説明

浸透分離システム及び方法

工学的浸透を使用する分離方法が開示され、一般に、第2濃厚溶液を使用して第1溶液から半透膜を通過する溶媒を引き出すことによる、溶質を濃縮するための第1溶液からの溶媒の抽出に関与する。産業的又は商業的源由来の低位廃熱を使用することにより効率が増進し得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の1つ以上の態様は、一般に、浸透分離に関する。特に、本発明の1つ以上の態様は溶液から溶質を分離するための工学的浸透過程(例えば、正浸透)を使用する。
【背景技術】
【0002】
正浸透は脱塩のために使用されてきた。一般に、正浸透脱塩方法は半透膜により分離された2つのチャンバーを有する容器を使用する。1つのチャンバーは海水を含有する。もう一方のチャンバーは濃厚溶液を含有し、海水と濃厚溶液の間に濃度勾配を生じる。この勾配は、選択的に水を通すが塩は通さない膜を横切って海水から水を濃厚溶液中に引き出す。濃厚溶液に入る水は徐々に溶液を希薄化する。その後、溶質は希薄溶液から除去されて飲料水を生成する。
【発明の概要】
【0003】
本発明の態様は、一般に、正浸透分離、直接浸透濃縮、圧力支援(pressure assisted)正浸透及び圧力遅延浸透(pressure retarded osmosis)等の工学的浸透システム及び方法に関する。
【0004】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の浸透抽出のためのシステムは、第1溶液源に流体接続された入口を有する第1チャンバー、アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1の所望のモル比で含む濃厚引出溶液源に流体接続された入口を有する第2チャンバー、第1チャンバーを第2チャンバーから分離する半透膜システム、蒸留カラムを含み、第2チャンバーの下流に流体接続された分離システムであって、希薄引出溶液を第2チャンバーから受け取り、引出溶質及び溶媒流を回収するように構成された分離システム、引出溶質の第2チャンバーへの再導入を容易にして所望のモル比を維持するように構成された吸収体を含むリサイクルシステム、及び分離システムと熱的に接続された低位熱(low grade heat)源を含み得る。
【0005】
いくつかの実施形態において、システムは、濃厚引出溶液源に流体接続された引出溶液貯蔵システムをさらに含み得る。引出溶液貯蔵システムは少なくとも1つのブラダーを含み得る。引出溶液貯蔵システムは、少なくとも1つの第1溶液貯蔵ブラダー及び希薄引出溶液貯蔵ブラダーをさらに含む容器に含有され得る。少なくとも1つの実施形態において、蒸留カラムは地下に設置され得る。半透膜システムはタンク内に浸漬した膜モジュールを含み得る。タンクは第1濃度ゾーン及び第2濃度ゾーンを含み得る。膜モジュールは複数の平膜(flat sheet membrane)を含み得る。いくつかの実施形態において、システムはガス洗浄(scour)システムをさらに含み得る。システムは第1溶液と流体接続され、イオン交換、化学軟化、ナノ濾過、スケール防止剤(anti-scalant)及び沈殿ユニット操作からなる群から選択される前処理システムをさらに含み得る。少なくとも1つの実施形態において、システムは分離システムと共同する塩晶析器をさらに含み得る。システムはpH(プローブ)、イオンプローブ、フーリエ変換赤外分光法及び流速メータープローブの少なくとも1つをさらに含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態によると、正浸透分離方法は、半透膜の第1の側に第1溶液を導入する工程、アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1のモル比で含む濃厚引出溶液を半透膜の第2の側に導入して半透膜を横切る所望の浸透濃度勾配を維持する工程、半透膜を横切る第1溶液の少なくとも一部の流れを促進して半透膜の第1の側に第2溶液を、半透膜の第2の側に希薄引出溶液を形成する工程、希薄引出溶液の少なくとも一部を分離操作に導入して引出溶質及び溶媒流を回収する工程、半透膜の第2の側に引出溶質を再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素の所望のモル比を維持する工程、溶媒流を収集する工程及び半透膜の生物学的ファウリング(汚れfouling)を制御する工程を含み得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、生物学的ファウリングを制御する工程は第1溶液の脱気を含む。さらに、生物学的ファウリングを制御する工程は半透膜の周囲の浸透圧を調整することも含み得る。少なくとも1つの実施形態において、生物学的ファウリングを制御する工程が、サルファイト還元、生物学的処理、浸透圧衝撃、曝気、生産水流束及びバイサルファイト添加の少なくとも1つを含む。
【0008】
これらの代表的な態様および実施形態のさらに他の態様、実施形態および利点については、以下に詳細に述べる。さらに、前述の情報および以下の詳細な説明のいずれも、様々な態様および実施形態の単なる説明のための実例にすぎず、特許請求の範囲に記載された態様および実施形態の性質、特性を理解するための概観または枠組みを提供することを意図していることを理解するべきである。添付図面は、説明や様々な態様および実施形態のさらなる理解の提供のために含められ、かつ本明細書に組み込まれその一部を構成する。本図面は、本明細書の残りの部分と共に、本明細書及び特許請求の範囲に記載された態様や実施形態の原理と動作を説明する働きをする。
【図面の簡単な説明】
【0009】
以下、少なくとも1つの実施形態の様々な態様について、添付図面を参照して述べる。図は一定の縮尺で図示する目的ではなく、図において、様々な図に示されるそれぞれ同一のまたはほぼ同一の部分が同様の数字により表される。明確にするために、全ての部分が全ての図に表示されてはいない。図面は、図解および説明を目的として提供され、本発明の限定を意図するものではない。
【図1】図1は1つ以上の実施形態による溶液貯蔵システムの概略図である。
【図2】図2は1つ以上の実施形態による正浸透モジュールの概略図である。
【図3】図3は1つ以上の実施形態による正浸透槽の概略流れ図である。
【図4】図4A〜4Dは1つ以上の実施形態による膜フレームの概略図である。
【図5】図5は1つ以上の実施形態によるモジュール列配置の概略図である。
【図6】図6は1つ以上の実施形態による液圧プロファイルの概略図である。
【図7】図7は1つ以上の実施形態による液圧プロファイルの概略図である。
【図8】図8は1つ以上の実施形態によるシステム統合の概略図である。
【図9】図9は1つ以上の実施形態による晶析器の統合の概略図である。
【図10】図10は1つ以上の実施形態によるシリカ濾過器の統合の概略図である。
【図11】図11は1つ以上の実施形態による可動性工学浸透過程の概略図である。
【図12】図12は1つ以上の実施形態による圧力遅延浸透接触器の概略図である。
【図13】図13は1つ以上の実施形態による圧力遅延浸透接触器の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1つ以上の実施形態によると、水溶液から水を抽出するための浸透方法は、一般に、正浸透膜の第1表面に水溶液をさらす工程を含み得る。この水溶液と比較して濃度が高い第2溶液(引出溶液)は、正浸透膜の反対側の第2の表面にさらされ得る。その後、水は水溶液から正浸透膜を通過して第2溶液へと引き出され得て、より濃厚でない溶液からより濃厚な溶液への移動を含む流体移動を利用する正浸透により水富化溶液を生成する。水富化溶液(希薄引出溶液とも呼ばれる)は、第1出口で回収(収集)され得、別の分離過程を経て精製水を生成し得る。第2生成流(すなわち、消耗した(depleted)又は濃厚水性プロセス溶液)は、排出又は別の処理のために第2出口で回収され得る。
【0011】
一般に、液圧は膜モジュールを通過する第1及び第2溶液のそれぞれの流路の縦軸に沿った輸送を促進し得、一方、浸透圧は、一般に、モジュール内で供給溶液から引出溶液へと正浸透膜を横切る水の輸送を促進し得る。或いは、液圧は供給溶液に影響を及ぼして供給溶液から引出溶液への水の流れを補助し得、又は、液圧は引出溶液に作用して、2つの溶液間の浸透圧差により駆動される供給溶液からの水の膜流束による、引出溶液の体積の増大に由来する電力の生成を可能にし得る(PRO)。一般に、モジュール内の流路はこれらの流路を通過する流れ(クロスフロー)を引き起すのに必要な液圧を最小化するように設計されるが、このことは、2つの溶液間の効率的な浸透圧差の発生について有益であり、流れ抵抗を増大させる傾向を有する、流路における乱流の発生を望むことにたびたび一致しない。より高い浸透圧差は、一般に、膜を通過する流束を増加し得るが、希薄水生成物及び再濃厚引出溶液の製造のための、引出溶質を希薄引出溶液から分離するために必要な熱の量を増加させる傾向を有し得る。
【0012】
1つ以上の実施形態によると、正浸透膜モジュールは1つ以上の正浸透膜を含み得る。一般に、正浸透膜は半透性であり得、例えば、水を通過させるが、その中に溶解した溶質(例えば、塩化ナトリウム、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム、カルバミン酸アンモニウム)を排除する。多くの種類の半透膜は、水(すなわち、溶媒)の通過を許容することができるが、溶質の通過を遮断することができ、溶液中の溶質と反応しないという条件で、この目的に好適である。膜は薄膜、中空糸膜、スパイラル型膜、モノフィラメント及びディスクチューブ等の種々の形状であり得る。水を通すことができるが、溶質分子(例えば、塩化ナトリウム及びそのイオン性分子種(例えば、クロリド)を排除するのに十分に小さい孔を有することにより特徴付けられる、多数の良く知られた市販の半透膜が存在する。かかる半透膜は有機又は無機材料で製造され得る。いくつかの実施形態において、セルロースアセテート、セルロースニトレート、ポリスルホン、ポリビニリデンフルオリド、ポリアミド及びアクリロニトリルコポリマー等の材料で製造された膜が使用され得る。他の膜はZrO及びTiO等の材料で製造される鉱物膜またはセラミック膜であり得る。
【0013】
好ましくは、半透膜としての使用のために選択される材料は、一般に、膜が受け得る様々な処理条件に耐え得るべきである。例えば、膜は殺菌に関連する昇温又は他の高温プロセスに耐え得ることが望ましいことがある。いくつかの実施形態において、正浸透膜モジュールは摂氏約0〜100度の範囲の温度で作動し得る。いくつかの非限定的実施形態において、プロセス温度は摂氏約40〜50度の範囲であり得る。同様に、膜は、様々なpH条件下で完全性を維持することが望ましいことがある。例えば、膜周囲の1種以上の溶液(例えば引出溶液)は、多かれ少なかれ酸性又は塩基性であり得る。いくつかの非限定的実施形態において、正浸透膜モジュールは約2〜11のpHで作動し得る。特定の非限定的実施形態において、pHは約7〜10であり得る。使用される膜はこれらの材料の1つから製造される必要はなく、種々の材料の複合物であり得る。少なくとも1つの実施形態において、膜は、例えば、活性層を第1表面に有し、支持層を第2表面に有する非対称膜であり得る。いくつかの実施形態において、活性層は一般に遮断(排斥)層であり得る。例えば、いくつかの非限定的実施形態において、遮断層は塩の通過を遮断し得る。いくつかの実施形態において、支持層(例えば、バッキング層)は一般に不活性であり得る。
【0014】
1つ以上の実施形態によると、少なくとも1つの正浸透膜はハウジング又はケーシングの中に置かれ得る。一般に、ハウジングはその中に置かれる膜に対応する大きさ及び形状であり得る。例えば、スパイラル型の正浸透膜を収納する場合、ハウジングは実質的に円筒状であり得る。モジュールのハウジングは、供給及び引出溶液をモジュールに提供するための入口、並びにモジュールからの生成物流の引出のための出口を含有し得る。いくつかの実施形態において、ハウジングはモジュールに導入されるべき、又は、モジュールから引出されるべき流体を保持する又は貯蔵するための少なくとも1つのリザーバ又はチャンバーを提供し得る。少なくとも1つの実施形態において、ハウジングは孤立し得る。
【0015】
1つ以上の実施形態による分離方法は第1溶液を半透膜の第1表面にさらすことを含み得る。第1溶液の濃度よりも高い濃度を有する第2溶液は、この膜の反対側の第2の表面にさらされ得る。いくつかの実施形態において、第2溶液の濃度は、第1試薬を使用して第2溶液中の溶質の平衡を調整して第2溶液中の溶質の溶解性種の量を増加させることにより増加され得る。その後、第1及び第2溶液間の濃度勾配により、溶媒が第1溶液から半透膜を通過して第2溶液へと引き出され、溶媒富化溶液を生成する。1つ以上の実施形態によると、溶質の一部は溶媒富化第2溶液から回収され得、引出溶液にリサイクルされ得る。リサイクル過程は溶媒製品流を与え得る。さらに、濃度勾配は半透膜の第1の側に、排出され得るか、又はさらに処理され得る消耗した溶液も生成させる。消耗した溶液はその濃縮又は回収が望ましい1つ以上の目的種を含み得る。
【0016】
1つ以上の実施形態によると、浸透作用を使用する第1溶液からの溶媒の抽出のための装置が開示される。装置の1つの非限定的実施形態において、装置は、入口及び出口を備えた第1チャンバーを有する。第1チャンバーの入口は第1溶液源に接続され得る。半透膜は第1チャンバーを第2チャンバーから分離する。第2チャンバーは入口並びに第1及び第2出口を有する。いくつかの実施形態において、第3チャンバーは、第2チャンバーの第1出口から溶媒富化第2溶液を、第2チャンバーの第2出口から試薬を受け取り得る。第3チャンバーは、例えば、溶媒富化第2溶液を濾過するための濾過器等の分離操作に接続される出口を含み得る。濾過器は第1及び第2出口を有し得、第1出口は、沈殿した溶質を第2チャンバーにリサイクルするために第2チャンバーの入口に接続される。いくつかの実施形態において、第4チャンバーは溶媒富化第2溶液を分離操作の第2出口から受け取り得る。第4チャンバーは溶媒富化第2溶液を加熱するためのヒーターを有し得る。第4チャンバーの第1出口は第2チャンバーの入口に構成ガスを戻し得る。本明細書に記載されるように、第4チャンバーからのガス及び/又は第3チャンバーからの沈殿した溶質等の種々の種がシステム中でリサイクルされ得る。かかる種は、例えば、第2チャンバーに同一の入口又は異なる入口で導入され得る。第4チャンバーの第2出口は最終製品(溶媒)を装置から出すことを可能にし得る。流束は1つの溶液から他の溶液へと膜を横切って起こるので、流路の形態は供給及び引出溶液中の流量又は流速の変化の原因となり得る。膜システム中の供給及び引出溶液のための流路は、一般に、短い長さ及び、低〜中程度の流速に対してほぼ同等であるか、又は、長い流路の長さ及び/又はより高い流束に対して、供給が狭くなり、引出が深くなる先細りになるように設計されるべきである。
【0017】
1つ以上の実施形態によると、正浸透膜モジュールは、一般に、第1及び第2溶液が半透膜の第1の側及び第2の側とそれぞれ接触するように、構成され得、配置され得る。第1及び第2溶液は停滞したままであり得るが、第1及び第2溶液の両方がクロスフローにより導入される、すなわち半透膜の表面に対して平行に流れることが好ましい。これは、一般に、1つ以上の流体の流路に沿って接触する膜表面積を増加させ得、それによって、正浸透の効率を増大させる。いくつかの実施形態において、第1及び第2溶液は同一方向に流れ得る。他の実施形態において、第1及び第2溶液は反対方向に流れ得る。少なくともいくつかの実施形態において、類似の流体力学が膜表面の両側に存在し得る。これはモジュール又はハウジング中の1つ以上の正浸透膜の戦略的統合により達成され得る。
【0018】
1つ以上の実施形態によると、引出溶質は再利用のために回収され得る。分離システムは溶質を希薄引出溶液から取り除いて実質的に溶質を含まない生産水を製造し得る。分離システムは蒸留カラムを含み得る。その後、引出溶質は、例えば、リサイクルシステム等により、濃厚引出溶液に戻され得る。ガス状溶質は凝縮させるか、又は吸収されて濃厚引出溶液を形成し得る。吸収体は希薄引出溶液を吸収剤として使用し得る。他の実施形態において、溶質リサイクルシステム由来のガス流の全部又は一部の吸収のために、生産水が吸収剤として使用され得る。
【0019】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液は、その分離、精製又は他の処理が望ましい1種以上の溶質を含有するいずれの水溶液又は溶媒でもあり得る。いくつかの実施形態において、第1溶液は非飲料水、例えば、海水、塩水、汽水、家庭雑排水及びある種の産業用水であり得る。処理されるべきプロセス流は塩及び他のイオン種、例えば、クロリド、スルフェート、ブロミド、シリケート、ヨージド、ホスフェート、ナトリウム、マグネシウム、カルシウム、カリウム、ニトラート、ヒ素、リチウム、ホウ素、ストロンチウム、モリブデン、マンガン、アルミニウム、カドミウム、クロム、コバルト、銅、鉄、鉛、ニッケル、セレン、銀及び亜鉛を含み得る。いくつかの例において、第1溶液は塩水(例えば、塩水若しくは海水)、廃水又は他の汚染水であり得る。第1溶液は、正浸透膜処理システムに上流のユニット操作(例えば、産業用設備)又は他の源(例えば、海)から送達され得る。第2溶液は第1溶液と比較してより高濃度の溶質を含有する引出溶液であり得る。幅広い種類の引出溶液が使用され得る。例えば、引出溶液は熱分解性塩溶液を含み得る。いくつかの実施形態において、アンモニア及び二酸化炭素引出溶液が使用され得、例えば、米国特許出願公開第2005/0145568号(McGinnis)に開示されているものがあり、その開示は、その全体が全ての目的のために本明細書に参照により組み込まれる。1つの実施形態において、第2溶液はアンモニア及び二酸化炭素の濃厚溶液であり得る。少なくとも1つの実施形態において、引出溶液はアンモニアと二酸化炭素を1対1よりも大きいモル比で含み得る。
【0020】
第2(引出)溶液について好ましい溶質はアンモニア及び二酸化炭素ガス並びにその生成物、炭酸アンモニウム、重炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムであり得る。水に約1の比で溶解した際のアンモニア及び二酸化炭素は、主に重炭酸アンモニウム、並びに、より少ない量の関連生成物炭酸アンモニウム及びカルバミン酸アンモニウムを含む溶液を形成する。この溶液の平衡は、溶解性の溶質種であるカルバミン酸アンモニウム及びより少ない量の炭酸アンモニウムよりも、より溶解性の低い溶質種である重炭酸アンモニウムの方に片寄っている。主に重炭酸アンモニウムを含む溶液を、アンモニア対二酸化炭素の比が約1.75〜2.0に増加するように過剰のアンモニアガスで緩衝すると、溶液の平衡は溶解性の溶質種であるカルバミン酸アンモニウムへシフトする。アンモニアガスは水により溶解性であり、溶液に優先的に吸収される。カルバミン酸アンモニウムは第2溶液の溶媒に容易に吸収され易いので、その濃度は、溶媒が溶質をそれ以上吸収できない点(飽和)まで増加され得る。いくつかの非限定的実施形態において、この操作により達成されるこの第2溶液中の溶質の濃度は約2モル濃度より大きい、約6モル濃度より大きいか、又は約6〜12モル濃度である。
【0021】
1つ以上の実施形態によると、アンモニア対二酸化炭素の比は、システム中の引出溶液の最も高い濃度に基づいて、引出溶液ガスの吸収流体(前記の希薄引出溶液の一部)への完全な吸収を実質的に可能にするべきである。一般に、2つの溶液間の所望の浸透圧差が膜システム及び供給水回収の範囲全体で維持されるように、引出溶液の濃度、体積及び流速は、供給溶液の濃度、体積及び流速と合わせるべきである。これは、膜内及びその表面における内部及び外部の両方の濃度分極(偏り)現象を考慮して1つ以上の実施形態により算出し得る。1つの非限定的な脱塩の実施形態において、濃厚引出溶液の入口流速は塩供給水流速の約33%であるものが使用され得、典型的には海水脱塩システムについて約25%〜75%の範囲である。より低い塩分濃度供給は、供給水流の約5%〜25%の引出溶液入口流速を必要とし得る。希薄引出溶液の出口速度は、典型的には供給水の入口速度の約50%〜100%であり得、塩水排出体積の約3〜4倍である。
【0022】
1つ以上の実施形態によると、アンモニア対二酸化炭素の比は、一般に、引出溶液の濃度及び引出溶質除去及び回収過程において使用される温度に合わせるべきである。その比が十分に高くない場合、引出溶質ガスを濃厚溶液に再利用するための塩に完全に吸収することができず、その比が高すぎる場合、引出溶液中に、プロセスを駆動するために廃熱の使用が必要である温度のような所望の温度範囲において適切に凝縮されない過剰のアンモニアが存在する。例えば、いくつかの実施形態において、蒸留カラムは約50℃でガスを除去し得、吸収カラムは約20℃で作動し得る。さらに、アンモニア対二酸化炭素の比は、アンモニアの供給溶液への膜を通る通過を阻止すると考えるべきである。その比が高すぎると、引出溶液(通常、主にアンモニウム)中に、必要であるか、又は望ましいよりもより高い濃度で非イオン化アンモニアが存在することを引き起こし得る。他のパラメータ、例えば、供給水の種類、所望の浸透圧、所望の流束、膜の種類及び引出溶液濃度は、好ましい引出溶液モル比に影響を与え得る。アンモニア対二酸化炭素の比は浸透分離過程においてモニターされ得、制御され得る。少なくとも1つの実施形態において、引出溶液はアンモニア及び二酸化炭素を1対1よりも大きいモル比で含み得る。いくつかの非限定的実施形態において、引出溶液についての比は、約50℃で、及び、引出溶液中の二酸化炭素のモル濃度として特定される引出溶液のモル濃度で、1モル濃度までの引出溶液について少なくとも約1.1〜1、1.5モル濃度までの引出溶液について約1.2〜1、3モル濃度までの引出溶液について約1.3〜1、4モル濃度までの引出溶液について約1.4〜1、4.5モル濃度までの引出溶液について約1.5〜1、5モル濃度までの引出溶液について約1.6〜1、5.5モル濃度までの引出溶液について約1.7〜1、7モル濃度までの引出溶液について約1.8〜1、8モル濃度までの引出溶液について約2.0〜1及び10モル濃度までの引出溶液について約2.2〜1であり得る。実験が示すところでは、このおおよその温度において、これらは、これらの濃度の溶液の安定な溶解性のために必要なおおよそ最小の比である。より低い温度において、アンモニア対二酸化炭素のより高い比が同一の濃度に対して必要である。より高い温度において、より低い比が必要であり得るが、溶質のガスへの分解を防止するために溶液にある程度の圧力を加えることも必要であり得る。2モル濃度未満の全体の濃度においてさえ1対1よりも大きい比は、適量の加熱及び/又は圧力の減少に応じて、溶液の安定性を大幅に増大させ、二酸化炭素ガスの発生及び一般的な引出溶液の熱分解性分裂を防止する。
【0023】
1つ以上の実施形態によると、正浸透分離方法は、半透膜の第1の側に第1溶液を導入する工程、第1溶液の少なくとも1つの特性を検出する工程、アンモニア及び二酸化炭素を含む濃厚引出溶液について、少なくとも1つの検出された特性に基づいてモル比を選択する工程、選択されたモル比でアンモニア及び二酸化炭素を含む濃厚引出溶液を半透膜の第2の側に導入して半透膜を横切る所望の浸透濃度勾配を維持する工程、半透膜を通過する第1溶液の少なくとも一部の流れを促進して半透膜の第1の側に第2溶液を、半透膜の第2の側に希薄引出溶液を形成する工程、少なくとも一部の希薄引出溶液を分離操作に導入して引出溶質及び溶媒流を回収する工程、半透膜の第2の側に引出溶質を再導入して濃厚引出溶液中の選択された濃度及びアンモニア対二酸化炭素のモル比を維持する工程、並びに溶媒流を収集する工程を含み得る。
【0024】
1つ以上の実施形態によると、第1溶液からの溶媒の浸透抽出のための装置は、第1溶液源に流体接続された入口を有する第1チャンバー、アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1のモル比で含む濃厚引出溶液源に流体接続された入口を有する第2チャンバー、第1チャンバーを第2チャンバーから分離している半透膜、第2チャンバーの下流に流体接続され、蒸留カラムを含む分離システムであって、希薄引出溶液を第2チャンバーから受け取り、引出溶質及び溶媒流を回収するように構成された分離システム、及び引出溶質を第2チャンバーに再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素のモル比を維持することを容易にするように構成された吸収体を含むリサイクルシステムを含み得る。
【0025】
1つ以上の実施形態によると、システム及び方法は設置面積(footprint)を減少させるために設計され得る。いくつかの実施形態において、種々の溶液(例えば、濃厚及び希薄再利用可能溶液)はブラダー(bladder)に戦略的に貯蔵され得る。少なくとも1つの非限定的実施形態において、ブラダーはネオプレン又は同様の材料で作られ得る。いくつかの非限定的実施形態において、3つのブラダーが同一の容器内に使用されて供給水、生産水、濃縮物及び希薄塩溶液を貯蔵し得る。容器内の全体積は、水及び濃縮物が分離しているか、混合されているかにかかわらず一定のままであり得る。各流体についての1つのブラダー、又は、2つの流体の各々について1つであり、3つ目の流体が2つのブラダーの外側と容器壁との間に貯蔵される2つのブラダーが使用され得る。ブラダーは垂直又は水平配置で貯蔵され得る。図1は様々な2つ及び3つのブラダー配置を例示する。
【0026】
設置面積を減少させることに関する他の実施形態において、例えば、蒸留塔として使用されるパッキング(packing)が充填されコンクリートを裏打ちしたタンク等の1つの筐体(enclosure)が使用され得る。スチール製キャップにより、真空が形成され得る。コンクリートはポリマーがコーティングされていてもよく、又はコンクリートを使用せずにポリマーを裏打ちしたピットを使用してもよい。埋設容器も使用され得る。補助装置が使用され得る。低いコストの構造は熱交換を促進し得る。種々の実施形態において、共通の又は共有の壁構造が使用されてストリッパー(stripper)及び吸収体を同一の構造に組み込んで設置面積及びコストを最小化し得、一般に美観を向上し得る。
【0027】
1つ以上の実施形態によると、正浸透による脱塩は、大気中の(atmospheric)浸漬された膜設計を使用するシステム及び方法により達成され得る。正浸透膜装置は、引出溶液が繊維の内腔内を、引出溶液側の濃度分極を最小化するのに適切な速度で流れる中空糸形状に配置され得る。供給側の濃度分極を最小化するため、繊維の外側は、モジュール束の支持領域に分配される空気で連続的に又は断続的に洗浄され得る。繊維は、繊維に対するストレス(応力)を最小化するために空気流に対して平行な垂直配置で配向し得る。別の実施形態において、スパイラル型の膜形状も浸漬した(submerged)又は浸水した(flooded)容器の形態において使用され得る。これらの膜モジュールは、濃度分極現象を減少させるために有用なせん断力を膜表面において発生させ、膜表面を清浄に保つのに十分な流体速度を受け得る。また、それらは、気泡により連続的に又は定期的に洗浄されて濃度分極を減少させ得、膜表面を清浄に保ち得る。これらの技術は、高いファウリング及び/又はスケール発生の可能性を有する水の処理を可能にし得る。
【0028】
図2の概略図において示される操作において、濃厚引出溶液は分配(distribution)チャンバーにモジュールの一端で入り、繊維束の全長にわたって流れ、モジュールのもう一方の端で収集チャンバーへと流れ得る。モジュールを出る引出溶液は、その後、隣接したモジュールの分配へと流れ得る。この配置は、引出溶液が脱塩されるべき供給水と反対の水平方向に流れることを可能にし得る。膜を横切る比較的一定の浸透駆動力が有益に得られ得る。膜システム設計は、供給及び引出溶液側の両方において、接触槽全体を通して、膜の表面を通過する速度が比較的一定に保たれるようにモジュール接触器を段階分けし得る。
【0029】
1つ以上の実施形態によると、図3は未処理の供給水が周辺に沿って入る、槽(basin)の形状の概略図を示す。流れは穿孔板(perforated plate)を通過して槽に出入りして均一な垂直流速を確保する。新たな引出溶液は塩水出口に最も近いモジュールの上端に入り、第2段階を経て下に流れ、第1段階モジュールを通過して上に流れる。段階及び各段階当りのモジュールの相対数は供給水及び引出溶液の状態に必要な特定の状態に合うように調整され得る。
【0030】
1つ以上の実施形態によると、システム及び方法は正浸透平膜モジュール設計を含み得る。平膜エンベロープ(envelope)は膜エンベロープの内側を引出溶液が流れることを容易にし得る。図4Aに示されるように、膜シートは構造的支持を提供する2つのプラスチックフレームの間に接着され得る。図4Bに示されるように、2つの膜フレームは1つの膜エンベロープへと結合され得る。図4Cに示されるように、フレームは、穴の列がフレームの両端に作られてエンベロープ内の引出溶液の均一な分布及び回収を容易にし得るように設計され得る。
【0031】
少なくともいくつかの実施形態において、膜を通過する水の移動の結果として、引出溶液はエンベロープを通過して流れるとき体積が実質的に増加し得る。かかる流れの形態で、モジュールを通過する引出溶液の速度は、その体積が増加するにしたがって増加し得、圧力降下及びポンプエネルギーの増加をもたらし得る。1つ以上の実施形態によると、エンベロープの入口から出口への体積が増加するのにつれて、比較的一定の引出溶液速度が有利に維持され得る。
【0032】
或いは、図4Dに示されるように、モジュールはその内部体積が非対称であり得、例えば、より高い体積流れのために、底でより広い。又は、モジュールはある程度柔軟性であり得る。
【0033】
1つ以上の実施形態によると、膜エンベロープは、多数のエンベロープからなるモジュールへと構成され得る。エンベロープ間の最終的な間隔及びモジュールの寸法は製品開発の間に決定され得る。例えば、1つの非限定的実施形態において、単位体積当りの推定膜面積について、モジュール幅の1インチ当り3つのエンベロープが使用され得る。
【0034】
図5について、多数のモジュールがスタックアセンブリとして縦型に配置され得、各モジュール間のプラスチック支持フレームは水及び引出溶液の両方の垂直の流れを可能にするように設計される。全体の個々のモジュール及びスタックの寸法は組立及び解体(disassembly)の間の取扱い及び/又は膜タンクからの除去の容易さ等の要因に基づいて決定され得る。モジュール、スペーサー及びスタックは供給及び引出溶液の液圧特性を維持するように設計され得る。
【0035】
1つ以上の実施形態による膜接触器の液圧プロファイルについて、種々の設計パラメータを使用し得る。比較的一定の速度が膜の両側で維持されて、低い速度に起因する流束の低下及び高い速度に起因する過剰な圧力降下を最小化し得る。また、速度は適切に高いままであり得て膜の水側に固体が堆積するのを防止し得る。過程の間流れる引出溶液及び水の体積流量は、それぞれ、増加及び減少し得、いくつかの実施形態において、水及び引出溶液流れの両方に対して直列の2つ以上の段階を使用することが望ましくなり得る。少なくともいくつかの実施形態において、最も濃厚な引出溶液(すなわち、接触器に入る引出溶液)が使用されて最も濃厚な塩水(接触器を出て行く塩水)から水を抽出することが好ましいことがあり得る。一般に、過程の間に設備を回転させて流体を移動させることは最小化されるべきである。設計は、浮遊物質及び/又は濃縮後に沈殿し得るやや難溶な(sparingly soluble)塩を有する供給水源の確実な処理を促進する特徴を提供するべきである。
【0036】
図6に示される1つ以上の実施形態によると、コンセプトの水側についての液圧設計は、例えば、直列の2つ以上の段階、1つの段階について並列な1つ以上のスタック、クロスフロー速度の制御のための曝気、表面洗浄、エアリフト効果により水をリサイクルするための原動力、貫流処理又は濃縮物リサイクル、空気のみでは不十分である場合の供給ポンプ、及びリサイクルされる濃縮物からの浮遊物質の除去及び濃縮のための濃縮物沈降タンク等の1つ以上の特徴を有し得る。
【0037】
1つ以上の非限定的実施形態によると、図7に示されるように、引出溶液側についての液圧設計は、場合によって、水と反対方向の引出溶液の流れ、及び/又は、希薄濃縮物で発生する圧力をシステムにより濃縮物をポンプでくみ上げるためのエネルギー源として使用することを含み得る。
【0038】
1つ以上の実施形態によると、種々の工学的な浸透システム及び方法を大型のシステムに組み込み得る。いくつかの実施形態において、図8に示されるように、システム及び方法は種々の熱源及び水システムと一体化され得る。少なくとも1つの実施形態において、引出溶液はコンデンサーに付随する管の内側に供給され得る。いくつかの実施形態において、地下からの温水がリボイラー中で使用され得る。他の実施形態において、地熱、産業源由来の廃熱、ソーラーコレクター、溶融塩又は熱的貯蔵システムにおける残留熱が使用され得る。さらに他の実施形態において、ディーゼル発電機が使用され得る。
【0039】
1つ以上の実施形態によると、正浸透システム及び方法は塩晶析器と一体化され得る。一体化された正浸透及び晶析器システムについて、後に、引出溶液再生のために正浸透過程において使用し得る蒸気品質を晶析器が生成するように、熱管理が最適化され得る。晶析器由来の蒸気は、塩結晶分離の後に晶析器の蒸発室を出て行く蒸気であり得るか、又は晶析器について熱エネルギー源として使用される蒸気圧縮器からの出力の一部であり得る。図9はかかる統合の1つの非限定的実施形態の概略図を示す。
【0040】
1つ以上の実施形態によると、正浸透システム及び方法は、スケールの沈殿の可能性を有する廃水源からの水の回収を最大化するための補助過程と一体化され得る。カルシウム及びマグネシウム塩の沈殿を防止するために、カルシウム及びマグネシウムは、強酸カチオン交換樹脂におけるナトリウムによるイオン交換等の技術により、供給液から最初に除去され得る。FO濃縮物が樹脂を再生させるために使用され得る。イオン交換カラム中の沈殿を防止するために化学分散剤が使用され得る。シリカスケールの制御のために、シリカスケール分散剤がシステムの供給液に供給され得る。所望の濃縮係数が分散剤供給者により推奨される最大量を超えるシリカ濃度をもたらす場合、供給液の一部はシリカを除去する小さい外部精密濾過機又は限外濾過機を通してリサイクルされ得る。図10は過程の非限定的実施形態の概略図を示す。
【0041】
別の実施形態において、FO膜システムにおいて、濃厚供給溶液が種晶及び/又は凝集剤化学物質添加を含有する沈殿タンクに向かうように、溶解性の塩は、スケール防止化学物質を使用して、又は使用せずに、その溶解度まで、又は溶解度を超えて濃縮され得る。その後、この溶液は沈降タンク及び/又は濾過装置に向かって粒子状物質を除去し得る。その後、この処理からの流出液は別の過程に向かい得、廃棄され得、又はさらなる濃縮のためにFO膜システムにおいて再循環され得る。洗浄のための流体せん断力の使用及び/又は気泡の導入がFO膜システムにおいて使用されて沈殿及び/又はファウリングが膜表面に生じないことを確実にし得る。
【0042】
1つ以上の実施形態によると、システム及び方法は廃水処理のために膜バイオリアクター(MBR)操作において使用され得る。いくつかの実施形態において、廃水は廃棄物から1工程で再利用のために変換され得る。いくつかの実施形態は、廃棄物流中の浮遊物質及び有機物からの水の直接膜分離又は膜消化操作がエネルギー及び全体のコストの観点からの節約を提供し得るように、曝気を必要としないことがあり得る。非限定的実施形態において、MBRシステムは、循環が膜シートの表面に沿い、タンク中の比較的混合されていない領域がシートの下にあるように設計され得る。固体はこの沈降ゾーンから除去され得る。発酵が、混合されていない領域で同様に起こり得、タンクの頂部からのメタンの除去及び使用を可能にする。タンクは、ポンプ出口がタンクの1つの側に置かれ、流れを膜シートの横(幅)軸に沿って方向付け、所望の場合には、流れがシートの縦軸に沿って均一に分布され、頂部から底部まで均一に分布するようにせん断力及び乱流を誘発するように構成され得る。さらに、タンクは、タンクの反対の壁が、抵抗を減少させてタンクのポンプ側に水を戻し、この流れが膜スタックの両側を通過するように曲線状であるように構成され得る。膜ポケットの内部の引出溶液は頂部から底部へ、底部から頂部へ、又は必要に応じて順次交互に流れ得る。膜スタックは、タンクの異なる領域が異なる供給溶液の定常状態濃度となるように配置され得る。気泡は膜表面を洗浄して濃度分極減少を減少させ得、膜表面上のファウリング及び/又はスケールを防止し得る。この空気の導入は、通常の膜バイオリアクターに典型的であるような溶液への酸素の導入のためよりもむしろこれらの目的を意図している。
【0043】
1つ以上の実施形態によると、システム及び方法はバッチ式工学浸透(EO)過程で実施され得る。いくつかの非限定的実施形態において、汽水及び廃水源のバッチは脱塩され得、濃縮され得る。処理されるべき流体はバッチ式EO過程及び水源のための貯蔵タンクの間で、所望の塩濃度が達成されるまで再循環され得る。バッチ式EO過程は、前濾過により、又は浮遊物質を調整し得るFO膜及びモジュール設計により、供給水中に浮遊物質を含んだまま実施されるように設計され得る。過程は可動式の一時的処理又は常設装置で使用され得る。図11は収容された汽水性生成水を濃縮するために応用し得る方法の例を示す。
【0044】
1つ以上の実施形態による膜モジュールは、圧力遅延浸透に使用され得る。圧力遅延浸透は一般に、例えば、濃厚引出溶液および希薄作動流体などの2つの溶液間の塩分差異から浸透圧力または塩分勾配エネルギーを得ることに関するものであり得る。いくつかの例において、海水が第1溶液であり得、淡水又はほぼ脱イオン化された水が第2溶液であり得る。いくつかの実施形態において、1つ以上のスパイラル型正浸透膜モジュールが圧力容器に囲われて圧力遅延浸透を容易にし得る。正浸透膜モジュールの1つ以上の設計態様は圧力遅延浸透用途のために変更され得る。圧力遅延浸透において、引出溶液は膜の第1の側の圧力チャンバーに導入され得る。いくつかの実施形態において、引出溶液の少なくとも一部は、引出溶液及び希薄作動流体間の浸透圧差に基づいて圧力をかけられ得る。希薄作動流体は膜の第2の側に導入され得る。希薄作動流体は、一般に、浸透により膜を通過して移動し得、それによって膜の圧力をかけられた引出溶液側の体積が増加する。圧力が釣り合ったとき、タービンが回転して電気を発生し得る。その後、得られる希薄引出溶液は再利用のために処理され、例えば分離され得る。いくつかの実施形態において、より低温の熱源、例えば産業廃棄物熱は圧力遅延浸透システムまたは過程に使用され得るか、またはそれを容易に得る。
【0045】
1つ以上の実施形態によると、システム及び方法は大規模な圧力遅延浸透接触器に使用され得る。図12及び13に示される中空糸膜モジュールが使用され得る。該モジュールは垂直又は水平圧力容器に組み込まれ得、例示の目的で、垂直圧力容器中の1個のモジュールが示されている。海水と淡水の間の浸透圧差を利用する「オープン(開放型)」PROの場合、塩濃度が制御され得、膜の淡水側の濃度分極の影響を最小化するのに適切な速度が維持され得る。淡水は繊維の一端に入り、もう一方の端を出得るか、又は、淡水は、繊維の両方の端に入り得、繊維中にある程度の塩を蓄積することを可能にし、その後、頂部に導入された淡水で内腔中の塩を周期的に洗い流すことができる。再構成された引出溶液及び蒸留水又は脱イオン水の両方が接触器に戻される「クローズドループ(閉鎖ループ型)」PROの場合、水はモジュールに繊維束の頂部及び底部から供給されて、同時に、繊維中の液圧損失を最小化し、エネルギー生産を最大化することができる。
【0046】
オープン又はクローズドループPROにおいて、高圧ゾーン内の繊維の外側における濃度分極(偏り)の制御は、水の流束速度及びエネルギー生産を最大化することを容易にし得る。ガスは各モジュールの底部で導入されてCP境界層を分断し得る。ガスは高圧部分の頂部で回収され得、小さい圧縮器を使用してリサイクルされ得る。圧縮器は、接触器中のリサイクル用配管及び分配システムを横切る比較的低い圧力損失を打開するためにのみ必要であり、エネルギー消費が最小化される。
【0047】
オープンPROを含むいくつかの実施形態において、ガスは空気であり得るが、モジュールにおける炭酸カルシウムの沈殿を防止するためのpH制御のために、別のガス(例えば、窒素又は二酸化炭素)であってもよく、又はそれらを含むこともできる。炭酸アンモニウムを引出溶液として使用するクローズドPROの場合、熱的回収システムにおいて、分裂ガスとして蒸留カラムを出て行くアンモニア及び/又は二酸化炭素を使用することが有利であり得、この場合、膜接触容器はガス吸収体としても働き、従って、全過程に対する資本コスト及び複雑さがいくらか節約される。溶解しないガスは、特に、1種以上のガスが引出溶液に有意に溶解するならば、ガスの混合物が使用できるように、種々の実施形態においてリサイクルされる。例えば、空気並びにアンモニア及び二酸化炭素が、適切な繊維の攪拌を確実にする、適切な比及びガス体積で使用され得る。
【0048】
1つ以上の実施形態によると、膜ファウリングはモニターされ得、制御され得る。膜ファウリングは液乱流及びガス導入等の洗浄技術を使用して制御され得る。いくつかの実施形態において、例えば、膜表面でせん断を誘発する循環中の流体力学に関与するせん断力が洗浄に使用され得る。他の実施形態において、フォームボール(foam ball)等の物を流路に置いて洗浄を達成し得る。いくつかの実施形態において、ファウリング及び生物活性は、例えば、異なる膜の領域が、異なる時において、異なる溶液、浸透圧、pH又は他の条件となるように操作パラメータを操作して浸透圧及び流路を変更することにより制御され得る。例えば、分、時間又は年に基づく時間に対する変化が予定され得る。
【0049】
1つ以上の実施形態によると、引出溶液中の極限環境微生物(extremophile)の存在は種々の技術により制御され得る。供給は、脱気されるか、又はその他前処理されて硝化細菌又は他の有機体が供給流中のガス(例えば、酸素)との反応により引出溶液成分を消費することを防止し得る。膜接触器又は他の脱気技術が使用され得る。サルファイト還元、生物学的処理、浸透圧衝撃、引出溶液と反応しない通常の洗浄技術、化学物質を含まない生産水流束、塩水溶液曝気及びバイサルファイト添加は、引出溶液中の極限環境微生物を制御するために実施され得る他の技術である。
【0050】
1つ以上の実施形態によると、装置、システム及び方法は、一般に、装置又はシステムの構成要素の少なくとも1つの操作パラメータを調整するか、又は制御するための制御装置(例えば、作動バルブ及びポンプであるがこれらに限定されない)、さらに、スパイラル型正浸透膜モジュールを通過する1つ以上の流体の流れの性質又は特性を調整するための制御装置を含み得る。制御装置は、例えば、濃度、流速、pH又は温度等の少なくとも1つのシステムの操作可能なパラメータを検出するように構成された少なくとも1つのセンサーと電気通信し得る。制御装置は、一般に、センサーにより発生される信号に応答して、制御信号を発生して1つ以上の操作可能なパラメータを調整するように構成され得る。例えば、制御装置は、正浸透分離装置の任意の流れ、構成要素又はサブシステムの状態、性質又は状況の表示を受け取るように構成され得る。制御装置は、典型的には、通例1つ以上の任意の表示及び目的又は所望の値(例えば、設定値)に基づく少なくとも1つの出力信号の発生を容易にするアルゴリズムを含む。1つ以上の特定の態様によると、制御装置は任意の流れの任意の測定された性質の表示を受け取り、任意のシステム構成要素に対する制御、駆動又は出力信号を発生させて測定された性質の目的値からのずれを減少させるように構成され得る。
【0051】
1つ以上の実施形態によると、過程の制御システム及び方法は、例えば、pH及び伝導度等の検出されたパラメータに基づき得る種々の濃度レベルをモニターし得る。処理流の流速及びタンクレベルも制御され得る。温度及び圧力がモニターされ得る。膜漏出はイオン選択的プローブ、pHメーター、タンクレベル及び流れの流速を使用して検出され得る。さらに、漏出は膜の引出溶液側にガスで圧力をかけること、及び、供給水側における漏出の超音波検出器及び/又は目視観測を使用することによっても検出され得る。他の操作可能なパラメータ及びメンテナンス項目がモニターされ得る。種々のプロセス効率が、例えば、生産水の流速及び品質、熱流量及び電気エネルギー消費を測定することにより、モニターされ得る。生物学的ファウリングの軽減のための洗浄手順は、膜システムの特定の点における供給及び引出溶液の流速により決定される流束の低下を測定すること等により、制御され得る。塩水流におけるセンサーは、蒸留、イオン交換、不連続点塩素処理(breakpoint chlorination)又は同様の手順等の処理が必要である際に、指示し得る。これは、pH、イオン選択的プローブ、FTIR又は引出溶質濃度を感知する他の方法により実施され得る。引出溶液の状態は溶質の補給添加及び/又は交換のためにモニターされ得、追跡され得る。同様に、生産水の品質は通常の方法により、又はアンモニウム若しくはアンモニアプローブ等のプローブを使用してモニターされ得る。FTIRは、存在する種を検出して、例えば、適切なプラントの運転を確実にし、及び膜イオン交換効果等の挙動を同定するために有用であり得る情報を提供するように実施され得る。
【0052】
1つ以上の実施形態によると、濃厚及び希薄引出溶液の一方又は両方は、場合によって容器中のブラダーに貯蔵され得る。同様に、生産水及び/又は供給水はブラダーに貯蔵され得る。容器が多数のブラダーと共に使用される場合、容器の全体積は種々の入れ物の体積が、膜を通過する流束及び引出溶液のリサイクルにより変化するのにつれて、過程の設置面積が最小化され得るように変化する必要はない。蒸留カラムは、例えば、パッキングが充填され、蓋をかぶせられ、コーティングされたコンクリートを裏打ちしたピットの使用により、地中に設置され得る。膜モジュールは、引出溶液が膜の内部にある状態で供給水タンクに浸漬され得る。膜は、スパイラル型、中空糸、平板及びフレーム又は他の形状であり得る。正浸透膜使用における空気洗浄は供給チャンネルを清浄に保ち得る。空気洗浄は連続的又は断続的であり得る。膜モジュールは、異なるゾーンが異なる濃度を有するように浸漬タンク内に配置され得る。正浸透平膜はスタック形態において使用され得、タンクに浸漬され得る。低温熱は正浸透又は圧力遅延浸透における引出溶液の再生のために使用され得る。低位熱源は地熱、太陽熱、熱貯蔵システム由来の残留熱、産業的及び/又は電力生産過程由来の廃熱を含み得る。正浸透過程は、晶析器からの熱が正浸透過程において使用され得るように塩晶析器と一体化され得、正浸透塩水に流れた任意の引出溶質は、晶析器からのガスとして正浸透過程に戻され得る。正浸透は、例えば、イオン交換、化学軟化、ナノ濾過、スケール防止剤及び/又は沈殿技術等の高い供給水回収を可能にするためのスケール防止前処理と組み合わせられ得る。FOのために、スケール防止システムにおいて空気を洗浄することは、膜表面上にスケールが発生することを防止するのに使用され得る。正浸透は、生物活性のために、有機物含有水に曝気をしないで使用され得る。廃棄物流は消化槽における潜在的な使用のために濃縮され得、エネルギー用途のために膜タンク内で潜在的にメタンを生成し、再利用品質の生産水を生成する。このことは、浸漬された膜のタンク設計において特に効果的であり得る。空気洗浄は、酸素を提供することに加えて、さらに、膜ファウリングを起こさずに高い濃度の有機物を可能にするのにも使用され得る。バッチ式又は連続的攪拌タンク反応器(CSTR)型操作は正浸透と共に実施され得、特に、有機物濃縮正浸透及び/又は沈殿システムの増進した機能を可能にする。圧力遅延浸透システムも浸漬したタンク形態であり得る。圧力遅延浸透システムは曝気されてファウリング及び/又はスケールを防止し得、濃度分極を減少させ得る。反応性ガスもこの機能を補助し得る。正浸透システムにおける生物学的増殖は膜モジュール又は配置の区域が、高い又は低い浸透圧にさらされることを交互にすることにより制御され得る。例えば、通常0.5Mの水にさらされる膜配置区域は2Mの水の処理に変更され得る。かかる調整は生物膜増殖を非常に困難にする。さらに、供給流の脱気が実施されて特定の種類の生物有機体の成長を防止し得る。例えば、酸素を除去することは、引出溶液から供給溶液へ通過するアンモニアを酸化し得る硝化有機体の増殖を制限し得る。サルファイト還元、生物学的処理、浸透圧衝撃、引出溶液と反応しない通常の洗浄技術、化学物質を含まない生産水流束、塩水溶液曝気及びバイサルファイト添加は生物活性を制限するために実施され得る他の技術である。いくつかの実施形態において、pH、イオンプローブ、フーリエ変換赤外分光法(FTIR)及び/又は流速が正浸透システムを制御するために使用されて所望の流束、浸透圧差、アンモニア対二酸化炭素の比及び濃度を確実にし得る。
【0053】
幾つかの例示的な実施形態を説明したが、当業者には明らかなように、上述のものはただ例示的だけであり、制限されず、例として挙げられるに過ぎない。多数の変更および他の実施形態は当業者には自明であり、本発明の範囲内と見なされる。具体的に、本明細書において記載された多くの例が方法手順またはシステムの要素の特定の組み合せを含むが、それらの手順およびそれらの要素が他の方法で組み合わせられることによって同一の目的を達成することができると理解するべきである。
【0054】
本明細書において説明される装置、システムおよび方法の実施形態が次の説明に記載されるまたは添付図面に図示される構造の詳細および部分の配置に、用途として制限されないことを理解するべきである。その装置、システムおよび方法は、他の実施形態でも実装でき、様々な方法で実践するまたは実行することが可能である。特定の実装の例は、図示するために本明細書において提供され、制限されるつもりではない。具体的に、1つ以上のいかなる実施形態に関しても説明される行為、要素および特徴は他のいかなる実施形態でも類似の役割から除外されるつもりではない。
【0055】
当業者は本明細書において説明されるパラメータおよび構成は例示的であり、実際のパラメータおよび/または構成は、本発明のシステムおよび技術を使用する特定の用途に異存する。当業者は通常の実験しか使用されず本発明の特定の実施形態の同等品を認識するまたは確認することができる。そのため、本明細書に記載される実施形態は、例としてしか挙げられず、また添付される請求項およびその同等品の範囲内で本発明は具体的に明記される方法以外でも実現可能であると理解されるであろう。
【0056】
また、本発明は、本明細書に記載の各特徴、システム、サブシステムまたは技術に関し、本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、サブシステムまたは技術のいかなる組み合せでも、そして本明細書に記載される2つ以上の特徴、システム、サブシステムおよび/または方法のいかなる組み合せでも、その特徴、システム、サブシステムおよび技術が相互に統一されていなければ、請求項に体化されるように本発明の範囲にあると見なされる。また、一実施形態だけに関し説明される行為、要素および特徴は他の実施形態においては同様な役割から除外するつもりがないと理解されるであろう。
【0057】
本明細書において使用される言い回しおよび用語は説明を目的とし制限としては見なされるべきではない。本明細書において使用されるように「複数」という用語は2つ以上の品目および部分。「含む」、「含む」、「運ぶ」、「有する」、「含有する」および「関わる」という用語は、明細書に記載されるか、または請求項等に記載されるかを問わず非限定的な用語であり、つまり「含むがそれに限らない」を意味する。従って、そのような用語の利用は、そこ以下に列挙される品目と、それらに同等するものと、更なる品目を網羅することを意図される。「構成される」および「本質的に構成される」という移行句のみ、それぞれに請求項に対して閉鎖または半閉鎖移行句である。請求項の要素を変更するために請求項において「第1の」、「第2の」、「第3の」等の序数用語の利用は、それだけで1つの請求項要素に対してもう1つの要素のいかなる優先、先行または順番でも、あるいは方法の行為の時間的な順番を伝わらず、むしろ請求項要素を差別するために、ある名称を有する1つの請求項要素を、同一の名称を有するもう1つの要素(序数用語の使用以外は)から差別するためのラベルとして利用されるに過ぎない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1溶液からの溶媒の浸透抽出のためのシステムであって、該システムが:
第1溶液源に流体接続された入口を有する第1チャンバー;
アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1の所望のモル比で含む濃厚引出溶液源に流体接続された入口を有する第2チャンバー;
第1チャンバーを第2チャンバーから分離する半透膜システム;
蒸留カラムを含み、第2チャンバーの下流に流体接続された分離システムであって、該分離システムは希薄引出溶液を第2チャンバーから受け取り、引出溶質及び溶媒流を回収するように構成され;
引出溶質の第2チャンバーへの再導入を容易にして所望のモル比を維持するように構成された吸収体を含むリサイクルシステム、
分離システムと熱的に接続された低温熱源、
を含む、前記システム。
【請求項2】
濃厚引出溶液と流体接続された引出溶液貯蔵システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
引出溶液貯蔵システムが少なくとも1つのブラダーを含む、請求項2に記載のシステム。
【請求項4】
引出溶液貯蔵システムが、第1溶液貯蔵ブラダー及び希薄引出溶液貯蔵ブラダーの少なくとも1つをさらに含む容器に収容される、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
蒸留カラムが地下に設置される、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
半透膜システムがタンク内に浸漬した膜モジュールを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
タンクが第1濃度ゾーン及び第2濃度ゾーンを含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
膜モジュールが複数の平膜を含む、請求項6に記載のシステム。
【請求項9】
ガス洗浄システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
第1溶液と流体接続され、イオン交換、化学軟化、ナノ濾過、スケール防止剤及び沈殿ユニット操作からなる群から選択される、前処理システムをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項11】
分離システムと共同する塩晶析器をさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項12】
pH、イオンプローブ、フーリエ変換赤外分光法及び流量メータープローブの少なくとも1つをさらに含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項13】
正浸透分離方法であって、
半透膜の第1の側に第1溶液を導入する工程;
アンモニア及び二酸化炭素を少なくとも1対1のモル比で含む濃厚引出溶液を半透膜の第2の側に導入して半透膜を横切る所望の浸透濃度勾配を維持する工程;
半透膜を横切る第1溶液の少なくとも一部の流れを促進して半透膜の第1の側に第2溶液を、半透膜の第2の側に希薄引出溶液を形成する工程;
希薄引出溶液の少なくとも一部を分離操作に導入して引出溶質及び溶媒流を回収する工程;
半透膜の第2の側に引出溶質を再導入して濃厚引出溶液中のアンモニア対二酸化炭素の所望のモル比を維持する工程;
溶媒流を収集する工程;
半透膜の生物学的ファウリングを制御する工程
を含む、前記分離方法。
【請求項14】
生物学的ファウリングを制御する工程が第1溶液の脱気を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
生物学的ファウリングを制御する工程が半透膜の周囲の浸透圧を調整する工程を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
生物学的ファウリングを制御する工程が、サルファイト還元、生物学的処理、浸透圧衝撃、曝気、生産水流束及びバイサルファイト添加の少なくとも1つを含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公表番号】特表2013−509298(P2013−509298A)
【公表日】平成25年3月14日(2013.3.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−537121(P2012−537121)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【国際出願番号】PCT/US2010/054738
【国際公開番号】WO2011/053794
【国際公開日】平成23年5月5日(2011.5.5)
【出願人】(511133509)オアシス ウォーター,インコーポレーテッド (4)
【Fターム(参考)】