説明

消毒剤製剤

本発明は、間接的な食物接触用途のための安定で有効な消毒剤製剤に関する。該製剤は、(a)ビグアナイド、モノグアナイド及びこれらの組合せからなる群から選択される抗菌活性剤、(b)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、及び(c)アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩、アルコキシ化アルコール及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を含む。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(ADBAC)及び塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)などの四級アンモニウム化合物が、家庭用並びに産業・業務用(I&I)消毒剤製剤に使用するための有効な抗菌剤であることは公知である。例をあげると、米国特許第5,000,867号は、食物産業用装置の現場での洗浄における使用のための、0.01〜5%の四級アンモニウム抗菌剤及び0.01〜25%のグアニジン抗菌剤を、1種又は複数の有機酸及び1種又は複数の無機酸と共に含む、消毒組成物を開示している。
【0002】
米国特許第5,529,713号は、エトキシル化脂肪族アルコール、共界面活性剤、イソプロピルアルコール、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩、塩化ジデシルジメチルアンモニウム、及び塩化ベンザルコニウムを含む、家庭用使用のための洗浄用・消毒組成物を開示している。殺生物剤は1から40%の量で存在する。
【0003】
米国特許出願第20030100465号は、カチオン性殺生物剤、界面活性剤及びポリマーを含む、硬い表面を洗浄するように適応させた洗浄用組成物を開示しており、カチオン性殺生物剤には、四級アンモニウム化合物、ビグアナイド化合物及びこれらの混合物が含まれる。
【0004】
四級アンモニウム化合物は、広範囲の用途において有用であると判明している一方で、家庭用、産業用及び業務用の間接的食物接触用途におけるそれらの使用は、これらの化合物の最大許容使用レベルに対する規制制限のために制限されている。例えば、EPA40CFR180.940は、ADBACに対して活性成分200ppmの上限、及びDDACに対して活性成分240ppmの上限を挙げている。そのような低レベルでは、通常、これらの四級アンモニウム化合物は、その使用目的に対して有効ではない。加えて、これらの四級アンモニウム化合物は、使用の柔軟性の点においても制限されている。したがって、有効であり、柔軟性があり、費用効率が高い家庭用の間接的食物接触用途に対して、代替の消毒剤製剤が求められている。本発明は、そのような代替物を提供する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様において、本発明は、(a)ビグアナイド、モノグアナイド及びこれらの組合せからなる群から選択される抗菌活性剤、(b)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、並びに(c)アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩、アルコキシ化アルコール及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物、を含む消毒剤製剤に関する。好ましい成分(a)は、ポリヘキサメチレンビグアナイド又はその塩である。
【0006】
この製剤において、成分(a)は、約25から約110ppm(好ましくは約35ppmから約75ppm)の量で存在し、成分(b)は、約20から約125ppm(好ましくは約50ppmから約100ppm)の量で存在する。加えて、成分(a)及び成分(b)は、重量比で、約1:5から約2.5:1の間(好ましくは約1:2から約1:1の間)の範囲で存在する。存在する場合、アルコキシ化アルコールは、約35ppmから約200ppm(好ましくは約105ppmから約125ppm)の量で存在し、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、約20ppmから約65ppm(好ましくは約50ppmから約60ppm)の量で存在する。
【0007】
別の態様では、本発明は、水で希釈すると上記の実施形態において規定されているようなすぐに使用できる消毒剤製剤が得られる、消毒剤製剤濃縮物に関する。濃縮物は、約0.64%から約3.84%の成分(a)、約0.55%から約5.12%の成分(b)を含む。濃縮物においては、成分(a)及び成分(b)は、重量比で、約1:5から約2.5:1の間(好ましくは約1:2から約1:1)の範囲で存在する。
【0008】
さらに別の態様では、本発明は、食物と間接的に接触していることがある表面を消毒するための方法に関する。この方法は、消毒剤製剤濃縮物を用意するステップ、すぐに使用できる抗菌に有効な消毒剤製剤を得るために消毒剤製剤濃縮物を希釈するステップ、及びすぐに使用できる消毒剤製剤を消毒すべき表面に接触させるステップを含む。
【0009】
これらの及び他の態様は本発明の以下の詳細な説明を読むことにより明らかとなろう。
【発明を実施するための形態】
【0010】
驚くべきことに、本発明によれば、(a)ビグアナイド、モノグアナイド及びこれらの組合せからなる群から選択される抗菌活性剤、(b)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、及び(c)アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩、アルコキシ化アルコール及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物、を含む消毒剤製剤が、殺生物剤として、成分(a)又は成分(b)又は成分(c)のみを含む製剤よりも、増強された抗菌効力を示すことが、いまや見出された。本発明者らはまた、消毒剤製剤が成分(a)及び成分(b)を適切な重量比で含む場合、本発明の製剤は、成分(b)を政府規制により課せられている最大使用レベル未満の量で含み得るが、同時に、家庭用、産業用及び業務用の間接的食物接触用途における使用に対して有効な効力を達成し得ることも見出した。
【0011】
本発明による消毒剤製剤の成分(a)は、ビグアナイド、モノグアナイド及びこれらの組合せからなる群から選択される。ビグアナイドは、米国出願第2005/0014670号に開示されている。好ましくは、ビグアナイドは、少なくとも1個のメチレン基を含む架橋基で連結された式(1)の少なくとも2つのビグアナイド単位を含む。
【化1】


架橋基は、好ましくはポリメチレン鎖を含み、任意選択で、酸素、硫黄、又は窒素などのヘテロ原子の1個又は複数が組み込まれるか又はそれによって置換されている。架橋基は、1個又は複数の、飽和又は不飽和の環状部分を含んでもよい。好ましくは、架橋基では、式(1)の2つの隣接ビグアナイド単位の間に、少なくとも3個、特に少なくとも4個の炭素原子が直接介在している。好ましくは、式(1)の隣接する2つのビグアナイド単位の間に、10個以下、特に8個以下の炭素原子が介在している。
【0012】
ポリマー性ビグアナイドは、ヒドロカルビル基、置換ヒドロカルビル基、アミン基、又は式(2)のシアノグアニジン基、などの任意の好適な基を末端としてもよい。
【化2】

【0013】
末端基がヒドロカルビルである場合、アルキル、シクロアルキル、アリール、又はアラルキルであることが好ましい。ヒドロカルビル基がアルキルである場合、線状又は分岐状でもよいが、好ましくは線状である。好ましいアルキル基には、C1〜8アルキルが含まれる。好ましいアルキル基の例には、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ペンチル,n−ブチル、イソブチル、tert−ブチル及びn−オクチルが含まれる。
【0014】
ヒドロカルビル基がシクロアルキルである場合、シクロプロピル、シクロペンチル又はシクロヘキシルであることが好ましい。ヒドロカルビル基がアラルキルである場合、アリール基とビグアナイドをつないでいるアルキレン基中に、好ましくは1から6個、より好ましくは1又は2個の炭素原子を含む。好ましいアラルキル基には、べンジル及び2−フェニルエチル基が含まれる。好ましいアリール基には、フェニル基が含まれる。
【0015】
末端基が置換ヒドロカルビルである場合、置換基は、ポリマー性ビグアナイドの微生物学的な特性に好ましくない副作用を示さないいかなる置換基であってもよい。そうした好適な置換基の例は、アリールオキシ、アルコキシ、アシル、アシロキシ、ハロゲン、及びニトリルである。
【0016】
ポリマー性ビグアナイドが、式(1)のビグアナイド基を2個含む場合、ビグアナイドはビスビグアナイドである。2個のビグアナイド基は、好ましくはポリメチレン基で、特にヘキサメチレン基で、連結されている。
【0017】
ポリマー性ビグアナイドは、好ましくは式(1)のビグアナイド単位を3個以上含み、好ましくは式(3)で表される繰返しポリマー鎖又はその塩を有する線状ポリマー性ビグアナイドである。
【化3】


ここで、d及びeは、同じであっても異なっていてもよい架橋基を表し、dによって連結されている窒素原子対の間に直接介在する炭素原子の個数と、eによって連結されている窒素原子対の間に直接介在する炭素原子の個数との合計が、合わせて9を超え17未満である。
【0018】
架橋基d及びeは、好ましくはポリメチレン鎖からなり、任意選択で、例えば、酸素、硫黄、又は窒素などのヘテロ原子で割り込まれていてもよい。d及びeはまた、飽和又は不飽和であってもよい部分を組み込んでいてもよい。この場合、d及びeによって連結されている窒素原子対の間に直接介在する炭素原子の個数は、1個又は複数の環状基の最短である当該セグメントを含むものとする。したがって、次式の基において、窒素原子の間に直接介在する炭素原子の個数は、4であり、8ではない。
【化4】

【0019】
式(3)の繰返しポリマー単位を有する線状ポリマー性ビグアナイドは、典型的には、それらポリマー鎖が異なる長さであるポリマーの混合物として得られる。好ましくは、式(4a)及び(4b)の個々のビグアナイド単位の数は、両者を合わせて3から約80である。
【化4a】


【化4b】

【0020】
好ましい線状ポリマー性ビグアナイドは、dとeは同じであり、及び個々のポリマー鎖が、末端基を除いて、式(5)又はその塩であるポリマー鎖の混合物である。
【化5】


ここで、nは4から20、そして特に4から18である。nの平均値が約12であることが特に好ましい。好ましくは、ポリマーの平均分子量は遊離塩基形で、1100から4000である。
【0021】
好ましくは、ポリマー性ビグアナイドは塩の形態である。好ましい塩は有機酸又は無機酸との塩であり、特に水溶性の塩であり、例えば、塩酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩又はリン酸塩である。
【0022】
線状ポリマー性ビグアナイドは、米国特許出願公開第2005/0014670号に開示されている方法により調製され得る。
【0023】
PMGは、好ましくは式(6)の基及び/又は式(7)の基又はこれらの塩を複数含む。
【化6】


【化7】


式中、それぞれのmは、独立に、0又は1であり、それぞれのZは、独立に、C2〜18のヒドロカルビル基であり、A及びBは合わせて合計18個の炭素原子を含むヒドロカルビル基であり、それぞれのRは、独立に、水素、場合により置換されているアルキル又は場合により置換されているアルコキシである。好ましくはそれぞれのmは0である。
【0024】
Z、A及びBで表される、PMG中のヒドロカルビル基は、場合によっては、1個又は複数のヘテロの原子又は基により割り込まれており、場合によっては、水素以外の1個又は複数の置換基を有する。割り込んだ好ましい原子及び置換基は、−O−、−S−、−NH−、−C(=O)−及びフェニレンである。好ましい任意選択の置換基は、ヒドロキシ、C1〜4アルコキシ、ハロ、特にクロロ又はブロモ、ニトロ、アミノ、置換アミノ並びに酸基、特にカルボキシ、スルホ及びホスファトである。
【0025】
好ましくは、Zで表される、PMG中のヒドロカルビル基は、C2〜18のアルキレン(より好ましくはC4〜16のアルキレン、特にC6〜12のアルキレン、より特には、Cのアルキレン)、C3〜12のアリーレン、より好ましくはC6〜10のアリーレン、特にフェニレン又はナフチレン、C7〜12のアラキレン(より好ましくはC7〜11のアリーレン、特にベンジレン又はキシリレン)、又はこれらの組合せであり、場合によっては、1種又は複数の−O−、−S−、−NH−又は−C(=O)−基で割り込まれている。
【0026】
好ましくは、A及びBで表されるヒドロカルビル基は、それぞれ独立に、C2〜6のアルキレン、場合によっては、A及びBが、全体で3から12個の炭素原子、好ましくは3から6個の炭素原子、より好ましくは3又は4個の炭素原子を含むという条件下で、1種又は複数の−O−、−S−、−NH−又は−C(=O)−基で割り込まれている。特に好ましい実施形態では、A又はBの1方は、−CH−又は−(CH−で、他方は−(CH−であり、より特には、A及びBは共に−(CH−である。
【0027】
Zで表される好ましいヒドロカルビル基の例には、−CHCH−、−CHOCOCH−、−CHOC10OCH−、−(CHO(CH−及び−(CHS(CH−が含まれる。
【0028】
Zで表される特に好ましいヒドロカルビル基の例には、−(CH−、−(CH−、−(CH12−、−CHCH(−CH)(CHCH、1,4−、2,3−及び1,3−ブチレン、2,5−ヘキシレン、2,7−ヘプチレン及び3−メチル−1,6−ヘキシレンが含まれる。
【0029】
Zで表される全ての基は同一であり、C4〜16のアルキレン、より好ましくはC4〜12のアルキレン、特にC4〜8のアルキレン、より特には1,6ヘキシレンであることが好ましい。
【0030】
好ましくは、それぞれのRは、独立に、H、C1〜4アルキル、C1〜4アルコキシ、又はC1〜4アルコキシ−OHであり、より好ましくはH又はメチル、特に、Hである。
【0031】
好ましくは、PMGは本質的に式(6)の基からなる。
【0032】
好ましくは、Rで表される全ての基は同一である。より好ましくはRで表される全ての基はHである。
【0033】
PMG上の末端基の性質は、非常に重要であるとは考えられていない。PMG上の好ましい末端基はアミノ及びグアニジノである。
【0034】
上記の好ましさの観点からは、PMGは、式(8)の基又はその塩を1種又は複数含むのが好ましい。
【化8】


式中、nは2から50、好ましくは3から25である。
【0035】
好ましくは、PMGは塩の形態である。好ましい塩は有機酸又は無機酸との塩であり、特に水溶性の塩、例えば、塩酸塩、グルコン酸塩、酢酸塩又はリン酸塩である。
【0036】
PMGは、グアニジン塩酸塩と、例えば、式HN−Y−NH、HN(−A−)(−B−)NHのジアミン又はそのようなジアミンの混合物との反応により調製し得るが、式中、Z、A及びBは上記で定義したものである。
【0037】
PMGはまた、式(6)及び(7)の繰返し単位以外の少量の繰返し単位を含み得ると理解されたい。しかし、PMGは、式(6)及び/又は(7)の繰返し単位並びに末端基から本質的になるか又はこれらからなるのが好ましい。
【0038】
例には、韓国のSK Corpから入手し得る、SKAN B(商標)などのポリヘキサメチレンモノグアナイド、及びオーストリアのPOCから入手し得る、Akacid(商標)などのポリ(オキシエチレン)グアナイド塩酸塩が含まれる。
【0039】
非ポリマー性モノグアナイドの適切な例には、n−ドシルグアナイド塩酸塩が含まれる。
【0040】
好ましい実施形態においては、成分(a)は、ポリヘキサメチレンビグアナイド又はその塩である。一実施形態では、成分(a)は、ポリヘキサメチレンビグアナイド塩酸塩である。
【0041】
本発明の消毒剤製剤の成分(b)は、ジアルキルジメチルアンモニウム塩である。アルキル基は、直鎖、分岐鎖及び/又は環状鎖の基である。これらは同じでも異なっていてもよい。例示的な塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、亜硝酸塩、低級アルキル硫酸塩、炭酸塩及び/又はアルキルカルボン酸塩である。好ましい成分(b)は塩化ジデシルジメチルアンモニウムである。
【0042】
本発明の消毒剤製剤の成分(c)は、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩、アルコキシ化アルコール及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物である。成分(c)は、消毒剤製剤を安定化させるために使用され、さらに本発明の製剤の効力を増強する。
【0043】
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩及びアルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩は、特に制限されない。こうした塩は、ハロゲン化物、酢酸塩、亜硝酸塩、低級アルキル硫酸塩、炭酸塩及び/又はアルキルカルボン酸塩でもよい。一実施形態では、塩は、塩化物塩である。
【0044】
本発明の消毒剤製剤のための使用に適切なアルコキシ化アルコールの例には、脂肪族(C〜C20、好ましくはC〜C16)一級若しくは二級の直鎖若しくは分岐鎖のアルコール、又はフェノールと、アルキレンオキシド、好ましくはエチレンオキシド又はプロピレンオキシド、最も好ましくはエチレンオキシドとの縮合生成物であって、一般に、15から80個、好ましくは16から80個、より好ましくは20個まで又は20から80個、最も好ましくは20から50個のアルキレンオキシド基を有する縮合生成物が含まれる。明確にするために述べるが、アルキレンオキシド基は、親水性の繰返し単位である。
【0045】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、非イオン性界面活性剤(ii)は、式(I): R−(−O−CH−CH−OH のエトキシル化脂肪族アルコールであり、式中、Rは、8から16個の炭素原子を有するヒドロカルビル鎖であり、平均のエトキシル化度nは、15から50、好ましくは20から50である。
【0046】
ヒドロカルビル鎖は、好ましくは飽和であり、好ましくは10から16個の炭素原子を含み、より好ましくは12から15個の炭素原子を含む。鎖長に幅のある市販品においては、これらの数値は平均値を表す。ヒドロカルビル鎖は直鎖でも分岐鎖でもよい。
【0047】
アルコールは天然原料からのものでも合成原料からのものでもよい。好ましいアルコールの原料はココナッツであり、主としてC12〜C14及びオキソC12〜C15アルコールである。
【0048】
平均のエトキシル化度は、15から50、好ましくは16から50、より好ましくは20から50、最も好ましくは25から40の範囲である。
【0049】
好ましい材料は、平均のアルキル鎖長がC12〜C16であり、平均のエトキシル化度が16から40、より好ましくは25から40である。
【0050】
好ましい実施形態においては、アルコキシ化アルコールはトリメチルノニルポリエチレングリコールエーテルである。
【0051】
本発明の消毒剤製剤中に非イオン性界面活性剤が存在することは任意選択にすぎない。成分(a)、成分(b)及びジデシルジメチルアンモニウム塩、を含む消毒剤製剤は、界面活性剤が全く存在しなくても安定であることが見出された。このことは驚くべきことである。なぜならアルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は一般に殺生物剤として公知だからである。成分(a)及び成分(b)を含む製剤を安定化させるその能力は、以前には開示されていなかったことである。アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩の殺生物剤及び安定化剤としての二重の役割は、消毒剤製剤に費用便益をもたらし得る。
【0052】
本発明によるすぐに使用できる消毒剤製剤は、成分(a)を約25ppmから約110ppm、成分(b)を約20ppmから約125ppmで含む。成分(a)及び成分(b)は、重量比で、約1:5から2.5:1で存在する。好ましくは成分(a)は、約35ppmから約75ppm量で存在し、成分(b)は約50ppmから約100ppmである。成分(a)対成分(b)の好ましい重量比の範囲は、約1:2から約1:1である。
【0053】
存在する場合、アルコキシ化アルコールは、適切には消毒剤製剤中に約35ppmから約200ppm、好ましくは約105ppmから約125ppmの量で存在し、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、約20ppmから約65ppm、好ましくは約50ppmから約60ppmの量で存在する。
【0054】
本発明による1つの製剤は、約25ppmから約110ppm、好ましくは50ppmから約75ppmの、PHMBなどの成分(a)、約40ppmから約125ppm、好ましくは約75ppmから約100ppmの、DDACなどの成分(b)、及び約35から200ppm、好ましくは約110ppmから約120ppmの、トリメチルノニルポリエチレングリコールエーテルなどのアルコキシ化アルコールを含む。成分(a)及び成分(b)は、重量比で、約1:5から2.5:1、好ましくは1:2から1:1で存在する。
【0055】
本発明による他の製剤は、約25ppmから110ppm、好ましくは約35ppmから約50ppmの、PHMBなどの成分(a)、約20ppmから約65ppm、好ましくは約50ppmから約60ppmの、DDACなどの成分(b)、及び約20ppmから65ppm、好ましくは約50ppmから約60ppmの、ADBACなどの成分(c)を含む。成分(a)及び成分(b)は、重量比で、約1:5から約2.5:1、好ましくは約1:3から約1:2で存在する。
【0056】
本発明の消毒剤製剤はまた、いくつかの任意選択の成分を含んでもよい。適切な成分には、酢酸及びそのナトリウム塩、α−アルキル(C10〜C14)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)平均分子量(amu単位で)768から837、α−アルキル(C12〜C18)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)ポリ(オキシプロピレン)平均分子量(amu単位で)950から1120、エタノール、エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA)4ナトリウム塩、α−(p−ノニルフェニル)−ω−ヒドロキシポリ(オキシエチレン)平均ポリ(オキシエチレン)(含量11モル)、オクタン酸、クエン酸、これらの塩及びエステル、フマル酸、乳酸、n−ブチルエステル、乳酸、エチルエステル、2−プロパノール、ソルビン酸、並びにカリウム塩が含まれるがこれらに限られるわけではない。
【0057】
一実施形態においては、消毒剤製剤のための抗菌剤成分の組合せは、水で希釈することにより、消毒剤製剤に抗菌効力が得られる、消毒剤組成物濃縮物の形態で供給できる。濃縮物は、(a)ビグアナイド、モノグアナイド及びこれらの組合せからなる群から選択される抗菌活性剤、(b)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、並びに(c)アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩、エトキシ化アルコール及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物を含む。濃縮物中では、消毒剤組成物濃縮物の全重量基準で、成分(a)は、約0.64%から約3.84%、好ましくは約1.3%から約3.2%の量で存在し、成分(b)は、約0.55%から約5.12%の量、好ましくは約1.2%から約4.38%の量で存在する。
【0058】
存在する場合、アルコキシ化アルコールは、適切には、消毒剤組成物濃縮物中、全て消毒剤組成物濃縮物の全重量基準で、約1%から約6%、好ましくは約3%から約5%の量で存在し、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩は、約0.55%から約2.56%、好ましくは約1.28%から約2.05%の量で存在する。
【0059】
本発明による1つの製剤濃縮物は、消毒剤組成物濃縮物の全重量基準で、PHMBなどの成分(a)を、約0.64から約3.84%、好ましくは約1.28から約1.92%で、DDACなどの成分(b)を約1.1から約5.12%、好ましくは約1.92%から約4.57%で、及びトリメチルノニルポリエチレングリコールエーテルなどのアルコキシ化アルコールを約1から約6%、好ましくは約3から約5%で含む。成分(a)及び成分(b)は、重量比で、約1:5から約2.5:1、好ましくは約1:2から約1:1で存在する。
【0060】
本発明による他の製剤濃縮物は、成分(a)を約0.64%から約2.74%、成分(b)を約0.55%から約2.56%及びADBACなどの成分(c)を約0.55から約2.56%で含む。PHMB及びDDACは、約1:5から約2.5:1、好ましくは約1:3から約1:2の重量比で存在する。
【0061】
本発明のすぐに使用できる製剤又は製剤濃縮物は、従来のいかなる手段によっても調製し得る。この方法には、異なる成分をいかなる順序でも混合するステップを含む。
【0062】
すぐに使用できる消毒剤製剤は、食物と接触し得る表面を洗浄及び消毒するステップのために使用し得る。この方法には、消毒すべき表面と本発明によるすぐに使用できる消毒剤製剤とを接触させるステップを含む。製剤濃縮物が提供されるならば、使用者は、濃縮物をすぐに使用できる製剤に希釈し、次いで製剤を消毒すべき表面に適用できる。
【0063】
本発明を以下に述べる実施例中でさらに記載する。本明細書に与えられた百分率は、全て、他に明記しない限り、組成物の全重量を基準とする重量パーセントである。
【実施例】
【0064】
(例1)
PHMBとDDACとの単純な混合物は不安定であることが公知である。いくつかの補助製剤化剤(co−formulant)が混合物を安定な濃縮物として配送可能にすることが確認された。結果を表1に示す。
【表1】

【0065】
(例2)
PHMB、DDAC及び非イオン性界面活性剤(Tergitol TMN 10)又はPHMB、DDAC及びADBACを用いて、消毒剤濃縮物を調製した。濃縮物の組成の詳細は表2に挙げてある。
【表2】

【0066】
(例3)
表1及び表2に示した特定の製剤について、殺生物活性を試験した。結果は表3及び表4に挙げてある。
【0067】
公認分析化学者協会(AOAC)の殺菌・洗浄消毒剤法は、(あらかじめ洗浄された食物接触表面に対する)消毒リンス液の効力データ要件を支持するデータを得るために必要な方法である。硬水中での製品の有効さを主張する場合には、主張している硬水許容度において、必要な全てのデータを開発しなければならない。受容される結果を得るには、大腸菌(Escherichia coli)ATCC及び黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)ATCC6538の両方に対する30秒以内の微生物数を99.999%減少させることを示さなければならない。
【0068】
表に示されているように、DDAC及びPHMBと界面活性剤Tergitolの混合物、並びにDDAC及びADBACとPHMBの混合物では、個々の成分よりも、殺生物活性が改善されている。
【0069】
ある決まったレベルの活性成分は、合成水硬度500ppmのレベルに対して、AOACの殺菌・洗浄消毒剤(G&DS)試験に合格していることが示された。
【表3】


【表4】

【0070】
(例4)
VANTOCIL(商標) NR3.8(PHMB:ADBA:DDACCを1:1:1の比で)及びBardac(商標)205M(塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウム(ADBAC)、塩化ジデシルジメチルアンモニウム(DDAC)、塩化オクチルデシルジメチルアンモニウム及び塩化ジオクチルジメチルアンモニウムの混合物)を、上記例3に記載のAOAC G&DS試験を用いて、硬水の負の効果に対する許容度を試験した。
【0071】
水中のCaCOのppm値で表される硬水レベル、及び30秒間に細菌数を減少させるに必要な活性剤の量である合格レベルを、表5に示してある。
【表5】

【0072】
表から明らかなように、PHMB、ADBAC及びDDACの混合物は、四級アンモニウム化合物を含みPHMBを含まない混合物に比較して、硬水の負の効果に対してより許容度がある。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ビグアナイド、モノグアナイド及びこれらの組合せからなる群から選択される抗菌活性剤、(b)ジアルキルジメチルアンモニウム塩、並びに(c)アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、アルキルジメチル(エチルベンジル)アンモニウム塩、アルコキシ化アルコール及びこれらの組合せからなる群から選択される化合物、を含む消毒剤製剤であって、
前記成分(a)は約25から約110ppmの量で存在し、前記成分(b)は約20から約125ppmの量で存在し、前記成分(a)及び前記成分(b)は重量比で約1:5から約2.5:1の間の範囲で存在する、
消毒剤製剤。
【請求項2】
成分(a)がポリヘキサメチレンビグアナイド又はその塩である、請求項1に記載の消毒剤製剤。
【請求項3】
アルコキシ化アルコールがトリメチルノニルポリエチレングリコールエーテルである、請求項1に記載の消毒剤製剤。
【請求項4】
アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩が約20ppmから約65ppmの量で存在する、請求項1に記載の消毒剤製剤。
【請求項5】
アルコキシ化アルコールが約35ppmから約200ppmの量で存在する、請求項1に記載の消毒剤製剤。
【請求項6】
成分(a)が約25から110ppmの量で存在し、成分(b)が約40ppmから約125ppmの量で存在し、成分(c)がアルコキシ化アルコールであり、約35から約200ppmの量で存在する、請求項1に記載の消毒剤製剤。
【請求項7】
成分(a)が約25ppmから約110ppmの量で存在し、成分(b)が約20から約65ppmの量で存在し、成分(c)が塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムであり約20ppmから約65ppmの量で存在する、請求項1に記載の消毒剤製剤。
【請求項8】
水で希釈すると、請求項1に記載されている成分(a)、(b)及び(c)の量が得られる消毒剤組成物濃縮物であって、
上記濃縮物には、その消毒剤組成物濃縮物の全重量基準で、成分(a)が約0.64%から約3.84%の間の量で、成分(b)が約0.55%から約5.12%の間の量で、含み、並びに成分(a)及び成分(b)が重量比で約1:5から約2.5:1の間の範囲で存在する、
消毒剤組成物濃縮物。
【請求項9】
成分(a)がポリヘキサメチレンビグアナイド又はその塩である、請求項8に記載の消毒剤組成物濃縮物。
【請求項10】
アルコキシ化アルコールがトリメチルノニルポリエチレングリコールエーテルである、請求項8に記載の消毒剤濃縮物。
【請求項11】
成分(c)が塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムであり、前記塩化アルキルジメチルベンジルアンモニウムが、濃縮物の全重量基準で約0.55%から約2.56%の量で存在する、請求項8に記載の消毒剤組成物濃縮物。
【請求項12】
成分(c)がアルコキシ化アルコールであり、前記アルコキシ化アルコールが、濃縮物の全重量基準で約1%から約6%の量で存在する、請求項8に記載の消毒剤組成物濃縮物。
【請求項13】
請求項1に記載の消毒剤製剤を消毒すべき表面に接触させるステップを含む、食物接触表面を消毒するための方法。
【請求項14】
請求項8に記載の消毒剤製剤濃縮物を用意するステップ、消毒剤製剤濃縮物を希釈するステップであってそれにより請求項1に記載のすぐに使用できる抗菌に有効な消毒剤製剤を得るステップ、及びすぐに使用できる消毒剤製剤を消毒すべき表面に接触させるステップ、を含む食物接触表面を消毒するための方法。

【公表番号】特表2012−521434(P2012−521434A)
【公表日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−502137(P2012−502137)
【出願日】平成22年3月22日(2010.3.22)
【国際出願番号】PCT/US2010/028077
【国際公開番号】WO2010/111155
【国際公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【出願人】(500000175)アーチ ケミカルズ,インコーポレイテッド (19)
【Fターム(参考)】