消振機
【課題】運転中に偏心錘の設定位置を維持することができ、かつ、加振力を変更するときは偏心錘の位置を容易に変えることができ、さらにメンテナンスに係わる手間や費用を低減すること。
【解決手段】第1回転軸51と第1偏心錘52、第2回転軸53と第2偏心錘54、第3回転軸61と第3偏心錘62、第4回転軸63と第4偏心錘64とを、それぞれ焼き嵌めによって強固に固定し、かつ、第1偏心錘52と第2偏心錘53間、第3偏心錘62と第4偏心錘63間をセットボルト55、65の軸力によって密着して固定する。そして、これらを収納するハウジングに点検窓10、11を設け、この点検窓からセットボルト55、65の固定および取り外しを行なえるように構成した。
【解決手段】第1回転軸51と第1偏心錘52、第2回転軸53と第2偏心錘54、第3回転軸61と第3偏心錘62、第4回転軸63と第4偏心錘64とを、それぞれ焼き嵌めによって強固に固定し、かつ、第1偏心錘52と第2偏心錘53間、第3偏心錘62と第4偏心錘63間をセットボルト55、65の軸力によって密着して固定する。そして、これらを収納するハウジングに点検窓10、11を設け、この点検窓からセットボルト55、65の固定および取り外しを行なえるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン等の振動源から発生する振動を相殺するための消振機に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の船舶では、主エンジンの振動に共振する船体2次振動を打ち消すための消振装置を船尾に設置して船体振動を抑制するようにしている。
この消振装置は、平行または同一軸線上に配置された2本の回転軸にそれぞれ扇形の固定偏心錘および可動偏心錘からなる一対の偏心錘を嵌合してハウジング内に収納するとともに、2本の回転軸をギア結合して同一の回転速度で互いに逆方向に回転するようにし、さらに回転軸にプーリーを取り付け、外部に設置したモータの動力をプーリーに伝達し、プーリーによってギアを回転駆動することにより、前記2組の偏心錘の回転により発生する一定方向の加振力を利用して船体2次振動を打ち消すように構成したものである。
【0003】
図12は、従来の消振装置に設置される一対の偏心錘のうちの一方を示す部分外観図である。図12では、回転軸31に半円状の固定偏心錘32および半円状の可動偏心錘33を回転方向にずらして取り付けた状態を示している。この固定偏心錘32には回転軸31から見て円周方向に均等間隔でボルト穴34を複数設けている。この固定偏心錘32に対して可動偏心錘33の円周方向の位置をずらしてセットボルト35により両者を固定することによって消振装置の出力である加振力を変更可能としている。36は緊定した状態のセットボルト35の回り止めを行なうノックピンである。
【0004】
このような構造の偏心錘では、可動偏心錘33を回転軸31の円周方向に移動(すなわち、回動)できるようにしているため、可動偏心錘33と回転軸31との間には構造上微小隙間がある。このため、消振装置の運転中に可動偏心錘33と回転軸31との嵌合面が幾度となく接離することで両者の嵌合面が摩耗し、隙間が広がって本来の振動力を得ることができなくなる恐れがある。
【0005】
また、可動偏心錘33と回転軸31との嵌合部の微小隙間が広がることにより可動偏心錘33の回転中心軸がぶれると、セットボルト35に対して直角方向の大きなせん断加重がかかり、長期間運転するとセットボルト35が折損する恐れもある。
【0006】
従来、この課題を解決するために、図13で示すように回転軸31に固定偏心錘32およびこれに隣接して可動偏心錘33を焼き嵌めし、可動偏心錘33を回転軸31から取り外す場合には、可動偏心錘33と回転軸31との嵌合部に油圧をかけて強制的に隙間37を作って取り外す方法(例えば、特許文献1参照)や、図14で示すように円錐状嵌合穴41aを有するガイド部材41に固定された偏心錘42およびガイド部材41の円錐状嵌合穴41aと回転軸31との嵌合部に打ち込まれる円錐台状の金具43からなるテーパロック型偏心錘44を、固定偏心錘32に隣接して取り付けるようにした構造が発明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3472303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図13で示す方法では、加振力を変更するために可動偏心錘33の位置を回転軸31から円周方向に移動させるためには可動偏心錘33と回転軸31との嵌合部に隙間を作らなければならず、そのためには嵌合部に圧油を供給する油圧装置38、油タンク39等の油圧機器およびこれらを接続する専用の油圧配管40を装備しておく必要があり、設備が大掛かりになるだけでなく、メンテナンスが複雑になり、手間もかかるという欠点がある。
【0009】
また、図14で示す方法では、テーパロック型偏心錘44はガイド41に金具43をハンマー等で打ち込むことにより回転軸31とテーパロック型偏心錘44とを固定させるようにしているが、金具43を毎回同じ力で打ち込むことは容易ではなく、十分に打ち込んだとしても運転中に振動で金具43が緩んで偏心錘44が回転軸31上を移動するため、本来の加振力が得られない可能性がある。
【0010】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、運転中に偏心錘の設定位置を維持することができ、加振力を変更するときは偏心錘の位置を容易に変えることができ、さらにメンテナンスに係わる手間や費用を低減することができる信頼性の高い消振機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、振動源から発生する振動を相殺するための消振機であって、第1回転軸およびこの第1回転軸に固定されるとともに当該第1回転軸の回りにボルト穴を有する第1偏心錘からなる第1回転体と、前記第1回転軸と同一軸線上に配置された第2回転軸およびこの第2回転軸に固定されるとともに当該第2回転軸の回りにボルト穴を有する第2偏心錘からなる第2回転体と、前記第1偏心錘および前記第2偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第1起振ユニットを構成し、第3回転軸およびこの第3回転軸に固定されるとともに当該第3回転軸の回りにボルト穴を有する第3偏心錘からなる第3回転体と、前記第3回転軸と同一軸線上に配置された第4回転軸およびこの第4回転軸に固定されるとともに当該第4回転軸の回りにボルト穴を有する第4偏心錘からなる第4回転体と、前記第3偏心錘および前記第4偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第2起振ユニットを構成し、
前記第1起振ユニットと前記第2起振ユニットとを平行状態を保持して共通のハウジング内に設置し、一定方向に加振力を発生させるように前記第1起振ユニットおよび前記第2起振ユニットを同一の回転速度で互いに逆方向に回転させる動力伝達手段を設け、前記ハウジングに点検窓を設けて、当該点検窓から前記セットボルトの固定および取り外しを可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転中に偏心錘の設定位置を維持することができ、加振力を変更するときは偏心錘の位置を容易に変えることができ、さらにメンテナンスに係わる手間や費用を低減することができる信頼性の高い消振機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一般的な消振機の斜視図であり、(a)は立軸形消振機、(b)は立軸形消振機の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る消振機の概念を表す断面図。
【図3】図2の消振機の主要部断面図。
【図4】図3のA−A矢視図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る消振機の主要部断面図。
【図6】図5のB−B矢視図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る消振機の主要部断面図。
【図8】図7のC−C矢視図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る消振機の主要部断面図。
【図10】図9のD−D矢視図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る消振機の概念を表す断面図。
【図12】従来の消振機用偏心錘の部分外観図。
【図13】従来の他の消振機用偏心錘の部分断面図。
【図14】従来の更に他の消振機用偏心錘の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図を通して共通する部品や要素には同一符号または関連符号を付けて、重複する説明は適宜省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
以下、図1ないし図4を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は一般的な消振機を示す斜視図であり、(a)は大型船舶の船尾等に設置される立軸形の消振機であり、(b)は同じく大型船舶の船尾等に設置される横軸形消振機である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る立軸形消振機の概念を表す断面図であり、図3は図2の消振機の主要部断面図、図4は図3のA−A矢視図である。
【0016】
まず、図1および図2を参照して本実施形態による立軸形の消振機の概要から説明する。
本実施形態による立軸形の消振機1は、後述するハウジング7の下部軸受ブラケットを兼用する取付けベース2の平面上に2個の下部軸受3および4を所定の間隔を隔てて設置しており、これらの下部軸受3および4により、鉛直状態に並行して配置される一対の起振ユニット(第1起振ユニット5および第2起振ユニット6からなる)の一方の端部である下端部を回転自在に支持するように構成されている。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の詳細構造については後に図3および4で説明する。
【0017】
そして、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の他方の端部である上端部は、前記取付けベース2の平面上に伏せるようにして配置されたカップ形のハウジング7の上端部である、上部軸受ブラケット71によって支持された2個の上部軸受8および9で回転自在に支持されるようになっている。
【0018】
各軸受のうち、下部軸受3および4はラジアル荷重およびアキシャル荷重を支持する形態の軸受で構成され、一方、上部軸受8および9はラジアル荷重を支持する形態の軸受で構成されている。
【0019】
前記ハウジング7は、その開口端部72をボルト等の固着手段により取付けベース2上に固定されるようになっており、また、外周壁面73には後述する目的のために2個の点検窓10および11を設けている。点検窓10および11は、通常時点検蓋12および13で塞ぐようにしている。
【0020】
前記第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は、ハウジング7の上部軸受ブラケット71の内壁に隣接して動力伝達手段としてのギア14および15をそれぞれ嵌合固定している。これらのギア14および15は、互いに同じ歯数を有して噛み合うようになっており、同一回転速度で逆方向に回転する。16は第1起振ユニット5の上部の軸端部に固定したプーリーであり、図示しないベルトを介して駆動モータの動力を第1起振ユニット5に伝えるようになっている。17は上部軸受9の軸受端板である。
【0021】
図示しない駆動モータの動力がプーリー16を介して第1起振ユニット5に伝達されると、第1起振ユニット5が回転し、同時にギア14および15を介して第2起振ユニット6も回転する。この場合、第1起振ユニット5の回転方向と第2起振ユニット6の回転方向とは逆方向であるため、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の回転によってそれぞれ生じた加振力は合成されて主エンジンの振動に共振する船体2次振動を打ち消す方向のみとなるようになっている。
【0022】
次に、図3および図4を参照して前記第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の一例について詳細に説明する。
【0023】
以下、図3の左半部で示す第1起振ユニット5から説明する。
第1起振ユニット5は、取付けベース2上に設置された下部軸受3によって鉛直状態で回転自在に支持される第1回転軸51と、この第1回転軸51に焼き嵌め等で固定された扇形の第1偏心錘52と、前記第1回転軸51の軸線と同一軸線上に配置されると共にハウジング7の上部軸受ブラケット71に支持された上部軸受8によって回転自在に支持される第2回転軸53と、この第2回転軸53に焼き嵌め等で固定された扇形の第2偏心錘54と、これら第1偏心錘52および第2偏心錘54の側面を密着させて固定する固定部材、例えばセットボルト55とから構成されている。ここで、第1回転軸51および第1偏心錘52からなる組立部を第1回転体5Aと称し、第2回転軸53および第2偏心錘54からなる組立部を第2回転体5Bと称する。
【0024】
第1起振ユニット5は、図3のようにセットボルト55によって第1偏心錘52および第2偏心錘54の相互間が固定されている状態では、第1回転軸51および第1偏心錘52からなる第1回転体5Aと、第2回転軸53および第2偏心錘54からなる第2回転体5Bとが機械的に一体的に構成された状態となり、両端部の第1回転軸51および第2回転軸53はそれぞれ下部軸受3および上部軸受8によって回転自在に支持される。ところが、セットボルト55を外して第1偏心錘52および第2偏心錘54の相互間を固定していない状態では、第1回転体5Aと第2回転体5Bとは上下に機械的に分離されるので、それぞれ下部軸受3、上部軸受8によって自由に回転することが可能になる。
【0025】
第1偏心錘52および第2偏心錘54には、図4で示すようにそれぞれ第1回転軸51および第2回転軸53に嵌合するための軸貫通穴を囲繞するようにそれぞれフランジ部52Fおよび54Fを形成しており、しかも、このフランジ部52Fおよび54Fには軸貫通穴の周りに円周方向にほぼ均等な角度(θ)で前記セットボルト55をねじ込むためのボルト穴52Hを複数個設けており、θの整数倍の角度だけ何れか一方の偏心錘を移動させた状態で固定することができるように構成されている。
【0026】
図3の右半部で示す第2起振ユニット6は、上述した第1起振ユニット5と同一構成なので、第1起振ユニット5に用いた部品に対応する部品には符号6および添字A、B、1〜5で対応させることにより詳細な説明は省略するが、第1起振ユニット5側と区別する意味で、6Aを第3回転体、61を第3回転軸、62を第3偏心錘、そして6Bを第4回転体、63を第4回転軸、64を第4偏心錘としてそれぞれ呼称する。
【0027】
次に本実施形態に係る消振機の作用について説明する。
本実施形態に係る立軸形の消振機1は、第1偏心錘52および第2偏心錘54の重心の相対位置を決めて第1回転体5Aと第2回転体5Bとをセットボルト55によって固定し、この状態において図示しない駆動モータによりプーリー16を介して第1起振ユニット5を回転駆動すると、ギア14および15を介して第2起振ユニット6が第1起振ユニット5の回転方向とは逆方向に駆動される。第1起振ユニット5および第2起振ユニット6はハウジングの下部軸受けブラケットを兼ねた共通の取り付けベース2上に設置されているので、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6にそれぞれ発生する加振力は合成され、この合成された加振力によって船舶の主エンジンの振動に共振する船体2次振動を打ち消すことができる。
【0028】
そして、消振機1の出力である加振力を変更する場合には、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6に設けられている2つの偏心錘(第1偏心錘52および第2偏心錘54)の一方をθの整数倍の角度だけ回転方向に移動させることによって実現できる。
【0029】
以下、消振機1の加振力を変更する場合について説明する。
まず、ハウジング7の外周壁面73に設けてある点検窓10の点検蓋12を外し、点検窓10からスパナ等の工具を使って第1起振ユニット5のセットボルト55を緩めて取り外し、第1偏心錘52および第2偏心錘54の固定状態を解く。これによって第1回転体5Aおよび第2回転体5Bは互いに自由になり、下部軸受3および上部軸受8によってそれぞれの自由に回転できるようにする。このとき、プーリー16を上から引っ張った状態にして第1偏心錘52および第2回転軸53の突合せ面に作用している荷重を取り除くようにすれば、第1回転体5Aあるいは第2回転体5Bを弱い力でも容易に回転することができる。
【0030】
このようにして、第1回転体5Aおよび第2回転体5Bが相互に自由に回転できる状態で第1偏心錘52と第2偏心錘54との相対的な位置、すなわち第1偏心錘52および第2偏心錘54の重心の位相差を所望な角度(θの倍数)まで移動させる。移動させた後に再びセットボルト55をねじ込んで固定する。
【0031】
この状態では、第1回転体5Aの第1偏心錘52と第2回転体5Bの第2偏心錘54とは、セットボルト55の軸力によって互いに押しつけ合っているのでフランジ部52Fおよび54Fに発生する摩擦力によって第1回転軸51および第2回転軸53同士が一体的に固定される。この結果、消振機1の運転中に第1回転体5Aと第2回転体5Bとの結合状態が緩むことはなく、セットした状態を維持することができる。
【0032】
第2起振ユニット6についても同様にして、ハウジング7の外周壁面73に設けてある点検窓11の点検蓋13を外し、点検窓11からスパナ等の工具を使って第2起振ユニット6のセットボルト65を緩めて取り外し、第3偏心錘62および第4偏心錘64の固定状態を解くことによって、第3回転体6Aおよび第4回転体6Bを自由にし、第3回転体6A、第4回転体6Bを下部軸受4および上部軸受9によってそれぞれ自由に回転できるようにする。
【0033】
このようにして、第3回転体6Aおよび第4回転体6Bが相互に自由に回転できる状態で第3偏心錘62と第4偏心錘64との相対的な位置、すなわち第3偏心錘62および第4偏心錘64の重心の位相差を所望な角度(θの倍数)まで移動させる。移動させた後に再びセットボルト65をねじ込んで固定する。
【0034】
この状態では、第3回転体6Aの第3偏心錘62と第4回転体6Bの第4偏心錘64とは、セットボルト65の軸力によって互いに押しつけ合っているのでフランジ部62Fおよび64Fに発生する摩擦力によって第3回転軸61および第4回転軸63同士が一体的に固定される。この結果、消振機1の運転中に第3回転体6Aと第4回転体6Bとの結合状態が緩むことはなく、セットした状態を維持することができる。
【0035】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、第1回転軸51と第1偏心錘52、第2回転軸53と第2偏心錘54、第3回転軸61と第3偏心錘62、第4回転軸63と第4偏心錘64は、それぞれ焼き嵌めによって強固に固定され、かつ、第1偏心錘52と第2偏心錘53間、第3偏心錘62と第4偏心錘63間はセットボルト55、65の軸力によって密着して固定されるので、セットボルト55、65には折損事故を招くような直角方向に大きなせん断加重が作用する恐れはなく、信頼性の高い消振機を提供することができる。
【0036】
さらに、消振機1の加振力を変更する場合は、ハウジング7の外周壁面73に設けた点検窓10から第1回転体5Aの第1偏心錘52と第2回転体5Bの第2偏心錘54とを締結しているセットボルト55を緩め、同様に点検窓11から第3回転体6Aの第3偏心錘62と第4回転体6Bの第4偏心錘64とを固定しているセットボルト65を緩めることによって第1偏心錘52の重心位置と第2偏心錘54の重心の位相角、第3偏心錘62の重心位置と第4偏心錘64の重心の位相角を容易に変えることができるので、油圧装置を使用する従来方法に比べてメンテナンスに係わる手間や費用を低減した経済的な消振機を提供することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
以下、図5および図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る消振機の主要部断面図であり、図6は図5のB−B矢視図である。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は同一構造なので、以下は第1起振ユニット5を代表して説明する。
【0038】
本実施形態に係る消振機1は、図5に示すように第1起振ユニット5の第1回転軸51および第2回転軸53の突合せ部にインロー部20を設け、このインロー部20によって第1回転軸51および第2回転軸53を嵌合するように構成したものであり、その他は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0039】
以上述べたように、第2の実施形態によれば、第1回転軸51および第2回転軸53の突合せ部にインロー部20が存在することにより、第1の実施形態の奏する作用効果に加えて、第1回転体5Aおよび第2回転体5Bを組み立てる際の芯だし作業が容易になるという特長がある。
【0040】
[第3の実施形態]
以下、図7および図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る消振機の主要部断面図であり、図8は図7のC−C矢視図である。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は同一構造なので、以下は第1起振ユニット5を代表して説明する。
【0041】
本実施形態に係る消振機1は、図7に示すように第1起振ユニット5の第1偏心錘52および第2偏心錘54の軸貫通穴の周りのフランジ部の突合せ部にインロー部21を設けており、このインロー部21によって第1偏心錘52および第2偏心錘54を嵌合したものであり、その他は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0042】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、第1偏心錘52および第2偏心錘54の突合せ部にインロー部21を設けたことにより、第2の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
[第4の実施形態]
以下、図9および図10を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。
図9、本発明の第4の実施形態に係る消振機の主要部断面図であり、図10は図9のD−D矢視図である。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は同一構造なので、以下は第1起振ユニット5を代表して説明する。
【0044】
本実施形態に係る消振機1は、図9に示すように第1偏心錘52と第2偏心錘54との接する部分をフランジ部52Fおよび54Fのみとし、それ以外の部分が接しないように段差22を付けている。
【0045】
本実施形態では、第1偏心錘52および第2偏心錘54間に段差22による隙間23を形成するようにしたことで、フランジ部52Fおよび54Fの当接面積を小さくすることができる。このため、セットボルト55の軸力によってフランジ部52Fおよび54Fに発生する圧力が増加し、フランジ部52Fおよび54Fに発生する摩擦力が増加するため、より強固に第1回転体5Aと第2回転体5Bとを固定することができる。
【0046】
また、隙間23に治具等を差し込むことができるので、第1起振ユニット5を第1回転体5Aと第2回転体5Bとを分割する際、隙間23に治具等を差し込むことにより容易に分割が可能となる。
以上述べたように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の奏する作用効果に加え、第1回転体5Aと第2回転体5Bとの分割を容易に行うことができるという特長がある。
【0047】
[第5の実施形態]
以下、図11を参照して本発明の第5の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態ないし第4の実施形態では、取り付けベース2の上面から第1起振ユニット5の第1偏心錘52および第2偏心錘54の結合部分までの高さと、第2起振ユニット6の第1偏心錘62および第2偏心錘64の結合部分までの高さを同一にしたが、本実施形態は図11で示すように第1起振ユニット5の第1偏心錘52および第2偏心錘54の結合部分の高さ(軸方向の位置)を、第2起振ユニット6の第3偏心錘62および第4偏心錘64の結合部分の高さ(軸方向の位置)よりも高くしたものである。
【0048】
なお、本実施形態の場合、第2偏心錘54がハウジング7の上部軸受ブラケット71の内壁近くまで接近する関係でギア14および15をハウジング7外部のプーリー16側に移し、ギアカバー24で覆うようにするとともに、第1起振ユニット5側のセットボルト55の向きを第1の実施形態ないし第4の実施形態のセットボルト55とは逆に上向きにすることによって、セットボルト55の取り外し作業を容易に行えるように構成している。
【0049】
第5の実施形態の場合、第1起振ユニット5の偏心錘の軸方向の位置と、第2起振ユニット6の偏心錘の軸方向の位置とを相対的にずらせるようにした関係で消振機1の高さは高くなるが、第1起振ユニット5の回転軸51、54の中心軸と第2起振ユニット6の回転軸61、64の中心軸とを近づけることができるので、第1の実施形態ないし第4の実施形態に比べ、消振機1の平面積を小さくすることができる。
【0050】
[第6の実施形態]
上述した第1の実施形態ないし第5の実施形態では、取り付けベース2の上面に第1起振ユニット5と第2起振ユニット6とを鉛直状態で互いに平行に配設したが、本発明は図1(b)に記載した横軸形の消振機にも適用できる。
【0051】
この横軸形消振機は、内部構造については特に図示していないが、一般的な横軸型電動機と同様に、筒状のハウジングの左右の端面に軸受ブラケットを取り付け、水平位置に並行配置した第1起振ユニット5と第2起振ユニット6とを両側の軸受ブラケットによって回転自在に支持するように構成したものである。
この第6の実施形態においても、第1の実施形態と同様にエンジン等の振動源から発生する振動を相殺することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…消振機、2…取り付けベース(下部軸受ブラケット兼用)、3…下部軸受、4…下部軸受、5…第1起振ユニット、5A…第1回転体、5B…第2回転体、51…第1回転軸、52…第1偏心錘、53…第2回転軸、54…第2偏心錘、55…セットボルト、52F、54F…フランジ部、6…第2起振ユニット、6A…第1回転体、6B…第2回転体、61…第1回転軸、62…第1偏心錘、63…第2回転軸、64…第2偏心錘、65…セットボルト、7…ハウジング、71…ハウジング上端面(上部軸受ブラケット)、72…ハウジング開口端部、73…ハウジング外周壁面、8…上部軸受、9…上部軸受、10…点検窓、11…点検窓、12…点検蓋、13…点検蓋、14…ギア、15…ギア、16…プーリー、17…軸受端板、20…インロー部、21…インロー部、22…段差、23…隙間、24…ギアカバー。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン等の振動源から発生する振動を相殺するための消振機に関する。
【背景技術】
【0002】
大型の船舶では、主エンジンの振動に共振する船体2次振動を打ち消すための消振装置を船尾に設置して船体振動を抑制するようにしている。
この消振装置は、平行または同一軸線上に配置された2本の回転軸にそれぞれ扇形の固定偏心錘および可動偏心錘からなる一対の偏心錘を嵌合してハウジング内に収納するとともに、2本の回転軸をギア結合して同一の回転速度で互いに逆方向に回転するようにし、さらに回転軸にプーリーを取り付け、外部に設置したモータの動力をプーリーに伝達し、プーリーによってギアを回転駆動することにより、前記2組の偏心錘の回転により発生する一定方向の加振力を利用して船体2次振動を打ち消すように構成したものである。
【0003】
図12は、従来の消振装置に設置される一対の偏心錘のうちの一方を示す部分外観図である。図12では、回転軸31に半円状の固定偏心錘32および半円状の可動偏心錘33を回転方向にずらして取り付けた状態を示している。この固定偏心錘32には回転軸31から見て円周方向に均等間隔でボルト穴34を複数設けている。この固定偏心錘32に対して可動偏心錘33の円周方向の位置をずらしてセットボルト35により両者を固定することによって消振装置の出力である加振力を変更可能としている。36は緊定した状態のセットボルト35の回り止めを行なうノックピンである。
【0004】
このような構造の偏心錘では、可動偏心錘33を回転軸31の円周方向に移動(すなわち、回動)できるようにしているため、可動偏心錘33と回転軸31との間には構造上微小隙間がある。このため、消振装置の運転中に可動偏心錘33と回転軸31との嵌合面が幾度となく接離することで両者の嵌合面が摩耗し、隙間が広がって本来の振動力を得ることができなくなる恐れがある。
【0005】
また、可動偏心錘33と回転軸31との嵌合部の微小隙間が広がることにより可動偏心錘33の回転中心軸がぶれると、セットボルト35に対して直角方向の大きなせん断加重がかかり、長期間運転するとセットボルト35が折損する恐れもある。
【0006】
従来、この課題を解決するために、図13で示すように回転軸31に固定偏心錘32およびこれに隣接して可動偏心錘33を焼き嵌めし、可動偏心錘33を回転軸31から取り外す場合には、可動偏心錘33と回転軸31との嵌合部に油圧をかけて強制的に隙間37を作って取り外す方法(例えば、特許文献1参照)や、図14で示すように円錐状嵌合穴41aを有するガイド部材41に固定された偏心錘42およびガイド部材41の円錐状嵌合穴41aと回転軸31との嵌合部に打ち込まれる円錐台状の金具43からなるテーパロック型偏心錘44を、固定偏心錘32に隣接して取り付けるようにした構造が発明されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3472303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、図13で示す方法では、加振力を変更するために可動偏心錘33の位置を回転軸31から円周方向に移動させるためには可動偏心錘33と回転軸31との嵌合部に隙間を作らなければならず、そのためには嵌合部に圧油を供給する油圧装置38、油タンク39等の油圧機器およびこれらを接続する専用の油圧配管40を装備しておく必要があり、設備が大掛かりになるだけでなく、メンテナンスが複雑になり、手間もかかるという欠点がある。
【0009】
また、図14で示す方法では、テーパロック型偏心錘44はガイド41に金具43をハンマー等で打ち込むことにより回転軸31とテーパロック型偏心錘44とを固定させるようにしているが、金具43を毎回同じ力で打ち込むことは容易ではなく、十分に打ち込んだとしても運転中に振動で金具43が緩んで偏心錘44が回転軸31上を移動するため、本来の加振力が得られない可能性がある。
【0010】
そこで本発明は、上記課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、運転中に偏心錘の設定位置を維持することができ、加振力を変更するときは偏心錘の位置を容易に変えることができ、さらにメンテナンスに係わる手間や費用を低減することができる信頼性の高い消振機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1記載の発明は、振動源から発生する振動を相殺するための消振機であって、第1回転軸およびこの第1回転軸に固定されるとともに当該第1回転軸の回りにボルト穴を有する第1偏心錘からなる第1回転体と、前記第1回転軸と同一軸線上に配置された第2回転軸およびこの第2回転軸に固定されるとともに当該第2回転軸の回りにボルト穴を有する第2偏心錘からなる第2回転体と、前記第1偏心錘および前記第2偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第1起振ユニットを構成し、第3回転軸およびこの第3回転軸に固定されるとともに当該第3回転軸の回りにボルト穴を有する第3偏心錘からなる第3回転体と、前記第3回転軸と同一軸線上に配置された第4回転軸およびこの第4回転軸に固定されるとともに当該第4回転軸の回りにボルト穴を有する第4偏心錘からなる第4回転体と、前記第3偏心錘および前記第4偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第2起振ユニットを構成し、
前記第1起振ユニットと前記第2起振ユニットとを平行状態を保持して共通のハウジング内に設置し、一定方向に加振力を発生させるように前記第1起振ユニットおよび前記第2起振ユニットを同一の回転速度で互いに逆方向に回転させる動力伝達手段を設け、前記ハウジングに点検窓を設けて、当該点検窓から前記セットボルトの固定および取り外しを可能にしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、運転中に偏心錘の設定位置を維持することができ、加振力を変更するときは偏心錘の位置を容易に変えることができ、さらにメンテナンスに係わる手間や費用を低減することができる信頼性の高い消振機を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】一般的な消振機の斜視図であり、(a)は立軸形消振機、(b)は立軸形消振機の斜視図。
【図2】本発明の第1の実施形態に係る消振機の概念を表す断面図。
【図3】図2の消振機の主要部断面図。
【図4】図3のA−A矢視図。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る消振機の主要部断面図。
【図6】図5のB−B矢視図。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る消振機の主要部断面図。
【図8】図7のC−C矢視図。
【図9】本発明の第4の実施形態に係る消振機の主要部断面図。
【図10】図9のD−D矢視図。
【図11】本発明の第5の実施形態に係る消振機の概念を表す断面図。
【図12】従来の消振機用偏心錘の部分外観図。
【図13】従来の他の消振機用偏心錘の部分断面図。
【図14】従来の更に他の消振機用偏心錘の部分断面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。なお、各図を通して共通する部品や要素には同一符号または関連符号を付けて、重複する説明は適宜省略する。
【0015】
[第1の実施形態]
以下、図1ないし図4を参照して本発明の第1の実施形態について説明する。
図1は一般的な消振機を示す斜視図であり、(a)は大型船舶の船尾等に設置される立軸形の消振機であり、(b)は同じく大型船舶の船尾等に設置される横軸形消振機である。図2は、本発明の第1の実施形態に係る立軸形消振機の概念を表す断面図であり、図3は図2の消振機の主要部断面図、図4は図3のA−A矢視図である。
【0016】
まず、図1および図2を参照して本実施形態による立軸形の消振機の概要から説明する。
本実施形態による立軸形の消振機1は、後述するハウジング7の下部軸受ブラケットを兼用する取付けベース2の平面上に2個の下部軸受3および4を所定の間隔を隔てて設置しており、これらの下部軸受3および4により、鉛直状態に並行して配置される一対の起振ユニット(第1起振ユニット5および第2起振ユニット6からなる)の一方の端部である下端部を回転自在に支持するように構成されている。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の詳細構造については後に図3および4で説明する。
【0017】
そして、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の他方の端部である上端部は、前記取付けベース2の平面上に伏せるようにして配置されたカップ形のハウジング7の上端部である、上部軸受ブラケット71によって支持された2個の上部軸受8および9で回転自在に支持されるようになっている。
【0018】
各軸受のうち、下部軸受3および4はラジアル荷重およびアキシャル荷重を支持する形態の軸受で構成され、一方、上部軸受8および9はラジアル荷重を支持する形態の軸受で構成されている。
【0019】
前記ハウジング7は、その開口端部72をボルト等の固着手段により取付けベース2上に固定されるようになっており、また、外周壁面73には後述する目的のために2個の点検窓10および11を設けている。点検窓10および11は、通常時点検蓋12および13で塞ぐようにしている。
【0020】
前記第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は、ハウジング7の上部軸受ブラケット71の内壁に隣接して動力伝達手段としてのギア14および15をそれぞれ嵌合固定している。これらのギア14および15は、互いに同じ歯数を有して噛み合うようになっており、同一回転速度で逆方向に回転する。16は第1起振ユニット5の上部の軸端部に固定したプーリーであり、図示しないベルトを介して駆動モータの動力を第1起振ユニット5に伝えるようになっている。17は上部軸受9の軸受端板である。
【0021】
図示しない駆動モータの動力がプーリー16を介して第1起振ユニット5に伝達されると、第1起振ユニット5が回転し、同時にギア14および15を介して第2起振ユニット6も回転する。この場合、第1起振ユニット5の回転方向と第2起振ユニット6の回転方向とは逆方向であるため、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の回転によってそれぞれ生じた加振力は合成されて主エンジンの振動に共振する船体2次振動を打ち消す方向のみとなるようになっている。
【0022】
次に、図3および図4を参照して前記第1起振ユニット5および第2起振ユニット6の一例について詳細に説明する。
【0023】
以下、図3の左半部で示す第1起振ユニット5から説明する。
第1起振ユニット5は、取付けベース2上に設置された下部軸受3によって鉛直状態で回転自在に支持される第1回転軸51と、この第1回転軸51に焼き嵌め等で固定された扇形の第1偏心錘52と、前記第1回転軸51の軸線と同一軸線上に配置されると共にハウジング7の上部軸受ブラケット71に支持された上部軸受8によって回転自在に支持される第2回転軸53と、この第2回転軸53に焼き嵌め等で固定された扇形の第2偏心錘54と、これら第1偏心錘52および第2偏心錘54の側面を密着させて固定する固定部材、例えばセットボルト55とから構成されている。ここで、第1回転軸51および第1偏心錘52からなる組立部を第1回転体5Aと称し、第2回転軸53および第2偏心錘54からなる組立部を第2回転体5Bと称する。
【0024】
第1起振ユニット5は、図3のようにセットボルト55によって第1偏心錘52および第2偏心錘54の相互間が固定されている状態では、第1回転軸51および第1偏心錘52からなる第1回転体5Aと、第2回転軸53および第2偏心錘54からなる第2回転体5Bとが機械的に一体的に構成された状態となり、両端部の第1回転軸51および第2回転軸53はそれぞれ下部軸受3および上部軸受8によって回転自在に支持される。ところが、セットボルト55を外して第1偏心錘52および第2偏心錘54の相互間を固定していない状態では、第1回転体5Aと第2回転体5Bとは上下に機械的に分離されるので、それぞれ下部軸受3、上部軸受8によって自由に回転することが可能になる。
【0025】
第1偏心錘52および第2偏心錘54には、図4で示すようにそれぞれ第1回転軸51および第2回転軸53に嵌合するための軸貫通穴を囲繞するようにそれぞれフランジ部52Fおよび54Fを形成しており、しかも、このフランジ部52Fおよび54Fには軸貫通穴の周りに円周方向にほぼ均等な角度(θ)で前記セットボルト55をねじ込むためのボルト穴52Hを複数個設けており、θの整数倍の角度だけ何れか一方の偏心錘を移動させた状態で固定することができるように構成されている。
【0026】
図3の右半部で示す第2起振ユニット6は、上述した第1起振ユニット5と同一構成なので、第1起振ユニット5に用いた部品に対応する部品には符号6および添字A、B、1〜5で対応させることにより詳細な説明は省略するが、第1起振ユニット5側と区別する意味で、6Aを第3回転体、61を第3回転軸、62を第3偏心錘、そして6Bを第4回転体、63を第4回転軸、64を第4偏心錘としてそれぞれ呼称する。
【0027】
次に本実施形態に係る消振機の作用について説明する。
本実施形態に係る立軸形の消振機1は、第1偏心錘52および第2偏心錘54の重心の相対位置を決めて第1回転体5Aと第2回転体5Bとをセットボルト55によって固定し、この状態において図示しない駆動モータによりプーリー16を介して第1起振ユニット5を回転駆動すると、ギア14および15を介して第2起振ユニット6が第1起振ユニット5の回転方向とは逆方向に駆動される。第1起振ユニット5および第2起振ユニット6はハウジングの下部軸受けブラケットを兼ねた共通の取り付けベース2上に設置されているので、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6にそれぞれ発生する加振力は合成され、この合成された加振力によって船舶の主エンジンの振動に共振する船体2次振動を打ち消すことができる。
【0028】
そして、消振機1の出力である加振力を変更する場合には、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6に設けられている2つの偏心錘(第1偏心錘52および第2偏心錘54)の一方をθの整数倍の角度だけ回転方向に移動させることによって実現できる。
【0029】
以下、消振機1の加振力を変更する場合について説明する。
まず、ハウジング7の外周壁面73に設けてある点検窓10の点検蓋12を外し、点検窓10からスパナ等の工具を使って第1起振ユニット5のセットボルト55を緩めて取り外し、第1偏心錘52および第2偏心錘54の固定状態を解く。これによって第1回転体5Aおよび第2回転体5Bは互いに自由になり、下部軸受3および上部軸受8によってそれぞれの自由に回転できるようにする。このとき、プーリー16を上から引っ張った状態にして第1偏心錘52および第2回転軸53の突合せ面に作用している荷重を取り除くようにすれば、第1回転体5Aあるいは第2回転体5Bを弱い力でも容易に回転することができる。
【0030】
このようにして、第1回転体5Aおよび第2回転体5Bが相互に自由に回転できる状態で第1偏心錘52と第2偏心錘54との相対的な位置、すなわち第1偏心錘52および第2偏心錘54の重心の位相差を所望な角度(θの倍数)まで移動させる。移動させた後に再びセットボルト55をねじ込んで固定する。
【0031】
この状態では、第1回転体5Aの第1偏心錘52と第2回転体5Bの第2偏心錘54とは、セットボルト55の軸力によって互いに押しつけ合っているのでフランジ部52Fおよび54Fに発生する摩擦力によって第1回転軸51および第2回転軸53同士が一体的に固定される。この結果、消振機1の運転中に第1回転体5Aと第2回転体5Bとの結合状態が緩むことはなく、セットした状態を維持することができる。
【0032】
第2起振ユニット6についても同様にして、ハウジング7の外周壁面73に設けてある点検窓11の点検蓋13を外し、点検窓11からスパナ等の工具を使って第2起振ユニット6のセットボルト65を緩めて取り外し、第3偏心錘62および第4偏心錘64の固定状態を解くことによって、第3回転体6Aおよび第4回転体6Bを自由にし、第3回転体6A、第4回転体6Bを下部軸受4および上部軸受9によってそれぞれ自由に回転できるようにする。
【0033】
このようにして、第3回転体6Aおよび第4回転体6Bが相互に自由に回転できる状態で第3偏心錘62と第4偏心錘64との相対的な位置、すなわち第3偏心錘62および第4偏心錘64の重心の位相差を所望な角度(θの倍数)まで移動させる。移動させた後に再びセットボルト65をねじ込んで固定する。
【0034】
この状態では、第3回転体6Aの第3偏心錘62と第4回転体6Bの第4偏心錘64とは、セットボルト65の軸力によって互いに押しつけ合っているのでフランジ部62Fおよび64Fに発生する摩擦力によって第3回転軸61および第4回転軸63同士が一体的に固定される。この結果、消振機1の運転中に第3回転体6Aと第4回転体6Bとの結合状態が緩むことはなく、セットした状態を維持することができる。
【0035】
以上述べたように、第1の実施形態によれば、第1回転軸51と第1偏心錘52、第2回転軸53と第2偏心錘54、第3回転軸61と第3偏心錘62、第4回転軸63と第4偏心錘64は、それぞれ焼き嵌めによって強固に固定され、かつ、第1偏心錘52と第2偏心錘53間、第3偏心錘62と第4偏心錘63間はセットボルト55、65の軸力によって密着して固定されるので、セットボルト55、65には折損事故を招くような直角方向に大きなせん断加重が作用する恐れはなく、信頼性の高い消振機を提供することができる。
【0036】
さらに、消振機1の加振力を変更する場合は、ハウジング7の外周壁面73に設けた点検窓10から第1回転体5Aの第1偏心錘52と第2回転体5Bの第2偏心錘54とを締結しているセットボルト55を緩め、同様に点検窓11から第3回転体6Aの第3偏心錘62と第4回転体6Bの第4偏心錘64とを固定しているセットボルト65を緩めることによって第1偏心錘52の重心位置と第2偏心錘54の重心の位相角、第3偏心錘62の重心位置と第4偏心錘64の重心の位相角を容易に変えることができるので、油圧装置を使用する従来方法に比べてメンテナンスに係わる手間や費用を低減した経済的な消振機を提供することができる。
【0037】
[第2の実施形態]
以下、図5および図6を参照して本発明の第2の実施形態について説明する。
図5は、本発明の第2の実施形態に係る消振機の主要部断面図であり、図6は図5のB−B矢視図である。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は同一構造なので、以下は第1起振ユニット5を代表して説明する。
【0038】
本実施形態に係る消振機1は、図5に示すように第1起振ユニット5の第1回転軸51および第2回転軸53の突合せ部にインロー部20を設け、このインロー部20によって第1回転軸51および第2回転軸53を嵌合するように構成したものであり、その他は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0039】
以上述べたように、第2の実施形態によれば、第1回転軸51および第2回転軸53の突合せ部にインロー部20が存在することにより、第1の実施形態の奏する作用効果に加えて、第1回転体5Aおよび第2回転体5Bを組み立てる際の芯だし作業が容易になるという特長がある。
【0040】
[第3の実施形態]
以下、図7および図8を参照して本発明の第3の実施形態について説明する。
図7は、本発明の第3の実施形態に係る消振機の主要部断面図であり、図8は図7のC−C矢視図である。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は同一構造なので、以下は第1起振ユニット5を代表して説明する。
【0041】
本実施形態に係る消振機1は、図7に示すように第1起振ユニット5の第1偏心錘52および第2偏心錘54の軸貫通穴の周りのフランジ部の突合せ部にインロー部21を設けており、このインロー部21によって第1偏心錘52および第2偏心錘54を嵌合したものであり、その他は第1の実施形態と同じなので説明を省略する。
【0042】
以上述べたように、第3の実施形態によれば、第1偏心錘52および第2偏心錘54の突合せ部にインロー部21を設けたことにより、第2の実施形態と同様の作用効果を奏することができる。
【0043】
[第4の実施形態]
以下、図9および図10を参照して本発明の第4の実施形態について説明する。
図9、本発明の第4の実施形態に係る消振機の主要部断面図であり、図10は図9のD−D矢視図である。なお、第1起振ユニット5および第2起振ユニット6は同一構造なので、以下は第1起振ユニット5を代表して説明する。
【0044】
本実施形態に係る消振機1は、図9に示すように第1偏心錘52と第2偏心錘54との接する部分をフランジ部52Fおよび54Fのみとし、それ以外の部分が接しないように段差22を付けている。
【0045】
本実施形態では、第1偏心錘52および第2偏心錘54間に段差22による隙間23を形成するようにしたことで、フランジ部52Fおよび54Fの当接面積を小さくすることができる。このため、セットボルト55の軸力によってフランジ部52Fおよび54Fに発生する圧力が増加し、フランジ部52Fおよび54Fに発生する摩擦力が増加するため、より強固に第1回転体5Aと第2回転体5Bとを固定することができる。
【0046】
また、隙間23に治具等を差し込むことができるので、第1起振ユニット5を第1回転体5Aと第2回転体5Bとを分割する際、隙間23に治具等を差し込むことにより容易に分割が可能となる。
以上述べたように、第4の実施形態によれば、第1の実施形態の奏する作用効果に加え、第1回転体5Aと第2回転体5Bとの分割を容易に行うことができるという特長がある。
【0047】
[第5の実施形態]
以下、図11を参照して本発明の第5の実施形態について説明する。
上述した第1の実施形態ないし第4の実施形態では、取り付けベース2の上面から第1起振ユニット5の第1偏心錘52および第2偏心錘54の結合部分までの高さと、第2起振ユニット6の第1偏心錘62および第2偏心錘64の結合部分までの高さを同一にしたが、本実施形態は図11で示すように第1起振ユニット5の第1偏心錘52および第2偏心錘54の結合部分の高さ(軸方向の位置)を、第2起振ユニット6の第3偏心錘62および第4偏心錘64の結合部分の高さ(軸方向の位置)よりも高くしたものである。
【0048】
なお、本実施形態の場合、第2偏心錘54がハウジング7の上部軸受ブラケット71の内壁近くまで接近する関係でギア14および15をハウジング7外部のプーリー16側に移し、ギアカバー24で覆うようにするとともに、第1起振ユニット5側のセットボルト55の向きを第1の実施形態ないし第4の実施形態のセットボルト55とは逆に上向きにすることによって、セットボルト55の取り外し作業を容易に行えるように構成している。
【0049】
第5の実施形態の場合、第1起振ユニット5の偏心錘の軸方向の位置と、第2起振ユニット6の偏心錘の軸方向の位置とを相対的にずらせるようにした関係で消振機1の高さは高くなるが、第1起振ユニット5の回転軸51、54の中心軸と第2起振ユニット6の回転軸61、64の中心軸とを近づけることができるので、第1の実施形態ないし第4の実施形態に比べ、消振機1の平面積を小さくすることができる。
【0050】
[第6の実施形態]
上述した第1の実施形態ないし第5の実施形態では、取り付けベース2の上面に第1起振ユニット5と第2起振ユニット6とを鉛直状態で互いに平行に配設したが、本発明は図1(b)に記載した横軸形の消振機にも適用できる。
【0051】
この横軸形消振機は、内部構造については特に図示していないが、一般的な横軸型電動機と同様に、筒状のハウジングの左右の端面に軸受ブラケットを取り付け、水平位置に並行配置した第1起振ユニット5と第2起振ユニット6とを両側の軸受ブラケットによって回転自在に支持するように構成したものである。
この第6の実施形態においても、第1の実施形態と同様にエンジン等の振動源から発生する振動を相殺することができる。
【符号の説明】
【0052】
1…消振機、2…取り付けベース(下部軸受ブラケット兼用)、3…下部軸受、4…下部軸受、5…第1起振ユニット、5A…第1回転体、5B…第2回転体、51…第1回転軸、52…第1偏心錘、53…第2回転軸、54…第2偏心錘、55…セットボルト、52F、54F…フランジ部、6…第2起振ユニット、6A…第1回転体、6B…第2回転体、61…第1回転軸、62…第1偏心錘、63…第2回転軸、64…第2偏心錘、65…セットボルト、7…ハウジング、71…ハウジング上端面(上部軸受ブラケット)、72…ハウジング開口端部、73…ハウジング外周壁面、8…上部軸受、9…上部軸受、10…点検窓、11…点検窓、12…点検蓋、13…点検蓋、14…ギア、15…ギア、16…プーリー、17…軸受端板、20…インロー部、21…インロー部、22…段差、23…隙間、24…ギアカバー。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
振動源から発生する振動を相殺するための消振機であって、
第1回転軸およびこの第1回転軸に固定されるとともに当該第1回転軸の回りにボルト穴を有する第1偏心錘からなる第1回転体と、前記第1回転軸と同一軸線上に配置された第2回転軸およびこの第2回転軸に固定されるとともに当該第2回転軸の回りにボルト穴を有する第2偏心錘からなる第2回転体と、前記第1偏心錘および前記第2偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第1起振ユニットを構成し、
第3回転軸およびこの第3回転軸に固定されるとともに当該第3回転軸の回りにボルト穴を有する第3偏心錘からなる第3回転体と、前記第3回転軸と同一軸線上に配置された第4回転軸およびこの第4回転軸に固定されるとともに当該第4回転軸の回りにボルト穴を有する第4偏心錘からなる第4回転体と、前記第3偏心錘および前記第4偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第2起振ユニットを構成し、
前記第1起振ユニットと前記第2起振ユニットとを平行状態を保持して共通のハウジング内に設置し、
一定方向に加振力を発生させるように前記第1起振ユニットおよび前記第2起振ユニットを同一の回転速度で互いに逆方向に回転させる動力伝達手段を設け、
前記ハウジングに点検窓を設けて、当該点検窓から前記セットボルトの固定および取り外しを可能にしたことを特徴とする消振機。
【請求項2】
前記第1回転体と前記第2回転体との突合せ部、および前記第3回転体と前記第4回転体との突合せ部にインロー部を形成し、当該インロー部によって対向する回転体間を互いにインロー嵌め合にしたことを特徴とする請求項1記載の消振機。
【請求項3】
前記第1偏心錘と第2偏心錘、および第3偏心錘と第4偏心錘がそれぞれ接する部分をフランジ部のみとし、当該フランジ部以外の部分に隙間を形成することを特徴とする請求項1または2記載の消振機。
【請求項4】
前記第1起振ユニットの偏心錘の軸方向の位置と、第2起振ユニットの偏心錘の軸方向の位置とを相対的にずらせて共通のハウジング内に設置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の消振機。
【請求項5】
前記第1起振ユニットおよび第2起振ユニットを平行状態を保持してハウジング内に鉛直状態に設置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消振機。
【請求項6】
前記第1起振ユニットおよび第2起振ユニットを平行状態を保持してハウジング内に水平状態に設置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消振機。
【請求項1】
振動源から発生する振動を相殺するための消振機であって、
第1回転軸およびこの第1回転軸に固定されるとともに当該第1回転軸の回りにボルト穴を有する第1偏心錘からなる第1回転体と、前記第1回転軸と同一軸線上に配置された第2回転軸およびこの第2回転軸に固定されるとともに当該第2回転軸の回りにボルト穴を有する第2偏心錘からなる第2回転体と、前記第1偏心錘および前記第2偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第1起振ユニットを構成し、
第3回転軸およびこの第3回転軸に固定されるとともに当該第3回転軸の回りにボルト穴を有する第3偏心錘からなる第3回転体と、前記第3回転軸と同一軸線上に配置された第4回転軸およびこの第4回転軸に固定されるとともに当該第4回転軸の回りにボルト穴を有する第4偏心錘からなる第4回転体と、前記第3偏心錘および前記第4偏心錘の前記ボルト穴にねじ込まれて両者を一体的に固定する取り外し可能なセットボルトと、から第2起振ユニットを構成し、
前記第1起振ユニットと前記第2起振ユニットとを平行状態を保持して共通のハウジング内に設置し、
一定方向に加振力を発生させるように前記第1起振ユニットおよび前記第2起振ユニットを同一の回転速度で互いに逆方向に回転させる動力伝達手段を設け、
前記ハウジングに点検窓を設けて、当該点検窓から前記セットボルトの固定および取り外しを可能にしたことを特徴とする消振機。
【請求項2】
前記第1回転体と前記第2回転体との突合せ部、および前記第3回転体と前記第4回転体との突合せ部にインロー部を形成し、当該インロー部によって対向する回転体間を互いにインロー嵌め合にしたことを特徴とする請求項1記載の消振機。
【請求項3】
前記第1偏心錘と第2偏心錘、および第3偏心錘と第4偏心錘がそれぞれ接する部分をフランジ部のみとし、当該フランジ部以外の部分に隙間を形成することを特徴とする請求項1または2記載の消振機。
【請求項4】
前記第1起振ユニットの偏心錘の軸方向の位置と、第2起振ユニットの偏心錘の軸方向の位置とを相対的にずらせて共通のハウジング内に設置したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか1項に記載の消振機。
【請求項5】
前記第1起振ユニットおよび第2起振ユニットを平行状態を保持してハウジング内に鉛直状態に設置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消振機。
【請求項6】
前記第1起振ユニットおよび第2起振ユニットを平行状態を保持してハウジング内に水平状態に設置したことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか1項に記載の消振機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−137111(P2012−137111A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−287817(P2010−287817)
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【出願人】(000195959)西芝電機株式会社 (172)
【Fターム(参考)】
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