説明

消化器、および免疫‐関連疾患の予防または処置のためのバチルスPB6の使用

リポペプチドを生産するバチルス種の細菌は、プロバイオティックとして投与された場合、消化器疾患の処置および予防に有効であることが見いだされている。とりわけ、B6として同定されたバチルス細菌菌株は、プロバイオティックとして投与された場合、抗生物質関連下痢症(AAD)またはいっそう重篤な異常のクロストリジウムディフィシル関連下痢症(CDAD)の処置に有用である。その上、これらの細菌は炎症性腸疾患(IBD)のような免疫に関連した疾患の処置に効果があることが見いだされている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
この出願は、2005年11月29日に出願されたアメリカ合衆国特許出願番号60/740,518に対する優先権を主張する。
【0002】
発明の背景
本発明は一般に、消化器疾患を治療するための細菌の投与、およびいっそう明確には、抗生物質関連下痢症(AAD)およびクロストリジウムディフィシル獲得性下痢症(CDAD)を治療するためのバチルスアミロリキファシエンス菌株の細菌の投与に関する。
【0003】
抗生物質関連下痢症という用語は、抗菌剤の使用後の、良性で、定型的な下痢を表す。典型的には、病原体は全く確認されず、下痢は腸内細菌叢の組成および機能における変化に起因する。大部分の患者は支持的手段および抗生物質の中断に反応する。
【0004】
複数の抗生物質、とりわけ腸吸収が少ないか、または胆汁への排出が多い広域抗菌スペクトルを有する薬剤の長期使用は、腸内細菌叢の組成および機能の変化を誘発し、それゆえAADの発生率がより高くなる1、2。変更の程度はコロニー化を阻止する正常細菌叢の能力および使用する抗生物質の型によって影響されることになる。結腸嫌気性細菌叢の減少は炭水化物および胆汁酸代謝を妨害する。浸透圧性または分泌性下痢が起こる可能性がある。微生物および代謝変化の結果、日和見病原体の過剰増殖が起こる。
【0005】
嫌気性グラム陽性桿菌であるCディフィシルは、すべてのAAD症例の15%から20%までを占める。とりわけ、この微生物は大腸炎の徴候を伴う多数のAAD症例において、および偽膜を持つすべてのAAD症例において分離されうる。それは環境に広く存在し、かなりの期間生存する可能性があり、そして糞便‐経口経路によって感受性の高い個体に移される。それは小児の正常細菌叢の一部であると見なされ、約5%の健康な成人において、そして無症候性の、または隔離された入院患者の1/3に至るまでにおいて分離されうる。
【0006】
AADの臨床徴候は軽度な下痢から劇症大腸炎まで変化する可能性がある。Cディフィシル大腸炎の重症度は、年齢、同時罹病率、宿主の免疫反応、および逆蠕動剤の使用を含む、非常に多数の因子によって影響を受けるように見える。興味深いことに、細菌の遺伝子型および毒素生産が果たす役割は少ないように見える。疾患の主な症状は下痢であり、それは一般に治療中に発生するが、抗生物質中断後遅くとも8週間の後には出現する可能性がある。AADの多くの症例では、患者は軟便、大腸炎のわずかな徴候を呈し、本質的な症状はほとんど見られない。下痢は支持療法および抗菌剤の中断に即座に反応する。
【0007】
クロストリジウムディフィシルは1935年に初めて記載されたが、1970年代後期まで抗生物質関連下痢症と関連付けられなかった。クロストリジウムディフィシルは芽胞形成グラム陰性嫌気性バチルスであり、少なくとも2種の外毒素:主としてエンテロトキシンであるトキシンAと、細胞毒素であるトキシンBを生産する。微生物は重症度が無症候性コロニー化から激しい下痢、偽膜性大腸炎(PMC)、中毒性巨大結腸、結腸穿孔、および死亡までに及ぶヒトの消化器感染症を引き起こす6、7、8。C.ディフィシルコロニー化の発生における最初のステップは、結腸の正常細菌叢の混乱であり、通常抗生物質により、あるいはまれな場合では、抗新生物または免疫抑制剤によって引き起こされる9、10。コロニー化は糞便‐経口経路によって起こり;摂取されたC.ディフィシルの芽胞は胃酸バリアに耐え、結腸で発芽する11、12。CDADの症状は抗生物質療法開始初日、または抗生物質療法が中止された後数週間までに開始する可能性がある13。以下の2つの因子が、病院でC.ディフィシルコロニー化を獲得する患者において症候性疾患が起こる見込みを増すことを示している:他の疾患の重症度、およびトキシンAに対する血清IgG抗体のレベル低下14。これらの結果は、前もって存在する抗‐トキシンA抗体が疾患の重症度を改善する可能性があること、および免疫化が院内CDADを妨げ、制御することにおいて効果的である可能性があることを暗示する。
【0008】
明確にするために、我々は、患者がC.ディフィシルに引き起こされた症候性の病変を提示する場合、C.ディフィシル‐関連疾患(CDAD)を有すると定義する。下痢を示す患者の糞便中のC.ディフィシル毒素存在の検出が、最も一般的に受け入れられている診断方法である。
【0009】
クロストリジウムディフィシルは、抗生物質関連下痢症のすべての症例のおよそ25%の原因である15。C.ディフィシル‐関連疾患の大部分の症例は、病院または長期介護施設(1日につき100,000占有ベッドごとに25〜60症例の割合)で発生し、米国で1年に300,000より多い症例を引き起こし、そして多くのヨーロッパの国々にとって類似の割合が推定される。それは2週間に至るまでの入院期間および症例毎に$6,000〜$10,000もの付加的な経費を追加しうる16、17、18、19、20、21
【0010】
原因となる抗生物質をいったん止めれば、CDAD患者において下痢は自然に治癒する可能性があり、軽度な疾患の患者の場合には特定の療法が必要でないかもしれない22、23。しかし、抗生物質バンコマイシンまたはメトロニダゾールによりほとんどすべての症候性患者を治療することが標準業務である。メトロニダゾールは現在CDADの処置に対してFDAによって認可されていないが、バンコマイシンの費用が高いことおよびバンコマイシン耐性菌の出現に対する懸念から、最も重要な療法として広く使用されている。メトロニダゾールは事実上腸内細菌叢を混乱させるため、それはまた、患者にメトロニダゾール耐性エンテロコックスによるコロニー化をうけやすくする24。10〜14日間の経口メトロニダゾール(250mgを1日に4回、または500mgを1日に3回)が通常適切である。経口メトロニダゾールに耐えることができないもの、メトロニダゾール療法が効かないもの、妊娠している患者、そしてたぶんひどく具合の悪い患者に対しては、10〜14日間の経口バンコマイシン塩酸塩(125mgを1日に4回)が指示される。クロストリジウムディフィシル大腸炎の1回目のぶり返しまたは再発は、経口メトロニダゾールまたはバンコマイシンの別の10〜14日コースで治療可能である。
【0011】
バンコマイシンまたはメトロニダゾールによるCDADの処置は、正常な、保護的腸内細菌叢を変化させることにより有害なサイクルを伝播させる。結果として、初期症状出現により治療された患者の20%が、療法の中断後通常2週間以内にCDADを再発する25、26、27、28。CDADの治療計画から抗生物質を除去することの別の利点は、細菌耐性に対する選択圧の軽減である。バンコマイシンおよびメトロニダゾールは、VREのような、耐性グラム陽性球菌のために選択されることが明確に示されている。後ろ向き疫学的研究は、セファロスポリン、フルオロキノロンおよびメトロニダゾールのような、広域抗生物質の使用と腸内VREコロニー化を結びつけている29。腸内VREコロニー化は、病院内でこの病原菌に対する病原巣を提供する。VREの多くの菌株は多剤耐性であり、致命的な全身感染の治療に対する選択の余地がほとんどない。C.ディフィシル患者は、おそらく以前の抗生物質治療のために、VREコロニー化および感染にとりわけ影響を受けやすいように見える30、31。VREコロニー化の管理は、病院感染制御業務の重要な要素である。従って、一般的な患者集団およびC.ディフィシル患者の両方においてVREコロニー化のリスクを低下させる治療的方策が非常に望ましい。バンコマイシンおよびメトロニダゾール耐性C.ディフィシルの出現可能性は、この疾患を治療するための抗生物質の使用に対する付加的なリスクを提示する。現在、抗生物質耐性C.ディフィシルの発生は散発性であるが、臨床分離菌の12%にまで至ることが報告されている32
【0012】
発明の概要
本発明は、リポペプチドを生産する有効量のバチルス細菌を投与することによる、抗生物質関連下痢症、クロストリジウムディフィシル獲得性下痢症、炎症性腸疾患、および消化器疾患のような、腸異常の予防に関する。バチルス細菌はプロバイオティックとして投与されてもよく、イヌリンのような他のプロバイオティックスと一緒に組み合わせてもよい。
【0013】
生化学的方法、特にAPI 50 CBH/Lを使用して、好ましいバチルスがバチルスサブチリス候補として同定された。16S rRNAを使用して、好ましいバチルスが同様にバチルスサブチリス候補として同定された。gyrAを使用して、好ましいバチルスがバチルスアミロリキファシエンス候補として同定された。gyrAアッセイの前に、好ましいバチルスがATCCに寄託され、バチルスサブチリスとして同定された。
【0014】
本発明はまた、SEQ ID NO:1の16S rRNA配列を有する分離された細菌菌株、SEQ ID NO:1に90%相同性、80%相同性、70%相同性、60%相同性および50%相同性を有する分離された細菌菌株に関する。
【0015】
本発明はまた、SEQ ID NO:2の部分的gyrA配列を有する分離された細菌菌株、SEQ ID NO:2に90%相同性、80%相同性、70%相同性、60%相同性および50%相同性を有する分離された細菌菌株に関する。
【0016】
本発明はまた、SEQ ID NO:3の部分的gyrA配列を有する分離された細菌菌株、SEQ ID NO:3に90%相同性、80%相同性、70%相同性、60%相同性および50%相同性を有する分離された細菌菌株に関する。
【0017】
本発明はさらに、ATCC菌株PTA‐6737として同定された菌株のバチルス細菌に関する。
好ましいバチルスPB6は、その万能で特有の特徴のために、いくつかの満たされていない医学的必要性にとって重要であり得る。
【0018】
好ましい態様の詳細な説明
PB6は天然から分離され、遺伝的に改変されていない特許登録された細菌菌株である。リボタイピング技術を使用して、この細菌はバチルスサブチリスの菌株であると同定された。DNA:DNAハイブリダイゼーション研究は、バチルスPB6菌株が、十中八九バチルスアミロリキファシエンスであってもよいことを示唆し、そのことは以下でさらに記載されることになる。
【0019】
本明細書で使用する予防という用語は、医学的または公衆衛生手順を意味し、その目的は異常を治療することまたは治すことよりむしろ、防ぐことである。本明細書で使用する治療という用語は、医学的または公衆衛生手順を意味し、その目的は異常を治療するか、または治すことである。本明細書で使用する相乗作用を持つ化合物という用語は、疾患または健康状態異常の予防または治療のために投与されたバチルス細菌の予防作用または治療の有効性を高める化合物を意味する。本明細書で使用するリポペプチドは、脂質とタンパク質の両方を含む分子であり、いくつかのアミノ酸と1つ以上の脂肪酸を含む表面‐活性分子を含む。サーファクチン、イツリン、ミコサブチリン、バイロミシン、バシロペプチン、フェンギシン、およびプリパスタチンはリポペプチドの例である。
【0020】
実施例1‐C.ディフィシル、AADおよびCDADに対するバチルスPB6の有効性
バチルスPB6の拮抗特性は、C.パーフリンジェンス(C. perfringens)ATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対して試験された。
【0021】
バチルスPB6は、C.パーフリンジェンスATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対して拮抗作用を有した。両種のプレート上の画線(streak−line)の交差点に透明なゾーンが観察された。試験プレートの例は図1に表す。
【0022】
バチルスPB6はまた、C.ディフィシルNAP1/027に対して拮抗作用を有した。このC.ディフィシル菌株はいくつかの非常に危険な疾病の発生に関連し、抗生物質に対して耐性を示す。試験プレートの例は図2に表す。
【0023】
バチルスPB6の二次代謝産物の抗菌作用を確定するために、細菌を発酵させ、発酵産物はジエチルエーテルで抽出した。有機層を分け、真空下で濃縮し、スクリーニングのためにDMSOに再び溶かした。
【0024】
抽出物の最小阻止濃度(MIC)はC.パーフリンジェンスに対して2.5〜5μg/ml、C.ディフィシルに対して5〜10μg/mlであった(表1)。
【0025】
【表1】

【0026】
バチルスPB6はカンピロバクタージェジュニ(Campylobacter jejuni)の増殖をin vitroで阻止することも証明された。試験プレートの例は図3に示す。C.ジェジュニに対するバチルスPB6発酵産物エーテル抽出物のMICは25〜100μg/mlであった。
【0027】
カンピロバクタージェジュニとヘリコバクターピロリ(Helicobacter pylori)は非常に近縁であり、それゆえ、バチルスPB6はヘリコバクターピロリに対してもたぶん活性である。その上、バチルス細菌(たとえばバチルスサブチリス)がヘリコバクターピロリに対して活性を有すること33を文献で見いだすことができる。
【0028】
粗抽出物のそれ以上の調査は、クロストリジウムに対する活性に関与する分子は環状リポペプチドのサーファクチンであることを示した(図4)。
純粋なサーファクチン(我々の発酵産物から精製するか、またはSigmaから購入)の活性がクロストリジウムに対して測定された場合、より高いMICが見いだされた。C.パーフリンジェンスに対するMICは10〜25μg/mlであることが証明された。純粋な活性化合物が粗発酵抽出物より活性が低いことは注目に値する。このことは、抽出物中に存在するサーファクチンの活性を高める補因子に起因すると考えられる。このことは、サーファクチンのMICを不活性化合物と組み合わせたサーファクチンのMICと比較した実験によって示されている。この不活性化合物は、我々がサーファクチンを分離したものと同じ抽出物から分離された。この組み合わせのMICは1〜10μg/mlであった。
【0029】
実験は、バチルスPB6の濾液がペプシンとトリプシンで処理された場合、クロストリジウム種に対する活性が著しく減少したことを示している。ペプシンとトリプシンは胃および膵臓の粘膜内層で生産される酵素であるため、サーファクチンの経口投与が活性の著しい損失を導くことは明らかである。サーファクチンが0.1N HClと共に30、60および90分間、37℃でインキュベーションされた別の実験では、(胃の中のような)酸性条件が活性の損失を導くことを示した(表2)。それゆえ、(結局芽胞としての)バチルスPB6の投与は、腸内でサーファクチンまたは他のリポペプチドの効果的な濃度を得るためにいっそう効果的である。
【0030】
【表2】

【0031】
抗菌二次代謝産物の生産の他に、バチルスPB6芽胞は腸で発芽することが可能であり、それゆえ競合的排除により病原体を抑制することができる。
バチルス、より明確にはバチルスサブチリスは依然としてすべての健康状態‐促進および免疫‐刺激細菌の中の最も強力で有益な菌の1種である。医学的調査報告に引証されたいくつかの臨床研究に従って、摂取されたバチルスの細胞壁成分は少なくとも3種の特異的抗体(IgM、IgGおよびIgA)の活性化を含む、ヒト免疫防御のほとんどすべてのシステムを活性化することが可能であり、そのような抗体は通例ヒトシステムに侵入し、冒すことを企てる多くの有害なウイルス、真菌および細菌病原体に対して非常に効果的である。バチルスサブチリスはまた、BおよびTリンパ球ならびにマクロファージを刺激することが示されている。また、バチルスサブチリス芽胞がin vivoで免疫調節作用を発揮する可能性があるという証拠が提供されている。そして、芽胞への暴露後のT依存的抗原に対するプラーク形成細胞の増大した反応、および異なる食作用機能の増進が記載されている34、35、36、37、38,39、40、41
【0032】
ある研究(表3)では、抗生物質および陰性対照に比較して、異なるレベルのB.アミロリキファシエンスPB6で飼育したブロイラーで食作用の程度の上昇が観察された。
このことから、我々はバチルスアミロリキファシエンスも免疫‐刺激特性を有すると結論することができる。
【0033】
【表3】

【0034】
市販の免疫学的アッセイ(TECRAおよびOxoid)を使用して、溶血性、非溶血性エンテロトキシンおよびエンテロトキシンKの存在に関してバチルスPB6の濾液を評価した。同じ濾液はさらに、VeroおよびHEp−2細胞系に対する細胞毒性試験に供した。最後に、PCRを基礎にした方法を使用して、バチルスPB6におけるエンテロトキシン産生能力を持つ可能性のある遺伝子の存在を確認した。2種の市販のイムノアッセイにおいて、Hb1またはNheエンテロトキシンと抗体には免疫交叉反応性が観察されなかった。VeroおよびHEp−2細胞アッセイでは、細胞毒性も観察されなかった。バチルスPB6菌株は同じ条件下で溶血性、非溶血性エンテロトキシンおよびエンテロトキシンKを生産せず、このことがB.セレウス(B. cereus)の公知の毒素生産菌株の検出を可能にした。
【0035】
さらにバチルスPB6のin vivo毒性が試験されている。従って、1010cfu/gのバチルスPB6を含む噴霧乾燥産物は発酵産物から作製された。
【0036】
Wistarラットにおける噴霧乾燥B.アミロリキファシエンスの毒性研究
初めの研究はWistarラットにおける、噴霧乾燥バチルスPB6産物(1010cfu/g)の急性経口毒性を測定するために計画され、行われた。全部で5匹の雄および5匹の雌動物は5000mg/kg(2回蒸留水中の懸濁液、および10ml/kgの投与容量を使用)の経口投与量を投与された。対照群は5匹の雄および5匹の雌動物からなり、10ml/kgの投与量で2回蒸留水を与えられた。5000mg/kg処置動物では、死亡は観察されなかった。バチルスPB6産物を与えられた動物の50%は、対照群と比較していっそう活発であった。バチルスPB6で処置された動物はいずれも下痢を起こさなかった。剖検後、両群のいずれの器官でも病的変化は見られなかった。従って、Wistarラットに経口投与されたバチルスPB6産物の最大非致死量(LD)およびLD50は5000mg/kgより多いことが見いだされた。
【0037】
結論:Wistarラットにおける経口経路によるB.PB6乾燥物(1010cfu/g)の最大非致死量(LD)およびLD50は5000mg/kgより多いことが見いだされた。
【0038】
WistarラットにおけるB.PB6の28日間反復投与経口毒性
この研究はWistarラットにおけるB.PB6(1010cfu/g)の反復投与(28日間)経口毒性を測定するために計画され、行われた。それぞれの群において、6匹の雄および6匹の雌動物は28日間、250、500、または1000mg/kgの経口投与量を投与された。対照ベヒクル群も6匹の雄および6匹の雌動物からなり、それらは、10ml/kgの投与量で28日間、2回蒸留水を与えられた。これらの群は29日目に供試した。
【0039】
研究はまた、対照ベヒクルおよび高投与量に関して2つの可逆的な群からなり、それらの群はそれぞれ6匹の雄および6匹の雌動物を有した。高投与量群は28日目に至るまで薬物処置を受け、29日から42日までは処置を受けずに、43日目に供試した。対照ベヒクル群は28日目に至るまで10ml/kgの投与量で蒸留水を与えられ、29日から42日までは処置を受けずに、43日目に供試した。
【0040】
結論:ラットの28日間毒性トライアルにおけるB.PB6(1010cfu/g)の最大無毒性量(NOAEL)は1000mg/kgより多いことが見いだされる。
【0041】
New−Zealand WhiteウサギにおけるB.PB6の局所刺激研究(皮膚および眼)
この研究では皮膚および眼刺激に、全部で3羽のNew−Zealand Whiteウサギ(任意の性)‐同じウサギが使用された。2種の研究の間隔は最少で5日間維持された。1gのB.PB6(1010cfu/g)が皮膚刺激のために皮膚にペーストとして適用され、100μlの10%B.PB6の懸濁液が眼刺激のために左眼に点滴された。
【0042】
試験品目のPB6ペーストは、3羽のウサギにおいて毛を除去後に、背部側部領域の皮膚に適用した。10%PB6の懸濁液は3羽のウサギの目に点滴した。試験品目は適用後4時間目に動物の皮膚から除去した。左眼に試験品目を点滴後、まぶたは2〜3秒間とじさせた。
【0043】
試験品目PB6の除去後、1、24、48および72時間目に、皮膚刺激に関してウサギを観察し、スコアを付けた。眼刺激に関しては、スコアリングはPB6懸濁液の点滴後、同じ時点で実行した。
【0044】
結論:皮膚:1gのB.PB6(1010cfu/g)がペーストとして適用された場合、刺激は全く観察されなかった。
眼:100μlの10%B.PB6(1010cfu/g)懸濁液が点滴された場合、刺激は全く観察されなかった。
【0045】
マウスにおけるB.アミロリキファシエンスPB6の赤血球小核アッセイ
この研究は、試験物質によってSwissアルビノマウスのクロモソームまたは有糸分裂装置に誘発された損傷を検出するために計画され、実行された。全部で5匹の雄と5匹の雌動物は2500および5000mg/kgの経口投与量を投与され、対照ベヒクル群は5匹の雄と5匹の雌マウスからなり、2回蒸留水を10ml/kgの投与量で経口的に与えられた。陽性対照群(5匹の雄+5匹の雌)は40mg/kgの投与量で経口的にシクロホスファミドを与えられた。
【0046】
動物はそれぞれの時点(対照群、2500mg/kgPB6、シクロホスファミドは24時間、5000mg/kgPB6は24時間および48時間の両方)で過剰なCOにより供試し、両大腿骨を除去し、骨髄スメアをスライドグラスに作製し、ギムザおよびメイ‐グリュンワルド染色を行い、2000個の未熟赤血球を計数することにより小核の発生を顕微鏡下で観察した。
【0047】
全(未熟+成熟)赤血球の中の未熟赤血球の割合はまた、少なくとも200個の赤血球を計数することによりそれぞれの動物に関して測定する。
結論:2500&5000mg/kg投与量のB.PB6(1010cfu/g)はマウスにおいて小核多染性赤血球を有意に誘発しなかった。
【0048】
CDADを患うゴールデンシリアンハムスターの処置における経口投与されたバチルスPB6のin vivoにおける有効性の確認
研究計画
42匹の雄ゴールデンシリアンハムスターはNational Centre for Laboratory Animal Sciences,NIN(Hyderabad,India)から得た。処置期間の開始時に、動物は12〜14週齢であった。試験施設への到着時に、動物は獣医師の管理下で完全な臨床検査を受け、それらが良好な状態であることを確かめた。動物は、少なくとも7日間、研究条件に順応させた。トライアル開始時に体重を記録し、その後研究群に動物を割り当てた。動物はポリカーボネートケージで個々に飼育した(290x22x140mm、LxWxH)。動物室および試験室の条件は以下の通りに設定した:温度:22±4℃、相対湿度:50±20%、明/暗周期:12時間/12時間(明期:07:00〜19:00)および換気:フィルターを通し、再循環させない空気をおよそ7サイクル/時間。すべての動物はHamster Pellet Feed(NIN,Hyderabad)とAquaguard精製水を随意に自由に摂取した。
【0049】
動物は7つの試験群の1つに割り当てた(A〜G)。グループA〜Eでは、10000CFUのクロストリジウムディフィシルATCC9689を0日目に経口投与し、その後クリンダマイシン100mg/Kgを1日目に、耳のすぐ後ろの胴体部分に皮下注射することによって、クロストリジウムディフィシル関連下痢症が誘発された。グループAはそれ以上の処置は受けなかった。
【0050】
グループBは強制経口投与によりバンコマイシン50mg/kgを1日1回、2〜6日目まで処置された。グループC、DおよびEは、4時間間隔で(1回目の投与は9.30am)1日3回、それぞれ1.5x10、1.5x10および1.5x10CFU/Kgの投与量のPB6を強制経口投与により1〜6日目まで処置された。1日目は、クリンダマイシンの注射1時間後にPB6の1回目の投与量が与えられた。グループFおよびGでは、動物は1.5x10CFU/Kgの投与量でPB6を強制経口投与により1〜6日目まで4時間間隔で(1回目の投与は9.30am)1日3回与えられた。6日目が最後の処置日であった。臨床徴候および死亡に関して、1日2回、15日目まで観察を行った。下痢の徴候は軽度、中等度または重度として採点した。動物の体重は0、7および14日目に記録した。グループA〜Eの場合、Immunocards(Meridian life sciences)を使用して、クロストリジウムトキシンAおよびBの存在に関して糞便を1、2および7日目に試験した。1日目では、クリンダマイシン投与前に糞便試料が採取された。2および7日目では、2回目と3回目の処置投与の間に糞便試料を採取した。
【0051】
試験調製物
クロストリジウムディフィシルATCC9689を含むCulti−loop(Oxoid,Basingstoke,England)は取り扱い説明に従って接種し、培養液は生理食塩水で希釈して10000CFU/mlを得た。クリンダマイシン塩酸塩(Pharmacia,Puurs−Belgium)およびバンコマイシン(Neon Laboratories,Bombay,India)は、それぞれ10および50mg/mlの濃度になるまで2回蒸留水で懸濁した。投与量はクリンダマイシンおよびバンコマイシンそれぞれに対して10および1ml/Kg体重であった。マルト−およびシクロデキストリンキャリア上で乾燥したバチルス‘PB6’発酵培養液である、PB6乾燥物(Kemin Consumer Care,Des Moines,USA)は、1.5E8、1.5E6および1.5E5 CFU/mlの濃度になるまで2回蒸留水で懸濁した。投与量は10ml/kg体重であった。新鮮な調製物はそれぞれの投与前に作製した。クリンダマイシン、バンコマイシンおよびPB6は最近測定した体重を基にして投与した。調製物はそれぞれの投与前に激しく攪拌した。
【0052】
結果と考察
クリンダマイシンが投与された後約6時間目に、無処置群の3匹の動物、およびバンコマイシンで処置されることになる群の1匹の動物に軽度な下痢が観察された。C、D、E群では、クリンダマイシン投与後約1時間目に、動物はPB6の1回目の投与量を与えられたが、その同じ日に、いずれかの下痢の徴候を示す動物はいなかった。下痢を患う動物の数および下痢の重症度は、その後の2日間で、処置群間で異なって出現した(表4)。クロストリジウムディフィシル関連下痢症が誘発されたすべての群は下痢の徴候を示した。バンコマイシンで処置された群および高投与量のPB6で処置された群では下痢の強度が低かった。無処置群ならびに、低および中間投与量のPB6群では、糞便は非常に水っぽく、全腹部領域は湿っていた。
【0053】
【表4】

【0054】
CDADが誘発された群のすべての動物は、3日目の終わりに依然として生きていたが、それらの一部はひどい下痢の徴候を示していた。クリンダマイシン投与後3日目に相当する4日目に、初めの動物が死亡した。処置期間の終わりに相当する6日目に、無処置群のすべてのハムスターが死亡した。バンコマイシンおよびPB6高投与量処置群で生存率が最も高く、6匹のうち4匹が生き延びた(図5)。
【0055】
7日目に、CDADが誘発されたすべての群で平均体重の減少が観察された。この体重減少に関して、PB6との明確な逆の用量反応関係があった(表5)。低い投与量のPB6を与えられた動物は、高投与量を与えられた動物より平均して3倍多くの体重を失った。体重損失はバンコマイシン処置では最も少なかった。CDADが誘発されなかった2つの群では、同じ期間にわたり、平均体重がわずかに増加していた。
【0056】
【表5】

【0057】
CDADが誘発された動物の糞便試料中のクロストリジウムトキシンAおよびBの存在は1、2および7日目にチェックした。予想されるように、高い死亡率と高い平均体重の減少を示す群はまた、これらのトキシンに対して高い割合の動物が陽性の評価を受け、その上PB6と逆の用量反応関係にあった。
【0058】
【表6】

【0059】
結論
この研究は、十分に確立され、この感染の非常に感度の高いモデルであるクリンダマイシン‐誘発CDADのハムスターモデルにおいて、CDADを治療することにおけるB.PB6の有効性を評価するために計画され、実施された。CDAD誘発後処置されなかったハムスターはすべて重症の下痢を起こし、体重が減少し、5日以内に死亡した。PB6による治療は投与量に関連した反応を生じた。最も高い投与量のPB6では、下痢、体重減少および死亡率は最低であった。治療停止時に、クリンダマイシン‐誘発CDADをハムスターが乗り切るのを助けることにおいて、最高投与量のPB6はバンコマイシンと等しく有効であったことを示した。
【0060】
経口投与されたバチルスPB6の有効成分の評価
プロバイオティックス(たとえばイヌリン)の新規な食物概念は、栄養学者、医師、食物製造業者および消費者の間で人気を獲得し続けている。プロバイオティック食品の最も広く受け入れられている定義は以下の通りである:“プロバイオティックは消化器内細菌叢の組成および活性の両方において、特定の変化を可能にする選択的に発酵された成分であり、宿主の幸福および健康状態に利点を与える”。食物製品においてプロバイオティク成分として分類されるためには、その成分は以下の通りである必要がある。:1)胃および小腸の消化酵素による消化(加水分解)に耐える;2)化学的に無傷で結腸に入り、部分的な、または完全な発酵過程を経る;および3)健康状態に刺激された腸内細菌の活発な増殖および/または活性を刺激する。プロバイオティックに刺激された細菌増殖の健康状態への利点は広範に及び、たとえば結腸癌および病原体に対する好ましい効果、トリアシルグリセロールの減少、CaおよびMgの吸収増加、ならびに便通頻度および糞便重量の増加のような利点を含む。イヌリンは、2〜60ユニットの範囲の鎖長を持つポリディスパースβ(2→1)フラクタンである。イヌリンのフルクトース分子とオリゴフルクトース間の特有の結合が、典型的な炭水化物とそれらを識別する。それらはヒトの消化酵素による消化および小腸における吸収に耐えるが、結腸内細菌叢により加水分解され、発酵し、それゆえプロバイオティックダイエタリーファイバーとして分類される42、43、44、45、46
【0061】
プロバイオティックスが健康状態を刺激する腸内細菌の活発な増殖および/または活性を刺激するという事実が、それらをバチルスPB6のようなプロバイオティックスと一緒に投与されることになる、非常に興味深い産物にしている。
【0062】
その上、バチルスアミロリキファシエンスPB6は、ラクトバチルス属およびビフィドバクテリウム属のような腸内細菌叢由来の“ヘルシーな”細菌の増殖を阻止しない。
【0063】
材料と方法
分離されたPB6細菌の同定
分離されたPB6バチルス菌株はグラム陽性桿菌であり、カタラーゼを有する。マラカイトグリーン染色は、この微生物が内生芽胞を有し、芽胞形成体であることを確証した。この微生物は、長期のインキュベーション期間に全寒天表面に広がる傾向があることから、“有走細胞(swarmer)”でもある。公知のバチルス属との関連性の点から、分離されたバチルス菌株は92.0%IDを有する。API生化学的プロファイルに基づいて、PB6バチルス菌株はB.サブチリス候補として同定された。PB6バチルス菌株はそれゆえATCC‐PTA6737として寄託され、そこでバチルスサブチリスと命名された。2002年11月27日に出願された米国特許出願番号10/306,365は本明細書に参照として援用される。
【0064】
16rRNA遺伝子シークエンシング
バチルスPB6のほとんど完全な16rRNA配列が完成され、アラインメントされた(SEQ ID NO:1、図6)。
【0065】
GyrAシークエンシング
2つの異なるグループによって得られたPB6の部分的gyrA配列は図7(SEQ ID NO:2)および図8(SEQ ID NO:3)に示す。
【0066】
DNA:DNAハイブリダイゼーション
ハイブリダイゼーションはEzaki et al.,47によって記載された方法を改変し、ストリンジェントな条件下(40℃で)行われた。DNA相同性のパーセンテージは少なくとも4ハイブリダイゼーションの平均である。括弧で示された値は、逆数値間の差である。この技術による平均標準偏差は14ユニットである48。結果は表7に表す。
【0067】
【表7】

【0068】
種の概要説明に対して一般に受け入れられる限界である70%49より高いDNA相同性が、バチルスPB6、LMG9814およびLMG22478間に見られる。
これらの結果から、B.ベレゼンシス(B. velezensis)とB.アミロリキファシエンスは同じ遺伝種に属し、それゆえ主観的な異名であり、それゆえ命名規則42を適用する場合、最も古い規則に合った名称、すなわちB.アミロリキファシエンスが保持されるべきであり、バチルスPB6(ATCC‐PTA6737)はより適切にはB.アミロリキファシエンス種に分類されてもよいように見える。
【0069】
画線アッセイによるバチルスアミロリキファシエンスの拮抗特性の試験
バチルスアミロリキファシエンスPB6は、Tryptone Soy血液プレート(Oxoid,Belgium)上に直線として接種し、嫌気性条件下、37℃で24時間インキュベーション後、異なる指標菌株がバチルスPB6培養物に対して直角に接種された。クロストリジウム種を接種したプレートは、嫌気性条件下、Anaerogen Pak(Oxoid,Belgium)を使用してインキュベーションした。37℃で一晩インキュベーション後、一方の微生物の他方に対する阻止作用を示唆する、画線の交差点周囲の透明帯の出現によって拮抗作用が評価された。
【0070】
バチルスPB6の二次代謝産物の抽出および抗菌スクリーニング
バチルスPB6は5%ヒツジ血液(Oxoid,Belgium)を添加したTryptone Soya寒天プレート上、24時間、37℃で培養した。この培養物を使用して、0.6%酵母抽出物(Oxoid,Belgium)を添加した100mlのTryptic Soy培養液を接種した。24時間、振とうインキュベーター(100rpm)中、37℃でインキュベーション後、培養液は等量のジエチルエーテル(Acros,Belgium)と混合(3回)した。代謝産物の抽出後、両層を分離し、エーテル画分を集め、4000rpmで5分間遠心分離した。
【0071】
その後、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で溶媒を除去した。残渣を量り、ジメチルスルホキシド(Acros,Belgium)に溶かし、最終濃度10000μg/mlの粗抽出物を得た。さらに1/11の比のDMSO/水の混合物で希釈物(500、250、100、50、25および10μg/ml)を作製した。最後に、それぞれの希釈物25μlをマイクロタイタープレート(Labsystems,Finland)のウェルにピペットで移した。
【0072】
細菌菌株クロストリジウムパーフリンジェンスATCC13124(C1600L,Oxoid,Belgium)およびクロストリジウムディフィシルATCC9689(C1610L,Oxoid,Belgium)は凍結乾燥したculti−loopsとして購入し、取扱説明書に従って培養を行った。両方の培養物からAnaerobic Basal培養液(Oxoid,Belgium)中でMacfarland標準物(A625mm=0.100)を調製した。この標準物250μlを新鮮なAnaerobic Basal培養液10mlに添加し、この培地225μlをウェルにピペットで移した。それぞれのウェルの最終細胞密度5x10cfu/mlを得た。マイクロタイタープレートは、気密プラスチック製バッグの中で、Anaerogen Compact(Oxoid,Belgium)を使用して、18時間(C.パーフリンジェンス)および48時間(C.ディフィシル)、嫌気性条件下でインキュベーションした。インキュベーション期間の前および後に、それぞれのウェルの光学密度(OD)をBioscreenCアナライザー(Labsystems,Finland)を使用して測定した。白色光(Wide Band)を使用してODを測定した。試験はデュプリケートで、さらに培地の対照、培地プラス接種物(陰性対照)および陽性対照において行い;3種の濃度(0.1、0.5および1.0μg/ml)のバンコマイシン(Fluka,Belgium)が試験バッチ中に含有された。最小阻止濃度(MIC)は、増殖が全く起きないか、またはODの増加が全く検出されない最も低い濃度として定義した。
【0073】
サーファクチンの活性に対する補因子の増強作用の測定
B.アミロリキファシエンスPB6発酵産物のエーテル抽出物は調整用TLC(Kieselge160、20x2cm、層の厚さ2mm)によって分離した。使用した溶離液はヘキサン/アセトン(30/70)であった。サーファクチンはRf0〜0.33のゾーンで分離された。このゾーンから分離されたサーファクチンのC.パーフリンジェンスに対するMICは10〜25μg/mlであった。別のゾーン(Rf0.33〜0.76)ではC.パーフリンジェンスに対して活性でない(MIC>100μg/ml)1種以上の産物が見いだされた。それぞれ10μg/mlの両抽出物の最終濃度で、両方のゾーンの産物の組み合わせが試験された場合、C.パーフリンジェンスの増殖は全く見られなかった。単独で活性を持たないこれらの産物と組み合わせた場合、サーファクチンのMICは10μg/ml未満に減少した。
【0074】
サーファクチンの抗菌活性に対する酸性処理の作用の測定
アセトニトリル/0.1N HCl(1/1;v/v)中のサーファクチン(Sigma)750μg/mlの溶液が調製された。この溶液0.5mlを37℃で30′、60′または90′インキュベーションし、その後0.1N NaHCO溶液0.25mlを添加し、混合物はボルテックスシェイカーを使用して混合した。すべての溶液はクロストリジウムパーフリンジェンスに対する活性に関してスクリーニングした。
【0075】
バチルスPB6によるエンテロトキシン生産の測定
細菌菌株および培養条件。 バチルスPB6は0.6%酵母抽出物(Oxoid Limited,England)(TSBYE)を添加した容量100mlのTryptic Soy培養液(Becton Dickenson and Company,Cockeysville,MD)中で培養し、100rpmにセットした振とうインキュベーター中、37℃でインキュベーションした。1種のB.セレウスの毒素生産菌株ATCC11778も振とうインキュベーター中、37℃、TSBYE中で培養した。同じようにB.セレウスATCC49064および大腸菌ATCC25922の非毒素生産菌株も嫌気性条件下、37℃、TSBYE中で培養した。この研究に使用したすべての細菌菌株は毎週新鮮なTSBYEに移し、常用培養物として4℃冷蔵庫に保存した。新しく増殖した菌株は40%グリセロールに再懸濁し、長期保管のために−80℃のフリーザーで保存した。
【0076】
エンテロトキシン生産。 一晩培養した試験培養物の1ml容量は1%グルコースを添加した50mlのBrain Heart Infusion(BHI)(BHIG)に接種し、振とうインキュベーター(100rpm)中、6時間、32℃でインキュベーションした31。細菌細胞は5000Xg、10分間の遠心分離により沈殿させ、上清はVero細胞の細胞毒性研究のために集めた31。次に上清中のタンパク質は80%までの飽和した硫酸アンモニウム溶液(1リットルに付き561g)を使用して10倍に濃縮した。10000Xgで20分間遠心分離後、上清はデカンテーションし、タンパク質ペレットは2.5mlのリン酸バッファー(20mM;pH6.8)に再懸濁した。残った硫酸アンモニウム塩は4℃で6時間、同じバッファーに対する透析によって除去した。透析したタンパク質溶液の最終容量は、リン酸バッファー(20mM;pH6.8)を使用して、元の容量の1/10(5ml)に調整した31
【0077】
催吐性トキシン生産。 一晩培養した試験培養物の1ml容量は1%グルコースを添加した50mlのBrain Heart Infusion(BHI)(BHIG)に接種し、250rpmにセットした振とうインキュベーター中、6時間、32℃でインキュベーションした31。細菌細胞は2000Xg、10分間、4℃での遠心分離により沈殿させた31。上清を集め、121℃で15分間オートクレーブにかけ、熱に不安定なエンテロトキシンを除去した20。熱に安定な催吐性トキシン候補を含む、熱処理した濾液はHEp−2細胞に対する空胞形成アッセイのために集めた20
【0078】
VeroおよびHEp−2細胞の調製。 アフリカミドリザル腎細胞(Vero)またはHEp−2(ヒト喉頭癌)は、2mM L−グルタミン、10mM 炭酸水素ナトリウム、1%非必須アミノ酸、100UI/mlペニシリン、0.1mg/mlストレプトマイシン、および3mlウシ胎児血清(10%)を含む、199培地アール液(Medium 199 with Earle‘s modified salts(MEM))30ml中で単層培養物として維持した。ロイシン‐フリー培地(MEM)は最小必須培地(Gibco)を基礎にして調製し、同様に1.8mM CaCl、0.4mM MgCl、5.0mM KCl、0.12M NaCl、3.2mM NaHPO、および20mM Hepes(pH7.7)を含んだ。VeroまたはHEp−2細胞はMEM中、5% CO、37℃でインキュベーションした。VeroまたはHEp−2細胞のコンフルエント単層培養物は培地を捨て、PBS(pH7.7)5mlで洗浄することにより継代培養した。VeroまたはHEp−2細胞はその後、トリプシン溶液(0.25% トリプシン;0.025% EDTA)2mlの添加により培養フラスコから剥がした。ばらばらにされたVeroまたはHEp−2細胞のレベルは顕微鏡で確認し、その後MEM培地(8ml)を添加して、それ以上のトリプシンの作用を妨げた。次に、新たにトリプシン処理したVeroまたはHEp−2細胞の5mlアリコートを15mlのMEMを含む新しい培養フラスコに移し、37℃、5% CO下でインキュベーションした。
【0079】
TECRA(登録商標)バチルス下痢毒素(BDE)可視イムノアッセイ。 試験キット(TECRA International Pte Ltd,Chatswood,NSW,Australia)のすべての成分は、BDE試料の試験まで20〜25℃に保った。取り扱い説明書にあるように、BDEに特異的な高親和性抗体を含むマイクロタイターウェルは、洗浄液に予め浸し、キットに提供し、10分間、20〜25℃に保った。ウェルを空にし、200μl容量の試験試料および対照(陽性および陰性)を含むアリコートを個々のウェルに移した。ウェルは37℃で2時間インキュベーションした。ウェルは4回洗浄し、200μlのコンジュゲートのアリコートをそれぞれのウェルに添加し、25℃で1時間インキュベーションした。それぞれのウェルは5回洗浄し、それぞれのウェルに200μlの基質を添加し、25℃で30分間インキュベーションした。30分後、それぞれのウェルの比色展開を、試験キット中に提供されたTECRAカラーカードと比較した。
【0080】
Oxoidバチルスセレウスエンテロトキシン逆受動ラテックス凝集反応(BCET−RPLA)。
試験は逆受動ラテックス凝集反応(RPLA)(Unipath,Basingstoke,UK)によるバチルスセレウスの下痢毒素の検出のために開発された。ポリスチレンラテックス粒子はB.セレウスの下痢毒素により免疫したウサギ由来の精製した抗血清により感作する。キットはまた、陽性(エンテロトキシン)および陰性(特定のB.セレウスエンテロトキシンを含まないラテックス粒子)の両方を提供した。25μlの希釈剤、および試験および対照(陽性および陰性)試料を含むアリコートは、2つの異なるV−ウェルマイクロタイタープレートのセットに連続して分配した。次に25μlの感作されたラテックスおよびラテックス対照を含む溶液はV−ウェルマイクロタイタープレートの第1および第2セットにそれぞれ分配した。それぞれのウェルは25℃、20〜24時間のインキュベーション後に、凝集を調べた。
【0081】
細胞毒性の測定。 新たにトリプシン処理したVero細胞は30mlのロイシン‐フリー培地(MEM)に再懸濁した。Vero細胞懸濁液1ミリリットルは24ウェルのそれぞれに移した(1ウェルにつき約5x10細胞)。細胞は1mlのロイシン‐フリーMEMで1回洗浄し、2時間、37℃、5% CO下でインキュベーションした。2時間後、増殖培地を除去し、それぞれのウェルを1mlのロイシン‐フリーMEMで1回洗浄した。予め加熱した(37℃)1ml容量のロイシン‐フリーMEMをそれぞれのウェルに添加し、その後すぐに、バチルスアミロリキファシエンスPB6、B.セレウスATCC11778、B.セレウスATCC49064および大腸菌ATCC25922の上清または濾液を50μl添加した。接種されたウェルは2時間、37℃、5% CO下でインキュベーションした。インキュベーション2時間後、上清または濾液で処理したVero細胞は予め加熱した(37℃)1mlのロイシン‐フリーMEMで1回洗浄した。放射性標識同位体(8m1のロイシン‐フリーMEM中16μlの14C−ロイシン)(Perkin Elmer Asia,Singapore)を含む容量300μlの溶液をそれぞれのウェルに添加した。14C−ロイシンで標識されたVero細胞は1時間、37℃で、COを使用せずにインキュベーションし、その後増殖培地を捨てた。次に、5%トリクロロ酢酸を含む溶液のアリコート1mlを14C‐ロイシンで標識されたVero細胞を含むそれぞれのウェルに添加し、25℃で10分間インキュベーションした。10分間インキュベーション後に、それぞれのウェルの内容物は5%トリクロロ酢酸溶液1mlで2回洗浄した。それぞれのウェルに0.1M KOHの300μl容量を添加し、25℃でさらに10分間インキュベーションした。10分間インキュベーション後、それぞれのウェルにシンチレーション液を2ml容量添加した。最後に、それぞれのウェルのすべての内容物をシンチレーション管に移した。すべてのシンチレーション管は1分間激しく攪拌し、放射能計数を行った。Vero細胞による14C−ロイシン取り込みの阻止割合は、以下の式を使用して計算する。
14C−ロイシン取り込みの阻止割合=[(毒素を添加しないVero細胞のcpm−試験試料のcpm)]/[毒素を添加しないVero細胞のcpm]x100%。14C−ロイシン取り込みの阻止割合を計算するために使用されるcpmは、バックグラウンドカウントの値(約30〜60cpm)を差し引く必要がある。14C−ロイシン取り込みの阻止が10倍に濃縮後に20%未満である場合、毒素は存在しない。それぞれのアッセイはデュプリケートで行った。結果は表8および9に示す。
【0082】
【表8】

【0083】
【表9】

【0084】
HEp−2細胞空胞形成アッセイ。 試験および対照培養物由来の濾液を含む25μl容量は0.15M NaCl溶液で段階希釈(2倍)し、96‐ウェル組織培養プレート(Gibco Ltd,Uxbridge,UK)のすべてのウェルに分配した。新たにトリプシン処理したHEp−2細胞100μlを含む容量をそれぞれのウェルに添加し、24時間、37℃でインキュベーションした。すべての空胞形成アッセイはデュプリケートで行った。HEp−2細胞における空胞形成存在の顕微鏡による検査は、6時間目および24時間目の間隔で実施した。
【0085】
PCRを基礎にした方法。 PCRプライマーは非溶血性エンテロトキシン(NheB‐nheC)25、26、ヘモリシンBL(HblD−hbIA)10,11、およびエンテロトキシンK(EntK)27,28に対して作製した。NheB−nheCプライマーの配列は、5′CGGTTCATCTGTTGCGACAGC3′および3′GTCCTCGTGTTCGTCTTC−AGC5′であった。HblD−hblAのプライマー配列は5′CGCT−CAAGAACAAAAAGTAGG3′および3′TCCCTAATGT−CTAAATGTTCCTC5′であった。EntKのフォワードおよびリバースプライマーはそれぞれ5′GAATTACGTTGGCGAATC3′および3′CGGG−CGGATGGGA5′であった。試料PCRならびにバチルスアミロリキファシエンスPB6および毒素生産菌株B.セレウスATCC11778およびB.セレウスATCC49064のDNAを含む陽性対照の試験管の両方は、Perkin−Elmerサーマルサイクラー(GeneAmp PCR System9600,Perkin−Elmer Corp.,Norwalk,CT)に置き、初期設定温度は90℃に設定した。サーマルサイクリングの条件は、94℃、2分間を1サイクル、続いて、94℃15秒、70℃3分間の温度サイクリング手順を38−サイクル行った。増幅後、72℃、7分間で最後の伸長を行った。PCR増幅ステップは完了に約3時間必要であった。それぞれの反応産物のアリコート(15μl)および15μl DNA標準物ラダー(500、1031、2000および3000塩基対)はその後0.1μg/mlのエチジウムブロミド(Sigma Chemical Co.,St.Louis,MO)を含む2%アガロースゲル(Life Technologies Inc.,Gaithersburg,MD)を通して、180ボルトで1時間電気泳動した。電気泳動後、すべてのゲルはUV‐トランスイルミネーター(波長−302nm)(UVP Model White/2UV;UVP Inc.,Upland,CA)を使用して観察し、その後Polaroid MP−4カメラ(Polaroid Corp.,Cambridge,MA)を使用して写真を撮った(図9、図10および図11を参照されたい)。
【0086】
実施例2‐微量液体希釈法によるクロストリジウムパーフリンジェンスおよびクロストリジウムディフィシルに対する異なるプロバイオティックスおよびバチルスアミロリキファシエンスPB6の代謝産物の抗菌特性の測定
この研究では、我々はバチルスPB6ならびに4種の市販のプロバイオティックス:Bactisubtil(登録商標)(Sanofisynthelabo)、Perenterol(登録商標)(Biodiphar)、Bioplus 2B(Miavit GmbH)およびBiosporinum(Dniprofarm)由来の代謝産物の抗クロストリジウム特性を検討した。異なるプロバイオティックスから分離された種による小規模発酵が設定された。代謝産物を含む発酵培養液のエーテル抽出物は微量液体希釈法を使用してC.パーフリンジェンスATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対してスクリーニングした。B.PB6の代謝産物は顕著な抗クロストリジウム特性を示した。最小阻止濃度はC.パーフリンジェンスに対して2.5〜5.0μg/ml、そしてC.ディフィシルに対して5.0〜10.0μg/mlの間にあった。Bactisubtil(登録商標)、Perenterol(登録商標)、Bioplus 2BおよびBiosporinum由来発酵のエーテル抽出物は、両方のクロストリジウム種に対する顕著な抗菌活性を全く示さなかった。
【0087】
クロストリジウム種は天然の至る所に存在するが、それらの主な生息環境は土壌ならびに多くの動物およびヒトの消化管である。土壌試料における芽胞を含むC.パーフリンジェンスの広範な出現は、多くの食品を含む、塵埃汚染物質に曝された表面上のこの微生物のよく見られる存在の保証となる50。C.パーフリンジェンスはまた、糞便を除く、ヒトの臨床標本からもっとも普通に分離される種である。創傷の単純な汚染から外傷性筋壊死、腹腔内敗血症、血管内溶血、誤嚥性肺炎、壊死性肺炎などに及ぶ多様な臨床環境中で該細菌に遭遇する51
【0088】
C.ディフィシルは抗生物質関連性下痢症(AAD)の主要な原因であり、そしてまた病院内獲得性下痢症の最も頻繁に同定される原因である。C.ディフィシル関連疾患(CDAD)では、主要な初期の事象は、抗生物質による処置中の保護的な腸内細菌叢の混乱を伴う。抗生物質のレベルは阻止濃度未満になるため、C.ディフィシルのような院内病原体は増殖することが可能である。糞便‐経口経路によりコロニー化が起こり、摂取された芽胞は胃酸バリアを生き延び、結腸中で発芽し始める52、53。毒素生産性および非毒素生産性分離菌は芽胞を形成することおよび院内環境で生存することが可能である。結果として、いずれの型も結腸を冒し、正常な細菌叢による競合がないため、入手可能な栄養素を利用することができる。微生物が結腸壁に付着するかどうかは不明であるが、おそらく微生物は結腸の内腔全体にわたって増殖する。毒素生産菌株は細胞が増殖し、溶解するに従って、トキシンAおよび/またはBを生産し、放出する。炎症反応と共にこの活性は組織病理学的事象を生じ、C.ディフィシル関連下痢症および結腸炎を引き起こす54、55、56
【0089】
一般に受け入れられている定義による“プロバイオティック”は、“生きた微生物”フィード(feed)またはフードサプリメントであり、それは宿主の腸内微生物バランスを改善することにより、宿主に有益に影響する。しかし、プロバイオティックはどのように働くのであろうか?腸内生態系に対するプロバイオティックスの作用は消費者にとってなんらかの有益なやり方で強い影響を与える。プロバイオティックスを通した腸内環境の変化から生じた、以下のようないくつかの潜在的な利点が提示されている:感染性疾患、とりわけ腸のそのような疾患に対する耐性増大、下痢の期間の減少、血圧低下、血清コレステロール濃度の低下、アレルギーの低下など57
【0090】
この論文に記載された比較研究は、クロストリジウム種に対する異なるプロバイオティク発酵抽出物の抗菌特性を比較するために計画された。
【0091】
方法と材料
バチルスPB6およびBactisubtil(登録商標)(Sanofi−synthelabo)から分離されたバチルスセレウス菌株は、5%ヒツジ血液(Oxoid,Belgium)を添加したTrypton Soya寒天プレート上、24時間、37℃で培養した。フィードプロバイオティックBioplus 2Bは、2つの異なる種、バチルスリケニフォーミスDSM5749およびバチルスサブチリスDSM5750を含んでいた。両種も5%ヒツジ血液(Oxoid,Belgium)を添加したTrypton Soya 寒天プレート上、24時間、37℃で培養した。これらの培養物の混合物を使用して、0.6%酵母抽出物(Oxoid, Belgium)を添加した100mlTryptic Soy培養液に接種した。Biosporinumも2つの種、すなわちバチルスリケニフォーミスとバチルスサブチリスを含む。この製品はガラスバイアル中の凍結乾燥した培養物として市販されている。1バイアルの内容物は培養液に再懸濁し、この混合物を使用して0.6%酵母抽出物(Oxoid, Belgium)を添加した100ml Tryptic Soy培養液に接種した。すべてのプロバイオティックスを振とうインキュベーター(100rpm)中、37℃で24時間インキュベーション後、培養液を等しい量のジエチルエーテル(Acros,Belgium)と(3回)混合した。代謝産物の抽出後、両方の層を分け、エーテル画分を集め、4000rpmで5分間遠心分離した。
【0092】
その後、ロータリーエバポレーターを使用して真空下で溶媒を除去した。残渣を量り、ジメチルスルホキシド(Acros,Belgium)に溶かし、最終濃度10000μg/mlの粗抽出物を得た。1/12の比のDMSO/水の混合物で付加的な希釈物(500、250、100、50、25および10μg/ml)を作製した。最後に、それぞれの希釈物25μlをマイクロタイタープレート(Labsystems,Finland)のウェルにピペットで移した。Perenterol(登録商標)(Biodiphar)で使用されるサッカロミセスボウラディー(Saccharomyces boulardii)はSabouraudデキストロース寒天(Oxoid, Belgium)上で48時間、37℃で培養した。この培養物を使用して100mlのSabouraud液体培地(Oxoid,Belgium)に接種した。2日間、振とうインキュベーター(100rpm)中、37℃でインキュベーション後、同じ手順を使用して代謝産物を抽出した。
【0093】
細菌菌株クロストリジウムパーフリンジェンスATCC13124(C1600L,Oxoid,Belgium)およびクロストリジウムディフィシルATCC9689(C1610L,Oxoid,Belgium)は、凍結乾燥したculti−loopsとして購入し、取扱説明書に従って培養した。両培養物からAnaerobic Basal培養液(Oxoid,Belgium)中でMacfarland標準物(A625mm=0.100)を調製した。この標準物250μlを新鮮なAnaerobic Basal培養液10mlに添加し、この培地225μlをウェルにピペットで移した。それぞれのウェルにおいて最終細胞密度5x10cfu/mlを得た。マイクロタイタープレートは、気密プラスチック製バッグ中、Anaerogen Compact(Oxoid,Belgium)を使用して、18時間(C.パーフリンジェンス)および48時間(C.ディフィシル)、嫌気性条件下でインキュベーションした。インキュベーション期間前および後に、それぞれのウェルの光学密度(OD)をBioscreenCアナライザー(Labsystems,Finland)を使用して測定した。白色光(Wide Band)を使用してODを測定した。試験はデュプリケートで、さらに、培地の対照、培地プラス接種物(陰性対照)および陽性対照中で行われ;3種の濃度(0.1、0.5および1.0μg/ml)のバンコマイシン(Fluka,Belgium)が試験バッチに含まれた。最小阻止濃度(MIC)は増殖が全く起きないか、またはODの増加が全く検出されない最も低い濃度として定義した。
【0094】
結果と考察
ODの強い増加が両方の種の陰性対照ウェルで認められた。1.0および0.5μg/mlバンコマイシンを含むウェルでは増殖は全く起きず、0.1μg/mlバンコマイシンはC.パーフリンジェンスの増殖を阻止しなかった。1および2.5μg/mlのPB6抽出物を含むウェルでは、C.パーフリンジェンスの正常な増殖が起きた。5μg/mlからC.パーフリンジェンスの増殖は全く認めることができなかった。PB6粗発酵抽出物のC.パーフリンジェンスに対するMICは、2.5〜5.0μg/mlの間にあった。また、陰性対照群ウェルではC.ディフィシルに対して強いODの増加が認められた。1.0および0.5μg/mlバンコマイシンを含むウェルでは増殖が全く認められず、0.1μg/mlバンコマイシンは増殖を阻止しなかった。1、2.5および5μg/ml粗PB6‐抽出物を含むウェルでは、C.ディフィシルの正常な増殖が見られた。10μg/mlから、増殖は全く検出されなかった。C.ディフィシルに対するPB6代謝産物のエーテル抽出物のMICは5.0〜10μg/mlであった。Bactisubtil(登録商標)(B.セレウス)、Perenterol(登録商標)(S.ボウラディー)、Bioplus 2B(バチルスリケニフォーミスDSM5749およびバチルスサブチリスDSM5750)およびBiosporinum(バチルスリケニフォーミス属種およびバチルスサブチリス属種)のエーテル抽出物は試験したすべての濃度に関して有意な抗菌活性を全く示さなかった。試験した両方のクロストリジウム種に対するMICは50μg/mlより大きかった。これらの結果は表10に見いだすことができる。
【0095】
【表10】

【0096】
結論
我々はB.PB6、Bactisubtil(登録商標)(B.セレウス)、Perenterol(登録商標)(S.ボウラディー)、Bioplus 2B(B.リケニフォーミスDSM5749およびB.サブチリスDSM5750)およびBiosporinum(バチルスリケニフォーミス属種およびバチルスサブチリス属種)由来のエーテル抽出物の抗クロストリジウム特性を検討した。これらの種によるラボスケール発酵が設定され、エーテル抽出物は、微量液体希釈法を使用してC.パーフリンジェンスATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対してスクリーニングした。B.PB6の代謝産物は顕著な抗クロストリジウム特性を有し、MICはC.パーフリンジェンスに対して2.5〜5.0μg/ml、そしてC.ディフィシルに対して5.0〜10.0μg/mlの間にある。Bactisubtil(登録商標)、Perenterol(登録商標)、Bioplus 2BおよびBiosporinum発酵物のエーテル抽出物は、C.パーフリンジェンスATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対して有意な作用が全く見られなかった。
【0097】
実施例3‐IBDに対するバチルスPB6の有効性
サーファクチンは多くの炎症過程に中心的に関係する酵素である細胞質性PLAの活性を阻止することが公知である58。炎症プロセスの阻止はサーファクチンを生産するプロバイオティックスを、炎症性腸疾患(IBD)のような炎症性疾患の治療に対して非常に興味あるものにしている。
【0098】
炎症性腸疾患は腸の炎症を引き起こす2種の慢性疾患:潰瘍性大腸炎(UC)およびクローン病(CD)を表す。該疾患は共通の特徴も持つが、重要な違いもある。
CDは腸壁の慢性炎症であり、典型的には腸壁の完全な厚さに影響を与える。最も一般的には、それは小腸の最も低部(回腸)および大腸に発生するが、口から肛門までの消化管および肛門周囲の皮膚のいずれかの部分にも発生しうる。
【0099】
ここ2、30年で、CDは西洋および発展途上国の両方でいっそう一般的になっている。それは両性においてほぼ等しく発生し、ユダヤ人の間でいっそうよく見られる。多くの症例が30歳より前に発症し;大部分は14〜24歳の間に始まる。
【0100】
それぞれの人において、該疾患は腸の特定の部分を冒し、ときどき正常な部分(スキップ部分)が冒された領域に挟まれる。CDに冒された患者の約35%は回腸だけが冒される。約20%は大腸だけが冒される。患者の約45%は回腸と大腸の両方が冒される。
【0101】
CDの原因はわかっていない。調査は免疫システムの機能不全、感染、および食餌の3種の主な可能性に焦点を当ててきた。
CDの最も一般的な初期の症状は慢性下痢、腹部痛、発熱、食欲不振、および体重減少である。症状はCD患者間で異なるが、4種の共通のパターンがある:
・腹部の右下部における疼痛および圧痛を伴う炎症;
・腸壁の激しい痛みを伴う痙攣、腹部の腫れ、便秘、および嘔吐を引き起こす、繰り返し起こる急性腸閉塞;
・栄養不良および慢性衰弱を引き起こす炎症および慢性部分的腸閉塞;
・しばしば発熱、疼痛を伴う腹部腫瘤および激しい体重減少を引き起こす異常な瘻孔および膿瘍。
【0102】
UCは、大腸が炎症を起こし、潰瘍を生じ、血性下痢、腹部痙攣、および発熱症状が出現する慢性疾患である。疾患はいずれの年齢でも発症するが、通常15〜30歳で始まる。
【0103】
CDとは異なり、UCは通常、腸の完全な厚さに影響を与えず、小腸を冒さない。疾患は通常直腸またはS字状結腸で始まり、結局部分的に、または完全に大腸中に広がる。患者によっては、大腸の大部分が初期から冒される。
【0104】
UCに罹患しているように見える患者の約10%は、ただ1回発病するだけである。しかし、そのような患者の一部は実際には、真のUCよりむしろ、発見されていない感染症を患っている可能性がある。多くの患者の場合、UCは次第に悪化し、そして徐々に弱まる慢性疾患である。UCの原因は依然としてわかっていない。腸における遺伝的形質および過剰な免疫反応が貢献している因子であると考えられている。
【0105】
ラットのTNBS‐誘発大腸炎(ヒトにおける大腸炎のモデル)の治療における経口投与されたバチルスPB6のin vivo有効性の測定
この実験では、2,4,5−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)の直腸内投与により誘発されるラットの大腸炎に対するPB6の有効性を研究した。
【0106】
研究計画
2つの連続したトライアルが行われた。雄WistarラットはNational Centre of Laboratory Animal Sciences(Hyderabad,India)(トライアル1)またはDepartment of Animal Medicine,TANUVAS(Chennai,India)(トライアル2)から得た。処置期間の初めに動物は10〜12週齢であった。試験施設到着時に、動物が良好な状態であることを確実にするために、獣医師の監督の下で動物に完全な臨床検査が行われた。動物は少なくとも7日間、研究条件に順応させた。トライアル毎に、動物を無作為に選び、研究グループの1つに割り当てた。動物は研究グループごとにポリカーボネートケージ(421x290x190mm、LxWxH)で飼育した。動物室および試験室の状態は以下のように設定した:温度22±3℃、相対湿度50±20%、明/暗周期:12時間/12時間(明期07.00−19.00)および換気:濾過した、再循環しない空気を約7サイクル/時間。すべての動物はNational Institute of Nutrition(NIN,Hyderabad,India)のラットペレットフィードとAquaguard精製水を随意に自由に摂取した(TNBS投与に先立つ一晩の絶食を除く)。両トライアルでは、大腸炎の誘発日は1日目に設定した。大腸炎は一晩絶食後に、肛門から8cmのところへのTNBS100mg/kg体重の1回直腸内投与を使用して誘発した。大腸炎陰性対照群は、1日目に直腸内に生理食塩水(動物毎に0.5mlを1回)を与えられた。大腸炎陰性および大腸菌陽性対照群は、蒸留水10ml/kgを1日3回、4時間間隔で、1日目に開始し、7日目まで与えられた。1回目のトライアルで、TNBS‐誘発大腸炎群は、PB6(それぞれ1.5 10CFU/Kgまたは1.5 10CFU/Kg)、1日3回、4時間間隔、1日目に開始し、7日目まで;メサラジン(250mg/Kg/日)、1日目に開始し、7日目までの;またはインフリキシマブ(3mg/Kg)、1日目の単回投与として、で処置される。2回目のトライアルでは、PB6(1.5 10CFU/Kg)、メサラジンおよびインフリキシマブ処置に関する1回目のトライアルを部分的に反復し、そしてS.ボウラディー(1.5 10CFU/kg)、1日3回、4時間間隔、1日目に開始し、7日目まで、による付加的な処置を含んだ。1回目またはただ1回(インフリキシマブの場合)の処置の投与量は、TNBS投与後2(蒸留水、PB6、ボウラディーおよびメサラジン)または3(インフリキシマブ)時間以内に与えられた。静脈内に注射された59インフリキシマブを除いて、すべての処置は強制経口によって投与された。臨床徴候および死亡に関して1日2回の観察が行われた。動物の体重は1、4および7日目に記録した。8日目に、動物を供試し、(肛門基部5〜10cmまでの)5cmの長さの結腸セグメントを切除した。これらのセグメントは縦方向に切り開いた。内容物を生理食塩水で洗浄することにより除去し、以下のスケールを使用して肉眼的形態を採点した:0‐潰瘍または炎症なし、1‐潰瘍はなく、局所的な充血だけ、2‐充血のない潰瘍化、3‐1か所だけの潰瘍化および炎症、4‐2か所以上の潰瘍化および炎症、および5‐2cmより長い潰瘍化。それぞれ5cmの結腸セグメントの重量も記録し、炎症によって誘発された水腫を評価した。
【0107】
試験調製物
5%TNBS水溶液(w/v)(Sigma−aldrich,St Louis,USA)は50%エタノールにより2.5%溶液に希釈した。投与量は4ml/Kg体重であった。マルト‐およびシクロデキストリンキャリア上で乾燥したバチルス‘PB6’発酵培養液である、PB6乾燥物(Kemin Health,Des Moines,USA)は蒸留水で1.5 10および1.5 10CFU/mlの濃度に懸濁した。投与容量は10ml/kg体重であった。サッカロミセスボウラディー(Enterol(登録商標),Biodiphar,Brussel,Belgium)は1.5 10CFU/mlの濃度に蒸留水で懸濁した。投与量は10ml/Kg体重であった。メサラジン(Mesacol(登録商標),Sun Pharmaceutical Ind.Ltd,Mumbai,India)錠剤は乳棒と乳鉢を使用して粉末にし、1mlに25mgの5−アミノサリチル酸を含む蒸留水中の溶液を調製した。投与容量は10ml/Kg体重であった。Remicade(登録商標)(インフリキシマブ)(Centocor B.V.,Leiden,The Netherlands)は初めに注射用に10mlの水に溶かし、さらに生理食塩水を使用して2mg/mlの濃度に希釈した。用いた投与容量は1.5ml/Kg体重であった。体重に依存した投与容量はすべて、最近測定した個々の体重を基礎に投与した。それぞれの投与前に新鮮な調製物が作製された。調製物はそれぞれの投与前に激しく攪拌した。
【0108】
結果と考察
1回目のトライアルで、インフリキシマブで処置したラットの中の1匹は2日目に死亡した。この動物は、1日目に1回目の注射で薬物溶液が漏れたため、2回目の注射を受けていた。TNBSによる大腸炎の誘発後、いくつかの動物は軽度な下痢の徴候を示した。1日目から7日目までに、異なる処置群で記録された下痢の観察数(および冒された動物の数)は、1回目のトライアルでは、大腸炎‐陰性対照、大腸炎‐陽性対照、PB6 3x1.5 10CFU/Kg/日、PB6 3x1.5 10CFU/Kg/日、メサラジン250mg/Kg/日およびインフリキシマブ3mg/Kg単回投与量それぞれに対して0、22(2)、4(1)、0、0および8(1)であり;そして2回目のトライアルでは、大腸炎‐陰性対照、大腸炎‐陽性対照、PB6 3x1.5 10CFU/Kg/日、S.ボウラディー3x1.5 10CFU/Kg/日、メサラジン250mg/Kg/日およびインフリキシマブ3mg/Kg単回投与量それぞれに対して0、42(4)、10(1)、34(3)、12(1)および24(2)であった。大腸炎‐陽性対照群は、大腸炎に伴って実質的な体重減少を示した。トライアル1では、この減少はトライアル2より大きく、このことは大腸炎の誘発時期での年齢および成長速度の違いに関連する可能性がある。トライアル1の大腸炎‐陰性対照群の、開始時の一般に低い体重と、トライアル期間にわたる百分率に換算した高い体重増加は、これらの動物がトライアル2の動物より平均で幾分若かったことを示唆する。トライアル1における共通の処置はすべて、体重増加に対する大腸炎の負の作用を有意に抑制したが、トライアル2ではこれはPB6処置による場合だけであった(表11)。
【0109】
【表11】

【0110】
トライアル1における、動物に対する大腸菌のより大きな影響はおそらく、いずれかの処置による改善の余地をより多く残した。PB6とメサラジンはいつも、大腸炎‐陽性対照とは明確に識別しうる、結腸セグメントの重量と肉眼的形態スコアをもたらした(表12)。
【0111】
【表12】

【0112】
PB6およびMesacolで処置された、TNBS誘発大腸炎を患うラット結腸壁の健康状態は、肉眼的には大腸炎フリーラットのそれと同じであった。不明の理由により、メサラジン処理はトライアル2では幾分効力が低く、潰瘍化が見られることもあった。縦方向に切り開いた結腸セグメントの目視検査は、陽性対照、S.ボウラディー、およびインフリキシマブ処置群に存在する潰瘍化および壊死組織領域、ならびにPB6群およびトライアル1メサラジン群におけるそれらの欠如を明確に示す。トライアル1では、インフリキシマブで処置したラットの中の1匹は、肉眼的形態スコア1および結腸セグメント重量0.402gであった。これらのデータは、この特定の動物では、インフリキシマブ処置が成功したこと、または大腸炎の誘発がなかったことを暗示する。処置期間の終了時に、インフリキシマブで処置したラットの平均体重増加および結腸セグメント重量データは、両トライアルにおける大腸炎‐陰性および大腸炎‐陽性対照群のそれらの中間であった。このことは、おそらくインフリキシマブにはいくらかの作用があるが、これらのトライアルでは統計的に有意ではなかったことを示唆する。ラットにおける類似のトライアルでは、TNBSによる大腸炎の誘発前に3mg/Kgi.v.2日間の同じ投与量でインフリキシマブが投与され、インフリキシマブは結腸の肉眼的形態に対して多少の作用を有するが、水腫レベルは大腸炎‐陽性対照群のそれ以下に、有意に低下させないことを示した19。PB6で処置したラットの結腸セグメントでは、潰瘍化は見られなかった。これらのセグメントの大部分で、充血だけが観察された。PB6は、TNBSの直腸内投与により誘発されるようなラット結腸壁における炎症を明確に弱める。以前のトライアルで観察された3x1.5 10CFU/Kg/日による7日間の誘発後処置の有効性はトライアル1で確かめられた20。同じ以前のトライアルに基づいたPB6 3x8 10CFU/Kg/日による7日間の誘発後処置は有効でないと結論されたが、この処置のデータが大腸炎‐陽性対照群のデータともはや統計的に差異を識別できない程度にまで炎症を低下させるために、3x1.5 10へのCFU/Kg/日の増加が十分であることが両トライアルで証明された。
【0113】
結論
この研究は、以前のトライアルで観察された、ラットにおける2,4,6−トリニトロベンゼンスルホン酸(TNBS)‐誘発大腸炎に対するバチルス‘PB6’の有効性を確かめ、証拠を提供するため、ならびにその有効性をS.ボウラディー(プロバイオティック)、メサラジンおよびインフリキシマブ(標準薬)の有効性と比較するために計画され、実施された。このラットモデルは十分に確立され、信頼性があり、IBDを処置することを目的とした薬物の効率を試験するために広く使用されている。大腸炎の誘発後にいずれかの処置をしないと、数匹のラットは軽度な下痢の徴候を示し、その後のトライアル期間中、平均して体重を減らし続けた。それらの結腸の腸壁の肉眼的形態は炎症、潰瘍化により、そして壊死にさえ特徴付けられた。1.5 10CFU/Kg/日を3回、または1.5 10CFU/Kg/日を3回、7日間の処置により、結腸壁を、陰性対照群の健康状態および抗炎症薬である、標準薬メサラジンで処置した群の健康状態と統計的に同一である健康な状態にした。
【0114】
実施例4‐PB6代謝産物の抗菌特性
方法と材料
バチルスPB6およびBactisubtil(Sanofi−synthelabo)から分離されたバチルスセレウスの拮抗特性は、たとえばC.パーフリンジェンスATCC13124、C.ディフィシルATCC9689、およびカンピロバクタージェジュニATCC3291のような異なる指標菌株に対して試験した。
【0115】
バチルスセレウスおよびバチルスPB6はそれぞれ滅菌生理食塩水5mlに懸濁した。スワブを使用して、Tryptone Soy寒天プレート(Oxoid,Belgium)上に、プロバイオティック懸濁液の画線を1本作製し、プレートは好気性条件下、37℃で24時間インキュベーションした。
【0116】
その後、異なる指標菌株の懸濁液をスワブにより両方のバチルス培養物に直角に接種し、好気性条件下で24時間インキュベーションした。嫌気性条件下、Anaerogen Pak(Oxoid,Belgium)を使用して、クロストリジウムパーフリンジェンスを接種したプレートは24時間インキュベーションし、C.ディフィシルを接種したプレートは48時間インキュベーションした。48時間C.ジェジュニATCC33291培養物の懸濁液を使用して、プロバイオティック培養物に対して直角に4本の画線を作製した。カンピロバクター種を接種したプレートは微小好気性条件(CampyGen,Oxoid)下、37℃で48時間インキュベーションした。画線はお互いに触れてはならない。37℃でのインキュベーション後、拮抗作用は、ストリークラインの交差点周囲の透明帯の出現によって評価し、1種の微生物の他の微生物に対する阻止作用を示唆した。
【0117】
結果と考察
PB6はC.パーフリンジェンスATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対する拮抗作用を有した。両種に対し、プレート上の画線の交差点で透明帯を観察することができた。C.パーフリンジェンスに対する拮抗作用は、この種の溶血特性のために明確に肉眼で見える。例は図1に表す。この写真ほど明確ではないが、著しい透明帯がPB6とC.ディフィシル培養物の交点でも認められた。
【0118】
バチルスセレウス(Bactisubtil)はC.パーフリンジェンスATCC13124およびC.ディフィシルATCC9689に対して拮抗作用を示さなかった。プレート上の画線の交差点では透明帯は観察できなかった。試験プレートの例は図12に表す。
【0119】
バチルスPB6はC.ジェジュニATCC33291に対して拮抗作用を有した。透明帯はプレート上のストリークラインの交点で観察可能である。試験プレートの例は図13に表す。
【0120】
バチルスセレウス(Bactisubtil)は図14で観察することができるように、C.ジェジュニに対して拮抗作用がなかった。
【0121】
結論
天然から分離したバチルスPB6は明確に、C.パーフリンジェンスATCC13124、C.ディフィシルATCC9689およびC.ジェジュニATCC33291に対して強い拮抗特性を有する。対照的に、試験した他のヒト病原性細菌に対しては作用が観察できなかった。
【0122】
バチルスセレウス(Bactisubtil)はC.パーフリンジェンスATCC13124、C.ディフィシルATCC9689および他の試験した微生物に対して拮抗作用を全く示さなかった。
【0123】
PB6菌株の生細胞は2005年5月27日にAmerican Type Culture Collection(“ATCC”),10801 University Blvd.,Manassas,Va.,20110−2209,U.S.A.に寄託され、受託番号PTA−6737を割り当てられている。寄託は37C.F.R.1.801−1.809に従って行われた。
【0124】
先の記載および図面は本発明の実例となる態様を含む。先の態様および本明細書に記載された方法は、当業者の能力、経験、および好みに基づいて変化してもよい。単にある順序で方法のステップを列挙することは、方法のステップの順序に対していかなる制約も与えない。先の記載および図面は単に本発明を説明し、実例を挙げるものであり、特許請求の範囲がそのように限定しない限り、本発明はそれらによって限定されない。それ以前に開示を有する当業者は、本発明の範囲から逸脱せずに、その中の改変および変更をすることが可能である。
【0125】
参考文献
1 McFarland LV. Epidemiology, risk factors and treatments for antibiotic-associated
diarrhea. Dig Dis. 1998;16:292-307.
2 Bulusu M, Narayan S, Shetler K, Triadafilopoulos G. Leukocytosis as a harbinger and
surrogate marker of Clostridium difficile infection in hospitalized patients with diarrhea.
Am J Gastroenterol. 2000;95:3137-3141.
3 McFarland LV, Mulligan ME, Kwok RYY, Stamm WE. Nosocomial acquisition of
Clostridium difficile infection. N Engl J Med. 1989;320:204-210.
4 Cheng SH, Lu JJ, Young TG, Perng CL, Chi WM. Clostridium difficile-associated
diseases: comparison of symptomatic infection versus carriage on the basis ofrisk factors,
toxin production, and genotyping results. Clin Infect Dis. 1997;25:157-158.
5 Hall, I.C., O'Tool, E. Intestinal flora in newborn infants with a description of a new
pathogenic anaerobe, Bacillus difficilis. AJDC. 1935;49:390-402
6 Lyerly, D.M.; Krivan, H.C., Wilkins, T.D. Clostridium difficile its disease and toxins.
Clin Microbiol Rev 1988; 1: 1-18
7 Gerding, D.N. Disease associated with Clostridium difficile infection Ann Intern Med
1989; 110:255-257
8 McFarland, L.V. Stamm, W.E. Review of Clostridium difficile-associated diseases. AMJ
Infect Control 1986;14:99-109
9 Anand, A., Glatt A.E. Clostridium difficile infection associated with antineoplastic
chemotherapy: a review. Clin Infect Dis. 1993;17:109-113
10 Sharma, AX., Holer, F.E. Clostridium difficile diarrhea after use oftacrolimus
following renal transplantation. Clin Infect Dis. 1998;27:1540-1541.
11 Kelly, C.P. LaMont, J.T. Clostridium difficile infection. Annu Rev 1998;49:375-390
12 Kelly, c.P., Pothoulakis, K, LaMont, J.T. Clostridium Difficile colitis. N Engl J Med.
1994;330:257-262
13 AnarJd, A., Bashey, B., Mir, T., Glatt, A.E. Epidemiologiy, clinical manifestations, and
outcome of Clostridium difficile-associated diarrhea. Am J Gastroenterol. 1994;89:519523
14 Kyne, L. et al. Asymptomatic carriage of Clostridium difficile and serum levels ofIgG
antibody against toxin A. N Engl J Med. 2000;342:390-397
15 Bartlett, J.G. Antibiotic-associated diarrhea. Clin Infect Dis. 1992.15/573-581
16 Rubin, M.S. et al Severe Clostridium difficile colitis. Dis Colon Rectum. 1995;38:350354
17 Anand, A. et al Epidemiology, clinical manifestations, and outcome of Clostridium
difficile-associated diarrhea. Am J Gastroenterol. 1994;89:519-523
18 Wilcox, M.H. et al Financial burden ofhospital-acquired Clostridium difficile
infections. J Hosp Infect. 1996;34:23-30
19 Riley, T.V. et al Community-acquired Clostridium difficile-associated diarrhea. Clin
Infect Dis. 1995;20 (supp12):S263-S265
20 Samore, M.H. et al Clinical and molecular epidemiology ofsporadic and clustered cases
ofnosocomial Clostridium difficile diarrhea. Am J Med. 1996;100:32-40
21 Djuretic, T. et al Infectious intestinal disease in elderly people. Commun Dis Rep CDR
Wkly.1996;19:R107-Rl12
22 Olson, M.M. et al Ten years ofprospective Clostridium difficile-associated disease
surveillance and treatment at the Minneapolis A Medical Cener, 1982 -1991. Infect
.. Control Hosp EpidemioI1994;15(6):371-381
23 Teasley, D.G. et al. Prospective randomized trial ofmetronidazole versus vancomycin
for Clostridium difficile-associated diarrhea and colitis. Lancet 1983;2(8358):10431046
24 Gerding, D.N. Is there a relationship between vancomycin-resistant enterococcal
infection and Clostridium difficile infection? Clin Infect Dis 1997;25 Supp12:S206-210
25 Kelly, C.P. et al. Clostridium difficile colitis. N Engl J Med 1994;330(4):257-262
26 Fekety, R. and Shah, A.B. Diagnosis and treatment of Clostridium difficile colitis.
JAMA 1993;269(1):71-75
27 Pothoulakis, C. and LaMont, J.T. Clostridium difficile colitis and diarrhea.
Gastroenterol Clin North Am 1993;22(3):623-637
28 Fekety, R. et al. Recurrent Clostridium difficile diarrhea: characteristics of and risk
factors for patients enrolled in a prospective, randomized, double-blinded trial. Clin
Infect Dis 1997;24(3):324-333
29 Carmeli, Y. et al. Antecedent treatment with different antibiotic agents as a risk factor
for vancmycin resistant enterococcus. Emerg Infect Dis 2002;8:802-807
30 Gerding, D.N. Is there a relationship between vancomycin-resistant enterococcal
infection and Clostridium difficile infection? Clin Infect Dis 1997;25 Supp12:S206-210
31 Poduval, R.D. et al. Clostridium difficile and vancomycin-resistant enteroccoccus: the
new nosocomial alliance. Am J GastroenteroI2000;95:3513-3515
32 Pelaez, T. et al. Metronidazole Resistance in Clostridium difficile: a new emerging
problem? 38the Interscience Conference on antimicrobial agents and chemotherapy.
Sept. 24-27, San Diego, CA, American Society for Microbiology
33 Pinchuk, 1. et al. In Vitro Anti-Helicobacterpylori Activity ofthe Probiotic Strain
Bacillus subtilis 3 Is Due to Secretion ofAntibiotics. Antimicrob. Agents Chemother.
2001; 45: 3156 - 3161
34 Caruso A, Flamminio S., Folghera S., Peroni L., Foresti 1., Balsari A, Turano A
Expression of activation markets on peripheral-blood lymphocytes following oral
administration ofBacillus subtilis spores. IntL J. ImmunopharmacoL (1993) 15,87-92
35 Ciprandi G., ScordamagliaA, Venuti D., CariaM., Caninica G.W. In vitro effects of
Bacillus subtilis on the immune response. Chemioterapia (1986) 5,404-407.
36 Grasso G., Migliaccio P., Tanganelli C., Brugo M.A, Muscettola M. Restorative effect
ofBacillus subtilis spores on interferon production in aged mice. Ann. N.Y. Acad. Sci.
(1994) 717, 198 - 208
37 Duc L.H., Hong H.A, Cutting S.M. Germination ofthe spores in the gastroinstestinal
tract provides a novel route for heterologous antigen delivery. Vaccine (2003) 21 (2730),
4215 - 4224
38 Duc L.R., Hong H.A, Uyen N.Q., Cutting S.M. Intracellular fate and immunogenicity
ofBacillus subtilis spores. Vaccine (2004),22(15-16), 1873 - 1885.
39 Fais S., Pallone F., Nava C., Magnani M. Lymphocyte activation by B. subtilis spores.
Boll. 1st. Sieroter. Milan (1987) 66(5), 391 - 394
40 Prokesova L., Novakova M., Julak J., Mara M. Effect ofBacillus firmus and other
sporulating aerobic microorganisms on in vitro stimulation ofhuman lymphocytes: a
comparative study. Folia Microbiol (1994) 39, 501 -504
41 Kosaka T., Maeda T., Nakada Y., Yukawa M., Tanaka S. Effect ofBacillus subtilis
spore administration on activation ofmacrophages and natural killer cells in mice. Vet.
MicrobioL (1998) 60(2-4), 215 - 225.
42 PaulAA C. Inulin and Oligofructose: Safe Intakes and Legal Status. Journal of
Nutrition (1999) 129, 1412S-1417S.
43 Gibson G.R, Probert H.M., Loo J.V., Rastall RA, Roberfroid M.B. Dietary modulation
ofthe human colonic microbacteria: updating the concept ofprobiotics. Nutr. Res. Rev.
(2004) 17,259-275
44 Gibson G.R., Roberfroid M.B. Dietary modulation. ofthe human colonic microbiotaintroducing
the concept ofprobiotic. J. Nutr. (1995) 125, 1401-1412
45 Roberfroid M. Dietary Fiber, Inulin, and Oligofructose: aReview Comparing their
Physiological Effects. Crit. Rev. Food Sci. Nutri. (1993) 33, 103-148
46 Van Loo l, Coussement P., De Leenheer L., Hoebregs H., Smits G. On the presence of
inulin and oligofructose as natural ingredients in the Western diet. Crit. Rev. Food Sci.
Nutr. (1995) 35, 525-552
47 Ezaki, T., Hashimoto, Y. and Yabuuchi, E. Fluorometric deoxyribonucleic aciddeoxyribonucleic
acid hybridization in microdilution wells as an alternative to
membrane filter hybridization in which radioisotopes are used to determine genetic
relatedness among bacterial strains. Int. 1. Syst. Bacterial. 1989; 39: 224-229
48 Goris, J., Suzuki, K., De Vos, P., Nakase, T. and Kersters, K. Evaluation of a microplate
DNA-DNA hybridization method compared with the initial renaturation method. Can 1.
Microbial. 1998; 44: 1148-1153
49 Wayne et al. Int. 1. Syst. Bacterial. 1987; 37: 463-464
50 Smith L.D.S., Williams B.L. 1984. The Pathogenic Anaerobic Bacteria, 3rd ed. Charles
C. Thomas, Springfield, Ill.
51 Gorbach S.L. 1998. Gas gangrene and other clostridial skin and soft tissue infections, p.
915-922. In Gorbach S.L, Bartlett J.G., and Blacklow N.R (ed.), Infectious Diseases, 2nd
ed. W.B. Saunders Company, Philadelphia, Pa.
52 Anand A, Glatt AE. 1993. Clostridium difficile infection associated with antineoplastic
chemotherapy: a review. Clin. Infect. Dis. 17:109-113.
53 Sharma AK., Holder F.E. 1998. Clostridium difficile diarrhea after use oftacrolimus
following renal transplantation. Clin. Infect. Dis. 27: 1540-1541.
54 Johnson S., Gerding D.N. 1998. Clostridium difficile-associated diarrhea. Clin. Infect.
Dis. 26:1027-1034.
55 Bartlett J.G. 2002. Clinical practice Antibiotic-associated diarrhea. N. Eng. J. Med.
346:334-339.
56 Dzink J., Bartlett J.G. 1980. In vitro susceptibility of C. difficile isolates from patients
with antibiotic-associated diarrhea or colitis. Antimicrob. Agents Chemother. 17:695698.
57 Tannock G.W. 1999. Probiotics: A critical review. Horizon Scientific Press.
58 Kim, K. et ai. Suppression ofinflammatory responses by surfactin, a selective inhibitor
of platelet cytosolic phospholipase A2? Biochem. Pharmacal. 1998; 55: 975 - 985.
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】C.パーフリンジェンスATCC13124(2)およびC.ディフィシルATCC9689(3)に対するバチルスPB6(1)の拮抗作用の写真である。
【図2】クロストリジウムディフィシルNAP1/027に対するバチルスPB6の拮抗作用の写真である。
【図3】カンピロバクタージェジュニATCC55918に対するバチルスPB6の拮抗作用の写真である。
【図4】サーファクチンの化学構造である。
【図5】異なる処置によるCDADを患うハムスターの%生存率のチャートである。
【図6】バチルスPB6の1466‐bp16S rRNA遺伝子配列(ヌクレオチド位置27〜1492)である。
【図7】バチルスPB6の1023‐bp部分的gyrA配列(ヌクレオチド位置43〜1065)である。
【図8】バチルスPB6の部分的gyrAシークエンシングから得られた801‐bpコンセンサス配列である。
【図9】ヘモリシンBLをコードするPCR産物(1650‐bp)検出のゲルである;レーン1、GeneRuler(登録商標)マスラダー(mass ladder)(3000、2000、1500、1200‐bp);レーン2、バチルスPB6;レーン3、大腸菌ATCC25922;レーン4、B.セレウスATCC49064;レーン5、B.セレウスATCC11778。1650‐bpのPCR産物に相当する増幅されたバンドは、レーン4および5を除いていずれのレーンでも検出されなかった。
【図10】非溶血性エンテロトキシン(Nhe)をコードするPCR産物(1437‐bp)の検出のゲルである。レーン1、GeneRuler(登録商標)マスラダー(3000、2000、1500、1200‐bp);レーン2、バチルスPB6;レーン3、大腸菌ATCC25922;レーン4、B.セレウスATCC49064;レーン5、B.セレウスATCC11778。1437‐bpのPCR産物に相当する増幅されたバンドはいずれのレーンでも検出されなかった。
【図11】エンテロトキシンK(EntK)をコードするPCR産物(1400‐bp)の検出のゲルである。レーン1、バチルスPB6;レーン3、大腸菌ATCC25922;レーン4、B.セレウスATCC49064;レーン5、B.セレウスATCC11778;レーン6、GeneRuler(登録商標)マスラダー(3000、2000、1500、1200‐bp)。1400‐bpのPCR産物に相当する増幅されたバンドはいずれのレーンでも検出されなかった。
【図12】C.パーフリンジェンスATCC13124(2)およびC.ディフィシルATCC9689(3)に対するバチルスセレウス(1)の拮抗作用の欠如を示す写真である。
【図13】カンピロバクタージェジュニATCC33291に対するバチルスPB6の拮抗作用の写真である。
【図14】カンピロバクタージェジュニATCC33291に対するバチルスセレウスの拮抗作用の欠如を示す写真である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リポペプチドを生産する有効量のバチルス細菌をプロバイオティックとして投与するステップを含む、腸異常の予防の方法。
【請求項2】
腸異常が抗生物質関連下痢症、クロストリジウムディフィシル(Clostridium difficile)獲得性下痢症、炎症性腸疾患、および消化器疾患からなる群から選択される、請求項1に定義された方法。
【請求項3】
リポペプチドを生産する有効量のバチルス細菌をプロバイオティックとして投与するステップを含む、腸異常の治療の方法。
【請求項4】
腸異常が抗生物質関連下痢症、クロストリジウムディフィシル獲得性下痢症、炎症性腸疾患、および消化器疾患からなる群から選択される、請求項3に定義された方法。
【請求項5】
バチルス細菌と合わせたイヌリンの投与をさらに含む、請求項1に定義された方法。
【請求項6】
バチルス細菌と合わせたイヌリンの投与をさらに含む、請求項3に定義された方法。
【請求項7】
バチルス細菌と合わせたプロバイオティックの投与をさらに含む、請求項1に定義された方法。
【請求項8】
バチルス細菌と合わせたプロバイオティックの投与をさらに含む、請求項3に定義された方法。
【請求項9】
細菌がバチルスアミロリキファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)およびバチルスサブチリス(Bacillus subtilis)からなる群から選択される、請求項1に定義された方法。
【請求項10】
細菌がバチルスアミロリキファシエンスおよびバチルスサブチリスからなる群から選択される、請求項3に定義された方法。
【請求項11】
バチルス細菌が投与時に相乗作用を持つ化合物を生産する、請求項1に定義された方法。
【請求項12】
バチルス細菌が投与時に相乗作用を持つ化合物を生産する、請求項3に定義された方法。
【請求項13】
SEQ ID NO:1の16S rRNA配列を有する、分離された細菌菌株。
【請求項14】
菌株がSEQ ID NO:1の16S rRNA配列に少なくとも90%相同性を有する、請求項13に定義された、分離された細菌菌株。
【請求項15】
SEQ ID NO:2の部分的gyrA配列を有する、分離された細菌菌株。
【請求項16】
SEQ ID NO:2の部分的gyrA配列に少なくとも90%相同性を有する、請求項15に定義された、分離された細菌菌株。
【請求項17】
SEQ ID NO:3の部分的gyrA配列を有する、分離された細菌菌株。
【請求項18】
SEQ ID NO:3の部分的gyrA配列に少なくとも90%相同性を有する、請求項17に定義された、分離された細菌菌株。
【請求項19】
バチルス細菌がATCC菌株PTA−6737として同定された菌株の細菌からなる、請求項1に定義された方法。
【請求項20】
バチルス細菌がATCC菌株PTA−6737として同定された菌株の細菌からなる、請求項3に定義された方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate


【公表番号】特表2009−519238(P2009−519238A)
【公表日】平成21年5月14日(2009.5.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543436(P2008−543436)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【国際出願番号】PCT/US2006/045755
【国際公開番号】WO2007/064741
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.POLAROID
【出願人】(500462328)ケミン、インダストリーズ、インコーポレーテッド (7)
【氏名又は名称原語表記】KEMIN INDUSTRIES, INC.
【Fターム(参考)】