脂、馬脂、卵黄油、ミンク油、タートル油等の動物性油脂類。鯨ロウ、ラノリン、オレンジラッフィー油等の動物性ロウ類。液状ラノリン、還元ラノリン、吸着精製ラノリン、酢酸ラノリン、酢酸液状ラノリン、ヒドロキシラノリン、ポリオキシエチレンラノリン、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸、ラノリンアルコール、酢酸ラノリンアルコール、酢酸(セチル・ラノリル)エステル等のラノリン類。レシチン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、スフィンゴミエリン等のスフィンゴリン脂質、ホスファチジン酸、リゾレシチン等のリン脂質類。水素添加大豆リン脂質、部分水素添加大豆リン脂質、水素添加卵黄リン脂質、部分水素添加卵黄リン脂質等のリン脂質誘導体類。コレステロール、ジヒドロコレステロール、ラノステロール、ジヒドロラノステロール、フィトステロール、コール酸等のステロール類。サポゲニン類。サポニン類。酢酸コレステリル、ノナン酸コレステリル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(コレステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/ベヘニル/オクチルドデシル)、N−ラウロイル−L−グルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル)、N−ラウロイルサルコシンイソプロピル等のアシルサルコシンアルキルエステル、12−ヒドロキシステアリン酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸コレステリル、マカデミアナッツ油脂肪酸フィトステリル、イソステアリン酸フィトステリル、軟質ラノリン脂肪酸コレステリル、硬質ラノリン脂肪酸コレステリル、長鎖分岐脂肪酸コレステリル、長鎖α−ヒドロキシ脂肪酸コレステリル等のステロールエステル類。リン脂質・コレステロール複合体、リン脂質・フィトステロール複合体等の脂質複合体。ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸ヘキシルデシル、イソステアリン酸オクチルドデシル、パリミチン酸セチル、パルミチン酸オクチルドデシル、オクタン酸セチル、オクタン酸ヘキシルデシル、イソノナン酸イソトリデシル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸オクチル、イソノナン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソデシル、ネオペンタン酸イソトリデシル、ネオペンタン酸イソステアリル、ネオデカン酸オクチルドデシル、オレイン酸オレイル、オレイン酸オクチルドデシル、リシノレイン酸オクチルドデシル、ラノリン脂肪酸オクチルドデシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、エルカ酸オクチルドデシル、イソステアリン酸硬化ヒマシ油、オレイン酸エチル、アボカド油脂肪酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、ラノリン脂肪酸イソプロピル、セバチン酸ジエチル、セバチン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバチン酸ジブチルオクチル、アジピン酸ジイソブチル、コハク酸ジオクチル、クエン酸トリエチル等のモノアルコールカルボン酸エステル類。乳酸セチル、リンゴ酸ジイソステアリル、モノイソステアリン酸水添ヒマシ油等のオキシ酸エステル類。トリオクタン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ジイソステアリン酸グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル酸/カプリン酸/ミリスチン酸/ステアリン酸)グリセリル、水添ロジントリグリセリド(水素添加エステルガム)、ロジントリグリセリド(エステルガム)、ベヘン酸エイコサン二酸グリセリル、トリオクタン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、ジオレイン酸プロピレングリコール、テトラオクタン酸ペンタエリスリチル、水素添加ロジンペンタエリスリチル、トリエチルヘキサン酸ジトリメチロールプロパン、(イソステアリン酸/セバシン酸)ジトリメチロールプロパン、トリエチルヘキサン酸ペンタエリスリチル、(ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸)ジペンタエリスリチル、ジイソステアリン酸ジグリセリル、テトライソステアリン酸ポリグリセリル、ノナイソステアリン酸ポリグリセリル−10、デカ(エルカ酸/イソステアリン酸/リシノレイン酸)ポリグリセリル−8、(ヘキシルデカン酸/セバシン酸)ジグリセリルオリゴエステル、ジステアリン酸グリコール(ジステアリン酸エチレングリコール)、ジネオペンタン酸3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ジネオペンタン酸2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオール等の多価アルコール脂肪酸エステル類。ダイマージリノール酸ジイソプロピル、ダイマージリノール酸ジイソステアリル、ダイマージリノール酸ジ(イソステアリル/フィトステリル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸(フィトステリル/イソステアリル/セチル/ステアリル/ベヘニル)、ダイマージリノール酸ダイマージリノレイル、ジイソステアリン酸ダイマージリノレイル、ダイマージリノレイル水添ロジン縮合物、ダイマージリノール酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシアルキルダイマージリノレイルエーテル等のダイマー酸若しくはダイマージオールの誘導体。ヤシ油脂肪酸モノエタノールアミド(コカミドMEA)、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド(コカミドDEA)、ラウリン酸モノエタノールアミド(ラウラミドMEA)、ラウリン酸ジエタノールアミド(ラウラミドDEA)、ラウリン酸モノイソプロパノールアミド(ラウラミドMIPA)、パルミチン酸モノエタノールアミド(パルタミドMEA)、パルミチン酸ジエタノールアミド(パルタミドDEA)、ヤシ油脂肪酸メチルエタノールアミド(コカミドメチルMEA)等の脂肪酸アルカノールアミド類。ジメチコン(ジメチルポリシロキサン)、高重合ジメチコン(高重合ジメチルポリシロキサン)、シクロメチコン(環状ジメチルシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン)、フェニルトリメチコン、ジフェニルジメチコン、フェニルジメチコン、ステアロキシプロピルジメチルアミン、(アミノエチルアミノプロピルメチコン/ジメチコン)コポリマー、ジメチコノール、ジメチコノールクロスポリマー、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、アミノプロピルジメチコン及びアモジメチコン等のアミノ変性シリコーン、カチオン変性シリコーン、ジメチコンコポリオール等のポリエーテル変性シリコーン、ポリグリセリン変性シリコーン、糖変性シリコーン、カルボン酸変性シリコーン、リン酸変性シリコーン、硫酸変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、脂肪酸変性シリコーン、アルキルエーテル変性シリコーン、アミノ酸変性シリコーン、ペプチド変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、カチオン変性及びポリエーテル変性シリコーン、アミノ変性及びポリエーテル変性シリコーン、アルキル変性及びポリエーテル変性シリコーン、ポリシロキサン・オキシアルキレン共重合体等のシリコーン類。パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類が、好ましいものとして挙げられる。
【0040】
また、その他にも、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、プロピレングリコール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ヘキシレングリコール、ジグリセリン、ポリグリセリン、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール・プロピレングリコール共重合体等のポリオール類及びその重合体。ジエチレングリコールモノエチルエーテル(エトキシジグリコール)、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のグリコールアルキルエーテル類。(エイコサン二酸/テトラデカン二酸)ポリグリセリル−10、テトラデカン二酸ポリグリセリル−10等の水溶性エステル類。ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、マンニトール、マルチトール等の糖アルコール類。グルコース、フルクトース、ガラクトース、マンノース、トレオース、キシロース、アラビノース、フコース、リボース、デオキシリボース、マルトース、トレハロース、ラクトース、ラフィノース、グルコン酸、グルクロン酸、シクロデキストリン類(α−、β−、γ−シクロデキストリン、及び、マルトシル化、ヒドロキシアルキル化等の修飾シクロデキストリン)、β−グルカン、キチン、キトサン、ヘパリン及び誘導体、ペクチン、アラビノガラクタン、デキストリン、デキストラン、グリコーゲン、エチルグルコシド、メタクリル酸グルコシルエチル重合物若しくは共重合物等の糖類及びその誘導体類。ヒアルロン酸、ヒアルロン酸ナトリウム。コンドロイチン硫酸ナトリウム。ムコイチン硫酸、カロニン硫酸、ケラト硫酸、デルマタン硫酸。シロキクラゲ抽出物、シロキクラゲ多糖体。フコイダン。チューベロース多糖体、天然由来多糖体。クエン酸、酒石酸、乳酸等の有機酸及びその塩。尿素。2−ピロリドン−5−カルボン酸及びそのナトリウム等の塩。ベタイン(トリメチルグリシン)、プロリン、ヒドロキシプロリン、アルギニン、リジン、セリン、グリシン、アラニン、フェニルアラニン、チロシン、β−アラニン、スレオニン、グルタミン酸、グルタミン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、シスチン、メチオニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、トリプトファン、ヒスチジン、タウリン等のアミノ酸類及びその塩。ケラチン分解ペプチド、加水分解ケラチン、コラーゲン、魚由来コラーゲン、アテロコラーゲン、ゼラチン、エラスチン、コラーゲン分解ペプチド、加水分解コラーゲン、塩化ヒドロキシプロピルアンモニウム加水分解コラーゲン、エラスチン分解ペプチド、コンキオリン分解ペプチド、加水分解コンキオリン、シルク蛋白分解ペプチド、加水分解シルク、ラウロイル加水分解シルクナトリウム、大豆蛋白分解ペプチド、小麦蛋白、小麦蛋白分解ペプチド、加水分解小麦蛋白、カゼイン分解ペプチド等の蛋白ペプチド類及びその誘導体。パルミトイルオリゴペプチド、パルミトイルペンタペプチド、パルミトイルテトラペプチド等のアシル化ペプチド類。シリル化ペプチド類。乳酸菌培養液、酵母抽出液、卵殻膜タンパク、牛顎下腺ムチン、ヒポタウリン、ゴマリグナン配糖体、グルタチオン、アルブミン、乳清。塩化コリン、ホスホリルコリン。胎盤抽出液、エアラスチン、コラーゲン、アロエ抽出物、ハマメリス水、ヘチマ水、カモミラエキス、カンゾウエキス、コンフリーエキス、シルクエキス、イザヨイバラエキス、セイヨウノコギリソウエキス、ユーカリエキス、メリロートエキス等の動物・植物抽出成分、天然型セラミド(タイプ1、2、3、4、5、6)、ヒドロキシセラミド、疑似セラミド、スフィンゴ糖脂質、セラミド及び糖セラミド含有エキス等のセラミド類が好ましいものとして挙げられる。
また、本発明の化粧料又は皮膚外用剤には、必要に応じて一般的に化粧料又は皮膚外用剤に配合される添加成分、例えば油性基剤、保湿剤、感触向上剤、界面活性剤、高分子、増粘・ゲル化剤、溶剤、噴射剤、酸化防止剤、還元剤、酸化剤、防腐剤、抗菌剤、キレート剤、pH調整剤、酸、アルカリ、粉体、無機塩、紫外線吸収剤、美白剤、ビタミン類及びその誘導体類、消炎剤、抗炎症剤、育毛用薬剤、血行促進剤、刺激剤、ホルモン類、抗しわ剤、抗老化剤、ひきしめ剤、冷感剤、温感剤、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、植物・動物・微生物エキス、鎮痒剤、角質剥離・溶解剤、制汗剤、清涼剤、収れん剤、酵素、核酸、香料、色素、着色剤、染料、顔料、水等を配合することができる。
【0041】
本発明の浸透促進剤は、一般式(1)又は(2)で示される化合物であり、有効成分と混合することにより、その有効成分の浸透を促進することができる。混合する方法は特に限定されるものではない。混合において溶剤を添加してもよく、添加する溶剤の具体例としては、精製水、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、グリセリンなどのアルコール類等を使用することができる。また、混合する温度は均一に混合される温度ならば、特に限定されないが、使用する原料の凝固点以上から沸点以下であればよい。
【0042】
本発明の浸透促進剤は、本発明の効果を損なわない範囲で、界面活性剤、pH調整剤、キレート剤、増粘剤、香料等の添加剤を含んでもよい。以下でそれらの具体例を挙げる。
【0043】
界面活性剤としては、特に限定されるものでないが、例えばノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤等が挙げられる。
【0044】
ノニオン系界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
レシチン、高分子乳化剤、グリセリン脂肪酸エステル、親油型モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン等のポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル類、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、トリオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン等のポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビット、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット等のポリオキシエチレンソルビット脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラノリン、ポリオキシエチレンソルビットミツロウ等のポリオキシエチレンラノリン・ラノリンアルコール・ミツロウ誘導体、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等のポリオキシエチレンヒマシ油・硬化ヒマシ油類、ポリオキシエチレンコレスタノールエーテル等のポリオキシエチレンステロール・水素添加ステロール類、モノステアリン酸エチレングリコール、モノオレイン酸ポリエチレングリコール等のポリエチレングリコール脂肪酸エステル類、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル等のポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレンステアリン酸アミド等のポリオキシエチレンアルキルアミン・脂肪酸アミド類、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド等を挙げる事ができる。
【0045】
この中でも特に好ましいノニオン系界面活性剤としては、レシチン、グリセリン脂肪酸エステル、親油型モノステアリン酸グリセリン等のグリセリン脂肪酸エステル類、モノオレイン酸ポリグリセリル、ペンタオレイン酸ポリグリセリル、デカオレイン酸ポリグリセリル等のポリグリセリン脂肪酸エステル類、モノラウリン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン等のソルビタン脂肪酸エステル類、ショ糖脂肪酸エステル、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類が、挙げられる。
【0046】
両性界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルエチレンジアミン2ナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アシル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のラウリルアミノプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤、ラウリルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤等が挙げられる。
【0047】
この中でも特に好ましい両性界面活性剤としては、ラウリルジアミノエチルグリシンナトリウム、塩化アルキルジアミノエチルグリシン、ヤシ油脂肪酸アシル−N−カルボキシエトキシエチル−N−カルボキシエチルエチレンジアミン2ナトリウム等のグリシン型両性界面活性剤、ヤシ油脂肪酸アシル−N−ヒドロキシエチルエチレンジアミンナトリウム等のラウリルアミノプロピオン酸塩等のアミノプロピオン酸型両性界面活性剤、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルベタインナトリウム、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタインラウリン酸アミドプロピル酢酸ベタイン等のアミノ酢酸ベタイン型両性界面活性剤等を挙げる事ができる。
【0048】
カチオン系界面活性剤の具体例としては、以下のものが挙げられる。
ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド等の脂肪族アミン塩、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム等のアルキル4級アンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルピジニウム、塩化アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム等の環式4級アンモニウム塩等が挙げられる。
【0049】
この中でも特に好ましいカチオン系界面活性剤としては、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリメチルアンモニウムサッカリン、塩化ジポリオキシエチレンアルキルメチルアンモニウム等のアルキル4級アンモニウム、塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ラウリルピジニウム、塩化アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム等の環式4級アンモニウム塩等を挙げる事ができる。
【0050】
アニオン系界面活性剤としては、以下のものが挙げられる。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその塩等のアルキルエーテルカルボン酸型アニオン系界面活性剤、N−アシルサルコシン塩、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩等のN−アシル有機酸塩型アニオン系界面活性剤、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩等のスルホン酸塩型アニオン系界面活性剤、アルキル硫酸エステル塩等の硫酸塩型アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩等のリン酸塩型アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等が挙げられる。
【0051】
この中でも特に好ましいアニオン系界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸及びその塩等のアルキルエーテルカルボン酸型アニオン系界面活性剤、N−アシルグルタミン酸塩、N−アシルアルキルタウリン塩等のN−アシル有機酸塩型アニオン系界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸ナトリウム等のポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩類等を挙げる事ができる。
【0052】
pH調整剤としては、特に限定させるものでないが、クエン酸、リンゴ酸、アジピン酸、グルタミン酸、アルギニン、アスパラギン酸、クエン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、塩酸、硫酸及びチオ硫酸ナトリウム等を挙げることができる。キレート剤としては、金属捕獲作用があれば特に限定されないが、以下のものが挙げられる。
【0053】
コンプレキサン、アラニン、エチレンジアミンヒドロキシエチル3酢酸3ナトリウム、エデト酸、エデト酸2ナトリウム、エデト酸2ナトリウムカルシウム、エデト酸3ナトリウム、エデト酸4ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、フィチン酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等が挙げられる。
【0054】
この中でも特に好ましいキレート剤としては、アラニン、エデト酸2ナトリウム、エデト酸2ナトリウムカルシウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸、グルコン酸、酒石酸、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム等を挙げる事ができる。
【0055】
増粘剤としては、増粘を示す成分であれば特に限定されないが、キサンタンガム、カルボキシルビニルポリマー及びアクリル酸系ポリマーを挙げることができる。
【0056】
香料としては、匂いを示す成分であれば特に限定されないが、天然香料、合成香料及び調合香料等を挙げることができる。
【0057】
その他添加剤としては、以下のものが挙げられる。
ノニオン性高分子としては、アラビアゴム及びトラガントゴム等の天然ゴム類、サポニン等のグルコシド類、メチルセルロース、カルボキシセルロース及びヒドロキシメチルセルロース等のセルロース誘導体、リグニンスルホン酸塩、セラック等の天然高分子、ポリアクリル酸塩、スチレン−アクリル酸共重合物の塩、ビニルナフタレン−マレイン酸共重合物の塩、β−ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物のナトリウム塩及びリン酸塩などの陰イオン性高分子やポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルメチルグリコシド等を挙げることができる。
高分子系界面活性剤としては、アルギン酸ナトリウム、デンプン誘導体及びトラガントゴム等が挙げられる。
【0058】
天然系界面活性剤としては、レシチン、ラノリン、コレステロール、フィトステロール、及びサポニン等が挙げられる。
油脂類としては、アボガド油、アーモンド油、オリーブ油、カカオ油、ゴマ油、サフラワー油、大豆油、椿油、パーシック油、ひまし油、ミンク油、綿実油、モクロウ、ヤシ油、卵黄油、パーム油、パーム核油、合成トリグリセライド及びホホバ油等が挙げられる。炭化水素としては、流動パラフィン、ワセリン、セレシン、マイクロクリスタリンワックス及びイソパラフィン等が挙げられる。ロウ類としては、ミツロウ、鯨ロウ、ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ及びその誘導体等が挙げられる。
【0059】
高級脂肪酸としては、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ベヘニン酸、ウンデシレン酸、ラノリン脂肪酸、硬質ラノリン脂肪酸及び軟質ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
高級アルコールとしては、ラウリルアルコール、セタノール、セトステアリルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、ラノリンアルコール、水添ラノリンアルコール、へキシルデカノール及びオクチルドデカノール等が挙げられる。
【0060】
エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル及びステアリン酸ブチル等を、揮発性及び不揮発性の油分としては、金属石鹸、ジメチルポリシロキサン、ポリエーテル変性シリコーン、アルコール変性シリコーン、メチルフェニルポリシロキサン、エポキシ変性シリコーン、フッ素変性シリコーン、アルキル変性シリコーン、アルコキシ変性シリコーン、アミノ変性シリコーン及び揮発性シリコーン等のシリコーン類等が挙げられる。
【0061】
保湿剤としては、トリメチルグリシン、ソルビトール、ラフィノース、ピロリドンカルボン酸塩類、乳酸塩類、ヒアルロン酸塩類及びセラミド類等が挙げられる。
【0062】
水溶性及び油溶性高分子としては、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースヒドロキシプロピルトリメチルアンモニウムクロリドエーテル、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、可溶性デンプン、カルボキシメチルデンプン、メチルデンプン、アルギン酸プロピレングリコールエステル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、カルボキシビニルポリマー、ポリアクリル酸塩、グアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン、メトキシエチレン無水マレイン酸共重合体、両性メタクリル酸エステル共重合体、ポリ塩化ジメチルメチレンピペリジニウム、ポリアクリル酸エステル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ニトロセルロース及びシリコーンレジン等が挙げられる。
【0063】
金属イオン封鎖剤としては、エチレンジアミン四酢酸及びその塩類、ヒドロキシエチレンジアミン三酢酸及びその塩類、リン酸、アスコルビン酸、コハク酸、グルコン酸、ポリリン酸塩類、メタリン酸塩並びにヒノキチール類が挙げられる。
【0064】
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン誘導体、パラアミノ安息香酸誘導体、パラメトキシ桂皮酸誘導体及びサリチル酸誘導体等が挙げられる。
【0065】
美白剤としては、アルブチン、コウジ酸、アスコルビン酸、ヒノキチール及びその誘導体等が挙げられる。
【0066】
血行促進剤としては、センブリエキス、セファランチン、ビタミンE及びその誘導体、ガンマーオリザノール、トウガラシチンキ、ショオウキョウチンキ、カンタリスチンキ、ニコチン酸ベンジルエステル等が挙げられる。
【0067】
抗炎症剤としては、グリチルレチン酸、グリチルリチン酸誘導体、アラントイン、アズレン、アミノカプロン酸及びヒドロコルチゾン等が挙げられる。
【0068】
収斂剤としては、酸化亜鉛、硫酸亜鉛、アラントインヒドロキシアルミニウム、塩化アルミニウム、スルホ石炭酸亜鉛及びタンニン酸等が挙げられる。
【0069】
酸化防止剤としては、トコフェロール類、BHA、BHT、没食子酸及びNDGA等が挙げられる。
【0070】
メントール及びカンフルなどの清涼剤、抗ヒスタミン剤、高分子シリコーン及び環状シリコーン等のシリコーン系物質、エストラジオール、エストロン及びエチニルエストラジオールなどの皮脂抑制剤、イオウ、サリチル酸及びレゾルシンなどの角質剥離・溶解剤等が挙げられる。
【0071】
その他にも、カキョクエキス、N−メチル−L−セリン、ホエイ、ニコチン酸アミド、ジイソプロピルアミンジクロロ酢酸、メバロン酸、γ−アミノ酪酸(γ−アミノ−β−ヒドロキシ酪酸を含む)、アルテアエキス、アロエエキス、アンズ核エキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、海水乾燥物、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カロットエキス、キューカンバエキス、ゲンチアナエキス、酵母エキス、米胚芽油、コンフリーエキス、サボンソウエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シラカバエキス、セイヨウハッカエキス、センブリエキス、ビサボロ−ル、プロポリス、ヘチマエキス、ボダイジュエキス、ホップエキス、マロニエエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス、海草、米ヌカ、カンゾウ、チンピ、トウキ、モモノハの粉砕物、スフィンゴ脂質、グアイアズレン及びビタミンC等を添加剤として含ませることができる。
【0072】
本発明において、上記した添加剤は1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【実施例】
【0073】
以下、本実施形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態は、これらの実施例のみに限定されるものではない。
一般式(1)で示される化合物を以下に記載の方法により製造した。
[製造例1]
L−リジン塩酸塩9.1g(0.05mol)を水57gと混合した。この液を25%水酸化ナトリウム水溶液でpH範囲を10〜11に調整し、反応温度を5℃に維持しながら、攪拌した。攪拌下において、N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物を31.1g(0.1mol)2時間かけて添加し、反応を実施した。その後、さらに30分攪拌を続け、ターシャリーブタノールを液中濃度20質量%となるように添加した後、75%硫酸を滴下して液のpH値を2に調整し、また液の温度を65℃に調整した。硫酸滴下終了後、攪拌を停止し、20分間65℃で静置して有機層と水層とに分層し、そこから有機層を分離した。分離した有機層にターシャリーブタノール及び水を添加して、温度を65℃にして20分攪拌した。攪拌停止後、静置すると有機層と水層とに分層した。得られた有機層に対して、前記した同じ水洗操作をくり返した後、得られた有機層から溶媒を除去し、水酸化ナトリウムで固形分30質量%、pH6.5(25℃)の水溶液に中和調製した後、これを乾燥して下記式(4)に示す化合物を得た。
【0074】
N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物とL−リジン塩酸塩との反応において、結合の仕方によって、下記式(4)で示すとおり4種類の化合物が製造されることになる。
【化6】


(式4において、Rは炭素数11の炭化水素基、Mは、各々独立にH、Naのいずれかである)
[製造例2]
製造例1において、N−ラウロイル−L−グルタミン酸無水物31.1gをN−ココイル−L−グルタミン酸無水物31.1gとした以外は、製造例1の方法と同じ条件で実施した。
[製造例3]
製造例1において、中和処理を水酸化カリウムで実施した以外は、製造例1の方法と同じ条件で実施した。
【0075】
[実施例及び比較例]
実施例及び比較例で行う性能評価試験方法は下記の通りである。
120mMリン酸緩衝液(pH7.4)にアスコルビン酸2−グルコシド(AAG)を1(w/v)%濃度になるように溶解した。AAG溶解後のpHを測定し、1N NaOHによりpH7.4に調製した。この薬物溶液は実験開始直前に作成した。TESTSKIN LSE−high(東洋紡績株式会社製)を縦型拡散セル(37.C一定)に取り付け、皮膚上に1%AAG溶液に、0.5(w/v)%濃度になるように製造例1で調整した化合物を溶解し、溶液のpHを7.4に調製した溶液を800μL載せて実験を開始した。経時的にサンプリングを行い、皮膚を透過したAAGをHPLCにより定量した。比較例として製造例1で調整した化合物を含まない溶液を800ul載せて、上記と同様にin vitro皮膚透過実験を行った。
結果、12時間後での実施例における累積透過量は79.19±3.24μg/cm、比較例では10.79±3.60(μ/cm)となり、製造例1の浸透促進剤を用いることで、比較例の7.3倍浸透を促進しており、本発明の浸透促進剤を用いることにより、浸透促進効果が認められた。
【産業上の利用可能性】
【0076】
本発明の浸透促進剤を用いることで、有効成分の身体への優れた浸透促進効果を有し、これを化粧料又は皮膚外用剤に配合することにより、有効成分の浸透促進、効果増強することができる。さらに、有効成分の効果増強させた化粧料又は皮膚外用剤を得ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1)で示される化合物を含有する浸透促進剤。
【化1】


(上記一般式(1)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではなく、nは2〜20の整数を示す。Xは置換基を有していてもよい分子量100万以下の炭化水素鎖を示す。)
【請求項2】
一般式(1)のXの炭素数が1〜40である請求項1に記載の浸透促進剤。
【請求項3】
下記一般式(2)で示される化合物を含有する請求項1または2に記載の浸透促進剤。
【化2】


(上記一般式(2)において、Rは炭素数1〜23の炭化水素基を示し、Rは水素または、カルボン酸基かスルホン酸基を有してもよい炭素数1〜3の炭化水素基を示し、Yはカルボキシル基、スルホン酸基、硫酸エステル基、リン酸エステル基またはそれらの塩を示し、Zは−NR’−(R’は水素または炭素数1〜10の炭化水素基)、−O−、又は−S−を示し、X’はカルボキシル基またはその塩、−NHR’基(R’は、水素、または炭素数1〜10の炭化水素基)、−OH基、−SH基のうち少なくともいずれか一つを有する炭素数が1〜20の炭化水素鎖を示し、j、kは0、1、2のいずれかであり、かつj、kは同時に0ではない。)
【請求項4】
身体に対して作用することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項5】
皮膚に対して作用することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項6】
毛髪に対して作用することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項7】
爪に対して作用することを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項8】
水溶性の有効成分を浸透促進させることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項9】
油溶性の有効成分を浸透促進させることを特徴とする請求項1〜7の何れかに記載の浸透促進剤。
【請求項10】
請求項1〜7の何れかに記載の浸透促進剤と有効成分とを含有する化粧料。
【請求項11】
請求項1〜7の何れかに記載の浸透促進剤と有効成分とを含有する皮膚外用剤。

【公開番号】特開2011−236179(P2011−236179A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−111118(P2010−111118)
【出願日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】