消毒特性を強化するために液体を通じて電荷を印加する方法および装置
エレクトロポレーション電極(35、1614、1714、1828)が、たとえば装置から処理される表面または容積(252、304、1506)に分配される液体(250、302、306、308、1414、1504、1917)を通じて交流電場(E)を印加し、それによって液体と接触している微生物(256)のエレクトロポレーションを引き起こすように構成されている装置(10、50、80、300、500、1200、1300、1400、1500、1700、1810)および方法が提供される。液体は、微生物に対する電場(E)の印加を強化するために、帯電したナノバブルおよび/またはその他の機構によって、表面から浮遊されてもよい。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロポレーションおよび/または電気水圧衝撃などの機構によって微生物を不活性化または破壊することに関する。ある特定の実施例において、本開示は、たとえば電解セルを用いて電気化学的に活性化された液体を製造する装置などの装置によって移送される液体を通じて、微生物に電位を印加することに関する。
【背景技術】
【0002】
電解セルは、流体の1つ以上の特性を変化させるために、様々な異なる用途において使用される。たとえば、電解セルは、洗浄/消毒用途、医療業界、および半導体製造プロセスにおいて使用されてきた。電解セルはまた、その他の様々な用途においても使用され、異なる構成を有してきた。
【0003】
洗浄/消毒用途では、陽極液の電気的に活性化された(EA)液体、および陰極液EA液体を作り出すために、電解セルが使用される。陽極液EA液体は周知の消毒特性を有し、陰極液EA液体は周知の洗浄特性を有する。洗浄および/または消毒システムの例は、2007年8月16日に公開された、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されている。
【0004】
しかしながら、陽極液EA液体の消毒能力は、いくつかの用途において限定され得る。とりわけ本用途の一態様は、液体の消毒特性を強化するための改良型の方法、システム、および/または装置を対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様はたとえば、液体流路および液体流路内で結合された液体分配器を含む装置に関し、これはある表面または容積空間に液体を分配するようになっている。たとえば電極などの電気伝導体は、液体流路と電気的に結合されることが可能であり、制御回路は、電極と表面または容積空間との間に、分配液を通じて、たとえば対応するリターン電極を用いることなく、交流電場を発生させるようになっている。
【0006】
本開示の別の態様はたとえば、液体流路、液体流路内の電解セルを含み、陽極液および陰極液を生成するようになっている装置に関する。液体流路は、複合液を形成するために、陽極液および陰極液を組み合わせる。液体分配器は、液体流路に結合され、たとえば表面または容積空間に液体を分配するようになっている。さらなる電極が液体流路に電気的に結合されており、これはたとえばセル電極とは異なる。第一制御回路は、セル電極の間に電場を印加するようになっており、第二制御回路は、たとえば分配液を通じて、さらなる電極と表面または容積空間との間に、交流電場を発生するようになっている。
【0007】
本開示の別の態様はたとえば、液体流路および液体流路内の液体分配器を含む装置に関し、これは処理される表面または容積空間に液体を分配するようになっている。たとえば電極などの電気伝導体は、液体流路と電気的に結合されることが可能である。電気回路は、約20キロヘルツから約100キロヘルツの範囲の周波数および約50ボルトrmsから約1000ボルトrmsの電圧を有する電極に交流を印加するようになっており、処理されている表面または容積空間は、電極と表面または容積空間との間に発生する電場のための回路接地の役割を果たす。
【0008】
本開示の別の態様はたとえば、方法に関する。方法は:装置から表面または容積空間への液体によって導電経路を作り出すように、たとえば装置から表面または容積空間に液体を分配するステップと;分配ステップの間に、たとえば導電経路に沿った液体を通じて、装置から表面または容積空間までの交流電場を発生するステップであって、電場は、表面上または容積空間内の少なくとも1つの微生物を破壊するのに十分であり、対応するリターン電極を有していない装置上の電極によって液体に印加される、ステップを含む。
【0009】
本開示の別の態様はたとえば、方法に関する。方法は:流体路に沿って装置から分配された液体によって表面に移送される、負または正電荷を帯びたナノバブルのうちの少なくとも1つとともに表面からの少なくとも1つの微生物を浮遊させるステップと;たとえば装置と表面との間に形成された液体路を通じて、浮遊微生物に交流電場を印加するステップであって、印加された電場が微生物を破壊するのに十分な大きさを有するステップと、を含む。
【0010】
本開示の別の態様はたとえば、液体を通じて導電経路を形成するような方法で、装置と表面との間に延伸する液体吐出と;たとえば液体吐出の導電経路を通じて発生する交流電場であって、ASTM E1153−03による少なくとも約99.99%の抗菌有効性およびログ5の減少数を提供するのに十分な電場と、を含む抗菌性媒体に関する。
【0011】
本開示のさらなる態様は、洗浄および/または殺菌装置であって、(a)1つ以上の流体容器と;(b)制御回路と;(c)表面または容積空間に流体を分配するようになっている分配器と;(d)上記1つ以上の流体容器から上記分配器を通じて表面または容積空間に流体を流すことが可能な1つ以上の流路と;(e)上記制御回路に結合された1つ以上の電気伝導体であって、上記分配器を通じて分配される流体に電荷を与えることが可能な、上記1つ以上の電気伝導体と、を含み;上記制御回路は、上記1つ以上の電気伝導体に、上記分配器を通じて分配される流体に上記電荷を与えさせるようになっており;さらに、たとえば装置と上記表面または容積空間との間の上記分配された流体によって形成された流体路を通じて、表面または容積空間への印加のために交流電場が発生する、洗浄および/または殺菌装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の例示的態様による、手持ち式スプレイボトルの一実施例の、簡略化された模式図である。
【図2】イオン選択膜を有する電解セルの一実施例を示す図である。
【図3】本開示のさらなる実施例による、イオン選択膜を有していない電解セルを示す図である。
【図4】図4A〜4Dは本開示の一態様による、電気化学的に活性化された液体によって実行される汚れ洗浄機構の一実施例を示す図である。
【図5】説明的な実施例による管状形状を有する電解セルの一実施例を示す図である。
【図6】本開示の説明的な実施例によるエレクトロポレーション電極の分解斜視図である。
【図7A】帯電した吐出スプレイによってスプレイヘッドと表面との間に形成された導電経路の一実施例を示す図である。
【図7B】媒体中に浮遊している細胞がそれによって電場に曝される、エレクトロポレーション機構の一実施例を示す図である。
【図7C】エレクトロポレーションによって膨張した孔を有する細胞膜の一実施例を示す図である。
【図8】帯電した液体を表面に噴霧するスプレイボトルの一実施例を示す図である。
【図9】噴霧され、帯電した液体で濡れている表面の一実施例を示す図である。
【図10A】本開示の一実施形態による、手持ち式スプレイボトルの斜視図である。
【図10B】本開示の一実施形態による、手持ち式スプレイボトルの分解された左半分の斜視図である。
【図10C】本開示の一実施形態による、手持ち式スプレイボトルの露出したスプレイヘッドの側面図である。
【図11】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内の電解セルの陽極および陰極に印加される電圧パターンの一実施例を示す波形図である。
【図12】本開示の例示的態様による、スプレイボトル上の電解セルを制御する制御回路の一実施例のブロック図である。
【図13A】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内のエレクトロポレーション電極に印加される電圧パターンを示す波形図の一実施例である。
【図13B】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内のエレクトロポレーション電極に印加される周波数パターンを示す波形図の一実施例である。
【図13C】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内のエレクトロポレーション電極に印加される周波数パターンを示す波形図の一実施例である。
【図14】本開示の例示的態様による、スプレイボトル上のエレクトロポレーション電極を制御する制御回路の一実施例のブロック図である。
【図15】本開示の別の実施形態による、移動式床洗浄機械の一実施例の斜視図である。
【図16】本開示の別の実施形態による、全表面洗浄機の一実施例の斜視図である。
【図17】本開示に記載されるものなど、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つのエレクトロポレーション電極を含む、平面モップ実施形態の一実施例を示す図である。
【図18】表面に対して静止または可動であってもよい、例示的装置を示す図である。
【図19】たとえば、本明細書に開示される実施形態のいずれかに組み込まれることが可能な、本開示の例示的実施形態によるシステムを示すブロック図である。
【図20A】たとえば、図5〜6および10〜14に示される実施形態のためのノズルからの距離の関数としての、電位場の実施例を示すグラフである。
【図20B】たとえば、図5〜6および10〜14に示される実施形態のためのノズルからの距離の関数としての、電場の実施例を示すグラフである。
【図21】分配液の浮遊特性を強化するために、装置から分配された液体に浮遊添加剤が添加される、本開示の例示的実施形態によるシステムを示す図である。
【図22】たとえば、スプレイボトルによって保持および分配される液体の酸化還元電位(ORP)を変化させるための1つ以上の液体活性化材を保持するように構成されたスプレイボトルの模式図である。
【図23】たとえば、貫流システムの流体ライン内に設置されてもよい、液体活性化材を含有するカートリッジの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、本開示の1つ以上の態様の実施例の追加説明として提供される。以下の詳細な説明および上記で参照された図面は、発行される請求項において主張されるような本発明の範囲を限定または狭めるものとして解釈されるべきではない。1つ以上の請求項に含まれる本発明のその他の実施形態が、本明細書において論じられる図面および実施例とは1つ以上の態様において異なる構造および機能を有してもよく、そして、たとえば請求項において主張されるような本発明を構成または使用するための異なる構造、方法、および/またはそれらの組合せを実現してもよいことは、理解されるだろう。
【0014】
また、以下の記載は、1つ以上のセクション見出しを有するセクションに分割されている。これらのセクションおよび見出しは、読みやすさのためにのみ提供されており、たとえば、特性の実施例および/または実施形態に関する特定のセクションおよび/またはセクション見出しにおいて論じられる本開示の1つ以上の態様が、別のセクションおよび/またはセクション見出しにおいて記載される別の特定の実施例および/または実施形態と組み合わせられること、これらに適用されること、および/またはこれらにおいて利用されることを制限するものではない。1つ以上の実施例の要素、特徴、およびその他の態様は、本明細書に開示される1つ以上のその他の実施例の要素、特徴、およびその他の態様と組み合わせられてもよく、および/または置き換え可能であってもよい。
【0015】
本開示の一態様はたとえば、装置から分配される吐出流体(たとえば、液体ストリームおよび/または気体/液体混合物、水蒸気、ガス状液体、ミスト、スプレイ、またはエアロゾル混合物を含む)の消毒特性を強化することに関する。一実施例において、本開示は、吐出液体(たとえば、液体ストリームおよび/または気体/液体混合物、ガス状液体、ミスト、スプレイ、またはエアロゾル混合物を含む)の消毒特性を強化することに関する。本開示の1つ以上の実施例における消毒の例示的な基準は、処理対象の表面上の微生物の細胞に、交流電場などの電場を印加することを含み、ここで電場は、たとえば不可逆的エレクトロポレーションとして知られる処理によって細胞が永久的に損傷するように、閾値と一致するかまたはこれを超過する。電場閾値が達成または超過された場合、エレクトロポレーションは細胞の生存能力を危険にさらし、その結果、不可逆的エレクトロポレーションとなる。
【0016】
1つ以上の実施例において、微生物は、装置から分配され、これを通して電場が印加される液体によって、表面から浮遊される。このような浮遊は、たとえば約±50ミリボルトを超えて液体の酸化還元電位を変化させることなどによって、強化される。微生物の浮遊は、微生物の細胞への電場の印加を強化してもよい。
【0017】
特定の実施例において、本開示の一態様は、手持ち式スプレイボトルまたは装置、移動式床洗浄機、手の消毒ステーションまたは装置、食品消毒剤、布または食器洗い機、および/または表面または容積空間に液体および/または気体/液体混合物を発生させるかまたは適用するためのその他の装置など、固定式または可動式装置によって担持される電解セルによって発生する電解液の消毒特性を強化するための方法および装置に関する。電解セルは、たとえば、帯電したナノバブルの動作を通じて微生物の浮遊液中で援助すべき液体のORPを増加することができる。液体のORPを変化させるため、および/または表面からの粒子および微生物の浮遊を強化するために、その他の機構が使用されることも可能である。
【0018】
本開示の実施形態は、様々な異なる用途において使用されることが可能であり、手持ち式、移動式、固定式、壁掛け式、電動式または非電動式、車輪付きまたは車輪なしなどの装置を含む、ただしこれらに限定されない、様々な異なるタイプの装置に収容されることが可能である。以下の実施例において、電解セルおよびエレクトロポレーション電極は、手持ち式スプレイボトルに組み込まれる。本開示において論じられる1つ以上の実施例の様々な態様のうちの1つ以上が、代替実施形態におけるその他の態様と適宜組合せおよび/または置き換えられてもよいことは、理解されるであろう。本明細書に記載される見出しは、便宜上使用されるが、たとえば特定の実施形態または実施例の下で論じられる一実施形態の態様を限定するように意図されるものではない。また、たとえば、電極を指すために本記載において「エレクトロポレーション電極」という用語が使用されるが、しかしこの用語は便宜上使用されるのみであって、微生物に対するその動作または効果をエレクトロポレーションの処理に限定するように意図されるものではない。
【0019】
本開示の1つ以上の実施例において、たとえば印加された電場を移送するための伝統的な電気プローブを使用する代わりに、装置は、帯電した吐出液を通じてこのような印加された電場を移送するように構成されてもよい。
【0020】
1.手持ち式スプレイ装置の実施例
図1は、本開示の例示的態様による、ここでは手持ち式スプレイボトル10の形態を取る、手持ち式スプレイ装置の一実施例の、簡略化された模式図である。別の実施例において、スプレイ装置は、より大きい装置またはシステムの一部を形成してもよい。図1に示される実施例において、スプレイボトル10は、処理された後にノズル14から分配される液体を収容するためのリザーバ12を含む。一実施例において、処理される液体は、通常の水道水などの水性組成物を含む。
【0021】
スプレイボトル10は、注入口フィルタ16、1つ以上の電解セル18、管20および22、ポンプ24、アクチュエータ26、スイッチ28、回路基板および制御エレクトロニクス30、ならびに電池32をさらに含む。図1には示されていないが、管20および22は、たとえばボトル10のネックおよびバレル内にそれぞれ収容されてもよい。キャップは、ボトル10のネックの周りでリザーバ12を封止する。電池32は、回路基板および制御エレクトロニクス30によって電圧が印加されたときに電解セル18およびポンプ24に電力を供給するために、たとえば使い捨て電池および/または充電池、あるいは電池の他のまたは電池の代わりのその他の適切な携帯式またはコード式電源を、含むことができる。
【0022】
図1に示される実施例において、アクチュエータ26は、開放および閉鎖状態の間で瞬時スイッチ28を作動する、トリガ型アクチュエータである。たとえば、ユーザがハンドトリガを握ると、トリガが開放状態から閉鎖状態にスイッチを作動する。ユーザがハンドトリガを放すと、トリガはスイッチを開放状態に作動する。しかしながら、アクチュエータ26は、代替実施形態において、その他のスタイルまたは構造を有することができ、さらなる実施形態においては排除されることが可能である。個別のアクチュエータのない実施形態では、スイッチ28はたとえば、ユーザによって直接作動されることが可能である。スイッチ28が開放された非伝導状態にあるとき、制御エレクトロニクス30は、電解セル18およびポンプ24の電力を切断する。スイッチ28が閉鎖された伝導状態にあるとき、制御エレクトロニクス30は、電解セル18およびポンプ24に電力を供給する。ポンプ24は、フィルタ16、電解セル18、および管20を通じてリザーバ12から液体を引き出し、この液体を管22およびノズル14から押し出す。噴霧器に応じて、ノズル14は、たとえばストリームを放出すること、ミストを噴霧すること、またはスプレイを分配することの間で選択するように、調整可能であってもなくてもよい。
【0023】
スイッチ28自体は、図1に示されるような押しボタンスイッチ、トグル、ロッカなどのいずれかの適切なアクチュエータ型、いずれかの機械的結合、および/または、たとえば容量性、抵抗性プラスチック、熱、誘導、機械的、非機械的、電気機械的、またはその他のセンサなどを含む、入力を検知するためのいずれかのセンサを有することができる。スイッチ28は、瞬時、単極単投など、いずれかの適切な接触配置を有することができる。
【0024】
代替実施形態において、ポンプ24は、ハンドトリガ型容積式ポンプなどの機械的ポンプに置き換えられ、ここでアクチュエータトリガ26は機械的動作によってポンプに直接作用する。この実施形態において、スイッチ28は、電解セル18に電力を供給するために、電源スイッチなど、ポンプ24とは別に作動されることが可能であろう。さらなる実施形態において、電池32は排除され、電力は、たとえば回転式ダイナモ、振動または太陽源など、別の携帯型電源を通じて移送されるか、または電源コード、プラグ、および/または接触端子を通じてなど、外部電源からスプレイボトル10に移送される。たとえば、代替実施形態において、ユーザは、電力を発生させるためにトリガを引きながら、内部ダイナモを作動させてもよい。スプレイボトルは、ボトルによって担持される携帯型電源、または外部電源に接続するためにボトルによって担持される端子など、いずれかの適切な電源を含むことができる。
【0025】
図1に示される配置は、非限定的な実施例としてのみ提供される。スプレイボトル10は、その他のいずれの構造的および/または機能的配置も有することができる。たとえば、ポンプ24は、リザーバ12からノズル14へ流れる流体の方向に対して、図1に示されるように、セル18の下流に、またはセル18の上流に、位置することが可能である。スプレイボトル10は、たとえばその他のいずれの適切な手持ち式装置であってもよく、ボトルまたはスプレイボトルの形状である必要はない。たとえばその他の形状因子または人間工学的形状が、その他の実施形態において利用されてもよい。たとえば、スプレイ装置は、ワンドの形状を有してもよく、これは、モップバケツ、電動式または非電動式汎用洗浄機、個別の洗浄ヘッドを備えるまたは備えない移動式洗浄装置、車両、などの洗浄装置に接続されてもされなくてもよい。
【0026】
以下により詳細に記載されるように、スプレイボトルは、洗浄および/または消毒されるべき表面上または容積空間内に噴霧される液体を、収容する。非限定的な一実施例において、電解セル18は、吐出スプレイ(または、たとえばストリーム)としてノズル14から分配されるのに先立って、液体を陽極液EA液体および陰極液EA液体に変質させる。陽極液および陰極液EA液体は、複合混合物として、または個別の管および/またはノズルを通じてなど個別のスプレイ吐出として、分配されることが可能である。図1に示される実施形態において、陽極液および陰極液EA液体は、複合混合物として分配される。スプレイボトルによって提供される小さく断続的な吐出流量により、電解セル18は、小型パッケージを有することができ、たとえばパッケージまたはスプレイボトルによって担持される電池によって電力供給されることが可能である。
【0027】
スプレイボトル10は、たとえば、接地に対して液体吐出スプレイの電位を付与、誘発、もしくは引き起こすために、液体または液体路の内部に位置するかまたはこれと適切な関係にある、個別の電気伝導体、リード、またはその他の電気および/または電磁部品、たとえば高圧電極35などの電極などを、さらに含むことができる。たとえば液体吐出スプレイを形成する液体がすでに電荷を担持している場合、このような電位は、たとえば液体吐出スプレイにおける個別または追加電位であってもよい。図1に示される実施例において、電極35は、管22に沿って位置しており、管を通じて流れる液体と電気的接触するように構成されている。しかしながら、電極35は、たとえばリザーバ12からノズル14まで(またはスプレイボトル10の外部にまでも)の液体流路に沿ったいずれの位置に配置されることも可能である。制御回路30は、トリガ26がスイッチ28を作動して閉鎖状態にすると電極35に電力を供給し、トリガ26がスイッチ28を作動して開放状態にすると、電極35への電力を遮断する。たとえばトリガ26が動作されているおよび/または液体が分配されている時間の一部の間であっても、電極35の電力遮断など、その他の実施形態においてその他の電力供給、電力遮断状態、またはパターンが使用され得ることは、理解されるだろう。この実施例において、電極35は、逆の極性の対応するリターン電極を有していない。さらに、別の実施形態において、電位を付与、誘発、もしくは引き起こすために、2つ以上の電気伝導体、リード、またはその他の電気部品またはそれらの組合せが利用されることが可能である。
【0028】
電極35によって発生および/または補完された電位は、分配される液体を通じて洗浄されている表面上の微生物に印加され、そして、電荷移送が十分な大きさである場合、このような電荷は、以下の実施例においてより詳細に論じられるように、エレクトロポレーションおよび/または電気水圧衝撃などの機構を通じて、微生物の不可逆的損傷、破壊、もしくは除去を生じさせることが可能である。これが、使用中の液体吐出スプレイの消毒特性を強化する。
【0029】
2.電解セルの実施例
電解セルは、少なくとも1つの陽極電極および少なくとも1つの陰極電極の間の流体にわたって電場を印加するようになっている、どのような流体処理セルも含む。電解セルは、どのような適切な数の電極、どのような適切な数の流体を収容するチャンバ、およびどのような適切な数の流体流入および流体吐出を有することもできる。セルはどのような流体(液体または気体−液体の組合せ)も処理するようになっていてもよい。セルは、陽極および陰極の間に1つ以上のイオン選択膜を含むことができ、またはイオン選択膜を全く使用しないで構成されることも可能である。イオン選択膜を有する電解セルは、この実施例では「機能的発生器」と称される。この用語は限定することを意図していない;その他の適切な装置および/または構造も機能的発生器として認められてもよいことは、理解されるであろう。
【0030】
電解セルは、様々な異なる用途において使用されることが可能であり、図1を参照して論じられたスプレイボトルおよび/または2007年8月16日に公開されたFieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368号明細書に開示されている構造など、ただしこれらに限定されない、様々な異なる構造を有することができる。このため、スプレイボトルの文脈に関連して、電気分解に関する様々な要素および工程が、本明細書に記載されているが、これらの要素および工程は、その他の非スプレイボトル用途に適用されること、および組み込まれることが、可能である。
【0031】
2.1 膜を有する電解セルの実施例
図2は、たとえば図1に示されるスプレイボトル内で使用されることが可能な電解セル50の一実施例を示す模式図である。電解セル50は、液体源52から、処理されるべき液体を受け取る。液体源52は、タンク、または図1のリザーバ12などのその他の溶液リザーバを含むことができ、または外部源から液体を受けるための継ぎ手またはその他の注入口を含むことができる。
【0032】
セル50は1つ以上の陽極チャンバ54および1つ以上の陰極チャンバ56(たとえば反応チャンバとして知られる)を有し、これらは、カチオン(たとえばプロトン交換膜)またはアニオン交換膜などのイオン交換膜58によって分離されている。1つ以上の陽極電極60および陰極電極62(図示される各電極のうちの1つ)は、それぞれ各陽極チャンバ54および各陰極チャンバ56内に設けられている。陽極および陰極電極60、62は、たとえばステンレス鋼、導電性ポリマ、チタンおよび/または白金などの貴金属で被覆されたチタン、またはその他の適切な電極材料など、いずれかの適切な材料から作られることが可能である。一実施例において、陽極および陰極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的にまたは全体的に、導電性ポリマから作られている。電極およびそれぞれのチャンバは、いずれかの適切な形状および構造を有することができる。たとえば、電極は、平板、同軸板、ロッド、またはそれらの組合せであってもよい。各電極は、たとえば、一体構造を有することができ、1つ以上の開口を有することができる。一実施例において、各電極はメッシュとして形成されている。また、たとえば、複数のセル50が相互に直列または並列に結合されることが可能である。電極60、62は、従来型電源(図示せず)の対向する端子に電気的に接続される。
【0033】
イオン交換膜58は、電極60および62の間に位置している。イオン交換膜58は、カチオン交換膜(たとえばプロトン交換膜)またはアニオン交換膜を含むことができる。膜38に適切なカチオン交換膜は、部分的および完全にフッ素化されたアイオノマ、多環芳香族アイオノマ、およびそれらの組合せを含む。膜38に適切な市販されているアイオノマの例は、デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and Companyより「NAFION」の商標名で入手可能なスルホン化テトラフルオロエチレンコポリマー;日本の旭硝子株式会社より「フレミオン」の商標名で入手可能なペルフルオロカルボキシル酸アイオノマ;日本の旭化成株式会社より「アシプレックス」の商標名で入手可能なペルフルオロスルホン酸アイオノマ;およびそれらの組合せを含む。適切な膜のその他の例は、たとえば、CMI−7000Sカチオン交換膜およびAMI−7001Sアニオン交換膜など、ニュージャージー州グレンロックのMembranes International Inc.より入手可能なものを含む。しかしながら、他の実施例において、いかなるイオン交換膜も用いることができる。
【0034】
電源は、DC出力定電圧、パルスもしくは変調DC出力電圧、および/またはパルスもしくは変調AC出力電圧を、たとえば陽極および陰極電極に提供することができる。電源は、いずれかの適切な出力電圧レベル、電流レベル、デューティサイクル、または波形などを有することができる。
【0035】
たとえば一実施形態において、電源は、比較的安定した状態で電極に供給される電圧を印加する。電源(および/または制御エレクトロニクス)は、電圧および電流出力を制御するためにパルス幅変調(PWM)制御方式を使用するDC/DCコンバータを含む。パルスがかかるまたはかからない、ならびにその他の電圧および出力範囲の、その他のタイプの電源も、使用され得る。特定の用途および/または実施形態に応じて、パラメータが異なってもよい。
【0036】
動作中、給水(または処理されるその他の液体)は、源52から陽極チャンバ54および陰極チャンバ56の両方に供給される。カチオン交換膜の場合、約5ボルト(V)から約28Vの範囲、またはたとえば5Vから約38Vの範囲の電圧など、DC電圧電位を陽極60から陰極62にわたって印加すると、陽極チャンバ54内にもともと存在しているカチオンは陰極62に向かってイオン交換膜58を横切って移動し、その一方で陽極チャンバ54内に存在するアニオンは陽極60に向かって移動する。しかしながら、陰極チャンバ56内に存在するアニオンはカチオン交換膜を通過することができず、そのため陰極チャンバ56内に残留する。
【0037】
その結果、セル50は、少なくとも部分的に電気分解を利用することによって給水を電気化学的に活性化することができ、酸性陽極液組成物70および塩基性陰極液組成物72の形態の電気化学的活性水を生成する。一実施例において、陽極液組成物70は少なくとも約+50mV(たとえば+50mVから+1200mVの範囲)の酸化還元電位(ORP)を有し、陰極液組成物72は少なくとも約−50mV(たとえば−50mVから−1000mVの範囲)のORPを有する。
【0038】
望ましければ、陽極液および陰極液は、たとえば電解セルの構造の変更を通じて、互いに異なる比率で生成されることが可能である。たとえば、セルは、EA水の主要機能が洗浄である場合、陽極液よりも大きい容積の陰極液を生成するように構成されることが可能である。あるいは、たとえば、EA水の主要機能が消毒である場合、セルは陰極液よりも大きい容積の陽極液を生成するように構成されることが可能である。また、各々の反応種の濃度が異なってもよい。
【0039】
たとえば、セルは、陽極液よりも大きい容積の陰極液を生成するために、陰極板と陽極板の比率を3:2とすることができる。各陰極板は、それぞれのイオン交換膜によってそれぞれの陽極板から分離されている。このため、この実施形態において、2つの陽極チャンバに対して3つの陰極チャンバがある。この構成は、40%の陽極液に対しておおよそ60%の陰極液を生成する。その他の比率もまた利用されることが可能である。
【0040】
また、全てのセルによって生成される陰極液および陽極液の相対的な量を変更するために、印加電圧デューティサイクルおよび/またはその他の電気的特性が変更されることが可能である。
【0041】
2.2 イオン選択膜を備えていない電解セルの実施例
図3は、本開示のさらなる実施例による、イオン選択膜を有していない電解セル80を示す。セル80は、反応チャンバ82、陽極84、および陰極86を含む。チャンバ82は、たとえば、セル80の壁によって、電極84および86が配置されている容器または流路の壁によって、あるいは電極自体によって、画定されることが可能である。陽極84および陰極86は、たとえばステンレス鋼、導電性ポリマ、チタンおよび/または白金などの貴金属で被覆されたチタンなど、いずれかの適切な材料または材料の組合せから作られてもよい。陽極84および陰極86は、図1に示される電池32など、従来型電源に接続される。一実施形態において、電解セル80は、チャンバ82を画定し、そして手持ち式スプレイボトルまたは移動式床洗浄装置の流路内など、処理される液体の流路内に配置される、自身の容器を含む。
【0042】
動作中、たとえば液体が、源88によって供給され、そして電解セル80の反応チャンバ82内に導入される。図3に示される実施形態において、電解セル80は、陽極84の反応生成物を陰極86の反応生成物から分離するイオン交換膜を含まない。洗浄に使用するために処理される液体として水道水が使用される実施例において、水をチャンバ82内に導入して陽極84および陰極86の間に電圧電位を印加した後、陽極84と接触しているかまたは付近にある水分子は、電気化学的に酸化されて酸素(O2)および水素イオン(H+)となり、その一方で、陰極86と接触しているかまたは付近にある水分子は、電気化学的に還元されて水素ガス(H2)およびヒドロキシルイオン(OH−)となる。その他の反応もまた生じることが可能であり、特定の反応は液体の成分に依存する。両方の電極からの反応生成物は、たとえば反応生成物を相互に分離する物理的な障壁がないので、混合されて(たとえば)酸素含有流体89を形成することが可能である。あるいは、たとえば、陽極および陰極の間に設けられた不透過性またはその他の膜(図示せず)などの誘電体バリアを使用して、陽極84は陰極84から分離されることが可能である。
【0043】
2.3 分配器の実施例
図2からの陽極液および陰極液EA液体吐出または図3の酸素含有流体89は、たとえば吐出口、継ぎ手、栓、スプレイヘッド、洗浄/消毒器具またはヘッド、またはそれらの組合せなどを含む、いずれかのタイプの1つまたは複数の分配器を含み得る、分配器74と結合されることが可能である。図1に示される実施例において、分配器74はスプレイノズル14を含む。図2の各吐出70および72に分配器があってもよく、両方の吐出について組み合わせられた分配器があってもよい。
【0044】
一実施例において、図2の陽極液および陰極液吐出が配合されて共通吐出ストリーム76となり、これが分配器74に供給される。Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368号明細書に記載されているように、陽極液および陰極液が、少なくとも一時的に有益な洗浄および/または消毒特性を維持しながら、洗浄装置の分配システム内および/または洗浄される表面または物品上で配合され得ることが、見出された。陽極液および陰極液は配合されるが、この実施例において、これらは当初は平衡状態になく、そのため一時的に強化された洗浄および/または消毒特性を維持することができる。
【0045】
たとえば、一実施形態において、陰極液EA水および陽極液EA水は、たとえ2つの液体が混合されていても、少なくとも30秒にわたって、それらの明らかな電気化学的に活性化された特性を維持する。この時間の間、2種類の液体の明らかな電気化学的に活性化された特性は、直ちに中和することはない。これにより、この実施例における各液体の有利な特性を、一般的な洗浄作業の間に利用することができる。比較的短時間の後、洗浄される表面上で配合された陽極液および陰極液EA液体は、急速に中和して実質的に源液の当初のpHおよびORP(たとえば通常の水道水のもの)になってもよい。一実施例において、配合された陽極液および陰極液EA液体は、中和して、1分未満、または陽極液および陰極液EA吐出が電解セルによって生成された時間からのその他の組合せの時間枠内で、実質的にpH6からpH8の間のpHおよび±50mVの間のORPになる。その他の適切なpH範囲が生じてもよい。その後、回収された液体は、いずれかの適切な方法で廃棄され得る。
【0046】
別の実施形態において、配合された陽極液および陰極液EA液体は、実施形態および液体の特性に応じて、たとえば30秒を超える時間にわたって、たとえばpH6からpH8の間の範囲外のpHおよび±50mVの範囲外のORPを維持することができ、および/または1分以外の時間範囲の後に中和することができる。
【0047】
3.汚れ、および電解水による洗浄の実施例
本明細書のその他の実施例の議論と同様に、以下の議論は実施例としてのみ提供され、そして本開示、本明細書に記載される実施例の動作、および/またはここに添付されるいずれかの発行された請求項の範囲を限定するように意図するものではない。
【0048】
3.1 基本的概念の実施例
汚れは、たとえば乾燥した事前可溶性物質、油状物質、および/または不溶性粒子の混合物からなる。通常、汚れは、水に対するよりも、より強い汚れとの親和性を有する。
【0049】
汚れを除去するためには、汚れ粒子と別の汚れ粒子との間、および汚れ粒子と洗浄される表面との間の親和性が減少されるべきであり、水に対する汚れ粒子の親和性は増加されるべきである。
【0050】
通常、ミセルを形成するために油状汚れ上では石けんおよび洗剤が使用され、汚れ粒子を浮遊させるためにポリアニオンが使用される。本開示の例示的な一実施形態において、ノズル14から分配される電解水には、これらのいずれも存在しない。
【0051】
しかしながら、電気分解工程の間、いくつかのナノバブルが電極表面において形成され、図4Aに示されるように、その後電解セルによって生成された陽極液および陰極液EA液体の中でゆっくりと消散する。スプレイボトルから分配される過飽和EA水溶液から、汚れ表面に別のナノバブルが形成される。これらのナノバブルは、水溶液中および浸漬した固体/液体表面の両方に、有意な期間だけ存在することができる。
【0052】
ナノバブルは、図4Bに示されるように、典型的な汚れ粒子上に見られるものなど、疎水性表面を形成し、これに付着する傾向がある。この工程は、気泡の付着が、好ましい負の自由エネルギー変化との高エネルギー水/疎水性表面界面から水分子を放出するので、エネルギー的に好ましい。
【0053】
また、泡が表面に接触すると、泡が広がって平坦化し、これによって泡の曲率が低下して、さらに好ましい自由エネルギー放出を与える。
【0054】
さらに、汚れ粒子の表面上にナノバブルが存在することで、図4Cに示されるように、機械的洗浄/ワイピング動作および/または先行する電解散布工程によって導入される可能性のある、より大きいミクロン超サイズの気泡によって粒子の捕獲を増加させる。表面ナノバブルの存在はまた、この動作によって捕獲され得る汚れ粒子のサイズを減少させる。
【0055】
このような捕獲は、図4Dに示されるように、洗浄されている表面から汚れ粒子を持ち去るのに役立ち、再付着を防止する。
【0056】
ナノバブルのさらなる特性は、その容積に対する巨大な気体/液体表面積である。この界面における水分子は、水の高表面張力によって認識されるように、より少ない水素結合によって保持されている。別の水分子との水素結合のこの減少により、界面水は「通常の」水よりも反応しやすく、そして別の分子とより迅速に水素結合して、より早い水和を呈する。
【0057】
少なくとも部分的にこれらの説明的(例示的)特性のため、生成されて図1に示されるスプレイボトルから分配される、特定の実施形態における陽極液および陰極液EA液体の組合せは、非電解水と比較して強化された洗浄特性を有する。
【0058】
3.2 例示的反応
図2に示される電解セル50に関して、陽極60と接触している水分子は陽極チャンバ54内で電気化学的に酸化されて酸素(O2)および水素イオン(H+)となり、その一方で、陰極62と接触している水分子は、陰極チャンバ56内で電気化学的に還元されて水素ガス(H2)およびヒドロキシルイオン(OH−)となる。陽極チャンバ54内の水素イオンは、カチオン交換膜58を通過して陰極チャンバ56に入ることができ、ここで水素イオンが還元されて水素ガスとなり、その一方で陽極チャンバ54内の酸素ガスは給水に酸素添加して、陽極液70を形成する。さらに、通常の水道水は一般的に塩化ナトリウムおよび/または塩素を含むので、陽極60は、存在する塩素を酸化して塩素ガスを形成する。その結果、相当量の塩素が生成され、陽極液組成物70のpHは時間とともにますます酸性になっていく。
【0059】
述べられたように、陰極62と接触している水分子は電気化学的に還元されて水素ガスおよびヒドロキシルイオン(OH−)となり、その一方で陽極チャンバ54内のカチオンは、電位が印加されるとカチオン交換膜58を通過して陰極チャンバ56に入る。これらのカチオンは、陰極62において発生するヒドロキシルイオンとイオン的に関連づけるために利用可能であり、その一方で水素気泡が液体中に生じる。相当量のヒドロキシルイオンが、時間をかけて陰極チャンバ56内に蓄積し、そして塩基性水酸化物を形成するためにカチオンと反応する。また、カチオン交換膜は負に帯電したヒドロキシルイオンにはカチオン交換膜を通過させないので、水酸化物は陰極チャンバ56に閉じこめられたままである。結果的に、相当量の水酸化物が陰極チャンバ56内に発生し、陰極液組成物72のpHは、時間とともにますますアルカリ性になる。
【0060】
機能的発生器50内の電気分解工程は、反応種の濃縮、ならびに陽極チャンバ54および陰極チャンバ56内の準安定イオンおよびラジカルの形成を可能にする。
【0061】
電気化学的活性化工程は一般的に、たとえば電子求引(陽極60において)または電子導入(陰極62において)のいずれかによって起こり、給水の生理化学的(構造的、エネルギー的、および触媒的なものを含む)特性の変化を生じさせる。電場強度が非常に高いレベルに到達し得る、電極表面の直近において、給水(陽極液または陰極液)が活性化されると考えられている。この領域は、電気二重層(EDL)と称されてもよい。
【0062】
電気化学的活性化工程が継続する間、水双極子は一般的に場と整合し、水分子の水素結合の割合が結果的に崩れる。さらに、単独結合水素原子は陰極電極62において金属原子(たとえば白金原子)と結合し、そして単独結合酸素原子は陽極電極60において金属原子(たとえば白金原子)と結合する。これらの結合原子は、さらなる反応に加わるまで、それぞれの電極の表面上で、二次元的に周囲に拡散する。その他の原子および多原子基もまた、同様に陽極電極60および陰極電極62の表面と結合してもよく、引き続き反応を受けてもよい。表面で発生した酸素(O2)および水素(H2)などの分子は、気体として水の液相内の小さな空洞(たとえば泡)に侵入してもよく、および/または水の液相によって溶媒和されてもよい。これらの気相泡は、これによって拡散されるか、もしくは給水の液相を通じて浮遊される。
【0063】
気相泡のサイズは、給水に印加される圧力、給水中の塩またはその他の化合物の組成、および電気化学的活性化の度合いなど、様々な要因に応じて異なってもよい。したがって、気相泡は、マクロバブル、マイクロバブル、ナノバブル、および/またはそれらの組合せを含む、ただしこれらに限定されない、様々な異なるサイズを有してもよい。マクロバブルを含む実施形態において、発生する泡の適切な平均泡径の例は、約500マイクロメートルから約1ミリメートルの範囲の直径を含む。マイクロバブルを含む実施形態において、発生する泡の適切な平均泡径の例は、約1マイクロメートルから約500マイクロメートル未満の範囲の直径を含む。ナノバブルを含む実施形態において、発生する泡の適切な平均泡径の例は、約1マイクロメートル未満の直径を含み、特に適切な平均泡径は約500ナノメートル未満の直径を含み、さらに適切な平均泡径は約100ナノメートル未満の直径を含む。
【0064】
気体−液体界面の表面張力は、表面分子が、電極表面において気体の分子に対してよりも水中の分子により引きつけられるため、陽極電極60および陰極電極62の表面から離れる方向に配向されている分子の間の引力によって生じる。対照的に、水の大部分の分子は、全方向に等しく引きつけられる。このため、可能な相互作用エネルギーを増加させるために、表面張力は、電極表面の分子を液体の大部分に侵入させる。
【0065】
気相ナノバブルが発生する実施形態において、ナノバブル(すなわち約1マイクロメートル未満の直径を有する泡)に含有される気体もまた、その小径にもかかわらず、給水中で実質的な持続時間にわたって安定していると考えられている。理論に縛られることを望むわけではないが、水の表面張力は、気体/液体界面において、気泡の曲面が分子次元に接近するときに、降下すると考えられている。これは、ナノバブルの消散する自然な傾向を減少させる。
【0066】
さらに、ナノバブルの気体/液体界面は、膜58全体に印加される電圧によって帯電される。電荷は表面張力に対抗する力を導入し、これはまたナノバブルの消散を遅延させるかまたは防止する。電荷斥力が表面張力による表面最小化とは逆方向に作用しながら、界面における同様の電荷の存在は、明らかな表面張力を減少させる。気体/液体界面を好む付加的な帯電物質の存在により、いかなる効果も増加されてもよい。
【0067】
気体/液体界面の自然な状態は、負のようである。低表面電荷密度および/または高分極率を有するその他のイオン(Cl−、ClO2−、HO2−、およびO2−など)もまた、水和電子として、気体/液体界面を好む。水性ラジカルもまた、このような界面に存在することを好む。このため、陰極液(すなわち、陰極チャンバ56内を流れる水)中に存在するナノバブルは負に帯電しているが、陽極液(すなわち陽極チャンバ54内を流れる水)中に存在するものはほとんど電荷を保たない(過剰なカチオンが自然な負の電荷を相殺する)と考えられている。したがって、陰極液ナノバブルは、陽極液との混合に際してもその電荷を失いそうもない。
【0068】
また、気体分子は、陰極上の過剰な電位のため、ナノバブル内で帯電してもよく(O2−など)、それによってナノバブルの全体的な電荷を増加させる。帯電したナノバブルの気体/液体界面における表面張力は、帯電していないナノバブルと比較して低減される可能性があり、そしてそれらのサイズは安定する。表面張力が表面を最小化するのでこれは質的に高く評価され得るが、これに対して帯電した表面は、類似の電荷の間の斥力を最小化するために膨張する傾向がある。電気分解に必要とされるものに対する過剰な電力損失のため、電極表面における上昇温度もまた、局所的な気体可溶性を低下させることによって、ナノバブル形成を増加させる。
【0069】
類似電荷の間の反発力がその間の距離の2乗に逆比例して増加するため、泡径が減少するにつれて外向きの圧力が増加する。電荷の効果は表面張力の効果を減少させることであり、そして表面張力は表面を縮小させる傾向があり、その一方で表面電荷はこれを膨張させる傾向がある。このため、これらの対抗する力が等しいときに、平衡が達成される。たとえば、気泡(半径r)の内面上の表面電荷密度をΦ(e−/平方メートル)とすると、外向きの圧力(「Pout」)は、以下のナヴィエストークス方程式を解くことによって求められる:
【数1】
ここで、「D」は気泡の比誘電率(1と仮定)、「ε0」は真空の誘電率(すなわち8.854pF/メートル)である。気体の表面張力による内向きの圧力(「2Pin」)は:
【数2】
ここで、「g」は表面張力(25℃で0.07198ジュール/平方メートル)である。したがって、これらの圧力が等しい場合、気泡の半径は:
【数3】
【0070】
したがって、5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルのナノバブル径では、ゼロ超過内圧における計算された電荷密度は、たとえばそれぞれ0.20、0.14、0.10、0.06、および0.04e−/平方ナノメートルの泡表面積である。このような電荷密度は、電解セル(たとえば電解セル18)の使用によって容易に達成可能である。泡上の総電荷が2/3乗まで増加するにつれて、ナノバブル半径は増加する。平衡状態にあるこれらの状況下で、ナノバブル表面における液体の有効表面張力はゼロであり、そして泡の中の帯電ガスの存在は、安定したナノバブルのサイズを増加させる。泡サイズのさらなる減少は、内圧の減少を大気圧未満まで下げるため、示されていない。
【0071】
電解セル(たとえば電解セル18)の内部の様々な状況において、ナノバブルは、表面電荷によってさらに小さい泡に分割してもよい。たとえば、半径「r」および総電荷「q」の泡が容積および電荷を共有する2つの泡(半径r1/2=r/21/3、および電荷q1/2=q/2)に分割すると仮定し、泡の間のクーロン相互作用を無視すると、表面張力(ΔEST)および表面電荷(ΔEq)によるエネルギーの変化の計算は、以下のようになる:
【数4】
【0072】
ΔEST+ΔEqが負のときに起こるように全体的なエネルギー変化が負である場合、泡は準安定性であり、これによって以下が得られる:
【数5】
これによって半径および電荷密度(Φ)の間の関係が与えられる:
【数6】
【0073】
したがって、5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルのナノバブル径では、計算された泡の電荷密度はそれぞれ0.12、0.08、0.06、0.04、および0.03e−/平方ナノメートル泡表面積に分かれる。同じ表面電荷密度では、泡径は通常、泡を2つに分割するためよりも、見かけの表面張力をゼロに減少するための方が3倍大きい。このため、ナノバブルは一般的に、さらなるエネルギー入力がない限り、分割しない。
【0074】
上記で論じられた気相ナノバブルは、たとえば汚れ粒子を引きつけるようになっており、それによってそれらのイオン電荷を移動させる。ナノバブルは一般的な汚れ粒子によく見られる疎水性表面に密着し、これが好ましい負の自由エネルギー変化との高エネルギー水/疎水性表面界面から水分子を放出する。また、ナノバブルは、疎水性表面と接触すると広がって平坦化し、それによってナノバブルの曲率を低下して、結果的に表面張力によって生じる内圧が低下する。これは、さらなる好ましい自由エネルギー放出を提供する。帯電および被覆された汚れ粒子はその後、類似の電荷の間の斥力によって互いにより容易に分離され、そして汚れ粒子はコロイド粒子として溶液に侵入する。
【0075】
さらに、粒子の表面上のナノバブルの存在は、ミクロンサイズの気相泡による粒子の捕獲を増加させるが、これは電気化学的活性化工程の間にも発生してもよい。表面ナノバブルの存在はまた、この作用によって捕獲される汚れ粒子のサイズを減少させる。このような捕獲は、床表面からの汚れ粒子の除去に役立ち、そして再付着を防止する。また、気相ナノバブルによって達成される大きな気体/液体表面の面積対容積比のため、この界面に位置する水分子は、水の高い表面張力によって認識されるように、より少ない水素結合によって保持されている。別の水分子との水素結合のこの減少により、この界面水は、通常の水よりも活性化され、そして別の分子とより迅速に水素結合し、それによってより速い水和を呈する。
【0076】
たとえば、100%の効率で、1アンペアの電流は、1秒あたり0.5/96,485.3モルの水素(H2)を生成するのに十分であり、これは1秒あたり5.18マイクロモルの水素と同等であり、同様に、0℃の温度および1気圧の圧力で1秒あたり5.18×22.429マイクロリットルの気相水素と同等である。これはまた、20℃の温度および1気圧の圧力で1秒あたり125マイクロリットルの気相水素とも同等である。大気中の水素の分圧は事実上ゼロなので、電解溶液中の水素の平衡溶解度もまた事実上ゼロであり、そして水素は気孔(たとえばマクロバブル、マイクロバブル、および/またはナノバブル)の中に保持される。
【0077】
電解溶液の流量を1分あたり0.12USガロンとすると、毎秒7.571ミリリットルの水が電解セルを流れる。したがって、20℃の温度および1気圧の圧力で1リットルあたりの電解溶液に含有される泡の中には0.125/7.571リットルの気相水素が存在する。これは、液体表面から逃れるいずれの気相水素および溶液を過飽和させるために溶解するいずれの気相水素もない溶液1リットルあたり0.0165リットルの気相水素と同等である。
【0078】
10ナノメートル径のナノバブルの容積は5.24×10−22リットルであり、これは疎水性表面との結合において、約1.25×10−16平方メートルを覆う。このため、溶液1リットル毎に約4000平方メートルの複合表面被覆電位を有する、最大約3×10−19個の泡(20℃および1気圧で)が存在することになる。たとえば1分子の厚さしかない表面層を仮定すると、これは50ミリモルを超える活性表面水分子の濃度を提供する。この濃度は例示的な最大量を表すが、たとえナノバブルがより大きい容量およびより大きい内圧を有していても、表面被覆の電位は大きいままである。さらに、小さい割合の汚れ粒子面積のみが、ナノバブルに洗浄効果を持たせるためにナノバブルによって被覆される必要がある。
【0079】
したがって、電気化学的活性化工程において生成された気相ナノバブルは、このように電荷を移動させる汚れ粒子に付着するために有益である。結果的に発生する帯電および被覆された汚れ粒子は、類似電荷の間の斥力により、互いにより容易に分離される。これらは溶液に侵入して、コロイド浮遊液を形成する。さらに、気体/水界面の電荷は表面張力に対向し、それによってその効果および結果的な接触角度を減少させる。また、汚れ粒子のナノバブル被覆は、導入される、より大きい浮遊気相マクロバブルおよびマイクロバブルの捕獲を促進する。これに加えて、ナノバブルの広い表面積は、適切な分子のより迅速な水和が可能な、大量の、より反応性の高い水を提供する。
【0080】
4.管状電極の実施例
上述のように、図1に示される電解セル18は、図2および3に示されるもののような、いずれかの適切な形状または構成を有することができる。電極自体が、平面、同軸板、円筒形ロッド、またはそれらの組合せなど、いずれかの適切な形状を有することができる。
【0081】
図5は、説明的な例による管状形状を有する電解セル200の一実施例を示す。たとえば、セル200は、「Activeion(商標)Pro」の名前で、本願の譲受人の実施権者であるミネソタ州セントジョセフのActiveIon Cleaning Solutions,LLCより販売され、入手可能な、手持ち式スプレイボトルに収容された電解セルを含むことができる。
【0082】
電解セル200は、たとえば、本明細書に開示された実施形態のいずれにおいて使用されることも可能である。セル200の半径方向断面は、図5に示されるような円形、あるいは1つ以上の曲線縁を有する曲線形状および/または長方形などのその他の形状など、いずれの形状を有することもできる。具体的な例は、楕円形、長方形などの多角形、などを含む。
【0083】
セル200の部分は、説明目的のために切り取られている。この実施例において、セル200は、管状筐体202、管状外部電極204、および管状内部電極206を有する電解セルであり、管状内部電極206は、0.040インチなどの適切な間隙によって外部電極から分離されている。0.020インチから0.080インチの範囲の間隙など、ただしこれらに限定されない、その他の間隙サイズも使用されることが可能である。内部または外部電極のいずれも、印加される電圧の相対的な極性に応じて、陽極/陰極として機能することができる。
【0084】
イオン選択膜208は、外部および内部電極204および206の間に位置している。一実施例において、外部電極204および内部電極206は、開口を備える導電性ポリマ構造を有する。しかしながら、1つまたは両方の電極は、別の実施例において一体構造を有することができる。
【0085】
電極204および206は、たとえば導電性ポリマ、チタンおよび/または白金などの貴金属で被覆されたチタン、またはいずれかのその他の適切な電極材料など、いずれかの適切な材料から作られることが可能である。また、たとえば、複数のセル200が互いに直列または並列に結合されることが可能である。
【0086】
特定の実施例において、陽極または陰極電極のうちの少なくとも1つは、格子状の一定の大きさの長方形の開口部を備える金属メッシュで形成されている。特定の実施例において、メッシュは、1平方インチあたり20×20の格子開口部の格子パターンを有する、直径0.023インチのT316(またはたとえば304)ステンレス鋼で形成されている。しかしながら、別の実施例において、その他の寸法、配置、および材料も使用され得る。
【0087】
イオン選択膜208は、外部および内部電極204および206の間に位置する。特定の実施例において、イオン選択膜は、E.I.du Pont de Nemours and Companyの「NAFION」を含み、これは2.55インチ×2.55インチに切断され、その後内部管状電極206の周りに巻き付けられて、たとえば3M Companyの#1357接着剤などの接触接着剤を用いてのりしろに固定される。繰り返しになるが、別の実施例において、その他の寸法および材料も使用され得る。適切な膜のその他の例は、本明細書に記載された別の膜、および、たとえば、CMI−7000Sカチオン交換膜およびAMI−7001Sアニオン交換膜など、ニュージャージー州グレンロックのMembranes International Inc.より入手可能なものを含む。
【0088】
この実施例において、管状電極206の内部の容積空間の少なくとも一部は、筐体202の縦軸に沿った方向への、電極204および206ならびにイオン選択膜208に沿った、およびその間の、液体の流れを促進するために、硬質の内部コア209によって遮断されている。この液体の流れは、導電性であり、そして2つの電極の間に電気回路を完成させる。電解セル200は、いずれかの適切な寸法を有することができる。一実施例において、セル200は、約4インチ長の長さおよび約3/4インチの外径を有することができる。長さおよび直径は、処理時間、および液体の単位容積あたりで発生する、たとえばナノバブルおよび/またはマイクロバブルなどの泡の量を制御するように、選択されることが可能である。
【0089】
セル200は、セルの一端または両端に、適切な継ぎ手を含むことができる。プラスチック製クイック接続継ぎ手を通じてなど、いずれの取り付け方法も使用可能である。たとえば、1つの継ぎ手は、図1に示される吐出管20に接続するように構成され得る。別の継ぎ手は、たとえば注入口フィルタ16または注入管に接続するように構成され得る。別の実施例において、セル200の一端は、図1のリザーバ12から液体を直接引き込むために、開放されたままである。
【0090】
図5に示される実施例において、セル200は、陽極チャンバ(電極204または206のいずれか1つとイオン選択膜208との間)内で陽極液EA液体を、陰極チャンバ(電極204または206のもう一方とイオン選択膜208との間)内で陰極液EA液体を、生成する。陽極液および陰極液EA液体流路は、陽極液および陰極液EA液体が管20に侵入する際に、セル200の吐出口で接続する(図1の実施例において)。その結果、スプレイボトル10が、配合された陽極液および陰極液EA液体を、ノズル14を通じて分配する。
【0091】
一実施例において、管20および22の直径は、ポンプ24および電解セル18(たとえば図5に示されるセル200)が電圧印加されると管20および22が電気化学的に活性化された液体を迅速に呼び込むように、小さく維持される。管およびポンプに収容されているいずれの不活性液体も、小さい容積に保たれる。このため、スイッチ28の作動に応えて制御エレクトロニクス30がポンプおよび電解セルを始動する実施形態において、スプレイボトル10は、「オンデマンド」形式でノズル14において配合EA液体を生成し、陽極液および陰極液EA液体を保存する中間ステップを経ずに、組み合わせられた陽極液および陰極液EA液体の実質的に全てを(管20、22、およびポンプ24内に保持されるものを除く)、ボトルから分配する。スイッチ28が作動していないとき、ポンプ24は「オフ」状態にあり、そして電解セル18には電圧が印加されていない。スイッチ28が作動して閉鎖状態になると、制御エレクトロニクス30は、ポンプ24を「オン」状態に切り替え、そして電解セル18に電圧を印加する。「オン」状態において、ポンプ24は、リザーバ12からセル18を通じてノズル14を出るように水をポンプ移送する。
【0092】
その他の作動順序、構成、および配置も使用され得る。たとえば、制御回路30は、分配前に給水をより電気化学的に活性化できるようにするために、ポンプ24に電圧印加する前に、所定時間にわたって電解セル18に電圧印加するように構成されることが可能である。
【0093】
セル18からノズル14までの移動時間は、非常に短くすることができる。一実施例において、スプレイボトル10は、たとえば電解セル18によって陽極液および陰極液が生成され始める非常に短い時間内に、配合された陽極液および陰極液を分配する。たとえば、配合液は、陽極液および陰極液が生成される時間の5秒以内、3秒以内、および1秒以内などの時間内に、分配されることが可能である。
【0094】
望ましければ、管状電解セル200の1つ以上の具体的な非限定例のさらなる構造は、2009年6月19日出願の、Fieldらによる米国特許出願番号第12/488,360号明細書に提示および記載されている。これらの構造は、本明細書に開示されるいずれの実施形態、およびその変形例においても、使用可能である。
【0095】
5.電解吐出の消毒特性を強化する追加高圧電極の実施例
電解セルによって生成された電解液は強化された洗浄特性を有する可能性があるが、セルによって生成される陽極液、陰極液、および/または陽極液/陰極液の組合せの消毒特性をさらに強化することが、望ましいだろう。
【0096】
たとえば、電解セルに印加される電圧の特性およびセルに供給される液体(たとえば水道水)の特性によっては、セルによって生成される液体の化学的特性は、一貫した消毒特性を生じるのに十分ではない可能性がある。電気分解工程は一定量の次亜塩素酸を生成し、これは消毒特性を有することができるが、一般的な電気分解工程は、液体を通じての電荷移動をもたらすために「塩添加」に依存し、そして水道水には一貫性のない「塩」が存在し得る。これは、予測不可能な次亜塩素酸の濃度および予測不可能な消毒特性をもたらす可能性がある。
【0097】
本開示の1つ以上の実施形態において、電解セルの電極は、たとえば液体中に小さな電荷を生じることが、見出された。電解セルから吐出スプレイによって処理されている表面または容積までの液体路が、たとえば接地と比較して、導電性になり得ることも、見出された。1つ以上のセル電極および接地の間の電位は、液体によって接触される表面上または容積中の微生物の消毒を強化する。
【0098】
電位は、たとえば液体および/または液体/気体混合物を通じて微生物に印加され、そして、微生物の細胞にわたって印加される結果的な電場が十分な大きさであれば、電場は、以下により詳細に論じられるように、エレクトロポレーションおよび/または電気水圧衝撃などの機構を通じて、微生物に不可逆的損傷または破壊を生じさせることができる。
【0099】
本開示の説明的実施形態において、図1に示される手持ち式装置によって分配される液体を通じて移送される電荷は、液体吐出スプレイおよび/またはストリームに電位を付与、印加、誘発、もしくは引き起こすために、個別の電気伝導体、リード、またはその他の電気および/または電磁部品、たとえば高圧(相対的な意味で)電極35などの電極などによって、さらに強化されることが可能である。図1に示される実施例において、電極35は、たとえば電解セル18によって発生する電位と比較して、接地に対して個別のより大きい電位を発生させるために、液体路内に位置している。やはり図1に示される実施例において、電極35は管22に沿って位置している。しかしながら、電極35は、たとえば手持ち式装置によって分配された液体を帯電または追加帯電させるために電荷を誘導するために、リザーバ12からノズル14まで(またはスプレイボトル10の外部にまでも)の液体流路に沿ったいずれかの位置、またはその他の適切な位置に、配置されることが可能である。
【0100】
一実施例において、電極35は、電極の一部が管22を流れる液体と物理的に接触するように、管22の側壁を通じて挿入される、導電性スパイクまたは「とげ」によって形成される。別の実施例において、管22は、少なくとも部分的に、金属および/または導電性ポリマなどの導電性材料で作られている。たとえば、管22は、制御エレクトロニクス30から延在する電気リードに電気的に接続される、銅製部分を含むことができる。例示的実施例において、追加電極35は電解セルから分離して外側にあり、そして対応するリターン電極(たとえば、逆の極性の電極および/またはエレクトロポレーション電極のための回路接地を代表する電極)を有していない。別の実施形態における別の配置が利用されてもよいことは、理解されるだろう。
【0101】
制御エレクトロニクス30上の電源は、ACおよび/またはDC電圧(正の電圧など)を、リード35およびひいては管22の中の液体に移送するように構成されることが可能である。管22は、リード35から管の中で移送されている液体に電気を誘導し、こうしてノズル14に侵入する液体に電位および/または追加電位を印加するように、構成されている。この追加電位は、たとえば、微生物に与えられるエレクトロポレーション/電気水圧衝撃を増加させることができる。
【0102】
代替実施形態において、様々な電圧および電圧パターンが使用され得る。接地は、電極35によって形成される電気回路、ノズル14によって移送される液体ストリーム、およびストリームが適用される表面または容積を完成させるのに役立つ。
【0103】
たとえばリザーバ12からノズル14の吐出(またはボトル10の外側)まで、ボトル10の流路に沿ったいずれの箇所にも、追加電圧(および/または電流)が印加され得る。たとえば、ノズル14が少なくとも部分的に導電性であれば、リード35はノズル14と結合されることが可能である。別の実施例において、リード35は、流路に沿ったいずれかの箇所で液体と接触するプローブチップと、電気的に結合される。別の実施例において、リード35は、導電性である場合に、ポンプを通過する液体に電荷を移送する、ポンプ24の筐体と電気的に結合される。さらに別の実施例において、リード35は、電解セル18内に収容されている液体に追加電荷を移送することができる。さらに別の実施例において、電解セル18はボトルから排除され、ここでノズル14から噴霧される液体は、電気化学的に活性化されないが、しかしエレクトロポレーション/電気水圧衝撃を引き起こすリード35などの導体の結果として、まだ電荷を担持することができる。
【0104】
5.1 高圧エレクトロポレーション電極の実施例
図6は、本開示の例示的実施形態による、高圧エレクトロポレーション電極35の分解図である。電極35は、アダプタ240、ワッシャ242、端子244、およびナット246を含む。アダプタ240は、たとえば管22(図1に示す)の2つの部分の間を接続するための、オスコネクタ(たとえば、とげ)を備える2つの対向する末端を有する。アダプタ240は、装置の液体流路に沿って、一端からもう一端まで液体を通過させるための内腔を有する。アダプタ240は、銅、真ちゅう、および/または銀のような導電性材料など、いずれかの適切な材料で形成されることが可能である。特定の実施形態において、アダプタ240の少なくとも一部は、銀で形成または被覆される。たとえば、アダプタ240は真ちゅうで形成されることが可能であり、ここで液体と接触する表面の少なくとも一部は、銀で被覆される。たとえば、内径および外径表面が、銀で被覆される。
【0105】
ナット246はアダプタ240の一端にネジ留めされ、それによって端子244およびワッシャ244をアダプタと電気的にきつく接触した状態に保持する。端子を制御エレクトロニクス30(図1に示す)と電気的に接続するため、電気リード(図示せず)が端子244に取り付けられることが可能である。アダプタ240は導電性なので、端子244を通じてアダプタ240に印加される電位は、噴霧される表面に対して、アダプタ内を流れる液体に印加される。
【0106】
別の実施形態において、電極35は導電性スパイクによって形成され、これは、スパイクが管を流れる液体と電気的に接触するように、管22の側壁を通じて延在する。その他の構成が使用されることも可能である。
【0107】
さらに別の実施形態において、電極は、導電性ノズルによって形成されることが可能である。たとえば、図1のノズル14または図10Aのノズル508は、銀メッキされた真ちゅうなど、ただしこれに限定されない、少なくとも部分的に導電性の材料で形成されることが可能である。
【0108】
銀メッキもまた、消毒作用を強化する。銀は、流路に沿って流れる液体との良好な導電性を提供するだろう。電位が電極35に印加され、電流が液体吐出スプレイを通じて電極35から表面に流れるとき、銀イオンが電極から液体の流れに移動することも、可能である。銀イオンは、いくつかの細菌、ウイルス、藻類、および菌類に対する毒性を有することが知られている。したがって、銀電極の使用は、分配液および/または液体/気体混合物の消毒特性をさらに強化することができる。
【0109】
5.2 エレクトロポレーション機構の実施例
以下の議論は、実施例としてのみ提供され、そして本開示、本明細書に記載される実施例の動作、および/またはここに添付されるいずれかの発行された請求項の範囲を限定するように意図するものではない。
【0110】
図7Aは、スプレイノズル14からのスプレイ吐出250を示す図であり、ここでそれぞれの液滴は、ノズルから処理されている表面まで、異なる経路、たとえば「a」および「b」を通る。表面252は、接地などのグラウンド254までの導電路を有しても有さなくてもよい。
【0111】
図7Bは、図1に示されるスプレイボトル10からの吐出スプレイ250を用いて噴霧表面252(図7A)によって実現されるエレクトロポレーション機構の実施例を示す図である。表面35上に分配された吐出スプレイ250は、導電性浮遊媒体を形成することが見出された。図7Bは、吐出スプレイ250からの分配液によって表面252から浮遊される微生物の細胞膜256に印加される、結果的な電場「E」を示す。吐出スプレイ250および表面252上に分配された液体はともに、たとえば電極35から表面252までの伝導経路を形成する。電極35から電解水スプレイへの印加交流電位の追加は、吐出スプレイ250に、非常に強化された消毒作用を与えるようである。この現象は、不可逆的エレクトロポレーションと関連がある。特定の実施形態において、交流電位は、異なる有機体にとって様々な効果を有する600V、28kHzにおいて、特に効果的なようである。しかしながら、別の実施形態において、その他の電圧および周波数が使用され得る。
【0112】
細胞死をもたらすエレクトロポレーションは、少なくとも0.5Vの膜内外電位差によって実現可能であることが知られている(たとえば、膜厚がおおむね〜3nmである場合)。構成によっては、このような電位は、約10kV/cm以上のパルスを必要とする可能性がある。たとえば、細胞毒素の存在下で、または正常に可逆的に形成された孔の再封止を防止するための追加機構の利用可能性がある場合、より低い電位が有効である可能性がある。エレクトロポレーションは一般的に低電位で「可逆的」なツールとして使用されるが、これらの条件下でも小さい割合の細胞しか回復されない場合が多いと認識されていることに留意されたい。
【0113】
細胞は、多くの膜を失った状態でも比較的長期間生存することができると知られているので、細胞膜における穴の形成は、それだけでは細胞死を引き起こすには不十分である。
【0114】
セルに出入りする物質の電気泳動および電気浸透(毛細管電気泳動)運動によって生じる可能性のある、細胞の代謝状態の乱れによって、細胞死が訪れる。拡散自体は一般的に非常に遅い。電気泳動および電気浸透を実現するために、図7Cに示されるように、表面内で十分な電力が散逸される必要がある。
【0115】
異なる微生物は、異なる総表面電荷および電荷分布を有し、そのため細胞死については相互に異なった反応をする。これらは、場の振動においても異なる振る舞いをし、そして最大吸収で異なる共振周波数を有する(したがって水溶液に対する最大運動でもそうであり、それらの代謝に対して最大の混乱を引き起こす)。出入り運動は、主に電位勾配に依存する。システムが共振していると、効果が増大する。
【0116】
細胞に移送される電位勾配および噴霧表面に散逸される電力を考慮すると、特定の実施例において、スプレイ装置は、部分的には真のエアロゾル(〜1μ液滴)であるが大部分は10μよりはるかに大きい液滴サイズのミストであってもよい、微細スプレイを移送する。液滴サイズおよび速度プロファイルは、実施形態によって異なってもよい。
【0117】
ノズルを出る液体の速度は、噴霧される液体の量を排出オリフィスの面積で割って単純に計算される。しかしながら、液滴速度のその後の減少は、液滴サイズに依存する(質量対表面積の比率)。10μおよび50μの液滴の最終速度は、それぞれ約10−3m/sおよび10−1m/sしかない。
【0118】
噴霧された水滴は、異なる速さで降下し、そして高速交流電位(たとえば28kHz)に関しては、時間差が重要になる。たとえば、図7Aにおいて、経路(b)は、たとえば約1cmだけ、経路(a)よりも長くなる。降下速度(液滴サイズ、流量、およびノズル形に依存する)は、着地する液滴の間の時間差を決定するが、しかしこれは36μsの電位サイクル時間の数倍以上になりそうである。
【0119】
電位が降下時間によって決定される場合、噴霧電場の周辺に向かってより大きい電場勾配を有する二次元表面内に、著しい電位勾配が存在することになる。中心からちょうど1cm出た液滴は、10m/sで移動していても、まだあと約0.03cm移動するが、これは電位の1サイクルに等しい。これらの電位勾配は、液滴が噴霧器電極と効果的に連続接触していない場合に存在する可能性がある。液滴が異なる経路(および結果的な降下時間)を取るにもかかわらず、全てのスプレイが表面との衝突時に同じ電位を有する場合、電位勾配はそのような表面内ではなく、表面と「アース」との間にあり、これらは表面が「アース」されていない場合には電気多孔性を生じるのに十分ではない可能性がある。
【0120】
開孔を有する細胞は、侵入に対するバリアを有していないので、水溶液中の細胞毒素の影響をはるかに受けやすい。交流電位とともに移送される潜在的な細胞毒素は、過酸化物、酸化塩素、ならびに超酸化物、オゾンおよび一重項酸素、および第二銅イオンおよび/または銀イオンなどの重金属イオンなど、その他の酸化還元剤である。
【0121】
帯電したナノバブルは、電場内を移動し、そして表面から物質を捕獲することができるようになる。これらは表面活性なので、孔の再封止をさらに妨害し、たとえば図7Cに示されるように、細胞毒性表面活性分子を孔部位に優先的に移送してもよい。
【0122】
上記を鑑みて、たとえば図1に示されるスプレイボトル10によって生成された電解水は、小さな帯電した泡の生成のため、洗浄剤として機能する。これらは自身を汚れ粒子/微生物に付着させ、そうしてその電荷を移動させる。帯電および被覆された粒子は、これらの類似電荷の間の斥力によって相互に分離し、そして浮遊液として溶液に侵入する。小さな泡による汚れの被覆は、洗浄中に導入されるより大きい浮遊泡によるその捕獲を促進し、こうして洗浄工程に役立つ。同時に、微生物は、追加電極35によって発生する電位によって電気穿孔および殺滅または除去されて、たとえば表面上の微生物の数を減少させる。
【0123】
このため、消毒能力特性を強化するためには、たとえば水性流体を通じてグラウンド(接地など)に高圧を放電(相対的な意味で)することによって、より一貫した効果的な微生物作用の破壊を実現するために、エレクトロポレーションが使用され得る。
【0124】
電解セルによって生成される電気化学的に活性化された液体とエレクトロポレーションによって印加された電場との組合せが相乗効果を有することも、見出された。電気化学的に活性化された液体において生成された帯電したナノバブルが電場内を移動すると、これらが微生物を捕獲して、これらを表面から分離すると考えられている。表面上の液体の中に浮遊されるように、微生物を表面から分離することによって、エレクトロポレーション電極によって表面に沿って発生した電場は、微生物細胞全体に、より容易に印加される。これに対して、微生物が表面と接触している場合、電場は表面グラウンド内により容易に放出され、そして有機体細胞の不可逆的エレクトロポレーションの形成においてより効果的ではなくなるだろう。細胞が浮遊された状態で、印加された交流電場は前後に振動して、細胞に損傷を生じさせる。
【0125】
代替実施形態において、微生物浮遊液は、電解セルによって生成された電気化学的に活性化された液体以外の機構を通じて実現される。たとえば、微生物は、洗剤および/または機械的作用または組合せを使用して、浮遊されることが可能である。その他の浮遊機構の具体例は、たとえば、分配液のORPを変化させるいずれかの機構(正のORP、負のORP、または両方の組合せを有する分配液を生成する)を含む。たとえば、通常の水道水は、洗浄効果を強化した、負のORP(−50ミリボルトから−600ミリボルトなど、ただしこれらに限定されない)を有するように変更されてもよいことが見出された。これらの強化された洗浄効果は、たとえば、分配液内の表面より上で微生物を浮遊させるのに役立つことができる。本明細書に記載されるように、電解セルを通じて負(および/または正)のORPが実現可能であるが、これは界面活性剤(および/または界面活性剤を担持する洗剤)の使用によって、および/または分配された液体に、液体のORPを変化させる、フィルタまたはゼオライトなどの物質を含有するその他の機構を通過させることによってなど、その他の機構によっても実現可能である。
【0126】
本明細書により詳細に記載されるように、ゼオライトは、そのタイプによっては、イオン交換によって通常の水道水などの液体に負のORP(および/または正のORP)を付与することができる。このため、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上において、電解セルは、たとえばゼオライトフィルタに置き換えられ、あるいはフィルタが電解セルと組み合わせて使用される。このようなフィルタは、たとえば液体の流れに沿っておよび/または源液容器内のどこにでも位置することができる。樹脂またはその他のマトリクスなど、イオン交換に適したその他の材料または機構が、変更されたORPを付与するその能力に応じて、別の実施形態において利用されてもよい。
【0127】
エレクトロポレーション電極は、電解セルを使用してもしなくても、微生物を不活性化するために分配液内で化学物質を使用する化学システムなど、その他の湿式洗浄技術と組み合わせて(本明細書に開示される様々な実施形態においてなど)使用されてもよい。これらの化学湿式洗浄技術は、たとえば多孔質表面など、ある表面上で、より長い滞在時間およびひいてはより大きい消毒効果を提供する可能性がある。
【0128】
5.3 手持ち式スプレイボトルによるエレクトロポレーションの実施例
図8に示される実施形態において、本開示の態様は、手持ち式スプレイ装置300によって担持される電解セルによって発生する霧状スプレイなどの帯電媒体において、微生物に電位または電気化学圧力を印加することによって、微生物を不活性化または破壊するための工程に関する。しかしながら、スプレイボトル300は、本明細書に記載される電解セルおよび高圧エレクトロポレーション電極を有するいずれかのその他の装置またはシステムに置き換えられることが可能である。
【0129】
図8に示されるように、手持ち式スプレイボトル300のスプレイノズルは、帯電した吐出スプレイ302として電気化学的に活性化された液体を分配するが、これはスプレイの電気的に結合された流路を形成する。吐出スプレイ302が表面304に接触すると、スプレイ302の電気的流路は、表面と電気的に結合し、こうしてセル電極および高圧エレクトロポレーション電極から表面までの導電経路を完成させる。この経路は、表面上に存在する微生物まで電荷が移送されるのを可能にする。
【0130】
さらに、表面が吐出スプレイによって担持される液体で濡れると、吐出スプレイおよび吐出スプレイによる直接接触から離れている表面上の様々な領域の間に液体の導電経路が存在する限り、電荷は湿潤表面全体におよびこれに沿って伝導することが見出された。表面が、直接接触の領域と、測定が行われる遠隔領域との間の液体の連続的な経路を有する場合、吐出スプレイによる直接接触から離れた領域において電荷が測定され得ることも、見出された。
【0131】
たとえば、図9は、部分的に湿った表面304の平面図を示す。スプレイ302が表面304に接触すると、スプレイ302によって担持される液体が導電経路306を形成するが、これは、吐出スプレイから、この吐出スプレイと直接接触していない遠隔領域308まで、電荷を運搬する。この導電経路は、吐出スプレイが表面に沿って前進する際に、表面の様々な領域が電荷によって処理される時間の長さを増加させるのに役立つことができる。
【0132】
本開示の一態様において、スプレイボトル300(またはその他の液体移送装置)は、処理されている表面上の1つ以上の微生物によって所有される細胞内および細胞外静電容量の限界を超える移送電荷の大きさが結果的に生じるようなやりかたで、吐出液を通じて電荷を移送するように、構成および操作される。一実施例において、装置は、装置から分配された液体と接触している表面上の微生物のうちの1つ以上の細胞において少なくとも0.5ボルトの膜内外電位差を実現するように、構成および操作される。
【0133】
6.特定のスプレイボトルの実施例
6.1 ボトル構成例
図10Aは、図1に模式的に示されるスプレイボトルの商業的実施形態の特定の例を示す。図示される特定のボトル構成および構造は、非限定的な実施例としてのみ提供される。
【0134】
望ましければ、スプレイボトル500の1つ以上の具体的な非限定例のさらなる構造は、2009年6月19日出願の、Fieldらによる米国特許出願番号第12/488,368号明細書に提示および記載されている。これらの構造は、本明細書に開示されるいずれの実施形態、およびその変形例においても、使用可能である。
【0135】
商業的実施形態は、現在は手持ち式スプレイボトルの形態で入手可能であり、これは、「Activeion(商標)Pro」の名前で、ミネソタ州セントジョセフのActiveIon Cleaning Solutions,LLCより販売され、入手可能である。図10A〜10Cに示される実施例における実施形態は、エレクトロポレーション電極および関連する制御回路などの追加に関する変更を伴うが、先のスプレイボトルと類似している。
【0136】
図10Aにおいて、ボトル500は、基体502を形成する筐体501、ネック504、およびバレルまたはヘッド506を含む。バレル506の先端は、ノズル508およびドリップ/スプラッシュ保護部509を含む。一実施例において、ノズル508は真ちゅうで形成されている。ドリップ/スプラッシュ保護部509は、たとえばユーティリティカートにボトル500を掛けるための便利なフックの役割も果たす。筐体501は、ネジなどによって一体に取り付けられた、実質的に左右対称の左手および右手側面を備える、クラムシェル型構造を有する。基体502は、処理されてその後ノズル508を通じて分配される液体のリザーバとして機能する、容器510を収容する。容器510は、ネック、および容器510が液体で満たされるようにするために基体502を通じて延在するネジ溝付き注入口(スクリューキャップ付き)512を有する。注入口512は、キャップシールを受けるためにネジ溝が刻まれている。
【0137】
この実施例において、筐体全体または筐体の一部は、少なくとも半透明である。同様に、容器510も、少なくとも半透明の材料で形成されている。たとえば、容器510は、透明なポリエステル材料の吹き込み成型品として製造されることが可能である。以下により詳細に説明されるように、筐体501は、複数のLED表示灯594、596を担持する回路基板も含む。この実施例においては、ボトルの各コーナーに対になって配置された、4つの赤色LED594および4つの緑色LED596(やはり透視によって示される)がある。灯りは、容器510の基体壁を通して容器内に収容されるいかなる液体内にも光を透過させるために、容器510の基体の下方に位置している。液体は、光の少なくとも一部を拡散させ、照射されている液体の外観を見せる。制御エレクトロニクスによって制御される、光の色および/またはオン/オフ変調、強度などのその他の照明特性は、ボトルの機能状態の表示をユーザに与えるために、ボトルの外部から観察可能である。
【0138】
たとえば、液体は、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能していることを示すために、緑色LEDが点灯され得る。このため、ユーザは、ノズル508から分配される被処理液体が、容器510に収容される源液と比較して、強化された洗浄および/または消毒特性を有することを、確信することができる。また、まだ処理されていないとはいえ、容器510内の源液の照明は、液体が「特別」であって、強化された特性を有するという印象を与える。
【0139】
同様に、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能していない場合、制御エレクトロニクスは赤色LEDを点灯し、源液を赤く見せる。これはユーザに、問題が発生していて、分配液が強化された洗浄および/または消毒特性を有していない可能性があるという印象を与える。
【0140】
図10Bは、筐体501の左手側501Aに取り付けられた様々な部品を示す。容器510はコンパートメント531に取り付けられ、回路基板540はコンパートメント532に取り付けられ、電池542はコンパートメント533に取り付けられ、そしてポンプ/セルアセンブリ544はコンパートメント534に取り付けられている。容器510、ポンプ/セルアセンブリ、およびノズル508を接続する様々な管は、図10Bには示されていない。
【0141】
ボトル501のバレル(またはヘッド)506の後端は、充電器(図示せず)のコードを接続するための電源ジャック523を含む。ボトル500が充電池を担持する実施例において、電池はジャック523を通じて再充電される。
【0142】
図10Cは、筐体の半分501Aのバレル506に取り付けられたポンプ/セルアセンブリの部分拡大図を示す。ポンプ/セルアセンブリ544は、ブラケット554内に実装されたポンプ550および電解セル552を含む。電解セル552は、容器510の吐出口から延在する管(図示せず)に流体的に結合された注入口556、および別の管(これも図示せず)を通じてポンプ550の注入口555に流体的に結合された吐出口557を有する。ポンプ550は、ノズル508の注入口558に流体的に結合された吐出口を有する。一実施例において、電解セル552は、図5を参照して論じられた管状電解セル200に相当する。しかしながら、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されているものなど、この実施形態および本明細書に開示される別の実施形態におけるいずれの適切な電解セルも、図8A、8B、および9において開示された電解セル(たとえば機能的発生器)を含むが、これらに限定されない。Oリング560は、筐体501に、ノズル508の周りの封止を提供する。また、ポンプ550は、セル552の上流または下流に位置することができる。
【0143】
図6を参照して上述されたように、この実施例において、高圧エレクトロポレーション電極35は、セル552の吐出口557とノズル508の注入口558との間に流体的に結合されている。電極アダプタ240(図6に示す)は、ノズル508に流れている流体に電気的接続を提供するために、吐出口557および注入口558を接続する管の中で接合されている。しかしながら、電極35は、ボトル500の流体流路に沿った別の箇所に位置することもできる。
【0144】
ボトル500は、瞬時押しボタン式オン/オフスイッチ572を作動する、トリガ570をさらに含む。トリガ570は、ユーザによって押下されると旋回軸の周りで作動する。バネ(図10Cには見えず)は、トリガ570を通常の解放状態に、したがってスイッチ572をオフ状態に、付勢する。スイッチ572は、図10Aに示される、回路基板540上の制御エレクトロニクスに接続するための電気リードを有する。
【0145】
トリガ570が押下されると、スイッチ572が「オン」状態に作動し、それによって制御エレクトロニクスに電力を供給し、これがポンプ550および電解セル552に電圧を印加する。電圧が印加されると、ポンプ550は、容器510から液体を引き出し、そして電解セル552およびエレクトロポレーション電極アダプタ240(図6)を通じて液体をポンプ移送して、これが組み合わせられた陽極液および陰極液EA液体をノズル508に移送する。ポンプ550および/または電解セル552が適切に機能しているとき、制御エレクトロニクスは、回路基板上またはボトル500の中または上の別の位置に取り付けられた緑色LEDも点灯させる。
【0146】
例示的な実施例において、ノズル508は、エレクトロポレーション電極35によって印加された電場を、分配液を通じて、処理されている表面または容積空間に伝導するのに十分な流体ストリームを、使用中に維持する。いくつかのノズルに関して、吐出ストリームに沿って導電性を分断する可能性のある液体ストリームのキャビテーションを生じさせてもよく、このため処理されている表面に印加される電場を減少させる可能性があることが、見出された。導電性ノズル(真ちゅう、その他の金属、および/または導電性プラスチック)を使用することは、ノズル内で液体のある程度のキャビテーションが起こったとしても、たとえばエレクトロポレーション電極35からノズルを通じて、表面に移送される吐出スプレイまでの、妥当なまたは所望の液体路に沿った導電性経路を維持するのに役立つだろう。適切なノズルの説明的な例は、イリノイ州ホイートン私書箱7900のSpraying Systems Co.の#TT276−1/8M−2水圧噴霧ノズルである。また、このノズルは、たとえば25〜40psiの圧力で使用される。別の実施例において、その他のタイプのノズルおよび圧力範囲が使用可能である。
【0147】
真ちゅうノズルなど、導電性ノズルを使用するときには、スプレイ吐出用の開口を有する、ノズル上のプラスチックキャップを使用することなどによって、たとえば誘電体を用いて、ノズルの外面を絶縁することも、有利であろう。たとえばノズルが導電性表面または人間の皮膚と接触する場合、プラスチックキャップは放電を制限してもよい。
【0148】
6.2 制御回路の実施例
6.2.1 電解セルの駆動電圧の実施例
図11は、本開示の例示的態様による、電解セル552(図10A〜10Cでボトル内に示す)の陽極および陰極に印加される電圧パターンを示す波形図である。実質的に一定の、相対的に正の電圧が陽極に印加され、その一方で実質的に一定の、相対的に負の電圧が、陰極に印加される。しかしながら、周期的に、各電圧は、スケール付着に反発するために、短期間だけパルスがかけられて相対的に逆の極性になる。いくつかの実施例においては、スケール付着が電極表面に形成されるのを制限するという要望がある。この実施例において、時間t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、およびt6〜t7より、相対的に正の電圧が陽極に印加され、そして相対的に負の電圧が陰極に印加される。時間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8の間は、各電極に印加される電圧が反転される。反転された電圧レベルは、反転されていない電圧レベルと同じ大きさを有することができ、あるいは望ましければ異なる大きさを有することもできる。
【0149】
各々の短期極性切り替えの頻度は、望み通りに選択され得る。反転の頻度が増加すると、スケーリングの量が減少する。しかし、電極は、反転のたびに少量の白金(白金被覆電極の場合)を失う可能性がある。反転の頻度が減少すると、スケーリングが増加する可能性がある。一実施例において、矢印300で示される、反転の間の期間は、約1秒から約600秒の範囲である。この範囲外のその他の期間も、使用されることが可能である。この実施例において、時間t2およびt3の間など、通常の極性303の期間は、少なくとも900ミリ秒である。
【0150】
電圧が反転される期間もまた、望み通りに選択され得る。一実施例において、矢印302で示される反転の期間は、約50ミリ秒から約100ミリ秒の範囲である。この範囲外のその他の期間も、使用されることが可能である。
【0151】
たとえばこれらの範囲を用いて、弁調整を必要とすることなく、各陽極チャンバは実質的に一定の陽極液EA液体吐出を行い、各陰極チャンバは実質的に一定の陰極液EA吐出を行う。先行技術による電気分解システムでは、スケーリングを最小限に抑えるためにまだ極性を反転させながら、それぞれの吐出口を通じて一定の陽極液および陰極液を保持するために、複雑で高価な弁調整が使用される。
【0152】
陽極電極の数が、たとえば3:2の割合で、陰極電極の数と異なる場合、または陽極電極の表面積が陰極電極の表面積と異なる場合には、印加される電圧パターンは、生成される液体において陽極液または陰極液のいずれかの量を多く生成するために、上記の方法で使用されることが可能である。管状電解セル552(図5に示されるセル200など)を用いて、外部円筒形電極204は、内部円筒形電極206よりも大きい直径を有し、したがってより大きい表面積を有する。強化された洗浄特性を際だたせるために、制御回路はたとえば、駆動電極パターンの期間の大部分において、外部電極204(または異なる数の陽極および陰極を有する実施形態において数が多い方の電極)が陰極として機能し、内部電極206(または異なる数の陽極および陰極を有する実施形態において数が少ない方の電極)が陽極として機能するように、セル200を駆動するように構成されることが可能である。陰極は陽極よりも広い表面積(またはより多い数の電極)を有するので、セル200は、たとえばセルの組み合わせられた吐出口を通じて、単位時間あたり陽極液よりも多くの陰極液を生成する。
【0153】
消毒が強調されるべきである場合には、外部電極204(または数が多い方の電極)は相対的に正の極性となるように駆動されることが可能であり(より多くの陽極液を生成するため)、内部電極(または数が少ない方の電極)は相対的に負の極性となるように駆動されることが可能である(より少ない陰極液を生成するため)。
【0154】
図11を参照すると、この実施例において、制御回路は、時間t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、およびt6〜t7より、陽極(電極206)に相対的に正の電圧を、そして陰極(電極204)には相対的に負の電圧を、印加する。時間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8の間は、各電極に印加される電圧は短時間だけ反転される。
【0155】
電極のスケール剥離のためのこのように頻繁な短時間の極性反転は、電極のメッキによく使用される白金などの物質を、電極表面から脱落させる傾向も有する可能性がある。このため一実施形態において、電極204および206は、金属電極または導電性プラスチック電極など、無メッキ電極を含む。たとえば、電極は、無メッキ金属メッシュ電極であってもよい。
【0156】
例示的な実施形態において、スプレイボトル(またはその他の装置)は、図11に示される波形(または電解セルに印加されるいずれかの別の波形)を選択的に反転させるために使用され得るスイッチを、さらに含むことができる。たとえば、スイッチは、陰極液よりも多くの陽極液を生成するためにある位置に設定されてもよく、陽極液よりも多くの陰極液を生成するために別の位置に設定されてもよい。制御回路は、スイッチ位置を監視し、そしてスイッチ位置に応じて電解セルに印加される電圧を調整する。
【0157】
しかしながら、電解セルの電極は、セルの特定の用途に応じて、様々な異なる電圧および電流で駆動されることが可能である。
【0158】
別の実施例において、電極は、所定の期間(たとえば約5秒間)1つの極性で駆動され、その後おおむね同じ期間だけ逆の極性で駆動される。陽極液および陰極液EA液体はセルの吐出口において配合されるので、この工程は、基本的に一部で陽極液EA液体、一部で陰極液EA液体を生成する。
【0159】
別の実施例において、セル電極は、パルスDC電圧波形で駆動され、ここで電極に印加される極性は反転されない。「オン/オフ」期間および印加電圧レベルは、望み通りに設定可能である。
【0160】
6.2.2 電解セル用制御回路の実施例
電解セルに印加される波形は、たとえば図10Bに示される回路基板540上にある、図1に示される制御回路30によって制御される。制御回路30は、いずれかの適切な制御回路を含むことができ、そして、たとえばハードウェア、ソフトウェア、またはその両方の組合せ上で、実行されることが可能である。
【0161】
制御回路30は、ポンプ24および電解セル18の動作に動力を供給し、これを制御するための電子デバイスを含有する、プリント回路基板を含む。一実施例において、制御回路30は、ポンプ24および電解セル18に結合される出力を有し、この2つの装置に供給される電力を制御する、電源を含む。制御回路30はまた、たとえば制御回路によって発生する制御信号に応じて電解セル18に印加される電圧の極性を選択的に反転させることが可能な、Hブリッジも含む。たとえば、制御回路30は、5秒ごとに50%のデューティサイクルなど、所定のパターンで極性を交互に切り替えるように構成されることが可能である。上述の別の実施例において、制御回路30は、最初に第一極性でセルに電圧を印加し、非常に短い期間だけ極性を周期的に反転させるように、構成されている。
【0162】
手持ち式スプレイボトルとの関連において、大型電池を担持することは不便である。したがって、ポンプおよびセルに利用可能な電力は、ある程度限定される。一実施例において、セル用の駆動電圧は、約18ボルトから約28ボルトの範囲である。しかし、スプレイボトルおよび電解セルを通る一般的な流量はかなり低いので、比較的小さい電流のみが、セルを通過する液体を効率的に活性化させるために必要とされる。低流量では、セル内の滞留時間は比較的長い。セルに電圧が印加されている間、液体がセル内に長く滞在するほど、電気化学的活性化が大きくなる(現実的な制限内で)。これにより、たとえばスプレイボトルは、より小容量の電池およびDC−DCコンバータを採用することができ、これは電圧を低電流で所望の出力電圧まで段階的に上昇させる。
【0163】
スプレイボトルが4つのAA電池を担持する特定の実施例において、電池は、たとえば約3ボルトから約9ボルトの範囲の出力電圧を有してもよい。たとえば、各々のAA電池は、たとえば約500ミリアンペア時から約3アンペア時で、1.5ボルトの公称出力電圧を有してもよい。電池が直列に接続されている場合、公称出力電圧は、約500ミリアンペア時から約3アンペア時の容量で、約6Vになる。この電圧は、18ボルトから28ボルトの範囲まで、またはたとえば18ボルトから38ボルトの範囲で、DC−DCコンバータを通じて段階的に上昇することができる。このため、十分な電流で所望の電圧が達成され得る。
【0164】
別の特定の実施例において、スプレイボトルは10個のニッケル水素電池を担持し、その各々が約1.2ボルトの公称出力電圧を有する。電池は直列に接続されており、そのため公称出力電圧は、たとえば約1800ミリアンペア時の容量で、約10ボルトから約13.8ボルトである。この電圧は、8ボルトから少なくとも28ボルトの範囲まで、またはたとえば約8ボルトから約38ボルトの範囲まで、DC−DCコンバータを通じて段階的に上昇/降下する。このため、十分な電流で所望の電極電圧が達成され得る。電池のサイズが小さくなるにつれて、さらに小さい電池サイズ、数、組合せ、または容量の電池またはコンバータなどのその他の関連する電気機器が、代替実施形態において利用されてもよいことは、理解されるだろう。
【0165】
セルを通じて大電圧および適切な電流を生じる能力は、通常の水道水がセルを通じて供給され、強化された洗浄および/または消毒特性を有する液体に変換される用途において、有益であろう。通常の水道水は、セルの電極の間に、比較的低い導電性を有する。
【0166】
適切なDC−DCコンバータの例は、米国ニューヨーク州ペラムのPICO Electronics,Inc.からのSeries A/SM表面実装コンバータ、および米国アリゾナ州フェニックスのON Semiconductorからの、ブースト用途で接続された、NCP3064 1.5Aステップアップ/ダウン/反転スイッチングレギュレータを含む。
【0167】
一実施例において、セルを通して引き出される電流が所定の電流範囲内となるように制御された電圧を、DC−DCコンバータが出力するように、制御回路は、検知された電解セルからの引き込み電流に基づいて、DC−DCコンバータを制御する。たとえば、目標電流引き込みは、特定の実施例において約400ミリアンペアである。別の実施例において、目標電流は350ミリアンペアである。代替実施形態において、その他の電流および範囲が使用されることも可能である。所望の電流引き込みは、電解セルの形状、処理される液体の特性、および結果的に生じる電気化学反応の所望の特性に依存してもよい。
【0168】
制御回路30の特定の実施例を示すブロック図が、図12に示される。図12に示される制御回路は、図10A〜10Cに示されるものなどのスプレイボトルの様々な部品を制御するように構成されているが、制御回路はこのまま使用されることも可能であり、または本開示の代替実施形態によるいずれかの別の装置上の類似の要素を制御するために、望み通りに変更されることも可能である。
【0169】
制御回路30の主要部品は、マイクロコントローラ1000、DC−DCコンバータ1004、および出力ドライバ回路1006を含む。
【0170】
様々な部品への電力は、たとえば図10Bに示されるように、ボトルによって担持される電池パック542によって供給される。特定の実施例において、電池パック542は10個のニッケル水素電池を担持し、その各々が約1.2ボルトの公称出力電圧を有する。電池は直列に接続されており、そのため公称出力電圧は、たとえば約1800ミリアンペア時の容量で、約10ボルトから約12.5ボルトである。ハンドトリガ570、572(たとえば図10A〜10Cに示す)は、電池パック542から電圧レギュレータ1003およびDC−DCコンバータ1004へ、12ボルト出力電圧を選択的に印加する。Fairchild Semiconductor CorporationからのLM7805レギュレータなど、いずれの適切な電圧レギュレータも使用され得る。特定の実施例において、電圧レギュレータ1003は、制御回路内の様々な電気部品に電力供給するために、5ボルトの出力電圧を提供する。
【0171】
DC−DCコンバータ1004は、電解セル552の電極全体に印加される、出力電圧を発生する。コンバータは、電解セルを通じて所望の電流引き込みを実現するために、駆動電圧を段階的に上昇または降下するように、マイクロコントローラ1000によって制御される。特定の実施例において、コンバータ1004は、ポンプ550が容器510からセル552を通じてノズル508を出るように水をポンプ移送する際に(図10A〜10C)、約400ミリアンペアの電解セル552を通じての電流引き込みを実現するために、8ボルトから28ボルト(またはそれ以上)の範囲の間で、電圧を段階的に上昇または降下させる。必要とされる電圧は、セルの電極の間の水の導電性に部分的に依存する。
【0172】
特定の実施例において、DC−DCコンバータ1004は、米国ニューヨーク州ペラムのPICO Electronics,Inc.からのSeries A/SM表面実装コンバータを含む。別の実施例において、コンバータ1004は、米国アリゾナ州フェニックスのON Semiconductorからの、ブースト用途で接続された、NCP3064 1.5Aステップアップ/ダウン/反転スイッチングレギュレータを含む。
【0173】
出力ドライバ回路1006は、マイクロコントローラ1000によって生成される制御信号に応じて、電解セル552に印加される駆動電圧の極性を選択的に反転させる。たとえば、マイクロコントローラ1000は、図11を参照して表示および記載されるように、所定のパターンで極性を交互に切り替えるように構成されることが可能である。出力ドライバ1006もまた、ポンプ550に出力電圧を供給することができる。あるいは、たとえば、ポンプ550は、トリガスイッチ570、572の出力から、その出力電圧を直接受け取ることができる。
【0174】
特定の実施例において、出力ドライバ回路1006は、米国テキサス州ダラスのTexas Instruments Corporationより入手可能な、DRV 8800フル・ブリッジ・モータ・ドライバ回路を含む。代替実施形態において、その他の回路および/または配置が使用され得る。ドライバ回路1006は、マイクロコントローラによって制御される電圧パターンにしたがって電解セル552への出力電圧を駆動する、H−スイッチインバータを有する。H−スイッチは、セル552によって引き込まれる電流を検知するために、マイクロコントローラによって使用され得る電流検知出力も有する。検出抵抗器RSENSEは、検知された電流を表し、そしてマイクロコントローラ1000へのフィードバック電圧として印加される電圧を、発現させる。マイクロコントローラ1000は、フィードバック電圧を監視し、そして所望の電圧引き込みを維持するために適切な駆動電圧を出力するように、コンバータ1004を制御する。
【0175】
マイクロコントローラ1000はまた、電解セル552および/またはポンプ550が適切に動作していることを確認するために、フィードバック電圧を監視する。先に論じられたように、マイクロコントローラ1000は、出力ドライバ回路1006によって検知される電流レベルに応じて、LED594および596を動作することができる。たとえば、マイクロコントローラ1000は、検知された電流レベルが閾値より上か下か、または範囲内かに応じて、LED594および596のセットの一方または両方をオフにする(あるいはオンにする)ことができる。
【0176】
出力ドライバ回路1006はまた、マイクロコントローラ1000の制御の下で、ポンプ550に駆動電圧を移送することができ、これはユーザによるトリガスイッチ570、572の作動の際に、ポンプをオンおよびオフにする。たとえば、出力ドライバ回路1006は、パワーMOSFETなどのスイッチを通じて、ポンプ550に12ボルトの電池電圧および/または復帰電圧を選択的に印加することができる。特定の実施例において、復帰電圧は、カリフォルニア州エルセガンドのInternational Rectifierより入手可能なIRF7603pbFパワーMOSFETで、選択的に開閉される。
【0177】
マイクロコントローラ1000は、いずれかの適切なコントローラ、プロセッサ、および/または回路を含むことができる。特定の実施形態において、これは米国ミネソタ州シーフ・リバー・フォールズのDigi−Key Corporationより入手可能なMC9S08SH4CTG−NDマイクロコントローラを含む。
【0178】
図12に示される実施例において、回路の照明制御部は、出力抵抗器R1およびR2、ならびにプルアップ抵抗器R3、赤色LEDダイオードD1〜D4、およびプルダウン抵抗器Q1によって形成される、第一「赤色」LED制御脚を含む。マイクロコントローラ1000は、トランジスタQ1をオンおよびオフすることによって赤色LED D1〜D4を選択的にオンおよびオフする、第一制御出力を有する。回路の照明制御部は、プルアップ抵抗器R4、緑色LEDダイオードD5〜D8、およびプルダウン抵抗器Q2によって形成される、第二「緑色」LED制御脚をさらに含む。
【0179】
制御回路は、マイクロコントローラ1000をプログラミングするための入力を提供する、制御ヘッダ1002を、さらに含む。
【0180】
特定の実施例において、要素1000、1002、1003、1004、1006、R1〜R4、D1〜D8、およびQ1〜Q2は、図10Bに示される、回路基板540の上に存在する。
【0181】
また、図12に示される制御回路は、図10Bおよび10Cに示される電源ジャック23を通じて受けるエネルギーで電池パック542内の電池を充電するための、充電回路(図示せず)を含むことができる。
【0182】
本明細書に記載される制御機能の1つ以上が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せにおいて実現されることが可能である。このようなソフトウェア、ファームウェアなどは、記憶装置などのコンピュータ読み取り可能媒体に保存される。ディスクドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ、RAM、ROM、集積回路上の1組のレジスタなど、いずれのコンピュータ読み取り可能記憶装置も使用され得る。
【0183】
6.2.3 エレクトロポレーション電極用駆動電圧の実施例
エレクトロポレーション電極35(図6のアダプタ240など)は、所望の微生物不活性化レベルを実現するために、いずれかの適切な駆動電極パターンで駆動されることが可能である。駆動電極パターンの電気的特性は、微生物に対する液体の適用の装置および方法の設計に基づくことになる。
【0184】
本明細書に開示されるスプレイボトルの一例において、電極に印加される駆動電圧は、二乗平均平方根(rms)で、25キロヘルツから800キロヘルツの範囲の周波数、および50ボルトから1000ボルトの範囲の電圧を有する。しかしながら、印加される電流は、たとえば0.15ミリアンペア程度など、ただしこれに限定されないが、非常に低い。電圧パターンは、DCパターン、およびACパターンまたは両方の組合せであってもよい。電圧波形は、矩形、正弦、三角、のこぎり歯、および/または任意(任意パターン発生器より)など、いずれの適切なタイプであってもよい。一実施例において、波形は様々な波形の間で連続的に変化する。電圧電位の正(または代わりに負)の側が電極に印加され、そして、たとえば、処理される表面(または容積空間)の電位は、回路接地(接地など)として機能する。これに加えて、波形および電圧レベルは、異なる微生物に対して異なる影響を与える可能性がある。そのため、これらのパラメータは特定の微生物の殺滅を強化するように変更されることが可能であり、または様々な異なる有機体を効果的に処理するために、適用中に変化することが可能である。
【0185】
エレクトロポレーション電極に印加される適切な電圧の例は、50Vrmsから1000Vrms、500Vrmsから700Vrms、または550Vrmsから650Vrmsの範囲のAC電圧を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態は、エレクトロポレーション電極に約600Vrmsの電圧を印加する。
【0186】
エレクトロポレーション電極に印加される電圧の周波数の例は、20KHzから100KHz、25KHzから50KHz、30KHzから60KHz、または約28KHzから約40KHzの範囲内の周波数を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態は、エレクトロポレーション電極に約30KHzの電圧を印加する。
【0187】
図13Aは、特定の実施例においてエレクトロポレーション電極35に印加される電圧パターンを示す波形図である。この実施例において、波形の形状は、正弦波および矩形波の組合せである。しかしながら、波形は、正弦波、矩形波、またはその他の波形など、別の形状を有することもできる。液体が電極のアダプタ240を流れ、そして約30KHzの周波数を有するとき、印加される電圧は600ボルトrms(ピーク間(ピークtoピーク)で約1000Vから1200ボルト)のAC電圧を有する。この実施例において、装置(たとえばスプレイボトル)が電気化学的に活性化された液体を処理される表面に分配する際、周波数は実質的に一定のままである。別の実施例において、周波数は約41KHz〜46KHzの範囲に維持される。
【0188】
別の実施例において、装置(たとえばスプレイボトル)が電気化学的に活性化された液体を処理される表面に分配する間、周波数は所定の範囲にわたって変化する。たとえば、エレクトロポレーション電極35を駆動する制御回路は、たとえば20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、および30KHzから60KHzの間など、低周波数限界および高周波数限界の間の範囲内の周波数をスイープすることができる。
【0189】
図13Bは、別の特定の実施例においてエレクトロポレーション電極35に印加される電圧の時間に対する周波数を示す波形図である。この実施例において、三角波形で、低周波限界から高周波限界まで、そしてまた低周波限界まで、たとえば約1秒間にわたって、傾斜する。別の実施例において、制御回路は、低周波限界から高周波限界まで(および/または高周波限界から低周波限界まで)、0.1秒から10秒の時間にわたって、傾斜する。その他の傾斜周波数範囲もまた使用されることが可能であり、それぞれの立ち上がりおよび立ち下がり期間は、互いに同じであっても異なってもよい。異なる微生物は異なる周波数で不可逆的エレクトロポレーションの影響を受けやすい可能性があるので、異なる微生物に対する効果を潜在的に増加させるために、印加電圧の殺滅効果は異なる周波数の間でスイープされる。たとえば、周波数のスイープは、異なる微生物の異なる共振周波数において電位を印加するのに有効であろう。
【0190】
図13Cに示される実施例において、周波数は、のこぎり歯波形で30KHzから60KHzの間でスイープされる。その他の波形も使用され得る。
【0191】
6.2.4 エレクトロポレーション電極用制御回路の実施例
図14は、電圧電位をエレクトロポレーション電極35に供給するための制御回路1100の実施例を示すブロック図である。回路1100は、電圧入力コネクタ1102、電圧レギュレータ1104、三色LED1106、マイクロコントローラ1108、スイッチング電力コントローラ1110、Hブリッジ回路1112および1114、変圧器1116、分圧器1118、検出抵抗器1120、および出力コネクタ1122を含む。
【0192】
入力コネクタ1102は、たとえば図12に示される主回路基板から12ボルトの電池電力供給を受け、そして電圧レギュレータ1104、スイッチング電力コントローラ1110、およびHブリッジ回路1112および1114に、電圧を供給する。特定の実施例において、電圧レギュレータ1104は、マイクロコントローラ1208、LED1106、およびスイッチング電力コントローラ1110など、制御回路1100内の様々な電気部品に電圧印加するために、5ボルトの出力電力を提供する。たとえばFairchild Semiconductor CorporationからのLM7805レギュレータなど、いずれの適切な電圧レギュレータが使用されてもよい。
【0193】
この実施形態において、マイクロコントローラ1108は3つの主要機能を有する;スイッチング電力レギュレータ1110にクロック信号(SYNC)およびイネーブル信号(ENABLE)を提供すること、故障状態を監視すること、およびLED1106を通じてユーザに故障状態の表示を提供すること、である。一実施例において、マイクロコントローラ1108は、ATMEL Corporationより入手可能なATtiny24 QPNマイクロコントローラを含む。代替実施形態において、その他のコントローラが使用されることも可能である。
【0194】
クロック信号SYNCは、スイッチング電力コントローラ1110に基準周波数を提供する。イネーブル信号ENABLEは、起動しているとき、スイッチング電力コントローラ1110を有効(またはオンに)する。通常、マイクロコントローラ1108は、ENABLEを起動状態に設定し、そしてFAULT信号の故障状態を監視する。故障状態が存在しないとき、マイクロコントローラ1108は、三色LED1106のうちの1色以上を選択的にオンにする。一実施例において、LED1106は、赤、緑、青の三色LEDである。しかしながら、代替実施形態において、複数の、個別のLEDが使用されることも可能である。さらに、LED1106に加えて、またはこれに代わって、いずれかの視覚、聴覚、または触覚指示器など、その他のタイプの指示器が使用されることも可能である。本実施例において、マイクロコントローラ1108は、故障状態が存在するときにそれぞれの陰極を引き下げることによって、青色LEDを点灯する。
【0195】
コントローラ1110が信号FAULTを起動することによって故障状態を示すとき、マイクロコントローラ1108は、選択的にイネーブル信号にパルスを印加して起動状態とし、そしてスイッチング電力コントローラ1110をリセットするためにこれを起動状態に戻す。故障状態が解消されると、マイクロコントローラは青色LEDを点灯し続ける。故障状態が起動したままの場合には、マイクロコントローラは青色LEDをオフにし、そして赤色LEDを点灯する。緑色LEDは使用されないが、しかし別の実施形態において使用され得る。代替実施形態において、その他のユーザ表示パターンが使用されることも可能である。
【0196】
一実施例において、スイッチング電力コントローラ1110は、Texas Instrumentsより入手可能なTPS68000 CCFL移相シフトフルブリッジCCFLコントローラを含む。しかしながら、代替実施形態において、その他のタイプのコントローラが使用されることも可能である。
【0197】
SYNC信号に基づいて、スイッチング電力コントローラ1110は、Hブリッジ回路1112および1114内のスイッチングトランジスタのゲートに、ゲート制御信号を提供する。一実施例において、Hブリッジ回路1112および1114は各々FDC6561ANデュアルNチャネル・ロジック・レベルMOSFET(その他の回路も使用可能であるが)を含み、これらはともに接続されて、図13に示されるもののような、所望の電圧パターンを有する変圧器1116の一次側を駆動する、Hブリッジインバータを形成する。変圧器1116は1:100の巻数比を有し、これが、たとえば液体が装置から分配されているときに、駆動電圧をピーク間約10V〜13Vからピーク間約1000V〜1300V(約600Vrms)に、段階的に上昇させる。出力駆動電圧は、出力コネクタ1122を通じてエレクトロポレーション電極35に印加される。
【0198】
分圧器1118は、スイッチング電力コントローラ1110にフィードバックして、変圧器の二次側で発生した電圧を代表する電圧を発生させるために、変圧器の一次側とグラウンドとの間に直列に接続された、一対のコンデンサを含む。この電圧レベルは、過電圧状態を検出するために使用される。フィードバック電圧が与えられた閾値を超えると、スイッチング電力コントローラ1110が故障信号FAULTを起動する。
【0199】
検出抵抗器1120は、スイッチング電力コントローラ1110にフィードバックして変圧器の二次側を流れる電流を代表する、さらなるフィードバック電圧を発生するために、変圧器の一次側とグラウンドとの間に接続される。この電圧レベルは、過電流状態を検出するために使用される。フィードバック電圧が与えられた閾値を超えると、スイッチング電力コントローラ1110が故障信号FAULTを起動して、変圧器の故障を表示する。
【0200】
これに加えて、Hブリッジの1つの脚にある底部トランジスタの源は、矢印1124によって示されるように、スイッチング電力コントローラ1110にフィードバックする。このフィードバック線は、変圧器の一次側で電流を測定するために監視されることが可能であり、これはエレクトロポレーション電極35を通じて負荷に移送される電流を表す。繰り返しになるが、この電流は、高および/または低閾値レベルに対して比較される。比較の結果は、故障信号FAULTの状態を設定するために使用されることが可能である。
【0201】
7.吐出液を通じて電荷を移送するその他の例示的な装置
電解セルおよび/またはエレクトロポレーション電極のものなど、本明細書に記載される特徴および方法は、たとえばスプレイボトル、移動式表面洗浄機、および/または自立式または壁掛け式プラットフォームを含む、様々な異なる装置において使用可能である。
【0202】
たとえば、これらは、たとえば移動式硬質表面洗浄機、移動式軟質表面洗浄機、または硬質および軟質床の両方またはその他の表面を洗浄するようになっている移動式表面洗浄機、全表面洗浄機、トラック実装噴霧器、高圧浴室噴霧器、トイレおよび小便器など、移動式表面洗浄機に搭載されて(または搭載されずに)実現されることが可能である。
【0203】
7.1 移動式表面洗浄機の実施例
図15は、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されている移動式硬質/軟質床洗浄機1200の実施例を示すが、これは上記の特徴および/または方法の1つ以上を実現するために改造されることが可能である。図15は、その蓋が開放位置にある洗浄機1200の斜視図である。
【0204】
この実施例において、洗浄機1200は、コンクリート、タイル、ビニル、テラゾなどのような、硬質の床表面を洗浄するために使用される、ウォークビハインド型洗浄機であるが、別の実施例では、洗浄機1200は、本明細書に記載されるような洗浄および/または消毒作業を実行するための、騎乗型、取り付け型、またはけん引型洗浄機として構成されることも可能である。さらなる実施例において、洗浄機1200は、カーペットなどの軟質床を、そしてさらなる実施形態では硬質および軟質の両方の床を、洗浄するようになっていてもよい。洗浄機1200は、電池などの内蔵電源を通じて、または電気コードを通じて電力供給される、電気モータを含んでもよい。あるいは、たとえば、内燃機関システムが、単独で、または電気モータと組み合わせて、使用されることも可能である。
【0205】
洗浄機1200は一般的に、基体1202および蓋1204を含み、蓋1204は、基体1202の内部へのアクセスを提供するために上方へ旋回することができるように、蝶番(図示せず)によって基体1202の片側に沿って取り付けられている。基体1202は、処理されて洗浄/消毒作業中に床表面に適用される、液体または一次洗浄および/または消毒液成分(通常の水道水など)を収容する、タンク1206を含む。あるいは、たとえば液体は、タンク1206内の収容に先立って、洗浄機1200に搭載されたまたは搭載されない状態で、処理されることも可能である。また、洗浄機1200は、洗浄される床に液体が適用される前に液体を処理する、電解セル1208を含む。電解セル1208は、たとえば図5を参照して表示および議論されたものと類似の1つ以上の電解セル(相互に並列または直列)、またはたとえば、図8Aおよび8Bに開示された電解セル(たとえば機能的発生器)を含むがこれらに限定されない、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されている1つ以上の電解セルを、含むことができる。たとえば、図8Aおよび8Bに示される電解セルは、韓国Yeupdong,Goyang−City,Kyungki−DoのEmco Tech Co.LTD,より市販されている、JP2000 ALKABLUE LXにおいて見出される未変更または変更済みEmco Tech 「JP102」セルを含むことができる。この特定のセルは、27ボルトのDC範囲、約10から約5.0のpH範囲、62mm×109mm×0.5mmのセルサイズ、および5つの電極板を有する。一実施例の変形バージョンにおいて、JP102セルは、たとえばセルの吐出口に向けられる陽極液および陰極液EA水の配合液を形成するために、生成された陽極液および陰極液がともに混合されるように、JP102セルとともに供給される(そして陽極液および陰極液を個別の各吐出口に選択的に案内する)弁機構をなくすように改造されている。様々な異なる仕様を有することができる、その他のタイプの電解セルもまた、使用されることが可能である。
【0206】
被処理液は、たとえば直接および/または洗浄ヘッド1210を通じて、床に適用されることが可能である。床に適用される被処理液は、たとえば図2を参照して上述されたように、陽極液EA液体ストリーム、陰極液EA液体ストリーム、両方および陽極液および陰極液EA液体ストリーム、および/または組み合わせられた陽極液および陰極液EA液体ストリームを含むことができる。セル1208は、イオン選択膜を含むことができ、またはイオン選択膜を使用せずに構成されることも可能である。
【0207】
一実施例において、吐出液のエレクトロポレーション/電気水圧衝撃特性を強化するために、液体流路は、液体流路によって形成される電解セルと床との間の導電路の断絶を回避するために、床に直接適用される。液体は、ストリーム、エアロゾル化ミスト、および/またはスプレイなど、いずれの形態で適用されることも可能である。
【0208】
一実施例において、(電解セル1208があってもなくても)、洗浄機1200は、液体流路に沿った、またはこれと適切な関係にある、いずれかの位置に、たとえばエレクトロポレーション電極(図1および6に示される電極35のような)などの、さらなる電気伝導体またはリードを含むように、さらに改造される。この電極は、流路を流れる液体を通じて処置されている床と電気的に接続されるようになり得る。一実施例において、電極は、洗浄ヘッド1210の付近の分配管1212に沿ってなど、液体が洗浄機から吐出される位置に非常に近い位置に配置される。あるいは、またはこれに加えて、電極は、たとえば洗浄機1200の移動方向に対して、吐出スプレイまたはストリームを洗浄ヘッド1210の前方に、洗浄ヘッド上にまたはこれを通じて、あるいは洗浄ヘッドの後方に吐出する、スプレイノズルの付近に位置することができる。電極は、たとえばいずれかの適切な構造、形状、または材料を有することができる。
【0209】
望ましければ、移動式洗浄機1200の1つ以上の具体的な非限定例のさらなる構造は、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/018368号明細書に、より詳細に提示および記載されている。これらの構造は、本明細書に開示される実施形態のいずれか、およびそれらの変形例において、使用可能である。少なくとも1つの具体例の詳細は、米国特許公開番号第2007/018368号明細書の、たとえば図10A〜10Cおよび11に記載されている。
【0210】
Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書はまた、本明細書に開示される様々な構造的要素および工程が個別にまたは一緒に利用され得る、その他の構造も開示している。たとえば、Fieldらは、陽極液および陰極液EA液体を生成するための、壁掛け式プラットフォームを開示している。これらの装置のいずれも、表面が洗浄および/または消毒されている間、処理されている表面に電場を提供するために、本明細書の開示にしたがって構成されることが可能である。
【0211】
別の実施形態において、移動式洗浄機1200は、電解セルを含まないが、しかしたとえばそれに加えてまたは代わりに、洗浄される表面に源液とともに洗剤を分配する、洗剤分配器を含む。洗浄ヘッドの機械的作用と組み合わせた洗剤は、本明細書に開示されるように、エレクトロポレーション電極によって印加される電場によって微生物がより容易に電気穿孔されるように、表面上の液体に微生物を浮遊させることができる。
【0212】
7.2 全表面洗浄機の実施例
図16は、米国特許番号第6,425,958号明細書により詳細に記載される、全表面洗浄アセンブリ1300の実施例の斜視図である。洗浄アセンブリ1300は、たとえば図1〜3および5〜6、または本明細書に開示されたその他の実施形態のいずれかを参照して提示および記載されたものなど、本明細書に記載される1つ以上の電解セルおよび/または1つ以上のエレクトロポレーション電極を備える、液体流通路を含むように改造される。
【0213】
洗浄アセンブリ1300は、洗浄される床に対して、以下の液体のうち1つ以上を移送および随意的に回収するように構成され得る:陽極液EA水、陰極液EA水、陽極液および陰極液EA水の配合物、またはその他の帯電した液体。たとえば、水以外の、または水に加えてさらなる液体が、使用されることも可能である。
【0214】
洗浄アセンブリ1300は、たとえば化粧室または少なくとも1つの硬質表面を有するその他の部屋において、硬質表面を洗浄するために使用され得る。洗浄アセンブリ1300は、米国特許番号第6,425,958号明細書に記載されるように、洗浄装置、および表面を洗浄するための洗浄装置とともに使用される付属品を含む。洗浄アセンブリ1300は、筐体1301、ハンドル1302、車輪1303、排水ホース1304、および様々な付属品を含む。付属品は、伸縮自在の延長ハンドル1306を有する床ブラシ1305、ツーピース二重湾曲ワンドの第一ピース1308Aおよび第二ピース1308B、スプレイガン1310、ならびに真空ホース、送風機ホース、噴霧器ホース、送風機ホースノズル、スキージ床器具取り付け部品、ガルパ器具、およびタンク充填ホースなど(アセンブリ1300のポートに結合可能なもの)、図示しない様々なさらなる付属品を含むことができる。アセンブリは、タンクまたは取り外し可能な液体容器および回収タンクまたは取り外し可能回収液体容器を担持する、筐体を有する。洗浄アセンブリ1300は、噴霧器ホースを通じて表面上に洗浄液を噴霧することによって、表面を洗浄するために使用される。送風機ホースはその後、表面を送風乾燥して、液体を表面上で所定方向に吹き付けるために、使用される。真空ホースは、表面から洗浄装置1300の回収タンク内に流体を吸い込むために使用され、それによって表面を洗浄する。洗浄アセンブリ1300とともに使用される、真空ホース、送風機ホース、噴霧器ホース、およびその他の付属品は、持ち運びやすくするために、洗浄装置1300とともに担持されることが可能である。スプレイガン1310は、ホース1314を通じて洗浄機1300の液体吐出口1312に取り付けられている。
【0215】
エレクトロポレーション電極は、たとえば流路を流れる液体経由で処理される表面に電気的に接続されることが可能な、液体流路に沿った、またはこれと適切な関係にある、いずれの位置にも配置されることが可能である。たとえば電極は、吐出口1303の付近など、スプレイホースに沿っておよび/またはアセンブリ上のいずれかの適切な位置で、スプレイガン1310のスプレイヘッドに配置されることが可能である。洗浄装置はまた、電解セルおよびエレクトロポレーション電極のための制御回路も担持する。
【0216】
別の実施例において、壁掛け式プラットフォームは、液体流路に沿ってプラットフォームの注入口からプラットフォームの吐出口まで、電解セルおよび/またはエレクトロポレーション電極を支持する。この実施形態において、たとえばホースまたはその他の液体分配器は、処理される表面への適用時点まで、液体を担持することになる。
【0217】
10.平面モップの実施例
図17は、本開示において記載されるものなど、たとえばエレクトロポレーション電極など、液体吐出スプレイにおいて電位を付与、誘発、もしくは引き起こすために、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つの電気伝導体、リード、および/または電磁部品を含む、平面モップ実施形態の実施例を示す図である。
【0218】
この実施例において、平面モップ1400は、マイクロファイバパッドまたは布などの洗浄パッド1404が取り付け可能な、堅い裏当て1402を含む。ハンドル1405は、裏当て1402から延伸し、そしてリザーバ1406およびコンパートメント1408を担持する。リザーバ1406は、通常の水道水などの源液を保持するようになっており、充填ポート1410を通じて充填されることが可能である。リザーバ1406は源液をコンパートメント1408に供給し、これはたとえば、ポンプ、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つのエレクトロポレーション電極、ならびにそれぞれのおよび/または組み合わせられた制御エレクトロニクスを含むことができる。
【0219】
特定の実施例において、コンパートメント1408は、図5、6、10A〜10C、および11〜14(またはたとえば本明細書に記載されるその他の実施例または実施形態のいずれか)を参照して提示および記載される手持ち式スプレイ装置の構成部品を含む。コンパートメント1408は、図10A〜10Cのスプレイノズル508と類似のスプレイノズル1412を含む。エレクトロポレーション電極は、ノズルに近い位置など、リザーバ1406からノズル1412までの液体流路内のいずれか適切な位置で結合される。ノズルは、吐出スプレイまたはストリーム1414を、洗浄および/または消毒されている表面に向かって噴霧、もしくは分配するが、ここで分配液は、たとえば本明細書に記載されるように、電気化学的に活性化されることが可能である。これに加えて、または代わりに、エレクトロポレーション電極は吐出スプレイ1414を通じて表面に電場を印加し、これはたとえば、表面上の微生物の不可逆的エレクトロポレーションを生じるのに十分である。
【0220】
ハンドル1405はスイッチ1416を含み、これは、図10A〜10Cのトリガ570と同様にユーザによって操作可能であり、ポンプ、電解セル、およびエレクトロポレーション電極に、選択的に電圧印加するようになっている。たとえば、スイッチ1416は、瞬時または非瞬時押しボタンまたはトリガを含むことができる。
【0221】
11.固定式(または携帯式)装置の実施例
図18は、表面1502に対して固定されているかまたは移動可能な、例示的装置1500を示す図である。一実施例において、装置1500は、図5、6、10A〜10C、および11〜14(またはたとえば本明細書に記載されるその他の実施例または実施形態のいずれか)を参照して提示および記載される手持ち式スプレイ装置の構成部品を含み、これはたとえば、ポンプ、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つのエレクトロポレーション電極、ならびにそれぞれのおよび/または組み合わせられた制御エレクトロニクスを含むことができる。装置1500は、洗浄および/または消毒される表面1506および/または物品に対して吐出スプレイまたはストリーム1504を噴霧もしくは分配する、吐出口1502を含む。表面1506は、装置1500に対して固定され、および/または移動可能であってもよい。配置は、表面1506自体および/または表面によって担持される1つ以上の物品を、洗浄および/または消毒するようになっていてもよい。たとえば、表面は、テーブル表面または製品を運ぶコンベヤを含むことができる。分配液1504は、本明細書に記載されるように、電気化学的に活性化されることが可能である。これに加えて、または代わりに、エレクトロポレーション電極は、吐出口1502に近い位置など、液体流路内のいずれか適切な位置で結合され、ここでエレクトロポレーション電極は分配液1504を通じて表面または物品に電場を印加し、これはたとえば、表面または物品上の微生物の不可逆的エレクトロポレーションを生じるのに十分である。
【0222】
12.さらなるシステムの実施例
図19は、たとえば本明細書に開示される実施形態のいずれかに組み込まれることが可能な、本開示の例示的実施形態によるシステム1600を示す図である。システム1600は、電源(電池など)1602、制御エレクトロニクス1604、電解セル1606、ポンプ1608、電流センサ1610および1612、エレクトロポレーション電極1614、スイッチ1618、およびトリガ1620を含む。簡素化のため、電解セル1604の液体注入および吐出は、図19に示されない。システム1600の全ての要素は、たとえば同じ電源1602によって、または2つ以上の個別の電源によって、電力供給されることが可能である。
【0223】
制御エレクトロニクス1604は、システム1600の現在の動作モード、およびトリガ1620などのユーザ制御入力に基づいて、電解セル1606、ポンプ1608、および電極の動作状態を制御するために結合されている。この実施例において、スイッチ1618は、電源1602および制御エレクトロニクス1604の間に直列に結合され、そしてトリガ1620の状態に応じて制御エレクトロニクス1604の電力入力に対して電源1602を接続および切断するのに役立つ。一実施形態において、スイッチ1618は、トリガ1620が押下されたときに閉鎖し、トリガ1620が解放されたときに開放される、瞬時の正常時開放スイッチを含む。
【0224】
代替実施例において、スイッチ1618は、たとえばトリガ1620とは別に作動される、オン/オフ・トグル・スイッチとして構成される。トリガ1620は、制御エレクトロニクス1604の入力を有効にするために結合されている第二スイッチを作動する。様々な装置1606、1608、および1614に電力供給するために、同じスイッチ1618が使用されることが可能であり、または個別のスイッチが使用されることも可能である。また、様々な装置1606、1608、および1614に電力供給するために、同じまたは個別の電源および/または源が使用されることも可能である。これに加えて、電解セル1606、ポンプ1608、および電極1614に印加される電圧を制御するために、同じまたは個別の制御回路が使用されることが可能である。その他の構成もまた使用され得る。
【0225】
一実施例において、トリガ1620が押下されると、制御エレクトロニクス1604は有効になり、電解セル1606、ポンプ1608、および電極1614を駆動するための適切な電圧出力を生成する。たとえば、制御エレクトロニクス1604は、本明細書に記載されるパターンのような、電解セル1606を駆動するための第一電圧パターン、ポンプ1608を駆動するための第二電圧パターン、および電極1614のための第三電圧パターンを生成することができる。トリガ1620が解放されると、制御エレクトロニクスの電源が切られ、および/またはセル1606およびポンプ1608への出力電圧の生成から無効にされる。
【0226】
電流センサ1610および1612は、それぞれ電解セル1606およびポンプ1608と電気的に直列に結合されており、そして各々が、セル1606またはポンプ1606を通じて引き込まれるそれぞれの電流を示す信号を、制御エレクトロニクス1604に提供する。たとえば、これらの信号は、アナログまたはデジタル信号のいずれでもよい。制御エレクトロニクス1604は、センサ出力を所定の閾値電流レベルまたは範囲と比較し、そして1つまたは両方の比較に応じて指示器1614および1616を動作する。閾値電流レベルまたは範囲は、たとえば、所定の消費電力レベルを表すように選択されることが可能である。ボトルには、たとえば異なる動作状態を示すために異なる色または点灯パターンで点灯することが可能な、1つ以上のLED1622および1624など、視覚的に認知可能な指示器も設けられてもよい。
【0227】
これに加えて、強化された消毒特性が必要とされないときに、電極1614を選択的に無効にするために、スイッチは、電極1614と直列に(または制御エレクトロニクス404への制御入力として)配置されることが可能である。電極1614を無効にすることで、小型電源が使用されるときに、電池寿命または電源1602の充電状態を延長してもよい。
【0228】
13.試験結果−実施例
本開示の範囲内で多くの変更および変形例が当業者にとって明らかとなるので、本開示は、説明としてのみ意図される以下の実施例において、より具体的に記載される。別途記載のない限り、以下の実施例で報告される全ての部、パーセンテージ、および比率は重量ベースであり、成分重量パーセントは、使用されるいずれの強化マトリクスも除いた、膜の総重量に基づく。実施例において使用される全ての試薬は、以下に記載される化学薬品供給元から、ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich Companyなどの一般的な化学薬品供給元から、取得され、または入手可能であり、または従来の技術によって合成されてもよい。
【0229】
13.1 実施例1:電場測定
電場測定を、上記で図5、6、10A〜10C、および11〜14を参照して提示および記載された実施形態に基づいた、実施例1のスプレイボトルに対して行った。スプレイ軸に沿って実施例1のスプレイノズルから各線形位置において、5回の測定を行った。平均的な結果を図20に表示した。水スプレイ結果との比較目的のため、長いゴムホースをスプレイボトルの吐出口に取り付け、この水ストリームの末端で1メガオームの負荷を横断して、グラウンドに対する電位を測定した。その後ゴムホースを短縮し、そして測定位置が噴霧器ノズルに近づくまで測定を繰り返した。水ストリームは真の導電性経路を形成し、そして各位置で4回の測定を行った。
【0230】
図20Aは、ノズルからの距離(インチ)に応じた電位場(ピーク間V)のグラフである。図20Bは、ノズルからの距離(インチ)に応じた電場(ピーク間ボルト/cm)の線形グラフであり、これは2点数値微分を使用して電位場データから計算されたものである。
【0231】
図20Aおよび20Bに見られるように、電場の大きさおよび/または表面(およびしたがって表面上のまたは表面付近で浮遊させる微生物)に移送される電位は、部分的にはノズル先端と表面との間の距離に依存する。与えられた電場を表面に印加するための最大距離は、制御回路の電気的パラメータ、印加される電圧および波形など、ならびに移送される所望の場の大きさに基づいて、異なるだろう。図5〜6および10〜14に示される手持ち式スプレイ装置の一実施例において、適切な電場を、ゼロから約8インチの距離で移送した。別の実施形態において、適切な電場を、最大6インチの距離で移送した。繰り返しになるが、これらの距離は、1つの実施例と次との間で、処理される微生物のタイプによって、異なってもよい。表面上の1つ以上の微生物の不可逆的エレクトロポレーションを生じるためのノズルと表面との間の距離の適切な範囲は、たとえば、ゼロから10インチ、ゼロから8インチ、ゼロから6インチ、ゼロから4インチ、およびゼロから3インチを含む。一実施例において、望ましい距離は3〜4インチである。
【0232】
実験的試験結果はまた、ノズル/表面距離と微生物(たとえば細菌)の除去および殺滅のためのスプレイ持続時間との間の相関も示す。一般的に、ノズルが受容面に近づくほど、スプレイ持続時間が短くなる。たとえば、ノズルと受容面との間で3〜4インチの範囲の距離で2秒のスプレイ持続時間は、大腸菌(E.coli)およびバチルス菌に対する実質的な殺滅を実現した。これは、電場のより大きい大きさおよび/または短縮されたノズル/表面距離によって表面に移送された電位によると考えられる。
【0233】
13.2 実施例2:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例2のスプレイボトルの有効性も測定した。無生物、無孔性、非食物接触表面上で消毒剤の抗菌有効性を評価するために使用される試験方法である、ペンシルベニア州ウエストコンショホッケンのASTM Internationalによって確立された、American Society for Testing and Materials(ASTM)E1153−03にしたがって、実験を行った。被処理キャリアの分離試料は、黄色ブドウ球菌(ATCC#6538)およびE.coli(ATCC#11229)を含有していた。
【0234】
実施例2のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、実施例2のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、および20℃の周囲空気で、実施例2のスプレイボトルで4秒間被処理キャリアに噴霧することによって、試験方法を変更した。被処理キャリアの3分の1をその後、ワイピング動作をシミュレートするために、ワイプを使用して噴霧した後にワイプしたが、ここで使用されるワイプは、ウィスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationより商品名「WYPALL」汎用ワイプとして市販されていた。被処理キャリアのあとの3分の1は、スプレイ自体の有効性を測定するために、ワイプされないまま残した。被処理キャリアの残りの3分の1は重ね塗りされたが、これは空気中における霧状ミストの噴霧を伴い、その後、被処理キャリア上に付着する。各試験は繰り返され、運転1および運転2と称される。
【0235】
表1および2は、それぞれ黄色ブドウ球菌およびE.coliに対する、実施例2のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。「CFU」は「コロニー形成単位」を表し、「平均パーセント減少」および「平均log10減少」を、運転1および2の平均値に基づいて計算した。
【表1】
【表2】
【0236】
表1および2に示される結果は、様々な微生物の除去および殺滅に関する、本開示のスプレイボトルの有効性を示す。噴霧されたキャリア(ワイピングなし)、ワイプされたキャリア、および塗り重ねられたキャリアの各々が、各試験対象微生物に対して99.999%を超える抗菌有効性を提供した。
【0237】
13.3 実施例3および4:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例3および4のスプレイボトルの有効性も、測定した。実施例2について先に論じられたのと同じ方法で実験を行ったが、ここで被処理キャリアの分離試料は、E.coli O157:H7(ATCC#35150)、サルモネラ菌(ATCC#10708)、緑膿菌(ATCC#15442)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)(ATCC#51575)、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(ATCC#33592)を含有していた。
【0238】
実施例3および4のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、ここで実施例3および4のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、および21℃の周囲空気で、実施例3および4のスプレイボトルで6秒間被処理キャリアに噴霧することによって、試験方法を変更した。被処理キャリアの3分の1をその後、ワイピング動作をシミュレートするために、ワイプを使用して噴霧した後にワイプしたが、ここで使用されるワイプは、ウィスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationより商品名「WYPALL」汎用ワイプとして市販されていた。被処理キャリアのあとの3分の1は、スプレイ自体の有効性を測定するために、ワイプされないまま残した。被処理キャリアの残りの3分の1は重ね塗りされたが、これは空気中における霧状ミストの噴霧を伴い、その後、被処理キャリア上に付着する。各試験は繰り返され、運転1および運転2と称される。
【0239】
表3〜7は、試験対象微生物に対する実施例3および4のスプレイボトルの抗菌有効性を示すが、ここで「平均パーセント減少」および「平均log10減少」は運転1および2の平均値に基づいて計算した。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0240】
表3〜7に示される結果は、様々な微生物の除去および殺滅に関する、本開示のスプレイボトルの有効性を示す。大部分の結果において、噴霧されたキャリア(ワイピングなし)、ワイプされたキャリア、および塗り重ねられたキャリアの各々が、各試験対象微生物に対して99.999%を超える抗菌有効性を提供した。表7の重ね塗り運転など、いくつかの重ね塗り運転は、運転1と運転2との間で高水準のばらつきを呈した。より高いCFU/キャリアは、被処理キャリアの噴霧に先立ってスプレイボトルの不適切な充填によると考えられる。
【0241】
13.4 実施例5および6:抗菌有効性
A型インフルエンザ(H1N1)ウイルスの濃度低下における実施例5および6のスプレイボトルの有効性も、測定した。ASTM E1053−02およびASTM E1482−04にしたがって実験を行ったが、ここで被処理キャリアの試料は、A型インフルエンザ(H1N1)ウイルス(ATCC#VR−1469)を含有していた。被処理キャリアには、有機土壌負荷として作用するため、ウシ胎仔血清5%も添加した。
【0242】
実施例5および6のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、ここで実施例5および6のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、および24℃の周囲空気で、実施例5および6のスプレイボトルで6秒間被処理キャリアに噴霧することによって、試験方法を変更した。
【0243】
曝露時間に続いて、内容物を再浮遊させるためにセルスクレーパを用いて個別に板を擦った。実施例5のスプレイボトルで噴霧された板からウイルス試験物質混合物10.6ミリリットルアリコートを回収し、実施例6のスプレイボトルで噴霧された板からウイルス試験物質混合物11.5ミリリットルアリコートを回収した。回収された混合物を半分に分割し、混合物を無毒化するために、シリンジプランジャを利用して、単位ごとに2つのSephadexゲル濾過カラムをただちに通過させた。その後各試験単位の濾液を溜めて、10倍ごとの連続希釈によって滴定し、そして感染力および/または細胞毒性を評価した。
【0244】
全ての細胞対照群は、ウイルス感染力の試験において陰性であった。入力ウイルス対照群の滴定は、7.5log10であった。乾燥ウイルス対照群の滴定は、6.5log10であった。実施例5および6のスプレイボトルからのスプレイに対する曝露の後、試験されたいずれの希釈のいずれのロットでも(実施例5では≦1.2log10、実施例6では≦1.3log10)、ウイルス試験物質混合物において試験ウイルス感染力は検出されなかった。試験物質細胞毒性もまた、試験されたいずれの希釈のいずれのロットでも(実施例5では≦1.2log10、実施例6では≦1.3log10)観察されなかった。
【0245】
中和対照群(試験物質の非殺ウイルスレベル)は、実施例5では≦1.2log10、実施例6では≦1.3log10で試験物質が中和されることを示唆した。細胞毒性および中和対照群の結果、ならびに曝露時間後に回収された試験物質の量も考慮に入れると、ウイルス価の減少は、実施例5では≧5.6log10、実施例6では≧5.2log10であった。したがって、試験条件下および5%ウシ胎児血清土壌負荷の存在化で、実施例5および6のスプレイボトルは、A型インフルエンザ(H1N1)の完全な不活性化を実証した。
【0246】
13.5 実施例7および8:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例7および8のスプレイボトルの有効性も、測定した。米国環境保護庁(EPA)のAOAC Germicidal Spray Methodにしたがって実験を行った。被処理キャリアの分離試料は、MRSA、E.coli、リステリア、緑膿菌、サルモネラ、E.coli O157:H7、およびVREを含有していた。
【0247】
実施例7および8のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、ここで実施例7および8のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。実施例7および8の各試験運転のため、被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、与えられたスプレイボトルで6秒間被処理キャリアに6秒間噴霧することによって、試験方法を変更した。被処理キャリアの3分の1をその後、ワイピング動作をシミュレートするために、ワイプを使用して噴霧した後にワイプしたが、ここで使用されるワイプは、ウィスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationより商品名「WYPALL」汎用ワイプとして市販されていた。被処理キャリアのあとの3分の1は、スプレイ自体の有効性を測定するために、ワイプされないまま残した。被処理キャリアの残りの3分の1は重ね塗りされたが、これは空気中における霧状ミストの噴霧を伴い、その後、被処理キャリア上に付着する。
【0248】
実施例7および8の各スプレイボトル試験を繰り返した。言い換えると、実施例7のスプレイボトルを2回試験し、実施例8のスプレイボトルを2回試験した。表8および9は、それぞれ運転1および2における細菌に対する実施例7のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。同様に、表10および11は、それぞれ運転1および2における細菌に対する実施例8のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0249】
表8〜11に示される結果は、様々な異なる微生物の除去および殺滅に関する、本開示のスプレイボトルの有効性をさらに示す。表示されるように、スプレイキャリアおよびスプレイ/ワイピングの組合せの各々は、各試験対象細菌に対して99.999%の抗菌有効性を提供した。さらに、重ね塗りの結果は、ほとんどの試験対象細菌に対して99.99%の抗菌有効性を提供した。不十分な抗菌有効性を提供した資料は、重ね塗りによる導電性の欠如に起因すると考えられるが、これは導電性流路を効果的に排除する。これは、スプレイボトルから発生した導電性が、電解セルから生成される水または溶液よりも、抗菌活性を提供することを、さらに示している。
【0250】
13.6 実施例9〜11:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例9〜11のスプレイボトルの有効性も、噴霧された試料をワイプしなかったことを除いて、実施例2に関して上述されたのと同じ手順にしたがって測定した。被処理キャリアの分離試料は、E.coli O157:H7、サルモネラ腸炎菌、およびリステリア菌を含有していた。水道水で満たされた実施例2のスプレイボトルと比較して、実施例9〜11のスプレイボトルは、異なる鉱物濃度を有する水で満たした。表12〜14は、実施例9〜11のスプレイボトルおよび比較例Aのスプレイボトルを用いた様々な運転の間に供給された水のタイプを掲載している。比較例Aのスプレイボトルは、水を電気化学的に活性化するための電解セルを組み込んでいるが、しかし噴霧される水を通じて電場を発生させるためのエレクトロポレーション電極は含んでいない。
【0251】
「塩入瓶詰め水」は、カリフォルニア州ロサンゼルスのFIJI Water Company,LLCより「FIJI」天然被圧地下水の商品名で市販されている瓶詰め水に塩化ナトリウム0.25容量%を混合したものである。「水道水」は、ミネソタ州ミネアポリスで入手した標準的な水道水である。「塩入水道水」は、水道水に塩化ナトリウム0.25容量%を混合したものである。「蒸留水」は、標準的な蒸留水である。表12〜14は、それぞれE.coli O157:H7、サルモネラ腸炎菌、およびリステリア菌に対する、実施例9〜11のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。
【表12】
【表13】
【表14】
【0252】
実施例9〜11の試験対象試料の各々は、塩入瓶詰め水、水道水、および塩入水道水で試験された細菌の各々について99.99%を超える減少を実現し、比較例Aの結果と比較して、より大きい殺滅有効性を呈した。これは、比較例Aの試験対象試料が細菌の減少に有効ではなかった蒸留水に、特に該当する。したがって、本開示のスプレイボトルを用いて達成可能なエレクトロポレーションは、スプレイボトルとともに使用される水の鉱物含有量とは関係なく、表面から様々な細菌を効果的に除去および殺滅することができる。
【0253】
13.7 実施例12:水質分析
そのpH、導電率、ならびに水試料中のナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの濃度を特定するために、実施例1のスプレイボトルで使用される水も測定した。水のpHは、較正済みpHプローブおよび計測器を使用して測定した。水の導電率は、較正済み1センチメートル導電率プローブおよび計測器を使用して測定した。水中のナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの濃度は、EPA Method 200.7に準拠した誘導結合プラズマ原子発光分光計を使用して判定された。また、水の総硬度は、数式1にしたがって、判定されたカルシウムおよびマグネシウム濃度から計算した:
総硬度=2.497*[カルシウム]+4.116*[マグネシウム] (式7)
ここで、水の総硬度はCaCO3をミリグラム/リットル(mg/L)で表し、[カルシウム]はmg/L単位での水中のカルシウム濃度であり、[マグネシウム]はmg/L単位での水中のマグネシウム濃度である。表15は、測定されたpH、マイクロジーメンス(μS)単位の導電率、パーツパーミリオン(ppm)単位でのナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの濃度、ならびにppm単位の水の総硬度を示す。
【表15】
【0254】
14.様々な産業における例示的な使用
本明細書に開示される実施例および実施形態の1つ以上、またはそれらの変形例は、非限定例として提供される、以下の産業および/または用途において実現されることが可能である:
A.工業用洗浄および殺菌:
表面洗浄および殺菌
生物膜および藻類の除去
効果的な殺生物剤
クリーン・イン・プレイス[CIP]消毒および殺菌
B.健康管理および医療:
医療機器の冷滅菌
表面洗浄および殺菌
滅菌水の製造
洗濯時のリネン殺菌
空気およびクリーンルームの霧化殺菌
C.獣医師用途:
生命力および耐病性の増加
残屑の出ない感染の治療および創部手当
餌の栄養的恩恵の増加
D.養鶏業:
一般的な殺菌
好気性細菌の媒体の表面洗浄および霧状噴霧
飲料水における病原体の除去
羽毛上のノミおよびその他の害虫駆除
好気性および嫌気性細菌を破壊するための霧状噴霧
さらなる添加物を使用しない器具洗浄
E.園芸/農業:
植物の病原性真菌の抑制
穀物散布用潅漑用水の殺菌および害虫駆除
帯水層への廃水濾過の毒性減少
野菜、果物、および切り花の保存期限延長
種の殺菌、高生産量の植物成長の刺激および促進
貯蔵穀物の殺菌
F.水、廃水、および下水処理:
都市廃水の殺菌
水の中和
生物膜および藻類の除去
臭気化合物の中和
有毒副生成物の形成の削減
【0255】
15.さらなる浮遊機構
本開示の別の態様は、代替および/または付加的浮遊機構を使用して微生物を浮遊させることができる媒体において、電位または電気化学的圧力を微生物に印加することによって、微生物を不活性化または破壊する工程に関する。本明細書に記載されるスプレイボトル10、300、500、および/またはその他の装置1200、1300、1400、1500のいずれかについてなど、先に論じられたように、微生物浮遊は、1つ以上の電解セルによって生成される、電気化学的に活性化された液体を用いて実現され得る。これに加えて、微生物は、浮遊添加剤(たとえば洗剤用界面活性剤)、液体活性化材(たとえばゼオライト)などの化合物を使用して、媒体(たとえば液体)に浮遊されることが可能である。以下に論じられるように、これらの物質は、液体を処理してその浮遊特性を向上するように構成されている。たとえば、装置から分配される液体の中で微生物のさらなる浮遊を促進するために、電解セルに加えて、またはこれの代わりに、浮遊添加剤が使用され得る。
【0256】
15.1 浮遊添加剤
図21は、たとえば本明細書に記載される実施形態のいずれかに組み込まれることが可能な、本開示の例示的実施形態によるシステム1700を示す図である。システム1700は、電気サブシステム1700aおよび流体サブシステム1700bを含み、ここで電気サブシステム1700aは、たとえばシステム1600(図19に示す)と同じように機能してもよく、対応する参照標識は「100」だけ増加する。しかしながら、図20に示される実施形態において、電解セル1606に対応する部品は、リザーバ1728から混合チャンバ1730に浮遊添加剤を供給するためのポンプ1726に置き換えられている。この配置は、浮遊添加剤を液体と混合するために、ポンプ1708はリザーバ1732から混合チャンバ1730に液体(たとえば水道水)を供給することを可能にする。LED1622および1624に対応する部品は、議論を容易にするために図20では省略されている。浮遊添加剤は、リザーバ1732に直接など、液体流路に沿ったいずれかのその他の位置で液体に添加されてもよく、たとえばポンプを使用してまたは使用せずに、いずれかの適切な方法で混合されてもよく、および/またはリザーバ1732に導入される液体の一部として供給されてもよい。
【0257】
浮遊添加剤(リザーバ1728内のものなど)は望ましくは、リザーバ1732から分配された液体の中で粒子および微生物を浮遊させるのを助けるように構成された、1つ以上の化合物を含む。先に論じられたように、浮遊機構は、分配液のORPを変化させてもよい(正のORP、負のORP、または両方の組合せを有する分配液を生成する)。これらの強化された洗浄効果は、たとえば分配液内の表面の上方で粒子および微生物を浮遊させるのに役立つことができる。浮遊添加剤での使用に適した化合物は、たとえば、界面活性剤(たとえば洗剤用界面活性剤)など、液体の表面張力を低減するように構成された化合物を含む。
【0258】
浮遊添加剤での使用に適した界面活性剤の例は、アニオン性、非イオン性、およびカチオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤の例は、アルキル硫酸塩、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸塩、およびそれらの組合せを含む。適切なアルキル硫酸塩の例は、第一級および第二級アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、およびそれらの組合せを含む。アルキル硫酸塩に適したアルキル鎖長の例は、C8からC15の範囲である(たとえば、C8からC15の第一級アルキル硫酸塩)。適切なスルホン酸アルキルの例は、アルキルベンゼンスルホン酸塩(たとえば、C8からC15のアルキル鎖長を有する線形アルキルベンゼンスルホン酸塩)、アルキルキシレンスルホン酸塩、脂肪酸エステルスルホン酸塩、およびそれらの組合せを含む。適切なスルホコハク酸塩の例は、ジアルキルスルホコハク酸塩を含む。
【0259】
非イオン性およびカチオン性界面活性剤の例は、アルコールエトキシレート(たとえばアルキルフェノキシポリエトキシエタノール)、アルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシアミド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリセロールモノエーテル、アルキル塩化アンモニウム、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン、およびそれらの組合せを含む。
【0260】
浮遊添加剤は、浮遊および洗浄特性を助ける1つ以上の追加材料も含んでもよい。適切な追加材料の例は、酸化剤、酵素、消泡剤、着色剤、光学増白剤、腐食抑制剤、香料、抗菌剤、抗生剤、抗真菌剤、pH調整剤、溶剤、およびそれらの組合せを含む。添加剤物質は、多孔質表面など、いくつかの表面上に、より長い滞留時間およびより大きい消毒効果を提供してもよい。たとえば、添加剤物質は、電場(エレクトロポレーション電極1714からの)が除去された後も表面上に滞留してもよい。
【0261】
浮遊添加剤は、たとえば流体、溶液、ペレット、ブロック、粉末など、様々な媒体においてリザーバ1728(および/またはリザーバ1732)に供給されてもよい。図示される実施形態において、浮遊添加剤は、望ましくはキャリア媒体(たとえば水)に溶解もしくは浮遊された界面活性剤および追加材料の溶液である。
【0262】
動作中、トリガ1720が押下されると、制御エレクトロニクス1704が有効化され、そしてポンプ1708および1726ならびにエレクトロポレーション電極1714を駆動するための適切な電圧出力を発生させる。ポンプ1708および1726の相対的供給量は、液体中の浮遊添加剤の所望の濃度に応じて異なってもよい。各ポンプは、たとえば、制御信号を通じてポンプの動作を制御するコントローラを含んでもよい。例示的な実施形態によれば、制御信号は、グラウンドに対する電力を提供し、そしてポンプが混合チャンバ1730を通じて浮遊添加剤を送る持続時間を制御する、パルス信号を含むことができる。その他のタイプの制御信号および制御ループ(開または閉)が使用されることも可能である。これに加えて、ポンプ1726および1708のうちの1つまたは両方が排除されることも可能であり、および/または浮遊添加剤が重力などの別の機構によって供給されることも、可能である。これに加えて、ポンプの動作は、たとえば電流センサ1710および1712によって監視されてもよい。
【0263】
上述のように、浮遊添加剤および液体は、組み合わせられて(混合チャンバ1730内などで)溶液を形成する。混合チャンバ1730は、混合構成を助けるように構成された、様々な形状および設計を含んでもよい(たとえばバッフル壁)。適切な混合装置のその他の例は、ベンチュリ管および合流流路を含む。浮遊添加剤(リザーバ1728からなど)およびリザーバ1732からの液体における界面活性剤の相対濃度は、たとえば浮遊添加剤中の界面活性剤の濃度および相対的供給量によって異なってもよい。したがって、混合チャンバ1730を出ると(および/またはリザーバ1732からの予備混合溶液から)、溶液は望ましくは、浮遊溶液中に粒子および/または微生物を浮遊させるのに十分な大きさの界面活性剤濃度を含む。混合チャンバ1730(および/またはリザーバ1732)を出たときの溶液中の適切な界面活性剤濃度の例は、約0.1容量%から約15容量%の範囲であり、特に適切な界面活性剤濃度は、約0.5容量%から約10容量%の範囲である。
【0264】
結果的に生じる溶液は、混合チャンバ1730(および/またはたとえばリザーバ1732)を出てもよく、そして表面または空間上に分配(たとえば噴霧)される前に、および/または分配されるとすぐに、エレクトロポレーション電極1714と接触してもよい。浮遊添加剤は、分配溶液内の表面の上方で粒子および微生物を浮遊させるのに役立つことができる。特に、理論に縛られることを望むわけではないが、疎水性および親水性分子鎖末端を含有する、浮遊添加剤の界面活性剤の少なくとも一部は、液体/表面/気体界面に滞留することができると考えられている。このため、親水性鎖末端は液体内に滞留し、疎水性鎖末端は液体の外側まで延在し、それによって液体の表面張力を低下させる。疎水性鎖末端が表面上の粒子および微生物と接触すると、これらは分配溶液内の表面の上方で粒子および微生物を封じ込め、そして浮遊させることができる。さらに、いくつかの実施形態において、界面活性剤は、液体の有効性を増加させることができ、そして微生物の構造を貫通するのに役立つことができる。
【0265】
先に論じられたように、エレクトロポレーション電極1714は、溶液を通じて表面に電場を印加してもよく、これは浮遊された微生物の不可逆的エレクトロポレーションを引き起こす(もしくは不活性化または損傷する)のに十分であり得る。溶液中の浮遊添加剤は、たとえば電解セルを用いて実現される変更されたORPと同じまたは類似の方法で、表面の上方で微生物を浮遊させる。たとえば、微生物が表面の上方で浮遊されるように、微生物を表面から分離することによって、エレクトロポレーション電極1714によって表面に沿って発生した電場は、より容易に微生物細胞全体に印加される。その一方で、微生物が表面と接触している場合には、電場は表面グラウンド内により容易に放電され、そして有機体細胞の不可逆的エレクトロポレーションの形成においてより有効ではなくなる可能性がある。細胞が浮遊された状態で、印加された交流電場は、たとえば、前後に振動して細胞を損傷させる。
【0266】
システム1700とともに使用するように示されているが、浮遊添加剤は、本開示のいずれの実施形態とともに使用されてもよい。たとえば、浮遊添加剤は、リザーバ12を液体で満たすとき、スプレイボトル10のリザーバ12(図1に示す)およびスプレイボトル500の容器510(図10A〜10Cに示す)に、まとめて導入されてもよい(および/または装置によって担持される個別のリザーバから供給されてもよい)。さらに、システム1700は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)、などにおいても使用されてよい。これらの実施形態において、電解セル(たとえば電解セル18、552、1208、および1606)は省略されてもよい。あるいは、電解セルは、分配溶液中の粒子および微生物の浮遊をさらに増進するために、浮遊添加剤と併せて使用されてもよい。
【0267】
15.2 液体活性化材
図22は、スプレイボトル1810によって保持および分配される液体のORPを変化させるため、1つ以上の液体活性化材(たとえばゼオライト)を保持するように構成された、手持ち式スプレイ装置の実施例を示す、スプレイボトル1810の模式図である。別の実施例において、スプレイ装置は、より大きい装置またはシステムの一部を形成してもよい。図22に示される実施形態において、スプレイボトル1810は、スプレイボトル1810の基部筐体によって画定され、そして処理されてからノズル1814を通じて分配される液体を収容するように構成されている、リザーバ1812を含む。また、リザーバ1812は、フィルタ1816および媒体1818を収容してもよく、ここで媒体1818は組成的に1つ以上の液体活性化材を含む。フィルタ1816は、液体を通過させることができるように構成された媒体フィルタであるが、望ましくは媒体1818のマクロサイズの粒子が通過するのを防止する。リザーバは、たとえば、1820に対して着脱可能な交換式カートリッジとして構成されてもよい。
【0268】
媒体1818において使用される適切な液体活性化材の例は、多孔質アルミノケイ酸塩鉱物(たとえばゼオライト)などの多孔質鉱物を含む。媒体1818において使用される適切なゼオライトの例は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セリウム(Ce)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、リチウム(Li)、およびマグネシウム(Mg)のうちの1つ以上を含有してもよい、アルミノケイ酸塩鉱物の水和および無水構造を含む。媒体1818で使用される適切なゼオライトの例は、方沸石、アミサイト、バラー沸石、ベルベルヒ沸石、ビキタ沸石、ボッグス沸石、ブリュースター沸石、菱沸石、斜プチロル沸石、コウルス沸石、ダキアルディ沸石、エディントン沸石、剥沸石、エリオン沸石、フォージャス沸石、苦土沸石、ガロン沸石、ギスモンド沸石、ゴビンス沸石、グメリン沸石、ゴナルド沸石、グースクリーク沸石、重十字沸石、輝沸石、濁沸石、レビ沸石、マッチー沸石、メルリーノ沸石、モンテゾマ石、モルデン沸石、中沸石、ソーダ沸石、オフレット沸石、パラナトロライト、ポーリング沸石、パーリアル沸石、灰十字沸石、ポルックス石、スコレス沸石、ステラ沸石、束沸石、トムソン沸石、ツァーニック沸石、ワイラケ沸石、ウェルズ沸石、ウェルヘンダーソン沸石、湯河原沸石、それらの無水形態、およびそれらの組合せを含む。媒体1818において使用される市販のゼオライトの例は、ネバダ州サンディバレーのKMI Zeolite,Inc.からの斜プチロル沸石を含み、これは約2.3グラム/立方センチメートルの平均密度、および+40メッシュの公称粒子サイズを有する。
【0269】
非ゼオライト材料または機構も利用されてもよい。媒体1818において使用される適切な非ゼオライト鉱物の例は、樹脂、魚眼石、ギロル石、シャンファ石、ケホアイト、ロヴダル石、マリコパ石、オーケン石、パハサパ石、パルテ沸石、葡萄石、ロッジァン石、タカラン石、チップトップ石、トベルモリ石、ビセアイト、およびそれらの組合せを含む。適切な樹脂の例は、活性基(たとえばスルホン酸基、アミノ基、カルボキシル酸基など)を含有する架橋芳香族構造(たとえば架橋ポリスチレン)を有するものなど、イオン交換樹脂を含む。イオン交換樹脂は、たとえば樹脂ビーズ中など、様々な媒体内に提供されてもよい。これらの非ゼオライト鉱物は、媒体1818内のゼオライトと組み合わせて、またはその代替として、使用されてもよい。
【0270】
媒体1818は、セラミック球、ペレット、粉末などのような、様々な媒体形状で提供されてもよい。リザーバ1812内に保持されながら、媒体1818は保持される液体を処理し、それによって、たとえばイオン交換によって、保持される液体に負のORP(および/または正のORP)を付与する。媒体1818は、望ましくは液体に少なくとも約−50mVの負のORPを、および/または少なくとも約+50mVの正のORPを、付与する。別の実施例において、媒体1818は、液体に少なくとも約−100mVの負のORPを、および/または少なくとも約+100mVの正のORPを、付与する。先に論じられたように、ORPを変化させることにより、分配された被処理液に粒子および微生物を浮遊させることが可能になる。
【0271】
スプレイボトル1810は、キャップ筐体1820、管1822、ポンプ1824、アクチュエータ1826、エレクトロポレーション電極1828、回路基板および制御エレクトロニクス1830、および電池1832も含む。キャップ筐体1820は、望ましくは閉鎖時にリザーバ1812を封止し、そしてアクチュエータ1826と嵌合するためにユーザによって矢印1834の方向に押下されてもよい。電池32は、回路基板および制御エレクトロニクス30によって電圧を印加されたときにエレクトロポレーション電極1828に電力を共有するために、たとえば使い捨て電池および/または充電池、あるいは電池に加えてもしくは電池の代わりにその他の適切な携帯式またはコード式電源を、含むことができる。一実施形態において、ポンプ1824もまた電力供給されてもよい。
【0272】
ポンプ1824は、フィルタ1816および管1822を通じてリザーバ1812から液体を引き出し、そしてこの液体をノズル1814から押し出す。ノズル1814を通過する間、液体はエレクトロポレーション電極1828と接触する。先に論じられたように、エレクトロポレーション電極1828は分配溶液に電圧(交流電圧など)を印加して、表面への分配溶液を通じて電場を形成してもよく、これは、不可逆的エレクトロポレーションによってなど、浮遊された微生物を損傷させるのに十分であり得る。変更された分配液のORPは、たとえば電解セルを用いて実現される変更されたORPと同じまたは類似の方法で、表面の上方で微生物を浮遊させる。たとえば微生物が表面の上方で浮遊されるように、微生物を表面から浮遊させることによって、エレクトロポレーション電極1828によって表面に沿って発生した電場は、より容易に微生物細胞全体に印加される。先に論じられたように、細胞が浮遊した状態で、印加された交流電場は前後に振動して細胞を損傷させる。
【0273】
システム1810とともに使用されるように示されているが、媒体1818は、本開示のいずれの実施形態とともに使用されてもよい。たとえば、浮遊添加剤は、リザーバ12を液体で満たすとき、スプレイボトル10のリザーバ12(図1に示す)およびスプレイボトル500の容器510(図10A〜10Cに示す)にバッチ方式で導入されてもよい。これらの実施形態において、電解セル(たとえば電解セル18および552)は省略されてもよい。あるいは、電解セルは、分配溶液中の粒子および微生物の浮遊をさらに増進するために、媒体1818と併せて使用されてもよい。
【0274】
さらなる実施例において、リザーバ1812は、リザーバに液体および/または媒体1818を充填(および/または補充)するために使用されてもよい、充填ポートまたは開口部を含んでもよい。さらに別の実施例において、ボトル1810は、ホースを通じてなど、外部源から液体を受けるための継ぎ手を含んでもよく、液体は媒体1818を通じて流れる。
【0275】
さらに、媒体1818は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)などにおいても使用されてよい。
【0276】
図23は、たとえば、流体ライン区分1902および1904の間など、貫流システムの流体ライン内に設置されるカートリッジ1900の模式図である。カートリッジ1900は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)、スプレイボトル10(図1に示す)、スプレイボトル300(図8に示す)、スプレイボトル500(図10A〜10Cに示す)、およびスプレイボトル1810(図22に示す)など、本明細書に記載されるいずれかの装置上の流路に沿ったいずれかの適切な位置に配置されてもよい。
【0277】
図23に示される実施形態において、カートリッジ1900は、内部チャンバ1908を画定する筐体1906、ならびにインターフェース1910および1912を含む。インターフェース1910および1912は望ましくは、係止可能または係止不可能、もしくは取り外し可能に嵌合可能な方法で、カートリッジ1900が流体ライン区分1902および1904とそれぞれ接続できるようにする。この配置は、複数のカートリッジが交換可能に流体ライン区分1902および1904と接続することを可能にする。たとえば、カートリッジ1900が複数回の使用後、最終的に使用期限を過ぎたとき、使用期限の過ぎたカートリッジ1900は、流体ライン区分1902および1904から取り外され、新しいカートリッジ1900に交換されてもよい。インターフェース1910および1912は、単純なオスおよび/またはメス継ぎ手も含むことができる。
【0278】
内部チャンバ1908は、媒体フィルタ1916の使用によってカートリッジ1900を通過する液体を処理するための媒体1914を保持し、ここでカートリッジを通過する液体の流れは、矢印1917によって示される)。媒体1914に適した材料は、たとえば媒体1818(図22に示す)について上記で論じられたものを含む。したがって、媒体1914は内部チャンバ1908を通じて流れる液体を処理し、それによって、イオン交換によって負のORP(および/または正のORP)を、流れる液体に付与する。内部チャンバ1908の容量および内部チャンバ1908内の媒体1914の量は望ましくは、ORPを十分に変化させるために、流れる液体の適切な滞留時間を提供するように、選択される。これらのパラメータは、流体ライン区分1902および1904を通じて流れる液体の体積流量に応じて変化してもよい。さらなる実施例において、媒体1914は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)などのような、本明細書に開示される様々な装置によって担持される1つ以上の液体リザーバ/タンク内に収容される。
【0279】
媒体1914は、望ましくは液体に少なくとも約−50mVの負のORPを、および/または少なくとも約+50mVの正のORPを、ならびに別の実施形態においては少なくとも約−100mVの負のORPを、および/または少なくとも約+100mVの正のORPを、付与する。先に論じられたように、ORPを変化させることにより、分配された被処理液に粒子および微生物を浮遊させることが可能になる。被処理液はその後、洗浄機1200、表面洗浄アセンブリ1300、平面モップ1400、装置1500、システム1600などについて先に論じられたように、システムから分配されるために、流体ライン区分1902内に向かって内部チャンバ1908を出てもよい。
【0280】
交換式カートリッジまたは媒体1818および/または1914のその他の供給容器は、ともに使用される特定の装置に対して嵌合および取り外しできるように、様々な異なる方法で構成されてもよい。たとえば、本開示のスプレイボトル実施形態では、スプレイボトル10、500、および1800(それぞれリザーバ12、容器510、リザーバ1812を収容する)は、それぞれのスプレイボトルのヘッド部(および/またはその他のいずれかの部分)と取り外し可能に嵌合されてもよく、それによって複数のカートリッジ基底部を単一のヘッド部と交換可能に接続できるようにする。別の実施例において、基底部またはヘッド部など、スプレイボトルのいずれかの部分は、媒体1818/または1914のカートリッジと取り外し可能に嵌合するように構成されてもよい。さらなる実施例において、スプレイボトルは、ボトルの基体内、基体502などのボトルのヘッドにおいて、および/または図10A〜10Cに示されるスプレイボトル500のヘッド部の電解セルの位置において、このようなカートリッジと嵌合するように構成されることが可能である。交換式カートリッジは、複数の交換式カートリッジがたとえばスプレイボトルの流体ラインに対して容易に接続、および取り外しができるように構成されてもよい。
【0281】
特定の実施例において、スプレイボトルの基体は、媒体1818、1914を収容する円筒形カートリッジを受けるように構成されている。たとえば、図1を見ると、ボトル10のリザーバ12(図1に示す)は、電解セル18を排除し、そして円筒形カートリッジを受けるためにリザーバの基体内に円形の開口部を含むように、改造されることが可能である。円筒形カートリッジの一端は、その縦軸に沿って開口部に挿入可能である。反対側の末端は、適切なラッチおよび封止機構を含んでもよい。たとえば、カートリッジの底側末端は、円筒形カートリッジが円筒形カートリッジの基体の周りでリザーバの内部を封止するようにリザーバに完全に挿入されるとき、開口部の外周のまわりで、リザーバ12の底部に対して封止するOリングを備える環状肩部を有してもよい。カートリッジの長さは、たとえば、ただしこれらに限定されないが、リザーバの高さの半分から3分の1など、いずれかの適切な距離だけリザーバ内に延在してもよい。カートリッジは、挿入時にその軸の周りでカートリッジを回転させることなどによって、カートリッジを適切な位置に係止する、いずれかの適切な機構を有することができる。例としては、噛み合いねじ山、およびその他の係止機構を含む。
【0282】
円筒の壁は、カートリッジ内に収容される媒体1818、1914およびリザーバ内に収容される液体の間の相互作用を可能にする、いずれかの適切な構成を有することができる。たとえば、円筒は、液体を円筒形カートリッジの内部空洞内に通過させるのに十分な、1つ以上の開口を含んでもよい。特定の実施例において、側壁は、たとえばメッシュ、スクリーン、および/または有孔側壁の開口部によって形成された、複数の開口を有する。
【0283】
開口は、カートリッジ内に収容される媒体の汚染の可能性を抑えるために、たとえば挿入前などの使用されていないときには、閉鎖されてもよい。一実施例において、カートリッジには、保存中に開口を覆う、取り外し可能なフィルムまたはスリーブが供給されてもよい。このフィルムまたはスリーブは、ボトルの基体へのカートリッジの挿入に先立って(またはその後に)、取り外されてもよい。別の実施例において、カートリッジは、カートリッジがボトルに挿入および/またはボトルと嵌合されていないときに1つ以上の開口を自動的に封止する、封止機構を備えて構成されている。たとえば、カートリッジは、内部円筒形側壁、および内部円筒形側壁と同軸であって相対的に移動可能な外部円筒形スリーブを、含んでもよい。内部円筒形側壁は、媒体1818、1914を収容し、先に論じられた1つ以上の開口を有する。外部円筒形スリーブは、閉鎖位置と開放位置との間で、周方向または軸方向などに、可動である。閉鎖位置において、円筒形スリーブは、たとえばカートリッジの内部空洞内を汚染から封止するように、内部円筒形側壁の1つ以上の開口を覆う。開放位置において、外部円筒形スリーブは、内部円筒形側壁の1つ以上の開口の覆いを外す。たとえば、外部円筒形スリーブは、たとえばカートリッジの内部空洞を汚染から封止するように、内部円筒形側壁の1つ以上の開口を覆う。一実施形態において、円筒形外部スリーブは、開放位置にあるときに内部円筒形側壁の開口と一致する、複数の開口を含む。閉鎖位置において、1つの円筒の材料が別の円筒の開口を封止もしくは覆うように、外部円筒形スリーブの開口は、内部円筒形側壁の開口と一致しない。カートリッジをリザーバと嵌合させるその他の多くの配置および構造が可能であり、そして本開示の範囲内と見なされる。
【0284】
開放および閉鎖位置の間の移動は、たとえば手動または自動であってもよい。一実施形態において、外部スリーブは、バネ作用などの機構によって、閉鎖位置に付勢される。リザーバに挿入されると、外部スリーブは、たとえば、リザーバまたはその他の要素とのレバー又は表面嵌合などによって、開放位置に付勢される。
【0285】
同様に、媒体1818、1914が、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)などの装置で使用される実施形態において、媒体は、たとえば交換式カートリッジ内に収容されてもよい。これらのカートリッジは、複数の交換式カートリッジを、装置の流体ラインに対して容易に一致させ、および取り外すことができるように、構成されてもよい。たとえば、カートリッジは、装置の内部から、または装置の外部から、接近可能/挿入可能であってもよい。一実施例において、カートリッジは、装置の側壁を通じて接近可能/挿入可能である。
【0286】
たとえば媒体1818および/または媒体1914を組み込んだ実施形態において、電解セル(たとえば電解セル18、552、1208、および1606)は、省略されてもよい。あるいは、電解セルは、分配溶液中の粒子および微生物の浮遊をさらに増進するために、さらなる浮遊機構と併せて使用されてもよい。浮遊添加剤(たとえば洗剤用界面活性剤)および液体活性化材(たとえばゼオライト)など、さらなる(または代替的な)浮遊機構の使用は、たとえばエレクトロポレーションなどによる消毒工程とともに使用するため、分配液中に粒子および微生物を浮遊させるための、本明細書に開示されるシステムの多様性を増加させる。
【0287】
本開示の一態様は、液体、および被処理液を生成するために液体の浮遊特性を向上するように構成された少なくとも1つの化合物を合わせるように構成された容器と;容器に結合された液体流路と;液体流路に結合され、表面または容積空間に被処理液を分配するようになっている、液体分配器と;液体流路と電気的に結合された電極と;対応するリターン電極を用いることなく、分配された被処理液を通じて、電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている制御回路と、を含む装置に関する。
【0288】
容器は、たとえば容器、リザーバ、タンク、チャンバ、カートリッジ、コンパートメントなどとして本明細書に記載される様々な要素などのいずれかの適切な容器を含むが、これらに限定されない。たとえば、容器は、液体源容器(たとえば容器12、510、1206、1406、1732、1812)、添加剤容器(たとえば容器1728)、混合チャンバ1730、カートリッジ1900(たとえば貫流および/または源)、コンパートメント1408など、合流流体ラインなど、を含むことができる。
【0289】
容器は、能動および/または受動混合、配合、組合せなど;含有;および/または相互作用、接触、および/または反応をその間で可能にすることを含む、ただしこれらに限定されない、いずれかの適切な方法において、液体を少なくとも1つの化合物と合わせてもよい。たとえば、合わせることは、容器に収容されている液体および化合物の予備混合溶液を含んでもよい。別の実施例において、容器は、たとえば混合チャンバ内などで、液体が、個別の源から供給される少なくとも1つの化合物と合わせられることを可能にしてもよい。別の実施例では、容器は、貫流および/または源カートリッジ内で、液体と少なくとも1つの化合物との間の相互作用を可能にしてもよい。その他の配置もまた想定されてもよい。
【0290】
少なくとも1つの化合物は、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの液体活性化材を含むことができるが、これらに限定されない。少なくとも1つの液体活性化材は、ゼオライト、イオン交換樹脂、およびそれらの組合せを含む群より選択される材料を含むが、これらに限定されない。
【0291】
本開示は1つ以上の実施形態を参照して記載されたが、当業者は、本開示および/またはこれに添付されて発行される請求項の範囲を逸脱しない形態および詳細において変更がなされてもよいことを、認識するだろう。やはり特定の実施形態および/または実施例が本明細書において論じられたが、本発明の範囲はそのような実施形態および/または実施例に限定されない。当業者は、本明細書に添付されて発行される1つ以上の請求項に包含されるこれらの実施形態および/または実施例の変形例を実行してもよい。
【技術分野】
【0001】
本発明は、エレクトロポレーションおよび/または電気水圧衝撃などの機構によって微生物を不活性化または破壊することに関する。ある特定の実施例において、本開示は、たとえば電解セルを用いて電気化学的に活性化された液体を製造する装置などの装置によって移送される液体を通じて、微生物に電位を印加することに関する。
【背景技術】
【0002】
電解セルは、流体の1つ以上の特性を変化させるために、様々な異なる用途において使用される。たとえば、電解セルは、洗浄/消毒用途、医療業界、および半導体製造プロセスにおいて使用されてきた。電解セルはまた、その他の様々な用途においても使用され、異なる構成を有してきた。
【0003】
洗浄/消毒用途では、陽極液の電気的に活性化された(EA)液体、および陰極液EA液体を作り出すために、電解セルが使用される。陽極液EA液体は周知の消毒特性を有し、陰極液EA液体は周知の洗浄特性を有する。洗浄および/または消毒システムの例は、2007年8月16日に公開された、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されている。
【0004】
しかしながら、陽極液EA液体の消毒能力は、いくつかの用途において限定され得る。とりわけ本用途の一態様は、液体の消毒特性を強化するための改良型の方法、システム、および/または装置を対象とする。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様はたとえば、液体流路および液体流路内で結合された液体分配器を含む装置に関し、これはある表面または容積空間に液体を分配するようになっている。たとえば電極などの電気伝導体は、液体流路と電気的に結合されることが可能であり、制御回路は、電極と表面または容積空間との間に、分配液を通じて、たとえば対応するリターン電極を用いることなく、交流電場を発生させるようになっている。
【0006】
本開示の別の態様はたとえば、液体流路、液体流路内の電解セルを含み、陽極液および陰極液を生成するようになっている装置に関する。液体流路は、複合液を形成するために、陽極液および陰極液を組み合わせる。液体分配器は、液体流路に結合され、たとえば表面または容積空間に液体を分配するようになっている。さらなる電極が液体流路に電気的に結合されており、これはたとえばセル電極とは異なる。第一制御回路は、セル電極の間に電場を印加するようになっており、第二制御回路は、たとえば分配液を通じて、さらなる電極と表面または容積空間との間に、交流電場を発生するようになっている。
【0007】
本開示の別の態様はたとえば、液体流路および液体流路内の液体分配器を含む装置に関し、これは処理される表面または容積空間に液体を分配するようになっている。たとえば電極などの電気伝導体は、液体流路と電気的に結合されることが可能である。電気回路は、約20キロヘルツから約100キロヘルツの範囲の周波数および約50ボルトrmsから約1000ボルトrmsの電圧を有する電極に交流を印加するようになっており、処理されている表面または容積空間は、電極と表面または容積空間との間に発生する電場のための回路接地の役割を果たす。
【0008】
本開示の別の態様はたとえば、方法に関する。方法は:装置から表面または容積空間への液体によって導電経路を作り出すように、たとえば装置から表面または容積空間に液体を分配するステップと;分配ステップの間に、たとえば導電経路に沿った液体を通じて、装置から表面または容積空間までの交流電場を発生するステップであって、電場は、表面上または容積空間内の少なくとも1つの微生物を破壊するのに十分であり、対応するリターン電極を有していない装置上の電極によって液体に印加される、ステップを含む。
【0009】
本開示の別の態様はたとえば、方法に関する。方法は:流体路に沿って装置から分配された液体によって表面に移送される、負または正電荷を帯びたナノバブルのうちの少なくとも1つとともに表面からの少なくとも1つの微生物を浮遊させるステップと;たとえば装置と表面との間に形成された液体路を通じて、浮遊微生物に交流電場を印加するステップであって、印加された電場が微生物を破壊するのに十分な大きさを有するステップと、を含む。
【0010】
本開示の別の態様はたとえば、液体を通じて導電経路を形成するような方法で、装置と表面との間に延伸する液体吐出と;たとえば液体吐出の導電経路を通じて発生する交流電場であって、ASTM E1153−03による少なくとも約99.99%の抗菌有効性およびログ5の減少数を提供するのに十分な電場と、を含む抗菌性媒体に関する。
【0011】
本開示のさらなる態様は、洗浄および/または殺菌装置であって、(a)1つ以上の流体容器と;(b)制御回路と;(c)表面または容積空間に流体を分配するようになっている分配器と;(d)上記1つ以上の流体容器から上記分配器を通じて表面または容積空間に流体を流すことが可能な1つ以上の流路と;(e)上記制御回路に結合された1つ以上の電気伝導体であって、上記分配器を通じて分配される流体に電荷を与えることが可能な、上記1つ以上の電気伝導体と、を含み;上記制御回路は、上記1つ以上の電気伝導体に、上記分配器を通じて分配される流体に上記電荷を与えさせるようになっており;さらに、たとえば装置と上記表面または容積空間との間の上記分配された流体によって形成された流体路を通じて、表面または容積空間への印加のために交流電場が発生する、洗浄および/または殺菌装置に関する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本開示の例示的態様による、手持ち式スプレイボトルの一実施例の、簡略化された模式図である。
【図2】イオン選択膜を有する電解セルの一実施例を示す図である。
【図3】本開示のさらなる実施例による、イオン選択膜を有していない電解セルを示す図である。
【図4】図4A〜4Dは本開示の一態様による、電気化学的に活性化された液体によって実行される汚れ洗浄機構の一実施例を示す図である。
【図5】説明的な実施例による管状形状を有する電解セルの一実施例を示す図である。
【図6】本開示の説明的な実施例によるエレクトロポレーション電極の分解斜視図である。
【図7A】帯電した吐出スプレイによってスプレイヘッドと表面との間に形成された導電経路の一実施例を示す図である。
【図7B】媒体中に浮遊している細胞がそれによって電場に曝される、エレクトロポレーション機構の一実施例を示す図である。
【図7C】エレクトロポレーションによって膨張した孔を有する細胞膜の一実施例を示す図である。
【図8】帯電した液体を表面に噴霧するスプレイボトルの一実施例を示す図である。
【図9】噴霧され、帯電した液体で濡れている表面の一実施例を示す図である。
【図10A】本開示の一実施形態による、手持ち式スプレイボトルの斜視図である。
【図10B】本開示の一実施形態による、手持ち式スプレイボトルの分解された左半分の斜視図である。
【図10C】本開示の一実施形態による、手持ち式スプレイボトルの露出したスプレイヘッドの側面図である。
【図11】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内の電解セルの陽極および陰極に印加される電圧パターンの一実施例を示す波形図である。
【図12】本開示の例示的態様による、スプレイボトル上の電解セルを制御する制御回路の一実施例のブロック図である。
【図13A】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内のエレクトロポレーション電極に印加される電圧パターンを示す波形図の一実施例である。
【図13B】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内のエレクトロポレーション電極に印加される周波数パターンを示す波形図の一実施例である。
【図13C】本開示の例示的態様による、スプレイボトル内のエレクトロポレーション電極に印加される周波数パターンを示す波形図の一実施例である。
【図14】本開示の例示的態様による、スプレイボトル上のエレクトロポレーション電極を制御する制御回路の一実施例のブロック図である。
【図15】本開示の別の実施形態による、移動式床洗浄機械の一実施例の斜視図である。
【図16】本開示の別の実施形態による、全表面洗浄機の一実施例の斜視図である。
【図17】本開示に記載されるものなど、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つのエレクトロポレーション電極を含む、平面モップ実施形態の一実施例を示す図である。
【図18】表面に対して静止または可動であってもよい、例示的装置を示す図である。
【図19】たとえば、本明細書に開示される実施形態のいずれかに組み込まれることが可能な、本開示の例示的実施形態によるシステムを示すブロック図である。
【図20A】たとえば、図5〜6および10〜14に示される実施形態のためのノズルからの距離の関数としての、電位場の実施例を示すグラフである。
【図20B】たとえば、図5〜6および10〜14に示される実施形態のためのノズルからの距離の関数としての、電場の実施例を示すグラフである。
【図21】分配液の浮遊特性を強化するために、装置から分配された液体に浮遊添加剤が添加される、本開示の例示的実施形態によるシステムを示す図である。
【図22】たとえば、スプレイボトルによって保持および分配される液体の酸化還元電位(ORP)を変化させるための1つ以上の液体活性化材を保持するように構成されたスプレイボトルの模式図である。
【図23】たとえば、貫流システムの流体ライン内に設置されてもよい、液体活性化材を含有するカートリッジの模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下は、本開示の1つ以上の態様の実施例の追加説明として提供される。以下の詳細な説明および上記で参照された図面は、発行される請求項において主張されるような本発明の範囲を限定または狭めるものとして解釈されるべきではない。1つ以上の請求項に含まれる本発明のその他の実施形態が、本明細書において論じられる図面および実施例とは1つ以上の態様において異なる構造および機能を有してもよく、そして、たとえば請求項において主張されるような本発明を構成または使用するための異なる構造、方法、および/またはそれらの組合せを実現してもよいことは、理解されるだろう。
【0014】
また、以下の記載は、1つ以上のセクション見出しを有するセクションに分割されている。これらのセクションおよび見出しは、読みやすさのためにのみ提供されており、たとえば、特性の実施例および/または実施形態に関する特定のセクションおよび/またはセクション見出しにおいて論じられる本開示の1つ以上の態様が、別のセクションおよび/またはセクション見出しにおいて記載される別の特定の実施例および/または実施形態と組み合わせられること、これらに適用されること、および/またはこれらにおいて利用されることを制限するものではない。1つ以上の実施例の要素、特徴、およびその他の態様は、本明細書に開示される1つ以上のその他の実施例の要素、特徴、およびその他の態様と組み合わせられてもよく、および/または置き換え可能であってもよい。
【0015】
本開示の一態様はたとえば、装置から分配される吐出流体(たとえば、液体ストリームおよび/または気体/液体混合物、水蒸気、ガス状液体、ミスト、スプレイ、またはエアロゾル混合物を含む)の消毒特性を強化することに関する。一実施例において、本開示は、吐出液体(たとえば、液体ストリームおよび/または気体/液体混合物、ガス状液体、ミスト、スプレイ、またはエアロゾル混合物を含む)の消毒特性を強化することに関する。本開示の1つ以上の実施例における消毒の例示的な基準は、処理対象の表面上の微生物の細胞に、交流電場などの電場を印加することを含み、ここで電場は、たとえば不可逆的エレクトロポレーションとして知られる処理によって細胞が永久的に損傷するように、閾値と一致するかまたはこれを超過する。電場閾値が達成または超過された場合、エレクトロポレーションは細胞の生存能力を危険にさらし、その結果、不可逆的エレクトロポレーションとなる。
【0016】
1つ以上の実施例において、微生物は、装置から分配され、これを通して電場が印加される液体によって、表面から浮遊される。このような浮遊は、たとえば約±50ミリボルトを超えて液体の酸化還元電位を変化させることなどによって、強化される。微生物の浮遊は、微生物の細胞への電場の印加を強化してもよい。
【0017】
特定の実施例において、本開示の一態様は、手持ち式スプレイボトルまたは装置、移動式床洗浄機、手の消毒ステーションまたは装置、食品消毒剤、布または食器洗い機、および/または表面または容積空間に液体および/または気体/液体混合物を発生させるかまたは適用するためのその他の装置など、固定式または可動式装置によって担持される電解セルによって発生する電解液の消毒特性を強化するための方法および装置に関する。電解セルは、たとえば、帯電したナノバブルの動作を通じて微生物の浮遊液中で援助すべき液体のORPを増加することができる。液体のORPを変化させるため、および/または表面からの粒子および微生物の浮遊を強化するために、その他の機構が使用されることも可能である。
【0018】
本開示の実施形態は、様々な異なる用途において使用されることが可能であり、手持ち式、移動式、固定式、壁掛け式、電動式または非電動式、車輪付きまたは車輪なしなどの装置を含む、ただしこれらに限定されない、様々な異なるタイプの装置に収容されることが可能である。以下の実施例において、電解セルおよびエレクトロポレーション電極は、手持ち式スプレイボトルに組み込まれる。本開示において論じられる1つ以上の実施例の様々な態様のうちの1つ以上が、代替実施形態におけるその他の態様と適宜組合せおよび/または置き換えられてもよいことは、理解されるであろう。本明細書に記載される見出しは、便宜上使用されるが、たとえば特定の実施形態または実施例の下で論じられる一実施形態の態様を限定するように意図されるものではない。また、たとえば、電極を指すために本記載において「エレクトロポレーション電極」という用語が使用されるが、しかしこの用語は便宜上使用されるのみであって、微生物に対するその動作または効果をエレクトロポレーションの処理に限定するように意図されるものではない。
【0019】
本開示の1つ以上の実施例において、たとえば印加された電場を移送するための伝統的な電気プローブを使用する代わりに、装置は、帯電した吐出液を通じてこのような印加された電場を移送するように構成されてもよい。
【0020】
1.手持ち式スプレイ装置の実施例
図1は、本開示の例示的態様による、ここでは手持ち式スプレイボトル10の形態を取る、手持ち式スプレイ装置の一実施例の、簡略化された模式図である。別の実施例において、スプレイ装置は、より大きい装置またはシステムの一部を形成してもよい。図1に示される実施例において、スプレイボトル10は、処理された後にノズル14から分配される液体を収容するためのリザーバ12を含む。一実施例において、処理される液体は、通常の水道水などの水性組成物を含む。
【0021】
スプレイボトル10は、注入口フィルタ16、1つ以上の電解セル18、管20および22、ポンプ24、アクチュエータ26、スイッチ28、回路基板および制御エレクトロニクス30、ならびに電池32をさらに含む。図1には示されていないが、管20および22は、たとえばボトル10のネックおよびバレル内にそれぞれ収容されてもよい。キャップは、ボトル10のネックの周りでリザーバ12を封止する。電池32は、回路基板および制御エレクトロニクス30によって電圧が印加されたときに電解セル18およびポンプ24に電力を供給するために、たとえば使い捨て電池および/または充電池、あるいは電池の他のまたは電池の代わりのその他の適切な携帯式またはコード式電源を、含むことができる。
【0022】
図1に示される実施例において、アクチュエータ26は、開放および閉鎖状態の間で瞬時スイッチ28を作動する、トリガ型アクチュエータである。たとえば、ユーザがハンドトリガを握ると、トリガが開放状態から閉鎖状態にスイッチを作動する。ユーザがハンドトリガを放すと、トリガはスイッチを開放状態に作動する。しかしながら、アクチュエータ26は、代替実施形態において、その他のスタイルまたは構造を有することができ、さらなる実施形態においては排除されることが可能である。個別のアクチュエータのない実施形態では、スイッチ28はたとえば、ユーザによって直接作動されることが可能である。スイッチ28が開放された非伝導状態にあるとき、制御エレクトロニクス30は、電解セル18およびポンプ24の電力を切断する。スイッチ28が閉鎖された伝導状態にあるとき、制御エレクトロニクス30は、電解セル18およびポンプ24に電力を供給する。ポンプ24は、フィルタ16、電解セル18、および管20を通じてリザーバ12から液体を引き出し、この液体を管22およびノズル14から押し出す。噴霧器に応じて、ノズル14は、たとえばストリームを放出すること、ミストを噴霧すること、またはスプレイを分配することの間で選択するように、調整可能であってもなくてもよい。
【0023】
スイッチ28自体は、図1に示されるような押しボタンスイッチ、トグル、ロッカなどのいずれかの適切なアクチュエータ型、いずれかの機械的結合、および/または、たとえば容量性、抵抗性プラスチック、熱、誘導、機械的、非機械的、電気機械的、またはその他のセンサなどを含む、入力を検知するためのいずれかのセンサを有することができる。スイッチ28は、瞬時、単極単投など、いずれかの適切な接触配置を有することができる。
【0024】
代替実施形態において、ポンプ24は、ハンドトリガ型容積式ポンプなどの機械的ポンプに置き換えられ、ここでアクチュエータトリガ26は機械的動作によってポンプに直接作用する。この実施形態において、スイッチ28は、電解セル18に電力を供給するために、電源スイッチなど、ポンプ24とは別に作動されることが可能であろう。さらなる実施形態において、電池32は排除され、電力は、たとえば回転式ダイナモ、振動または太陽源など、別の携帯型電源を通じて移送されるか、または電源コード、プラグ、および/または接触端子を通じてなど、外部電源からスプレイボトル10に移送される。たとえば、代替実施形態において、ユーザは、電力を発生させるためにトリガを引きながら、内部ダイナモを作動させてもよい。スプレイボトルは、ボトルによって担持される携帯型電源、または外部電源に接続するためにボトルによって担持される端子など、いずれかの適切な電源を含むことができる。
【0025】
図1に示される配置は、非限定的な実施例としてのみ提供される。スプレイボトル10は、その他のいずれの構造的および/または機能的配置も有することができる。たとえば、ポンプ24は、リザーバ12からノズル14へ流れる流体の方向に対して、図1に示されるように、セル18の下流に、またはセル18の上流に、位置することが可能である。スプレイボトル10は、たとえばその他のいずれの適切な手持ち式装置であってもよく、ボトルまたはスプレイボトルの形状である必要はない。たとえばその他の形状因子または人間工学的形状が、その他の実施形態において利用されてもよい。たとえば、スプレイ装置は、ワンドの形状を有してもよく、これは、モップバケツ、電動式または非電動式汎用洗浄機、個別の洗浄ヘッドを備えるまたは備えない移動式洗浄装置、車両、などの洗浄装置に接続されてもされなくてもよい。
【0026】
以下により詳細に記載されるように、スプレイボトルは、洗浄および/または消毒されるべき表面上または容積空間内に噴霧される液体を、収容する。非限定的な一実施例において、電解セル18は、吐出スプレイ(または、たとえばストリーム)としてノズル14から分配されるのに先立って、液体を陽極液EA液体および陰極液EA液体に変質させる。陽極液および陰極液EA液体は、複合混合物として、または個別の管および/またはノズルを通じてなど個別のスプレイ吐出として、分配されることが可能である。図1に示される実施形態において、陽極液および陰極液EA液体は、複合混合物として分配される。スプレイボトルによって提供される小さく断続的な吐出流量により、電解セル18は、小型パッケージを有することができ、たとえばパッケージまたはスプレイボトルによって担持される電池によって電力供給されることが可能である。
【0027】
スプレイボトル10は、たとえば、接地に対して液体吐出スプレイの電位を付与、誘発、もしくは引き起こすために、液体または液体路の内部に位置するかまたはこれと適切な関係にある、個別の電気伝導体、リード、またはその他の電気および/または電磁部品、たとえば高圧電極35などの電極などを、さらに含むことができる。たとえば液体吐出スプレイを形成する液体がすでに電荷を担持している場合、このような電位は、たとえば液体吐出スプレイにおける個別または追加電位であってもよい。図1に示される実施例において、電極35は、管22に沿って位置しており、管を通じて流れる液体と電気的接触するように構成されている。しかしながら、電極35は、たとえばリザーバ12からノズル14まで(またはスプレイボトル10の外部にまでも)の液体流路に沿ったいずれの位置に配置されることも可能である。制御回路30は、トリガ26がスイッチ28を作動して閉鎖状態にすると電極35に電力を供給し、トリガ26がスイッチ28を作動して開放状態にすると、電極35への電力を遮断する。たとえばトリガ26が動作されているおよび/または液体が分配されている時間の一部の間であっても、電極35の電力遮断など、その他の実施形態においてその他の電力供給、電力遮断状態、またはパターンが使用され得ることは、理解されるだろう。この実施例において、電極35は、逆の極性の対応するリターン電極を有していない。さらに、別の実施形態において、電位を付与、誘発、もしくは引き起こすために、2つ以上の電気伝導体、リード、またはその他の電気部品またはそれらの組合せが利用されることが可能である。
【0028】
電極35によって発生および/または補完された電位は、分配される液体を通じて洗浄されている表面上の微生物に印加され、そして、電荷移送が十分な大きさである場合、このような電荷は、以下の実施例においてより詳細に論じられるように、エレクトロポレーションおよび/または電気水圧衝撃などの機構を通じて、微生物の不可逆的損傷、破壊、もしくは除去を生じさせることが可能である。これが、使用中の液体吐出スプレイの消毒特性を強化する。
【0029】
2.電解セルの実施例
電解セルは、少なくとも1つの陽極電極および少なくとも1つの陰極電極の間の流体にわたって電場を印加するようになっている、どのような流体処理セルも含む。電解セルは、どのような適切な数の電極、どのような適切な数の流体を収容するチャンバ、およびどのような適切な数の流体流入および流体吐出を有することもできる。セルはどのような流体(液体または気体−液体の組合せ)も処理するようになっていてもよい。セルは、陽極および陰極の間に1つ以上のイオン選択膜を含むことができ、またはイオン選択膜を全く使用しないで構成されることも可能である。イオン選択膜を有する電解セルは、この実施例では「機能的発生器」と称される。この用語は限定することを意図していない;その他の適切な装置および/または構造も機能的発生器として認められてもよいことは、理解されるであろう。
【0030】
電解セルは、様々な異なる用途において使用されることが可能であり、図1を参照して論じられたスプレイボトルおよび/または2007年8月16日に公開されたFieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368号明細書に開示されている構造など、ただしこれらに限定されない、様々な異なる構造を有することができる。このため、スプレイボトルの文脈に関連して、電気分解に関する様々な要素および工程が、本明細書に記載されているが、これらの要素および工程は、その他の非スプレイボトル用途に適用されること、および組み込まれることが、可能である。
【0031】
2.1 膜を有する電解セルの実施例
図2は、たとえば図1に示されるスプレイボトル内で使用されることが可能な電解セル50の一実施例を示す模式図である。電解セル50は、液体源52から、処理されるべき液体を受け取る。液体源52は、タンク、または図1のリザーバ12などのその他の溶液リザーバを含むことができ、または外部源から液体を受けるための継ぎ手またはその他の注入口を含むことができる。
【0032】
セル50は1つ以上の陽極チャンバ54および1つ以上の陰極チャンバ56(たとえば反応チャンバとして知られる)を有し、これらは、カチオン(たとえばプロトン交換膜)またはアニオン交換膜などのイオン交換膜58によって分離されている。1つ以上の陽極電極60および陰極電極62(図示される各電極のうちの1つ)は、それぞれ各陽極チャンバ54および各陰極チャンバ56内に設けられている。陽極および陰極電極60、62は、たとえばステンレス鋼、導電性ポリマ、チタンおよび/または白金などの貴金属で被覆されたチタン、またはその他の適切な電極材料など、いずれかの適切な材料から作られることが可能である。一実施例において、陽極および陰極のうちの少なくとも1つは、少なくとも部分的にまたは全体的に、導電性ポリマから作られている。電極およびそれぞれのチャンバは、いずれかの適切な形状および構造を有することができる。たとえば、電極は、平板、同軸板、ロッド、またはそれらの組合せであってもよい。各電極は、たとえば、一体構造を有することができ、1つ以上の開口を有することができる。一実施例において、各電極はメッシュとして形成されている。また、たとえば、複数のセル50が相互に直列または並列に結合されることが可能である。電極60、62は、従来型電源(図示せず)の対向する端子に電気的に接続される。
【0033】
イオン交換膜58は、電極60および62の間に位置している。イオン交換膜58は、カチオン交換膜(たとえばプロトン交換膜)またはアニオン交換膜を含むことができる。膜38に適切なカチオン交換膜は、部分的および完全にフッ素化されたアイオノマ、多環芳香族アイオノマ、およびそれらの組合せを含む。膜38に適切な市販されているアイオノマの例は、デラウェア州ウィルミントンのE.I.du Pont de Nemours and Companyより「NAFION」の商標名で入手可能なスルホン化テトラフルオロエチレンコポリマー;日本の旭硝子株式会社より「フレミオン」の商標名で入手可能なペルフルオロカルボキシル酸アイオノマ;日本の旭化成株式会社より「アシプレックス」の商標名で入手可能なペルフルオロスルホン酸アイオノマ;およびそれらの組合せを含む。適切な膜のその他の例は、たとえば、CMI−7000Sカチオン交換膜およびAMI−7001Sアニオン交換膜など、ニュージャージー州グレンロックのMembranes International Inc.より入手可能なものを含む。しかしながら、他の実施例において、いかなるイオン交換膜も用いることができる。
【0034】
電源は、DC出力定電圧、パルスもしくは変調DC出力電圧、および/またはパルスもしくは変調AC出力電圧を、たとえば陽極および陰極電極に提供することができる。電源は、いずれかの適切な出力電圧レベル、電流レベル、デューティサイクル、または波形などを有することができる。
【0035】
たとえば一実施形態において、電源は、比較的安定した状態で電極に供給される電圧を印加する。電源(および/または制御エレクトロニクス)は、電圧および電流出力を制御するためにパルス幅変調(PWM)制御方式を使用するDC/DCコンバータを含む。パルスがかかるまたはかからない、ならびにその他の電圧および出力範囲の、その他のタイプの電源も、使用され得る。特定の用途および/または実施形態に応じて、パラメータが異なってもよい。
【0036】
動作中、給水(または処理されるその他の液体)は、源52から陽極チャンバ54および陰極チャンバ56の両方に供給される。カチオン交換膜の場合、約5ボルト(V)から約28Vの範囲、またはたとえば5Vから約38Vの範囲の電圧など、DC電圧電位を陽極60から陰極62にわたって印加すると、陽極チャンバ54内にもともと存在しているカチオンは陰極62に向かってイオン交換膜58を横切って移動し、その一方で陽極チャンバ54内に存在するアニオンは陽極60に向かって移動する。しかしながら、陰極チャンバ56内に存在するアニオンはカチオン交換膜を通過することができず、そのため陰極チャンバ56内に残留する。
【0037】
その結果、セル50は、少なくとも部分的に電気分解を利用することによって給水を電気化学的に活性化することができ、酸性陽極液組成物70および塩基性陰極液組成物72の形態の電気化学的活性水を生成する。一実施例において、陽極液組成物70は少なくとも約+50mV(たとえば+50mVから+1200mVの範囲)の酸化還元電位(ORP)を有し、陰極液組成物72は少なくとも約−50mV(たとえば−50mVから−1000mVの範囲)のORPを有する。
【0038】
望ましければ、陽極液および陰極液は、たとえば電解セルの構造の変更を通じて、互いに異なる比率で生成されることが可能である。たとえば、セルは、EA水の主要機能が洗浄である場合、陽極液よりも大きい容積の陰極液を生成するように構成されることが可能である。あるいは、たとえば、EA水の主要機能が消毒である場合、セルは陰極液よりも大きい容積の陽極液を生成するように構成されることが可能である。また、各々の反応種の濃度が異なってもよい。
【0039】
たとえば、セルは、陽極液よりも大きい容積の陰極液を生成するために、陰極板と陽極板の比率を3:2とすることができる。各陰極板は、それぞれのイオン交換膜によってそれぞれの陽極板から分離されている。このため、この実施形態において、2つの陽極チャンバに対して3つの陰極チャンバがある。この構成は、40%の陽極液に対しておおよそ60%の陰極液を生成する。その他の比率もまた利用されることが可能である。
【0040】
また、全てのセルによって生成される陰極液および陽極液の相対的な量を変更するために、印加電圧デューティサイクルおよび/またはその他の電気的特性が変更されることが可能である。
【0041】
2.2 イオン選択膜を備えていない電解セルの実施例
図3は、本開示のさらなる実施例による、イオン選択膜を有していない電解セル80を示す。セル80は、反応チャンバ82、陽極84、および陰極86を含む。チャンバ82は、たとえば、セル80の壁によって、電極84および86が配置されている容器または流路の壁によって、あるいは電極自体によって、画定されることが可能である。陽極84および陰極86は、たとえばステンレス鋼、導電性ポリマ、チタンおよび/または白金などの貴金属で被覆されたチタンなど、いずれかの適切な材料または材料の組合せから作られてもよい。陽極84および陰極86は、図1に示される電池32など、従来型電源に接続される。一実施形態において、電解セル80は、チャンバ82を画定し、そして手持ち式スプレイボトルまたは移動式床洗浄装置の流路内など、処理される液体の流路内に配置される、自身の容器を含む。
【0042】
動作中、たとえば液体が、源88によって供給され、そして電解セル80の反応チャンバ82内に導入される。図3に示される実施形態において、電解セル80は、陽極84の反応生成物を陰極86の反応生成物から分離するイオン交換膜を含まない。洗浄に使用するために処理される液体として水道水が使用される実施例において、水をチャンバ82内に導入して陽極84および陰極86の間に電圧電位を印加した後、陽極84と接触しているかまたは付近にある水分子は、電気化学的に酸化されて酸素(O2)および水素イオン(H+)となり、その一方で、陰極86と接触しているかまたは付近にある水分子は、電気化学的に還元されて水素ガス(H2)およびヒドロキシルイオン(OH−)となる。その他の反応もまた生じることが可能であり、特定の反応は液体の成分に依存する。両方の電極からの反応生成物は、たとえば反応生成物を相互に分離する物理的な障壁がないので、混合されて(たとえば)酸素含有流体89を形成することが可能である。あるいは、たとえば、陽極および陰極の間に設けられた不透過性またはその他の膜(図示せず)などの誘電体バリアを使用して、陽極84は陰極84から分離されることが可能である。
【0043】
2.3 分配器の実施例
図2からの陽極液および陰極液EA液体吐出または図3の酸素含有流体89は、たとえば吐出口、継ぎ手、栓、スプレイヘッド、洗浄/消毒器具またはヘッド、またはそれらの組合せなどを含む、いずれかのタイプの1つまたは複数の分配器を含み得る、分配器74と結合されることが可能である。図1に示される実施例において、分配器74はスプレイノズル14を含む。図2の各吐出70および72に分配器があってもよく、両方の吐出について組み合わせられた分配器があってもよい。
【0044】
一実施例において、図2の陽極液および陰極液吐出が配合されて共通吐出ストリーム76となり、これが分配器74に供給される。Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368号明細書に記載されているように、陽極液および陰極液が、少なくとも一時的に有益な洗浄および/または消毒特性を維持しながら、洗浄装置の分配システム内および/または洗浄される表面または物品上で配合され得ることが、見出された。陽極液および陰極液は配合されるが、この実施例において、これらは当初は平衡状態になく、そのため一時的に強化された洗浄および/または消毒特性を維持することができる。
【0045】
たとえば、一実施形態において、陰極液EA水および陽極液EA水は、たとえ2つの液体が混合されていても、少なくとも30秒にわたって、それらの明らかな電気化学的に活性化された特性を維持する。この時間の間、2種類の液体の明らかな電気化学的に活性化された特性は、直ちに中和することはない。これにより、この実施例における各液体の有利な特性を、一般的な洗浄作業の間に利用することができる。比較的短時間の後、洗浄される表面上で配合された陽極液および陰極液EA液体は、急速に中和して実質的に源液の当初のpHおよびORP(たとえば通常の水道水のもの)になってもよい。一実施例において、配合された陽極液および陰極液EA液体は、中和して、1分未満、または陽極液および陰極液EA吐出が電解セルによって生成された時間からのその他の組合せの時間枠内で、実質的にpH6からpH8の間のpHおよび±50mVの間のORPになる。その他の適切なpH範囲が生じてもよい。その後、回収された液体は、いずれかの適切な方法で廃棄され得る。
【0046】
別の実施形態において、配合された陽極液および陰極液EA液体は、実施形態および液体の特性に応じて、たとえば30秒を超える時間にわたって、たとえばpH6からpH8の間の範囲外のpHおよび±50mVの範囲外のORPを維持することができ、および/または1分以外の時間範囲の後に中和することができる。
【0047】
3.汚れ、および電解水による洗浄の実施例
本明細書のその他の実施例の議論と同様に、以下の議論は実施例としてのみ提供され、そして本開示、本明細書に記載される実施例の動作、および/またはここに添付されるいずれかの発行された請求項の範囲を限定するように意図するものではない。
【0048】
3.1 基本的概念の実施例
汚れは、たとえば乾燥した事前可溶性物質、油状物質、および/または不溶性粒子の混合物からなる。通常、汚れは、水に対するよりも、より強い汚れとの親和性を有する。
【0049】
汚れを除去するためには、汚れ粒子と別の汚れ粒子との間、および汚れ粒子と洗浄される表面との間の親和性が減少されるべきであり、水に対する汚れ粒子の親和性は増加されるべきである。
【0050】
通常、ミセルを形成するために油状汚れ上では石けんおよび洗剤が使用され、汚れ粒子を浮遊させるためにポリアニオンが使用される。本開示の例示的な一実施形態において、ノズル14から分配される電解水には、これらのいずれも存在しない。
【0051】
しかしながら、電気分解工程の間、いくつかのナノバブルが電極表面において形成され、図4Aに示されるように、その後電解セルによって生成された陽極液および陰極液EA液体の中でゆっくりと消散する。スプレイボトルから分配される過飽和EA水溶液から、汚れ表面に別のナノバブルが形成される。これらのナノバブルは、水溶液中および浸漬した固体/液体表面の両方に、有意な期間だけ存在することができる。
【0052】
ナノバブルは、図4Bに示されるように、典型的な汚れ粒子上に見られるものなど、疎水性表面を形成し、これに付着する傾向がある。この工程は、気泡の付着が、好ましい負の自由エネルギー変化との高エネルギー水/疎水性表面界面から水分子を放出するので、エネルギー的に好ましい。
【0053】
また、泡が表面に接触すると、泡が広がって平坦化し、これによって泡の曲率が低下して、さらに好ましい自由エネルギー放出を与える。
【0054】
さらに、汚れ粒子の表面上にナノバブルが存在することで、図4Cに示されるように、機械的洗浄/ワイピング動作および/または先行する電解散布工程によって導入される可能性のある、より大きいミクロン超サイズの気泡によって粒子の捕獲を増加させる。表面ナノバブルの存在はまた、この動作によって捕獲され得る汚れ粒子のサイズを減少させる。
【0055】
このような捕獲は、図4Dに示されるように、洗浄されている表面から汚れ粒子を持ち去るのに役立ち、再付着を防止する。
【0056】
ナノバブルのさらなる特性は、その容積に対する巨大な気体/液体表面積である。この界面における水分子は、水の高表面張力によって認識されるように、より少ない水素結合によって保持されている。別の水分子との水素結合のこの減少により、界面水は「通常の」水よりも反応しやすく、そして別の分子とより迅速に水素結合して、より早い水和を呈する。
【0057】
少なくとも部分的にこれらの説明的(例示的)特性のため、生成されて図1に示されるスプレイボトルから分配される、特定の実施形態における陽極液および陰極液EA液体の組合せは、非電解水と比較して強化された洗浄特性を有する。
【0058】
3.2 例示的反応
図2に示される電解セル50に関して、陽極60と接触している水分子は陽極チャンバ54内で電気化学的に酸化されて酸素(O2)および水素イオン(H+)となり、その一方で、陰極62と接触している水分子は、陰極チャンバ56内で電気化学的に還元されて水素ガス(H2)およびヒドロキシルイオン(OH−)となる。陽極チャンバ54内の水素イオンは、カチオン交換膜58を通過して陰極チャンバ56に入ることができ、ここで水素イオンが還元されて水素ガスとなり、その一方で陽極チャンバ54内の酸素ガスは給水に酸素添加して、陽極液70を形成する。さらに、通常の水道水は一般的に塩化ナトリウムおよび/または塩素を含むので、陽極60は、存在する塩素を酸化して塩素ガスを形成する。その結果、相当量の塩素が生成され、陽極液組成物70のpHは時間とともにますます酸性になっていく。
【0059】
述べられたように、陰極62と接触している水分子は電気化学的に還元されて水素ガスおよびヒドロキシルイオン(OH−)となり、その一方で陽極チャンバ54内のカチオンは、電位が印加されるとカチオン交換膜58を通過して陰極チャンバ56に入る。これらのカチオンは、陰極62において発生するヒドロキシルイオンとイオン的に関連づけるために利用可能であり、その一方で水素気泡が液体中に生じる。相当量のヒドロキシルイオンが、時間をかけて陰極チャンバ56内に蓄積し、そして塩基性水酸化物を形成するためにカチオンと反応する。また、カチオン交換膜は負に帯電したヒドロキシルイオンにはカチオン交換膜を通過させないので、水酸化物は陰極チャンバ56に閉じこめられたままである。結果的に、相当量の水酸化物が陰極チャンバ56内に発生し、陰極液組成物72のpHは、時間とともにますますアルカリ性になる。
【0060】
機能的発生器50内の電気分解工程は、反応種の濃縮、ならびに陽極チャンバ54および陰極チャンバ56内の準安定イオンおよびラジカルの形成を可能にする。
【0061】
電気化学的活性化工程は一般的に、たとえば電子求引(陽極60において)または電子導入(陰極62において)のいずれかによって起こり、給水の生理化学的(構造的、エネルギー的、および触媒的なものを含む)特性の変化を生じさせる。電場強度が非常に高いレベルに到達し得る、電極表面の直近において、給水(陽極液または陰極液)が活性化されると考えられている。この領域は、電気二重層(EDL)と称されてもよい。
【0062】
電気化学的活性化工程が継続する間、水双極子は一般的に場と整合し、水分子の水素結合の割合が結果的に崩れる。さらに、単独結合水素原子は陰極電極62において金属原子(たとえば白金原子)と結合し、そして単独結合酸素原子は陽極電極60において金属原子(たとえば白金原子)と結合する。これらの結合原子は、さらなる反応に加わるまで、それぞれの電極の表面上で、二次元的に周囲に拡散する。その他の原子および多原子基もまた、同様に陽極電極60および陰極電極62の表面と結合してもよく、引き続き反応を受けてもよい。表面で発生した酸素(O2)および水素(H2)などの分子は、気体として水の液相内の小さな空洞(たとえば泡)に侵入してもよく、および/または水の液相によって溶媒和されてもよい。これらの気相泡は、これによって拡散されるか、もしくは給水の液相を通じて浮遊される。
【0063】
気相泡のサイズは、給水に印加される圧力、給水中の塩またはその他の化合物の組成、および電気化学的活性化の度合いなど、様々な要因に応じて異なってもよい。したがって、気相泡は、マクロバブル、マイクロバブル、ナノバブル、および/またはそれらの組合せを含む、ただしこれらに限定されない、様々な異なるサイズを有してもよい。マクロバブルを含む実施形態において、発生する泡の適切な平均泡径の例は、約500マイクロメートルから約1ミリメートルの範囲の直径を含む。マイクロバブルを含む実施形態において、発生する泡の適切な平均泡径の例は、約1マイクロメートルから約500マイクロメートル未満の範囲の直径を含む。ナノバブルを含む実施形態において、発生する泡の適切な平均泡径の例は、約1マイクロメートル未満の直径を含み、特に適切な平均泡径は約500ナノメートル未満の直径を含み、さらに適切な平均泡径は約100ナノメートル未満の直径を含む。
【0064】
気体−液体界面の表面張力は、表面分子が、電極表面において気体の分子に対してよりも水中の分子により引きつけられるため、陽極電極60および陰極電極62の表面から離れる方向に配向されている分子の間の引力によって生じる。対照的に、水の大部分の分子は、全方向に等しく引きつけられる。このため、可能な相互作用エネルギーを増加させるために、表面張力は、電極表面の分子を液体の大部分に侵入させる。
【0065】
気相ナノバブルが発生する実施形態において、ナノバブル(すなわち約1マイクロメートル未満の直径を有する泡)に含有される気体もまた、その小径にもかかわらず、給水中で実質的な持続時間にわたって安定していると考えられている。理論に縛られることを望むわけではないが、水の表面張力は、気体/液体界面において、気泡の曲面が分子次元に接近するときに、降下すると考えられている。これは、ナノバブルの消散する自然な傾向を減少させる。
【0066】
さらに、ナノバブルの気体/液体界面は、膜58全体に印加される電圧によって帯電される。電荷は表面張力に対抗する力を導入し、これはまたナノバブルの消散を遅延させるかまたは防止する。電荷斥力が表面張力による表面最小化とは逆方向に作用しながら、界面における同様の電荷の存在は、明らかな表面張力を減少させる。気体/液体界面を好む付加的な帯電物質の存在により、いかなる効果も増加されてもよい。
【0067】
気体/液体界面の自然な状態は、負のようである。低表面電荷密度および/または高分極率を有するその他のイオン(Cl−、ClO2−、HO2−、およびO2−など)もまた、水和電子として、気体/液体界面を好む。水性ラジカルもまた、このような界面に存在することを好む。このため、陰極液(すなわち、陰極チャンバ56内を流れる水)中に存在するナノバブルは負に帯電しているが、陽極液(すなわち陽極チャンバ54内を流れる水)中に存在するものはほとんど電荷を保たない(過剰なカチオンが自然な負の電荷を相殺する)と考えられている。したがって、陰極液ナノバブルは、陽極液との混合に際してもその電荷を失いそうもない。
【0068】
また、気体分子は、陰極上の過剰な電位のため、ナノバブル内で帯電してもよく(O2−など)、それによってナノバブルの全体的な電荷を増加させる。帯電したナノバブルの気体/液体界面における表面張力は、帯電していないナノバブルと比較して低減される可能性があり、そしてそれらのサイズは安定する。表面張力が表面を最小化するのでこれは質的に高く評価され得るが、これに対して帯電した表面は、類似の電荷の間の斥力を最小化するために膨張する傾向がある。電気分解に必要とされるものに対する過剰な電力損失のため、電極表面における上昇温度もまた、局所的な気体可溶性を低下させることによって、ナノバブル形成を増加させる。
【0069】
類似電荷の間の反発力がその間の距離の2乗に逆比例して増加するため、泡径が減少するにつれて外向きの圧力が増加する。電荷の効果は表面張力の効果を減少させることであり、そして表面張力は表面を縮小させる傾向があり、その一方で表面電荷はこれを膨張させる傾向がある。このため、これらの対抗する力が等しいときに、平衡が達成される。たとえば、気泡(半径r)の内面上の表面電荷密度をΦ(e−/平方メートル)とすると、外向きの圧力(「Pout」)は、以下のナヴィエストークス方程式を解くことによって求められる:
【数1】
ここで、「D」は気泡の比誘電率(1と仮定)、「ε0」は真空の誘電率(すなわち8.854pF/メートル)である。気体の表面張力による内向きの圧力(「2Pin」)は:
【数2】
ここで、「g」は表面張力(25℃で0.07198ジュール/平方メートル)である。したがって、これらの圧力が等しい場合、気泡の半径は:
【数3】
【0070】
したがって、5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルのナノバブル径では、ゼロ超過内圧における計算された電荷密度は、たとえばそれぞれ0.20、0.14、0.10、0.06、および0.04e−/平方ナノメートルの泡表面積である。このような電荷密度は、電解セル(たとえば電解セル18)の使用によって容易に達成可能である。泡上の総電荷が2/3乗まで増加するにつれて、ナノバブル半径は増加する。平衡状態にあるこれらの状況下で、ナノバブル表面における液体の有効表面張力はゼロであり、そして泡の中の帯電ガスの存在は、安定したナノバブルのサイズを増加させる。泡サイズのさらなる減少は、内圧の減少を大気圧未満まで下げるため、示されていない。
【0071】
電解セル(たとえば電解セル18)の内部の様々な状況において、ナノバブルは、表面電荷によってさらに小さい泡に分割してもよい。たとえば、半径「r」および総電荷「q」の泡が容積および電荷を共有する2つの泡(半径r1/2=r/21/3、および電荷q1/2=q/2)に分割すると仮定し、泡の間のクーロン相互作用を無視すると、表面張力(ΔEST)および表面電荷(ΔEq)によるエネルギーの変化の計算は、以下のようになる:
【数4】
【0072】
ΔEST+ΔEqが負のときに起こるように全体的なエネルギー変化が負である場合、泡は準安定性であり、これによって以下が得られる:
【数5】
これによって半径および電荷密度(Φ)の間の関係が与えられる:
【数6】
【0073】
したがって、5ナノメートル、10ナノメートル、20ナノメートル、50ナノメートル、および100ナノメートルのナノバブル径では、計算された泡の電荷密度はそれぞれ0.12、0.08、0.06、0.04、および0.03e−/平方ナノメートル泡表面積に分かれる。同じ表面電荷密度では、泡径は通常、泡を2つに分割するためよりも、見かけの表面張力をゼロに減少するための方が3倍大きい。このため、ナノバブルは一般的に、さらなるエネルギー入力がない限り、分割しない。
【0074】
上記で論じられた気相ナノバブルは、たとえば汚れ粒子を引きつけるようになっており、それによってそれらのイオン電荷を移動させる。ナノバブルは一般的な汚れ粒子によく見られる疎水性表面に密着し、これが好ましい負の自由エネルギー変化との高エネルギー水/疎水性表面界面から水分子を放出する。また、ナノバブルは、疎水性表面と接触すると広がって平坦化し、それによってナノバブルの曲率を低下して、結果的に表面張力によって生じる内圧が低下する。これは、さらなる好ましい自由エネルギー放出を提供する。帯電および被覆された汚れ粒子はその後、類似の電荷の間の斥力によって互いにより容易に分離され、そして汚れ粒子はコロイド粒子として溶液に侵入する。
【0075】
さらに、粒子の表面上のナノバブルの存在は、ミクロンサイズの気相泡による粒子の捕獲を増加させるが、これは電気化学的活性化工程の間にも発生してもよい。表面ナノバブルの存在はまた、この作用によって捕獲される汚れ粒子のサイズを減少させる。このような捕獲は、床表面からの汚れ粒子の除去に役立ち、そして再付着を防止する。また、気相ナノバブルによって達成される大きな気体/液体表面の面積対容積比のため、この界面に位置する水分子は、水の高い表面張力によって認識されるように、より少ない水素結合によって保持されている。別の水分子との水素結合のこの減少により、この界面水は、通常の水よりも活性化され、そして別の分子とより迅速に水素結合し、それによってより速い水和を呈する。
【0076】
たとえば、100%の効率で、1アンペアの電流は、1秒あたり0.5/96,485.3モルの水素(H2)を生成するのに十分であり、これは1秒あたり5.18マイクロモルの水素と同等であり、同様に、0℃の温度および1気圧の圧力で1秒あたり5.18×22.429マイクロリットルの気相水素と同等である。これはまた、20℃の温度および1気圧の圧力で1秒あたり125マイクロリットルの気相水素とも同等である。大気中の水素の分圧は事実上ゼロなので、電解溶液中の水素の平衡溶解度もまた事実上ゼロであり、そして水素は気孔(たとえばマクロバブル、マイクロバブル、および/またはナノバブル)の中に保持される。
【0077】
電解溶液の流量を1分あたり0.12USガロンとすると、毎秒7.571ミリリットルの水が電解セルを流れる。したがって、20℃の温度および1気圧の圧力で1リットルあたりの電解溶液に含有される泡の中には0.125/7.571リットルの気相水素が存在する。これは、液体表面から逃れるいずれの気相水素および溶液を過飽和させるために溶解するいずれの気相水素もない溶液1リットルあたり0.0165リットルの気相水素と同等である。
【0078】
10ナノメートル径のナノバブルの容積は5.24×10−22リットルであり、これは疎水性表面との結合において、約1.25×10−16平方メートルを覆う。このため、溶液1リットル毎に約4000平方メートルの複合表面被覆電位を有する、最大約3×10−19個の泡(20℃および1気圧で)が存在することになる。たとえば1分子の厚さしかない表面層を仮定すると、これは50ミリモルを超える活性表面水分子の濃度を提供する。この濃度は例示的な最大量を表すが、たとえナノバブルがより大きい容量およびより大きい内圧を有していても、表面被覆の電位は大きいままである。さらに、小さい割合の汚れ粒子面積のみが、ナノバブルに洗浄効果を持たせるためにナノバブルによって被覆される必要がある。
【0079】
したがって、電気化学的活性化工程において生成された気相ナノバブルは、このように電荷を移動させる汚れ粒子に付着するために有益である。結果的に発生する帯電および被覆された汚れ粒子は、類似電荷の間の斥力により、互いにより容易に分離される。これらは溶液に侵入して、コロイド浮遊液を形成する。さらに、気体/水界面の電荷は表面張力に対向し、それによってその効果および結果的な接触角度を減少させる。また、汚れ粒子のナノバブル被覆は、導入される、より大きい浮遊気相マクロバブルおよびマイクロバブルの捕獲を促進する。これに加えて、ナノバブルの広い表面積は、適切な分子のより迅速な水和が可能な、大量の、より反応性の高い水を提供する。
【0080】
4.管状電極の実施例
上述のように、図1に示される電解セル18は、図2および3に示されるもののような、いずれかの適切な形状または構成を有することができる。電極自体が、平面、同軸板、円筒形ロッド、またはそれらの組合せなど、いずれかの適切な形状を有することができる。
【0081】
図5は、説明的な例による管状形状を有する電解セル200の一実施例を示す。たとえば、セル200は、「Activeion(商標)Pro」の名前で、本願の譲受人の実施権者であるミネソタ州セントジョセフのActiveIon Cleaning Solutions,LLCより販売され、入手可能な、手持ち式スプレイボトルに収容された電解セルを含むことができる。
【0082】
電解セル200は、たとえば、本明細書に開示された実施形態のいずれにおいて使用されることも可能である。セル200の半径方向断面は、図5に示されるような円形、あるいは1つ以上の曲線縁を有する曲線形状および/または長方形などのその他の形状など、いずれの形状を有することもできる。具体的な例は、楕円形、長方形などの多角形、などを含む。
【0083】
セル200の部分は、説明目的のために切り取られている。この実施例において、セル200は、管状筐体202、管状外部電極204、および管状内部電極206を有する電解セルであり、管状内部電極206は、0.040インチなどの適切な間隙によって外部電極から分離されている。0.020インチから0.080インチの範囲の間隙など、ただしこれらに限定されない、その他の間隙サイズも使用されることが可能である。内部または外部電極のいずれも、印加される電圧の相対的な極性に応じて、陽極/陰極として機能することができる。
【0084】
イオン選択膜208は、外部および内部電極204および206の間に位置している。一実施例において、外部電極204および内部電極206は、開口を備える導電性ポリマ構造を有する。しかしながら、1つまたは両方の電極は、別の実施例において一体構造を有することができる。
【0085】
電極204および206は、たとえば導電性ポリマ、チタンおよび/または白金などの貴金属で被覆されたチタン、またはいずれかのその他の適切な電極材料など、いずれかの適切な材料から作られることが可能である。また、たとえば、複数のセル200が互いに直列または並列に結合されることが可能である。
【0086】
特定の実施例において、陽極または陰極電極のうちの少なくとも1つは、格子状の一定の大きさの長方形の開口部を備える金属メッシュで形成されている。特定の実施例において、メッシュは、1平方インチあたり20×20の格子開口部の格子パターンを有する、直径0.023インチのT316(またはたとえば304)ステンレス鋼で形成されている。しかしながら、別の実施例において、その他の寸法、配置、および材料も使用され得る。
【0087】
イオン選択膜208は、外部および内部電極204および206の間に位置する。特定の実施例において、イオン選択膜は、E.I.du Pont de Nemours and Companyの「NAFION」を含み、これは2.55インチ×2.55インチに切断され、その後内部管状電極206の周りに巻き付けられて、たとえば3M Companyの#1357接着剤などの接触接着剤を用いてのりしろに固定される。繰り返しになるが、別の実施例において、その他の寸法および材料も使用され得る。適切な膜のその他の例は、本明細書に記載された別の膜、および、たとえば、CMI−7000Sカチオン交換膜およびAMI−7001Sアニオン交換膜など、ニュージャージー州グレンロックのMembranes International Inc.より入手可能なものを含む。
【0088】
この実施例において、管状電極206の内部の容積空間の少なくとも一部は、筐体202の縦軸に沿った方向への、電極204および206ならびにイオン選択膜208に沿った、およびその間の、液体の流れを促進するために、硬質の内部コア209によって遮断されている。この液体の流れは、導電性であり、そして2つの電極の間に電気回路を完成させる。電解セル200は、いずれかの適切な寸法を有することができる。一実施例において、セル200は、約4インチ長の長さおよび約3/4インチの外径を有することができる。長さおよび直径は、処理時間、および液体の単位容積あたりで発生する、たとえばナノバブルおよび/またはマイクロバブルなどの泡の量を制御するように、選択されることが可能である。
【0089】
セル200は、セルの一端または両端に、適切な継ぎ手を含むことができる。プラスチック製クイック接続継ぎ手を通じてなど、いずれの取り付け方法も使用可能である。たとえば、1つの継ぎ手は、図1に示される吐出管20に接続するように構成され得る。別の継ぎ手は、たとえば注入口フィルタ16または注入管に接続するように構成され得る。別の実施例において、セル200の一端は、図1のリザーバ12から液体を直接引き込むために、開放されたままである。
【0090】
図5に示される実施例において、セル200は、陽極チャンバ(電極204または206のいずれか1つとイオン選択膜208との間)内で陽極液EA液体を、陰極チャンバ(電極204または206のもう一方とイオン選択膜208との間)内で陰極液EA液体を、生成する。陽極液および陰極液EA液体流路は、陽極液および陰極液EA液体が管20に侵入する際に、セル200の吐出口で接続する(図1の実施例において)。その結果、スプレイボトル10が、配合された陽極液および陰極液EA液体を、ノズル14を通じて分配する。
【0091】
一実施例において、管20および22の直径は、ポンプ24および電解セル18(たとえば図5に示されるセル200)が電圧印加されると管20および22が電気化学的に活性化された液体を迅速に呼び込むように、小さく維持される。管およびポンプに収容されているいずれの不活性液体も、小さい容積に保たれる。このため、スイッチ28の作動に応えて制御エレクトロニクス30がポンプおよび電解セルを始動する実施形態において、スプレイボトル10は、「オンデマンド」形式でノズル14において配合EA液体を生成し、陽極液および陰極液EA液体を保存する中間ステップを経ずに、組み合わせられた陽極液および陰極液EA液体の実質的に全てを(管20、22、およびポンプ24内に保持されるものを除く)、ボトルから分配する。スイッチ28が作動していないとき、ポンプ24は「オフ」状態にあり、そして電解セル18には電圧が印加されていない。スイッチ28が作動して閉鎖状態になると、制御エレクトロニクス30は、ポンプ24を「オン」状態に切り替え、そして電解セル18に電圧を印加する。「オン」状態において、ポンプ24は、リザーバ12からセル18を通じてノズル14を出るように水をポンプ移送する。
【0092】
その他の作動順序、構成、および配置も使用され得る。たとえば、制御回路30は、分配前に給水をより電気化学的に活性化できるようにするために、ポンプ24に電圧印加する前に、所定時間にわたって電解セル18に電圧印加するように構成されることが可能である。
【0093】
セル18からノズル14までの移動時間は、非常に短くすることができる。一実施例において、スプレイボトル10は、たとえば電解セル18によって陽極液および陰極液が生成され始める非常に短い時間内に、配合された陽極液および陰極液を分配する。たとえば、配合液は、陽極液および陰極液が生成される時間の5秒以内、3秒以内、および1秒以内などの時間内に、分配されることが可能である。
【0094】
望ましければ、管状電解セル200の1つ以上の具体的な非限定例のさらなる構造は、2009年6月19日出願の、Fieldらによる米国特許出願番号第12/488,360号明細書に提示および記載されている。これらの構造は、本明細書に開示されるいずれの実施形態、およびその変形例においても、使用可能である。
【0095】
5.電解吐出の消毒特性を強化する追加高圧電極の実施例
電解セルによって生成された電解液は強化された洗浄特性を有する可能性があるが、セルによって生成される陽極液、陰極液、および/または陽極液/陰極液の組合せの消毒特性をさらに強化することが、望ましいだろう。
【0096】
たとえば、電解セルに印加される電圧の特性およびセルに供給される液体(たとえば水道水)の特性によっては、セルによって生成される液体の化学的特性は、一貫した消毒特性を生じるのに十分ではない可能性がある。電気分解工程は一定量の次亜塩素酸を生成し、これは消毒特性を有することができるが、一般的な電気分解工程は、液体を通じての電荷移動をもたらすために「塩添加」に依存し、そして水道水には一貫性のない「塩」が存在し得る。これは、予測不可能な次亜塩素酸の濃度および予測不可能な消毒特性をもたらす可能性がある。
【0097】
本開示の1つ以上の実施形態において、電解セルの電極は、たとえば液体中に小さな電荷を生じることが、見出された。電解セルから吐出スプレイによって処理されている表面または容積までの液体路が、たとえば接地と比較して、導電性になり得ることも、見出された。1つ以上のセル電極および接地の間の電位は、液体によって接触される表面上または容積中の微生物の消毒を強化する。
【0098】
電位は、たとえば液体および/または液体/気体混合物を通じて微生物に印加され、そして、微生物の細胞にわたって印加される結果的な電場が十分な大きさであれば、電場は、以下により詳細に論じられるように、エレクトロポレーションおよび/または電気水圧衝撃などの機構を通じて、微生物に不可逆的損傷または破壊を生じさせることができる。
【0099】
本開示の説明的実施形態において、図1に示される手持ち式装置によって分配される液体を通じて移送される電荷は、液体吐出スプレイおよび/またはストリームに電位を付与、印加、誘発、もしくは引き起こすために、個別の電気伝導体、リード、またはその他の電気および/または電磁部品、たとえば高圧(相対的な意味で)電極35などの電極などによって、さらに強化されることが可能である。図1に示される実施例において、電極35は、たとえば電解セル18によって発生する電位と比較して、接地に対して個別のより大きい電位を発生させるために、液体路内に位置している。やはり図1に示される実施例において、電極35は管22に沿って位置している。しかしながら、電極35は、たとえば手持ち式装置によって分配された液体を帯電または追加帯電させるために電荷を誘導するために、リザーバ12からノズル14まで(またはスプレイボトル10の外部にまでも)の液体流路に沿ったいずれかの位置、またはその他の適切な位置に、配置されることが可能である。
【0100】
一実施例において、電極35は、電極の一部が管22を流れる液体と物理的に接触するように、管22の側壁を通じて挿入される、導電性スパイクまたは「とげ」によって形成される。別の実施例において、管22は、少なくとも部分的に、金属および/または導電性ポリマなどの導電性材料で作られている。たとえば、管22は、制御エレクトロニクス30から延在する電気リードに電気的に接続される、銅製部分を含むことができる。例示的実施例において、追加電極35は電解セルから分離して外側にあり、そして対応するリターン電極(たとえば、逆の極性の電極および/またはエレクトロポレーション電極のための回路接地を代表する電極)を有していない。別の実施形態における別の配置が利用されてもよいことは、理解されるだろう。
【0101】
制御エレクトロニクス30上の電源は、ACおよび/またはDC電圧(正の電圧など)を、リード35およびひいては管22の中の液体に移送するように構成されることが可能である。管22は、リード35から管の中で移送されている液体に電気を誘導し、こうしてノズル14に侵入する液体に電位および/または追加電位を印加するように、構成されている。この追加電位は、たとえば、微生物に与えられるエレクトロポレーション/電気水圧衝撃を増加させることができる。
【0102】
代替実施形態において、様々な電圧および電圧パターンが使用され得る。接地は、電極35によって形成される電気回路、ノズル14によって移送される液体ストリーム、およびストリームが適用される表面または容積を完成させるのに役立つ。
【0103】
たとえばリザーバ12からノズル14の吐出(またはボトル10の外側)まで、ボトル10の流路に沿ったいずれの箇所にも、追加電圧(および/または電流)が印加され得る。たとえば、ノズル14が少なくとも部分的に導電性であれば、リード35はノズル14と結合されることが可能である。別の実施例において、リード35は、流路に沿ったいずれかの箇所で液体と接触するプローブチップと、電気的に結合される。別の実施例において、リード35は、導電性である場合に、ポンプを通過する液体に電荷を移送する、ポンプ24の筐体と電気的に結合される。さらに別の実施例において、リード35は、電解セル18内に収容されている液体に追加電荷を移送することができる。さらに別の実施例において、電解セル18はボトルから排除され、ここでノズル14から噴霧される液体は、電気化学的に活性化されないが、しかしエレクトロポレーション/電気水圧衝撃を引き起こすリード35などの導体の結果として、まだ電荷を担持することができる。
【0104】
5.1 高圧エレクトロポレーション電極の実施例
図6は、本開示の例示的実施形態による、高圧エレクトロポレーション電極35の分解図である。電極35は、アダプタ240、ワッシャ242、端子244、およびナット246を含む。アダプタ240は、たとえば管22(図1に示す)の2つの部分の間を接続するための、オスコネクタ(たとえば、とげ)を備える2つの対向する末端を有する。アダプタ240は、装置の液体流路に沿って、一端からもう一端まで液体を通過させるための内腔を有する。アダプタ240は、銅、真ちゅう、および/または銀のような導電性材料など、いずれかの適切な材料で形成されることが可能である。特定の実施形態において、アダプタ240の少なくとも一部は、銀で形成または被覆される。たとえば、アダプタ240は真ちゅうで形成されることが可能であり、ここで液体と接触する表面の少なくとも一部は、銀で被覆される。たとえば、内径および外径表面が、銀で被覆される。
【0105】
ナット246はアダプタ240の一端にネジ留めされ、それによって端子244およびワッシャ244をアダプタと電気的にきつく接触した状態に保持する。端子を制御エレクトロニクス30(図1に示す)と電気的に接続するため、電気リード(図示せず)が端子244に取り付けられることが可能である。アダプタ240は導電性なので、端子244を通じてアダプタ240に印加される電位は、噴霧される表面に対して、アダプタ内を流れる液体に印加される。
【0106】
別の実施形態において、電極35は導電性スパイクによって形成され、これは、スパイクが管を流れる液体と電気的に接触するように、管22の側壁を通じて延在する。その他の構成が使用されることも可能である。
【0107】
さらに別の実施形態において、電極は、導電性ノズルによって形成されることが可能である。たとえば、図1のノズル14または図10Aのノズル508は、銀メッキされた真ちゅうなど、ただしこれに限定されない、少なくとも部分的に導電性の材料で形成されることが可能である。
【0108】
銀メッキもまた、消毒作用を強化する。銀は、流路に沿って流れる液体との良好な導電性を提供するだろう。電位が電極35に印加され、電流が液体吐出スプレイを通じて電極35から表面に流れるとき、銀イオンが電極から液体の流れに移動することも、可能である。銀イオンは、いくつかの細菌、ウイルス、藻類、および菌類に対する毒性を有することが知られている。したがって、銀電極の使用は、分配液および/または液体/気体混合物の消毒特性をさらに強化することができる。
【0109】
5.2 エレクトロポレーション機構の実施例
以下の議論は、実施例としてのみ提供され、そして本開示、本明細書に記載される実施例の動作、および/またはここに添付されるいずれかの発行された請求項の範囲を限定するように意図するものではない。
【0110】
図7Aは、スプレイノズル14からのスプレイ吐出250を示す図であり、ここでそれぞれの液滴は、ノズルから処理されている表面まで、異なる経路、たとえば「a」および「b」を通る。表面252は、接地などのグラウンド254までの導電路を有しても有さなくてもよい。
【0111】
図7Bは、図1に示されるスプレイボトル10からの吐出スプレイ250を用いて噴霧表面252(図7A)によって実現されるエレクトロポレーション機構の実施例を示す図である。表面35上に分配された吐出スプレイ250は、導電性浮遊媒体を形成することが見出された。図7Bは、吐出スプレイ250からの分配液によって表面252から浮遊される微生物の細胞膜256に印加される、結果的な電場「E」を示す。吐出スプレイ250および表面252上に分配された液体はともに、たとえば電極35から表面252までの伝導経路を形成する。電極35から電解水スプレイへの印加交流電位の追加は、吐出スプレイ250に、非常に強化された消毒作用を与えるようである。この現象は、不可逆的エレクトロポレーションと関連がある。特定の実施形態において、交流電位は、異なる有機体にとって様々な効果を有する600V、28kHzにおいて、特に効果的なようである。しかしながら、別の実施形態において、その他の電圧および周波数が使用され得る。
【0112】
細胞死をもたらすエレクトロポレーションは、少なくとも0.5Vの膜内外電位差によって実現可能であることが知られている(たとえば、膜厚がおおむね〜3nmである場合)。構成によっては、このような電位は、約10kV/cm以上のパルスを必要とする可能性がある。たとえば、細胞毒素の存在下で、または正常に可逆的に形成された孔の再封止を防止するための追加機構の利用可能性がある場合、より低い電位が有効である可能性がある。エレクトロポレーションは一般的に低電位で「可逆的」なツールとして使用されるが、これらの条件下でも小さい割合の細胞しか回復されない場合が多いと認識されていることに留意されたい。
【0113】
細胞は、多くの膜を失った状態でも比較的長期間生存することができると知られているので、細胞膜における穴の形成は、それだけでは細胞死を引き起こすには不十分である。
【0114】
セルに出入りする物質の電気泳動および電気浸透(毛細管電気泳動)運動によって生じる可能性のある、細胞の代謝状態の乱れによって、細胞死が訪れる。拡散自体は一般的に非常に遅い。電気泳動および電気浸透を実現するために、図7Cに示されるように、表面内で十分な電力が散逸される必要がある。
【0115】
異なる微生物は、異なる総表面電荷および電荷分布を有し、そのため細胞死については相互に異なった反応をする。これらは、場の振動においても異なる振る舞いをし、そして最大吸収で異なる共振周波数を有する(したがって水溶液に対する最大運動でもそうであり、それらの代謝に対して最大の混乱を引き起こす)。出入り運動は、主に電位勾配に依存する。システムが共振していると、効果が増大する。
【0116】
細胞に移送される電位勾配および噴霧表面に散逸される電力を考慮すると、特定の実施例において、スプレイ装置は、部分的には真のエアロゾル(〜1μ液滴)であるが大部分は10μよりはるかに大きい液滴サイズのミストであってもよい、微細スプレイを移送する。液滴サイズおよび速度プロファイルは、実施形態によって異なってもよい。
【0117】
ノズルを出る液体の速度は、噴霧される液体の量を排出オリフィスの面積で割って単純に計算される。しかしながら、液滴速度のその後の減少は、液滴サイズに依存する(質量対表面積の比率)。10μおよび50μの液滴の最終速度は、それぞれ約10−3m/sおよび10−1m/sしかない。
【0118】
噴霧された水滴は、異なる速さで降下し、そして高速交流電位(たとえば28kHz)に関しては、時間差が重要になる。たとえば、図7Aにおいて、経路(b)は、たとえば約1cmだけ、経路(a)よりも長くなる。降下速度(液滴サイズ、流量、およびノズル形に依存する)は、着地する液滴の間の時間差を決定するが、しかしこれは36μsの電位サイクル時間の数倍以上になりそうである。
【0119】
電位が降下時間によって決定される場合、噴霧電場の周辺に向かってより大きい電場勾配を有する二次元表面内に、著しい電位勾配が存在することになる。中心からちょうど1cm出た液滴は、10m/sで移動していても、まだあと約0.03cm移動するが、これは電位の1サイクルに等しい。これらの電位勾配は、液滴が噴霧器電極と効果的に連続接触していない場合に存在する可能性がある。液滴が異なる経路(および結果的な降下時間)を取るにもかかわらず、全てのスプレイが表面との衝突時に同じ電位を有する場合、電位勾配はそのような表面内ではなく、表面と「アース」との間にあり、これらは表面が「アース」されていない場合には電気多孔性を生じるのに十分ではない可能性がある。
【0120】
開孔を有する細胞は、侵入に対するバリアを有していないので、水溶液中の細胞毒素の影響をはるかに受けやすい。交流電位とともに移送される潜在的な細胞毒素は、過酸化物、酸化塩素、ならびに超酸化物、オゾンおよび一重項酸素、および第二銅イオンおよび/または銀イオンなどの重金属イオンなど、その他の酸化還元剤である。
【0121】
帯電したナノバブルは、電場内を移動し、そして表面から物質を捕獲することができるようになる。これらは表面活性なので、孔の再封止をさらに妨害し、たとえば図7Cに示されるように、細胞毒性表面活性分子を孔部位に優先的に移送してもよい。
【0122】
上記を鑑みて、たとえば図1に示されるスプレイボトル10によって生成された電解水は、小さな帯電した泡の生成のため、洗浄剤として機能する。これらは自身を汚れ粒子/微生物に付着させ、そうしてその電荷を移動させる。帯電および被覆された粒子は、これらの類似電荷の間の斥力によって相互に分離し、そして浮遊液として溶液に侵入する。小さな泡による汚れの被覆は、洗浄中に導入されるより大きい浮遊泡によるその捕獲を促進し、こうして洗浄工程に役立つ。同時に、微生物は、追加電極35によって発生する電位によって電気穿孔および殺滅または除去されて、たとえば表面上の微生物の数を減少させる。
【0123】
このため、消毒能力特性を強化するためには、たとえば水性流体を通じてグラウンド(接地など)に高圧を放電(相対的な意味で)することによって、より一貫した効果的な微生物作用の破壊を実現するために、エレクトロポレーションが使用され得る。
【0124】
電解セルによって生成される電気化学的に活性化された液体とエレクトロポレーションによって印加された電場との組合せが相乗効果を有することも、見出された。電気化学的に活性化された液体において生成された帯電したナノバブルが電場内を移動すると、これらが微生物を捕獲して、これらを表面から分離すると考えられている。表面上の液体の中に浮遊されるように、微生物を表面から分離することによって、エレクトロポレーション電極によって表面に沿って発生した電場は、微生物細胞全体に、より容易に印加される。これに対して、微生物が表面と接触している場合、電場は表面グラウンド内により容易に放出され、そして有機体細胞の不可逆的エレクトロポレーションの形成においてより効果的ではなくなるだろう。細胞が浮遊された状態で、印加された交流電場は前後に振動して、細胞に損傷を生じさせる。
【0125】
代替実施形態において、微生物浮遊液は、電解セルによって生成された電気化学的に活性化された液体以外の機構を通じて実現される。たとえば、微生物は、洗剤および/または機械的作用または組合せを使用して、浮遊されることが可能である。その他の浮遊機構の具体例は、たとえば、分配液のORPを変化させるいずれかの機構(正のORP、負のORP、または両方の組合せを有する分配液を生成する)を含む。たとえば、通常の水道水は、洗浄効果を強化した、負のORP(−50ミリボルトから−600ミリボルトなど、ただしこれらに限定されない)を有するように変更されてもよいことが見出された。これらの強化された洗浄効果は、たとえば、分配液内の表面より上で微生物を浮遊させるのに役立つことができる。本明細書に記載されるように、電解セルを通じて負(および/または正)のORPが実現可能であるが、これは界面活性剤(および/または界面活性剤を担持する洗剤)の使用によって、および/または分配された液体に、液体のORPを変化させる、フィルタまたはゼオライトなどの物質を含有するその他の機構を通過させることによってなど、その他の機構によっても実現可能である。
【0126】
本明細書により詳細に記載されるように、ゼオライトは、そのタイプによっては、イオン交換によって通常の水道水などの液体に負のORP(および/または正のORP)を付与することができる。このため、本明細書に開示される実施形態のうちの1つ以上において、電解セルは、たとえばゼオライトフィルタに置き換えられ、あるいはフィルタが電解セルと組み合わせて使用される。このようなフィルタは、たとえば液体の流れに沿っておよび/または源液容器内のどこにでも位置することができる。樹脂またはその他のマトリクスなど、イオン交換に適したその他の材料または機構が、変更されたORPを付与するその能力に応じて、別の実施形態において利用されてもよい。
【0127】
エレクトロポレーション電極は、電解セルを使用してもしなくても、微生物を不活性化するために分配液内で化学物質を使用する化学システムなど、その他の湿式洗浄技術と組み合わせて(本明細書に開示される様々な実施形態においてなど)使用されてもよい。これらの化学湿式洗浄技術は、たとえば多孔質表面など、ある表面上で、より長い滞在時間およびひいてはより大きい消毒効果を提供する可能性がある。
【0128】
5.3 手持ち式スプレイボトルによるエレクトロポレーションの実施例
図8に示される実施形態において、本開示の態様は、手持ち式スプレイ装置300によって担持される電解セルによって発生する霧状スプレイなどの帯電媒体において、微生物に電位または電気化学圧力を印加することによって、微生物を不活性化または破壊するための工程に関する。しかしながら、スプレイボトル300は、本明細書に記載される電解セルおよび高圧エレクトロポレーション電極を有するいずれかのその他の装置またはシステムに置き換えられることが可能である。
【0129】
図8に示されるように、手持ち式スプレイボトル300のスプレイノズルは、帯電した吐出スプレイ302として電気化学的に活性化された液体を分配するが、これはスプレイの電気的に結合された流路を形成する。吐出スプレイ302が表面304に接触すると、スプレイ302の電気的流路は、表面と電気的に結合し、こうしてセル電極および高圧エレクトロポレーション電極から表面までの導電経路を完成させる。この経路は、表面上に存在する微生物まで電荷が移送されるのを可能にする。
【0130】
さらに、表面が吐出スプレイによって担持される液体で濡れると、吐出スプレイおよび吐出スプレイによる直接接触から離れている表面上の様々な領域の間に液体の導電経路が存在する限り、電荷は湿潤表面全体におよびこれに沿って伝導することが見出された。表面が、直接接触の領域と、測定が行われる遠隔領域との間の液体の連続的な経路を有する場合、吐出スプレイによる直接接触から離れた領域において電荷が測定され得ることも、見出された。
【0131】
たとえば、図9は、部分的に湿った表面304の平面図を示す。スプレイ302が表面304に接触すると、スプレイ302によって担持される液体が導電経路306を形成するが、これは、吐出スプレイから、この吐出スプレイと直接接触していない遠隔領域308まで、電荷を運搬する。この導電経路は、吐出スプレイが表面に沿って前進する際に、表面の様々な領域が電荷によって処理される時間の長さを増加させるのに役立つことができる。
【0132】
本開示の一態様において、スプレイボトル300(またはその他の液体移送装置)は、処理されている表面上の1つ以上の微生物によって所有される細胞内および細胞外静電容量の限界を超える移送電荷の大きさが結果的に生じるようなやりかたで、吐出液を通じて電荷を移送するように、構成および操作される。一実施例において、装置は、装置から分配された液体と接触している表面上の微生物のうちの1つ以上の細胞において少なくとも0.5ボルトの膜内外電位差を実現するように、構成および操作される。
【0133】
6.特定のスプレイボトルの実施例
6.1 ボトル構成例
図10Aは、図1に模式的に示されるスプレイボトルの商業的実施形態の特定の例を示す。図示される特定のボトル構成および構造は、非限定的な実施例としてのみ提供される。
【0134】
望ましければ、スプレイボトル500の1つ以上の具体的な非限定例のさらなる構造は、2009年6月19日出願の、Fieldらによる米国特許出願番号第12/488,368号明細書に提示および記載されている。これらの構造は、本明細書に開示されるいずれの実施形態、およびその変形例においても、使用可能である。
【0135】
商業的実施形態は、現在は手持ち式スプレイボトルの形態で入手可能であり、これは、「Activeion(商標)Pro」の名前で、ミネソタ州セントジョセフのActiveIon Cleaning Solutions,LLCより販売され、入手可能である。図10A〜10Cに示される実施例における実施形態は、エレクトロポレーション電極および関連する制御回路などの追加に関する変更を伴うが、先のスプレイボトルと類似している。
【0136】
図10Aにおいて、ボトル500は、基体502を形成する筐体501、ネック504、およびバレルまたはヘッド506を含む。バレル506の先端は、ノズル508およびドリップ/スプラッシュ保護部509を含む。一実施例において、ノズル508は真ちゅうで形成されている。ドリップ/スプラッシュ保護部509は、たとえばユーティリティカートにボトル500を掛けるための便利なフックの役割も果たす。筐体501は、ネジなどによって一体に取り付けられた、実質的に左右対称の左手および右手側面を備える、クラムシェル型構造を有する。基体502は、処理されてその後ノズル508を通じて分配される液体のリザーバとして機能する、容器510を収容する。容器510は、ネック、および容器510が液体で満たされるようにするために基体502を通じて延在するネジ溝付き注入口(スクリューキャップ付き)512を有する。注入口512は、キャップシールを受けるためにネジ溝が刻まれている。
【0137】
この実施例において、筐体全体または筐体の一部は、少なくとも半透明である。同様に、容器510も、少なくとも半透明の材料で形成されている。たとえば、容器510は、透明なポリエステル材料の吹き込み成型品として製造されることが可能である。以下により詳細に説明されるように、筐体501は、複数のLED表示灯594、596を担持する回路基板も含む。この実施例においては、ボトルの各コーナーに対になって配置された、4つの赤色LED594および4つの緑色LED596(やはり透視によって示される)がある。灯りは、容器510の基体壁を通して容器内に収容されるいかなる液体内にも光を透過させるために、容器510の基体の下方に位置している。液体は、光の少なくとも一部を拡散させ、照射されている液体の外観を見せる。制御エレクトロニクスによって制御される、光の色および/またはオン/オフ変調、強度などのその他の照明特性は、ボトルの機能状態の表示をユーザに与えるために、ボトルの外部から観察可能である。
【0138】
たとえば、液体は、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能していることを示すために、緑色LEDが点灯され得る。このため、ユーザは、ノズル508から分配される被処理液体が、容器510に収容される源液と比較して、強化された洗浄および/または消毒特性を有することを、確信することができる。また、まだ処理されていないとはいえ、容器510内の源液の照明は、液体が「特別」であって、強化された特性を有するという印象を与える。
【0139】
同様に、電解セルおよび/またはポンプが適切に機能していない場合、制御エレクトロニクスは赤色LEDを点灯し、源液を赤く見せる。これはユーザに、問題が発生していて、分配液が強化された洗浄および/または消毒特性を有していない可能性があるという印象を与える。
【0140】
図10Bは、筐体501の左手側501Aに取り付けられた様々な部品を示す。容器510はコンパートメント531に取り付けられ、回路基板540はコンパートメント532に取り付けられ、電池542はコンパートメント533に取り付けられ、そしてポンプ/セルアセンブリ544はコンパートメント534に取り付けられている。容器510、ポンプ/セルアセンブリ、およびノズル508を接続する様々な管は、図10Bには示されていない。
【0141】
ボトル501のバレル(またはヘッド)506の後端は、充電器(図示せず)のコードを接続するための電源ジャック523を含む。ボトル500が充電池を担持する実施例において、電池はジャック523を通じて再充電される。
【0142】
図10Cは、筐体の半分501Aのバレル506に取り付けられたポンプ/セルアセンブリの部分拡大図を示す。ポンプ/セルアセンブリ544は、ブラケット554内に実装されたポンプ550および電解セル552を含む。電解セル552は、容器510の吐出口から延在する管(図示せず)に流体的に結合された注入口556、および別の管(これも図示せず)を通じてポンプ550の注入口555に流体的に結合された吐出口557を有する。ポンプ550は、ノズル508の注入口558に流体的に結合された吐出口を有する。一実施例において、電解セル552は、図5を参照して論じられた管状電解セル200に相当する。しかしながら、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されているものなど、この実施形態および本明細書に開示される別の実施形態におけるいずれの適切な電解セルも、図8A、8B、および9において開示された電解セル(たとえば機能的発生器)を含むが、これらに限定されない。Oリング560は、筐体501に、ノズル508の周りの封止を提供する。また、ポンプ550は、セル552の上流または下流に位置することができる。
【0143】
図6を参照して上述されたように、この実施例において、高圧エレクトロポレーション電極35は、セル552の吐出口557とノズル508の注入口558との間に流体的に結合されている。電極アダプタ240(図6に示す)は、ノズル508に流れている流体に電気的接続を提供するために、吐出口557および注入口558を接続する管の中で接合されている。しかしながら、電極35は、ボトル500の流体流路に沿った別の箇所に位置することもできる。
【0144】
ボトル500は、瞬時押しボタン式オン/オフスイッチ572を作動する、トリガ570をさらに含む。トリガ570は、ユーザによって押下されると旋回軸の周りで作動する。バネ(図10Cには見えず)は、トリガ570を通常の解放状態に、したがってスイッチ572をオフ状態に、付勢する。スイッチ572は、図10Aに示される、回路基板540上の制御エレクトロニクスに接続するための電気リードを有する。
【0145】
トリガ570が押下されると、スイッチ572が「オン」状態に作動し、それによって制御エレクトロニクスに電力を供給し、これがポンプ550および電解セル552に電圧を印加する。電圧が印加されると、ポンプ550は、容器510から液体を引き出し、そして電解セル552およびエレクトロポレーション電極アダプタ240(図6)を通じて液体をポンプ移送して、これが組み合わせられた陽極液および陰極液EA液体をノズル508に移送する。ポンプ550および/または電解セル552が適切に機能しているとき、制御エレクトロニクスは、回路基板上またはボトル500の中または上の別の位置に取り付けられた緑色LEDも点灯させる。
【0146】
例示的な実施例において、ノズル508は、エレクトロポレーション電極35によって印加された電場を、分配液を通じて、処理されている表面または容積空間に伝導するのに十分な流体ストリームを、使用中に維持する。いくつかのノズルに関して、吐出ストリームに沿って導電性を分断する可能性のある液体ストリームのキャビテーションを生じさせてもよく、このため処理されている表面に印加される電場を減少させる可能性があることが、見出された。導電性ノズル(真ちゅう、その他の金属、および/または導電性プラスチック)を使用することは、ノズル内で液体のある程度のキャビテーションが起こったとしても、たとえばエレクトロポレーション電極35からノズルを通じて、表面に移送される吐出スプレイまでの、妥当なまたは所望の液体路に沿った導電性経路を維持するのに役立つだろう。適切なノズルの説明的な例は、イリノイ州ホイートン私書箱7900のSpraying Systems Co.の#TT276−1/8M−2水圧噴霧ノズルである。また、このノズルは、たとえば25〜40psiの圧力で使用される。別の実施例において、その他のタイプのノズルおよび圧力範囲が使用可能である。
【0147】
真ちゅうノズルなど、導電性ノズルを使用するときには、スプレイ吐出用の開口を有する、ノズル上のプラスチックキャップを使用することなどによって、たとえば誘電体を用いて、ノズルの外面を絶縁することも、有利であろう。たとえばノズルが導電性表面または人間の皮膚と接触する場合、プラスチックキャップは放電を制限してもよい。
【0148】
6.2 制御回路の実施例
6.2.1 電解セルの駆動電圧の実施例
図11は、本開示の例示的態様による、電解セル552(図10A〜10Cでボトル内に示す)の陽極および陰極に印加される電圧パターンを示す波形図である。実質的に一定の、相対的に正の電圧が陽極に印加され、その一方で実質的に一定の、相対的に負の電圧が、陰極に印加される。しかしながら、周期的に、各電圧は、スケール付着に反発するために、短期間だけパルスがかけられて相対的に逆の極性になる。いくつかの実施例においては、スケール付着が電極表面に形成されるのを制限するという要望がある。この実施例において、時間t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、およびt6〜t7より、相対的に正の電圧が陽極に印加され、そして相対的に負の電圧が陰極に印加される。時間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8の間は、各電極に印加される電圧が反転される。反転された電圧レベルは、反転されていない電圧レベルと同じ大きさを有することができ、あるいは望ましければ異なる大きさを有することもできる。
【0149】
各々の短期極性切り替えの頻度は、望み通りに選択され得る。反転の頻度が増加すると、スケーリングの量が減少する。しかし、電極は、反転のたびに少量の白金(白金被覆電極の場合)を失う可能性がある。反転の頻度が減少すると、スケーリングが増加する可能性がある。一実施例において、矢印300で示される、反転の間の期間は、約1秒から約600秒の範囲である。この範囲外のその他の期間も、使用されることが可能である。この実施例において、時間t2およびt3の間など、通常の極性303の期間は、少なくとも900ミリ秒である。
【0150】
電圧が反転される期間もまた、望み通りに選択され得る。一実施例において、矢印302で示される反転の期間は、約50ミリ秒から約100ミリ秒の範囲である。この範囲外のその他の期間も、使用されることが可能である。
【0151】
たとえばこれらの範囲を用いて、弁調整を必要とすることなく、各陽極チャンバは実質的に一定の陽極液EA液体吐出を行い、各陰極チャンバは実質的に一定の陰極液EA吐出を行う。先行技術による電気分解システムでは、スケーリングを最小限に抑えるためにまだ極性を反転させながら、それぞれの吐出口を通じて一定の陽極液および陰極液を保持するために、複雑で高価な弁調整が使用される。
【0152】
陽極電極の数が、たとえば3:2の割合で、陰極電極の数と異なる場合、または陽極電極の表面積が陰極電極の表面積と異なる場合には、印加される電圧パターンは、生成される液体において陽極液または陰極液のいずれかの量を多く生成するために、上記の方法で使用されることが可能である。管状電解セル552(図5に示されるセル200など)を用いて、外部円筒形電極204は、内部円筒形電極206よりも大きい直径を有し、したがってより大きい表面積を有する。強化された洗浄特性を際だたせるために、制御回路はたとえば、駆動電極パターンの期間の大部分において、外部電極204(または異なる数の陽極および陰極を有する実施形態において数が多い方の電極)が陰極として機能し、内部電極206(または異なる数の陽極および陰極を有する実施形態において数が少ない方の電極)が陽極として機能するように、セル200を駆動するように構成されることが可能である。陰極は陽極よりも広い表面積(またはより多い数の電極)を有するので、セル200は、たとえばセルの組み合わせられた吐出口を通じて、単位時間あたり陽極液よりも多くの陰極液を生成する。
【0153】
消毒が強調されるべきである場合には、外部電極204(または数が多い方の電極)は相対的に正の極性となるように駆動されることが可能であり(より多くの陽極液を生成するため)、内部電極(または数が少ない方の電極)は相対的に負の極性となるように駆動されることが可能である(より少ない陰極液を生成するため)。
【0154】
図11を参照すると、この実施例において、制御回路は、時間t0〜t1、t2〜t3、t4〜t5、およびt6〜t7より、陽極(電極206)に相対的に正の電圧を、そして陰極(電極204)には相対的に負の電圧を、印加する。時間t1〜t2、t3〜t4、t5〜t6、t7〜t8の間は、各電極に印加される電圧は短時間だけ反転される。
【0155】
電極のスケール剥離のためのこのように頻繁な短時間の極性反転は、電極のメッキによく使用される白金などの物質を、電極表面から脱落させる傾向も有する可能性がある。このため一実施形態において、電極204および206は、金属電極または導電性プラスチック電極など、無メッキ電極を含む。たとえば、電極は、無メッキ金属メッシュ電極であってもよい。
【0156】
例示的な実施形態において、スプレイボトル(またはその他の装置)は、図11に示される波形(または電解セルに印加されるいずれかの別の波形)を選択的に反転させるために使用され得るスイッチを、さらに含むことができる。たとえば、スイッチは、陰極液よりも多くの陽極液を生成するためにある位置に設定されてもよく、陽極液よりも多くの陰極液を生成するために別の位置に設定されてもよい。制御回路は、スイッチ位置を監視し、そしてスイッチ位置に応じて電解セルに印加される電圧を調整する。
【0157】
しかしながら、電解セルの電極は、セルの特定の用途に応じて、様々な異なる電圧および電流で駆動されることが可能である。
【0158】
別の実施例において、電極は、所定の期間(たとえば約5秒間)1つの極性で駆動され、その後おおむね同じ期間だけ逆の極性で駆動される。陽極液および陰極液EA液体はセルの吐出口において配合されるので、この工程は、基本的に一部で陽極液EA液体、一部で陰極液EA液体を生成する。
【0159】
別の実施例において、セル電極は、パルスDC電圧波形で駆動され、ここで電極に印加される極性は反転されない。「オン/オフ」期間および印加電圧レベルは、望み通りに設定可能である。
【0160】
6.2.2 電解セル用制御回路の実施例
電解セルに印加される波形は、たとえば図10Bに示される回路基板540上にある、図1に示される制御回路30によって制御される。制御回路30は、いずれかの適切な制御回路を含むことができ、そして、たとえばハードウェア、ソフトウェア、またはその両方の組合せ上で、実行されることが可能である。
【0161】
制御回路30は、ポンプ24および電解セル18の動作に動力を供給し、これを制御するための電子デバイスを含有する、プリント回路基板を含む。一実施例において、制御回路30は、ポンプ24および電解セル18に結合される出力を有し、この2つの装置に供給される電力を制御する、電源を含む。制御回路30はまた、たとえば制御回路によって発生する制御信号に応じて電解セル18に印加される電圧の極性を選択的に反転させることが可能な、Hブリッジも含む。たとえば、制御回路30は、5秒ごとに50%のデューティサイクルなど、所定のパターンで極性を交互に切り替えるように構成されることが可能である。上述の別の実施例において、制御回路30は、最初に第一極性でセルに電圧を印加し、非常に短い期間だけ極性を周期的に反転させるように、構成されている。
【0162】
手持ち式スプレイボトルとの関連において、大型電池を担持することは不便である。したがって、ポンプおよびセルに利用可能な電力は、ある程度限定される。一実施例において、セル用の駆動電圧は、約18ボルトから約28ボルトの範囲である。しかし、スプレイボトルおよび電解セルを通る一般的な流量はかなり低いので、比較的小さい電流のみが、セルを通過する液体を効率的に活性化させるために必要とされる。低流量では、セル内の滞留時間は比較的長い。セルに電圧が印加されている間、液体がセル内に長く滞在するほど、電気化学的活性化が大きくなる(現実的な制限内で)。これにより、たとえばスプレイボトルは、より小容量の電池およびDC−DCコンバータを採用することができ、これは電圧を低電流で所望の出力電圧まで段階的に上昇させる。
【0163】
スプレイボトルが4つのAA電池を担持する特定の実施例において、電池は、たとえば約3ボルトから約9ボルトの範囲の出力電圧を有してもよい。たとえば、各々のAA電池は、たとえば約500ミリアンペア時から約3アンペア時で、1.5ボルトの公称出力電圧を有してもよい。電池が直列に接続されている場合、公称出力電圧は、約500ミリアンペア時から約3アンペア時の容量で、約6Vになる。この電圧は、18ボルトから28ボルトの範囲まで、またはたとえば18ボルトから38ボルトの範囲で、DC−DCコンバータを通じて段階的に上昇することができる。このため、十分な電流で所望の電圧が達成され得る。
【0164】
別の特定の実施例において、スプレイボトルは10個のニッケル水素電池を担持し、その各々が約1.2ボルトの公称出力電圧を有する。電池は直列に接続されており、そのため公称出力電圧は、たとえば約1800ミリアンペア時の容量で、約10ボルトから約13.8ボルトである。この電圧は、8ボルトから少なくとも28ボルトの範囲まで、またはたとえば約8ボルトから約38ボルトの範囲まで、DC−DCコンバータを通じて段階的に上昇/降下する。このため、十分な電流で所望の電極電圧が達成され得る。電池のサイズが小さくなるにつれて、さらに小さい電池サイズ、数、組合せ、または容量の電池またはコンバータなどのその他の関連する電気機器が、代替実施形態において利用されてもよいことは、理解されるだろう。
【0165】
セルを通じて大電圧および適切な電流を生じる能力は、通常の水道水がセルを通じて供給され、強化された洗浄および/または消毒特性を有する液体に変換される用途において、有益であろう。通常の水道水は、セルの電極の間に、比較的低い導電性を有する。
【0166】
適切なDC−DCコンバータの例は、米国ニューヨーク州ペラムのPICO Electronics,Inc.からのSeries A/SM表面実装コンバータ、および米国アリゾナ州フェニックスのON Semiconductorからの、ブースト用途で接続された、NCP3064 1.5Aステップアップ/ダウン/反転スイッチングレギュレータを含む。
【0167】
一実施例において、セルを通して引き出される電流が所定の電流範囲内となるように制御された電圧を、DC−DCコンバータが出力するように、制御回路は、検知された電解セルからの引き込み電流に基づいて、DC−DCコンバータを制御する。たとえば、目標電流引き込みは、特定の実施例において約400ミリアンペアである。別の実施例において、目標電流は350ミリアンペアである。代替実施形態において、その他の電流および範囲が使用されることも可能である。所望の電流引き込みは、電解セルの形状、処理される液体の特性、および結果的に生じる電気化学反応の所望の特性に依存してもよい。
【0168】
制御回路30の特定の実施例を示すブロック図が、図12に示される。図12に示される制御回路は、図10A〜10Cに示されるものなどのスプレイボトルの様々な部品を制御するように構成されているが、制御回路はこのまま使用されることも可能であり、または本開示の代替実施形態によるいずれかの別の装置上の類似の要素を制御するために、望み通りに変更されることも可能である。
【0169】
制御回路30の主要部品は、マイクロコントローラ1000、DC−DCコンバータ1004、および出力ドライバ回路1006を含む。
【0170】
様々な部品への電力は、たとえば図10Bに示されるように、ボトルによって担持される電池パック542によって供給される。特定の実施例において、電池パック542は10個のニッケル水素電池を担持し、その各々が約1.2ボルトの公称出力電圧を有する。電池は直列に接続されており、そのため公称出力電圧は、たとえば約1800ミリアンペア時の容量で、約10ボルトから約12.5ボルトである。ハンドトリガ570、572(たとえば図10A〜10Cに示す)は、電池パック542から電圧レギュレータ1003およびDC−DCコンバータ1004へ、12ボルト出力電圧を選択的に印加する。Fairchild Semiconductor CorporationからのLM7805レギュレータなど、いずれの適切な電圧レギュレータも使用され得る。特定の実施例において、電圧レギュレータ1003は、制御回路内の様々な電気部品に電力供給するために、5ボルトの出力電圧を提供する。
【0171】
DC−DCコンバータ1004は、電解セル552の電極全体に印加される、出力電圧を発生する。コンバータは、電解セルを通じて所望の電流引き込みを実現するために、駆動電圧を段階的に上昇または降下するように、マイクロコントローラ1000によって制御される。特定の実施例において、コンバータ1004は、ポンプ550が容器510からセル552を通じてノズル508を出るように水をポンプ移送する際に(図10A〜10C)、約400ミリアンペアの電解セル552を通じての電流引き込みを実現するために、8ボルトから28ボルト(またはそれ以上)の範囲の間で、電圧を段階的に上昇または降下させる。必要とされる電圧は、セルの電極の間の水の導電性に部分的に依存する。
【0172】
特定の実施例において、DC−DCコンバータ1004は、米国ニューヨーク州ペラムのPICO Electronics,Inc.からのSeries A/SM表面実装コンバータを含む。別の実施例において、コンバータ1004は、米国アリゾナ州フェニックスのON Semiconductorからの、ブースト用途で接続された、NCP3064 1.5Aステップアップ/ダウン/反転スイッチングレギュレータを含む。
【0173】
出力ドライバ回路1006は、マイクロコントローラ1000によって生成される制御信号に応じて、電解セル552に印加される駆動電圧の極性を選択的に反転させる。たとえば、マイクロコントローラ1000は、図11を参照して表示および記載されるように、所定のパターンで極性を交互に切り替えるように構成されることが可能である。出力ドライバ1006もまた、ポンプ550に出力電圧を供給することができる。あるいは、たとえば、ポンプ550は、トリガスイッチ570、572の出力から、その出力電圧を直接受け取ることができる。
【0174】
特定の実施例において、出力ドライバ回路1006は、米国テキサス州ダラスのTexas Instruments Corporationより入手可能な、DRV 8800フル・ブリッジ・モータ・ドライバ回路を含む。代替実施形態において、その他の回路および/または配置が使用され得る。ドライバ回路1006は、マイクロコントローラによって制御される電圧パターンにしたがって電解セル552への出力電圧を駆動する、H−スイッチインバータを有する。H−スイッチは、セル552によって引き込まれる電流を検知するために、マイクロコントローラによって使用され得る電流検知出力も有する。検出抵抗器RSENSEは、検知された電流を表し、そしてマイクロコントローラ1000へのフィードバック電圧として印加される電圧を、発現させる。マイクロコントローラ1000は、フィードバック電圧を監視し、そして所望の電圧引き込みを維持するために適切な駆動電圧を出力するように、コンバータ1004を制御する。
【0175】
マイクロコントローラ1000はまた、電解セル552および/またはポンプ550が適切に動作していることを確認するために、フィードバック電圧を監視する。先に論じられたように、マイクロコントローラ1000は、出力ドライバ回路1006によって検知される電流レベルに応じて、LED594および596を動作することができる。たとえば、マイクロコントローラ1000は、検知された電流レベルが閾値より上か下か、または範囲内かに応じて、LED594および596のセットの一方または両方をオフにする(あるいはオンにする)ことができる。
【0176】
出力ドライバ回路1006はまた、マイクロコントローラ1000の制御の下で、ポンプ550に駆動電圧を移送することができ、これはユーザによるトリガスイッチ570、572の作動の際に、ポンプをオンおよびオフにする。たとえば、出力ドライバ回路1006は、パワーMOSFETなどのスイッチを通じて、ポンプ550に12ボルトの電池電圧および/または復帰電圧を選択的に印加することができる。特定の実施例において、復帰電圧は、カリフォルニア州エルセガンドのInternational Rectifierより入手可能なIRF7603pbFパワーMOSFETで、選択的に開閉される。
【0177】
マイクロコントローラ1000は、いずれかの適切なコントローラ、プロセッサ、および/または回路を含むことができる。特定の実施形態において、これは米国ミネソタ州シーフ・リバー・フォールズのDigi−Key Corporationより入手可能なMC9S08SH4CTG−NDマイクロコントローラを含む。
【0178】
図12に示される実施例において、回路の照明制御部は、出力抵抗器R1およびR2、ならびにプルアップ抵抗器R3、赤色LEDダイオードD1〜D4、およびプルダウン抵抗器Q1によって形成される、第一「赤色」LED制御脚を含む。マイクロコントローラ1000は、トランジスタQ1をオンおよびオフすることによって赤色LED D1〜D4を選択的にオンおよびオフする、第一制御出力を有する。回路の照明制御部は、プルアップ抵抗器R4、緑色LEDダイオードD5〜D8、およびプルダウン抵抗器Q2によって形成される、第二「緑色」LED制御脚をさらに含む。
【0179】
制御回路は、マイクロコントローラ1000をプログラミングするための入力を提供する、制御ヘッダ1002を、さらに含む。
【0180】
特定の実施例において、要素1000、1002、1003、1004、1006、R1〜R4、D1〜D8、およびQ1〜Q2は、図10Bに示される、回路基板540の上に存在する。
【0181】
また、図12に示される制御回路は、図10Bおよび10Cに示される電源ジャック23を通じて受けるエネルギーで電池パック542内の電池を充電するための、充電回路(図示せず)を含むことができる。
【0182】
本明細書に記載される制御機能の1つ以上が、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、またはそれらの組合せにおいて実現されることが可能である。このようなソフトウェア、ファームウェアなどは、記憶装置などのコンピュータ読み取り可能媒体に保存される。ディスクドライブ、ソリッド・ステート・ドライブ、CD−ROM、DVD、フラッシュメモリ、RAM、ROM、集積回路上の1組のレジスタなど、いずれのコンピュータ読み取り可能記憶装置も使用され得る。
【0183】
6.2.3 エレクトロポレーション電極用駆動電圧の実施例
エレクトロポレーション電極35(図6のアダプタ240など)は、所望の微生物不活性化レベルを実現するために、いずれかの適切な駆動電極パターンで駆動されることが可能である。駆動電極パターンの電気的特性は、微生物に対する液体の適用の装置および方法の設計に基づくことになる。
【0184】
本明細書に開示されるスプレイボトルの一例において、電極に印加される駆動電圧は、二乗平均平方根(rms)で、25キロヘルツから800キロヘルツの範囲の周波数、および50ボルトから1000ボルトの範囲の電圧を有する。しかしながら、印加される電流は、たとえば0.15ミリアンペア程度など、ただしこれに限定されないが、非常に低い。電圧パターンは、DCパターン、およびACパターンまたは両方の組合せであってもよい。電圧波形は、矩形、正弦、三角、のこぎり歯、および/または任意(任意パターン発生器より)など、いずれの適切なタイプであってもよい。一実施例において、波形は様々な波形の間で連続的に変化する。電圧電位の正(または代わりに負)の側が電極に印加され、そして、たとえば、処理される表面(または容積空間)の電位は、回路接地(接地など)として機能する。これに加えて、波形および電圧レベルは、異なる微生物に対して異なる影響を与える可能性がある。そのため、これらのパラメータは特定の微生物の殺滅を強化するように変更されることが可能であり、または様々な異なる有機体を効果的に処理するために、適用中に変化することが可能である。
【0185】
エレクトロポレーション電極に印加される適切な電圧の例は、50Vrmsから1000Vrms、500Vrmsから700Vrms、または550Vrmsから650Vrmsの範囲のAC電圧を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態は、エレクトロポレーション電極に約600Vrmsの電圧を印加する。
【0186】
エレクトロポレーション電極に印加される電圧の周波数の例は、20KHzから100KHz、25KHzから50KHz、30KHzから60KHz、または約28KHzから約40KHzの範囲内の周波数を含むが、これらに限定されない。特定の実施形態は、エレクトロポレーション電極に約30KHzの電圧を印加する。
【0187】
図13Aは、特定の実施例においてエレクトロポレーション電極35に印加される電圧パターンを示す波形図である。この実施例において、波形の形状は、正弦波および矩形波の組合せである。しかしながら、波形は、正弦波、矩形波、またはその他の波形など、別の形状を有することもできる。液体が電極のアダプタ240を流れ、そして約30KHzの周波数を有するとき、印加される電圧は600ボルトrms(ピーク間(ピークtoピーク)で約1000Vから1200ボルト)のAC電圧を有する。この実施例において、装置(たとえばスプレイボトル)が電気化学的に活性化された液体を処理される表面に分配する際、周波数は実質的に一定のままである。別の実施例において、周波数は約41KHz〜46KHzの範囲に維持される。
【0188】
別の実施例において、装置(たとえばスプレイボトル)が電気化学的に活性化された液体を処理される表面に分配する間、周波数は所定の範囲にわたって変化する。たとえば、エレクトロポレーション電極35を駆動する制御回路は、たとえば20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、および30KHzから60KHzの間など、低周波数限界および高周波数限界の間の範囲内の周波数をスイープすることができる。
【0189】
図13Bは、別の特定の実施例においてエレクトロポレーション電極35に印加される電圧の時間に対する周波数を示す波形図である。この実施例において、三角波形で、低周波限界から高周波限界まで、そしてまた低周波限界まで、たとえば約1秒間にわたって、傾斜する。別の実施例において、制御回路は、低周波限界から高周波限界まで(および/または高周波限界から低周波限界まで)、0.1秒から10秒の時間にわたって、傾斜する。その他の傾斜周波数範囲もまた使用されることが可能であり、それぞれの立ち上がりおよび立ち下がり期間は、互いに同じであっても異なってもよい。異なる微生物は異なる周波数で不可逆的エレクトロポレーションの影響を受けやすい可能性があるので、異なる微生物に対する効果を潜在的に増加させるために、印加電圧の殺滅効果は異なる周波数の間でスイープされる。たとえば、周波数のスイープは、異なる微生物の異なる共振周波数において電位を印加するのに有効であろう。
【0190】
図13Cに示される実施例において、周波数は、のこぎり歯波形で30KHzから60KHzの間でスイープされる。その他の波形も使用され得る。
【0191】
6.2.4 エレクトロポレーション電極用制御回路の実施例
図14は、電圧電位をエレクトロポレーション電極35に供給するための制御回路1100の実施例を示すブロック図である。回路1100は、電圧入力コネクタ1102、電圧レギュレータ1104、三色LED1106、マイクロコントローラ1108、スイッチング電力コントローラ1110、Hブリッジ回路1112および1114、変圧器1116、分圧器1118、検出抵抗器1120、および出力コネクタ1122を含む。
【0192】
入力コネクタ1102は、たとえば図12に示される主回路基板から12ボルトの電池電力供給を受け、そして電圧レギュレータ1104、スイッチング電力コントローラ1110、およびHブリッジ回路1112および1114に、電圧を供給する。特定の実施例において、電圧レギュレータ1104は、マイクロコントローラ1208、LED1106、およびスイッチング電力コントローラ1110など、制御回路1100内の様々な電気部品に電圧印加するために、5ボルトの出力電力を提供する。たとえばFairchild Semiconductor CorporationからのLM7805レギュレータなど、いずれの適切な電圧レギュレータが使用されてもよい。
【0193】
この実施形態において、マイクロコントローラ1108は3つの主要機能を有する;スイッチング電力レギュレータ1110にクロック信号(SYNC)およびイネーブル信号(ENABLE)を提供すること、故障状態を監視すること、およびLED1106を通じてユーザに故障状態の表示を提供すること、である。一実施例において、マイクロコントローラ1108は、ATMEL Corporationより入手可能なATtiny24 QPNマイクロコントローラを含む。代替実施形態において、その他のコントローラが使用されることも可能である。
【0194】
クロック信号SYNCは、スイッチング電力コントローラ1110に基準周波数を提供する。イネーブル信号ENABLEは、起動しているとき、スイッチング電力コントローラ1110を有効(またはオンに)する。通常、マイクロコントローラ1108は、ENABLEを起動状態に設定し、そしてFAULT信号の故障状態を監視する。故障状態が存在しないとき、マイクロコントローラ1108は、三色LED1106のうちの1色以上を選択的にオンにする。一実施例において、LED1106は、赤、緑、青の三色LEDである。しかしながら、代替実施形態において、複数の、個別のLEDが使用されることも可能である。さらに、LED1106に加えて、またはこれに代わって、いずれかの視覚、聴覚、または触覚指示器など、その他のタイプの指示器が使用されることも可能である。本実施例において、マイクロコントローラ1108は、故障状態が存在するときにそれぞれの陰極を引き下げることによって、青色LEDを点灯する。
【0195】
コントローラ1110が信号FAULTを起動することによって故障状態を示すとき、マイクロコントローラ1108は、選択的にイネーブル信号にパルスを印加して起動状態とし、そしてスイッチング電力コントローラ1110をリセットするためにこれを起動状態に戻す。故障状態が解消されると、マイクロコントローラは青色LEDを点灯し続ける。故障状態が起動したままの場合には、マイクロコントローラは青色LEDをオフにし、そして赤色LEDを点灯する。緑色LEDは使用されないが、しかし別の実施形態において使用され得る。代替実施形態において、その他のユーザ表示パターンが使用されることも可能である。
【0196】
一実施例において、スイッチング電力コントローラ1110は、Texas Instrumentsより入手可能なTPS68000 CCFL移相シフトフルブリッジCCFLコントローラを含む。しかしながら、代替実施形態において、その他のタイプのコントローラが使用されることも可能である。
【0197】
SYNC信号に基づいて、スイッチング電力コントローラ1110は、Hブリッジ回路1112および1114内のスイッチングトランジスタのゲートに、ゲート制御信号を提供する。一実施例において、Hブリッジ回路1112および1114は各々FDC6561ANデュアルNチャネル・ロジック・レベルMOSFET(その他の回路も使用可能であるが)を含み、これらはともに接続されて、図13に示されるもののような、所望の電圧パターンを有する変圧器1116の一次側を駆動する、Hブリッジインバータを形成する。変圧器1116は1:100の巻数比を有し、これが、たとえば液体が装置から分配されているときに、駆動電圧をピーク間約10V〜13Vからピーク間約1000V〜1300V(約600Vrms)に、段階的に上昇させる。出力駆動電圧は、出力コネクタ1122を通じてエレクトロポレーション電極35に印加される。
【0198】
分圧器1118は、スイッチング電力コントローラ1110にフィードバックして、変圧器の二次側で発生した電圧を代表する電圧を発生させるために、変圧器の一次側とグラウンドとの間に直列に接続された、一対のコンデンサを含む。この電圧レベルは、過電圧状態を検出するために使用される。フィードバック電圧が与えられた閾値を超えると、スイッチング電力コントローラ1110が故障信号FAULTを起動する。
【0199】
検出抵抗器1120は、スイッチング電力コントローラ1110にフィードバックして変圧器の二次側を流れる電流を代表する、さらなるフィードバック電圧を発生するために、変圧器の一次側とグラウンドとの間に接続される。この電圧レベルは、過電流状態を検出するために使用される。フィードバック電圧が与えられた閾値を超えると、スイッチング電力コントローラ1110が故障信号FAULTを起動して、変圧器の故障を表示する。
【0200】
これに加えて、Hブリッジの1つの脚にある底部トランジスタの源は、矢印1124によって示されるように、スイッチング電力コントローラ1110にフィードバックする。このフィードバック線は、変圧器の一次側で電流を測定するために監視されることが可能であり、これはエレクトロポレーション電極35を通じて負荷に移送される電流を表す。繰り返しになるが、この電流は、高および/または低閾値レベルに対して比較される。比較の結果は、故障信号FAULTの状態を設定するために使用されることが可能である。
【0201】
7.吐出液を通じて電荷を移送するその他の例示的な装置
電解セルおよび/またはエレクトロポレーション電極のものなど、本明細書に記載される特徴および方法は、たとえばスプレイボトル、移動式表面洗浄機、および/または自立式または壁掛け式プラットフォームを含む、様々な異なる装置において使用可能である。
【0202】
たとえば、これらは、たとえば移動式硬質表面洗浄機、移動式軟質表面洗浄機、または硬質および軟質床の両方またはその他の表面を洗浄するようになっている移動式表面洗浄機、全表面洗浄機、トラック実装噴霧器、高圧浴室噴霧器、トイレおよび小便器など、移動式表面洗浄機に搭載されて(または搭載されずに)実現されることが可能である。
【0203】
7.1 移動式表面洗浄機の実施例
図15は、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されている移動式硬質/軟質床洗浄機1200の実施例を示すが、これは上記の特徴および/または方法の1つ以上を実現するために改造されることが可能である。図15は、その蓋が開放位置にある洗浄機1200の斜視図である。
【0204】
この実施例において、洗浄機1200は、コンクリート、タイル、ビニル、テラゾなどのような、硬質の床表面を洗浄するために使用される、ウォークビハインド型洗浄機であるが、別の実施例では、洗浄機1200は、本明細書に記載されるような洗浄および/または消毒作業を実行するための、騎乗型、取り付け型、またはけん引型洗浄機として構成されることも可能である。さらなる実施例において、洗浄機1200は、カーペットなどの軟質床を、そしてさらなる実施形態では硬質および軟質の両方の床を、洗浄するようになっていてもよい。洗浄機1200は、電池などの内蔵電源を通じて、または電気コードを通じて電力供給される、電気モータを含んでもよい。あるいは、たとえば、内燃機関システムが、単独で、または電気モータと組み合わせて、使用されることも可能である。
【0205】
洗浄機1200は一般的に、基体1202および蓋1204を含み、蓋1204は、基体1202の内部へのアクセスを提供するために上方へ旋回することができるように、蝶番(図示せず)によって基体1202の片側に沿って取り付けられている。基体1202は、処理されて洗浄/消毒作業中に床表面に適用される、液体または一次洗浄および/または消毒液成分(通常の水道水など)を収容する、タンク1206を含む。あるいは、たとえば液体は、タンク1206内の収容に先立って、洗浄機1200に搭載されたまたは搭載されない状態で、処理されることも可能である。また、洗浄機1200は、洗浄される床に液体が適用される前に液体を処理する、電解セル1208を含む。電解セル1208は、たとえば図5を参照して表示および議論されたものと類似の1つ以上の電解セル(相互に並列または直列)、またはたとえば、図8Aおよび8Bに開示された電解セル(たとえば機能的発生器)を含むがこれらに限定されない、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書に開示されている1つ以上の電解セルを、含むことができる。たとえば、図8Aおよび8Bに示される電解セルは、韓国Yeupdong,Goyang−City,Kyungki−DoのEmco Tech Co.LTD,より市販されている、JP2000 ALKABLUE LXにおいて見出される未変更または変更済みEmco Tech 「JP102」セルを含むことができる。この特定のセルは、27ボルトのDC範囲、約10から約5.0のpH範囲、62mm×109mm×0.5mmのセルサイズ、および5つの電極板を有する。一実施例の変形バージョンにおいて、JP102セルは、たとえばセルの吐出口に向けられる陽極液および陰極液EA水の配合液を形成するために、生成された陽極液および陰極液がともに混合されるように、JP102セルとともに供給される(そして陽極液および陰極液を個別の各吐出口に選択的に案内する)弁機構をなくすように改造されている。様々な異なる仕様を有することができる、その他のタイプの電解セルもまた、使用されることが可能である。
【0206】
被処理液は、たとえば直接および/または洗浄ヘッド1210を通じて、床に適用されることが可能である。床に適用される被処理液は、たとえば図2を参照して上述されたように、陽極液EA液体ストリーム、陰極液EA液体ストリーム、両方および陽極液および陰極液EA液体ストリーム、および/または組み合わせられた陽極液および陰極液EA液体ストリームを含むことができる。セル1208は、イオン選択膜を含むことができ、またはイオン選択膜を使用せずに構成されることも可能である。
【0207】
一実施例において、吐出液のエレクトロポレーション/電気水圧衝撃特性を強化するために、液体流路は、液体流路によって形成される電解セルと床との間の導電路の断絶を回避するために、床に直接適用される。液体は、ストリーム、エアロゾル化ミスト、および/またはスプレイなど、いずれの形態で適用されることも可能である。
【0208】
一実施例において、(電解セル1208があってもなくても)、洗浄機1200は、液体流路に沿った、またはこれと適切な関係にある、いずれかの位置に、たとえばエレクトロポレーション電極(図1および6に示される電極35のような)などの、さらなる電気伝導体またはリードを含むように、さらに改造される。この電極は、流路を流れる液体を通じて処置されている床と電気的に接続されるようになり得る。一実施例において、電極は、洗浄ヘッド1210の付近の分配管1212に沿ってなど、液体が洗浄機から吐出される位置に非常に近い位置に配置される。あるいは、またはこれに加えて、電極は、たとえば洗浄機1200の移動方向に対して、吐出スプレイまたはストリームを洗浄ヘッド1210の前方に、洗浄ヘッド上にまたはこれを通じて、あるいは洗浄ヘッドの後方に吐出する、スプレイノズルの付近に位置することができる。電極は、たとえばいずれかの適切な構造、形状、または材料を有することができる。
【0209】
望ましければ、移動式洗浄機1200の1つ以上の具体的な非限定例のさらなる構造は、Fieldらによる米国特許公開番号第2007/018368号明細書に、より詳細に提示および記載されている。これらの構造は、本明細書に開示される実施形態のいずれか、およびそれらの変形例において、使用可能である。少なくとも1つの具体例の詳細は、米国特許公開番号第2007/018368号明細書の、たとえば図10A〜10Cおよび11に記載されている。
【0210】
Fieldらによる米国特許公開番号第2007/0186368 A1号明細書はまた、本明細書に開示される様々な構造的要素および工程が個別にまたは一緒に利用され得る、その他の構造も開示している。たとえば、Fieldらは、陽極液および陰極液EA液体を生成するための、壁掛け式プラットフォームを開示している。これらの装置のいずれも、表面が洗浄および/または消毒されている間、処理されている表面に電場を提供するために、本明細書の開示にしたがって構成されることが可能である。
【0211】
別の実施形態において、移動式洗浄機1200は、電解セルを含まないが、しかしたとえばそれに加えてまたは代わりに、洗浄される表面に源液とともに洗剤を分配する、洗剤分配器を含む。洗浄ヘッドの機械的作用と組み合わせた洗剤は、本明細書に開示されるように、エレクトロポレーション電極によって印加される電場によって微生物がより容易に電気穿孔されるように、表面上の液体に微生物を浮遊させることができる。
【0212】
7.2 全表面洗浄機の実施例
図16は、米国特許番号第6,425,958号明細書により詳細に記載される、全表面洗浄アセンブリ1300の実施例の斜視図である。洗浄アセンブリ1300は、たとえば図1〜3および5〜6、または本明細書に開示されたその他の実施形態のいずれかを参照して提示および記載されたものなど、本明細書に記載される1つ以上の電解セルおよび/または1つ以上のエレクトロポレーション電極を備える、液体流通路を含むように改造される。
【0213】
洗浄アセンブリ1300は、洗浄される床に対して、以下の液体のうち1つ以上を移送および随意的に回収するように構成され得る:陽極液EA水、陰極液EA水、陽極液および陰極液EA水の配合物、またはその他の帯電した液体。たとえば、水以外の、または水に加えてさらなる液体が、使用されることも可能である。
【0214】
洗浄アセンブリ1300は、たとえば化粧室または少なくとも1つの硬質表面を有するその他の部屋において、硬質表面を洗浄するために使用され得る。洗浄アセンブリ1300は、米国特許番号第6,425,958号明細書に記載されるように、洗浄装置、および表面を洗浄するための洗浄装置とともに使用される付属品を含む。洗浄アセンブリ1300は、筐体1301、ハンドル1302、車輪1303、排水ホース1304、および様々な付属品を含む。付属品は、伸縮自在の延長ハンドル1306を有する床ブラシ1305、ツーピース二重湾曲ワンドの第一ピース1308Aおよび第二ピース1308B、スプレイガン1310、ならびに真空ホース、送風機ホース、噴霧器ホース、送風機ホースノズル、スキージ床器具取り付け部品、ガルパ器具、およびタンク充填ホースなど(アセンブリ1300のポートに結合可能なもの)、図示しない様々なさらなる付属品を含むことができる。アセンブリは、タンクまたは取り外し可能な液体容器および回収タンクまたは取り外し可能回収液体容器を担持する、筐体を有する。洗浄アセンブリ1300は、噴霧器ホースを通じて表面上に洗浄液を噴霧することによって、表面を洗浄するために使用される。送風機ホースはその後、表面を送風乾燥して、液体を表面上で所定方向に吹き付けるために、使用される。真空ホースは、表面から洗浄装置1300の回収タンク内に流体を吸い込むために使用され、それによって表面を洗浄する。洗浄アセンブリ1300とともに使用される、真空ホース、送風機ホース、噴霧器ホース、およびその他の付属品は、持ち運びやすくするために、洗浄装置1300とともに担持されることが可能である。スプレイガン1310は、ホース1314を通じて洗浄機1300の液体吐出口1312に取り付けられている。
【0215】
エレクトロポレーション電極は、たとえば流路を流れる液体経由で処理される表面に電気的に接続されることが可能な、液体流路に沿った、またはこれと適切な関係にある、いずれの位置にも配置されることが可能である。たとえば電極は、吐出口1303の付近など、スプレイホースに沿っておよび/またはアセンブリ上のいずれかの適切な位置で、スプレイガン1310のスプレイヘッドに配置されることが可能である。洗浄装置はまた、電解セルおよびエレクトロポレーション電極のための制御回路も担持する。
【0216】
別の実施例において、壁掛け式プラットフォームは、液体流路に沿ってプラットフォームの注入口からプラットフォームの吐出口まで、電解セルおよび/またはエレクトロポレーション電極を支持する。この実施形態において、たとえばホースまたはその他の液体分配器は、処理される表面への適用時点まで、液体を担持することになる。
【0217】
10.平面モップの実施例
図17は、本開示において記載されるものなど、たとえばエレクトロポレーション電極など、液体吐出スプレイにおいて電位を付与、誘発、もしくは引き起こすために、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つの電気伝導体、リード、および/または電磁部品を含む、平面モップ実施形態の実施例を示す図である。
【0218】
この実施例において、平面モップ1400は、マイクロファイバパッドまたは布などの洗浄パッド1404が取り付け可能な、堅い裏当て1402を含む。ハンドル1405は、裏当て1402から延伸し、そしてリザーバ1406およびコンパートメント1408を担持する。リザーバ1406は、通常の水道水などの源液を保持するようになっており、充填ポート1410を通じて充填されることが可能である。リザーバ1406は源液をコンパートメント1408に供給し、これはたとえば、ポンプ、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つのエレクトロポレーション電極、ならびにそれぞれのおよび/または組み合わせられた制御エレクトロニクスを含むことができる。
【0219】
特定の実施例において、コンパートメント1408は、図5、6、10A〜10C、および11〜14(またはたとえば本明細書に記載されるその他の実施例または実施形態のいずれか)を参照して提示および記載される手持ち式スプレイ装置の構成部品を含む。コンパートメント1408は、図10A〜10Cのスプレイノズル508と類似のスプレイノズル1412を含む。エレクトロポレーション電極は、ノズルに近い位置など、リザーバ1406からノズル1412までの液体流路内のいずれか適切な位置で結合される。ノズルは、吐出スプレイまたはストリーム1414を、洗浄および/または消毒されている表面に向かって噴霧、もしくは分配するが、ここで分配液は、たとえば本明細書に記載されるように、電気化学的に活性化されることが可能である。これに加えて、または代わりに、エレクトロポレーション電極は吐出スプレイ1414を通じて表面に電場を印加し、これはたとえば、表面上の微生物の不可逆的エレクトロポレーションを生じるのに十分である。
【0220】
ハンドル1405はスイッチ1416を含み、これは、図10A〜10Cのトリガ570と同様にユーザによって操作可能であり、ポンプ、電解セル、およびエレクトロポレーション電極に、選択的に電圧印加するようになっている。たとえば、スイッチ1416は、瞬時または非瞬時押しボタンまたはトリガを含むことができる。
【0221】
11.固定式(または携帯式)装置の実施例
図18は、表面1502に対して固定されているかまたは移動可能な、例示的装置1500を示す図である。一実施例において、装置1500は、図5、6、10A〜10C、および11〜14(またはたとえば本明細書に記載されるその他の実施例または実施形態のいずれか)を参照して提示および記載される手持ち式スプレイ装置の構成部品を含み、これはたとえば、ポンプ、少なくとも1つの電解セルおよび/または少なくとも1つのエレクトロポレーション電極、ならびにそれぞれのおよび/または組み合わせられた制御エレクトロニクスを含むことができる。装置1500は、洗浄および/または消毒される表面1506および/または物品に対して吐出スプレイまたはストリーム1504を噴霧もしくは分配する、吐出口1502を含む。表面1506は、装置1500に対して固定され、および/または移動可能であってもよい。配置は、表面1506自体および/または表面によって担持される1つ以上の物品を、洗浄および/または消毒するようになっていてもよい。たとえば、表面は、テーブル表面または製品を運ぶコンベヤを含むことができる。分配液1504は、本明細書に記載されるように、電気化学的に活性化されることが可能である。これに加えて、または代わりに、エレクトロポレーション電極は、吐出口1502に近い位置など、液体流路内のいずれか適切な位置で結合され、ここでエレクトロポレーション電極は分配液1504を通じて表面または物品に電場を印加し、これはたとえば、表面または物品上の微生物の不可逆的エレクトロポレーションを生じるのに十分である。
【0222】
12.さらなるシステムの実施例
図19は、たとえば本明細書に開示される実施形態のいずれかに組み込まれることが可能な、本開示の例示的実施形態によるシステム1600を示す図である。システム1600は、電源(電池など)1602、制御エレクトロニクス1604、電解セル1606、ポンプ1608、電流センサ1610および1612、エレクトロポレーション電極1614、スイッチ1618、およびトリガ1620を含む。簡素化のため、電解セル1604の液体注入および吐出は、図19に示されない。システム1600の全ての要素は、たとえば同じ電源1602によって、または2つ以上の個別の電源によって、電力供給されることが可能である。
【0223】
制御エレクトロニクス1604は、システム1600の現在の動作モード、およびトリガ1620などのユーザ制御入力に基づいて、電解セル1606、ポンプ1608、および電極の動作状態を制御するために結合されている。この実施例において、スイッチ1618は、電源1602および制御エレクトロニクス1604の間に直列に結合され、そしてトリガ1620の状態に応じて制御エレクトロニクス1604の電力入力に対して電源1602を接続および切断するのに役立つ。一実施形態において、スイッチ1618は、トリガ1620が押下されたときに閉鎖し、トリガ1620が解放されたときに開放される、瞬時の正常時開放スイッチを含む。
【0224】
代替実施例において、スイッチ1618は、たとえばトリガ1620とは別に作動される、オン/オフ・トグル・スイッチとして構成される。トリガ1620は、制御エレクトロニクス1604の入力を有効にするために結合されている第二スイッチを作動する。様々な装置1606、1608、および1614に電力供給するために、同じスイッチ1618が使用されることが可能であり、または個別のスイッチが使用されることも可能である。また、様々な装置1606、1608、および1614に電力供給するために、同じまたは個別の電源および/または源が使用されることも可能である。これに加えて、電解セル1606、ポンプ1608、および電極1614に印加される電圧を制御するために、同じまたは個別の制御回路が使用されることが可能である。その他の構成もまた使用され得る。
【0225】
一実施例において、トリガ1620が押下されると、制御エレクトロニクス1604は有効になり、電解セル1606、ポンプ1608、および電極1614を駆動するための適切な電圧出力を生成する。たとえば、制御エレクトロニクス1604は、本明細書に記載されるパターンのような、電解セル1606を駆動するための第一電圧パターン、ポンプ1608を駆動するための第二電圧パターン、および電極1614のための第三電圧パターンを生成することができる。トリガ1620が解放されると、制御エレクトロニクスの電源が切られ、および/またはセル1606およびポンプ1608への出力電圧の生成から無効にされる。
【0226】
電流センサ1610および1612は、それぞれ電解セル1606およびポンプ1608と電気的に直列に結合されており、そして各々が、セル1606またはポンプ1606を通じて引き込まれるそれぞれの電流を示す信号を、制御エレクトロニクス1604に提供する。たとえば、これらの信号は、アナログまたはデジタル信号のいずれでもよい。制御エレクトロニクス1604は、センサ出力を所定の閾値電流レベルまたは範囲と比較し、そして1つまたは両方の比較に応じて指示器1614および1616を動作する。閾値電流レベルまたは範囲は、たとえば、所定の消費電力レベルを表すように選択されることが可能である。ボトルには、たとえば異なる動作状態を示すために異なる色または点灯パターンで点灯することが可能な、1つ以上のLED1622および1624など、視覚的に認知可能な指示器も設けられてもよい。
【0227】
これに加えて、強化された消毒特性が必要とされないときに、電極1614を選択的に無効にするために、スイッチは、電極1614と直列に(または制御エレクトロニクス404への制御入力として)配置されることが可能である。電極1614を無効にすることで、小型電源が使用されるときに、電池寿命または電源1602の充電状態を延長してもよい。
【0228】
13.試験結果−実施例
本開示の範囲内で多くの変更および変形例が当業者にとって明らかとなるので、本開示は、説明としてのみ意図される以下の実施例において、より具体的に記載される。別途記載のない限り、以下の実施例で報告される全ての部、パーセンテージ、および比率は重量ベースであり、成分重量パーセントは、使用されるいずれの強化マトリクスも除いた、膜の総重量に基づく。実施例において使用される全ての試薬は、以下に記載される化学薬品供給元から、ミズーリ州セントルイスのSigma−Aldrich Companyなどの一般的な化学薬品供給元から、取得され、または入手可能であり、または従来の技術によって合成されてもよい。
【0229】
13.1 実施例1:電場測定
電場測定を、上記で図5、6、10A〜10C、および11〜14を参照して提示および記載された実施形態に基づいた、実施例1のスプレイボトルに対して行った。スプレイ軸に沿って実施例1のスプレイノズルから各線形位置において、5回の測定を行った。平均的な結果を図20に表示した。水スプレイ結果との比較目的のため、長いゴムホースをスプレイボトルの吐出口に取り付け、この水ストリームの末端で1メガオームの負荷を横断して、グラウンドに対する電位を測定した。その後ゴムホースを短縮し、そして測定位置が噴霧器ノズルに近づくまで測定を繰り返した。水ストリームは真の導電性経路を形成し、そして各位置で4回の測定を行った。
【0230】
図20Aは、ノズルからの距離(インチ)に応じた電位場(ピーク間V)のグラフである。図20Bは、ノズルからの距離(インチ)に応じた電場(ピーク間ボルト/cm)の線形グラフであり、これは2点数値微分を使用して電位場データから計算されたものである。
【0231】
図20Aおよび20Bに見られるように、電場の大きさおよび/または表面(およびしたがって表面上のまたは表面付近で浮遊させる微生物)に移送される電位は、部分的にはノズル先端と表面との間の距離に依存する。与えられた電場を表面に印加するための最大距離は、制御回路の電気的パラメータ、印加される電圧および波形など、ならびに移送される所望の場の大きさに基づいて、異なるだろう。図5〜6および10〜14に示される手持ち式スプレイ装置の一実施例において、適切な電場を、ゼロから約8インチの距離で移送した。別の実施形態において、適切な電場を、最大6インチの距離で移送した。繰り返しになるが、これらの距離は、1つの実施例と次との間で、処理される微生物のタイプによって、異なってもよい。表面上の1つ以上の微生物の不可逆的エレクトロポレーションを生じるためのノズルと表面との間の距離の適切な範囲は、たとえば、ゼロから10インチ、ゼロから8インチ、ゼロから6インチ、ゼロから4インチ、およびゼロから3インチを含む。一実施例において、望ましい距離は3〜4インチである。
【0232】
実験的試験結果はまた、ノズル/表面距離と微生物(たとえば細菌)の除去および殺滅のためのスプレイ持続時間との間の相関も示す。一般的に、ノズルが受容面に近づくほど、スプレイ持続時間が短くなる。たとえば、ノズルと受容面との間で3〜4インチの範囲の距離で2秒のスプレイ持続時間は、大腸菌(E.coli)およびバチルス菌に対する実質的な殺滅を実現した。これは、電場のより大きい大きさおよび/または短縮されたノズル/表面距離によって表面に移送された電位によると考えられる。
【0233】
13.2 実施例2:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例2のスプレイボトルの有効性も測定した。無生物、無孔性、非食物接触表面上で消毒剤の抗菌有効性を評価するために使用される試験方法である、ペンシルベニア州ウエストコンショホッケンのASTM Internationalによって確立された、American Society for Testing and Materials(ASTM)E1153−03にしたがって、実験を行った。被処理キャリアの分離試料は、黄色ブドウ球菌(ATCC#6538)およびE.coli(ATCC#11229)を含有していた。
【0234】
実施例2のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、実施例2のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、および20℃の周囲空気で、実施例2のスプレイボトルで4秒間被処理キャリアに噴霧することによって、試験方法を変更した。被処理キャリアの3分の1をその後、ワイピング動作をシミュレートするために、ワイプを使用して噴霧した後にワイプしたが、ここで使用されるワイプは、ウィスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationより商品名「WYPALL」汎用ワイプとして市販されていた。被処理キャリアのあとの3分の1は、スプレイ自体の有効性を測定するために、ワイプされないまま残した。被処理キャリアの残りの3分の1は重ね塗りされたが、これは空気中における霧状ミストの噴霧を伴い、その後、被処理キャリア上に付着する。各試験は繰り返され、運転1および運転2と称される。
【0235】
表1および2は、それぞれ黄色ブドウ球菌およびE.coliに対する、実施例2のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。「CFU」は「コロニー形成単位」を表し、「平均パーセント減少」および「平均log10減少」を、運転1および2の平均値に基づいて計算した。
【表1】
【表2】
【0236】
表1および2に示される結果は、様々な微生物の除去および殺滅に関する、本開示のスプレイボトルの有効性を示す。噴霧されたキャリア(ワイピングなし)、ワイプされたキャリア、および塗り重ねられたキャリアの各々が、各試験対象微生物に対して99.999%を超える抗菌有効性を提供した。
【0237】
13.3 実施例3および4:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例3および4のスプレイボトルの有効性も、測定した。実施例2について先に論じられたのと同じ方法で実験を行ったが、ここで被処理キャリアの分離試料は、E.coli O157:H7(ATCC#35150)、サルモネラ菌(ATCC#10708)、緑膿菌(ATCC#15442)、バンコマイシン耐性腸球菌(VRE)(ATCC#51575)、およびメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)(ATCC#33592)を含有していた。
【0238】
実施例3および4のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、ここで実施例3および4のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、および21℃の周囲空気で、実施例3および4のスプレイボトルで6秒間被処理キャリアに噴霧することによって、試験方法を変更した。被処理キャリアの3分の1をその後、ワイピング動作をシミュレートするために、ワイプを使用して噴霧した後にワイプしたが、ここで使用されるワイプは、ウィスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationより商品名「WYPALL」汎用ワイプとして市販されていた。被処理キャリアのあとの3分の1は、スプレイ自体の有効性を測定するために、ワイプされないまま残した。被処理キャリアの残りの3分の1は重ね塗りされたが、これは空気中における霧状ミストの噴霧を伴い、その後、被処理キャリア上に付着する。各試験は繰り返され、運転1および運転2と称される。
【0239】
表3〜7は、試験対象微生物に対する実施例3および4のスプレイボトルの抗菌有効性を示すが、ここで「平均パーセント減少」および「平均log10減少」は運転1および2の平均値に基づいて計算した。
【表3】
【表4】
【表5】
【表6】
【表7】
【0240】
表3〜7に示される結果は、様々な微生物の除去および殺滅に関する、本開示のスプレイボトルの有効性を示す。大部分の結果において、噴霧されたキャリア(ワイピングなし)、ワイプされたキャリア、および塗り重ねられたキャリアの各々が、各試験対象微生物に対して99.999%を超える抗菌有効性を提供した。表7の重ね塗り運転など、いくつかの重ね塗り運転は、運転1と運転2との間で高水準のばらつきを呈した。より高いCFU/キャリアは、被処理キャリアの噴霧に先立ってスプレイボトルの不適切な充填によると考えられる。
【0241】
13.4 実施例5および6:抗菌有効性
A型インフルエンザ(H1N1)ウイルスの濃度低下における実施例5および6のスプレイボトルの有効性も、測定した。ASTM E1053−02およびASTM E1482−04にしたがって実験を行ったが、ここで被処理キャリアの試料は、A型インフルエンザ(H1N1)ウイルス(ATCC#VR−1469)を含有していた。被処理キャリアには、有機土壌負荷として作用するため、ウシ胎仔血清5%も添加した。
【0242】
実施例5および6のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、ここで実施例5および6のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、および24℃の周囲空気で、実施例5および6のスプレイボトルで6秒間被処理キャリアに噴霧することによって、試験方法を変更した。
【0243】
曝露時間に続いて、内容物を再浮遊させるためにセルスクレーパを用いて個別に板を擦った。実施例5のスプレイボトルで噴霧された板からウイルス試験物質混合物10.6ミリリットルアリコートを回収し、実施例6のスプレイボトルで噴霧された板からウイルス試験物質混合物11.5ミリリットルアリコートを回収した。回収された混合物を半分に分割し、混合物を無毒化するために、シリンジプランジャを利用して、単位ごとに2つのSephadexゲル濾過カラムをただちに通過させた。その後各試験単位の濾液を溜めて、10倍ごとの連続希釈によって滴定し、そして感染力および/または細胞毒性を評価した。
【0244】
全ての細胞対照群は、ウイルス感染力の試験において陰性であった。入力ウイルス対照群の滴定は、7.5log10であった。乾燥ウイルス対照群の滴定は、6.5log10であった。実施例5および6のスプレイボトルからのスプレイに対する曝露の後、試験されたいずれの希釈のいずれのロットでも(実施例5では≦1.2log10、実施例6では≦1.3log10)、ウイルス試験物質混合物において試験ウイルス感染力は検出されなかった。試験物質細胞毒性もまた、試験されたいずれの希釈のいずれのロットでも(実施例5では≦1.2log10、実施例6では≦1.3log10)観察されなかった。
【0245】
中和対照群(試験物質の非殺ウイルスレベル)は、実施例5では≦1.2log10、実施例6では≦1.3log10で試験物質が中和されることを示唆した。細胞毒性および中和対照群の結果、ならびに曝露時間後に回収された試験物質の量も考慮に入れると、ウイルス価の減少は、実施例5では≧5.6log10、実施例6では≧5.2log10であった。したがって、試験条件下および5%ウシ胎児血清土壌負荷の存在化で、実施例5および6のスプレイボトルは、A型インフルエンザ(H1N1)の完全な不活性化を実証した。
【0246】
13.5 実施例7および8:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例7および8のスプレイボトルの有効性も、測定した。米国環境保護庁(EPA)のAOAC Germicidal Spray Methodにしたがって実験を行った。被処理キャリアの分離試料は、MRSA、E.coli、リステリア、緑膿菌、サルモネラ、E.coli O157:H7、およびVREを含有していた。
【0247】
実施例7および8のスプレイボトルは上述の実施例1のスプレイボトルと同じであって、ここで実施例7および8のスプレイボトルもまた実験のために水道水で満たした。実施例7および8の各試験運転のため、被処理キャリアから3〜4インチの範囲の距離で、与えられたスプレイボトルで6秒間被処理キャリアに6秒間噴霧することによって、試験方法を変更した。被処理キャリアの3分の1をその後、ワイピング動作をシミュレートするために、ワイプを使用して噴霧した後にワイプしたが、ここで使用されるワイプは、ウィスコンシン州ニーナのKimberly−Clark Corporationより商品名「WYPALL」汎用ワイプとして市販されていた。被処理キャリアのあとの3分の1は、スプレイ自体の有効性を測定するために、ワイプされないまま残した。被処理キャリアの残りの3分の1は重ね塗りされたが、これは空気中における霧状ミストの噴霧を伴い、その後、被処理キャリア上に付着する。
【0248】
実施例7および8の各スプレイボトル試験を繰り返した。言い換えると、実施例7のスプレイボトルを2回試験し、実施例8のスプレイボトルを2回試験した。表8および9は、それぞれ運転1および2における細菌に対する実施例7のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。同様に、表10および11は、それぞれ運転1および2における細菌に対する実施例8のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。
【表8】
【表9】
【表10】
【表11】
【0249】
表8〜11に示される結果は、様々な異なる微生物の除去および殺滅に関する、本開示のスプレイボトルの有効性をさらに示す。表示されるように、スプレイキャリアおよびスプレイ/ワイピングの組合せの各々は、各試験対象細菌に対して99.999%の抗菌有効性を提供した。さらに、重ね塗りの結果は、ほとんどの試験対象細菌に対して99.99%の抗菌有効性を提供した。不十分な抗菌有効性を提供した資料は、重ね塗りによる導電性の欠如に起因すると考えられるが、これは導電性流路を効果的に排除する。これは、スプレイボトルから発生した導電性が、電解セルから生成される水または溶液よりも、抗菌活性を提供することを、さらに示している。
【0250】
13.6 実施例9〜11:抗菌有効性
細菌濃度の低下における実施例9〜11のスプレイボトルの有効性も、噴霧された試料をワイプしなかったことを除いて、実施例2に関して上述されたのと同じ手順にしたがって測定した。被処理キャリアの分離試料は、E.coli O157:H7、サルモネラ腸炎菌、およびリステリア菌を含有していた。水道水で満たされた実施例2のスプレイボトルと比較して、実施例9〜11のスプレイボトルは、異なる鉱物濃度を有する水で満たした。表12〜14は、実施例9〜11のスプレイボトルおよび比較例Aのスプレイボトルを用いた様々な運転の間に供給された水のタイプを掲載している。比較例Aのスプレイボトルは、水を電気化学的に活性化するための電解セルを組み込んでいるが、しかし噴霧される水を通じて電場を発生させるためのエレクトロポレーション電極は含んでいない。
【0251】
「塩入瓶詰め水」は、カリフォルニア州ロサンゼルスのFIJI Water Company,LLCより「FIJI」天然被圧地下水の商品名で市販されている瓶詰め水に塩化ナトリウム0.25容量%を混合したものである。「水道水」は、ミネソタ州ミネアポリスで入手した標準的な水道水である。「塩入水道水」は、水道水に塩化ナトリウム0.25容量%を混合したものである。「蒸留水」は、標準的な蒸留水である。表12〜14は、それぞれE.coli O157:H7、サルモネラ腸炎菌、およびリステリア菌に対する、実施例9〜11のスプレイボトルの抗菌有効性を示す。
【表12】
【表13】
【表14】
【0252】
実施例9〜11の試験対象試料の各々は、塩入瓶詰め水、水道水、および塩入水道水で試験された細菌の各々について99.99%を超える減少を実現し、比較例Aの結果と比較して、より大きい殺滅有効性を呈した。これは、比較例Aの試験対象試料が細菌の減少に有効ではなかった蒸留水に、特に該当する。したがって、本開示のスプレイボトルを用いて達成可能なエレクトロポレーションは、スプレイボトルとともに使用される水の鉱物含有量とは関係なく、表面から様々な細菌を効果的に除去および殺滅することができる。
【0253】
13.7 実施例12:水質分析
そのpH、導電率、ならびに水試料中のナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの濃度を特定するために、実施例1のスプレイボトルで使用される水も測定した。水のpHは、較正済みpHプローブおよび計測器を使用して測定した。水の導電率は、較正済み1センチメートル導電率プローブおよび計測器を使用して測定した。水中のナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの濃度は、EPA Method 200.7に準拠した誘導結合プラズマ原子発光分光計を使用して判定された。また、水の総硬度は、数式1にしたがって、判定されたカルシウムおよびマグネシウム濃度から計算した:
総硬度=2.497*[カルシウム]+4.116*[マグネシウム] (式7)
ここで、水の総硬度はCaCO3をミリグラム/リットル(mg/L)で表し、[カルシウム]はmg/L単位での水中のカルシウム濃度であり、[マグネシウム]はmg/L単位での水中のマグネシウム濃度である。表15は、測定されたpH、マイクロジーメンス(μS)単位の導電率、パーツパーミリオン(ppm)単位でのナトリウム、カルシウム、およびマグネシウムイオンの濃度、ならびにppm単位の水の総硬度を示す。
【表15】
【0254】
14.様々な産業における例示的な使用
本明細書に開示される実施例および実施形態の1つ以上、またはそれらの変形例は、非限定例として提供される、以下の産業および/または用途において実現されることが可能である:
A.工業用洗浄および殺菌:
表面洗浄および殺菌
生物膜および藻類の除去
効果的な殺生物剤
クリーン・イン・プレイス[CIP]消毒および殺菌
B.健康管理および医療:
医療機器の冷滅菌
表面洗浄および殺菌
滅菌水の製造
洗濯時のリネン殺菌
空気およびクリーンルームの霧化殺菌
C.獣医師用途:
生命力および耐病性の増加
残屑の出ない感染の治療および創部手当
餌の栄養的恩恵の増加
D.養鶏業:
一般的な殺菌
好気性細菌の媒体の表面洗浄および霧状噴霧
飲料水における病原体の除去
羽毛上のノミおよびその他の害虫駆除
好気性および嫌気性細菌を破壊するための霧状噴霧
さらなる添加物を使用しない器具洗浄
E.園芸/農業:
植物の病原性真菌の抑制
穀物散布用潅漑用水の殺菌および害虫駆除
帯水層への廃水濾過の毒性減少
野菜、果物、および切り花の保存期限延長
種の殺菌、高生産量の植物成長の刺激および促進
貯蔵穀物の殺菌
F.水、廃水、および下水処理:
都市廃水の殺菌
水の中和
生物膜および藻類の除去
臭気化合物の中和
有毒副生成物の形成の削減
【0255】
15.さらなる浮遊機構
本開示の別の態様は、代替および/または付加的浮遊機構を使用して微生物を浮遊させることができる媒体において、電位または電気化学的圧力を微生物に印加することによって、微生物を不活性化または破壊する工程に関する。本明細書に記載されるスプレイボトル10、300、500、および/またはその他の装置1200、1300、1400、1500のいずれかについてなど、先に論じられたように、微生物浮遊は、1つ以上の電解セルによって生成される、電気化学的に活性化された液体を用いて実現され得る。これに加えて、微生物は、浮遊添加剤(たとえば洗剤用界面活性剤)、液体活性化材(たとえばゼオライト)などの化合物を使用して、媒体(たとえば液体)に浮遊されることが可能である。以下に論じられるように、これらの物質は、液体を処理してその浮遊特性を向上するように構成されている。たとえば、装置から分配される液体の中で微生物のさらなる浮遊を促進するために、電解セルに加えて、またはこれの代わりに、浮遊添加剤が使用され得る。
【0256】
15.1 浮遊添加剤
図21は、たとえば本明細書に記載される実施形態のいずれかに組み込まれることが可能な、本開示の例示的実施形態によるシステム1700を示す図である。システム1700は、電気サブシステム1700aおよび流体サブシステム1700bを含み、ここで電気サブシステム1700aは、たとえばシステム1600(図19に示す)と同じように機能してもよく、対応する参照標識は「100」だけ増加する。しかしながら、図20に示される実施形態において、電解セル1606に対応する部品は、リザーバ1728から混合チャンバ1730に浮遊添加剤を供給するためのポンプ1726に置き換えられている。この配置は、浮遊添加剤を液体と混合するために、ポンプ1708はリザーバ1732から混合チャンバ1730に液体(たとえば水道水)を供給することを可能にする。LED1622および1624に対応する部品は、議論を容易にするために図20では省略されている。浮遊添加剤は、リザーバ1732に直接など、液体流路に沿ったいずれかのその他の位置で液体に添加されてもよく、たとえばポンプを使用してまたは使用せずに、いずれかの適切な方法で混合されてもよく、および/またはリザーバ1732に導入される液体の一部として供給されてもよい。
【0257】
浮遊添加剤(リザーバ1728内のものなど)は望ましくは、リザーバ1732から分配された液体の中で粒子および微生物を浮遊させるのを助けるように構成された、1つ以上の化合物を含む。先に論じられたように、浮遊機構は、分配液のORPを変化させてもよい(正のORP、負のORP、または両方の組合せを有する分配液を生成する)。これらの強化された洗浄効果は、たとえば分配液内の表面の上方で粒子および微生物を浮遊させるのに役立つことができる。浮遊添加剤での使用に適した化合物は、たとえば、界面活性剤(たとえば洗剤用界面活性剤)など、液体の表面張力を低減するように構成された化合物を含む。
【0258】
浮遊添加剤での使用に適した界面活性剤の例は、アニオン性、非イオン性、およびカチオン性界面活性剤を含む。アニオン性界面活性剤の例は、アルキル硫酸塩、スルホン酸アルキル、スルホコハク酸塩、およびそれらの組合せを含む。適切なアルキル硫酸塩の例は、第一級および第二級アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、高級アルコール硫酸エステル塩、およびそれらの組合せを含む。アルキル硫酸塩に適したアルキル鎖長の例は、C8からC15の範囲である(たとえば、C8からC15の第一級アルキル硫酸塩)。適切なスルホン酸アルキルの例は、アルキルベンゼンスルホン酸塩(たとえば、C8からC15のアルキル鎖長を有する線形アルキルベンゼンスルホン酸塩)、アルキルキシレンスルホン酸塩、脂肪酸エステルスルホン酸塩、およびそれらの組合せを含む。適切なスルホコハク酸塩の例は、ジアルキルスルホコハク酸塩を含む。
【0259】
非イオン性およびカチオン性界面活性剤の例は、アルコールエトキシレート(たとえばアルキルフェノキシポリエトキシエタノール)、アルキルポリグリコシド、ポリヒドロキシアミド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、グリセロールモノエーテル、アルキル塩化アンモニウム、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン、およびそれらの組合せを含む。
【0260】
浮遊添加剤は、浮遊および洗浄特性を助ける1つ以上の追加材料も含んでもよい。適切な追加材料の例は、酸化剤、酵素、消泡剤、着色剤、光学増白剤、腐食抑制剤、香料、抗菌剤、抗生剤、抗真菌剤、pH調整剤、溶剤、およびそれらの組合せを含む。添加剤物質は、多孔質表面など、いくつかの表面上に、より長い滞留時間およびより大きい消毒効果を提供してもよい。たとえば、添加剤物質は、電場(エレクトロポレーション電極1714からの)が除去された後も表面上に滞留してもよい。
【0261】
浮遊添加剤は、たとえば流体、溶液、ペレット、ブロック、粉末など、様々な媒体においてリザーバ1728(および/またはリザーバ1732)に供給されてもよい。図示される実施形態において、浮遊添加剤は、望ましくはキャリア媒体(たとえば水)に溶解もしくは浮遊された界面活性剤および追加材料の溶液である。
【0262】
動作中、トリガ1720が押下されると、制御エレクトロニクス1704が有効化され、そしてポンプ1708および1726ならびにエレクトロポレーション電極1714を駆動するための適切な電圧出力を発生させる。ポンプ1708および1726の相対的供給量は、液体中の浮遊添加剤の所望の濃度に応じて異なってもよい。各ポンプは、たとえば、制御信号を通じてポンプの動作を制御するコントローラを含んでもよい。例示的な実施形態によれば、制御信号は、グラウンドに対する電力を提供し、そしてポンプが混合チャンバ1730を通じて浮遊添加剤を送る持続時間を制御する、パルス信号を含むことができる。その他のタイプの制御信号および制御ループ(開または閉)が使用されることも可能である。これに加えて、ポンプ1726および1708のうちの1つまたは両方が排除されることも可能であり、および/または浮遊添加剤が重力などの別の機構によって供給されることも、可能である。これに加えて、ポンプの動作は、たとえば電流センサ1710および1712によって監視されてもよい。
【0263】
上述のように、浮遊添加剤および液体は、組み合わせられて(混合チャンバ1730内などで)溶液を形成する。混合チャンバ1730は、混合構成を助けるように構成された、様々な形状および設計を含んでもよい(たとえばバッフル壁)。適切な混合装置のその他の例は、ベンチュリ管および合流流路を含む。浮遊添加剤(リザーバ1728からなど)およびリザーバ1732からの液体における界面活性剤の相対濃度は、たとえば浮遊添加剤中の界面活性剤の濃度および相対的供給量によって異なってもよい。したがって、混合チャンバ1730を出ると(および/またはリザーバ1732からの予備混合溶液から)、溶液は望ましくは、浮遊溶液中に粒子および/または微生物を浮遊させるのに十分な大きさの界面活性剤濃度を含む。混合チャンバ1730(および/またはリザーバ1732)を出たときの溶液中の適切な界面活性剤濃度の例は、約0.1容量%から約15容量%の範囲であり、特に適切な界面活性剤濃度は、約0.5容量%から約10容量%の範囲である。
【0264】
結果的に生じる溶液は、混合チャンバ1730(および/またはたとえばリザーバ1732)を出てもよく、そして表面または空間上に分配(たとえば噴霧)される前に、および/または分配されるとすぐに、エレクトロポレーション電極1714と接触してもよい。浮遊添加剤は、分配溶液内の表面の上方で粒子および微生物を浮遊させるのに役立つことができる。特に、理論に縛られることを望むわけではないが、疎水性および親水性分子鎖末端を含有する、浮遊添加剤の界面活性剤の少なくとも一部は、液体/表面/気体界面に滞留することができると考えられている。このため、親水性鎖末端は液体内に滞留し、疎水性鎖末端は液体の外側まで延在し、それによって液体の表面張力を低下させる。疎水性鎖末端が表面上の粒子および微生物と接触すると、これらは分配溶液内の表面の上方で粒子および微生物を封じ込め、そして浮遊させることができる。さらに、いくつかの実施形態において、界面活性剤は、液体の有効性を増加させることができ、そして微生物の構造を貫通するのに役立つことができる。
【0265】
先に論じられたように、エレクトロポレーション電極1714は、溶液を通じて表面に電場を印加してもよく、これは浮遊された微生物の不可逆的エレクトロポレーションを引き起こす(もしくは不活性化または損傷する)のに十分であり得る。溶液中の浮遊添加剤は、たとえば電解セルを用いて実現される変更されたORPと同じまたは類似の方法で、表面の上方で微生物を浮遊させる。たとえば、微生物が表面の上方で浮遊されるように、微生物を表面から分離することによって、エレクトロポレーション電極1714によって表面に沿って発生した電場は、より容易に微生物細胞全体に印加される。その一方で、微生物が表面と接触している場合には、電場は表面グラウンド内により容易に放電され、そして有機体細胞の不可逆的エレクトロポレーションの形成においてより有効ではなくなる可能性がある。細胞が浮遊された状態で、印加された交流電場は、たとえば、前後に振動して細胞を損傷させる。
【0266】
システム1700とともに使用するように示されているが、浮遊添加剤は、本開示のいずれの実施形態とともに使用されてもよい。たとえば、浮遊添加剤は、リザーバ12を液体で満たすとき、スプレイボトル10のリザーバ12(図1に示す)およびスプレイボトル500の容器510(図10A〜10Cに示す)に、まとめて導入されてもよい(および/または装置によって担持される個別のリザーバから供給されてもよい)。さらに、システム1700は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)、などにおいても使用されてよい。これらの実施形態において、電解セル(たとえば電解セル18、552、1208、および1606)は省略されてもよい。あるいは、電解セルは、分配溶液中の粒子および微生物の浮遊をさらに増進するために、浮遊添加剤と併せて使用されてもよい。
【0267】
15.2 液体活性化材
図22は、スプレイボトル1810によって保持および分配される液体のORPを変化させるため、1つ以上の液体活性化材(たとえばゼオライト)を保持するように構成された、手持ち式スプレイ装置の実施例を示す、スプレイボトル1810の模式図である。別の実施例において、スプレイ装置は、より大きい装置またはシステムの一部を形成してもよい。図22に示される実施形態において、スプレイボトル1810は、スプレイボトル1810の基部筐体によって画定され、そして処理されてからノズル1814を通じて分配される液体を収容するように構成されている、リザーバ1812を含む。また、リザーバ1812は、フィルタ1816および媒体1818を収容してもよく、ここで媒体1818は組成的に1つ以上の液体活性化材を含む。フィルタ1816は、液体を通過させることができるように構成された媒体フィルタであるが、望ましくは媒体1818のマクロサイズの粒子が通過するのを防止する。リザーバは、たとえば、1820に対して着脱可能な交換式カートリッジとして構成されてもよい。
【0268】
媒体1818において使用される適切な液体活性化材の例は、多孔質アルミノケイ酸塩鉱物(たとえばゼオライト)などの多孔質鉱物を含む。媒体1818において使用される適切なゼオライトの例は、ナトリウム(Na)、カリウム(K)、セリウム(Ce)、カルシウム(Ca)、バリウム(Ba)、ストロンチウム(Sr)、リチウム(Li)、およびマグネシウム(Mg)のうちの1つ以上を含有してもよい、アルミノケイ酸塩鉱物の水和および無水構造を含む。媒体1818で使用される適切なゼオライトの例は、方沸石、アミサイト、バラー沸石、ベルベルヒ沸石、ビキタ沸石、ボッグス沸石、ブリュースター沸石、菱沸石、斜プチロル沸石、コウルス沸石、ダキアルディ沸石、エディントン沸石、剥沸石、エリオン沸石、フォージャス沸石、苦土沸石、ガロン沸石、ギスモンド沸石、ゴビンス沸石、グメリン沸石、ゴナルド沸石、グースクリーク沸石、重十字沸石、輝沸石、濁沸石、レビ沸石、マッチー沸石、メルリーノ沸石、モンテゾマ石、モルデン沸石、中沸石、ソーダ沸石、オフレット沸石、パラナトロライト、ポーリング沸石、パーリアル沸石、灰十字沸石、ポルックス石、スコレス沸石、ステラ沸石、束沸石、トムソン沸石、ツァーニック沸石、ワイラケ沸石、ウェルズ沸石、ウェルヘンダーソン沸石、湯河原沸石、それらの無水形態、およびそれらの組合せを含む。媒体1818において使用される市販のゼオライトの例は、ネバダ州サンディバレーのKMI Zeolite,Inc.からの斜プチロル沸石を含み、これは約2.3グラム/立方センチメートルの平均密度、および+40メッシュの公称粒子サイズを有する。
【0269】
非ゼオライト材料または機構も利用されてもよい。媒体1818において使用される適切な非ゼオライト鉱物の例は、樹脂、魚眼石、ギロル石、シャンファ石、ケホアイト、ロヴダル石、マリコパ石、オーケン石、パハサパ石、パルテ沸石、葡萄石、ロッジァン石、タカラン石、チップトップ石、トベルモリ石、ビセアイト、およびそれらの組合せを含む。適切な樹脂の例は、活性基(たとえばスルホン酸基、アミノ基、カルボキシル酸基など)を含有する架橋芳香族構造(たとえば架橋ポリスチレン)を有するものなど、イオン交換樹脂を含む。イオン交換樹脂は、たとえば樹脂ビーズ中など、様々な媒体内に提供されてもよい。これらの非ゼオライト鉱物は、媒体1818内のゼオライトと組み合わせて、またはその代替として、使用されてもよい。
【0270】
媒体1818は、セラミック球、ペレット、粉末などのような、様々な媒体形状で提供されてもよい。リザーバ1812内に保持されながら、媒体1818は保持される液体を処理し、それによって、たとえばイオン交換によって、保持される液体に負のORP(および/または正のORP)を付与する。媒体1818は、望ましくは液体に少なくとも約−50mVの負のORPを、および/または少なくとも約+50mVの正のORPを、付与する。別の実施例において、媒体1818は、液体に少なくとも約−100mVの負のORPを、および/または少なくとも約+100mVの正のORPを、付与する。先に論じられたように、ORPを変化させることにより、分配された被処理液に粒子および微生物を浮遊させることが可能になる。
【0271】
スプレイボトル1810は、キャップ筐体1820、管1822、ポンプ1824、アクチュエータ1826、エレクトロポレーション電極1828、回路基板および制御エレクトロニクス1830、および電池1832も含む。キャップ筐体1820は、望ましくは閉鎖時にリザーバ1812を封止し、そしてアクチュエータ1826と嵌合するためにユーザによって矢印1834の方向に押下されてもよい。電池32は、回路基板および制御エレクトロニクス30によって電圧を印加されたときにエレクトロポレーション電極1828に電力を共有するために、たとえば使い捨て電池および/または充電池、あるいは電池に加えてもしくは電池の代わりにその他の適切な携帯式またはコード式電源を、含むことができる。一実施形態において、ポンプ1824もまた電力供給されてもよい。
【0272】
ポンプ1824は、フィルタ1816および管1822を通じてリザーバ1812から液体を引き出し、そしてこの液体をノズル1814から押し出す。ノズル1814を通過する間、液体はエレクトロポレーション電極1828と接触する。先に論じられたように、エレクトロポレーション電極1828は分配溶液に電圧(交流電圧など)を印加して、表面への分配溶液を通じて電場を形成してもよく、これは、不可逆的エレクトロポレーションによってなど、浮遊された微生物を損傷させるのに十分であり得る。変更された分配液のORPは、たとえば電解セルを用いて実現される変更されたORPと同じまたは類似の方法で、表面の上方で微生物を浮遊させる。たとえば微生物が表面の上方で浮遊されるように、微生物を表面から浮遊させることによって、エレクトロポレーション電極1828によって表面に沿って発生した電場は、より容易に微生物細胞全体に印加される。先に論じられたように、細胞が浮遊した状態で、印加された交流電場は前後に振動して細胞を損傷させる。
【0273】
システム1810とともに使用されるように示されているが、媒体1818は、本開示のいずれの実施形態とともに使用されてもよい。たとえば、浮遊添加剤は、リザーバ12を液体で満たすとき、スプレイボトル10のリザーバ12(図1に示す)およびスプレイボトル500の容器510(図10A〜10Cに示す)にバッチ方式で導入されてもよい。これらの実施形態において、電解セル(たとえば電解セル18および552)は省略されてもよい。あるいは、電解セルは、分配溶液中の粒子および微生物の浮遊をさらに増進するために、媒体1818と併せて使用されてもよい。
【0274】
さらなる実施例において、リザーバ1812は、リザーバに液体および/または媒体1818を充填(および/または補充)するために使用されてもよい、充填ポートまたは開口部を含んでもよい。さらに別の実施例において、ボトル1810は、ホースを通じてなど、外部源から液体を受けるための継ぎ手を含んでもよく、液体は媒体1818を通じて流れる。
【0275】
さらに、媒体1818は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)などにおいても使用されてよい。
【0276】
図23は、たとえば、流体ライン区分1902および1904の間など、貫流システムの流体ライン内に設置されるカートリッジ1900の模式図である。カートリッジ1900は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)、スプレイボトル10(図1に示す)、スプレイボトル300(図8に示す)、スプレイボトル500(図10A〜10Cに示す)、およびスプレイボトル1810(図22に示す)など、本明細書に記載されるいずれかの装置上の流路に沿ったいずれかの適切な位置に配置されてもよい。
【0277】
図23に示される実施形態において、カートリッジ1900は、内部チャンバ1908を画定する筐体1906、ならびにインターフェース1910および1912を含む。インターフェース1910および1912は望ましくは、係止可能または係止不可能、もしくは取り外し可能に嵌合可能な方法で、カートリッジ1900が流体ライン区分1902および1904とそれぞれ接続できるようにする。この配置は、複数のカートリッジが交換可能に流体ライン区分1902および1904と接続することを可能にする。たとえば、カートリッジ1900が複数回の使用後、最終的に使用期限を過ぎたとき、使用期限の過ぎたカートリッジ1900は、流体ライン区分1902および1904から取り外され、新しいカートリッジ1900に交換されてもよい。インターフェース1910および1912は、単純なオスおよび/またはメス継ぎ手も含むことができる。
【0278】
内部チャンバ1908は、媒体フィルタ1916の使用によってカートリッジ1900を通過する液体を処理するための媒体1914を保持し、ここでカートリッジを通過する液体の流れは、矢印1917によって示される)。媒体1914に適した材料は、たとえば媒体1818(図22に示す)について上記で論じられたものを含む。したがって、媒体1914は内部チャンバ1908を通じて流れる液体を処理し、それによって、イオン交換によって負のORP(および/または正のORP)を、流れる液体に付与する。内部チャンバ1908の容量および内部チャンバ1908内の媒体1914の量は望ましくは、ORPを十分に変化させるために、流れる液体の適切な滞留時間を提供するように、選択される。これらのパラメータは、流体ライン区分1902および1904を通じて流れる液体の体積流量に応じて変化してもよい。さらなる実施例において、媒体1914は、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)などのような、本明細書に開示される様々な装置によって担持される1つ以上の液体リザーバ/タンク内に収容される。
【0279】
媒体1914は、望ましくは液体に少なくとも約−50mVの負のORPを、および/または少なくとも約+50mVの正のORPを、ならびに別の実施形態においては少なくとも約−100mVの負のORPを、および/または少なくとも約+100mVの正のORPを、付与する。先に論じられたように、ORPを変化させることにより、分配された被処理液に粒子および微生物を浮遊させることが可能になる。被処理液はその後、洗浄機1200、表面洗浄アセンブリ1300、平面モップ1400、装置1500、システム1600などについて先に論じられたように、システムから分配されるために、流体ライン区分1902内に向かって内部チャンバ1908を出てもよい。
【0280】
交換式カートリッジまたは媒体1818および/または1914のその他の供給容器は、ともに使用される特定の装置に対して嵌合および取り外しできるように、様々な異なる方法で構成されてもよい。たとえば、本開示のスプレイボトル実施形態では、スプレイボトル10、500、および1800(それぞれリザーバ12、容器510、リザーバ1812を収容する)は、それぞれのスプレイボトルのヘッド部(および/またはその他のいずれかの部分)と取り外し可能に嵌合されてもよく、それによって複数のカートリッジ基底部を単一のヘッド部と交換可能に接続できるようにする。別の実施例において、基底部またはヘッド部など、スプレイボトルのいずれかの部分は、媒体1818/または1914のカートリッジと取り外し可能に嵌合するように構成されてもよい。さらなる実施例において、スプレイボトルは、ボトルの基体内、基体502などのボトルのヘッドにおいて、および/または図10A〜10Cに示されるスプレイボトル500のヘッド部の電解セルの位置において、このようなカートリッジと嵌合するように構成されることが可能である。交換式カートリッジは、複数の交換式カートリッジがたとえばスプレイボトルの流体ラインに対して容易に接続、および取り外しができるように構成されてもよい。
【0281】
特定の実施例において、スプレイボトルの基体は、媒体1818、1914を収容する円筒形カートリッジを受けるように構成されている。たとえば、図1を見ると、ボトル10のリザーバ12(図1に示す)は、電解セル18を排除し、そして円筒形カートリッジを受けるためにリザーバの基体内に円形の開口部を含むように、改造されることが可能である。円筒形カートリッジの一端は、その縦軸に沿って開口部に挿入可能である。反対側の末端は、適切なラッチおよび封止機構を含んでもよい。たとえば、カートリッジの底側末端は、円筒形カートリッジが円筒形カートリッジの基体の周りでリザーバの内部を封止するようにリザーバに完全に挿入されるとき、開口部の外周のまわりで、リザーバ12の底部に対して封止するOリングを備える環状肩部を有してもよい。カートリッジの長さは、たとえば、ただしこれらに限定されないが、リザーバの高さの半分から3分の1など、いずれかの適切な距離だけリザーバ内に延在してもよい。カートリッジは、挿入時にその軸の周りでカートリッジを回転させることなどによって、カートリッジを適切な位置に係止する、いずれかの適切な機構を有することができる。例としては、噛み合いねじ山、およびその他の係止機構を含む。
【0282】
円筒の壁は、カートリッジ内に収容される媒体1818、1914およびリザーバ内に収容される液体の間の相互作用を可能にする、いずれかの適切な構成を有することができる。たとえば、円筒は、液体を円筒形カートリッジの内部空洞内に通過させるのに十分な、1つ以上の開口を含んでもよい。特定の実施例において、側壁は、たとえばメッシュ、スクリーン、および/または有孔側壁の開口部によって形成された、複数の開口を有する。
【0283】
開口は、カートリッジ内に収容される媒体の汚染の可能性を抑えるために、たとえば挿入前などの使用されていないときには、閉鎖されてもよい。一実施例において、カートリッジには、保存中に開口を覆う、取り外し可能なフィルムまたはスリーブが供給されてもよい。このフィルムまたはスリーブは、ボトルの基体へのカートリッジの挿入に先立って(またはその後に)、取り外されてもよい。別の実施例において、カートリッジは、カートリッジがボトルに挿入および/またはボトルと嵌合されていないときに1つ以上の開口を自動的に封止する、封止機構を備えて構成されている。たとえば、カートリッジは、内部円筒形側壁、および内部円筒形側壁と同軸であって相対的に移動可能な外部円筒形スリーブを、含んでもよい。内部円筒形側壁は、媒体1818、1914を収容し、先に論じられた1つ以上の開口を有する。外部円筒形スリーブは、閉鎖位置と開放位置との間で、周方向または軸方向などに、可動である。閉鎖位置において、円筒形スリーブは、たとえばカートリッジの内部空洞内を汚染から封止するように、内部円筒形側壁の1つ以上の開口を覆う。開放位置において、外部円筒形スリーブは、内部円筒形側壁の1つ以上の開口の覆いを外す。たとえば、外部円筒形スリーブは、たとえばカートリッジの内部空洞を汚染から封止するように、内部円筒形側壁の1つ以上の開口を覆う。一実施形態において、円筒形外部スリーブは、開放位置にあるときに内部円筒形側壁の開口と一致する、複数の開口を含む。閉鎖位置において、1つの円筒の材料が別の円筒の開口を封止もしくは覆うように、外部円筒形スリーブの開口は、内部円筒形側壁の開口と一致しない。カートリッジをリザーバと嵌合させるその他の多くの配置および構造が可能であり、そして本開示の範囲内と見なされる。
【0284】
開放および閉鎖位置の間の移動は、たとえば手動または自動であってもよい。一実施形態において、外部スリーブは、バネ作用などの機構によって、閉鎖位置に付勢される。リザーバに挿入されると、外部スリーブは、たとえば、リザーバまたはその他の要素とのレバー又は表面嵌合などによって、開放位置に付勢される。
【0285】
同様に、媒体1818、1914が、洗浄機1200(図15に示す)、表面洗浄アセンブリ1300(図16に示す)、平面モップ1400(図17に示す)、装置1500(図18に示す)、システム1600(図19に示す)などの装置で使用される実施形態において、媒体は、たとえば交換式カートリッジ内に収容されてもよい。これらのカートリッジは、複数の交換式カートリッジを、装置の流体ラインに対して容易に一致させ、および取り外すことができるように、構成されてもよい。たとえば、カートリッジは、装置の内部から、または装置の外部から、接近可能/挿入可能であってもよい。一実施例において、カートリッジは、装置の側壁を通じて接近可能/挿入可能である。
【0286】
たとえば媒体1818および/または媒体1914を組み込んだ実施形態において、電解セル(たとえば電解セル18、552、1208、および1606)は、省略されてもよい。あるいは、電解セルは、分配溶液中の粒子および微生物の浮遊をさらに増進するために、さらなる浮遊機構と併せて使用されてもよい。浮遊添加剤(たとえば洗剤用界面活性剤)および液体活性化材(たとえばゼオライト)など、さらなる(または代替的な)浮遊機構の使用は、たとえばエレクトロポレーションなどによる消毒工程とともに使用するため、分配液中に粒子および微生物を浮遊させるための、本明細書に開示されるシステムの多様性を増加させる。
【0287】
本開示の一態様は、液体、および被処理液を生成するために液体の浮遊特性を向上するように構成された少なくとも1つの化合物を合わせるように構成された容器と;容器に結合された液体流路と;液体流路に結合され、表面または容積空間に被処理液を分配するようになっている、液体分配器と;液体流路と電気的に結合された電極と;対応するリターン電極を用いることなく、分配された被処理液を通じて、電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている制御回路と、を含む装置に関する。
【0288】
容器は、たとえば容器、リザーバ、タンク、チャンバ、カートリッジ、コンパートメントなどとして本明細書に記載される様々な要素などのいずれかの適切な容器を含むが、これらに限定されない。たとえば、容器は、液体源容器(たとえば容器12、510、1206、1406、1732、1812)、添加剤容器(たとえば容器1728)、混合チャンバ1730、カートリッジ1900(たとえば貫流および/または源)、コンパートメント1408など、合流流体ラインなど、を含むことができる。
【0289】
容器は、能動および/または受動混合、配合、組合せなど;含有;および/または相互作用、接触、および/または反応をその間で可能にすることを含む、ただしこれらに限定されない、いずれかの適切な方法において、液体を少なくとも1つの化合物と合わせてもよい。たとえば、合わせることは、容器に収容されている液体および化合物の予備混合溶液を含んでもよい。別の実施例において、容器は、たとえば混合チャンバ内などで、液体が、個別の源から供給される少なくとも1つの化合物と合わせられることを可能にしてもよい。別の実施例では、容器は、貫流および/または源カートリッジ内で、液体と少なくとも1つの化合物との間の相互作用を可能にしてもよい。その他の配置もまた想定されてもよい。
【0290】
少なくとも1つの化合物は、少なくとも1つの界面活性剤、少なくとも1つの液体活性化材を含むことができるが、これらに限定されない。少なくとも1つの液体活性化材は、ゼオライト、イオン交換樹脂、およびそれらの組合せを含む群より選択される材料を含むが、これらに限定されない。
【0291】
本開示は1つ以上の実施形態を参照して記載されたが、当業者は、本開示および/またはこれに添付されて発行される請求項の範囲を逸脱しない形態および詳細において変更がなされてもよいことを、認識するだろう。やはり特定の実施形態および/または実施例が本明細書において論じられたが、本発明の範囲はそのような実施形態および/または実施例に限定されない。当業者は、本明細書に添付されて発行される1つ以上の請求項に包含されるこれらの実施形態および/または実施例の変形例を実行してもよい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体流路と、
液体流路に結合され、表面または容積空間に液体を分配するようになっている、液体分配器と、
流体流路と電気的に結合された電極と、
対応するリターン電極を用いることなく、分配液を通じて、電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている制御回路と、を含む装置。
【請求項2】
制御回路が、処理される表面または容積空間が電極に対する交流電場の回路接地の役割を果たすように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
制御回路が、約20キロヘルツから約800キロヘルツの範囲の周波数および約50ボルトrmsから約1000ボルトrmsの電圧を有する電極に、交流電圧電位を印加するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
周波数が、20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、30KHzから60KHzの間、28KHzから40KHzの間、および約30KHzを含む群より選択される範囲にあり、
電圧が、50ボルトrmsから1000ボルトrmsの間、500ボルトrmsから700ボルトrmsの間、550ボルトrmsから650ボルトrmsの間、および約600ボルトrmsを含む群より選択される範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
制御回路が、時間をかけて低周波数限界と高周波数限界との間の周波数をスイープする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
低周波数限界および高周波数限界が、20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、および30KHzから60KHzの間を含む群より選択される範囲内にある、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
制御回路が、0.1秒から10秒の間の時間をかけて低限界から高限界までの周波数をスイープする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
制御回路が、三角波形またはのこぎり歯波形のうち少なくとも1つにおいて、時間をかけて低限界と高限界との間の周波数をスイープする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
電極が、内部に液体流路が延在する内腔を有し、内腔を形成する電極の内径表面の少なくとも一部が導電性である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
電極が、液体流路に沿った管類のそれぞれの区分に接続するようになっているオスコネクタを備える2つの対向する末端を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
電極が少なくとも部分的に銀を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
電極が少なくとも部分的に銀の層で被覆されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
液体流路内にあって、イオン交換膜によって分離されている電解セル電極を含む電解セルであって、電解セル電極が請求項1に記載の電極とは異なっている電解セルをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
電解セルが陽極液および陰極液を生成し、電極は、液体分配器から分配される、
陽極液、
陰極液、
陽極液と陰極液との組合せ、
のうちの少なくとも1つに交流電位を印加するように位置している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
電解セルと電気的に結合された第二制御回路であって、請求項1に記載の電極と電気的に結合された制御回路とは異なっている第二制御回路をさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
電解セルと電気的に結合され、電解セル電極にDC電圧を印加するように構成された第二制御回路をさらに含み、請求項1に記載の電極と電気的に結合された制御回路は、電解セル電極に印加されるDC電圧の大きさよりも大きい二乗平均平方根(rms)の値を有する電圧を電極に印加するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
請求項1に記載の制御回路は、50ボルトrmsから800ボルトrmsの範囲で請求項1に記載の電極にAC電圧を印加するように構成されており、第二制御回路は5ボルトから38ボルトの範囲で電解セル電極にDC電圧を印加するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1に記載の電極が、電解セルよりも液体流路に沿って液体分配器に近い位置にある、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
装置が手持ち式スプレイ装置を含み、液体分配器がスプレイノズルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
手持ち式スプレイ装置が、
液体流路、ノズル、電極、および制御回路と、
液体流路内で結合されたポンプと、
ノズルによって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
電源と、を担持する手持ち式スプレイボトルを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
手持ち式スプレイボトルが、液体流路内で結合された電解セルをさらに含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
装置が、
液体流路、液体分配器、電極、および制御回路と、
表面の上で洗浄機を移動させるように構成された、少なくとも1つの車輪と、
液体流路内で結合されたポンプと、
液体分配器によって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
少なくとも1つの車輪を駆動するために結合されたモータと、を含む移動式床表面洗浄機を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
液体流路と、
液体流路内にあって陽極液および陰極液を生成するようになっている電解セルであって、液体流路が複合液を形成するために陽極液および陰極液を組み合わせる、電解セルと、
液体流路内で結合され、表面または容積空間に複合液を分配するようになっている、液体分配器と、
液体流路と電気的に結合され、セル電極とは異なる、さらなる電極と、
セル電極の間に電場を印加するようになっている第一制御回路と、
分配液を通じて、さらなる電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている第二制御回路と、を含む装置。
【請求項24】
第一制御回路がセル電極にDC電圧電位を印加するようになっており、第二制御回路がさらなる電極にAC電圧電位を印加するようになっている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
AC電圧電位の二乗平均平方根の値がDC電圧の大きさよりも大きい、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
装置から表面または容積空間まで液体によって導電経路を形成するように、装置から表面または容積空間に液体を分配するステップと、
分配ステップの間に、導電経路に沿って液体を通じて装置から表面または容積空間までの交流電場を発生するステップであって、電場が、表面からまたは容積空間内で少なくとも1つの微生物を破壊するのに十分であり、対応するリターン電極を用いることなく、装置上の電極によって液体に印加される、ステップと、を含む方法。
【請求項27】
イオン交換膜によって分離されている陽極液および陰極液を生成するために、分配ステップに先立って源液を電気分解するステップをさらに含み、
分配ステップが、陽極液、陰極液、または陽極液と陰極液との組合せのうちの少なくとも1つを装置から分配するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
液体によって表面に移送される帯電したナノバブルを用いて少なくとも1つの微生物を表面から浮遊させるステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
表面上の、液体によって表面に移送される帯電したナノバブル、洗剤、または機械的作用を含む群のうちの少なくとも1つによって少なくとも1つの微生物を表面から浮遊させるステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
電場が、微生物の不可逆的エレクトロポレーションを引き起こすのに十分である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
吐出口を通じて液体を分配するステップと、
吐出口から表面または容積空間までの距離をゼロから10インチに維持するステップと、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
距離が3から4インチの間である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
装置が、手持ち式スプレイ装置または車輪付き移動式表面洗浄機を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
発生ステップが、装置から分配される液体と電気的に接触している装置上の第一電極に交流電圧電位を印加するステップを含み、処理される表面または容積空間が第一電極に対する交流電場の回路接地の役割を果たすように、第一電極が対応するリターン電極を有していない、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
交流電圧電位が、20キロヘルツから800キロヘルツ、20KHzから100KHz、25KHzから50KHz、30KHzから60KHz、28KHzから40KHz、および約30KHzを含む群より選択される範囲の周波数を有し、
電圧電位が、50ボルトrmsから1000ボルトrmsの間、500ボルトrmsから700ボルトrmsの間、550ボルトrmsから650ボルトrmsの間、および約600ボルトrmsを含む群より選択される範囲にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
時間をかけて低周波数限界と高周波数限界との間の周波数をスイープするステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
低周波数限界および高周波数限界が、20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、および30KHzから60KHzの間を含む群より選択される範囲内にある、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
周波数が、0.1秒から10秒の間の時間をかけて低限界から高限界までスイープされる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
三角波形またはのこぎり歯波形のうち少なくとも1つにおいて、時間をかけて低限界と高限界との間の周波数をスイープするステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
第一電極が、内部に液体流路が延在する内腔を有し、内腔を形成する第一電極の内径表面の少なくとも一部が導電性である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
第一電極が、装置の液体流路に沿った管類のそれぞれの区分に接続するようになっているオスコネクタを備える2つの対向する末端を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第一電極が少なくとも部分的に銀を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
第一電極が少なくとも部分的に銀の層で被覆されている、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
イオン交換膜によって分離されている陽極液および陰極液を生成するために、分配ステップに先立って電解セルにDC電圧を印加することによって源液を電気分解するステップと、
交流電場を発生するように、陽極液、陰極液、または陽極液と陰極液との組合せのうちの少なくとも1つと電気的に接触している第一電極にAC電圧電位を印加するステップと、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項45】
装置が、
液体流路と、
液体流路内で結合され、表面または容積空間に液体を分配するようになっているノズルと、
液体流路と電気的に結合された第一電極と、
対応するリターン電極を用いることなく、分配液を通じて、第一電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている第一制御回路と、
液体流路内で結合されたポンプと、
ノズルによって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
電源と、を含む手持ち式スプレイ装置を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
装置が、
液体流路と、
液体流路内で結合され、表面または容積空間に液体を分配するようになっている液体分配器と、
液体流路と電気的に結合された第一電極と、
対応するリターン電極を用いることなく、分配液を通じて、第一電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている第一制御回路と、
液体流路内で結合されたポンプと、
液体分配器によって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
表面の上で洗浄機を移動させるように構成された、少なくとも1つの車輪と、
少なくとも1つの車輪を駆動するために結合されたモータと、を含む移動式床表面洗浄機を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
液体路に沿って装置から分配された液体によって表面に移送される負または正電荷を帯びたナノバブルのうちの少なくとも1つによって、表面から少なくとも1つの微生物を浮遊させるステップと、
装置と表面との間に形成された液体路を通じて、浮遊微生物に交流電場を印加するステップであって、印加された電場が微生物を破壊するのに十分な大きさを有するステップと、を含む方法。
【請求項48】
液体路がスプレイノズルからのスプレイ吐出を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
装置と表面との間の導電経路を通じて電場を発生するステップであって、電場がASTM E1153−03による少なくとも約99.99%の抗菌有効性およびログ5の減少数を提供するのに十分であるステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
抗菌有効性が少なくとも約99.999%である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
装置から液体を分配するステップが、導電経路を少なくとも約6秒間維持するステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
電場を印加するステップが、分配液を通じて交流電流を誘導するために、対応するリターン電極を有していない装置の電極に交流電圧電位を印加するステップを含み、電位が、約25キロヘルツから約800キロヘルツの範囲の周波数、および約50ボルトrmsから約1000ボルトrmsの範囲の電圧を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
イオン交換膜によって分離されている陽極液および陰極液を生成するために、分配ステップに先立って源液を電気分解するステップと、
陽極液、陰極液、または陽極液と陰極液との組合せのうちの少なくとも1つを装置から分配するステップと、をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
液体が、約6から約8の範囲のpHを有する水を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
水が液体の少なくとも約99.0重量%を構成する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
水が液体の少なくとも約99.9重量%を構成する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
液体を通じて導電経路を形成するような方法で、装置と表面との間に延伸する液体吐出と、
液体吐出の導電経路を通じて発生する交流電場であって、ASTM E1153−03による少なくとも99.99%の抗菌有効性およびログ5の減少数を提供するのに十分な電場と、を含む抗菌性媒体。
【請求項58】
抗菌有効性が少なくとも約99.999%である、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項59】
液体吐出が陽極液と陰極液との複合液を含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項60】
液体吐出が、少なくとも50ミリボルトの大きさを有する酸化還元電位を含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項61】
複数のナノバブルをさらに含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項62】
液体が、約6から約8の範囲のpHを有する水を含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項63】
水が液体の少なくとも約99.0重量%を構成する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
水が液体の少なくとも約99.9重量%を構成する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
(a)1つ以上の流体容器と、
(b)制御回路と、
(c)表面または容積空間に流体を分配するようになっている分配器と、
(d)上記1つ以上の流体容器から上記分配器を通じて表面または容積空間に流体を流すことが可能な1つ以上の流路と、
(e)上記制御回路に結合された1つ以上の電気伝導体であって、上記分配器を通じて分配される流体に電荷を与えることが可能な、上記1つ以上の電気伝導体と、を含み、
上記制御回路は、上記1つ以上の電気伝導体に、上記分配器を通じて分配される流体に上記電荷を与えさせるようになっており、
装置と上記表面または容積空間との間の上記分配された流体によって形成された流体路を通じて、表面または容積空間への印加のために交流電場が発生する、洗浄および/または殺菌装置。
【請求項1】
液体流路と、
液体流路に結合され、表面または容積空間に液体を分配するようになっている、液体分配器と、
流体流路と電気的に結合された電極と、
対応するリターン電極を用いることなく、分配液を通じて、電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている制御回路と、を含む装置。
【請求項2】
制御回路が、処理される表面または容積空間が電極に対する交流電場の回路接地の役割を果たすように構成されている、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
制御回路が、約20キロヘルツから約800キロヘルツの範囲の周波数および約50ボルトrmsから約1000ボルトrmsの電圧を有する電極に、交流電圧電位を印加するようになっている、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
周波数が、20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、30KHzから60KHzの間、28KHzから40KHzの間、および約30KHzを含む群より選択される範囲にあり、
電圧が、50ボルトrmsから1000ボルトrmsの間、500ボルトrmsから700ボルトrmsの間、550ボルトrmsから650ボルトrmsの間、および約600ボルトrmsを含む群より選択される範囲にある、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
制御回路が、時間をかけて低周波数限界と高周波数限界との間の周波数をスイープする、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
低周波数限界および高周波数限界が、20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、および30KHzから60KHzの間を含む群より選択される範囲内にある、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
制御回路が、0.1秒から10秒の間の時間をかけて低限界から高限界までの周波数をスイープする、請求項5に記載の装置。
【請求項8】
制御回路が、三角波形またはのこぎり歯波形のうち少なくとも1つにおいて、時間をかけて低限界と高限界との間の周波数をスイープする、請求項5に記載の装置。
【請求項9】
電極が、内部に液体流路が延在する内腔を有し、内腔を形成する電極の内径表面の少なくとも一部が導電性である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
電極が、液体流路に沿った管類のそれぞれの区分に接続するようになっているオスコネクタを備える2つの対向する末端を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
電極が少なくとも部分的に銀を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項12】
電極が少なくとも部分的に銀の層で被覆されている、請求項1に記載の装置。
【請求項13】
液体流路内にあって、イオン交換膜によって分離されている電解セル電極を含む電解セルであって、電解セル電極が請求項1に記載の電極とは異なっている電解セルをさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項14】
電解セルが陽極液および陰極液を生成し、電極は、液体分配器から分配される、
陽極液、
陰極液、
陽極液と陰極液との組合せ、
のうちの少なくとも1つに交流電位を印加するように位置している、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
電解セルと電気的に結合された第二制御回路であって、請求項1に記載の電極と電気的に結合された制御回路とは異なっている第二制御回路をさらに含む、請求項13に記載の装置。
【請求項16】
電解セルと電気的に結合され、電解セル電極にDC電圧を印加するように構成された第二制御回路をさらに含み、請求項1に記載の電極と電気的に結合された制御回路は、電解セル電極に印加されるDC電圧の大きさよりも大きい二乗平均平方根(rms)の値を有する電圧を電極に印加するように構成されている、請求項13に記載の装置。
【請求項17】
請求項1に記載の制御回路は、50ボルトrmsから800ボルトrmsの範囲で請求項1に記載の電極にAC電圧を印加するように構成されており、第二制御回路は5ボルトから38ボルトの範囲で電解セル電極にDC電圧を印加するように構成されている、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
請求項1に記載の電極が、電解セルよりも液体流路に沿って液体分配器に近い位置にある、請求項13に記載の装置。
【請求項19】
装置が手持ち式スプレイ装置を含み、液体分配器がスプレイノズルを含む、請求項1に記載の装置。
【請求項20】
手持ち式スプレイ装置が、
液体流路、ノズル、電極、および制御回路と、
液体流路内で結合されたポンプと、
ノズルによって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
電源と、を担持する手持ち式スプレイボトルを含む、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
手持ち式スプレイボトルが、液体流路内で結合された電解セルをさらに含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
装置が、
液体流路、液体分配器、電極、および制御回路と、
表面の上で洗浄機を移動させるように構成された、少なくとも1つの車輪と、
液体流路内で結合されたポンプと、
液体分配器によって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
少なくとも1つの車輪を駆動するために結合されたモータと、を含む移動式床表面洗浄機を含む、請求項1に記載の装置。
【請求項23】
液体流路と、
液体流路内にあって陽極液および陰極液を生成するようになっている電解セルであって、液体流路が複合液を形成するために陽極液および陰極液を組み合わせる、電解セルと、
液体流路内で結合され、表面または容積空間に複合液を分配するようになっている、液体分配器と、
液体流路と電気的に結合され、セル電極とは異なる、さらなる電極と、
セル電極の間に電場を印加するようになっている第一制御回路と、
分配液を通じて、さらなる電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている第二制御回路と、を含む装置。
【請求項24】
第一制御回路がセル電極にDC電圧電位を印加するようになっており、第二制御回路がさらなる電極にAC電圧電位を印加するようになっている、請求項23に記載の装置。
【請求項25】
AC電圧電位の二乗平均平方根の値がDC電圧の大きさよりも大きい、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
装置から表面または容積空間まで液体によって導電経路を形成するように、装置から表面または容積空間に液体を分配するステップと、
分配ステップの間に、導電経路に沿って液体を通じて装置から表面または容積空間までの交流電場を発生するステップであって、電場が、表面からまたは容積空間内で少なくとも1つの微生物を破壊するのに十分であり、対応するリターン電極を用いることなく、装置上の電極によって液体に印加される、ステップと、を含む方法。
【請求項27】
イオン交換膜によって分離されている陽極液および陰極液を生成するために、分配ステップに先立って源液を電気分解するステップをさらに含み、
分配ステップが、陽極液、陰極液、または陽極液と陰極液との組合せのうちの少なくとも1つを装置から分配するステップを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
液体によって表面に移送される帯電したナノバブルを用いて少なくとも1つの微生物を表面から浮遊させるステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
表面上の、液体によって表面に移送される帯電したナノバブル、洗剤、または機械的作用を含む群のうちの少なくとも1つによって少なくとも1つの微生物を表面から浮遊させるステップをさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
電場が、微生物の不可逆的エレクトロポレーションを引き起こすのに十分である、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
吐出口を通じて液体を分配するステップと、
吐出口から表面または容積空間までの距離をゼロから10インチに維持するステップと、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
距離が3から4インチの間である、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
装置が、手持ち式スプレイ装置または車輪付き移動式表面洗浄機を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
発生ステップが、装置から分配される液体と電気的に接触している装置上の第一電極に交流電圧電位を印加するステップを含み、処理される表面または容積空間が第一電極に対する交流電場の回路接地の役割を果たすように、第一電極が対応するリターン電極を有していない、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
交流電圧電位が、20キロヘルツから800キロヘルツ、20KHzから100KHz、25KHzから50KHz、30KHzから60KHz、28KHzから40KHz、および約30KHzを含む群より選択される範囲の周波数を有し、
電圧電位が、50ボルトrmsから1000ボルトrmsの間、500ボルトrmsから700ボルトrmsの間、550ボルトrmsから650ボルトrmsの間、および約600ボルトrmsを含む群より選択される範囲にある、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
時間をかけて低周波数限界と高周波数限界との間の周波数をスイープするステップをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
低周波数限界および高周波数限界が、20KHzから100KHzの間、25KHzから50KHzの間、および30KHzから60KHzの間を含む群より選択される範囲内にある、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
周波数が、0.1秒から10秒の間の時間をかけて低限界から高限界までスイープされる、請求項36に記載の方法。
【請求項39】
三角波形またはのこぎり歯波形のうち少なくとも1つにおいて、時間をかけて低限界と高限界との間の周波数をスイープするステップを含む、請求項36に記載の方法。
【請求項40】
第一電極が、内部に液体流路が延在する内腔を有し、内腔を形成する第一電極の内径表面の少なくとも一部が導電性である、請求項34に記載の方法。
【請求項41】
第一電極が、装置の液体流路に沿った管類のそれぞれの区分に接続するようになっているオスコネクタを備える2つの対向する末端を有する、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
第一電極が少なくとも部分的に銀を含む、請求項34に記載の方法。
【請求項43】
第一電極が少なくとも部分的に銀の層で被覆されている、請求項34に記載の方法。
【請求項44】
イオン交換膜によって分離されている陽極液および陰極液を生成するために、分配ステップに先立って電解セルにDC電圧を印加することによって源液を電気分解するステップと、
交流電場を発生するように、陽極液、陰極液、または陽極液と陰極液との組合せのうちの少なくとも1つと電気的に接触している第一電極にAC電圧電位を印加するステップと、をさらに含む、請求項26に記載の方法。
【請求項45】
装置が、
液体流路と、
液体流路内で結合され、表面または容積空間に液体を分配するようになっているノズルと、
液体流路と電気的に結合された第一電極と、
対応するリターン電極を用いることなく、分配液を通じて、第一電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている第一制御回路と、
液体流路内で結合されたポンプと、
ノズルによって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
電源と、を含む手持ち式スプレイ装置を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項46】
装置が、
液体流路と、
液体流路内で結合され、表面または容積空間に液体を分配するようになっている液体分配器と、
液体流路と電気的に結合された第一電極と、
対応するリターン電極を用いることなく、分配液を通じて、第一電極と表面または容積空間との間に交流電場を発生させるようになっている第一制御回路と、
液体流路内で結合されたポンプと、
液体分配器によって分配される液体を収容するための液体流路内の容器と、
表面の上で洗浄機を移動させるように構成された、少なくとも1つの車輪と、
少なくとも1つの車輪を駆動するために結合されたモータと、を含む移動式床表面洗浄機を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項47】
液体路に沿って装置から分配された液体によって表面に移送される負または正電荷を帯びたナノバブルのうちの少なくとも1つによって、表面から少なくとも1つの微生物を浮遊させるステップと、
装置と表面との間に形成された液体路を通じて、浮遊微生物に交流電場を印加するステップであって、印加された電場が微生物を破壊するのに十分な大きさを有するステップと、を含む方法。
【請求項48】
液体路がスプレイノズルからのスプレイ吐出を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
装置と表面との間の導電経路を通じて電場を発生するステップであって、電場がASTM E1153−03による少なくとも約99.99%の抗菌有効性およびログ5の減少数を提供するのに十分であるステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項50】
抗菌有効性が少なくとも約99.999%である、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
装置から液体を分配するステップが、導電経路を少なくとも約6秒間維持するステップを含む、請求項47に記載の方法。
【請求項52】
電場を印加するステップが、分配液を通じて交流電流を誘導するために、対応するリターン電極を有していない装置の電極に交流電圧電位を印加するステップを含み、電位が、約25キロヘルツから約800キロヘルツの範囲の周波数、および約50ボルトrmsから約1000ボルトrmsの範囲の電圧を有する、請求項47に記載の方法。
【請求項53】
イオン交換膜によって分離されている陽極液および陰極液を生成するために、分配ステップに先立って源液を電気分解するステップと、
陽極液、陰極液、または陽極液と陰極液との組合せのうちの少なくとも1つを装置から分配するステップと、をさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項54】
液体が、約6から約8の範囲のpHを有する水を含む、請求項47に記載の方法。
【請求項55】
水が液体の少なくとも約99.0重量%を構成する、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
水が液体の少なくとも約99.9重量%を構成する、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
液体を通じて導電経路を形成するような方法で、装置と表面との間に延伸する液体吐出と、
液体吐出の導電経路を通じて発生する交流電場であって、ASTM E1153−03による少なくとも99.99%の抗菌有効性およびログ5の減少数を提供するのに十分な電場と、を含む抗菌性媒体。
【請求項58】
抗菌有効性が少なくとも約99.999%である、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項59】
液体吐出が陽極液と陰極液との複合液を含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項60】
液体吐出が、少なくとも50ミリボルトの大きさを有する酸化還元電位を含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項61】
複数のナノバブルをさらに含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項62】
液体が、約6から約8の範囲のpHを有する水を含む、請求項57に記載の抗菌性媒体。
【請求項63】
水が液体の少なくとも約99.0重量%を構成する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
水が液体の少なくとも約99.9重量%を構成する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
(a)1つ以上の流体容器と、
(b)制御回路と、
(c)表面または容積空間に流体を分配するようになっている分配器と、
(d)上記1つ以上の流体容器から上記分配器を通じて表面または容積空間に流体を流すことが可能な1つ以上の流路と、
(e)上記制御回路に結合された1つ以上の電気伝導体であって、上記分配器を通じて分配される流体に電荷を与えることが可能な、上記1つ以上の電気伝導体と、を含み、
上記制御回路は、上記1つ以上の電気伝導体に、上記分配器を通じて分配される流体に上記電荷を与えさせるようになっており、
装置と上記表面または容積空間との間の上記分配された流体によって形成された流体路を通じて、表面または容積空間への印加のために交流電場が発生する、洗浄および/または殺菌装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図7C】
【図8】
【図9】
【図10A】
【図10B】
【図10C】
【図11】
【図12】
【図13A】
【図13B】
【図13C】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20A】
【図20B】
【図21】
【図22】
【図23】
【公表番号】特表2012−512333(P2012−512333A)
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542406(P2011−542406)
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/068289
【国際公開番号】WO2010/077964
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508074594)テナント カンパニー (17)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年12月16日(2009.12.16)
【国際出願番号】PCT/US2009/068289
【国際公開番号】WO2010/077964
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(508074594)テナント カンパニー (17)
【Fターム(参考)】
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