説明

消波反転誘導曲面柱水路構造物及びその配置構造

【課題】
台風・エルニーニョ・ハリケーンや地震による津波等の自然災害を低減し、従来のテトラブロックの欠点やテトラブロックの長大な一本形状の防波堤を改良し巨大な津波が衝突した場合にも充分対応可能とすることを課題とする。
【解決手段】
少なくとも片面が湾曲面に形成された第1曲面柱構造部と第2曲面柱構造部を両者の曲面とも同一方向で前方乃至上方に向くようにして、第2曲面柱構造部の湾曲面部に水路となる間隙をあけて第1曲面柱構造部を重ね且つ第1曲面柱構造部の高さよりも後方の第2曲面柱構造部の高さが高くなるように一体化してなることを特徴とする消波反転誘導曲面柱水路構造物並びに該消波反転誘導曲面柱水路構造物を第1湾曲面柱構造部が沖合に向くようにして飛び石状乃至散点状に交互に間隙をおいて配置してなる消波反転誘導曲面柱水路構造物の配置構造。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、台風・エルニーニョ・ハリケーンや地震による津波等の自然災害を低減し、従来のテトラブロックの欠点や長大な一本形状の防波堤を改良し巨大な津波が衝突した場合にも充分対応可能な消波反転誘導曲面柱水路構造物及びその配置構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
海流・潮流・波浪・河川水流を利用して発電する水車発電装置などの構造物には鉛直起動軸水車の倉掛水車、昔からある水平起動軸両用水車、その他サヴォニウス式風車やダリウス式風車等を応用した水車があり、また、水平起動軸水車では船のエンジンの代わりに発電機を設置したスクリュウ式水車や海底設置型プロペラ式水車乃至発電装置、魚雷型水車、縄跳び式水車等の多種多様な水車がある。狭い海峡を更に埋め立てて狭くし、海水流の流れを速くしてプロペラの高速回転を得ようとする例もある。水平起動軸水車も鉛直起動軸水車も単一軸ではどちらも一長一短のある構造であり技術的研究が継続されている。これらの水車を応用した効率よい海洋発電構造物や係る構造物を波浪防波堤として役立てる技術は未だに見出されていない。
【0003】
また、地球の自転速度は長期的には、主に潮汐摩擦(潮の満ち引きによって起こる海水と海底との摩擦)によって次第に遅くなっていることがアメリカ航空宇宙局NASA(National Aeronautics and Space Administration)などの報告で分かっている。この地球の自転速度の遅れに合わせて原子時計を調整するために数年に一度「うるう秒」を挿入して調整している。地球の自転を遅らすほどに自然エネルギーは巨大エネルギーを保有しており、この巨大な自然エネルギーを有効利用することが本願発明の主たる課題であり、係る自然エネルギーを有効利用することによって潮汐摩擦を軽減させて地球の自転運動速度の減速による予期し得ぬ支障を先延ばしすることに寄与するも実証はされていない。
【0004】
本発明者は、海流・潮流・波浪を含む自然エネルギーを利用する発電構造物について興味を持ち思索を続けており、以前に「波浪水車装置及びこの波浪水車装置を用いた海洋発電装置」について特許出願し特許を取得した(特許文献1参照)。本発明は自然エネルギーを利用する点において前記発明と共通するが、従来の水車の概念とは全く異なる技術的思想に基づくものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4260546号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大波・津波の水流は巨大な加速度と水圧力を伴いテトラブロック等の防波堤ブロック(ケーソン)や長大な一本形状の防波堤にあっては、衝突したときの衝撃力は計り知れなく巨大である。テトラブロックを高く積み上げた防波堤や一本形状の防波堤に巨大な津波が衝突した場合、テトラブロックの隙間や一本形状の防波堤の根本へ波が進入して満杯になると浮力により水中に浮かんだと同じ状態になって、突き上げる衝撃によりブロックや一本形状の防波堤は簡単に崩れ飛散し流出してしまい消波堤としての役割を果たさないことが東日本大地震による巨大津波によって明らかになった。本発明の発電構造物における反転誘導曲面柱水路構造物の内側曲面部を潮流・水流方向に対向して配置することによって消波堤ブロックや一本形状の防波堤に代わるものとして応用できることを見出して本発明に至ったものであり、本発明の主たる目的は、太陽エネルギーに原因すると言われる台風・エルニーニョ・ハリケーンや地震による津波等の自然災害を低減し、従来のテトラブロックの欠点や長大な一本形状の防波堤を改良し巨大な津波が衝突した場合にも充分対応可能な消波反転誘導曲面柱水路構造物及びその配置構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の課題を解決するために、本発明は、少なくとも片面が湾曲面に形成された第1曲面柱構造部と第2曲面柱構造部を両者の曲面とも同一方向で前方乃至上方に向くようにして、第2曲面柱構造部の湾曲面部に水路となる間隙をあけて第1曲面柱構造部を重ね且つ第1曲面柱構造部の高さよりも後方の第2曲面柱構造部の高さが高くなるように一体化してなることを特徴とする消波反転誘導曲面柱水路構造物とする。
【0008】
前記の課題を解決するために、本発明は、平面視で略への字形状、略逆への字形状又は湾曲形状に構築した前記の消波反転誘導曲面柱水路構造物を、第1湾曲面柱構造部が沖合に向くようにして飛び石状乃至散点状に交互に間隙をおいて配置することを特徴とする消波反転誘導曲面柱水路構造物の配置構造とすることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の消波反転誘導曲面柱水路構造物は台風・エルニーニョ・ハリケーンや地震による津波等の自然災害を低減し、従来のテトラブロックの欠点や長大な一本形状の防波堤を改良し巨大な津波が衝突した場合にも充分対応可能とする。
また、本発明の消波反転誘導曲面柱水路構造物を海底斜面に飛び石状に配置して波浪同士を衝突させて波力を消耗させることによって津波等の自然災害を防ぐ効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の消波反転誘導曲面柱水路構造物の縦断面説明図である。
【図2】本発明の消波反転誘導曲面柱水路構造物の配置例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
次に、本発明を実施するための形態(以下「本発明の実施の形態」と称する)について図面を参照して説明する。しかしながら本発明は係る本発明の実施の形態によって何ら限定されるものではない。
【0012】
本発明の消波反転誘導曲面柱水路構造物XZは、請求項1に記載される発明を含むものであり、図1に示すとおり少なくとも一方が湾曲面に形成された大小2個の曲面柱構造部X,Zを両者の湾曲面X1,Z1とも同一方向で前方乃至上方に向くように構成した一体型構造物であって、大型の第2曲面柱構造部Zの湾曲面Z1に水路Yとなるトンネル状の間隙をあけて小型の第1曲面柱構造部Xを重ね且つ第1曲面柱構造部Xの高さよりも後方の第2曲面柱構造部Zの高さが高くなるように一体化してあり、係る消波反転誘導曲面柱水路構造物XZを湾曲面側を波浪に対向するように設置する。例えば、水位15mの海底にこの消波反転誘導曲面柱水路構造物を設置し、波高15mの高波(水深30m)が繰り返し押せ寄せたと仮定すると、波浪第1波の下部水流P30と、その上方の上部水流P15(0〜15m)の2段に分流させ、下部水流P30はトンネル状の水路Yに流入通過しP31となり、P32・P33となって後方の第2湾曲面Z1を上昇しょうとする。
【0013】
一方、上部水流P15は第1湾曲面X1をジャンプして水流力を上空中へ飛散させて後、第1湾曲面X1の背後にP18のように自然落下し一部はP19のように上昇するが、第2湾曲面Zをジャンプしようとする下部水流P32,P33の頭頂部上へ落下水流P33,P34となるため、水流の流速エネルギーは時間差により消耗・消滅し合流乃至撹乱水流P34,P35となる。第1・第2湾曲面X1・Z1をジャンプできなかった水流は戻り反転水流P20となって第2波水流P40と衝突して第2波水流の進行を阻止して波力を消耗減衰させる効果を奏する。反転水流P20と第2波水流P40が衝突した際の波高が消波効果の目印を表す。第2湾曲面Zを乗り越えた水流P36,P37は鉛直落下し水流の衝撃力を失い消波堤の役割を完了する。更に、曲面柱構造物Zの背面側の設置近傍地面に側溝Y1を設けて鉛直落下した水を一時的に貯水して後方への波の伝搬を遮断することによって波力並びに水流速を消耗ないし消滅する効果をより高めることができる。
【0014】
図2は本発明の消波反転誘導曲面柱水路構造物XZの配置例を示すものであり、前記消波反転誘導曲面柱水路構造物XZを平面視で略への字形状、略逆への字形状又は湾曲形状に構築し、第1湾曲面柱構造部Xが沖合に向くように消波反転誘導曲面柱水路構造物XZを飛び石状乃至散点状に交互に間隙をおいて配置する(図2参照)。このように配置することによって、左右の波浪水流の方向を誘導して波浪水流同士を中央の間隙部で正面衝突させて打ち消し合い、又は左右へ分流させて衝突させることによって消波効果を奏する。最初に湾の入口中央の沖へ入口堤(1)(への字型)を配置して波浪水流1を左右へ分流2,3する。左へ分流した波浪水流2を再び分岐堤(2)へ衝突させて左右4・5へ分流する。右へ分流した波浪水流3を分岐堤(3)へ衝突させて再び左右へ分流6・7する。よって、5と6は衝突合流し水流力を減衰しながら出口堤(4)へ衝突して3度左右へ分流しながら消滅する。このように障害物を飛び石状に配置することによって津波の威力を減じることは、東北大地震における松島湾沿岸で湾内に点在する小島が障害物となって津波の被害を減じたことからも明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0015】
台風・エルニーニョ・ハリケーンや地震による津波等の自然災害を低減し、従来のテトラブロックの欠点を改良しテトラブロックの長大な一本の形状の防波堤ではなく飛び石形状の構築により巨大な津波が衝突した場合にも充分対応可能であり巨大地震の発生が予測される中で防災用構造物として大いに期待できる。
【符号の説明】
【0016】
X1 第1湾曲面
Z1 第2湾曲面
Y1 側溝
Y トンネル状水路
X 第1湾曲面柱構造部
Z 第2湾曲面柱構造部
XZ 消波反転誘導曲面柱水路構造物

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも片面が湾曲面に形成された第1曲面柱構造部と第2曲面柱構造部を両者の曲面とも同一方向で前方乃至上方に向くようにして、第2曲面柱構造部の湾曲面部に水路となる間隙をあけて第1曲面柱構造部を重ね且つ第1曲面柱構造部の高さよりも後方の第2曲面柱構造部の高さが高くなるように一体化してなることを特徴とする消波反転誘導曲面柱水路構造物。
【請求項2】
平面視で略への字形状、略逆への字形状又は湾曲形状に構築した請求項1記載の消波反転誘導曲面柱水路構造物を、第1湾曲面柱構造部が沖合に向くようにして飛び石状乃至散点状に交互に間隙をおいて配置することを特徴とする消波反転誘導曲面柱水路構造物の配置構造。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2013−76314(P2013−76314A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−145867(P2012−145867)
【出願日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【分割の表示】特願2012−528151(P2012−528151)の分割
【原出願日】平成24年2月17日(2012.2.17)
【特許番号】特許第5135487号(P5135487)
【特許公報発行日】平成25年2月6日(2013.2.6)
【出願人】(500001150)
【Fターム(参考)】