説明

消泡剤としての変性シリコーンポリマー、およびそれを有する洗剤組成物

消泡剤としての変性シリコーンポリマー、その調製、および、濯ぎサイクルにおける優れた消泡効果と共に、洗浄サイクルにおける好ましい脱泡効果のために適合された、生地洗濯用洗剤として使用するための、選択的なオルガノポリシロキサン消泡組成物/剤を含む洗浄剤配合物。洗剤配合物およびその種のものための消泡剤は、莫大な量の排水を削減することだけでなく、所望の好ましい使用および用途のための大量の貴重な清浄水を保存することを助けることにも関わる。手洗いおよび/または半自動機での洗濯およびその種のものにおいて、貴重な水の不要な無駄使いを避けること、および水の不要な無駄使いから環境を救うことを気遣うことに加えて、洗浄サイクルと濯ぎサイクルとの両方に有利であり、且つ、布/生地の洗濯をより便利且つユーザーフレンドリーにする、洗剤配合物およびその種のものが提供されるであろう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、消泡剤としての変性シリコーンポリマー、その調製、および、濯ぎサイクルにおける優れた消泡効果と共に、洗浄サイクルにおける好ましい脱泡効果のために適合された、生地洗濯用洗剤として使用するための選択的なオルガノポリシロキサン消泡剤組成物/剤を含む洗剤配合物に関する。
【0002】
従って、本発明は莫大な量の排水を削減するだけでなく、所望の好ましい使用および用途のための大量の貴重な清浄水を保存するための助けとなることに関する。従って、有利には、本発明は換言すれば、汚染を低減し且つ将来的な大規模気候災害または環境的な平衡異常から世界を救うことを目標とする、グリーンウォーターバランスの系列にある。
【0003】
地球上では、多くの人々が手洗いまたは機械を援用した手洗いによって、石鹸および/または洗剤を含有する組成物を用いて、生地を洗っている。機械を援用した生地の手洗いは、手動または半自動の洗濯機を使用することを含み、洗浄工程の完了と共に、またはその後、生地をバケツまたは脱水機内で濯ぐ。
【0004】
通常の洗浄工程においては、水を、バケツ、または生地を浸漬する容器または半自動機の洗浄槽に汲む。その後、所望の量の洗剤を添加し、手で泡立てるか、または半自動機内で洗浄槽をしばらく稼働させて泡立てる。この次に、10〜30分間、浸漬のために汚れた生地を漬け置きする。浸漬時間後、生地を手でこすって汚れを落とすか、または、半自動機の場合は、洗浄サイクルを10〜20分間稼働させる。
【0005】
濯ぎのために、汚れた水を排出し、且つ、汚れた水を絞ることによって生地から除去する。従って、それぞれのかかる濯ぎサイクルは、生地を絞ることと、新しい水で生地を洗浄することからなる。かかる濯ぎサイクルを、手洗いについては4〜5回繰り返し、または、半自動機の場合は、4〜5回の濯ぎサイクル後、最後の脱水前に全ての泡を除去する。
【0006】
効果的な手洗い用洗剤組成物は、アニオン性界面活性剤、特にアルキルベンゼンスルホネートおよびアルキルスルフェート界面活性剤を含む。生地の外見および浄化のために、手洗いのための洗濯物用洗剤が、特に複数の洗浄サイクル後にかかる生地の外見および浄化を改善するために充分な量のセルラーゼ酵素を含有することが、有益であることも判明している。しかし、このアニオン性界面活性剤は浄化のために重要であり、たとえ少量でも、洗浄において実質的な泡を生成する安価な源である。
【0007】
地球上では、特に、先進国および発展途上国において、水質汚染および水の保全が深刻な問題となっている。アジアにおけるインド、中国、インドネシア、タイ、ベトナムなどの国では、80%より多くの人々が布を手で洗っている。ラテンアメリカにおけるブラジル、コロンビア、ベネズエラおよびアルゼンチンなどの国では、70%より多くの人々が、手洗いで布を洗っている。布を洗うための手洗いは、東欧およびアフリカ諸国においても大半を占める。手洗いまたは半自動機によって生地を洗う間、莫大な量の清浄水が、濯ぎの間に使用され、その濯ぎ水はppmレベルの洗剤を含有している。ppmレベルの残留洗剤は、実生活において、洗濯された衣料/布を使用している間に不快感を生じるわけではないが、しかし、濯ぎの間に泡が生成することは、汚れた洗剤がまだ布内にトラップされていることを意味し、さらなる洗浄が必要だと考えるのが人情である。従って、ユーザーは、まず生地を濯ぎ、次に、その生地を絞り、濯いだ水を排出し、そして再度、同じサイクルを続けるという順序で、手洗いの標準的な濯ぎのシーケンスを続けることによって、濯ぎ液から泡がなくなるまで濯ぎ続ける。洗濯の最後には、50%の過剰量またはそれより多くの水が排水として排出されると見積もられ、そのことは、莫大な量の排水を生じるだけでなく、かかる濯ぎのために、泡の生成のためのみに新しい水が不要に使われるということである。他方で、我々は水を排出しているだけではなく、排水の処理のために莫大な金銭も流出し、且つ、新たな水を生成するために金銭を費やしていることが明らかである。さらには、かかる手洗い/目的のための貴重な水の不要な使用は、新しい水の不足が甚大である国または地方においては、社会悪である。
【0008】
他方で、手洗い/半自動機の洗濯に使用される洗剤は、浸漬および洗浄工程の間、好ましい発泡性を有していなければならない。伝統的な考え方によって、無泡は、良い洗剤を意味しないことが重要である。従って、全ての洗剤製造業者は、洗浄の間に発泡し、且つ、濯ぎの間には発泡せず、かかる種類の洗剤の費用および水の削減が求められる、共通の必要性を有している。
【0009】
一般に、発泡および脱泡のために、2つの種類の化学物質が使用可能である。脱泡作用のある化学物質は、液体または固体中で使用される場合に、泡を減少または無泡にする機構を有し、且つ、他の種類の化学物質は、その用途における使用の間、莫大な泡を生成する発泡傾向を有する。
【0010】
過去、単一濯ぎ構想と称される二次的な方法によってこの問題の解決が試みられており、そこでは、濯ぎサイクルの間、生地用仕上げ剤を含有する脱泡剤を使用し、該生地用仕上げ剤は、濯ぎサイクルで生地を調節し、加えて、全ての残留泡を消す。この構想は、手洗い工程の場合はあまりうまくいかず、なぜならこの類の生地用仕上げ剤は贅沢であるとみなされ、且つ、手洗い階級の人々は、生地を洗うためにかけられる金銭面での制約ゆえに、手洗いを用いるからである。
【0011】
手洗いまたは半自動機において使用される通常の洗剤の水および費用の無駄使いを考慮すると、布およびその種のものを洗浄するために使用される際、洗浄サイクルの間に、洗剤の洗浄性に影響することなく好ましい量の泡を生成するが、濯ぎサイクルにおいては脱泡作用も有し、従って1または2回の濯ぎで生地を充分浄化できる、洗剤配合物が必要とされる。しかしながら、手洗いおよび/または半自動機での洗濯およびその種のものにおいて、貴重な水の不要な無駄使いを避けること、および水の不要な無駄使いから環境を守ることを気遣うことに加えて、洗浄サイクルと濯ぎサイクルとの両方に有利であり、且つ、布/生地の洗濯をより便利且つユーザーフレンドリーにする、洗剤配合物およびその種のものにおける特性を提供するのは極めて困難である。水の無駄使いを避ける効果的な洗濯のために適合された洗浄配合物に関するかかる進歩は、対費用効果を伴うことも重要であり、なぜなら、市場は非常に価格に敏感であり、且つ、新しい洗剤の成功は、費用にも大きく依存するからである。
【0012】
US4637890号は、濯ぎサイクルにおいて脱泡剤として作用する洗剤組成物を開示している。洗剤組成物は、脂肪酸石鹸、四級アンモニウム塩、および石鹸水抑制剤のためのシリコーン液を含む石鹸水/泡制御小球のための組成物を明らかにした。該特許において、小球は、洗浄サイクルにおいて比較的高いpH(pH9〜10.5)で溶解し、且つ、小球は高いpHでは活性ではないことが指摘されている。洗剤が濯ぎ水中にあまり含まれない場合の濯ぎサイクルの際のより低いpHという構想で、小球が低いpHで活性になって石鹸水を抑制する。しかしながら、実施例はいかなる実際の用途も教示せず、さらに、該洗剤が手洗いまたは機械援用手洗いにおいて効果的であったのかどうかが明確ではなかった。該明細書から、シリコーン脱泡剤による泡の抑制効率は、脂肪酸石鹸および四級アンモニウム化合物の助けによる小球の形成に高く依存したことが理解される。該明細書によれば、通常のシリコーン液(アルキル化ポリシロキサン)が脱泡剤として使用され、そこで、通常のシリコーンの脱泡活性は、洗浄サイクルにおけるアルカリ性のpHでの小球の不溶性によって、制御された。
【0013】
US4894117号は、洗濯系において消泡剤を遅れて放出するための、凝集された顆粒の組成物を開示した。それは、粉末化された水溶性担体上に吸着されたシリコーン消泡剤を含む洗濯洗剤組成物に関し、該担体は、担体のための溶剤の存在下での混合によって、引き続き顆粒形態へと凝集される変性セルロース担体から選択される。この先行技術は、標準的なシリコーン消泡剤がカプセル化した一連の顆粒化洗濯添加剤を開示した。それらの種々の顆粒化洗濯添加剤は、使用されたセルロースの種類、および顆粒のサイズに依存して、種々のシリコーン消泡剤放出時間を有する。かかる種類のカプセル化された洗濯用添加剤は、機械洗濯にのみ適しているが、手洗いまたは機械援助手洗いの場合には全く適していないことは明白であり、なぜなら、洗浄の時間はユーザーによって、地域によって、そして国によって変化することがあるからである。従って、カプセル化されたシリコーン消泡剤を有する洗濯用添加剤顆粒を有する洗剤組成物が、あるユーザーに受け容れられたとしても、他のユーザーの要求には適さないことがあり、洗浄時間が異なるので、より長い洗浄時間のために、ユーザーが洗浄サイクル中に泡を見ることができないか、または、より短い洗浄時間のために、より多くの水が濯ぎサイクルにおいて使用され、なぜなら、洗濯用の洗剤中で使用される特定の顆粒は、カプセル化されたシリコーンが放出される時間が固定されていることがあるからである。該明細書によれば、脱泡剤として使用されるポリジメチルシロキサンを充填された従来のシリカが、カプセル化脱泡剤顆粒を作る。
【0014】
EP254499号B1は、シリコーン脱泡剤組成物の製造方法を開示し、前記方法はオルガノポリシロキサン(1)および(2)、
(3) シランまたはそれらの部分加水分解縮合物またはシロキサン樹脂
(4) 微細に分割された充填剤、好ましくはシリカ
(5) 反応触媒、好ましくはKOH
(6) 化合物、例えばアルキレングリコール、多価アルコール、カルボン酸およびそれらのエステル、非イオン性界面活性剤、ポリオキシエチレンアニオン性界面活性剤、ポリエーテル変性シリコーン、非イオン性フッ素化界面活性剤およびOH−含有ポリマー化合物、例えばヒドロキシエチルセルロース
のブレンドを含む混合物を加熱することを含む。シリコーン脱泡剤組成物は、トリメチルシリル末端化ポリジメチルシロキサンおよびシラノール末端化ポリジメチルシロキサンのブレンドと、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンコポリマーと、およびシリカとを反応させることによって得られる。
【0015】
該組成物の脱泡作用は開示されているが、しかし、洗剤組成物中での使用も、洗浄段階の間の発泡を可能にするがしかし濯ぎ作業の間に発泡を抑制することによってそれを遅効脱泡剤として使用できることも記載されていない。
【0016】
上記の技術水準から、全てのかかる関連技術はシリコーンまたはシリコーン脱泡剤のカプセル化に依存し、その際、両方の種類の化学物質は強い消泡作用を有していることが明らかである。濯ぎサイクルにおける遅効脱泡剤または石鹸水抑制の作用は、上記で議論された多くの他のパラメータに依存する。従って、かかる種類の使用可能な脱泡剤の適用は、系統的な洗濯系、例えば機械洗濯においてのみ可能であるが、手洗いまたは機械援助手洗いにおいてはたらくことは不可能であり、なぜなら、洗濯の習慣がユーザーによって非常に異なるからである。他方で、手洗いまたは機械援助の手洗いにおいてはたらく全ての製品は、全ての自動機械洗濯においては明らかにより良好に機能する。
【0017】
従って、本発明の基本的な課題は、手洗いまたは半自動洗剤と容易に混合し、且つ、一方で洗浄サイクルの間、洗浄性、および洗剤の好ましい発泡性に影響せず、他方では濯ぎサイクルにおいて優れた脱泡作用を提供し得る、変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効脱泡剤化合物/配合物を開発することである。
【0018】
本発明の他の課題は、布/生地の洗濯のための、手洗い用洗剤または半自動機械用洗剤の適用において、必要とされる莫大な量の新しい水を節約し、且つ価値ある水の無駄使いを減らすために有利な、変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効脱泡剤化合物/配合物を提供することに関する。
【0019】
本発明の他の課題は、非常に望ましい洗剤配合物を得るために有利であり、対費用効果が高く、水の無駄使いを避ける効果的な洗濯に適合された洗濯配合物に関する進歩を伴う、洗剤配合物中で使用される変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効脱泡剤化合物/配合物の選択的な供給に関する。
【0020】
本発明の他の課題は、最終的な洗剤の配合物の費用において最小限の影響しか有さない、オルガノポリシロキサン化合物の費用を最適化するための簡単な方法での、変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効脱泡剤化合物/配合物の合成に関する。
【0021】
本発明のさらなる課題は、濯ぎの間に優れた消泡効果を有する一方、洗浄サイクルにおいて好ましい発泡を生じる、洗剤組成物/剤に関する。
【0022】
従って、本発明の基本的な態様によれば、以下を含む消泡剤としての変性シリコーンポリマーが提供される:
ヒドロキシル/アルコキシ末端化オルガノポリシロキサンおよび/またはオルガノシクロシロキサンまたはオルガノポリシロキサンまたはそれらの混合物と、アルキレン基を含む反応性有機化合物との反応生成物であって、
該アルキレン基の一方の端は、好ましくはカルボキシル基、カルボン酸無水物、エポキシドおよびラクトンから選択される反応性基でキャップされており、
且つ、該アルキレン基のもう一方の端は、ポリオキシアルキレン鎖の片側と、エーテル結合またはエステル結合を介して直接結合しており、
且つ、同一のポリオキシアルキレン鎖の他の側は、エーテル結合またはエステル結合を介して、アルキル基またはアリール基またはアルキルアリール基でキャップされており、
該アルキル基は1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、該アリール基は6〜35個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子を有し、該アリール基は7〜35個の炭素原子、好ましくは7〜20個の炭素原子を有し、該アルキレン基は、2〜20個の炭素原子を有し、且つ、最も好ましいアルキレン基は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびオクチレン基までであって、種々の異性体の形態を有し、
該ポリオキシアルキレン鎖において、該アルキレン基はエチレンからオクチレンまでの基、および前記アルキレン基の他の形態の異性体に及んでよく、且つ、最も好ましいオキシアルキレン基は、オキシエチレン、オキシプロピレンおよびオキシイソプロピレンであり、該オキシアルキレン基の繰り返し単位の数は、2〜20に及んでよいが、最も好ましくは2〜5である。
【0023】
該有機化合物中に存在するオキシアルキレン基は、単数および複数の同様の単位、または異なるアルキレン基の混合物を有してよい。
【0024】
本発明の好ましい態様によれば、消泡剤としての変性シリコーンポリマーは、1つまたはそれより多くの
【化1】

[式中、
R、R1は、アルキル基またはアリール基またはアルキルアリール基であってよく、該アルキル基は1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、且つ、該アリール基は6〜35個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子を有し、該アリール基は7〜35個の炭素原子、好ましくは7〜20個の炭素原子を有する;
2は、2〜8個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を有するアルキレン基であってよい;
3は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基であってよい;
mおよびnは、正の整数であり、ここでnは2〜20、好ましくは2〜5に及んでよく、且つmは20〜1000、好ましくは30〜500に及んでよい]
を含む。
【0025】
本発明の他の態様によれば、変性シリコーンポリマーと担体充填剤とを含み、前記シリコーンポリマーと担体充填剤との比がそれぞれ、5〜30:70〜95で構成される、オルガノポリシロキサン消泡剤組成物が提供される。
【0026】
上記のオルガノポリシロキサン消泡剤組成物において、担体充填剤は、種々の洗剤配合物と適合性のある、無機塩、有機固体粉末を含み、好ましくは炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびその種のものから選択される。
【0027】
さらに、該オルガノポリシロキサン消泡剤組成物において、前記シリコーンポリマーと担体充填剤との比は、好ましくは8〜25:92〜75で構成される。
【0028】
本発明のさらに他の態様によれば、標準的な洗剤中に混合される脱泡剤組成物/剤を、好ましくは該脱泡剤組成物/剤:標準的な洗剤の比10〜0.005:90〜99.95、より好ましくは4.0〜0.1:96〜99.9の範囲で含む、上記に開示されたオルガノポリシロキサン消泡剤組成物/剤を有する洗剤組成物が提供される。
【0029】
本発明の他の態様は、消泡剤としての変性シリコーンポリマーの製造方法であって、
前記ヒドロキシル/アルコキシ末端化オルガノポリシロキサンおよび/またはオルガノシクロシロキサンまたはオルガノポリシロキサンまたはそれらの混合物と、前記反応性有機化合物とを、アルカリ触媒/酸触媒の存在中、90℃〜170℃で、真空且つシリカの不在下で反応させること;
該ポリマーをシリルホスフェートによって、またはアルカリ触媒の場合は他の酸触媒を用いて、または酸触媒の場合は塩基性化合物を用いて中和して、触媒の効力を消滅させること、
液温を、140℃〜200℃の間に真空下で上昇させること;
揮発分を、該ポリマーからストリッピングすること; および最後に、
該ポリマーを揮発分なく室温に冷却すること
を含む方法に関する。
【0030】
好ましいヒドロキシル末端化オルガノポリシロキサンは、一般式
【化2】

[式中、
Rおよびmは上記で定義された通りである]
のものである。
【0031】
好ましい反応性有機化合物は、一般式
【化3】

[式中、
1、R2、R3およびnは上記で定義された通りである]
のものである。
【0032】
該方法において使用されるアルカリ触媒は、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム、セシウム、または酸化物、水酸化物の形態の四級化合物を含み、最も好ましくはナトリウム、カリウム、セシウムまたはテトラメチルアンモニウム水酸化物である。
【0033】
該方法において使用される酸触媒は、ハロ酸または硫酸または同様のものであって、酸それ自体の形態、または任意の不活性な化合物、例えば粘土に吸着された形態を含む。
【0034】
本発明の好ましい実施態様によれば、該方法において、好ましくは110℃〜170℃の温度に設定してシリコーンポリマーと反応性有機化合物との間の反応を完了させ、且つ、液温を好ましくは150℃〜200℃の間に上昇させて揮発物をポリマーからストリッピングする。
【0035】
シロキサンと反応性有機化合物との比は、99:0:1.0〜80:20、および最も好ましくは90:10.0〜99:1.0に及んでよい。
【0036】
本発明のさらに他の態様によれば、変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効消泡/脱泡剤組成物の製造方法であって、上記の通り、
(i) 前記変性シリコーンポリマーを供給すること、
(ii) 上記(i)の変性シリコーンポリマーと、種々の洗剤配合物と適合性のある無機塩または他の有機固体粉末、最も好ましくは炭酸ナトリウムまたは硫酸ナトリウムおよびその種のものから選択される充填剤とを混合すること
を含む製造方法が提供される。
【0037】
変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効消泡/脱泡剤組成物の、上記の製造方法において、前記選択的なシリコーンポリマーと充填剤との比は、それぞれ、5〜30、好ましくは8〜25:70〜95、好ましくは75〜92で構成される。
【0038】
有利なことに、上記の通り遅効脱泡剤組成物/剤を含む洗剤組成物/剤は、洗浄サイクルにおいて好ましい発泡効果を有する一方で、濯ぎサイクルにおいて優れた消泡効果を有することが見出された。
【0039】
従って本発明は、洗剤配合物においてインサイチューで使用される洗剤のための変性ポリシロキサンに基づく遅効脱泡剤化合物/剤であって、シリコーン化合物が洗浄サイクルにおいて洗剤の好ましい発泡特性を生じるが、濯ぎサイクルにおいて脱泡剤として作用する、遅効脱泡剤化合物/剤の作製方法に関する。現在の世界において、未だに、布を洗うための主な方法は手洗いである。洗剤の品質が洗浄の間に所望の泡を有することが必要される、手洗いのために使用される洗剤の品質が、人々の間で受け容れられていることも事実である。洗剤中で使用される清浄化化学物質は、主に、水中で少量の存在でも高い発泡性を有するアニオン性界面活性剤である。布を濯いでいる間、人々は、濯ぎ水中に泡が観察されなくなるまで生地を洗って、確実に布に汚れが残っていないと感じるという考えを持っている。
【0040】
洗剤中の本発明の遅効シリコーン脱泡剤は、有利にも、洗浄時間において好ましい量の発泡を有するが、濯ぎサイクルにおいて脱泡剤として作用する。結果として、好ましい量の泡が1回の洗浄後に観察され、且つ、布は、1回だけの濯ぎの後にきれいに見える。本発明は莫大な量の排水を削減するだけでなく、世界の多量の貴重な清浄水を保存することも助ける。重要なことに、換言すれば本発明は、世界が汚染を減らし、且つ将来的な大規模気候災害から世界を救おうとする、グリーンウォーターバランスの系列にある。
【0041】
本発明の詳細、その性質、および目的を、以下により詳細に、以下の限定されない実施例と関連づけて説明する。
【0042】
実施例
洗剤配合物−I: 本発明の脱泡剤化合物を含まない比較例
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩 = 10.00部
石鹸 = 1.25部
ラウリルアルコール 7 EO = 2.00部
ナトリウムトリポリホスフェート = 26.40部
ソーダ灰 = 44.5部
硫酸ナトリウム = 4.40部
酵素プロテアーゼ = 0.40部
Spekies Laundrosil = 3.00部
Tinapol CBS−X = 0.40部
過ホウ酸ナトリウム(Sod. Perborate) = 6.85部
テトラアセチルエチレンジアミン = 0.5部
香料 = 0.30部。
【0043】
実施例−1
工程−I
ポリマー合成
10リットル(lit)の反応器内に、80cpsの、α,ωヒドロキシル末端化ポリジメチルシロキサン 5.5kg、およびアジピン酸と、一方の端が遊離し、且つもう一方の端がジエチレングリコールモノブチルエーテルでエステル化された1つのカルボキシル基を有するジエチレングリコールモノブチルエーテルとのエステル 0.610グラム(gm)を移した。反応器を閉じ、そして窒素で30分間パージした。反応器は、ストリッピング並びに還流のために使用できる、攪拌器、加熱器/垂直の凝縮器を有する冷却器を装備していた。受容器は、凝縮器の底部に接続された。反応器は、窒素雰囲気下または真空下または圧力下で作業するための設備も有した。反応を所望の温度で行うことができるように、正確な温度制御系も反応器に搭載された。30分の窒素パージ後、反応器の材料温度を窒素パージしながら80℃に上昇させた。5グラム、50%の活性CsOH溶液を添加した。窒素パージを停止し、そして500mmHgの真空を適用した。反応器の温度を、攪拌しながら170℃に上昇させ、且つ、170℃で酸カルボニル基がエステルカルボニルに変換されるまで、反応を継続させた。カルボニル基の検出はFTIRを用いて行われた。全ての酸カルボニルがエステルカルボニルに変換されたら、窒素によって真空を解除し、そして5グラムのシリルホスフェートを添加した。混合を10分間、窒素パージしながら継続した。窒素パージを停止し、且つ、完全真空を適用した。液温を200℃に上昇させた。揮発物が液体から出ていくまでストリッピングを継続した。
【0044】
ストリッピングが終わったら、真空下で該液体を室温に冷却した。澄んだα,ω−ジアセトキシ末端化オルガノ変性ポリジメチルシロキサンが得られた。
【0045】
工程−II
脱泡剤化合物配合物
850グラムの炭酸ナトリウムを2リットルの混合粉砕器にとった。実験2の工程Iで合成された150グラムの液体を、混合粉砕器を稼働させながら徐々に添加した。易流動性の15%の活性消泡粉末が得られた。
【0046】
工程−III
洗剤配合物−II
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩 = 10.00部
石鹸 = 1.25部
ラウリルアルコール 7 EO = 2.00部
ナトリウムトリポリホスフェート = 26.40部
ソーダ灰 = 44.0部
硫酸ナトリウム = 4.40部
酵素プロテアーゼ = 0.40部
Spekies Laundrosil = 3.00部
Tinapol CBS−X = 0.40部
過ホウ酸ナトリウム = 6.85部
テトラアセチルエチレンジアミン = 0.5部
脱泡剤化合物 (実施例−1) = 0.5部
香料 = 0.30部。
【0047】
工程IV
性能の評価
バケツ内での手洗いによる洗剤の評価のために使用されたプロトコルは以下の通りである
a. 15°fHの硬水を使用
b. 生地と液体との比は1:10
c. 4gplの洗剤を使用 (gpl=グラム毎リットル)
d. 20秒間泡立て
e. 洗浄サイクルを15分または30分間保持し、5分ごとに、または10分間隔で泡の高さを測定
f. 50質量%ピックアップで生地を絞る
g. 新たな24°fHの硬水の場合、濯ぎ水1部と7部の新たな水との割合で濯ぎを行い、その後、5 泡立ちを見る; 50質量%ピックアップで生地を絞り、そしてバケツ内で泡の高さを測定。
【0048】
【表1】

【0049】
【表2】

【0050】
上記の表は、実験1の工程IIIにおいて製造された洗剤の適用結果を示し、0.5%の本発明の遅効脱泡剤を含有する洗剤IIが、濯ぎサイクルにおいて従来の洗剤Iと比較して極めて良好に機能し、且つ、洗浄サイクルにおいて、洗剤IIでは、洗剤Iと比較して好ましい泡の高さであったことを明らかに示す。同じことが、付属の図1を用いてさらに例証される。洗剤Iと洗剤IIとを比較すると、本発明による洗剤IIの効力は優れていた。
【0051】
表IおよびIIから、実験において製造された粉末化遅効脱泡剤が、洗浄サイクルにおいて好ましい発泡性を示し、且つ、濯ぎの希釈工程で、シリコーン鎖のα、ω位の再配向が起きたことも明らかである。シリコーンは、キャップされた末端基から遊離し、且つ、直ちに脱泡剤としてはたらく。再配向は希釈度に依存するので、好ましい泡の形成は洗浄サイクルにおける浸漬時間に依存せず、そのことは、表IIに示される通り、実験によっても確認され、そこでは、洗浄サイクルにおいて、脱泡剤を有する洗剤と、脱泡剤を有さない洗剤とで違いが観察されなかった。従って、本発明によれば、シリコーン分子の変性および洗剤配合物中でのかかる変性分子の使用は、人によって、地域によって、国によって、異なる洗濯の習慣を考慮して、世界的に全てのユーザーに全体的に受け容れられる。ここでもまた、我々は、実験から、本発明によって新たに開発された遅効脱泡剤化合物が、0.5%の供与量で作用することを観察し、そのことは、洗剤配合物の費用に明らかに影響せず、最も重要なのは、洗剤製造業者が、完全手洗いの洗剤のユーザーに利益を与えることを助ける。
【0052】
従って、本発明の方法によって、手洗いおよび/または半自動機での洗濯およびその種のものにおいて、貴重な水の不要な無駄使いを避け、且つ水の不要な無駄使いから環境を救うことを気遣うことに加えて、洗浄サイクルと濯ぎサイクルとの両方に有利であり、且つ、布/生地の洗濯をより便利且つユーザーフレンドリーにする、洗剤配合物およびその種のものを提供することが可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消泡剤としての変性シリコーンポリマーであって、
ヒドロキシル/アルコキシ末端化オルガノポリシロキサンおよび/またはオルガニシクロシロキサンまたはオルガノポリシロキサンまたはそれらの混合物と、アルキレン基を含む反応性有機化合物との反応生成物を含み、
該アルキレン基の一方の端は、カルボキシル基、カルボン酸無水物、エポキシドおよびラクトンから選択される反応性基でキャップされており、
且つ、該アルキレン基のもう一方の端は、ポリオキシアルキレン鎖の片側と、エーテル結合またはエステル結合を介して直接結合されており、
且つ、同一のポリオキシアルキレン鎖の他の側は、エーテル結合またはエステル結合を介して、アルキル基またはアリール基またはアルキルアリール基でキャップされており、
該アルキル基は1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し、該アリール基は6〜35個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子を有し、該アリール基は7〜35個の炭素原子、好ましくは7〜20個の炭素原子を有し、該アルキレン基は、2〜20個の炭素原子を有し、且つ、最も好ましいアルキレン基は、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンチレンおよびオクチレン基までであって、種々の異性体の形態を有し、
該ポリオキシアルキレン鎖において、該アルキレン基はエチレンからオクチレンまでの基、および前記アルキレン基の他の形態の異性体に及んでよく、且つ、最も好ましいオキシアルキレン基は、オキシエチレン、オキシプロピレンおよびオキシイソプロピレンであり、且つ、該オキシアルキレン基の繰り返し単位の数は、2〜20に及んでよいが、最も好ましくは2〜5である、
消泡剤としての変性シリコーンポリマー。
【請求項2】
オキシアルキレン基が単数/複数の同様の単位または異なるアルキレン基の混合物を含む、請求項1に記載の消泡剤としての変性シリコーンポリマー。
【請求項3】
1つまたはそれより多くの
【化1】

[式中、
R、R1は、アルキル基またはアリール基またはアルキルアリール基であってよく、
該アルキル基は1〜30個の炭素原子、好ましくは1〜10個の炭素原子を有し; 該アリール基は6〜35個の炭素原子、好ましくは6〜20個の炭素原子を有し、該アリール基は7〜35個の炭素原子、好ましくは7〜20個の炭素原子を有する;
2は、2〜8個の炭素原子、好ましくは2〜3個の炭素原子を有するアルキレン基であってよい;
3は、2〜20個の炭素原子、好ましくは2〜8個の炭素原子を有するアルキレン基であってよい;
mおよびnは、正の整数であり、ここでnは20〜20、好ましくは2〜5に及んでよく、且つ、mは20〜1000、好ましくは30〜500に及んでよい]
を含む、請求項1または2のいずれか1項に記載の、消泡剤としての変性シリコーンポリマー。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の変性シリコーンポリマーと、担体充填剤とを含むオルガノポリシロキサン消泡剤組成物であって、前記シリコーンポリマーと担体充填剤との比が、それぞれ、5〜30:70〜95で構成される、前記オルガノポリシロキサン消泡剤組成物。
【請求項5】
担体充填剤が、種々の洗剤配合物と適合性のある、無機塩、有機固体粉末を含み、好ましくは炭酸ナトリウム、硫酸ナトリウムおよびその種のものから選択される、請求項4に記載のオルガノポリシロキサン消泡剤組成物。
【請求項6】
前記シリコーンポリマーと、担体充填剤との比が、好ましくは8〜25:92〜75で構成される、請求項4または5のいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン消泡剤組成物。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載のオルガノポリシロキサン消泡組成物/剤を有する洗剤組成物であって、標準的な洗剤中に混合された前記脱泡剤組成物/剤を含み、好ましくは脱泡剤組成物/剤:標準的な洗剤の比は10〜0.005:90〜99.95、より好ましくは4.0〜0.1:96〜99.9の範囲である、前記洗剤組成物。
【請求項8】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の消泡剤としての変性シリコーンポリマーの製造方法であって、
前記ヒドロキシル/アルコキシ末端化オルガノポリシロキサンおよび/またはオルガノシクロシロキサンまたはオルガノポリシロキサンまたはそれらの混合物と、反応性有機化合物とを、アルカリ触媒/酸触媒の存在中、90℃〜170℃で、真空且つシリカの不在下で反応させること、
該ポリマーをシリルホスフェートによって、またはアルカリ触媒の場合は他の酸触媒を用いて、または酸触媒の場合は塩基性化合物を用いて中和して、触媒の効力を消滅させること、
液温を、140℃〜200℃の間に真空下で上昇させること、
揮発分を、該ポリマーからストリッピングすること、 および最後に、
該ポリマーを揮発分なく室温に冷却すること
を含む方法。
【請求項9】
アルカリ触媒が、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウムまたはセシウム、または酸化物、水酸化物の形態の四級化合物を含み、最も好ましくはナトリウム、またはセシウムまたはテトラメチルアンモニウム水酸化物である、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
酸触媒が、ハロ酸または硫酸または同様のものであって、酸それ自体の形態、または任意の不活性な化合物、例えば粘土に吸着された形態を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
好ましくは110℃〜170℃の温度に設定してシリコーンポリマーと反応性有機化合物との間の反応を完了させ、且つ、液温を好ましくは150℃〜200℃の間に上昇させて揮発物をポリマーからストリッピングする、請求項8から10までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
シロキサンと反応性有機化合物との比が、99.0:1.0〜80:20、最も好ましくは90:10.0〜99:1.0に及ぶ、請求項8から11までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
請求項4から6までのいずれか1項に記載の変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効消泡/脱泡剤組成物の製造方法であって、
(i) 請求項1から3までのいずれか1項に記載の前記変性シリコーンポリマーを準備すること、
(ii) 上記(i)の変性シリコーンポリマーと、種々の洗剤配合物と適合性のある無機塩または他の有機固体粉末、最も好ましくは炭酸ナトリウムまたは硫酸ナトリウムおよびその種のものから選択される充填剤とを混合すること
を含む方法。
【請求項14】
前記シリコーンポリマーと充填剤との比は、それぞれ、5〜30、好ましくは8〜25:70〜95、好ましくは75〜92で構成される、請求項13に記載の変性オルガノポリシロキサンに基づく遅効消泡/脱泡剤組成物の製造方法。
【請求項15】
本質的にここに記載され、且つ付属の実施例および図を参照して説明される、消泡剤としての変性シリコーンポリマー、前記変性シリコーンポリマーを有するオルガノポリシロキサン消泡組成物、および、かかる脱泡剤組成物を有する洗剤組成物。

【公表番号】特表2012−527494(P2012−527494A)
【公表日】平成24年11月8日(2012.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−511150(P2012−511150)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【国際出願番号】PCT/EP2009/056058
【国際公開番号】WO2010/133249
【国際公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】