説明

消火用放水ノズル

【課題】 ノズルからの放水を停止状態から中空円筒形状の噴射水状態を経てフルコーン形状の噴射水状態となるように行うことができ、消火開始時の反動力を小さくして効率よく消火作業を行えるようにした消火用放水ノズルを提供する。
【解決手段】 放水筒本体1の前端部に操作筒体2を進退自在に螺合させて、この操作筒体2の中心部内に配設している固定軸体6の前端に一体に設けたデフレクタ7と操作筒体2の開口端間の円環状の外側噴射口9を通じて放水筒本体1内からの圧力水を中空円筒形状からコーン状に噴射させるように構成していると共に、上記固定軸体6内に放水通路13を設けてこの放水通路13の後端に操作筒体2内に連通する流入口15を設けると共に前端にデフレクタ7の中央部から開口した中央噴射口14を設けて、この中央噴射口14からの噴射水を上記外側噴射口9からの噴射水内に噴射させるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は放水状態を直状放水から拡散放水へと連続的に変化させることができる消火用放水ノズルに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来からこの種の消火用ノズルとしては、図7に示すように、放水筒本体20の前部外周面に前端部を放水口22に形成し且つ該放水口22の内周面に環状の弁座部23を設けてなる操作筒体21を前後方向に進退自在に螺合させていると共に、この操作筒体21内の中心部に後端部が上記放水筒本体20の前端中心部内に固定され且つ前端にデフレクタ24を一体に取り付けてなる固定軸体25を配設し、上記操作筒体21を螺進させて上記弁座部23を上記デフレクタ24の後面に圧着させることにより放水を閉止状態にし、操作筒体21を螺退させて上記弁座部23を上記デフレクタ24から後方に離間させることによって放水筒本体20内からの圧力水を固定軸体20の外周面と弁座部23との間の隙間を介してデフレクタ24の外周面と放水口22の内周面間の隙間から放水させるように構成した放水ノズルが広く知られている。
【0003】
しかしながら、このような消火用ノズルによれば、デフレクタ24の外周面と操作筒体21の開口端内周面との間の環状の放水口22を通じてのみ、前方に向かって噴射されるだけであるから、デフレクタの前方側には噴射水が存在しない空間部が形成され、放水断面の噴流水密度が不均一となって消火状況に適応した有効な放水ができないといった問題点があった。
【0004】
このため、上記のように構成している消火用ノズルにおいて、特許文献1に記載されているように、固定軸体内に前端がデフレクタの中心部から前方に向かって開口し且つ後端が操作筒体における弁座部から後方側の内周面と固定軸体との間の周側放水通路に開口している中央側放水通路を設けていると共に、操作筒体の内周面に連結片を介して固定軸体の前部外周面に摺動自在に外嵌したリング状弁体を一体に設けて操作筒体の弁座部をデフレクタの後面に密接させて前端放水口を閉止している状態においては、上記中央側放水通路の後端流入口を周側放水通路に全面的に連通させ、この状態から操作筒体を後退させることによって、中央側放水通路と周側放水通路との両通路を通じてデフレクタの中心部とデフレクタの外周側の前端放水口とから放水を行うように構成した消火用ノズルが開発されている。
【特許文献1】登録実用新案第2523778号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記消火用ノズルによれば、周側放水通路と連通した前端放水口からコーン状に噴射させながら、この噴射水の内部の空間にデフレクタの中心開口部から放水を行って放水断面の噴流水密度を略均等にすることができるが、放水開始時においては、操作筒体の弁座部をデフレクタの後面に密着させて放水口を閉止しているもかかわらず、リング状弁体が固定軸体の中央側放水通路の後端流入口を全面的に開放した位置に設けられているために、消火開始時には該中央側放水通路を通じてデフレクタの中心開口部から消火に必要な水量の噴射が瞬時に行われて大きな反動力が発生し、ノズルを操作する作業員の手元が狂うばかりでなく消火用ノズルを手放してしまう虞れがあった。
【0006】
その上、この消火用ノズルは操作筒体内の周側放水通路に連通した上記前端放水口と固定軸体内の中央側放水通路に連通した上記中心開口部との少なくともいずれか一方を、常に開放した状態となるように構成されているから、消火活動中においては、この消火用ノズルからの放水を手元操作によって停止させることができず、別な作業員がホースの後端側に設けている開閉弁を閉じる操作を行わなければならないといった問題点があった。
【0007】
さらに、放水開始時には上述したように、全面的に開放している中央側放水通路を通じて中心開口部から直状に放水し、この状態から操作筒体を後退させてその弁座部をデフレクタの後面から離間させることにより、放水口から上記直状噴射水を囲むようにコーン状の拡散放水を行うと共に、さらに、操作筒体の後退によってリング状弁体により中央側放水通路の上記流入口を徐々に閉止して直状の放水を停止し、コーン状の拡散放水のみを行うように構成しているので、このコーン状拡散放水内で直状放水が行われているのかどうかを手元操作では判断することが困難となり、放水断面において均一な噴流水密度でもって有効な放水が行えなくなる事態が発生するといった問題点があった。
【0008】
本発明は上記のような問題点に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、放水開始時においては大きな反動力を生じさせることなく円滑な放水操作を可能にすると共に全面的に均一な噴流水密度でもって放水を行うことができ、その上、手元操作によって消火作業中に一旦放水を停止して次の火災場所にノズルを向けたのち、再び、正確な放水を行えるようにし、且つ、消火作業後には直ちに放水を停止させることができる消火用ノズルを提供するにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために本発明の消火用ノズルは、請求項1に記載したように、放水筒本体の前部外周面に前端部を放水口に形成し且つ該放水口の内周面に環状の弁座部を設けてなる操作筒体を前後方向に進退自在に螺合させていると共に、この操作筒体内の中心部に後端部が上記放水筒本体の前端中心部内に固定され且つ前端にデフレクタを一体に設けてなる固定軸体を配設し、上記操作筒体を螺進させて上記弁座部を上記デフレクタの後面に圧着させることにより放水を閉止状態にし、操作筒体を螺退させて上記弁座部を上記デフレクタから後方に離間させることによって放水筒本体内からの圧力水を固定軸体の外周面と弁座部との間の隙間を介してデフレクタの外周面と放水口の内周面間の外側噴射口から放水させるように構成した消火用放水ノズルにおいて、上記固定軸体内に、前端にデフレクタの中心部から前方に向かって開口した中央噴射口を有し且つ後端に操作筒体における弁座部から後方側の内周面と固定軸体との間の周側放水通路に開口している流入口を有する中央側放水通路を設けていると共に、操作筒体の内周面に連結片を介して中心軸体の後部外周面に摺動自在に外嵌した筒状弁体を一体に設け、操作筒体の螺退によってデフレクタから弁座部が所定間隔だけ後方に離間したのちに上記筒状弁体によって上記中央側放水通路の流入口を開放させるように構成している。
【0010】
このように構成した消火用ノズルにおいて、請求項2に係る発明は、上記外側噴射口を形成しているデフレクタの外周面と操作筒体の放水口との対向周面を全長に亘って互いに軸心方向に平行な周面に形成していると共に、操作筒体の弁座部がデフレクタの後端面に密接して放水口を閉止している状態においては、筒状弁体の前端部が中央側放水通路の流入口の前端から一定長さだけ前方部に位置しており、操作筒体が停止位置まで後退した状態においては筒状弁体が上記流入口を開放状態に保持した位置に達するように構成している。さらに、請求項3に係る発明は、上記中央側放水通路内に前後方向に貫通した螺旋状の放水路を設けていることを特徴とする。
【0011】
請求項1に係る発明によれば、消火作業を行う際に、放水筒本体に進退自在に螺合している操作筒体の内周面に設けている弁座部をデフレクタの後面に圧着させて外側噴射口を閉止していると共に、前端に上記デフレクタを一体に設けている固定軸体内の放水通路の後端流入口を上記操作筒体の内周面に連結片を介して一体に設けている筒状弁体によって閉止しているので、放水口が全面的に閉止された状態となっているから、消火作業の準備が迅速に行えるのは勿論、放水筒本体を把持した状態で操作筒体を手元で正確に操作することができる。この状態から、まず、操作筒体を螺退させることにより該操作筒体の弁座部をデフレクタの後端から離間させて外側噴射口を開放させるように構成しているので、放水開始時の反動力が小さくて手元操作を狂わしたり、ノズルを手放すこともなく火災場所に正確に向けた状態で消火作業を行うことができる。
【0012】
さらに、放水筒本体に対して操作筒体を螺退させれば、操作筒体の開口端がデフレクタの後端側まで後退して外側噴射口から圧力水をコーン状に拡散噴射させることができると共に操作筒体と一体に移動する筒状弁体が固定軸体内の放水通路の流入口を徐々に開放して放水筒本体内を通じて圧送されてくる圧力水をこの流入口に分流させてデフレクタの前端中央部に開口している中央噴射口から上記コーン状噴射放水内に噴出させることができ、これらの放水によって消火に必要な所定量の放水が可能になると共に空洞部が生じることなく全面的に均一な噴流水密度でもって放水することができて効率よく消火作業を行うことができる。
【0013】
その上、この放水状態から操作筒体をさらに螺退させたとしても、筒状弁体が流入口から後方に移動するだけで流入口を開口させた状態を保持することができるから、消火作業時には、デフレクタの中央部に開口している噴射口から圧力水が噴射しているかどうかを確認する必要もなく、圧力水をデフレクタの外周面側の外側噴射口と中央部に開口している中央噴射口とに分流させてこれらの両噴射口からフルコーン状態に噴射させながら消火作業を行うことができる。また、消火作業中に火災場所を移動する際には、操作筒体を螺進させることによって簡単且つ素早く放水を停止させることができ、次の消火作業が円滑に行うことができると共に消火作業後にも直ちに放水を停止させてこのノズルを装着している消火ホースの収納作業等が容易に行うことができる。
【0014】
請求項2に係る発明によれば、外側噴射口を形成している上記デフレクタの外周面と操作筒体の放水口との対向周面を全長に亘って互いに軸心方向に平行な周面に形成しているので、放水開始時には手元操作によって操作筒体を後退させることによって放水口から真っ直ぐな円筒形状ないしは棒状の放水形態でもって噴射させることができ、そのため、ノズルからの放水を消火すべき火災場所に向かって正確に行うことができるものであり、この状態を保持しながら操作筒体をさらに後退させることによって上述したように放水筒本体内から供給される圧力水を外側噴射口側と中央噴射口側とに分流させてフルコーン状態で所定の水量の放水を行うことができる。
【0015】
また、請求項3に係る発明によれば、前端に上記デフレクタを設け、後端に上記流入口を設けている固定軸体内の放水通路内に、前後方向に貫通した螺旋状の放水路を設けているので、圧力水がこの螺旋状放水路を通過中に、噴射速度を増大させ且つ乱流を生じさせてデフレクタの中央部に設けている上記噴射口から勢いよく且つ遠くにまで噴射させることができ、放水効果を充分に発揮させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
次に、本発明の具体的な実施の形態を図面について説明すると、図1において、一定長さを有する円筒形状の放水筒本体1の前部外周面に形成した雄螺子部1aに、同じく円筒形状の操作筒体2の後部内周面に形成した雌螺子部2aを進退自在に螺合させていると共に、この放水筒本体1の後部内周面には消防ホースHの前端部を連結させるための雌螺子部1bを形成している。さらに、放水筒本体1の後端から雄螺子部1aに至るまでの外周面を消火作業を行う作業員の握り面1cに形成していると共にこの握り面1cの前端部を雄螺子部1aよりも大径に形成してその大径部の前端面から後方に向かって操作筒体2の後端部を挿入させた一定深さの円環状溝3を形成してあり、この円環状溝3の溝底面に操作筒体2の後端面を当接させて該操作筒体2が所定の後退位置で停止させるように構成している。なお、操作筒体2の後端面が円環状溝3に達する前に放水筒本体1に対する操作筒体2の螺退を不能にしてその状態で停止させるように構成しておいてもよい。
【0017】
この操作筒体2の前半部は放水筒本体1の雄螺子部1aの前端から前方に突出していると共にその前端部に正面円形状の放水口4を形成している。この放水口4は、操作筒体2の前端面中央部に前方に向かって開口していると共にその内周面4aは操作筒体2の軸心に平行な一定長さを有する周面に形成されてあり、さらに、この放水口4の後端における操作筒体2の内周面に該操作筒体2の中心に向かって一定の突出高さを有する環状の弁座部5を突設している。
【0018】
このように形成している操作筒体2内の中心部には、前端にデフレクタ7を一体に設けてなる固定軸体6を配設してこの固定軸体6の後端部を上記放水筒本体1の前端中心部内に固定している。この固定手段としては、固定軸体6の後端部を螺合させている支持筒8の外周面から数片の連結リブ8a、8a、8aを放射状に突設し、これらの連結リブ8aの外端を放水筒本体1の前端部内周面に固着、支持させてなるもので、上記デフレクタ7は固定軸体6の軸部前端から放水口4の内周面4aに向かって突設した円板形状に形成されていると共にその外径を放水口4よりも小径で弁座部5の内径よりも大径に形成してあり、弁座部5から前方における放水口4内に配設されている。
【0019】
さらに、このデフレクタ7の外周面は上記放水口4の内周面4aに平行で且つその長さは放水口4の内周面4aよりも短く形成されていて、この外周面と放水口4の内周面4a間で円環形状の外側噴射口9を形成していると共に固定軸体6のデフレクタ7よりも小径の軸体部の外径を上記弁座部5の内径よりも小径に形成してこの軸体部の前端部外周面と弁座部5の内周面との間に外側噴射口9に連通する隙間10を設けてあり、上記放水筒本体1に対して操作筒体2を螺進、即ち、回動操作して前進させることにより、弁座部5の前端面をデフレクタ7の後端面に圧着させて隙間10と外側噴射口9間の連通を遮断して放水口4を閉止状態にする一方、操作筒体2を螺退、即ち、上記と反対方向に回動操作して後退させることにより、弁座部5の前端面をデフレクタ7の後端面から後方に離間させて上記隙間10を外側噴射口9に連通させるように構成している。
【0020】
放水筒本体1内の空間部は消防ホースHと連通した圧力水通路11に形成されていると共にこの通路11は操作筒体2の弁座部5から後方の内周面と固定軸体6の外周面間によって形成され周側放水通路12を通じて上記弁座部5と固定軸体6間の上記隙間10に連通させている。
【0021】
また、固定軸体6の前部内には中央側放水通路13が設けられてあり、この中央側放水通路13の前端をデフレクタ7の中心部から前方に向かって開口した中央噴射口14に形成していると共に該中央側放水通路13の後端から固定軸体6の周壁数箇所を軸心に対して直角に貫通して上記周側放水通路12に連通した流入口15を形成し、この流入口15の開口端を固定軸体6の後部外周面に摺動自在に外嵌した筒状弁体16によって開閉するように構成している。
【0022】
上記筒状弁体16はその外周面から数片の連結片17、17、17を放射状に突設してこれらの連結片17の外端を操作筒体2の内周面に固着することによって筒状弁体16に一体に設けられてあり、さらに、操作筒体2の上記弁座部5がデフレクタ7の後端面に密接して外側噴射口9を閉止している状態においては、この筒状弁体16の前部によって上記流入口15が全面的に閉止されていると共に筒状弁体16の前端部が流入口15の前端から上記放水口4の内周面4aの長さよりも短い長さだけ前方に位置しており、操作筒体2が後退してその後端面が上記放水筒本体1に形成している円環状溝3の溝底面に当接する間に、筒状弁体16の前部が流入口15から全面的に後退して流入口15を開放させるように構成している。
【0023】
さらに、上記中央側放水通路13の後部内には前後方向に貫通した螺旋状の放水路18を設けている。この放水路18は図1、図2に示すように、中心の小径短軸18a の外周面に一巻き状の螺旋羽根18b を一体に設けてなり、この螺旋羽根18b の外周端を中央側放水通路13の後部内周面に固着することによって形成されている。
【0024】
また、放水筒本体1の上記握り面1cの前端部外周面の所定箇所には図4、図6に示すように、指示点19が設けられている一方、操作筒体2の後端部外周面において、該操作筒体2の弁座部5がデフレクタ7の後端面に密接して放水口4を全面的に閉止している状態においては、指示点19と対向する部分に「閉止」の文字を記載してあり、操作筒体2を螺退させて上記放水口4を開口させたのち操作筒体2と一体に後退する筒状弁体16が中央側放水通路13の流入口15を開放する直前に達した状態においては、指示点19と対向する部分に「円筒状」若しくは「棒状」の文字を記載してあり、操作筒体2がその後端面を放水筒本体1の前端部の円環状溝3の溝底に当接等してそれ以上後退しない位置に達した状態においては、指示点19と対向する部分に「噴霧」の文字を記載している。なお、放水筒本体1に対して操作筒体2が相対的に一回転する間に「閉止」から「噴霧」状態になるように構成している。
【0025】
このように構成した消火用放水ノズルは、消火作業時において、放水筒本体1に対して操作筒体2を相対的に螺退させると、弁座部5の前端面がデフレクタ7の後端面に密着している「閉止」状態から図3に示すように、弁座部5がデフレクタ7から後方に離間し、操作筒体2内の周側放水通路12がデフレクタ7と放水口4との対向周面間の外側噴射口9に連通して放水筒本体1内の圧力水が操作筒体2の周側放水通路12を通じて外側噴射口9から噴射する。この際、放水口4とデフレクタ7との対向周面、即ち、外側噴射口9の内外周面は軸心方向に互いに平行に形成されていて「噴霧」状態になるまでは内外方向で対向しているので、この外側噴射口9から噴射する圧力水が中空円筒形状となり、且つ、この状態では固定軸体6内の中央側放水通路13の流入口15は筒状弁体16によって閉止されているから放水口4は全開となっておらず、そのため、外側噴射口9からの圧力水の噴射反動力は小さくて消火用ノズルを火災場所に向かって確実に向けた状態で消火作業を開始することができる。
【0026】
次いで、操作筒体2を放水筒本体1に対してさらに螺退させると、操作筒体2の内周面に連結片17を介して一体に設けている上記筒状弁体16が固定軸体6上を後方に摺動移行して図5に示すように、上記中央側放水通路13の流入口15を開口させ、放水筒本体1内の圧力水通路11から操作筒体2内の周側放水通路12を流通する圧力水が流入口15にも分流して固定軸体6内の中央側放水通路13に流入し、螺旋状の放水路18を旋回しながら通過して中央側放水通路13の前端の中央噴射口14から勢いよく噴霧状に噴射される一方、上記外側噴射口9においてはデフレクタ7が操作筒体2の放水口4の開口端から前方に徐々に突出して上記円筒形状の噴射状態から前方に向かって徐々に拡散噴霧角度を大きくしながらコーン状に噴射し、このコーン状の噴射水の内部に中央側放水通路13の上記前端噴射口14からの圧力水が噴射される。
【0027】
さらに、操作筒体2を、その後端面が放水筒本体1の前端部の円環状溝3の溝底に当接するまで後退させると、筒状弁体16の後退によって流入口15が全面的に開放されて放水口4が全開状態となり、外側噴射口9からコーン状に噴射する中空噴射水内に中央噴射口14からの噴射水が充満したフルコーン状態で放水され、効率よく消火作業が行えるものである。また、放水筒本体1に対して操作筒体2を上記回動方向とは逆方向、即ち、螺進する方向に回動操作すると、一回転以下の回動によってコーン状の噴射状態から円筒形状の噴射状態を経て放水を簡単に停止させることができる。
【0028】
なお、以上の実施の形態においては、固定軸体6内の中央側放水通路13に設けている螺旋状の放水路18として、中心の小径短軸18a の外周面に1巻き状の螺旋羽根18b を設けてなる構造としているが、前後面間に亘って螺旋状に貫通した数個の孔を有する短軸体を中央側放水通路13内に装着しておいてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】放水口を閉止している状態の縦断側面図。
【図2】そのA−A線における縦断正面図。
【図3】外側噴射口から放水している状態の縦断側面図。
【図4】その側面図。
【図5】全面開放状態の縦断側面図。
【図6】その斜視図。
【図7】従来例を示す一部縦断側面図。
【符号の説明】
【0030】
1 放水筒本体
2 操作筒体
4 放水口
5 弁座部
6 固定軸体
7 デフレクタ
9 外側噴射口
12 周側放水通路
13 中央側放水通路
14 中央噴射口
15 流入口
16 筒状弁体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
放水筒本体の前部外周面に前端部を放水口に形成し且つ該放水口の内周面に環状の弁座部を設けてなる操作筒体を前後方向に進退自在に螺合させていると共に、この操作筒体内の中心部に後端部が上記放水筒本体の前端中心部内に固定され且つ前端にデフレクタを一体に設けてなる固定軸体を配設し、上記操作筒体を螺進させて上記弁座部を上記デフレクタの後面に圧着させることにより放水を閉止状態にし、操作筒体を螺退させて上記弁座部を上記デフレクタから後方に離間させることによって放水筒本体内からの圧力水を固定軸体の外周面と弁座部との間の隙間を介してデフレクタの外周面と放水口の内周面間の外側噴射口から放水させるように構成した消火用放水ノズルにおいて、上記固定軸体内に、前端にデフレクタの中心部から前方に向かって開口した中央噴射口を有し且つ後端に操作筒体における弁座部から後方側の内周面と固定軸体との間の周側放水通路に開口している流入口を有する中央側放水通路を設けていると共に、操作筒体の内周面に連結片を介して中心軸体の後部外周面に摺動自在に外嵌した筒状弁体を一体に設け、操作筒体の螺退によってデフレクタから弁座部が所定間隔だけ後方に離間したのちに上記筒状弁体によって上記中央側放水通路の流入口を開放させるように構成していることを特徴とする消火用放水ノズル。
【請求項2】
外側噴射口を形成しているデフレクタの外周面と操作筒体の放水口との対向周面を全長に亘って互いに軸心方向に平行な周面に形成していると共に、操作筒体の弁座部がデフレクタの後端面に密接して放水口を閉止している状態においては、筒状弁体の前端部が中央側放水通路の流入口の前端から一定長さだけ前方部に位置しており、操作筒体が停止位置まで後退した状態においては筒状弁体が上記流入口を開放状態に保持した位置に達するように構成していることを特徴とする請求項1に記載の消火用放水ノズル。
【請求項3】
中央側放水通路内に前後方向に貫通した螺旋状の放水路を設けていることを特徴とする請求項1に記載の消火用放水ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−288871(P2006−288871A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−115714(P2005−115714)
【出願日】平成17年4月13日(2005.4.13)
【出願人】(000155838)株式会社立売堀製作所 (4)
【Fターム(参考)】