説明

消火ノズル

【課題】消火ノズルの散水分布を均一化する。
【解決手段】フレーム14に放水孔16が設けられた消火ノズル10において;前記フレーム14内に、水流によって前記フレーム14内を移動して、前記水流を拡散させる球体18を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、碍子の洗浄や消火等に用いる消火ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の消火ノズルは、図6に示すように、フレーム1の下部が断面半円状に形成され、該フレーム1には、多数の放水孔3が設けられている(例えば、特許文献1、2参照)。このノズルでは、放水孔3から放出される消火水は、棒状(断面円形状)となってに放出(棒状放水)される(特許文献1の図3、特許文献2の図1、参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2005−279354号公報
【特許文献2】実公昭51−9199号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来例の消火ノズルは、デフレクタを固定するガイドロッドなどの障害物がないため、各方向に確実に棒状放水ができると共に、勢いのある力強い放水が可能である。しかし、その反面、放水孔同士から放出される放水流5の間に隙間(無水領域)7が生じ、該消火ノズルが消火水Wを散布すべき領域である、防護領域に対して均一に散水できない、という問題がある。
【0005】
この発明は、上記事情に鑑み、散水分布を均一化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明は、フレームに放水孔が設けられた消火ノズルにおいて;前記フレーム内に、水流によって前記フレーム内を移動して、前記水流を拡散させる拡散体を設けたことを特徴とする。
【0007】
この発明の拡散体は、前記放水孔よりも大きい球体、又は、円柱体であることを特徴とする。この発明のフレーム下部は、断面半円状に形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
この発明は、前記フレーム内に、水流によって前記フレーム内を移動して、前記水流を拡散させる拡散体を設けたので、該拡散体は水の流れを受けて、フレーム内を移動し、放水孔を塞いだり、開いたりする。又、前記水は、拡散体に衝突して進行方向を変えられて拡散し、放水孔から放出される。そのため、放水孔から放出される水は、フレーム内に拡散体が存在しない場合(以下、「通常の場合」という)における放水流とは異なった流れを作り出すので、放水孔同士から放出される放流水の間の隙間を補って、散水分布を均一化させる。
また、拡散体をフレーム内に設けることで、放水圧の濃淡ができる。つまり、拡散体が移動して、ある放水孔を塞いでいると、その間、別の放水孔にかかる圧力が高まることになる。言い換えると、拡散体の移動によって放水孔の圧力は、時間経過に伴い変化することになるが、これを水圧の濃淡ということにする。この様に一時的に圧力が高まることにより、放水孔のゴミずまりを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
従来例の問題点を解決するには、消火ノズルを回転させる駆動機構を設け,前記消火ノズルを回転させることが考えられる。
しかし、この方法では、設備コストが嵩む上、スプリンクラ消火設備は、通常時(監視時)には、稼動していないため、前記駆動機構の駆動部の品質保証をすることは困難である。従って、この方法は、好適なものとはいえない。
【0010】
本件発明者は、放水孔同士から放出される放水流の間に、前記隙間(無水領域)が生じても、その隙間に向かって水が飛散するようにすれば、前記問題が解決する、と考え、研究実験を重ねた。その結果、放水孔を有するフレーム内に、水流によって前記フレーム内を移動して、前記水流を拡散させる拡散体を内蔵させれば良いことが分かった。
【0011】
この様にすると、水は、拡散体に衝突して進行方向を変えられて拡散するとともに、該拡散体の移動により放水孔が塞がれたり、開いたりする。そのため、放水孔から放出される水は、前記通常の場合の水流とは異なる流れとなり、隙間にも水が散布されるので、前記消火ノズルの防護領域全体に亘り均一な散水を行うことができる。
【実施例】
【0012】
この発明の実施例を図1〜図5により説明する。
消火ノズル10は、図示しない消火配管に連結されている。この消火ノズル10は、ヘッド本体12と、該ヘッド本体12に螺着されるフレーム14とを備えている。フレーム14の上部側14aは直筒状に形成され、その下部側14bは断面半円状に形成されている。前記フレーム14には、多数の放水孔16が形成されているが、その大きさ、形状、個数、位置等は必要に応じて適宜選択される。
【0013】
フレーム14内には、複数の拡散体18が移動自在に挿入されている。この拡散体18は、フレーム14内の水流によって、該フレーム14内を移動して前記水流を拡散させるものである。この拡散体として、前記放水孔16の径より大きな径の球体、例えば、パチンコ玉等が用いられるが、その径の大きさや個数は必要に応じて適宜選択される。
なお、個数は、1個でも良いが、1個であると、球体18が上方からの水流により押圧されると動きにくくなる恐れがあるので、複数個、例えば、4〜6個を用いることが好ましい。
又、拡散体は、ヘッド本体の放水口の内径より小さく、例えば、放水口の内径の半分以下として水流により動きやすくする。
【0014】
次に、本実施例の作動について説明する。
まず、図2において、フレーム14内には、球体14の下部側は断面半円形状に形成されていることから、図2の両端側にある球体18には、フレーム14の中央下部に向かおうとする力が作用しており、不安定な状態にある。
この様な状態において、消火ノズル10に水が供給されると、該水Wは、ヘッド本体12からフレーム14内に放出される。そうすると、球体18は、水圧を受け、図4に示す位置18Aから図5に示す位置18Bに移動する。
このとき、球体18に上方にかかる水圧だけでなく、断面半円形状のフレームの内壁面に沿って流れる水流が不安定な状態にある球体18にあたって球体18を動かそうとする。
【0015】
前記球体18が当接するフレーム14の下部14bは、断面半円形状なので、該球体18は、フレーム14内を上昇下降しながらスムーズに移動する。
【0016】
そのため、放水孔16は、前記球体18より塞がれたり、開けられたりする。 又、前記球体18は、複数個設けられているため、移動中に隣接する球体18に衝突するので、該球体18は水Wの力の他に、隣接する球体18の衝撃力も受ける。そのため、より転がりやすくなるので、放水孔16の開閉がより頻繁に行われる。
【0017】
この際、球体18に衝突した水Wは、進行方向を変えられて拡散するので、前記通常の場合における放水流Rとは異なる流れ20を作り出す。この流れ20が放水孔16同士から出される放水流22の間の隙間24を補うので、散水分布を均一化させることができる。
【0018】
この発明の実施例は、上記に限定されるものではなく、例えば、次のようにしても良い。
(1)拡散体として、球体の代わりに、円柱体を用いること。
(2)消火ノズルの上部に、水流を旋回させるためのワーラーを設け、球体を動きやすくすること。
(3)消火ノズルとして、マルチ型スプリンクラヘッドの様に、フレームに多数のスリット(放水孔)を形成した消火ノズルを用いること。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施例を示す正面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】図1の底面図である。
【図4】使用状態を示す要部拡大図である。
【図5】図4と異なる使用状態を示す要部拡大図である。
【図6】従来例を示す要部拡大図である。
【符号の説明】
【0020】
10 消火ノズル
12 ヘッド本体
14 フレーム
14a 上部側
14b 下部側
16 放水孔
18 球体
22 放水流
24 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに放水孔が設けられた消火ノズルにおいて;
前記フレーム内に、水流によって前記フレーム内を移動して、前記水流を拡散させる拡散体を設けたことを特徴とする消火ノズル。
【請求項2】
前記拡散体は、前記放水孔よりも大きい球体、又は、円柱体であることを特徴とする請求項1記載の消火ノズル。
【請求項3】
前記フレーム下部は、断面半円状に形成されていることを特徴とする請求項1、又は、2記載の消火ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−209579(P2007−209579A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−33439(P2006−33439)
【出願日】平成18年2月10日(2006.2.10)
【出願人】(000233826)能美防災株式会社 (918)
【Fターム(参考)】