説明

消泡剤調製物

【課題】従来技術の欠点を克服し、かつより効果的な、ならびに加水分解安定性かつ易加工性の消泡剤調製物を得るシリコーンポリエーテルを提供する。
【解決手段】本発明による(A)シロキサンをベースとする泡止め剤および(B)シリコーンポリエーテルを含有する消泡剤調製物によって解決される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、(A)シロキサンをベースとする泡止め剤および(B)シリコーンポリエーテルを含有する消泡剤調製物、ならびに、殊にパルプ製造に際して発生する水性媒体を消泡するためのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シロキサンをベースとする消泡剤は、例えばDD−A056762に従ってポリジメチルシロキサン中での親水性シリカの加熱によって製造される。この方法はまさしく煩雑であるが、それにも関わらず、そのように製造された消泡剤の効力は満足のいくものではない。例えばDE−A2925722に相応する、ポリジメチルシロキサン中での疎水化されたシリカの分散は、より合理的な方法ではあるが、得られた消泡剤の効力は、しかし同様に改善の余地がある。
【0003】
同様に、変性されたポリオルガノシロキサンの消泡剤配合物中での使用が公知である。そのように、例えば消泡剤としてのポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーとの組み合わせにおける分岐シロキサン消泡剤の使用が、例えばパルプ製造のために推奨される(EP−A341952)。キャリアオイルとしての鉱油との組み合わせにおいても、ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーは良い効果を有するものとされている(US5,523,019)。WO98/000216によれば、消泡剤調製物中の界面活性剤として、ジメチル−3−ヒドロキシプロピルポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するシロキサンが特に適しているとされる。
【0004】
EP−A663225およびEP−A1076073には、少なくとも1個のポリエーテル基を有する架橋されたもしくは分岐されたポリオルガノシロキサンが、消泡剤調製物の2つの成分の1つとして特許保護を請求される。その際、架橋はアルキレン基により、ポリジメチルシロキサンにより、またはポリエーテル基により行われる。Si−C結合による結合によって、生成物は加水分解安定性である。
しかしながら、これらの生成物は一般的に非常に高粘性であり、かつ取り扱いにくいか、またはさらに加工しにくい。消泡されるべき処理中でのその堆積挙動も高まっている。
【0005】
US−A5,625,024で提案される方法は、Si−O−C基による結合をもたらすが、それは殊に酸性のまたは塩基性の媒体中で加水分解安定性ではなく、そのため泡沫を生ずる水性媒体中でその効力を失う。
【0006】
DE10255649Aには、公知の泡止め剤に、特に分岐ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーが添加される消泡剤調製物が記載される。しかしながら、この種の消泡剤調製物は、水の存在下でその働きを弱める。
【0007】
DE3133869C1(対応するUS4,417,068A)には、一般的に貴金属を触媒としたヒドロシリル化反応におけるハイドロジェンシロキサンおよびアルケニルポリエーテルとからのシリコーンポリエーテルの製造が記載されている。実施例は、SiH基の転化率に及ぼす触媒量および触媒構造の影響を示している。時間間隔で達成可能なSiH転化率は、固定された触媒タイプの場合、著しくより高い貴金属濃度によってのみ本質的に高められることができるが、しかし、これにはコストが掛かり、それゆえ欠点である。それ以外に、その製造のために、そのつどアルケニルポリエーテルおよびハイドロジェンシロキサンが使用されることが記載されている。他のシリコーンポリエーテルには、そのつど他の原料が必要とされる。
【0008】
US5,271,868は、大部分がシリコーンポリエーテルからなる泡止め剤組成物を記載する。該シリコーンポリエーテルは、2つの異なる種類のポリエーテル置換基を有する線状シロキサン骨格からなり、かつ、さらに分子1個当たり1〜10個のアルキルメチルシロキシ単位を含有し、その際、アルキル鎖は3〜20個のC原子を有する。2つのポリエーテル種は、一方のポリエーテル種がエチレンオキシ単位10〜30%のモル割合を含有するのに対して、他方のポリエーテル種がエチレンオキシ単位65〜85%のモル割合を有し−その際、残りはそのつどプロピレンオキシ単位からなる−という形で区別される。それにより、異なるポリエーテル置換基は極性も異なっている。エチレンオキシ単位およびプロピレンオキシ単位からの混合された置換基に加えて、一種類のアルキレンオキシ単位のみからなるものも含有するシリコーンポリエーテルは記載されていない。該シリコーンポリエーテルは、通常のヒドロシリル化法に従って、H−シロキサンおよびこの場合には二つの異なる不飽和ポリエーテルから製造され、その際、アルキル鎖の導入は、H−シロキサンへのオレフィンの追加的な付加によって、同時にまたは別個の合成工程のいずれかにおいて行われる。記載されるこれらのポリエーテルのどちらかといえばむしろ狭い定義域から、該ポリエーテルの同じでない極性に基づき、それらの相互の混和性も限られており、かつ、それらが互いに大きく異なれば異なるほど、それだけ一層これは悪化することになる。この効果は、化学反応にとって不都合なものとされる。アルキル基の付加的な導入は、改めて製造法を複雑なものにする。なぜなら、オレフィンは、アリルポリエーテルとは別のヒドロシリル化特性を有するからである。しかし、US5,271,868の中で引用されるJP58−58126によると、泡止め剤の能力をさらに改善するために、この導入は不可欠とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】DD−A056762
【特許文献2】DE−A2925722
【特許文献3】EP−A341952
【特許文献4】US5,523,019
【特許文献5】WO98/000216
【特許文献6】EP−A663225
【特許文献7】EP−A1076073
【特許文献8】US−A5,625,024
【特許文献9】DE10255649A
【特許文献10】DE3133869C1
【特許文献11】US4,417,068A
【特許文献12】US5,271,868
【特許文献13】JP58−58126
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
それゆえ、課題は、上記欠点を克服すること、および、より効果的な、ならびに加水分解安定性かつ易加工性の消泡剤調製物を得るシリコーンポリエーテルを提供することであった。該課題は、本発明によって解決される。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の対象は、
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤および
(B)第一の工程において、
Si結合水素原子0.05〜1.6質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式:
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b1 (Ia)
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (Ib)
CH2=CR1−(CH2aO(C36O)c1 (Ic)
[式中、R1は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
aは、0または1〜16、好ましくは1〜4の整数であり、
bは、1〜50、好ましくは3〜20の整数であり、かつ
cは、1〜50、好ましくは3〜40の整数である]の群から選択される不飽和ポリエーテル(3)と反応させるにあたって、
ただし、b+cからの合計が、少なくとも10、好ましくは少なくとも20であり、
かつ式(Ia)、(Ib)および(Ic)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテルからの混合物を使用するという条件付きで反応させ、
および場合により第二の工程において、
(1)および(3)からの反応生成物を、Si結合水素原子0.01〜0.5質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(2)とさらに反応させるにあたって、
ただし、第一および第二の工程における反応を、脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進させる触媒(4)の存在下で実施し、かつ
オルガノポリシロキサン(2)中のSi結合水素の質量濃度に対するオルガノポリシロキサン(1)中のSi結合水素の質量濃度の比が、少なくとも1.5、有利には少なくとも2.0であるという条件付きで反応させることによって製造可能なシリコーンポリエーテル
を含有する消泡剤調製物である。
【0012】
さらに、本発明の対象は、
(B)第一の工程において、
Si結合水素原子0.05〜1.6質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式:
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b1 (Ia)
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (Ib)
CH2=CR1−(CH2aO(C36O)c1 (Ic)
[式中、R1は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
aは、0または1〜16、好ましくは1〜4の整数であり、
bは、1〜50、好ましくは3〜20の整数であり、かつ
cは、1〜50、好ましくは3〜40の整数である]の群から選択される不飽和ポリエーテル(3)と反応させるにあたって、
ただし、b+cからの合計が、少なくとも10、好ましくは少なくとも20であり、
かつ式(Ia)、(Ib)および(Ic)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテルからの混合物を使用するという条件付きで反応させ、
および場合により第二の工程において、
(1)および(3)からの反応生成物を、Si結合水素原子0.01〜0.5質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(2)とさらに反応させるにあたって、
ただし、第一および第二の工程における反応を、脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進させる触媒(4)の存在下で実施し、かつオルガノポリシロキサン(2)中のSi結合水素の質量濃度に対するオルガノポリシロキサン(1)中のSi結合水素の質量濃度の比が、少なくとも1.5、有利には少なくとも2.0であるという条件付きで反応させることによって製造可能なシリコーンポリエーテルである。
【0013】
好ましくは、本発明による方法の場合、オルガノポリシロキサン(2)中のSi結合水素の質量濃度に対するオルガノポリシロキサン(1)中のSi結合水素の質量濃度の比は、せいぜい20、有利にはせいぜい10である。
【0014】
該製造法が2工程で実施される場合、本発明による方法の第一の工程で、オルガノポリシロキサン(1)は、ポリエーテル(3)中の脂肪族二重結合1モル当たり、好ましくは0.2〜0.7グラム原子、有利には0.3〜0.6グラム原子のSi結合水素の量で使用される。
本発明による方法の第二の工程で、オルガノポリシロキサン(2)は、ポリエーテル(3)中の脂肪族二重結合1モル当たり、好ましくは0.1〜0.6グラム原子、有利には0.2〜0.5グラム原子のSi結合水素の量で使用される。
【0015】
本発明による方法の場合、オルガノポリシロキサン(1)および(2)は全体で、ポリエーテル(3)中の脂肪族二重結合1モル当たり、好ましくは0.5〜1.0グラム原子、有利には0.6〜0.8グラム原子のSi結合水素の量で使用される。
【0016】
有利な一方法様式は、一方法工程でのシリコーンポリエーテルの製造である。
【0017】
オルガノポリシロキサン(1)として、一般式
【化1】

[式中、
Rは、同じであるかまたは異なっていてよく、かつ脂肪族の炭素−炭素−多重結合を含まない、炭素原子1〜18個を有する一価の炭化水素基を意味し、
eは、0、1、2または3であり、
fは、0、1または2であり、
かつe+fの合計は、≦3である]の単位からの、好ましくは線状の、環状のまたは分岐状のオルガノポリシロキサンが使用されるが、
ただし、少なくとも2個のSi結合水素原子が含まれているという条件付きで使用される。
【0018】
有利には、オルガノポリシロキサン(1)として、一般式
h3-hSiO(SiR2O)o(SiRHO)pSiR3-hh (III)
[式中、Rは、それに関して上で記載された意味を有し、
hは、0、1または2、有利には0または1であり、
oは、0または1〜1000、有利には10〜200、特に有利には10〜80の整数であり、かつ
pは、0または1〜40、有利には2〜20の整数である]のものが使用されるが、
ただし、少なくとも2個のSi結合水素原子が含まれているという条件付きで使用される。
【0019】
この発明の範囲内で、式(III)は、o単位−(SiR2O)−およびp単位−(SiRHO)−が任意の形で、例えばブロックとしてまたはランダムに、オルガノポリシロキサン分子中に分散されていてよいと理解されるべきである。
【0020】
そのようなオルガノポリシロキサン(1)に関する例は、殊に、トリメチルシロキサン−、ジメチルシロキサン−およびメチルハイドロジェンシロキサン単位からの混合ポリマー、ジメチルハイドロジェンシロキサン−、メチルハイドロジェンシロキサン−、ジメチルシロキサン−およびトリメチルシロキサン単位からの混合ポリマー、トリメチルシロキサン−、ジメチルハイドロジェンシロキサン−およびメチルハイドロジェンシロキサン単位からの混合ポリマー、メチルハイドロジェンシロキサン−およびトリメチルシロキサン単位からの混合ポリマー、メチルハイドロジェンシロキサン−、ジフェニルシロキサン−およびトリメチルシロキサン単位からの混合ポリマー、メチルハイドロジェンシロキサン−、ジメチルハイドロジェンシロキサン−およびジフェニルシロキサン単位からの混合ポリマー、メチルハイドロジェンシロキサン−、フェニルメチルシロキサン−、トリメチルシロキサン−および/またはジメチルハイドロジェンシロキサン単位からの混合ポリマー、メチルハイドロジェンシロキサン−、ジメチルシロキサン−、ジフェニルシロキサン−、トリメチルシロキサン−および/またはジメチルハイドロジェンシロキサン単位からの混合ポリマーならびにジメチルハイドロジェンシロキサン−、トリメチルシロキサン−、フェニルハイドロジェンシロキサン−、ジメチルシロキサン−および/またはフェニルメチルシロキサン単位からの混合ポリマーである。
【0021】
オルガノポリシロキサン(1)は、好ましくは25℃で5〜5000mm2/s、有利には25℃で20〜500mm2/sの平均的な粘度を有する。
【0022】
オルガノポリシロキサン(2)として、一般式
【化2】

[式中、
Rは、同じであるかまたは異なっていてよく、かつ脂肪族の炭素−炭素−多重結合を含まない、炭素原子1〜18個を有する一価のSiC結合した炭化水素基を意味し、
kは、0、1、2または3であり、
lは、0、1または2であり、
かつk+lの合計は、≦3である]の単位からの、好ましくは線状の、環状のまたは分岐状のオルガノポリシロキサンが使用されるが、
ただし、少なくとも2個のSi結合水素原子が含まれているという条件付きで使用される。
【0023】
有利には、オルガノポリシロキサン(2)として、一般式
g3-gSiO(SiR2O)r(SiRHO)sSiR3-gg (V)
[式中、Rは、それに関して上で記載された意味を有し、
gは、0、1または2、有利には0または1であり、
rは、0または1〜1000、有利には20〜200の整数であり、かつ
sは、0または10〜100、有利には20〜50の整数である]のものが使用されるが、
ただし、少なくとも2個のSi結合水素原子が含まれているという条件付きで使用される。
【0024】
この発明の範囲内で、式(V)は、r単位−(SiR2O)−およびs単位−(SiRHO)−が任意の形で、例えばブロックとしてまたはランダムに、オルガノポリシロキサン分子中に分散されていてよいと理解されるべきである。
【0025】
オルガノポリシロキサン(1)に関する例は、全面的にオルガノポリシロキサン(2)にも当てはまる。
【0026】
オルガノポリシロキサン(2)は、好ましくは25℃で50〜5000mm2/s、有利には25℃で50〜500mm2/sの平均的な粘度を有する。
【0027】
オルガノポリシロキサン(1)に対するオルガノポリシロキサン(2)の粘度の比は、好ましくは少なくとも2.0、有利には少なくとも3.0、特に有利には少なくとも5.0である。
【0028】
好ましくは、オルガノポリシロキサン(1)に対するオルガノポリシロキサン(2)の粘度比は、せいぜい1000、有利にはせいぜい100である。
【0029】
基Rに関する例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基、ヘプチル基、例えばn−ヘプチル基、オクチル基、例えばn−オクチル基およびイソオクチル基、例えば2,2,4−トリメチルペンチル基、ノニル基、例えばn−ノニル基、デシル基、例えばn−デシル基、ドデシル基、例えばn−ドデシル基、およびオクタデシル基、例えばn−オクタデシル基;シクロアルキル基、例えばシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基およびメチルシクロヘキシル基;アリール基、例えばフェニル基、ナフチル基、アントリル基およびフェナントリル基;アルカリール基、例えばo−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基およびエチルフェニル基;およびアラルキル基、例えばベンジル基、α−フェニルエチル基およびβ−フェニルエチル基である。
【0030】
好ましくは、Rはメチル基である。有利には、全ての基Rの少なくとも99モル%、特に有利には100モル%がメチル基である。
【0031】
特に有利には、オルガノポリシロキサン(1)および(2)は、Si結合水素原子に加えて、SiC結合炭化水素基Rとしてメチル基を99モル%、殊に100モル%で有する。
【0032】
炭化水素基R1に関する例は、アルキル基、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、1−n−ブチル基、2−n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、ヘキシル基、例えばn−ヘキシル基およびイソヘキシル基である。
基R1として有利なのは、水素原子である。
【0033】
ポリエーテル(3)として、式(Ia)〜(Ic)の少なくとも2種のポリエーテルが使用される。
【0034】
従って、ポリエーテル(Ia)および(Ib),(Ia)および(Ic)ならびに(Ib)および(Ic)を互いに混合して、または(Ia)、(Ib)および(Ic)の組み合わせも、オルガノポリシロキサン(1)との反応に使用されることができる。つまり常に、異なる極性のポリエーテルが互いに使用される。(Ia)および(Ic)がホモポリマーである一方で、(Ib)はコポリマーであり、そのエチレンオキシ単位(EO単位)のモル割合は、好ましくは約1〜約99モル%の範囲、有利には約4〜80モル%の範囲および特に有利には約10〜65モル%の範囲にあり、その際、残りはプロピレンオキシ単位(PO単位)からなる。
【0035】
有利には、本消泡剤調製物の場合、式(Ib)および(Ic)のポリエーテルの混合物とオルガノポリシロキサン(1)との反応によって製造されるシリコーンポリエーテル(B)が使用される。使用されるアルキレンオキシ単位の全体数に対する、式(Ib)および(Ic)のポリエーテルからのエチレンオキシ単位の割合は、好ましくはせいぜい50モル%、有利にはせいぜい40モル%および特に有利にはせいぜい30モル%である。特に有利な範囲は10〜30モル%である。
【0036】
本発明によるシリコーンポリエーテル(B)のための製造法の特別な一利点は、その極性、つまり、オルガノシロキシ構成単位、エチレンオキシ構成単位およびプロピレンオキシ構成単位の比の正確かつ完全な調整が可能であり、その際、式(Ia)、(Ib)および(Ic)のポリエーテルの量比の変動によって、様々な生成物の幅広い領域が、少しばかりの原料でカバーされ得る。
【0037】
有利には、aは式(Ia)、(Ib)および(Ic)中で1であり、かつ、好ましくはアリルポリエーテルが使用される。
【0038】
式(Ia)のポリエーテルに関する例は、
CH2=CH−CH2O(C24O)5H、
CH2=CH−CH2O(C24O)8H、
CH2=CH−CH2O(C24O)12CH3
である。
【0039】
式(Ib)のポリエーテルに関する例は、
CH2=CH−CH2O(C24O)7(C36O)12H、
CH2=CH−CH2O(C24O)10(C36O)6H、
CH2=CH−CH2O(C24O)20(C36O)20H、
CH2=CH−CH2O(C24O)12(C36O)32H、
CH2=CH−CH2O(C24O)12(C36O)8CH3
である。
【0040】
式(Ic)のポリエーテルに関する例は、
CH2=CH−CH2O(C36O)3H、
CH2=CH−CH2O(C36O)18C(=O)CH3
CH2=CH−CH2O(C36O)30
である。
【0041】
脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進させる触媒(4)として、本発明による方法の場合も、これまでも脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進するために使用できた同じ触媒が使用されることができる。好ましくは、触媒は、白金金属の群からの金属または白金金属の群からの化合物または錯体である。そのような触媒に関する例は、二酸化ケイ素、酸化アルミニウムまたは活性炭のような担体上に存在してよい金属性および微粉末の白金、白金の化合物または錯体、例えばPtCl4、H2PtCl6・6H2O、Na2PtCl4・4H2Oのようなハロゲン化白金、白金−オレフィン−錯体、白金−アルコール−錯体、白金−アルコラート−錯体、白金−エーテル−錯体、白金−アルデヒド−錯体、H2PtCl6・6H2Oおよびシクロヘキサノンとからの反応生成物を含む、白金−ケトン−錯体、検出可能な無機的に結合されたハロゲンの含量を有するかまたは有さない、白金−1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチル−ジシロキサン錯体のような白金−ビニル−シロキサン錯体、ビス−(γ−ピコリン)−二塩化白金、トリメチレンジピリジン二塩化白金、ジシクロペンタジエン二塩化白金、ジメチルスルホキシドエチレン二塩化白金(II)、シクロオクタジエン−二塩化白金、ノルボルナジエン−二塩化白金、γ−ピコリン−二塩化白金、シクロペンタジエン−二塩化白金、ならびに四塩化白金とオレフィンおよび第1級アミンまたは第2級アミンまたは第1級アミンおよび第2級アミンとの反応生成物、例えば1−オクテン中に溶解された四塩化白金とsec−ブチルアミンまたはアンモニウム−白金錯体とからの反応生成物である。
【0042】
触媒(4)は、本発明による方法の場合、そのつど元素の白金として計算して、かつ使用される成分(1)、(2)および(3)の全質量に対して、好ましくは1〜50質量ppm(百万質量部当たりの質量部)の量で、有利には5〜20質量ppmの量で使用される。
【0043】
好ましくは、本発明による方法の場合、触媒(4)はポリエーテル(3)に、オルガノポリシロキサン(1)および(2)の計量供給前に添加される。有利には、2つの工程で作業される場合、触媒の量の一部が第一の工程で装入され、かつ第二の工程で触媒の残留量が添加される。
【0044】
本発明による方法は、好ましくは、60〜120℃、有利には80〜120℃の温度で実施される。好ましくは、本発明による方法は、周囲大気の圧力で、つまり約1020hPaで実施され、しかし、該方法は、より高い圧力またはより低い圧力でも実施されることができる。
【0045】
本発明による方法の場合、溶剤が併用されることができる。溶剤に関する例は、トルエン、キシレン、イソプロパノール、n−ブタノールである。
溶剤が併用される場合、それは、好ましくは、反応混合物に対して5〜20質量%の量で使用される。
溶剤の併用は、しかし、有利ではない。
【0046】
シリコーンポリエーテル(B)として、本発明による方法に従って、一般式
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b1 (VIIa)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (VIIb)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C36O)c1 (VIIc)
[式中、R1、a、bおよびcは、それらに関して上で記載された意味を有する]の群から選択されるポリエーテル基Aを含むオルガノポリシロキサンが得られるが、
ただし、式(VIIa)、(VIIb)および(VIIc)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテル基Aが含まれているという条件付きで得られる。
【0047】
シリコーンポリエーテル(B)として、本発明による方法に従って、一般式
【化3】

[式中
Aは、一般式
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b1 (VIIa)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (VIIb)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C36O)c1 (VIIc)
の群から選択されるポリエーテル基を意味し、
Rは、同じであるかまたは異なっていてよく、かつ脂肪族の炭素−炭素−多重結合を含まない、炭素原子1〜18個を有する一価のSiC結合した炭化水素基を意味し、
1、a、bおよびcは、それらに関して上で記載された意味を有し、
xは、0、1または2であり、
yは、0、1、2または3であり、
かつ、x+yの合計は、≦3である]の単位からの、有利には線状の、環状のまたは分岐状のオルガノポリシロキサンが得られるが、
ただし、式(VIIa)、(VIIb)および(VIIc)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテル基Aが含まれているという条件付きで得られる。
【0048】
シリコーンポリエーテル(B)として、本発明による方法に従って、特に有利には、一般式
z3-zSiO(SiR2O)m(SiRAO)nSiR3-zz (VIII)
[式中、AおよびRは、それらに関して上で記載された意味を有し、
zは、0、1または2、有利には0または1であり、
mは、0または1〜1000、有利には10〜200の整数であり、かつ
nは、0または1〜50、有利には2〜20の整数である]のものが得られるが、
ただし、式(VIIa)、(VIIb)および(VIIc)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテル基Aが含まれているという条件付きで得られる。
【0049】
この発明の範囲内で、式(VIII)は、m単位−(SiR2O)−およびn単位−(SiRAO)−が任意の形で、例えばブロックとしてまたはランダムに、オルガノポリシロキサン分子中に分散されていてよいと理解されるべきである。
【0050】
シリコーンポリエーテル(B)として、有利には、一般式
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (VIIb)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C36O)c1 (VIIc)
[式中、R1、a、bおよびcは、上でそれらに関して記載された意味を有する]の2つの異なるポリエーテル基Aを含むものが得られる。
【0051】
シリコーンポリエーテル(B)として、有利には、一般式(VIIb)および(VIIc)の2つの異なるポリエーテル基を含むものが得られ、その際、アルキレンオキシ単位の全体数に対する、式(VIIb)および(VIIc)のポリエーテル基中でのエチレンオキシ単位の割合は、好ましくはせいぜい50モル%、有利にはせいぜい40モル%および特に有利にはせいぜい30モル%である。
【0052】
本発明による方法に従って得られるシリコーンポリエーテルは、好ましくは25℃で50〜100000mPa.s、有利には25℃で100〜20000mPa.sの粘度を有する。
【0053】
本発明による消泡剤調製物は、好ましくは、
そのつど消泡剤調製物の全質量に対して、
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤1〜90質量%、
(B)本発明によるシリコーンポリエーテル0.1〜70質量%、
(C)乳化剤0〜20質量%、有利には2〜20質量%、
(D)水0〜97質量%、
および場合により
(E)保存剤、増粘剤およびさらに別の添加剤
を含有する。
【0054】
シロキサンをベースとする泡止め剤(A)(以下ではシロキサン消泡剤とも呼ばれる)として、通常、シリカおよびポリオルガノシロキサンからの混合物が使用され、その際、該混合物は、有利には、
(aa)50g/m2より大きいBET表面積を有する、in situで疎水化された沈降シリカおよび/または熱分解シリカおよび/または50g/m2より大きいBET表面積を有する、前処理された、疎水性の沈降シリカおよび/または熱分解シリカ1〜15質量%
(ab)一般式
8e(R9O)dSiO(4-e-d)/2 (IX)、
[式中、R8は、同じであるかまたは異なっていてよく、かつ基1個当たり炭素原子1〜30個を有する置換されたおよび/または置換されなかった飽和および/または不飽和の一価の炭化水素基を意味し、
9は、同じであるかまたは異なっていてよく、かつ水素原子または、基1個当たり炭素原子1〜30個を有する置換されたおよび/または置換されなかった飽和および/または不飽和の一価の炭化水素基を意味し、
dは、0、1、2または3であり、その際、dは、平均して0.5より小さい値であり、
eは、0、1、2または3であり、
ただし、合計(d+e)は、<3であり、かつ平均して1.8〜2.4の値を有する]の単位からの1つ以上のポリオルガノシロキサン20〜99質量%
(ac)本質的に、一般式R3SiO1/2およびSiO4/2[式中、Rは、それに関して上で記載された意味を有する]の単位からなるシリコーン樹脂0〜10質量%、および
(ad)鉱油、天然油、イソパラフィン、ポリイソブチレン、オキソアルコール合成からの残留物、低分子量の合成カルボン酸のエステル、低分子量のアルコールのエーテル、フタレートおよびリン酸のエステル、ポリオキシアルキレン、例えばポリプロピレングリコールまたはエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマーおよびポリオキシアルキレンのエステルおよびエーテルから選択される、100℃より高い沸点を有する有機化合物0〜80質量%、その際、質量%はそれぞれ泡止め剤の全質量に対する、
を含有する。
【0055】
シリカ(aa)のin situでの疎水化は、ポリオルガノシロキサン(ab)中で分散されるシリカの100〜200℃の温度への数時間の加熱によって行われることができる。その際、反応は、触媒、例えばKOH、および疎水化剤、例えば短鎖のOH−末端ポリジメチルシロキサン、シラン、シラザンまたはシリコーン樹脂の添加によって支持されることができる。代替物質として、前処理された、疎水化されたシリカが使用されることができ、または一方でin situで疎水化されたシリカと、前処理された疎水化されたシリカとの組み合わせも使用されることができる。
【0056】
一般式(II)におけるR8に関する例は、置換されなかった、分岐したまたは非分岐のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、またはドデシル基;置換されたアルキル基、例えばトリフルオロプロピル基、シアノエチル基、グリシドキシプロピル基、ポリアルキレングリコールプロピル基、アミノプロピル基またはアミノエチルアミノプロピル基;不飽和基、例えばビニル基、メタクリルオキシプロピル基またはアリル基;芳香族基、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラシル基またはベンジル基である。特に有利な基R8は、メチル基またはフェニル基であり、その際、特に有利なのは、基R8の80モル%以上がメチル基の場合である。
【0057】
一般式(II)におけるR9に関する例は、置換されなかった、分岐したまたは非分岐のアルキル基、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、オクチル基、またはドデシル基;置換されたアルキル基、例えばトリフルオロプロピル基、シアノエチル基、グリシドキシプロピル基、ポリアルキレングリコールプロピル基、アミノプロピル基またはアミノエチルアミノプロピル基;不飽和基、例えばビニル基、メタクリルオキシプロピル基またはアリル基;芳香族基、例えばフェニル基、トリル基、キシリル基、ナフチル基、アントラシル基またはベンジル基である。
【0058】
式(IX)の化合物に関する例は、25℃で100〜1000000mPa・sの粘度を有するポリジメチルシロキサンである。これらのポリジメチルシロキサンは、例えばCH3SiO3/2単位またはSiO4/2単位の組み込みによって分岐されていてよい。これらの分岐したまたは架橋したシロキサンは、次いで粘弾性の特性を有する。
【0059】
このような分岐した粘弾性のポリオルガノシロキサンは、触媒の存在において、例えばジメチルクロルシラン−加水分解生成物の反応によって、またはヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとトリメチルシリル末端ポリジメチルシロキサンおよび少なくとも3個の加水分解性基を有するシランから選択される化合物、例えばテトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシランまたはメチルトリアセトキシシラン、または本質的に2:1〜1:2の比で(CH33SiO1/2単位およびSiO2単位から構成されているシリコーン樹脂との反応によって得られることができる。
【0060】
分岐した粘弾性のポリオルガノシロキサンを製造するためのさらに別の一変法は、ヒドロシリル化を促進する触媒、例えば白金または白金化合物の存在における、ランダムに分布した1分子当たり平均して2個未満の官能基を有するオルガノシロキサンX1と、ランダムに分布した1分子当たり平均して2個を上回る官能基を有するオルガノシロキサンX2との反応であり、その際、シロキサンX1またはX21個当たり、そのつど1種類の官能基のみが存在する。
【0061】
さらに、シロキサンをベースとする泡止め剤は、一般式(IX)[式中、R8は、メチル基を意味し、かつR9は、炭素原子少なくとも6個を有する線状および/または分岐状の炭化水素基を意味し、dは、0.005〜0.5の値をとり、かつ合計(d+e)は、1.9〜2.1の値をとる]の少なくとも1つのポリオルガノシロキサン(ab')0.1〜10質量%、有利には0.5〜5質量%を含有してよい。このような生成物は、25℃で粘度50〜50000mPa・sのシラノール末端ポリジメチルシロキサンと、6個より多い炭素原子を有する脂肪族アルコール、例えばイソトリデシルアルコール、n−オクタノール、ステアリルアルコール、4−エチルヘキサデカノールまたはエイコサノールとの塩基触媒縮合によって手に入れられる。
【0062】
本発明による消泡剤調製物中には、さらに別の公知の、消泡剤調製物に通常用いられる添加剤または助剤が含有されていてよく、例えばアルミニウム酸化物、金属石鹸、疎水化された石英粉末または微細に分散された疎水性ポリウレタンのようなさらに別の充填剤が含有されていてよい。しかし、消泡剤油として作用する物質、例えば鉱油、パラフィン油、脂肪酸エステル、脂肪アルコール、ポリオキシアルキレン、例えばポリプロピレングリコールまたはエチレンオキシド−プロピレンオキシドコポリマー、ポリオキシアルキレンのエステルおよびエーテル、およびろうを、該調製物の全質量に対して1〜99質量%の量で添加することも可能である。さらに、増粘剤として公知の化合物、例えばポリアクリル酸、ポリアクリレート、セルロースエーテル、例えばカルボキシメチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、天然ガム、例えばキサンタンガムおよびポリウレタンを添加することができる。
【0063】
本発明による消泡剤調製物の製造は、公知の方法に従って、例えばコロイドミル中またはローター/ステーター式ホモジナイザー中での高い剪断力の使用下で行われる。その際、混合プロセスは、高分散充填剤中に含まれている空気の混入を防止するために、圧力を低下させて行ってよい。
【0064】
有利なのは、水中油型エマルジョン(O/W型エマルジョン)中での本発明による消泡剤調製物の使用である。本発明による消泡剤調製物中で使用される特別なシリコーンポリエーテルは界面活性剤特性を有し、それらは従って、シロキサンをベースとする泡止め剤から出発して、水中油型エマルジョンを形成するための乳化剤としても適している。消泡剤調製物に、それらがエマルジョンとして使用される場合、シロキサンをベースとするO/W型エマルジョンを形成することができる、なお付加的な有機乳化剤を添加してよい。
シリコーンポリエーテル(B)は泡止め剤(A)と一緒に乳化されることができ、またはシリコーンポリエーテル(B)は、しかし、容易に泡止め剤(A)のエマルジョンの製造後に泡止め剤エマルジョンに直接またはエマルジョンの形で添加されることができ、そうして作用の改善が達成される。
【0065】
有利には、O/W型エマルジョンの形における本発明による消泡剤調製物は、
そのつど消泡剤調製物の全質量に対して
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤2〜50質量%、
(B)本発明によるシリコーンポリエーテル0.1〜40質量%、殊に0.3〜40質量%、
(C)乳化剤2〜20質量%ならびに
(D)水50〜95質量%、
および場合により
(E)保存剤、増粘剤およびさらに別の添加剤を含有する。
【0066】
エマルジョンの製造のために必要な乳化剤は、アニオン性、カチオン性または非イオン性であってよく、かつ安定なシリコーンエマルジョンの製造のために当業者に公知である。有利には、乳化剤混合物が使用され、その際、少なくとも1つの非イオン性乳化剤、例えばソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化ソルビタン脂肪酸エステル、エトキシル化脂肪酸、炭素原子10〜20個を有するエトキシル化された線状または分岐状のアルコールおよび/またはグリセリンエステルが含有されているべきである。
【0067】
シリコーンエマルジョンの製造のための工業技術は公知である。通常、製造は全ての構成成分の簡単な攪拌混合およびローター/ステーター式ホモジナイザー、コロイドミルまたは高圧ホモジナイザーによる引き続く均質化によって行われる。
【0068】
本発明による消泡剤調製物は、防止されるべきまたは完全に取り除かれるべき妨害する泡沫形成が処理に際して生じるあらゆる場合に使用可能である。例えば、これは洗剤および洗浄剤中での使用、排水装置中での泡沫の除去、繊維染色法に際しての、天然ガス洗浄に際しての、分散液中および炭化水素中での使用である。
【0069】
殊に、本発明による消泡剤調製物は、パルプ製造に際して発生する水性媒体を消泡するのに極めて優れて使用可能である。
【実施例】
【0070】
以下に記載される全ての部および百分率は、(他に記載がない場合)質量に対するものである。粘度は25℃に対するものである。
【0071】
(A)シロキサン消泡剤の製造
A1:12500mm2/sの粘度のポリジメチルシロキサン94部および親水性シリカ6部を、コロイドミル(ギャップ0.6mm)で3回均質化した。190℃への混合物の10時間の加熱によって、シリカをin situで疎水化した。
【0072】
A2:65mm2/sの粘度のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサン400部、40mm2/sの粘度のトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン40部、メチルトリメトキシシラン4部および0.5%の塩化窒化リン触媒1部を100℃に加熱した。20分の経過中に圧力を35mbarに下げた。その後、トリイソオクチルアミン0.03部により触媒の中和を行った。得られたポリオルガノシロキサンは、19000mm2/sの粘度を有していた。この油の95部に、前処理された疎水性シリカ5部を加え、かつコロイドミルで均質化した。
【0073】
A3:5000mm2/sの粘度のトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサン89.3部、300m2/gのBET表面積を有する熱分解親水性シリカ5部、20%のメタノール性KOH0.7部、トリメチルシロキシ単位40モル%とSiO4/2単位60モル%からのシリコーン樹脂2.5部およびエイコサノールと65mm2/sの粘度のヒドロキシ末端ポリジメチルシロキサンとの縮合によって製造されたシロキサン2.5部からの混合物を、2時間で150℃に加熱した。冷却後、混合物をコロイドミルで均質化した。
【0074】
(B)シリコーンポリエーテルの製造
本発明によるシリコーンポリエーテルの製造
(ポリマー1):
ヨウ素価14.4および0.936のEO/PO−比を有する(C=C 40mEquに相当する)アリルポリエーテル71.2gを、ヨウ素価15.6を有する(C=C 47mEquに相当する)純粋なアリルポリプロポキシレート76.6gと均一に攪拌する。使用されるアルキレンオキシ基の総数におけるEO基の割合は25モル%である。この混合物を、酸化リモネン60mgおよびイソプロパノール中のヘキサクロロ白金酸溶液0.27g(Pt 1.0mgに相当する)と混合し、85度に加熱する。30分以内に、ハイドロジェンジメチルシロキシ単位、ハイドロジェンメチルシロキシ単位およびジメチルシロキシ単位からの、活性水素0.165%および148mm2/sの粘度を有するポリシロキサン37.9gを計量供給する。計量供給から10分後に、まず初めのうちは濁っていたバッチが明るくなり、60分後、IRスペクトルにおいてSiHはもはや検出可能ではない。この透明な生成物は、25℃で2165mm2/sの粘度を有する。
【0075】
比較試験1(ポリマー2):
ポリマー2として、25℃で1100mPa.sの粘度および>25℃の濁点を有する市販の非分岐ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーを使用した。側鎖ポリエーテル−ポリシロキサンコポリマーの鎖長は、約50のSi単位であり、メチルポリエーテルシロキシ(D')単位に対するジメチルシロキシ(D)単位の比は、約7:1であり、かつEO割合のモル%割合は74%であり、POのそれは25%である。
【0076】
US5,271,868による比較試験2(ポリマー3):
ヨウ素価16.0および19モル%のEO割合(C=C 80mEquに相当する)を有するアリルポリエーテル119.7gを、ヨウ素価33.4および80モル%のEO割合を有する(C=C 40mEquに相当する)アリルポリエーテル30.4gと均一に混合する。使用されるアルキレンオキシ基G2およびG3の総数におけるEO基の割合は33モル%である。この混合物中に、付加的に1−オクテン4.5g、ならびに酸化リモネン60mgおよびイソプロパノール中のヘキサクロロ白金酸溶液0.27g(Pt 1.0mgに相当する)を計量供給する。85℃への加熱後、ハイドロジェンジメチルシロキシ単位、ジメチルシロキシ単位およびトリメチルシロキシ単位からの、活性水素0.316%および46mm2/sの粘度を有するポリシロキサン34.9gを計量供給する。2時間後、IRスペクトルにおいてSiHはもはや検出可能ではない。この透明な生成物は、25℃で980mm2/sの粘度を有する。G2/G3の比は2.0であり、平均的なシリコーンポリエーテル分子の特徴的な指標は、m=5、n=2.5およびq=3.5(US5,271,868を参照のこと)である。
【0077】
(C)消泡剤調製物の製造および試験
効力の試験(黒液試験):
黒液(UPM−Kymmene社 Oy Kymi(Kuusankoski在)のシラカバを処理したものからの硬材)400mlを、15分以内に80℃に加熱し、その後メスシリンダー1l中に移し、それをサーモスタットで80℃に調温する。製造された消泡剤調製物の形における有機ケイ素ポリマー5mg(シリコーン消泡剤AおよびシリコーンポリマーBとの合計)の添加後、黒液を1.6l/分の速度でポンプ循環させ、メスシリンダー中で5cmの泡沫高さに達するたびごとに(計2回)、即座にシリコーン5mgを添加した(シリコーン 計15mg)。試験の開始時と、泡沫が新たに5cmに上昇した時の最後の添加後の時点との間の時間tを測定した。
この時間間隔tが長ければ長いほど、それだけ消泡剤はより効果的である。
【0078】
実施例1〜3(C11、C12、C13)ならびに比較試験1〜6(ポリマー2を用いたV11、V12およびV13およびポリマー3を用いたV14、V15およびV16):
本発明による消泡剤調製物C11、C12、C13の製造および比較試験による消泡剤調製物V11、V12およびV13ならびにV14、V15およびV16の製造を、表中に記載されたシリコーン消泡剤90部と、表中に記載されたシリコーンポリエーテル10部との実験室用溶解機を用いた簡単な混合によって行った。試験のために、この消泡剤調製物40部と、3mm2/sの粘度および>100℃の引火点の脂肪族炭化水素からの混合物60部とからの混合物を、1000min-1で実験室用溶解機を用いて製造した。
効果の試験結果は、表中にまとめられている。
【0079】
実施例4〜6(C21、C22およびC23)および比較試験4〜6(ポリマー2を用いたV21、V22、V23):
本発明による消泡剤調製物C21、C22およびC23および比較試験による消泡剤調製物V21、V22、V23の製造のために、表中に記載されたシリコーン消泡剤20部、ソルビタンモノステアレート5部、ポリオキシエチレン(40)ステアレート5部、および表中に記載されたシリコーンポリエーテル2部を70℃で混合した。ホルムアルデヒド0.5%で保存された、キサンタンガムの1%の溶液10部を、平型攪拌子を用いて600min-1で攪拌混入した。3分以内に少量ずつ水55部を添加し、かつ15分間1000min-1で後攪拌した。
効果の試験結果は、表中にまとめられている。
【0080】
実施例7〜9(C31、C32およびC33)および比較試験7および9(ポリマー2を用いたV31、V32およびV33):
本発明による消泡剤調製物C31、C32およびC33ならびに比較試験による消泡剤調製物V31、V32、V33の製造のために、表中に記載されたシロキサン消泡剤20部、ポリオキシエチレン(4)ステアレート4部およびポリオキシエチレン(40)ステアレート2部を70℃で混合した。10分以内に少量ずつ水69部を添加した。得られたエマルジョン中に、引き続き、表中に記載されたシリコーンポリエーテル2部を加え、かつ15分間1000min-1で後攪拌した。
効果の試験結果は、表中にまとめられている。
【0081】
【表1】

【0082】
従来技術(比較試験)に対する本発明による消泡剤調製物の明らかに改善された効果は、tに関するはるかに高い値に基づき明白である。
【0083】
軟材−黒液(マツ材)中での消泡剤試験を繰り返すことにより、本発明による消泡剤調製物の優れた効果が確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤および
(B)第一の工程において、
Si結合水素原子0.05〜1.6質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式:
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b1 (Ia)
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (Ib)
CH2=CR1−(CH2aO(C36O)c1 (Ic)
[式中、R1は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
aは、0または1〜16の整数であり、
bは、1〜50の整数であり、かつ
cは、1〜50の整数である]の群から選択される不飽和ポリエーテル(3)と反応させるにあたって、
ただし、b+cからの合計が、少なくとも10であり、
かつ式(Ia)、(Ib)および(Ic)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテルからの混合物を使用するという条件付きで反応させ
および場合により第二の工程において、
(1)および(3)からの反応生成物を、Si結合水素原子0.01〜0.5質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(2)とさらに反応させるにあたって、
ただし、第一および第二の工程における反応を、脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進させる触媒(4)の存在下で実施し、かつ
オルガノポリシロキサン(2)中のSi結合水素の質量濃度に対するオルガノポリシロキサン(1)中のSi結合水素の質量濃度の比が、少なくとも1.5、有利には少なくとも2.0であるという条件付きで反応させることによって製造可能なシリコーンポリエーテルを含有する消泡剤調製物。
【請求項2】
シリコーンポリエーテル(B)として、一般式
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (Ib)および
CH2=CR1−(CH2aO(C36O)c1 (Ic)
[式中、R1、a、bおよびcは、それらに関して請求項1に記載された意味を有する]の2つの異なる種類のポリエーテルからの混合物から製造されるものが使用されることを特徴とする、請求項1記載の消泡剤調製物。
【請求項3】
シリコーンポリエーテル(B)として、式(Ib)および(Ic)の2つの異なる種類のポリエーテルからの混合物から製造されるものが使用され、その際、式(Ib)および(Ic)のポリエーテルからのエチレンオキシ単位の割合が、使用されるアルキレンオキシ単位の全体数に対して、好ましくはせいぜい50モル%、有利にはせいぜい40モル%および特に有利にはせいぜい30モル%であることを特徴とする、請求項2記載の消泡剤調製物。
【請求項4】
オルガノポリシロキサン(1)として、一般式
h3-hSiO(SiR2O)o(SiRHO)pSiR3-hh (III)
[式中、Rは、同じであるかまたは異なっていてよく、かつ脂肪族の炭素−炭素−多重結合を含まない、炭素原子1〜18個を有する一価のSiC結合した炭化水素基、好ましくはメチル基を意味し、
hは、0、1または2、有利には0または1であり、
oは、0または1〜1000、有利には10〜200の整数であり、かつ
pは、0または1〜40、有利には2〜20の整数である]のものが、少なくとも2個のSi結合水素原子が含まれているという条件付きで使用されることを特徴とする、請求項1、2または3記載の消泡剤調製物。
【請求項5】
シリコーンポリエーテル(B)として、一般式
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b1 (VIIa)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (VIIb)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C36O)c1 (VIIc)
[式中、R1、a、bおよびcは、それらに関して請求項1に記載された意味を有する]の群から選択されるポリエーテル基Aを含むオルガノポリシロキサンが、式(VIIa)、(VIIb)および(VIIc)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテル基Aが含まれているという条件付きで得られることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項6】
シリコーンポリエーテル(B)として、一般式
z3-zSiO(SiR2O)m(SiRAO)nSiR3-zz (VIII)
[式中、Aは、一般式
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b1 (VIIa)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (VIIb)、
−CH2−CR1−(CH2aO(C36O)c1 (VIIc)
の群から選択されるポリエーテル基を意味し、
Rは、それに関して請求項5に記載された意味を有し、
1、a、bおよびcは、それらに関して請求項1に記載された意味を有し、
zは、0、1または2、有利には0または1であり、
mは、0または1〜1000、有利には10〜200の整数であり、かつ
nは、0または1〜50、有利には2〜20の整数である]のオルガノポリシロキサンが、式(VIIa)、(VIIb)および(VIIc)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテル基Aが含まれているという条件付きで得られることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項7】
シリコーンポリエーテル(B)として、一般式
−CH2−CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (VIIb)および
−CH2−CR1−(CH2aO(C36O)c1 (VIIc)
[式中、R1、a、bおよびcは、それらに関して請求項1に記載された意味を有する]の2つの異なる種類のポリエーテル基Aを含むオルガノポリシロキサンが得られることを特徴とする、請求項5または6記載の消泡剤調製物。
【請求項8】
シリコーンポリエーテル(B)として、一般式(VIIb)および(VIIc)のポリエーテル基Aを含むオルガノポリシロキサンが得られ、その際、式(VIIb)および(VIIc)のポリエーテル基中でのエチレンオキシ単位の割合が、アルキレンオキシ単位の全体数に対して、好ましくはせいぜい50モル%、有利にはせいぜい40モル%および特に有利にはせいぜい30モル%であることを特徴とする、請求項7記載の消泡剤調製物。
【請求項9】
シリコーンポリエーテル(B)が、水性エマルジョンまたはマイクロエマルジョンの形で使用されることを特徴とする、請求項1から8までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項10】
消泡剤調製物が、
そのつど消泡剤調製物の全質量に対して
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤1〜90質量%、
(B)請求項1から4までのいずれか1項記載のシリコーンポリエーテル0.1〜50質量%、
(C)乳化剤0〜20質量%、好ましくは2〜20質量%、
(D)水0〜97質量%、
および場合により
(E)保存剤、増粘剤およびさらに別の添加剤
を含有することを特徴とする、請求項1から9までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項11】
消泡剤調製物がエマルジョンでありかつ、
そのつど消泡剤調製物の全質量に対して
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤5〜50質量%、
(B)請求項1から4までのいずれか1項記載のシリコーンポリエーテル0.1〜30質量%、
(C)乳化剤2〜20質量%、
(D)水50〜95質量%、
および場合により
(E)保存剤、増粘剤およびさらに別の添加剤
を含有することを特徴とする、請求項1から10までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項12】
(A)シロキサンをベースとする泡止め剤として、シリカおよびポリオルガノシロキサンとからの混合物が使用されることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項13】
シリコーンポリエーテル(B)が泡止め剤(A)と一緒に乳化されるか、またはシリコーンポリエーテル(B)が泡止め剤(A)のエマルジョンの製造後に該泡止め剤エマルジョンに直接またはエマルジョンの形で添加されることを特徴とする、請求項1から12までのいずれか1項記載の消泡剤調製物。
【請求項14】
パルプ製造に際して発生する水性媒体を消泡するための、請求項1から13までのいずれか1項記載の消泡剤調製物の使用。
【請求項15】
(B)第一の工程において、
Si結合水素原子0.05〜1.6質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(1)を、一般式:
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b1 (Ia)
CH2=CR1−(CH2aO(C24O)b(C36O)c1 (Ib)
CH2=CR1−(CH2aO(C36O)c1 (Ic)
[式中、R1は、水素原子または1〜6個の炭素原子を有する炭化水素基を意味し、
aは、0または1〜16の整数であり、
bは、1〜50の整数であり、かつ
cは、1〜50の整数である」の群から選択される不飽和ポリエーテル(3)と反応させるにあたって、
ただし、b+cからの合計が、少なくとも10であり、
かつ式(Ia)、(Ib)および(Ic)の群からの少なくとも2つの異なる種類のポリエーテルからの混合物を使用するという条件付きで反応させ
および場合により第二の工程において、
(1)および(3)からの反応生成物を、Si結合水素原子0.01〜0.5質量%の含有率を有するオルガノポリシロキサン(2)とさらに反応させるにあたって、
ただし、第一および第二の工程における反応を、脂肪族二重結合へのSi結合水素の付加を促進させる触媒(4)の存在下で実施し、かつ
オルガノポリシロキサン(2)中のSi結合水素の質量濃度に対するオルガノポリシロキサン(1)中のSi結合水素の質量濃度の比が、少なくとも1.5、有利には少なくとも2.0であるという条件付きで反応させることによって製造可能なシリコーンポリエーテル。

【公開番号】特開2011−25239(P2011−25239A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−168317(P2010−168317)
【出願日】平成22年7月27日(2010.7.27)
【出願人】(390008969)ワッカー ケミー アクチエンゲゼルシャフト (417)
【氏名又は名称原語表記】Wacker Chemie AG
【住所又は居所原語表記】Hanns−Seidel−Platz 4, D−81737 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】