説明

消火栓装置

【課題】消火栓装置の利用によりトンネル内での異常発生を走行中の運転者に知らせて緊急停止させることを可能とする消火栓装置を提供する。
【解決手段】トンネル内12に設置され、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置10に非常覚知ヘッド14を設け、トンネル12内での非常設備作動時に弁装置を開制御して非常覚知ヘッド14からトンネル内の車線に向けて放水して非常覚知パターンとして棒状パターン15を形成し、トンネル12内を走行してくる車両の運転者に異常発生を知らせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズル付きホースを引き出して消火すると共にトンネル内の非常用設備の作動を進入車両に知らせて緊急停止させる非常覚知放水を行う消火栓装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、自動車専用道路のトンネルには、トンネル内で発生する火災事故から人身及び車両を守るため、非常用設備が設置されている。このような非常用設備としては、火災の監視と通報のため火災検知器や非常電話が設けられ、また交通量が多く距離の長いトンネルにあっては、火災の消火や延焼防止のために消火栓装置やトンネル防護のための水噴霧ヘッドから水を散布させる水噴霧設備が設けられている。
【0003】
またトンネル内で事故などの異常が発生した場合、トンネル進入口に設置した信号機を赤にして進入を禁止したり、情報表示盤など異常発生を知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−211279号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このような信号機や情報表示盤を使用したトンネル進入を禁止する設備にあっては、高速道路や自動車専用道路では一般に信号機による交通規制は行われていないことから、信号機が赤に切り替わっても、それに気付くことなくトンネルに進入したり、赤信号に気付いても状況が把握できないため、そのまま進入してしまうことが想定され、重大な事故に繋がる恐れがある。またトンネルが長いと既に進入した車両には信号機は役立たない。
【0006】
また交通量の多いトンネルや距離の長いトンネルにあっては、信号機や情報表示盤が設置されるが、例えば2Km以下といった短いトンネルにあっては、全てに信号機や情報表示盤を設置することは困難であり、このようなトンネル内で事故や車両火災などの異常が発生した場合、異常に気付くことなくトンネルに進入し、事故などの異常発生現場に近づいてから緊急停止することとなり、重大な事故に繋がる恐れがある。
【0007】
本発明は、消火栓設備を利用してトンネル内での異常発生を走行中の運転者に視覚的に知らせてトンネル進入口の手前で緊急停止させることを可能とする消火栓装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、トンネル内に設置され、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置に於いて、
トンネル内に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
非常覚知ヘッドに加圧消火用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に弁装置を駆動して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする。
【0009】
ここで、非常覚知ヘッドは、トンネル内の片側又は両側に配置する。
【0010】
非常覚知ヘッドは、筐体の外部に設置され、放水開口から外部に向けて放水する。
【0011】
制御装置は、消火栓扉の開放検出、消火栓弁の開放検出、消火器扉の開放検出、消火器の取り出し検出、火災検知器による火災検出、又は、区画が重複する水噴霧設備の放水を放水開始前に知らせたい場合に、弁装置を開制御して非常覚知ヘッドから放水させる。
【0012】
制御装置は、非常設備作動時に、自己の非常覚知ヘッドから放水すると共に、自己の設置区画の手前となる1又は複数の区画の消火栓装置の非常覚知ヘッドから放水させる。
【0013】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水する。
【0014】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを、車線を横切る方向及び又は車線に沿った方向に対し、斜めに放水する。
【0015】
トンネル内の両側に配置した2つの非常覚知ヘッドから棒状パターンを車線に対しクロスさせて放水する。
【0016】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを、車線を真横に横切る方向に放水する。
【0017】
非常覚知ヘッドを複数配置し、複数の棒状パターンを放水する。
【0018】
非常覚知ヘッドから棒状パターンを断続的又は周期的に放水する。
【0019】
放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
消火栓弁の2次側に配置されノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
消火栓弁の1次側から分岐されて非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管に設けられ、制御装置により制御される弁装置としての非常覚知放水弁と、
非常覚知放水弁の2次側のヘッド配管の圧力を検出する圧力センサと、
を備え、
制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に非常覚知放水弁を駆動すると共に圧力センサで検出した圧力を所定圧となるように調圧する。
【0020】
放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、ノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
消火栓弁の2次側に配置され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
自動調圧弁の2次側から分岐されて非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管に設けられ、制御装置により制御される弁装置としての非常覚知放水弁と、
を備え、
制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に非常覚知放水弁を駆動する。
【0021】
放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉制御される電動弁を用いた消火栓弁と、
消火栓弁の2次側に配置されノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
自動調圧弁の2次側から分岐されて非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管と、
を備え、
制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に消火栓弁を非常覚知放水弁として駆動する。
【0022】
放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉制御される電動弁を用いた消火栓弁と、
消火栓弁の2次側から前記ノズル付きホースに至る配管に設けられて圧力を検出する圧力センサと、
消火栓弁の2次側から分岐されて前記非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管と、
を備え、
制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に消火栓弁を駆動して非常覚知ヘッドから放水させると共に圧力センサで検出した圧力を所定圧となるように調圧する。
【0023】
放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、ノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
消火栓弁の2次側に配置され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
自動調圧弁の2次側から分岐されて非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管と、
ヘッド配管に設けられ、制御装置により制御される弁装置としての非常覚知放水弁と、
非常覚知放水弁の1次側から分岐された排水管に設けられ、点検時に駆動されてノズル付きホースによる放水量に相当する点検流量を排水管に流す点検放水弁と、
非常覚知放水弁及び記点検放水弁の1次側となるヘッド配管の圧力を検出する圧力センサと、
を備え、
制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記非常覚知放水弁を駆動すると共に、点検時に点検放水弁を開制御して圧力センサで検出した圧力を点検放水圧力として外部に出力する。
【0024】
放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、ノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
消火栓弁の2次側に配置され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
自動調圧弁の2次側から分岐された分岐管に設けられ、制御装置により制御される放水弁と、
放水弁の2次側を共通ポートに接続し、第1切替ポートに非常覚知ヘッドに至るヘッド配管を接続し、第2切替ポートに排水管を接続し、制御装置により共通ポートを第1切替ポート又は第2切替ポートに連通するよう切替制御される覚知・点検切替弁と、
放水弁の1次側配管の圧力を検出する圧力センサと、
を備え、
制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に放水弁を開制御すると共に覚知・点検切替弁を第1切替ポートに切替制御し、点検時には放水弁を開制御すると共に覚知・点検切替弁を第2切替ポートに切替制御してノズル付きホースによる放水量に相当する点検流量を排水管に流し、更に前記圧力センサで検出した圧力を点検放水圧力として外部に出力する。
【発明の効果】
【0025】
本発明の消火栓装置によれば、トンネル内で事故や車両火災などの異常が発生し、近くに設置されている消火栓装置からノズル付きホースを引き出して放水したような場合、消火栓扉の開放検出又は消火栓弁開放検出などの非常用設備の作動検出に基づき、異常発生区画の消火栓装置に配管接続されている非常覚知ヘッドからトンネル内の車線方向に放水が行われて非常覚知パターンが形成され、運転者は非常覚知パターンを見て緊急停止し、また非常覚知パターンに気付かずに突っ切ったとしても、車両に水がかることで異常を知って緊急停止し、異常発生場所に侵入する前に確実に停止し、二次災害の発生を未然に防止できる。
【0026】
また、非常覚知ヘッドからの放水パターンを棒状パターンとし、斜め放水、クロス放水、横放水などを行うことで、消火栓装置の放水量に相当する必要最小限の放水量によって異常発生を運転者に確実に覚知させることができる。また、棒状パターンによる放水でトンネル上部に形成される煙層を乱すことなく放水できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明による非常覚知ヘッドを備えた消火栓装置の設置状態をトンネル平面で示した説明図
【図2】図1の消火栓装置を取り出して外観と内部構造を示した説明図
【図3】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の実施形態を示した説明図
【図4】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の実施形態を示した説明図
【図5】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる横放水を示した説明図
【図6】非常覚知ヘッドの棒状パターンによる斜め放水を示した説明図
【図7】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるクロス放水を示した説明図
【図8】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図
【図9】非常覚知ヘッドの棒状パターンによるマルチ放水の他の例を示した説明図
【図10】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図
【図11】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図
【図12】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図
【図13】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図
【図14】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図
【図15】本発明の消火栓装置における放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は本発明による非常覚知ヘッドを備えた消火栓装置の設置状態をトンネル平面で示した説明図である。
【0029】
図1において、道路22が通るトンネル12内の監視員通路が設けられた一方の側壁には、例えば50メートル間隔で消火栓装置10が設置されている。消火栓装置10は扉内にノズル付ホースを収納しており、火災時に消火栓扉を開いてノズル付のホースを引き出し、消火栓弁開放レバーを操作することで放水を行う。消火栓装置10からのノズル付ホースは、トンネル走行方向の左右25mの範囲に放水できるように引き出すことができる。
【0030】
消火栓装置10には、火災時に操作して火災検出信号を出力する発信機が設けられ、発信機の近くには発信機設置場所を示す火災表示灯と、発信機の押釦操作に対する応答表示を行う応答表示灯が設けられている。消火栓装置10にポンプ設備20からの給水配管16が接続され、防災受信盤18と信号線接続している。
【0031】
本実施形態にあっては、トンネル12内に設置している消火栓装置10に、トンネル10内の道路22を横切る方向に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッド14を設けている。非常覚知ヘッド14に対応して消火栓装置10内には制御装置11が設けられ、トンネル12内での非常設備作動時に弁装置を開駆動制御して非常覚知ヘッド14から放水させる。
【0032】
ここで、制御装置11は次の場合に非常覚知ヘッド14から放水する。
(1)消火栓扉の開放を検出した場合
(2)消火栓弁の開放を検出した場合
(3)消火器扉の開放を検出した場合
(4)消火器の取り出しを検出した場合
(5)火災検知器により火災を検出した場合
(6)水噴霧設備の放水を放水開始前に知らせたい場合、
【0033】
このような非常設備作動を検出するため、消火栓扉検出スイッチ、消火栓弁開放検出スイッチ、消火器扉検出スイッチ、消火器取り出し検出スイッチ、水噴霧放水検出スイッチなどが必要に応じて設けられる。勿論、これ以外の場合にも必要に応じて非常覚知ヘッド14からの放水を行うことができる。各消火栓装置の制御装置11は信号線を介してセンター等に配置された防災受信盤18に接続されており、各スイッチの状態信号が防災受信盤18で監視され、状態変化を警報や表示を行うことができる。防災受信盤18は、火災時に消火栓装置10の制御装置11に制御信号を送ることもでき、例えばある消火栓装置の状態変化を検出した時に他の消火栓装置10の制御装置11に制御信号をおくって、状態表示や弁装置の駆動などの各種の制御を行うことができる。
【0034】
図1にあっては、入口から4台目の消火栓装置10の付近で車両事故などにより火災が発生した場合を示しており、火災発生場所に近い消火栓装置10の消火栓扉を開いてノズル付きホースを引き出して放水した場合、例えば消火栓扉の開放検出により制御装置11が弁装置を開制御し、消火栓装置10の外部に配管接続している非常覚知ヘッド14から例えば棒状パターン15による覚知放水を行う。棒状パターン15による覚知放水の方向はトンネル10内の道路を真横に横切る方向としている。なお、破線の棒状パターン15aに示すように、斜め前方に向けて放水してもよい。
【0035】
このような非常覚知ヘッド14からの放水によりトンネル内の道路22を横切る方向に非常覚知パターンを形成し、火災発生場所に進入してくる車両の運転者に前方で異常が発生していることを覚知させ、火災発生場所の手前で確実に制動停止させることが可能となる。
【0036】
即ち、火災場所に向かってくる車両の運手者は、道路を横切る棒状パターン15の放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車両側面を横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0037】
また棒状パターン15による放水としたことで、非常覚知ヘッド14からの放水量を異常発生の覚知に最小限必要な量、例えば消火栓装置に備えるノズル付きホースによる放水量と同程度もしくはそれ以下の量に抑え、ポンプ設備20側に設けている貯水槽の貯水量に制約があっても必要な時間に亘り覚知放水ができ、かつ確実に運転者に異常を認識させることができる。
【0038】
また覚知放水は、火災発生場所の消火栓装置10に設けた非常覚知ヘッド15からの放水に限定されず、その手前の区間に設けた1又は複数の消火栓装置10の非常覚知ヘッド14からも放水する連動覚知放水を行っても良く、火災発生場所に向かってくる複数台の車両に同時に異常発生を覚知させることができる。このような連動覚知放水は、例えば発信機釦の操作で火災信号を受信した防災受信盤18からの遠隔制御で行う。
【0039】
図2は図1に示したトンネルに設置される消火栓装置の説明図であり、図2(A)に正面図を、図2(B)に消火栓扉を外した状態の内部構造を示している。図2(A)において、消火栓装置10は、筐体26の前面に配置した化粧板28の右側の扉開口に、消火栓扉30と保守扉32が設けており、その内部がホース収納空間及びバルブ類収納空間となっている。
【0040】
消火栓扉30は下側のヒンジを中心に前方に開閉する。消火栓扉30の上には、上側のヒンジにより上向に開閉する保守扉32が設けられており、点検時に消火栓扉30を開いて内側のロックを外すことで開くことができる。
【0041】
筐体26の左側扉開口の右側には通報装置扉34が設けられ、ここに赤色表示灯36、発信機38、及び応答ランプ40を設けている。赤色表示灯36は常時点灯し、消火栓装置10の設置場所が遠方から分かるようにしている。火災時には、発信機38を押してスイッチボタンをオンすると、発信信号が監視室に設置された防災受信盤18に送信されて火災警報が出され、これに伴い応答信号が図1の防災受信盤18から送られて、応答ランプ40を点灯する。
【0042】
通報装置扉34の左側には消火器扉42が設けられ、消火器扉42に対応した筐体の内部を消火器収納空間とし、図2(B)に示すように2本の消火器45を収納している。消火器扉42は左側をヒンジとして前方に開くことができる。また、消火器扉44の下側には覗き窓44が設けられ、外部から消火器の収納状態の有無を確認できるようにしている。
【0043】
本実施形態にあっては、非常覚知ノズル14からの放水のため、消火栓扉30及び/または消火器扉42に扉開を検出する検出スイッチを必要に応じて設けることになる。また消火器45の取り出し検出は、例えば消火器45を載せる部分に検出スイッチを設け、消火器の取り出しで作動するようにする。
【0044】
図2(B)において、筐体の左側にはホース収納空間が形成され、右側にバルブ類収納空間を形成している。ホース収納空間には、その周囲を囲んでホース50を押えるホースバケット46が設けられ、ホースバケット46及び筐体内壁で囲まれたホース収納空間にホース50を内巻きして収納している。ホースバケット46は、格子状のフレーム配置により扉開口の左右方向における略中央となる位置にホース取出口48を仕切り形成している。
【0045】
ホースバケット46の右側には、ホース取出口48から引き出したホース50の先端に装着しているノズル52を横向きで着脱自在に保持している。
【0046】
ホース収納空間の右側に配置したバルブ類収納空間には、ポンプ設備からの配管16が接続される消火栓接続口からホース接続口に至る配管系統に、給水弁54、消火栓弁56(操作案内板の背面に位置)、自動調圧弁58を含む放水バルブ系統と後の説明で明らかにする覚知放水用のバルブ系統を設けている。
【0047】
消火栓弁に対しては消火栓弁開閉レバー55が設けられ、これに対応して設けた銘板の裏側に配置された消火栓弁を開閉する。同時に消火栓弁開閉レバー55の背後に設置している弁開閉検出スイッチがオンし、これによって図1の防災受信盤18を経由してポンプ設備20にポンプ起動信号が送られ、ポンプ設備が起動される。放水を停止する際には、消火栓弁開閉レバー55を元の上向き位置に戻すと消火栓弁が閉じ、同時に弁開閉検出スイッチがオフとなってポンプ設備の運転停止が行われる。
【0048】
また給水弁54の手前にはポンプ起動スイッチ57が配置される。給水弁54及びポンプ起動スイッチ57は消防隊が消火時に操作する機器であり、消火栓扉30を開いても保守扉32により隠されており、消火栓装置を操作しようとする一般ユーザに見せないことで、不要な混乱を起させないようにしている。
【0049】
本実施形態では、消火栓弁開閉レバー55の背後に設置している弁開閉検出スイッチ及びポンプ起動スイッチ57からの信号も非常覚知ヘッドからの覚知放水を行う制御信号として使用することができる。
【0050】
図3は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の実施形態を示した説明図である。図3において、バルブ類収納空間には給水弁54、消火栓弁56、自動調圧弁58、非常覚知放水弁60、自動排水弁62及び圧力センサ64を設けている。
【0051】
消火栓弁56は給水源から伸びた給水配管に接続した給水弁54の1次配管に分岐接続され、消火栓弁開閉レバー55の操作により開閉される。自動調圧弁58は消火栓弁56の2次側に接続され、ホース50側の放水圧力を規定圧に調整する。
【0052】
非常覚知放水弁60は電動弁を使用しており、覚知放水用の弁装置として機能し、消火栓弁56の1次側から分岐した配管に設けられ、2次側を外部に引き出したヘッド配管24を接続し、図1に示した制御装置11により開閉制御される。ヘッド配管24の先端には非常覚知ヘッド14が接続されており、必要に応じて点線の非常覚知ヘッド14に示すように、複数台設けることもできる。
【0053】
また非常覚知放水弁60は2次側に設けた圧力センサ64の検出圧力を所定の放水圧力に保つように図1の制御装置11により制御され、これによって非常覚知ヘッド14からの放水圧力を規定圧に調整できる。
【0054】
自動排水弁62は圧力が無いときに開放し、圧力が加わると閉鎖する弁であり、覚知放水後に非常覚知放水弁60を閉鎖した場合に開放し、ヘッド配管24の水を排水する。
【0055】
図4は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図であり、非常覚知ヘッドを消火栓装置に内蔵したことを特徴とする。
【0056】
図4において、バルブ類収納空間に設けた給水弁54、消火栓弁56、自動調圧弁58、非常覚知放水弁60、自動排水弁62及び圧力センサ64は図3の実施形態と同じであるが、消火栓装置10の筐体内に例えば3台の非常覚知ヘッド14を収納し、ヘッド開口に相対して点線で示す放水開口25を筐体前面に形成し、外部に棒状パターンの覚知放水を行うようにしている。
【0057】
非常覚知ヘッド14は例えば図2(A)に示した保守扉22の背後に配置され、ヘッド先端に相対した保守扉22の位置に放水開口25を形成する。非常覚知ヘッド14から放水される放水パターンは消火栓装置10を操作する人の邪魔にならない角度や向きに形成される。放水開口25は蓋構造になっており、放水時のみ開口する。また、非常覚知ヘッド14が放水時のみ消火栓装置10から外部に伸びて露出する構成としても良い。
【0058】
このように非常覚知ヘッド14を消火栓装置10に内蔵することで、外部のトンネル壁面などに対する非常覚知ヘッドの設置と配管が不要となり、設備工事を簡単にし、コストも低減できる。
【0059】
次に本実施形態の非常覚知ヘッドによる非常覚知パターンについて図5〜図9を参照して説明する。
【0060】
図5は非常覚知ヘッドの棒状パターンによる横放水を示した説明図であり、図5(A)はトンネル断面、図5(B)はトンネル平面を示している。
【0061】
図5において、非常覚知ヘッド14は放水量を覚知に必要な必要最小限とするため棒状パターン15で放水しており、本実施形態にあっては、図5(A)のトンネル断面に示すように、消火栓装置10からのヘッド配管24に接続したトンネル側壁の非常覚知ヘッド14から道路を真横に横切る方向に棒状パターン15で放水し、且つ図5(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対しても真横に横切る方向に棒状パターン15を放水している。
【0062】
このような棒状パターン15の横放水により、トンネル12内を走行してくる車両は進行方向の道路を横切る棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体側面を横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0063】
また火災発生によりトンネル上部に煙層が形成されるが、非常覚知ヘッド14からの棒状パターン15は道路22の路面に近い位置での横放水であるため、放水によって煙層が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことはない。
【0064】
さらに、棒状に放水された消火用水は、トンネルの対向壁面に放水されるため、壁面下方に設けた排水口に排水されるため、道路に滞留することがないため、車両が滑るなどの二次災害を極力防ぐことも可能となる。
【0065】
棒状パターン15の高さは特に限定されないが、一般的な車両の高さよりも少し上の高さ位置に設定した場合は、通行する車に消火用水がかかることがなく、運転者の視界を妨げることがない。
【0066】
図6は非常覚知ヘッドの棒状パターンによる斜め放水を示した説明図である。本実施形態にあっては、図6(A)のトンネル断面に示すように、消火栓装置10からのヘッド配管24に接続したトンネル側壁の非常覚知ヘッド14からの棒状パターン15を道路を横切る方向に放水し、且つ図6(B)のトンネル平面に示すように、走行方向に対して棒状パターン15を斜め方向に放水している。
【0067】
このような棒状パターン15の斜め放水により、トンネル12内を走行してくる車両は進行方向から斜めに横切るから棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0068】
また火災発生によりトンネル上部に煙層が形成されるが、非常覚知ヘッド14からの棒状パターン15は道路22の路面に近い位置での斜め放水であるため、放水によって煙層が乱されてトンネル全体に煙が広がってしまうことはない。
【0069】
図7はトンネル内に非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるクロス放水を示した説明図である。
【0070】
図7(A)のトンネル断面において、トンネル12の側壁に消火栓装置10からのヘッド配管24に接続した非常覚知ヘッド14を配置し、更に、ヘッド配管24をトンネル上部から反対側のトンネル側面に配管し、そこに非常覚知ヘッド14を配置し、トンネル両側の側壁に設置した非常覚知ヘッド14から道路を横切る方向に棒状パターン15を放水することでクロス放水とし、且つ図7(B)のトンネル平面に示すように、両側に配置した非常覚知ヘッド14から走行方向に対しても斜めに棒状パターン15を放水することでクロス放水としている。
【0071】
このような棒状パターン15の2本のクロス放水により、トンネル内を走行してくる車両は進行方向にクロスして横切る棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも車体を斜めに横切るように放水を受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0072】
またトンネル走行方向に所定間隔で配置されている複数の消火栓装置10に設けた非常覚知ヘッド14から同時にクロス放水を行うと、トンネル前方に複数のクロス放水パターンが浮かび上がり、異常事態の発生を確実に覚知できる。またクロス放水は路面に近い位置の放水となるため、トンネル上部に形成される煙層を乱すようなことはない。
【0073】
また、クロス放水においても、運転者の視界を妨げることを防ぐことができる。
【0074】
図8は複数の非常覚知ヘッドを配置した実施形態における棒状パターンによるマルチ放水を示した説明図であり、3台の非常覚知ヘッドを設けた場合を例にとっている。
【0075】
図8(A)のトンネル断面においては、トンネル12の側壁に消火栓装置10からのヘッド配管24に接続した3台の非常覚知ヘッド14を配置し、道路22を横切る方向に棒状パターン15を放水している。また図8(B)のトンネル平面にあっては、3台の非常覚知ヘッド14から棒状パターン15を、真横に横切る方向、異なる斜め方向にマルチ放水している。
【0076】
このような棒状パターン15を用いたマルチ放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知することができる。一本の放水パターンよりも放水により気づきやすい。もし放水に気付かなかったとしても放水を車体に受けるようにパターン位置を設定した場合は、車体に受けた音や水滴で異常事態の発生を覚知することができる。また路面に近い位置の放水とすれば、トンネル上部に形成される煙層を乱すようなことはない。たとえ、煙層に放水パターンが形成されたとしても、棒状パターンであるから煙層をかき乱す程の威力がない。
【0077】
図9は複数の非常覚知ヘッドを配置した棒状パターンによるマルチ放水の他の実施形態を示した説明図であり、3台の非常覚知ヘッドを設けた場合を例にとっている。
【0078】
本実施形態では、図9(A)のトンネル断面についても、消火栓装置10からのヘッド配管24に接続した3台の非常覚知ヘッド14から、道路22を真横に横切る方向、異なる斜め方向にマルチ放水している。また図9(B)のトンネル平面についても、3台の非常覚知ヘッド14から棒状パターン15を、真横に横切る方向、異なる斜め方向にマルチ放水している。
【0079】
このような棒状パターン15を用いたマルチ放水により、トンネル内を走行してくる車両は棒状パターン15による放水を見ることで異常事態の発生を覚知し、放水に気付かなくとも放水を車体に受けることで、異常事態の発生を覚知することができる。
【0080】
なお、図5乃至図9に示した非常覚知ヘッド14の棒状パターンによる放水は、水平放水以外にトンネル上部の煙層を乱さない範囲での上向き放水や複数の非常覚知ヘッドからのマルチ放水を交差されたクロス放水など適宜の放水パターンとすることができる。
【0081】
図10は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図である。図10において、バルブ類収納空間には給水弁54、自動調圧弁58、消火栓弁56、非常覚知放水弁60、自動排水弁62及び圧力スイッチ68を設けている。
【0082】
自動調圧弁58は給水配管を接続した給水弁54の1次配管に分岐接続され、ホース50側の放水圧力を規定圧に調整する。消火栓弁56は自動調圧弁58の2次側に接続され、消火栓弁開閉レバー55の操作により開閉される。非常覚知放水弁60は電動弁を使用しており、自動調圧弁56の2次側の分岐配管に設けられ、2次側に外部に引き出したヘッド配管24に接続し、図1の制御装置11により開閉制御される。
【0083】
非常覚知放水弁60は自動調圧弁58により規定圧に調整された消火用水を非常覚知ヘッド14に供給することから、図3の実施形態のように圧力センサ64を設けて圧力制御する必要はなく、その分、簡単にできる。圧力スイッチ68は非常覚知ヘッド14への加圧消火用水の供給時の圧力を受けてオンし、例えば図1の防災受信盤18に検出信号を送って非常告知放水を報知させる。
【0084】
自動排水弁62は非常覚知放水弁60の閉鎖による覚知放水停止時にヘッド配管24内の消火用水を排水させる。
【0085】
図11は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図である。図11において、バルブ類収納空間には給水弁54、消火栓弁56、自動調圧弁58を設け、自動調圧弁58の2次側から分岐して外部に引き出したヘッド配管24に非常覚知ヘッド14を接続している。
【0086】
本実施形態にあっては、消火栓弁56が非常覚知ヘッド14からの放水を行う覚知放水弁としての機能を兼用しており、消火栓弁開閉レバー55を開操作すると、ホース50側に調圧された消火用水が供給されると共に非常覚知ヘッド14にも供給されて覚知放水が行われる。
【0087】
ここで、ノズル付きホースからの放水と非常覚知ヘッド14からの非常覚知放水を別々に行うためには、ホース先端に装着しているノズルとして開閉レバー付きのノズルを使用し、ノズルを常時閉鎖状態して消火栓装置に配置しておけば、非常覚知放水を行ってもノズルから放水されないようにできる。
【0088】
本実施形態は通常の放水バルブ系統をそのまま利用することで、簡単で低コストとなる構成により覚知放水ができる。
【0089】
図12は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図である。図12において、バルブ類収納空間には給水弁54、電動弁を用いた消火栓弁706、自動調圧弁58を設け、自動調圧弁56の2次側から分岐して外部に引き出したヘッド配管24に非常覚知ヘッド14を接続している。
【0090】
電動弁を用いた消火栓弁70は消火栓開閉レバーによるスイッチ操作または押釦スイッチの操作などで開閉制御することになる。
【0091】
本実施形態にあっても、電動弁を用いた消火栓弁70が非常覚知ヘッド14からの放水を行う覚知放水弁としての機能を兼用しており、消火栓弁開閉レバーの開操作による検出信号や押釦スイッチの開操作による検出信号により図1に示した制御装置が消火栓弁70を開制御し、ホース50側に調圧された消火用水が供給されると共に非常覚知ヘッド14にも供給されて覚知放水が行われる。
【0092】
この場合にも、ノズル付きホースからの放水と非常覚知ヘッド14からの非常覚知放水を別々に行うため、ホース先端に装着しているノズルとして開閉レバー付きのノズルを使用し、非常覚知放水を行ってもノズルから放水されないようにする。
【0093】
図13は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図である。図13において、バルブ類収納空間には給水弁54、電動弁を用いた消火栓弁70、圧力センサ72を設け、図1の制御装置11により、圧力センサ72で検出した2次側圧力を規定圧力に保つように消火栓弁70の開度を制御するようにしている。
【0094】
消火栓弁70の2次側はホース50に接続されると共に分岐して外部に引き出したヘッド配管24により非常覚知ヘッド14を接続している。
【0095】
本実施形態にあっては、電動弁を用いた圧力調整機能付きの消火栓弁70が非常覚知ヘッド14からの放水を行う覚知放水弁としての機能を兼用しており、消火栓弁70とは別に設けた消火栓弁開閉レバー又は放水起動スイッチを開操作すると、ホース50側に調圧された消火用水が供給されると共に非常覚知ヘッド14にも供給されて覚知放水が行われる。
【0096】
本実施形態は消火栓弁70に自動調圧弁及び覚知放水弁としての機能をもたせたことで、放水バルブ系統を大幅に簡略化し、設置スペースの低減とコストダウンを図ることができる。
【0097】
図14は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図であり、図10の実施形態に更にバルブ類の点検機能を追加したことを特徴とする。
【0098】
図14において、バルブ類収納空間には給水弁54、自動調圧弁58、消火栓弁56、非常覚知放水弁60、自動排水弁62及び圧力センサ64を設け、更に電動弁を用いた点検放水弁74を設けている。
【0099】
自動調圧弁58は給水配管を接続した給水弁54の1次配管に分岐接続され、ノズル50側の放水圧力を規定圧に調整する。消火栓弁56は自動調圧弁56の2次側に接続され、消火栓弁開閉レバー55の操作により開閉される。
【0100】
非常覚知放水弁60は電動弁を使用しており、自動調圧弁58の2次側からの分岐配管に設けられ、2次側に外部に引き出したヘッド配管24を接続し、図1の制御装置により開閉制御される。自動排水弁62は非常覚知放水弁60の2次側と排水管78の間に接続され、覚知放水停止時にヘッド配管24内の消火用水を排水させる。
【0101】
点検放水弁74は非常覚知放水弁60の1次側に分岐接続され、2次側は点検流量を決めるオリフィス76を介して排水管78に接続している。点検時には、図1に示した防災受信盤18の操作で消火栓装置10に点検信号を送ることにより点検放水弁74が開放し、オリフィス76で決まるノズル付きホースと同等の圧力損失による点検流量を流す。点検時には圧力センサ64の検出圧力が点検放水圧力として図1の防災受信盤18に送られて表示され、正常か否か判断できるようにしている。
【0102】
図15は本発明の消火栓装置に設けた放水バルブ系統の他の実施形態を示した説明図であり、図14の非常覚知放水弁60と点検放水弁74を電動型の三方切替弁に変更したことを特徴とする。
【0103】
図15において、バルブ類収納空間には給水弁54、自動調圧弁58、消火栓弁56、電動弁を用いた放水弁80、電動型の三方切替弁を用いた覚知・点検切替弁82及び圧力センサ64を設けている。
【0104】
自動調圧弁58は給水配管を接続した給水弁54の1次配管に分岐接続され、ホース50側の放水圧力を規定圧に調整する。消火栓弁56は自動調圧弁56の2次側に接続され、消火栓弁開閉レバー55の操作により開閉される。
【0105】
自動調圧弁58の2次側から分岐した配管には放水弁80が設けられ、放水弁80の2次側に覚知・点検切替弁82の共通ポートaを接続し、また第1切替ポートbに外部に引き出したヘッド配管24を介して非常覚知ヘッド14を接続し、更に第2切替ポートcを点検流量を決めるオリフィス76を介して排水管78に接続している。
【0106】
非常設備作動を検出した場合には、図1に示した制御装置11からの制御信号により放水弁80が開制御され、通常時、覚知・点検切替弁82を共通ポートaと第1切替ポートbを連通する位置に切替えておくことで、非常覚知ヘッド14に加圧消火用水が供給されて覚知放水を行う。
【0107】
点検時には、図1に示した防災受信盤18の操作で消火栓装置10に点検信号を送ることにより放水弁80が開放し、同時に覚知・点検切替弁82が共通ポートaと第2切替ポートcを連通する位置に切り替わり、オリフィス74で決まるノズル付きホースと同等の圧力損失による点検流量を排水管78に流す。このとき圧力センサ64の検出圧力が点検放水圧力として図1の防災受信盤18に送られて表示され、正常か否か判断できる。
【0108】
なお、上記の実施形態にあっては、非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水する場合を例にとっているが、これ以外に、スリットパターン、ドロップパターンといった適宜の非常覚知パターンを放水するようにしても良い。
【0109】
また、上記の実施形態は非常覚知パターンを継続的に放水する場合を例にとっているが、非常覚知パターンを断続的或いは周期的に放水するようにしてもよい。このような断続的又は周期的な覚知放水により、覚知機能を高めると同時に放水量を低減できる。また、運転者の視界を防ぐことができる。道路面を必要以上に濡らすことを防ぐことができる。
【0110】
また非常覚知ヘッドを動かすことで、スイング放水や旋回放水を行って覚知機能を高めるようにしても良い。
【0111】
また、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値による限定は受けない。
【符号の説明】
【0112】
10:消火栓装置
11:制御装置
12:トンネル
14:非常覚知ヘッド
15:棒状パターン
24:ヘッド配管
25:放水開口
26:筐体
58:自動調圧弁
60:非常覚知放水弁
62:自動排水弁
64:圧力センサ
74:点検放水弁
82:覚知・点検放水弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内に設置され、ノズル付きホースを引き出して放水する消火栓装置に於いて、
トンネル内に放水して非常覚知パターンを形成する非常覚知ヘッドと、
前記非常覚知ヘッドに加圧消火用水を供給する弁装置と、
トンネル内での非常設備作動時に前記弁装置を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させる制御装置と、
を設けたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項2】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドは、トンネル内の片側又は両側に配置したことを特徴とする消火栓装置。
【請求項3】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドは、筐体の外部に設置されて前記筐体内の弁装置に配管接続されたことを特徴とする消火栓装置。
【請求項4】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドは筐体内に設置され、放水開口から外部に向けて放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項5】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記制御装置は、消火栓扉の開放検出、消火栓弁の開放検出、消火器扉の開放検出、消火器の取り出し検出、火災検知器による火災検出、又は、区画が重複する水噴霧設備の放水を放水開始前に知らせたい場合に、前記弁装置を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させることを特徴とする消火栓装置。
【請求項6】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記制御装置は、非常設備作動時に、自己の非常覚知ヘッドから放水すると共に、自己の設置区画の手前となる1又は複数の区画の消火栓装置の非常覚知ヘッドから放水させることを特徴とする消火栓装置。
【請求項7】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項8】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを、車線を横切る方向及び又は車線に沿った方向に対し、斜めに放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項9】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、トンネル内の両側に配置した2つの非常覚知ヘッドから棒状パターンを車線に対しクロスさせて放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項10】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを、車線を真横に横切る方向に放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項11】
請求項7乃至10記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドを複数配置し、複数の棒状パターンを放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項12】
請求項7乃至11のいずれかに記載の消火栓装置に於いて、前記非常覚知ヘッドから棒状パターンを断続的又は周期的に放水することを特徴とする消火栓装置。
【請求項13】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側に配置されノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記消火栓弁の1次側から分岐されて前記非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管に設けられ、前記制御装置により制御される前記弁装置としての非常覚知放水弁と、
前記非常覚知放水弁の2次側のヘッド配管の圧力を検出する圧力センサと、
を備え、
前記制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記非常覚知放水弁を開制御すると共に前記圧力センサで検出した圧力を所定圧となるように調圧することを特徴とする消火栓装置。
【請求項14】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、ノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記消火栓弁の2次側に配置され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
前記自動調圧弁の2次側から分岐されて前記非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管に設けられ、前記制御装置により制御される前記弁装置としての非常覚知放水弁と、
を備え、
前記制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記非常覚知放水弁を開制御することを特徴とする消火栓装置。
【請求項15】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉制御される電動弁を用いた消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側に配置されノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記自動調圧弁の2次側から分岐されて前記非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管と、
を備え、
前記制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記消火栓弁を非常覚知放水弁として開制御することを特徴とする消火栓装置。
【請求項16】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉制御される電動弁を用いた消火栓弁と、
前記消火栓弁の2次側から前記ノズル付きホースに至る配管に設けられて圧力を検出する圧力センサと、
前記消火栓弁の2次側から分岐されて前記非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管と、
を備え、
前記制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記消火栓弁を開制御して前記非常覚知ヘッドから放水させると共に前記圧力センサで検出した圧力を所定圧となるように調圧することを特徴とする消火栓装置。
【請求項17】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、ノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記消火栓弁の2次側に配置され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
前記自動調圧弁の2次側から分岐されて前記非常覚知ヘッドに接続されるヘッド配管と、
前記ヘッド配管に設けられ、前記制御装置により制御される前記弁装置としての非常覚知放水弁と、
前記非常覚知放水弁の1次側から分岐された排水管に設けられ、点検時に開制御されて前記ノズル付きホースによる放水量に相当する点検流量を排水管に流す点検放水弁と、
前記非常覚知放水弁及び前記点検放水弁の1次側となるヘッド配管の圧力を検出する圧力センサと、
を備え、
前記制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記非常覚知放水弁を開制御すると共に、点検時に前記点検放水弁を開制御して前記圧力センサで検出した圧力を点検放水圧力として外部に出力することを特徴とする消火栓装置。
【請求項18】
請求項1記載の消火栓装置に於いて、前記放水バルブ系統は、
ポンプ設備からの給水配管に接続され、ノズル付きホースに対する水圧を所定圧に調整する自動調圧弁と、
前記消火栓弁の2次側に配置され、消火栓弁開閉レバーの操作により開閉される消火栓弁と、
前記自動調圧弁の2次側から分岐された分岐管に設けられ、前記制御装置により制御される放水弁と、
前記放水弁の2次側を共通ポートに接続し、第1切替ポートに前記非常覚知ヘッドに至るヘッド配管を接続し、第2切替ポートに排水管を接続し、前記制御装置により前記共通ポートを前記第1切替ポート又は第2切替ポートに連通するよう切替制御される覚知・点検切替弁と、
前記放水弁の1次側配管の圧力を検出する圧力センサと、
を備え、
前記制御装置は、トンネル内での非常設備作動時に前記放水弁を開制御すると共に前記覚知・点検切替弁を第1切替ポートに切替制御し、点検時には前記放水弁を開制御すると共に前記覚知・点検切替弁を第2切替ポートに切替制御してノズル付きホースによる放水量に相当する点検流量を排水管に流し、更に前記圧力センサで検出した圧力を点検放水圧力として外部に出力することを特徴とする消火栓装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2011−227549(P2011−227549A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93912(P2010−93912)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】