説明

消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤およびその調製方法

消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤およびその調製方法。この消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤は、ヒドロゲルマトリクス0.01〜1重量%,低密度材料5〜50重量%、安定剤0.1〜5重量%を含み、残りは脱イオン水であり、ヒドロゲルはセルロースおよびその誘導体、寒天、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、キトサンおよびポリアクリル酸ナトリウムによって形成される。この低密度材料は、空気、二酸化炭素、窒素、酸素、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、チオフルオロアルカン、不活性ガスおよびこれらの組合せ、またはポリエチレンおよびポリプロピレンのポリマー粒子を含む。安定剤は、タンパク質、グルコン酸カプロラクトン、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、脂質、両親媒性ポリマーならびにこれらの組合せを含む。この造影剤は腸壁および腸管腔を鮮明に提示するのに役立ち、腸壁および腸管腔上の疾患のためのCT診断の感度および特異性を高めることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は造影剤およびその調製方法に関する。具体的には、本発明は消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤およびその調製方法に関する。本発明は生物医学分野に属する。
【背景技術】
【0002】
消化管(GI管)に発症する疾患、特に結腸癌などの悪性腫瘍は人間の健康にとって恐ろしい脅威となる。コンピュータ断層撮影法(CT)はGI管疾患の医学画像診断に広く使用されている。近年、サブ秒範囲の走査速度で多断面らせんCT装置を適用することによって、GI撮像の質は大きく改善され、呼吸および腸蠕動運動から生じるアーチファクトははるかに少なくなった。それゆえ、CTはGI管疾患の診断、特に結腸疾患の診断においてますます重要な役割を果たしている。現在の臨床診療において、検出精度を改善して偽陽性を減らすために、通常、空気および水を使用して腸を満たし解剖構造を完全に見せることが行われる。さらに、三次元(3D)画像再構成に基づくCT仮想内視鏡解析が開発され、GI管疾患の診断特異性および感度をさらに改善した。しかし、結腸壁に発症した結腸腫瘍の早期かつ正確な検出はCT撮像では達成できない。かかる制約についての最も重要な理由は、現在利用できる撮像造影剤が(高CT密度を有する)陽性造影剤または(水と同程度のCT密度を有する)中性造影剤のいずれかであることである。陽性造影剤は腸壁上の小さい変化を隠す傾向があり、管腔内での高CT密度が結腸壁の画像に支障をきたすことがある。中性造影剤は、結腸に十分充填していなければ腸壁、腸管腔および関連する組織の解剖構造を鮮明に示すことができなかった。なぜなら、それらのCT密度と腸壁のCT密度との差がそれほど大きくないからである。通常、診断における誤診率は高い。さらに、低コントラストの画像は仮想内視鏡再構成(VEおよびVR)および仮想内視鏡解析には使用することができない。それゆえ、腸壁の可視化および3D仮想内視鏡再構成を効率よく改善するための(低CT密度を有する)陰性CT造影剤を開発することが重要である。
【0003】
今のところ、GI管のCT撮像のための3つの必要条件、すなわち腸への良好な充填、腸壁の最適な可視化、および3D仮想内視鏡の実施可能性のすべてを満足させることができる臨床的に利用可能なかかる陰性造影剤は存在しない。植物セルロース、牛乳、脂肪乳剤、パラフィンおよび空気を陰性CT造影剤として使用することを提案する報告がある。植物セルロース、牛乳および脂肪乳剤のCT密度は10〜−80ハウンズフィールド単位(HU)の範囲であり、これは高分解能および3D仮想内視鏡再構成のために十分なほどは低くない。パラフィンのCT密度は、約−100HUである。パラフィンは、腸壁のより良好な描写および3D仮想内視鏡再構成のために有用である。しかしパラフィンの投与から生じる激しい下痢のために、パラフィンの臨床的な適用は制限される。空気の充填では、−1000HUのCT密度が得られる。空気の充填による3D仮想内視鏡再構成は、ポリープまたは腫瘍などの管腔中の腫れた特徴物を検出する際により高い感度および特異性を有する。しかしながら、空気/水界面の歪みに起因して、横断画像における腸壁の描写は低品質であり、腸壁の厚みは正常よりもかなり薄く見え、腸壁上の病変を正確に提示することができない。
【0004】
技術文献検索によれば、臨床で使用され腸壁のCT可視化を実際に改善した唯一の造影剤はオオバコの種子を膨潤させることにより作製されたMucofalk懸濁液であったが(非特許文献1)、腸壁と腸管腔との間のCT密度差は3D仮想内視鏡に十分なほどにはまだ大きくない。
【非特許文献1】Helical CT of the small bowel with an alternative oral contrast material in patients with Crohn disease, Doerfler OC, Ruppert−Kohlmayr AJ, Reittner Pら, ABDOMINAL IMAGING,2003,28(3):313
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、腸管のCT撮像用の現在使用可能な造影剤の問題および制約に対処するものであり、消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤およびその調製方法を提供する。懸濁液タイプの陰性造影剤は、安全であり、無毒でありかつ安定である。それは、パラフィンもしくは植物油のような油脂も、下痢につながる可能性がある他の成分(マンニトールなど)も含まない。腸はこの陰性造影剤で十分に充填することができ、腸壁は鮮明に可視化することができ、かつ3D仮想内視鏡が実施できる。それゆえ、腸壁上および腸管腔中の病変のCT診断の感度および特異性は大きく改善される。この造影剤は臨床診断および治療のための信頼できるX線撮影の基礎を提供する。同時に、この水性陰性造影剤は投与に好都合である。一連のX線による検査が単一の調製物および造影剤の投与で実施することができ、コストおよび患者にとしての不都合を軽減する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は以下の技術的解決策によって実現される。本発明の消化管のCT撮像用水性陰性造影剤は、ヒドロゲルマトリクスに懸濁した低密度材料のミクロ−ナノ粒子からなる懸濁液である。この陰性造影剤成分およびそれらの重量濃度は、ヒドロゲルマトリクス0.01〜1%、低密度材料のミクロ−ナノ粒子5〜50%、安定剤0.1〜5%であり、残りは脱イオン水である。上記低密度材料のミクロ−ナノ粒子は気体の微小気泡および/または低密度の固体粒子である。
【0007】
本発明の造影剤は、−30HU〜−500HUの範囲のCT密度を有する。この造影剤は、腸管腔内部のCT画像密度を実質的に下げることができ、腸管腔内部のCT画像密度を、腸を完全に充填した後の腸壁のCT画像密度よりも均一な密度分布で有意に低くする。本発明の造影剤のマトリクスは、天然物または合成品の親水性ポリマーを水中に分散または膨潤させることにより、粘性のある溶液または半固体に処方される。この陰性造影剤は、良好な流動性を維持しつつ腸を完全に充填することができる。
【0008】
本発明はまた、消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤の調製方法を提供する。具体的にこの方法は、まず天然物または合成物の親水性ポリマーを水中に分散または膨潤させ、ヒドロゲルマトリクスを得るステップと、安定剤を加えるステップと、低密度マイクロ−ナノ粒子を添加または調製してそれらを分散させヒドロゲルマトリクス中の懸濁液を得るステップを含む。安定剤およびヒドロゲルの粘度を調整することによって、この懸濁液の安定性および流動性が調整され、そして良好な均一性、安定性、および流動性を有する陰性造影剤が実現される。このような陰性造影剤は腸管のCT撮像の研究の必要条件を満たす。
【0009】
本発明で使用される低密度材料とは、水の密度よりも小さい密度を有し、−50HU〜−1000HUの範囲のCT密度を有する材料を指す。それらは水に容易に分散することができるが、水に溶解しない。これらの材料としては、種々の気体の微小気泡、医療用のポリエチレン(PE)またはポリプロピレン(PP)の粒子など、または所定の比の上記材料の混合物が挙げられる。懸濁液中の低密度材料のマイクロ−ナノ粒子の濃度は、用途の要求に応じて調整することができる。一般に濃度は5〜50%である。
【0010】
本発明において記載される気体の微小気泡は、25℃、1気圧での気体の微小気泡をいう。この気体は、空気、二酸化炭素、窒素、酸素、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、チオフルオロアルカン、および不活性ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンが挙げられる)、ならびにこれらの組み合わせであってよい。ヒドロゲルマトリクス中の気体の微小気泡の体積濃度は、25℃、1気圧で5〜50%である。
【0011】
本発明において記載される低CT密度の固体粒子は、25℃、1気圧で水の密度よりも低い密度および−50HU〜−1000HUの範囲のCT密度を有する、水に可溶でないポリマー粒子を指す。この粒子としては、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合ポリマーおよびこれらの組合せが挙げられる。粒子の直径は、0.05ミクロン〜1000ミクロンの範囲にある。ヒドロゲルマトリクス中のその濃度は、5〜50%である。
【0012】
本発明で使用されるヒドロゲルマトリクスは、当該技術分野で許容できる天然物および合成物の親水性ポリマーのいかなる種類のものでよい。それは、セルロースおよびその誘導体、キトサンおよびその誘導体、寒天、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、ポリアクリル酸ナトリウムおよびこれらの混合物であってよい。ヒドロゲルの濃度は0.01〜1%である。懸濁液の安定性を増すために、かつ懸濁液中の低密度の材料の粒子のより均一な分散を実現するために、さらに安定剤が懸濁液に添加されるべきである。
【0013】
本発明で使用される安定剤は、タンパク質、グルコン酸カプロラクトン、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、脂質、両親媒性ポリマーおよび様々な比のこれらの組合せから選択される。その例は、ドデシルスルホン酸ナトリウム、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンおよびポリオキシプロピレンのコポリマー(PEO−PPO)など、およびこれらの組合せである。懸濁液中の安定剤の濃度は0.1〜5%である。
【0014】
ヒドロゲルマトリクス中の低密度の気体の微小気泡の懸濁液の調製方法には、その気体の微小気泡の調製方法の違いに従って、2通りの異なる方法がある。一実施形態において、空気、窒素および不活性ガスなどの気体は所定濃度の安定剤を含むヒドロゲルマトリクスに供給され、高速で撹拌することにより気体の微小気泡が直接生成される。この気体の微小気泡は、安定剤の支援によってさらに分散および安定化される。他の実施形態において、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカンおよびチオフルオロアルカンならびにこれらの混合物などの低沸点の液体は、相転移温度よりも低い温度でヒドロゲルマトリクス中に乳化され、水中油型エマルジョンが形成される。この水中油型エマルジョンを加熱することにより、安定剤で皮膜された気体の微小気泡が発生される。
【0015】
ヒドロゲルマトリクス中の低CT密度の固体粒子の懸濁液は、以下の3つの方法のいずれかにより調製される。一実施形態において、医療用のポリエチレンまたはポリプロピレンの予め凍結された粒子は微粉化のためのジェット粉砕機に充填される。直径0.05〜1000ミクロンの生成した微粒子はさらに安定剤と混合され、ヒドロゲルマトリクス中に分散され、様々なCT密度を有する低密度固体粒子懸濁液が得られる。別の実施形態において、医療用のポリエチレンまたはポリプロピレンの粒子が安定剤と混合され、予め凍結され、そして微粉化のためのジェット粉砕機に充填される。直径0.005〜1000ミクロンおよび親水性表面を有する生成した微粒子が、次いでヒドロゲルマトリクスに分散され、低密度を有する固体粒子の懸濁液が得られる。第3の実施形態において、安定剤は有機溶媒に溶解され、医療用のポリエチレンまたはポリプロピレンの粒子の表面に均一に噴霧される。顆粒化および有機溶媒の除去により固体顆粒が得られる。投与に先立ち固体顆粒をヒドロゲルマトリクスに分散させることにより、様々なCT密度を有する低密度固体懸濁液が調製される。
【0016】
本発明で調製される腸管のCT撮像用の水性陰性造影剤は良好な均一性、安定性および流動性を有する。その水性陰性造影剤は、腸壁画像の鮮明度およびコントラストを効果的に高めることができる。低密度気体の微小気泡および/または低密度固体粒子は、分離することなく均一に懸濁液中に分散される。加えて、上記陰性造影剤は良好な流動性を有し、臨床での浣腸投与のための必要条件を満たす。対照群としての水を用いた生体外ブタ小腸についておよびビーグル犬の消化管におけるCT撮像研究において、この水性陰性造影剤は、腸管腔のCT密度を−30HU〜−200HUという値にまで大きく低下させることが示された。腸の外のCT密度がほぼ−100HU〜−150HUであるので、この水性陰性造影剤を用いた場合のCT画像に示される腸壁の分解能、完全性および滑らかさは、本発明の薬剤の代わりに水を使用した対照群でのものに比べてはるかに良好である。さらに、腸管腔の信号は均一である。低密度材料粒子の凝集または分離から生じる信号差はない。これらはさらに撮像診断の信頼性を高める。
【0017】
本発明で調製される腸管のCT撮像用の水性陰性造影剤は、2D腸壁描写および3D仮想内視鏡再構成についての問題を同時に解決することができる。このように、腸壁および腸管腔に発症する疾患の撮像診断の感度および特異性は大きく改善される。このことは結腸癌などの悪性腫瘍の早期の信頼できる検出にとって特に意義深い。陰性造影剤の調製のためにヒドロゲルが上記マトリクスとして使用される。それは腸を十分に満たし、オイル、脂肪、マンニトールなどの投与から生じる激しい下痢を回避する。低密度の気体の微小気泡および/または固体粒子は安全でありかつ非刺激性である。それらは、腸への浣腸投与後の管腔のCT密度を効果的に下げることができる。この水性陰性造影剤の調製のための材料は一般に入手可能である。調製方法は単純であり、容易に実施することができ、大量生産に適している。異なる撮像の要求に応じて、この水性陰性造影剤のCT密度は、鮮明な2D腸壁描写および良好な3D画像再構成のためにヒドロゲルマトリクス中の低CT密度の材料の添加量を変えることにより、容易に調整することができる。
【0018】
本発明に係る実施例は以下のとおりであり、それらは本発明の技術的解決策をさらに例証する。
【実施例】
【0019】
(実施例1)
この実施例において、造影剤の主成分は、超微細粉末化によって調製した200ミクロンの平均直径を有する医療用のポリエチレン粒子(20%を占める)、安定剤としてのPluronic F68およびドデシルスルホン酸ナトリウムの混合物(5%を占める)、ポリアクリル酸ナトリウム(0.01%を占める)であり、残りは脱イオン水である。調製方法は次のとおりである。市販の医療用ポリエチレン粒子およびPluronic F68を100:1の比で混合し、超微細粉末化のためのジェット粉砕機に充填した。200ミクロンの平均直径を有し、表面にPluronic F68を吸収したポリエチレン粒子が生成した。20gの生成したポリエチレン粒子および5gの安定剤(1gのSDSおよび4gのPluronic F68の混合物)を乳鉢中で混合した。次いで、20mlの膨潤前のポリアクリル酸ナトリウム(300,000よりも大きいMwを有する)ヒドロゲルを0.05%の濃度でこの乳鉢に加え、よく混合した。懸濁液の総重量が100gに到達するまで脱イオン水をこの乳鉢に加えた。この懸濁液を平底ビーカーに移し、中程度の速度でマグネチックスターラーでさらにかき混ぜた。ポリエチレン粒子がポリアクリル酸ナトリウムヒドロゲルマトリクス中に懸濁した均一な懸濁液を得た。
【0020】
この造影剤のCT密度の測定:調製した懸濁液を蓋つきのプラスチックチューブに充填し、そのCT密度の測定のためのCTスキャンを実施した。測定結果は、対照群において水のCT密度はゼロであり、調製した陰性造影剤懸濁液のCT密度は−30HUであることを示した。異なるスキャン層間でCT密度の有意な差はなかった。この懸濁液は、20分間分離することなく安定なままであった。
【0021】
生体外でのブタの腸における腸管腔CT密度の測定を次のようにして行った。生体外でのブタの腸の一片を調製した懸濁液で満たした。別の腸を水で満たした。これら2つの生体外でのブタの腸の小片を、生体内で腸の外側の脂肪環境を模擬するパラフィンまたは植物油に浸漬した。これは、気体界面からの干渉を遮蔽するためにも役立つ。CTスキャンを実施し、腸管腔のCT密度を測定した。結果は、対照群の腸管腔のCT密度はほぼ0HUであり、腸壁描写は低品質であったが、上記陰性造影剤を満たした研究群の腸管腔のCT密度は約−30HUであり、腸壁描写は対照群よりも有意に良好であった。管腔内部の信号密度は均一であった。
【0022】
(実施例2)
この実施例において、造影剤の主成分は、同時粉末化によって調製した10ミクロンの平均直径を有する医療用ポリエチレン粒子(50%を占める)、安定剤としてのPluronic F68およびSDSの混合物(3.5%を占める)、ポリアクリル酸ナトリウム(0.005%を占める)およびメチルセルロース(0.03%を占める)である。残りは脱イオン水である。調製方法は次のとおりである。40メッシュのふるいを通して篩過した−200HUのCT密度を有する医療用ポリプロピレン粒子をPluronic F68と100:1の比で混合し、凍結させた。この混合物を空気式粉砕機に充填しそれにより同時粉末化して、10ミクロンの平均直径および親水性表面を有するポリプロピレン粒子を得た。50gの生成したポリプロピレン粒子および3.5gの安定剤(0.5gのSDSおよび3gのPluronic F68を含む)を乳鉢中で混合した。次いで、0.05%ポリアクリル酸ナトリウム溶液および0.3%メチルセルロース溶液(ともに10ml)をこの乳鉢に加え、よく混合した。懸濁液の総重量が100gに到達するまで脱イオン水をこの乳鉢に加えた。この懸濁液をマグネチックスターラーでさらにかき混ぜた。ポリプロピレン粒子が懸濁した生成した水性陰性造影剤のCT密度を、実施例1にて説明した方法を使用して測定し、同様にこの薬剤を充填した後のブタの腸管腔のCT密度も測定した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−100HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−100HUという値にまで低下した。腸壁は鮮明に、完全にかつ滑らかに可視化された。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0023】
(実施例3)
この実施例において、造影剤の主成分は、1000ミクロンの平均直径を有する医療用ポリプロピレン粒子(35%の占める)、安定剤としてのPluronic F68およびドデシルスルホン酸ナトリウムの混合物(4.8%を占める)、寒天(0.005%を占める)およびメチルセルロース(0.02%を占める)である。残りは脱イオン水である。調製方法は次のとおりである。1000ミクロンの平均直径および−100HUのCT密度を有する超微細粉末化した医療用PP粒子100gをコーティングパンの中に入れた。濃度6%のPluronic F68エタノール溶液を噴霧器に入れ、均一にこのPP粒子の表面に噴霧した。Pluronic F68を皮膜したポリプロピレン粒子を取り出し、60℃で乾燥し、秤量した。ポリプロピレン粒子表面に皮膜されたPluronic F68が2%であることを確認した。35gの乾燥ポリプロピレン粒子および4gの安定剤(0.5gのドデシルスルホン酸ナトリウムおよび3.5gのPluronic F68を含む)を乳鉢の中に充填し、そこでよく混合した。次いで、0.05%寒天溶液、および0.2%メチルセルロース溶液(ともに10ml)および十分な量の脱イオン水をこの乳鉢に加え、よく混合した。懸濁液の総重量が100gに到達するまで脱イオン水をこの乳鉢に加えた。この懸濁液を中程度の速度でマグネチックスターラーさらにかき混ぜた。ポリプロピレン粒子が懸濁した生成した水性陰性造影剤のCT密度を、実施例1にて説明した方法を使用して測定し、同様にこの薬剤を充填した後のブタの腸管腔のCT密度も測定した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−85HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−85HUという値にまで低下した。腸壁は鮮明に、完全にかつ滑らかに可視化された。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0024】
(実施例4)
この実施例において、造影剤の主成分は、50nmの平均直径を有する表面改質した医療用ポリエチレンおよびポリプロピレン混合物の微粉末(5%を占める)、安定剤としての、PEO−PPOのブロックコポリマーと卵レシチンとの混合物(2%を占める),トラガカント(0.5%を占める)であり、残りは脱イオン水である。調製方法は次のとおりである。医療用ポリエチレンおよびポリプロピレン混合物の粒子、レシチンおよびPEO−PPOブロックコポリマーおよび卵レシチンを50:1:1の比で混合し、超微細粉末化用のジェット粉砕機に充填した。50nmの平均直径を有し、安定剤が表面上に吸収されているポリエチレンおよびポリプロピレン混合物の微粉末が生成した。生成したポリエチレンおよびポリプロピレン混合物の微粉末のCT密度は−1000HUであった。5gの生成したポリエチレンおよびポリプロピレン混合物の微粉末および2gのPEO−PPOブロックコポリマーを0.5%トラガカント溶液に加え、総重量100gのポリプロピレントラガカントゲル懸濁液を形成させた。調製したポリエチレン−ポリプロピレン混合物陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−200HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−200HUという値にまで低下した。腸壁は鮮明に、完全にかつ滑らかに可視化された。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0025】
(実施例5)
この実施例において、造影剤の主成分は、500nmの平均直径を有する表面改質したエチレン−プロピレンランダムコポリマーの微粉末(10%を占める)、安定剤としてのcremophor RHおよびTweenの混合物(3%を占める)、アラビアゴム(0.2%を占める)であり、残りは脱イオン水である。調製方法は次のとおりである。エチレン−プロピレンランダムコポリマーの粒子、cremophor RHおよびTween 60を100:1:1の比で混合し、超微細粉末化用のジェット粉砕機に充填した。100nmの平均直径を有し安定剤cremophor RHおよびTweenが表面上に吸収されているエチレン−プロピレンランダムコポリマーの微粉末が生成した。生成したエチレン−プロピレンランダムコポリマーの微粉末のCT密度は−600HUであった。生成したエチレン−プロピレンランダムコポリマーの微粉末10g、1gのcremophor RHおよび2gのTweenを0.2%アラビアゴムヒドロゲルに加え、総重量100gのエチレン−プロピレンランダムコポリマーアラビアゴム懸濁液を形成させた。調製したポリプロピレン−メチルセルロースヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−100HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−100HUという値にまで低下した。腸壁は鮮明に、完全にかつ滑らかに可視化された。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0026】
(実施例6)
この実施例において、造影剤の主成分は、1ミクロンの平均直径を有する表面改質したエチレン−プロピレンブロックコポリマーの微粉末(40%を占める)、安定剤としてのcremophor RH、TweenおよびSpanの混合物(5%を占める)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)(0.8%を占める)であり、残りは脱イオン水である。調製方法は次のとおりである。エチレン−プロピレンブロックコポリマーの粒子、cremophor RH、TweenおよびSpanを100:1:2:1の比で混合し、超微細粉末化用のジェット粉砕機に充填した。1ミクロンの平均直径を有し安定剤が表面上に吸収されているエチレン−プロピレンブロックコポリマーの微粉末が生成した。生成したエチレン−プロピレンブロックコポリマーの微粉末のCT密度は−400HUであった。生成したエチレン−プロピレンブロックコポリマーの微粉末40g、1gのcremophor RH、2gのTweenおよび2gのSpanを0.8% CMC−Naヒドロゲルに加え、総重量100gのエチレン−プロピレンブロックコポリマー懸濁液を形成した。調製したポリプロピレン−メチルセルロースヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−80HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−80HUという値にまで低下した。腸壁は鮮明に、完全にかつ滑らかに可視化された。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0027】
(実施例7)
この実施例において、造影剤の主成分は、高速撹拌によって生成した空気の微小気泡(20%(v/v)を占める)、安定剤としてのアルブミンおよびグルコン酸カプロラクトン(0.1%を占める)、メチルセルロース(0.4%を占める)、寒天(0.1%を占める)、ゼラチン(0.05%を占める)であり、残りは脱イオン水である。空気の微小気泡を、ヒドロゲルマトリクス中の安定剤と結合することにより安定化させた。調製方法は次のとおりである。0.1gの安定剤(0.05gのアルブミンおよび0.05gのグルコン酸カプロラクトンを含む)を0.4%のメチルセルロース、0.1%の寒天および0.05%のゼラチンからなる100mlのヒドロゲルの中に加え、よく混合した。乳白色の空気の微小気泡−ヒドロゲル懸濁液を、ホモジナイザー中で10000rpmの速度で5分間撹拌することにより調製した。調製した空気の微小気泡−ヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−200HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−200HUという値にまで低下した。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0028】
(実施例8)
この実施例において、造影剤の主成分は、窒素微小気泡(50%(v/v)を占める)、安定剤としてのアルブミン、セチルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)およびPEO−PPOブロックコポリマーの混合物(1.55%を占める)、キトサン(0.5%を占める)、ゼラチン(0.5%を占める)であり、残りは脱イオン水である。窒素気流の供給下での高速撹拌により生成した窒素微小気泡を、ヒドロゲルマトリクス中の安定剤で安定化させた。調製方法は次のとおりである。1.55gの安定剤(1gのアルブミン、0.05gのCTABおよび0.5gのPluronic F68を含む)を0.5%のキトサンおよび0.5%のゼラチンからなるヒドロゲル100mlに加え、よく撹拌した。乳白色の窒素微小気泡−ヒドロゲル懸濁液を、窒素を連続的に供給しながらホモジナイザー中で10000rpmの速度で5分間撹拌することにより調製した。調製した窒素微小気泡−ヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−500HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−500HUという値にまで低下した。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0029】
(実施例9)
この実施例において、造影剤の主成分は、ヘリウム微小気泡(5%(v/v)を占める)、安定剤としてのドデシルスルホン酸ナトリウム(SDS)およびPluronic F68の混合物(1%を占める)、メチルセルロース(0.4%を占める)、寒天(0.3%を占める)であり、残りは脱イオン水である。ヘリウム気流の供給下での高速撹拌により生成したヘリウム微小気泡を、ヒドロゲルマトリクス中の安定剤で安定化させた。調製方法は次のとおりである。1gの安定剤(0.5gのSDSおよび0.5gのPluronic F68を含む)を0.4% メチルセルロースおよび0.3%寒天からなる100mlの混合ヒドロゲルに加え、よく混合した。乳白色のヘリウム微小気泡−ヒドロゲル懸濁液を、ヘリウムを連続的に供給しながらホモジナイザー中で10000rpmの速度で3分間撹拌することにより調製した。調製したヘリウム微小気泡−ヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−50HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−50HUという値にまで低下した。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0030】
(実施例10)
この実施例において、造影剤の主成分は、SF6微小気泡(占める10%(v/v))、安定剤としてのリン脂質、ホスファチジン酸およびPluronic F68の混合物(2%を占める)、メチルセルロース(0.3%を占める)、寒天(0.2%を占める)であり、残りは脱イオン水である。加熱ガス化によって生成したSF6微小気泡を、ヒドロゲルマトリクス中の安定剤で安定化させた。調製方法は次のとおりである。2gの安定剤(0.8gのPluronic F68、1gのリン脂質および0.2gのホスファチジン酸を含む)を0.3%メチルセルロースおよび0.2%寒天からなる100mlのヒドロゲルに加え、よく混合した。この溶液を氷冷浴によって冷却し、液体状態のSF6を滴下した。SF6を油相とする水中油型エマルジョンを、ホモジナイザー中で10000rpmの速度で1分間撹拌することにより調製した。このエマルジョンを水浴で25℃に加温し、SF6をガス化させて気体の微小気泡を形成した。乳白色のSF6微小気泡−ヒドロゲル懸濁液を得た。調製したSF6微小気泡−ヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した造影剤のCT密度は約−290HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−290HUという値にまで低下した。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0031】
(実施例11)
この実施例において、造影剤の主成分は、トリクロロフルオロメタン微小気泡(30%(v/v)を占める)、安定剤としてのホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジン酸およびPluronic F68の混合物(5%を占める)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(CMC−Na)(0.1%を占める)、寒天(0.1%を占める)であり、残りは脱イオン水である。加熱ガス化により生成したトリクロロフルオロメタン微小気泡を、ヒドロゲルマトリクス中の安定剤で安定化させた。調製方法は次のとおりである。5gの安定剤(2.5gのPluronic F68、2gのホスファチジルエタノールアミンおよび0.5gのホスファチジン酸を含む)を0.1% CMC−Naおよび0.1%寒天からなる100mlのヒドロゲルに加え、よく混合した。この溶液を氷冷浴で冷却し、液体状態のトリクロロフルオロメタンを滴下した。トリクロロフルオロメタンを油相とする油中水型エマルジョンを、ホモジナイザー中で10000rpmの速度で3分間撹拌することにより調製した。このエマルジョンを水浴で30℃に加温し、トリクロロフルオロメタンをガス化させ気体の微小気泡を形成した。乳白色のトリクロロフルオロメタン微小気泡−ヒドロゲル懸濁液を得た。調製したヘリウム微小気泡−ヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した造影剤のCT密度は約−400HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−400HUという値にまで低下した。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。
【0032】
(実施例12)
この実施例において、造影剤の主成分は、ジクロロフルオロエタンとトリクロロフルオロメタンとの混合物の微小気泡(20%(v/v)を占める)、安定剤としてのリン脂質、ホスファチジルエタノールアミン、およびPluronic F68の混合物(3%を占める)、ポリアクリル酸ナトリウム(0.05%を占める)、寒天(0.1%を占める)であり、残りは脱イオン水である。加熱ガス化により生成したジクロロフルオロエタンおよびトリクロロフルオロメタン混合物の微小気泡を、ヒドロゲルマトリクス中の安定剤で安定化させた。調製方法は次のとおりである。3gの安定剤(1.5gのPluronic F68、0.5gのホスファチジルエタノールアミンおよび1gのリン脂質を含む)を0.05% ポリアクリル酸ナトリウムおよび0.1%寒天からなる100mlのヒドロゲルに加え、よく混合した。この溶液を氷冷浴で冷却し、ジクロロフルオロエタンとトリクロロフルオロメタンとの混合物を加えた。ジクロロフルオロエタンとトリクロロフルオロメタンとの混合物を油相とする油中水型エマルジョンを、ホモジナイザー中で10000rpmの速度で3分間撹拌することにより調製した。このエマルジョンを水浴で40℃に加温し、ジクロロフルオロエタンとトリクロロフルオロメタンとの混合物をガス化させて気体の微小気泡を形成した。乳白色のジクロロフルオロエタンとトリクロロフルオロメタンとの混合物の微小気泡−ヒドロゲル懸濁液を得た。調製した気体微小気泡−ヒドロゲル陰性造影剤を、実施例1にて説明したとおりの陰性造影剤のCT密度および充填した腸管腔中のCT密度を測定するための方法を使用して試験した。結果は、調製した陰性造影剤のCT密度は約−250HUであり、ブタの腸管腔のCT密度は−250HUという値にまで低下した。管腔内部の信号強度は均一であり、CT画像中には目に見える集塊はなかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤であって、前記造影剤はヒドロゲルマトリクスに懸濁した低密度材料のマイクロ−ナノ粒子の懸濁液であり、ヒドロゲルマトリクス0.01〜1重量%、低密度マイクロ−ナノ粒子5〜50重量%、安定剤0.1〜5重量%、および水を含み、前記低密度材料のマイクロ−ナノ粒子は低密度の気体の微小気泡および/または低密度固体粒子であることを特徴とする、消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤。
【請求項2】
前記懸濁液が−30HU〜−500HUの範囲のCT密度を有することを特徴とする、請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤。
【請求項3】
前記懸濁液の前記マトリクスが、水中に分散または膨潤した天然物または合成物の親水性ポリマーによって形成される粘性のある液体または半固体であることを特徴とする、請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤。
【請求項4】
前記ヒドロゲルマトリクスが、セルロースおよびその誘導体、寒天、ゼラチン、アラビアゴム、トラガカント、キトサンおよびその誘導体、ポリアクリル酸ナトリウム、ならびに様々な比のこれらの組合せを含み、前記ヒドロゲルの濃度が0.01〜1%であることを特徴とする、請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤。
【請求項5】
前記低密度の気体の微小気泡が25℃、1気圧において微小気泡であり、空気、二酸化炭素、窒素、酸素、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、チオフルオロアルカン、不活性ガス(ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノンが挙げられる)、およびこれらの組合せを含み、前記ヒドロゲルマトリクス中の前記気体の微小気泡の体積濃度が25℃、1気圧において5〜50%であることを特徴とする、請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤。
【請求項6】
前記低密度固体粒子が、25℃、1気圧において水の密度よりも小さい密度を有しかつ−50HU〜−1000HUのCT値を有する水に不溶のポリマー粒子であり、ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、それらの混合ポリマー、およびこれらの組合せを含み、前記固体粒子の直径が0.05ミクロン〜1000ミクロンの範囲であり、前記ヒドロゲルマトリクス中のそれらの濃度が5〜50%であることを特徴とする、請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性マトリクスの陰性造影剤。
【請求項7】
前記安定剤が、タンパク質、グルコン酸カプロラクトン、イオン性界面活性剤および非イオン性界面活性剤、脂質、両親媒性ポリマーおよび様々な比のこれらの組合せからなる群のうちの少なくとも1つから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤。
【請求項8】
請求項1に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤の調製方法であって、安定剤を前記ヒドロゲルマトリクスに加え、前記低密度の気体の微小気泡および/または低密度の固体粒子を加えるかまたは調製し、そして外部の力によって均一に分散させて前記消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤を得ることを特徴とする、方法。
【請求項9】
前記低密度の気体の微小気泡が機械的な力によって生成され、気流の供給下で前記ヒドロゲル中に均一に分散されることを特徴とする、請求項8に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤の調製方法。
【請求項10】
前記低密度の気体の微小気泡が、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、チオフルオロアルカン、またはこれらの組合せがそれらの相転移温度よりも低い温度で前記ヒドロゲルマトリクス中に分散されて水中油型エマルジョンを形成し、フルオロアルカン、クロロフルオロアルカン、チオフルオロアルカン、またはこれらの組合せの気体の微小気泡が、前記水中油型エマルジョンを加熱することによりガス化されるようにして調製されることを特徴とする、請求項8に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤の調製方法。
【請求項11】
前記低密度固体粒子が粉末化または微細粉末化によって調製され、さらに粉末化または微細粉末化の前に親水性表面改質がなされることを特徴とする、請求項8に記載の消化管のCT撮像用の水性陰性造影剤の調製方法。

【公表番号】特表2009−536624(P2009−536624A)
【公表日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508085(P2009−508085)
【出願日】平成18年5月22日(2006.5.22)
【国際出願番号】PCT/CN2006/001063
【国際公開番号】WO2007/131390
【国際公開日】平成19年11月22日(2007.11.22)
【出願人】(508332634)シャンハイ ジャオ トン ユニバーシティ (1)
【Fターム(参考)】