説明

消火用噴霧ノズル

【課題】
容易かつ安価な方法で微粒化性能を適宜変更できる消火用噴霧ノズルを提供する。
【解決手段】
液体を噴出するための噴口を有するオリフィス板と、液体に旋回力を与えるための、流路及びこの流路からの液体を集合させるための旋回室を有する一枚或いは複数枚の制御板と、所望により前記流路及び旋回室を構成するための蓋板とからなり、かつこれら三種類の板状部材をノズルヘッド内に重ね合わせて構成したことを特徴とする消火用噴霧ノズル。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体を噴霧させる消火用噴霧ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の消火用噴霧ノズルは、一般的に図5に示すようにノズルヘッド1に嵌め込まれるオリフィス部材2とこれに合体するように嵌め込まれる制御部材3とからなっている。オリフィス部材2には噴口2aに通じる旋回室2bと流路2cとがあり、また制御部材3には旋回室2bと流路2cとの間に位置する旋回溝3aがある。
【0003】
液体は、矢印方向に従って制御部材3の周囲から流路2cに入り、旋回溝3aにより旋回力を与えられて旋回室2b内で旋回流となり、そのまま噴口2aから液滴の微粒子となって噴霧される。
【0004】
しかしながら、従来のこの種の消火用噴霧ノズルにおいては前記したように旋回室2bを有するオリフィス部材2と旋回溝3aを有する制御部材3とがそれぞれ構造が複雑なために切削加工により製作せざるを得ないので、ノズル製造コストが高くなるだけでなく、消火対象の異なるものに対応するための微粒化性能を変更する際に、寸法・形状の異なるものを新たに切削加工しなければならず、さらにノズル製造コストが高くなり、そのために該寸法・形状の変化に十分に対応できないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、かかる従来技術の現状に鑑み創案されたものであり、その目的は、容易かつ安価な方法で微粒化性能を適宜変更できる消火用噴霧ノズルを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、液体を噴出するための噴口を有するオリフィス板と、液体に旋回力を与えるための、流路及びこの流路からの液体を集合させるための旋回室を有する一枚或いは複数枚の制御板と、前記流路及び旋回室を構成するための蓋板とからなり、かつこれら三種類の板状部材をノズルヘッド内に重ね合わせて構成したことを特徴とする消火用噴霧ノズルである。
また、本発明は、液体を噴出するための噴口を有するオリフィス板と、液体に旋回力を与えるための、流路及びこの流路からの液体を集合させるための旋回室を有する一枚或いは複数枚の制御板とからなり、これら二種類の板状部材をノズルヘッド内に重ね合わせて構成したことを特徴とする消火用噴霧ノズルである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、オリフィス板と制御板を板状部材とすることにより、これらをエッチング又はレーザー加工又は打抜き加工により製作できるようになって製造が簡単でコストダウンが図れるとともに、また例えば制御板の枚数や形状を変更するだけで微粒化性能を簡単に変更できることにより、消火対象(複雑な消火のための条件)の異なるものを容易かつ安価に製造でき、消火対象の変化に容易に対応できるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の消火用噴霧ノズルは、オリフィス板と制御板と所望により蓋板とを板状部材としてノズルヘッド内に重ね合わせて構成することにより、容易かつ安価な方法で様々な消火対象に対応した微粒化性能を有するものを実現することができる。以下、その具体的な態様を実施例として記載するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【実施例】
【0009】
本発明の一実施例を図1、図2について説明する。図1はノズルヘッド1の部分を示す縦断側面図、図2は図1の三種類の板状部材を分解して示す斜視図である。
【0010】
図において、4は噴口4aを有するオリフィス板、5は中央に旋回室を構成するための孔5aと旋回室に通じる流路を構成するための切欠き5bとを有する制御板、6は流路及び旋回室を構成するための蓋板である。なお、制御板5と蓋板6には、外周に突片7があって、この突片7がノズルヘッド1の内周面に嵌ることにより内周面との間に連通路8を構成するようになっている。
【0011】
本実施例では各図に示すように制御板5を三枚とすると共に、それぞれ120度毎ずらせて重ね合わせてあるので、旋回室に対して各流路が均等な配置の三方向となり、また図1に示すように三枚の制御板5の各孔5aは連通して一個の旋回室を構成し、さらに各制御板5の切欠き5bは互いに隣接する板状部材によって三本の流路が構成されるようになっている。なお、三枚の制御板5の厚みは0.3〜6mm位で、一枚当たり0.1〜2mm位のものであり、その材料は金属、セラミック、プラスチック等から構成することができる。
【0012】
液体は、矢印方向に従って蓋板6の周囲から連通路8に入った後、各制御板5のそれぞれの流路(切欠き5bにより構成される)から旋回室(孔5aにより構成される)内に三方向から入って均一な旋回流となり、そのまま噴口4aから噴霧(液滴の微粒子となって)される。
【0013】
なお、図示のように制御板5を三枚にすると、前記したように噴霧(液滴の微粒化)が均一になって噴霧量が大きくなるが、制御板5は一枚でも良いし、二枚または三枚以上の枚数であっても液滴の微粒化という噴霧効果が得られることは同様である。
そこで、制御板5の枚数毎に噴霧(液滴の微粒子)効果が異なることを、その流路の配置毎に分けて表1に示す。
【0014】
【表1】

【0015】
このように制御板5の枚数を変更したりその流路の配置を変えたりするだけで、微粒化性能を簡単に変更できるようになるので、消火対象(複雑な消火のための条件)の異なるものを容易かつ安価に製造できる。
【0016】
次に、制御板5の枚数(配置も)を変えること以外にも、噴口4aの径、切欠き5bにより形成される流路の断面積を変更することにより、噴霧量、粒子径、噴霧角度、噴霧距離を変更できるので、この違いを表2に示す。なお、表2に示すデータは、噴霧圧力を一定とする。
【0017】
【表2】

【0018】
このデータから、噴霧量、粒子径は噴口4aの径、流路の断面積に比例し、噴霧角度は噴口4aの径に比例するが流路の断面積には反比例し、噴霧距離は噴口4aの径に反比例するが流路の断面積には比例することを理解することができる。
【0019】
なお、上記の実施例では、オリフィス板と制御板と蓋板の三種類の板状部材をノズルヘッド内に重ね合わせて構成したものを示したが、図4に示すように制御板に蓋板の機能を持たせて板状部材をオリフィス板4と制御板5だけの二種類にすることもできる。また、上記の実施例では、三枚の制御板5を切欠き5bの方向が均等に分散するように120度毎ずらせて重ね合わせて構成したものを示したが、図5に示すように一枚の制御板5に多数の切欠き5b(図では四つ)を設けたものを使用することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明は、様々な微粒化性能を容易かつ安価に実現できるので、液体を噴霧させる消火用噴霧ノズルに広く活用できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の噴霧ノズルの一実施例を示す縦断側面図である。
【図2】図1の板状部材を分解して示す斜視図である。
【図3】蓋板を省略してオリフィス板と制御板だけを使用した例を示す分解斜視図である。
【図4】多数の切欠きを有する制御板の斜視図である。
【図5】従来の噴霧ノズルを示す縦断側面図である。
【符号の説明】
【0022】
1:ノズルヘッド
4:オリフィス板
4a:オリフィス板4の噴口
5:制御板
5a:制御板5の孔
5b:制御板5の切欠き
6:蓋板
7:制御板5及び蓋板6の突片
8:連通路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を噴出するための噴口を有するオリフィス板と、液体に旋回力を与えるための、流路及びこの流路からの液体を集合させるための旋回室を有する一枚或いは複数枚の制御板と、前記流路及び旋回室を構成するための蓋板とからなり、かつこれら三種類の板状部材をノズルヘッド内に重ね合わせて構成したことを特徴とする消火用噴霧ノズル。
【請求項2】
液体を噴出するための噴口を有するオリフィス板と、液体に旋回力を与えるための、流路及びこの流路からの液体を集合させるための旋回室を有する一枚或いは複数枚の制御板とからなり、これら二種類の板状部材をノズルヘッド内に重ね合わせて構成したことを特徴とする消火用噴霧ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図5】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−125606(P2008−125606A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−311503(P2006−311503)
【出願日】平成18年11月17日(2006.11.17)
【出願人】(391008320)株式会社初田製作所 (78)
【出願人】(502041440)
【出願人】(398005630)株式会社オ−ラテック (15)
【Fターム(参考)】