説明

消炎鎮痛貼付剤

【課題】ロキソプロフェン又はそのアルカリ付加塩にpH調整剤として特定量のリンゴ酸を含有しているので、粘着基剤中においてロキソプロフェン又はそのアルカリ付加塩を均一に溶解分散させ、ロキソプロフェン又はそのアルカリ付加塩の結晶化を阻止し、かつ粘着剤中における経時的安定性の優れた消炎鎮痛剤の提供を目的とする。
【解決手段】ロキソプロフェン又はそのアルカリ付加塩を含む粘着基剤100質量%に、リンゴ酸を0.5〜1.5質量%含有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩及び特定量のリンゴ酸を含有する外用貼付剤に関する。さらには、L−メントールを配合した場合において、ロキソプロフェンの分子内に有するカルボン酸基とL−メントールとの反応によるロキソプロフェンのL−メントール体の生成を抑制してなる消炎鎮痛貼付剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明において使用する薬効成分であるロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン)は優れた抗炎症作用及び鎮痛作用を有する非ステロイド性消炎鎮痛剤であり、錠剤、細粒剤、シップ剤及びテープ剤などの製剤形態において、関節リウマチ、変形性関節症、腰痛症、筋肉痛、肩関節周囲炎、歯痛、手術後・外傷後の腫脹・疼痛及びその他の各外科・内科領域の炎症性疾患等の治療に汎用されている薬物である。
これまで、経口剤に対しては服用後における胃腸、腎障害等の副作用の発現が報告されており、患者が服用する際には慎重を期す必要があった。そこで、副作用軽減の目的でロキソプロフェンに対する外用製剤の研究開発が積極的に進められ数多くのシップ剤やテープ剤の製品開発がなされている。
例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、クロタミトン及びロキソプロフェンナトリウムとを含有する外用貼付剤(文献1参照)やロキソプロフェン又はその医学的に許容できる塩を有効成分とする消炎鎮痛外用製剤として貼付剤、軟膏剤、クリーム剤、ローション剤又はエアゾール剤が開示(文献2参照)されている。また、ロキソプロフェンナトリウム、ゴム系エラストマー、テルペン系樹脂及び/又は水添ロジンエステルを含有し、更に、酢酸、乳酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、イソステアリン酸、オレイン酸、アジピン酸、安息香酸及びサリチル酸から選ばれた有機酸を含んでなる外用貼付剤(文献3参照)が知られているが、脂環族飽和炭化水素樹脂を使用すると酸性薬物又はアルカリ付加塩の経時的な含量低下を発生するため好ましくない旨記載されており、実際に試験例でもって比較検討されその事実を裏付けされている。更にロキソプロフェンのアルカリ金属塩をそれ自身より強酸性の無機酸であるリン酸でpH調整処理してなる貼付剤(文献4参照)が知られている。
また、分子内にカルボン酸基を有する非ステロイド系消炎鎮痛薬とL−メントール並びにポリエチレングリコール又はポリオキシエチレンステアリルエーテル又はモノステアリン酸ポリエチレングリコールを用いることにより、非ステロイド系消炎鎮痛薬のL−メントールとのエステル化を抑制する方法(文献5参照)が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4157018号公報
【特許文献2】特開2007−291118号公報
【特許文献3】特開2008−214337号公報
【特許文献4】WO2006/048939号公報
【特許文献5】特許第3668728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
熱可塑性弾性体であるゴム系エラストマーなどを使用した場合、ロキソプロフェン又はその付加塩の経皮吸収性が良好で、十分な利用率を有する外用貼付剤を得ることは可能である。しかしながら、ロキソプロフェンの付加塩の粘着基剤に対する溶解性は非常に悪く、更に、ロキソプロフェンナトリウム等の塩形態である薬剤を皮膚からの経皮吸収させることは非常に困難であった。この課題を解決するため、塩形態である非ステロイド系消炎鎮痛剤にpH調節剤としてクエン酸、コハク酸、酒石酸、サリチル酸、酢酸などのオキシ酸類、マレイン酸、フマル酸などの脂肪酸(文献2又は3参照)、リン酸などの無機酸(文献4参照)を添加することにより、粘着基剤中への非ステロイド系消炎鎮痛剤の溶解性を向上させ、かつ経皮吸収性も向上させる方法が提案されている。また、グリコール類を配合することにより非ステロイド系消炎鎮痛薬のL−メントールとのエステル化を抑制する方法(文献5参照)が提案されている。
また、上述したpH調節剤(文献1〜4参照)などを含有させ、粘着基剤中のpHをロキソプロフェンのカルボン酸基の酸解離定数pKaを約4.2以下にすることで、ロキソプロフェンのアルカリ付加塩は粘着基剤中で非解離型のロキソプロフェンとなり、経皮吸収性が改善されることが知られている。
しかしながら、使用するpH調節剤の種類や配合量によっては、粘着基剤中におけるロキソプロフェン又はその付加塩の安定性が損なわれるという課題があった。また、先行技術(文献3参照)においては、粘着付与剤として繁用されている脂環族飽和炭化水素樹脂を使用すると酸性薬物又はアルカリ付加塩の経時的な含量低下を発生するため好ましくないとして否定的な見解が示され課題となっている。また、これらの先行技術文献による製造方法においてはロキソプロフェンが経時的に分解していくという課題があった。
更に、L―メントールを配合した場合、製造段階又は保存中において、ロキソプロフェンとL―メントールが反応してそのエステル化合物が生成し、薬効が阻害されるという課題があった。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、薬効成分であるロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩にpH調節剤として特定量のリンゴ酸を配合し均一に混合することにより、粘着基剤中においてロキソプロフェン又はそのアルカリ付加塩を均一に溶解分散させ、保存時においても薬効成分が結晶析出することなく、粘着基剤中において溶解状態を維持し、かつ粘着基剤中における安定性に優れ、しかも経皮吸収性をより向上させた消炎鎮痛剤の提供を目的とする。また、L―メントールを配合した場合、その製造段階又は保存期間中においてpH調節剤によりフリー体となったロキソプロフェンのL―メントールとのエステル体の生成を抑制するとともに、粘着付与剤として脂環族飽和炭水化物を用い、熱可塑性弾性体及び可塑性の各成分をそれぞれ特定した配合処方とすることによりロキソプロフェン及び/又はアルカリ付加塩の経時的な含量低下を生じさせない消炎鎮痛貼付剤の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、以下の構成を有している。
本発明の請求項1に記載の消炎鎮痛貼付剤は、ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を含む粘着基剤100質量%中にリンゴ酸を0.5〜1.5質量%必須成分として含有する構成を有している。
【0007】
この構成により、以下の作用をが得られる。
(1)特定量のリンゴ酸を含有することにより、ロキソプロフェンの粘着基剤中への溶解性を向上させることができる。
(2)ロキソプロフェン及び/又はアルカリ付加塩の粘着基剤中における経時的な安定性を図ることができる。
【0008】
本発明の請求項2に記載の外用貼付剤は、請求項1において、前記粘着基剤中に、熱可塑性弾性体、脂環族飽和炭化水素樹脂及び可塑剤を含有する構成を有している。
この構成により、請求項1で得られる作用に加え、以下の作用が得られる。
(1)外用貼付剤として製剤的安定性を有する貼付剤及び皮膚刺激性の低い消炎鎮痛貼付剤を得ることができる。
【0009】
本発明の請求項3に記載の外用貼付剤は、請求項1又は2において、前記粘着基剤が、(a)ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を0.3〜8質量%、(b)リンゴ酸を0.5〜1.5質量%、(c)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンスチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジェンゴム、ポリイソブチレン、イソプレン及びシリコンゴムから選ばれる少なくとも1種である熱可塑性弾性体を13〜50質量%、(d)脂環族飽和炭化水素樹脂を15〜38質量%、(e)流動パラフィンからなる可塑剤を23〜50質量%、を含有する構成を有している。
【0010】
この構成により、請求項1又は2で得られる作用に加え以下の作用が得られる。
(1)薬効成分であるロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩の、経時的な安定性を維持できるという作用を有する。
【0011】
本発明の請求項4に記載の外用貼付剤は、請求項1乃至3のうちいずれか一項において、粘着基剤が、(a)ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を0.3〜7質量%、(b)リンゴ酸を0.7〜1.3質量%、(c)スチレン−イソプレンスチレンブロック共重合体を10〜35質量%、(d)ポリイソブチレンを3〜15質量%、(e)脂環族飽和炭化水素樹脂を17〜35質量%、(f)流動パラフィンを25〜47質量%含有している構成を有している。
【0012】
この構成により、請求項1乃至3のうちいずれか一項で得られる作用に加え、以下の作用が得られる。
(1)粘着基剤中での薬効成分の溶解性を向上させるとともに経時的な安定性においても優れている。
(2)貼付時において、皮膚に対する刺激性が見られず副作用が少ない、安全性の高い消炎鎮痛貼付剤を得ることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の外用貼付剤は、請求項1乃至4のうちいずれか一項において、(a)ロキソプロフェンのアルカリ付加塩がロキソプロフェンナトリウムであり、その含量が0.5〜5質量%、(b)リンゴ酸を0.8〜1.2質量%、(c)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を15〜25質量%、(d)ポリイソブチレンを5〜10質量%、(e)脂環族飽和炭化水素樹脂を18〜30質量%、(f)流動パラフィンを30〜45質量%を含有する構成を有している。
【0014】
この構成により、請求項1乃至4のうちいずれか一項で得られる作用に加え、以下の作用が得られる。
(1)粘着基剤中に薬効成分を均一に分散させ溶解しているので、経時的な安定性及び皮膚に対する粘着性を著しく改善することができる。
(2)貼付時において、皮膚に対する刺激性が見られず副作用が少ない、極めて安全性の高い消炎鎮痛貼付剤を得ることができる。
【0015】
本発明の請求項6に記載の外用貼付剤は、請求項1乃至5のうちいずれか一項において、粘着基剤中に、L−メントールを0.1〜10質量%を含有する構成を有している。
【0016】
この構成により、請求項1乃至5のうちいずれか一項で得られる作用に加え、以下の作用が得られる。
(1)分子中にカルボン酸基を有する薬効成分であるロキソプロフェンとL−メントールとのエステル化反応によるロキソプロフェンのL−メントールエステル体の生成を著しく抑制することができ、薬効成分であるロキソプロフェンの安定性維持ならびに良好な経皮吸収性を向上させるとともに、製剤的にもより安定な清涼感を有する消炎鎮痛貼付剤を得ることができる。
(2)L−メントールを添加することにより、薬効成分の溶解作用や経皮吸収促進作用を向上させるとともに、更に貼付時に使用者へ心地よい清涼感を与えることもできる。
【発明の効果】
【0017】
本発明は特定量のリンゴ酸0.5〜1.5質量%を含有することにより、ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を使用した従来の貼付剤よりも、薬効成分であるロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩の粘着基剤中での溶解性、製剤的安定性、経皮吸収性ならびに使用時における安全性に優れ、特に有効成分であるロキソプロフェンの経時的な含量の低下を著しく抑制することのできる消炎鎮痛貼付剤である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】実施例1、実施例2、市販製剤、比較例2、比較例7の経過時間と累積皮膚透過量の経時変化を表す図
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明における薬効成分ならびに各粘着基剤成分について具体的に説明する。
薬効成分は非ステロイド性抗炎症剤として公知である消炎鎮痛作用を有するロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩である。アルカリ付加塩としては医学的に許容されるナトリウム塩、カリウム塩、の様なアルカリ金属塩やカルシウム塩、アンモニウム塩などの無機塩を意味するものである。
薬効成分として使用する場合は実質的にロキソプロフェンのアルカリ付加塩であり、より具体的にはロキソプロフェンナトリウムが好適である。
ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩の含有量は0.3〜8質量%、好ましくは0.3〜7質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲において配合処方される。ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩の含量が0.5質量%未満では、薬効成分の経皮吸収性が少なく十分な消炎鎮痛作用効果は得られ難くなる傾向があり、0.3質量%未満では期待できない。また、5質量%を超えるにつれ、薬効成分の粘着基剤中における溶解が困難となり、8質量%を越えるとそれらが著しいので好ましくない。なお、本発明にて使用されるロキソプロフェンナトリウム(ロキソプロフェンのナトリウム付加塩)は下記で説明するpH調節剤及びその他の基剤成分と共に撹拌練合することにより均一に混合され、粘着基剤中にフリー体とナトリウム付加塩が混在した状態となる。そのため、後に説明するL−メントール(基剤成分、薬効成分又は薬効補助剤として使用)を配合処方した場合、製造段階又は長期保存状態においてロキソプロフェンのフリー体がL−メントールと反応してエステル化合物(副生成物)を生成することが判明した。従って薬効成分であるロキソプロフェンのエステル化を極力抑制する必要があるが、本発明者等は鋭意研究の結果、薬効成分のロキソプロフェンナトリウム及び/又はロキソプロフェンを粘着基剤中に安定的に維持することを可能にした。
【0020】
pH調節剤は、リンゴ酸であり、D体、L体、DL体の光学異性体を含むものである。リンゴ酸の配合量としては0.5〜1.5質量%、好ましくは0.7〜1.3、より好ましくは0.8〜1.2質量%の範囲において配合処方される。リンゴ酸が0.8質量%より少なくなるにつれて、薬効成分の粘着基剤中への溶解性が低下する傾向にあり、0.5質量%未満の場合はその傾向が著しいので好ましくない。また、1.2質量%を超えるにつれ、ロキソプロフェンの経時的な安定性が低下する傾向にあり、1.5質量%を越えるとそれが著しいので好ましくない。リンゴ酸を特定の割合にて配合することにより、ロキソプロフェンは基剤中で経時的に安定な状態で存在し、薬効成分として皮膚からの経皮吸収が良好な貼付剤となすことができる。また、pH調節剤として、リンゴ酸に加え、他の脂肪族ヒドロキシ酸を併用して用いてもよい。脂肪族ヒドロキシ酸としてはグリコール酸、クエン酸、イソクエン酸、酒石酸、ロイシン酸などが挙げられるが、その中でもクエン酸が特に好ましい。これらの脂肪族ヒドロキシ酸を併用すると、粘着基剤中での薬効成分の溶解性がより向上する傾向にあり、適宜使用することができる。
【0021】
次に、粘着基剤について説明する。
粘着基剤は、主に熱可塑性弾性体、粘着付与剤、可塑剤とを含有し、必要に応じて他の添加剤を含有するものである。粘着基剤中における熱可塑性弾性体の配合割合としては13〜50質量%、好ましくは15〜45質量%、より好ましくは20〜40質量%の範囲内で適宜処方され、例えばスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリブタジエンゴム、シリコーンゴム、アクリル系ポリマー(ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、メタクリレート、ヒドロキシエチルアクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシエチルアクリレート及びアクリル酸のうちの少なくとも2種類の共重合体)、天然ゴム、ポリウレタン系ゴムなどが挙げられ、中でも凝集性、耐候性、耐老化性、耐薬品性の観点からスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレンが好ましく、特にスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とポリイソブチレンをブレンドして使用するのが望ましい。
【0022】
上述したスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体としては、カリフレックスTR−1107、TR−1111、TR−1112、TR−1117(商品名、シェル化学(株))、クインタック3530、3421、3570C(商品名、日本ゼオン(株))、JSRSIS−5000、5002(商品名、日本合成ゴム(株))、クレイトンD−KX401CS、D−1107CP、D−1161JP(商品名、シェル化学(株))、ソルプレン428(商品名、フィリップペトロリアム(株))などが挙げられ、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
上記スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体の配合量については、好ましくは10〜35質量%であり、より好ましくは15〜25質量%である。この配合量が上記15質量%より少なくなるにつれ、粘着基剤の凝集力や保型性等が低下する傾向にあり、10質量%未満ではその傾向が著しく好ましくない。他方、上記25質量%を超えると凝集力が増加して粘着力の低下や作業性の低下等を招き易くなる傾向にあり、35質量%を超えるとその傾向が著しく好ましくない。
【0023】
また、ポリイソブチレンとしては、オパノールB−3、B−10、B−15、B−50SF、B−100、B−200(商品名、BASF(株))、ビスタネックスLM−MS、LM−MH、MML−80、LLM−100、LLM−120、LLM−140、エクソンブチル065(商品名、エクソン化学(株))、テトラックス3T、4T、5T、6T(商品名、新日本石油(株))などが挙げられ、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
上記ポリイソブチレンの配合量は、好ましくは3〜15質量%であり、より好ましくは5〜10質量%である。この配合量が上記5質量%より少なくなるにつれ、粘着基剤の粘着力が低下する傾向にあり、3質量%未満ではその傾向が著しく好ましくない。他方、10質量%を超えるにつれ、長期保存時の粘着基剤の保型性が低下する傾向にあり、15質量%を超えるとその傾向が著しく好ましくない。
なお、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体とポリイソブレンをブレンドして使用することにより、粘着基剤である熱可塑性弾性体としてより良い物性を得ることができる。
【0024】
粘着付与剤としては、ロジン系樹脂及び石油系樹脂が配合処方される。
ロジン系樹脂としては、天然樹脂ロジン、変性ロジン、ロジンエステル(ロジングリセリンエステル、ロジンペンタエリスリトールエステルなど)、水添ロジングリセリンエステルが挙げられ、中でも皮膚刺激性、耐老化性の観点から水添ロジングリセリンエステルが特に好ましい。このようなロジン系樹脂としては、具体的にはエステルガムH(商品名、荒川化学工業(株))、パインクリスタルKE−100、KE−311(商品名、荒川化学工業(株))、フォーラル85、105(商品名、理化ハーキュレス(株))、ステベライトエステル7、10(商品名、理化ハーキュレス(株))などが挙げられ、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0025】
また、石油系樹脂としては、C5系合成石油樹脂(イソプレン、シクロペンタジエン、1,3−ペンタジエン、1−ペンテンのうちの少なくとも2種の共重合体;2−ペンテン、ジシクロペンタジエンのうちの少なくとも1種の共重合体;1,3−ペンタジエン主体の樹脂など)、C8〜C9系合成石油樹脂(インデン、スチレン、メチルインデン、αメチルスチレンのうちの少なくとも2種の共重合体など)、ジシクロペンタジエン系合成石油樹脂(ジシクロペンタジエンを主体とするイソプレン及び/又は1,3−ペンタジエンとの共重合体など)などが挙げられ、耐候性、粘着基剤との相溶性の観点からするとC9系合成石油樹脂が好ましい。
また、石油系樹脂としては、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂環族系水添石油樹脂、脂肪族系石油樹脂(脂肪族系炭化水素樹脂)、脂肪族系水添石油樹脂、芳香族系石油樹脂などが挙げられ、粘着力、粘着基剤との相溶性、耐老化性の観点から脂環族系飽和炭化水素樹脂が特に好ましい。
このような石油系樹脂としては、具体的にはアルコンP−70、アルコンP−90、アルコンP−100、アルコンP−115、アルコンP−125(商品名、荒川化学工業(株))などが挙げられ、1種又は2種以上を組合せて使用することができる。
【0026】
粘着付与剤の配合量は、15〜38質量%であり、好ましくは17〜35質量%、より好ましくは18〜30質量%である。配合量については18質量%よりも少なくなるにつれ、長時間の貼付を可能とする十分な粘着力が得にくい傾向があり、15質量%より少なくなるとこの傾向が著しいので好ましくない。他方、30質量%を超えるにつれ、剥離時の痛みが発生し易く、また、皮膚のかぶれが発生し易くなる傾向が見られ、38質量%を越えるとこの傾向が著しいので好ましくない。
【0027】
次に可塑剤について説明する。
可塑剤としては、流動パラフィン、石油系オイル(パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル等)、スクワラン、スクワレン、植物系オイル(オリーブ油、ツバキ油、ヒマシ油、トール油、ラッカセイ油等)、シリコンオイル、二塩基酸エステル(ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等)、液状ゴム(ポリブテン、液状イソプレンゴム等)、サリチル酸グリコール等が挙げられ、中でも流動パラフィンが特に好ましい。
このような可塑剤は2種以上混合して用いても良く、十分な透過性及び貼付剤としての十分な凝集力の維持を考慮し、好ましくは23〜50質量%、より好ましくは25〜47質量%、特に好ましくは30〜45質量%の範囲内で使用するのが良い。
【0028】
L−メントールは、薬効成分であるロキソプロフェンに対する溶解作用を目的とした溶解剤又は薬効成分の経皮吸収性を高めるための経皮吸収促進剤又は薬効成分あるいは薬効補助剤又は清涼感を持たせるための清涼化剤等としての使用目的で配合処方される。L−メントールの配合量が少ないと前述の使用目的は達成されにくい。また、配合量が多いと清涼感が強くなりすぎ、また、ロキソプロフェンとのエステル体の生成量が増加し、その薬効が低くなるので好ましくない。
そのため、L−メントールの配合量としては0.1〜10質量%、好ましくは0.3〜8質量%、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲内で使用するのが好ましい。なお、L−メントールとリンゴ酸は、前述のエステル体の生成において影響を及ぼすため特定範囲の配合量においてそれぞれバランスよく使用することが好ましく、特にL−メントール0.5〜5質量%及びリンゴ酸0.8〜1.2質量%の組み合わせで配合することが特に好ましい。
【0029】
その他薬効補助剤としてトウガラシ末、トウガラシエキス、トウガラシチンキ、カプサイシン、ノニル酸バニリルアミド、ニコチン酸ベンジルなどの温感刺激物を配合することにより温感貼付剤とすることも可能である。
更に、公知である冷感作用化合物、例えばL−メントール類縁化合物などを清涼化剤として使用することもできる。
また、吸収促進剤として公知であるオレイン酸、オレイルアルコール、L−メントール、クロタミトン、Nメチル−2−ピロリドンなどを用いると薬物の皮膚透過性がより向上するので好ましい。吸収促進剤は、発赤、浮腫等の皮膚への刺激性等を考慮して適宜配合される。
【0030】
粘着基剤中に充填剤、架橋剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、防腐剤等をさらに配合してもよい。このような充填剤としては、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、亜鉛酸カルシウム、酸化亜鉛、酸化チタン、架橋剤としては、アミノ樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポリエステル等の熱硬化性樹脂、イソシアネート化合物、ブロックイソシアネート化合物、有機系架橋剤、金属又は金属化合物等の無機系架橋剤、抗酸化剤としては、トコフェロール及びこれらのエステル誘導体、アスコルビン酸、アスコルビン酸ステアリン酸エステル、ノルジヒトログアヤレチン酸、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール等、紫外線吸収剤としては、p−アミノ安息香酸誘導体、アントラニル酸誘導体、サリチル酸誘導体、クマリン誘導体、アミノ酸系化合物、イミダゾリン誘導体、ピリミジン誘導体等の公知の化合物、防腐剤としては、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸ブチル等が好適に用いられる。
このような充填剤、架橋剤、抗酸化剤、紫外線吸収剤、防腐剤などは、所望により適宜配合される。
【0031】
本発明により、シップ剤、ゲル状製剤及びテープ剤などの形態の外用貼付剤を製造することができる。なお、含水性のシップ剤又はゲル状製剤を製造する場合は、公知又は周知のシップ剤又はゲル状製剤を処方するに必要な基剤成分を配合し目的とする製剤を得ることができる。なお、本発明においては実質的に非水系のテープ剤が最良の製剤形態である。
【0032】
上記の諸成分を用いて調製される本発明の消炎鎮痛貼付剤の粘着剤層の厚さは50〜200μmであることが好ましく、厚さが50μm未満では皮膚への貼付性の持続力が低下し、薬効成分の皮膚透過性が不十分となる傾向にあり、他方、厚みが200μmを超えると凝集力や保型性が低下し、皮膚に対し粘着剤があと残りする傾向にある。
支持体としては、薬効成分の放出に影響しないものが望ましく、伸縮性又は非伸縮性のものが用いられる。支持体の材料としては、ポリウレタン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリエステル、ナイロン等の合成樹脂のフィルム、シート、シート状多孔質体、シート状発泡体、紙、織布又は不織布あるいはこれらの積層体等が挙げられる。貼付剤の支持体としては、特に伸縮性の支持体が皮膚への追従性に対して最適である。
なお、これらの支持体においては、ウイルスなどを分解する能力を有する光触媒を使用した特殊加工の支持体も使用できる。支持体の厚さとしては50〜1000μmのものが好適に用いられる。
また、粘着剤層を覆う剥離フィルムはシリコン処理を施した剥離紙、セロファン又はポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等の合成樹脂フィルムが挙げられる。その厚さとしては25〜100μmが好ましい。
【0033】
次に、本発明の消炎鎮痛貼付剤の製造方法の好適な一例について説明する。
先ず、粘着剤層を構成する諸成分(薬効成分、pH調節剤、メントール等以外)をそれぞれ所定の割合で窒素等の不活性ガス雰囲気下あるいは減圧下で加熱混合し、つぎに薬効成分他、pH調節剤、メントール等を添加した後に更に撹拌して均一な溶解物を得る。又は上記諸成分及び薬効成分をそれぞれ所定の割合となるように有機溶剤(ヘキサン、トルエン、酢酸エチル等)に添加し、撹拌して混合し均一な溶解物を得てもよい。
次に、この溶解物を通常の方法で直接支持体上に展延し、剥離フィルムで覆った後に所望の形状に切断するか、あるいは一旦この溶解物を剥離フィルム上に展延し、更に支持体を被せて溶解物を支持体上に圧着転写させた後に所望の形状に切断しても良い。
また、有機溶剤を用いて均一な溶解物を得ている場合は、支持体上に展延後乾燥機により乾燥して有機溶剤を揮発除去させた後に剥離フィルムで覆うか、あるいは剥離フィルムに展延後乾燥機により乾燥して有機溶剤を揮発除去させた後に支持体を圧着転写しても良い。
なお、前記製造方法における各基剤成分、薬効成分、その他の添加成分を配合する順序はその一例を述べたものであり、消炎鎮痛貼付剤の製造方法はこの配合順序の方法に特に限定されるものではない。
【実施例】
【0034】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。なお、実施例及び比較例における各基剤成分の数値は粘着基剤全量を100質量%とし、それに対する質量%を意味するものである。
【0035】
(実施例1)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(実施例1)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0036】
(実施例2)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 21.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 7.0
(商品名:オパノールB50SF、BASF)
(4)流動パラフィン 32.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 30.8
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.2
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(実施例2)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0037】
(実施例3)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 7.0
(商品名:オパノールB50SF、BASF)
(4)流動パラフィン 36.2
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0
(商品名:アルコンP−90、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.8
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(実施例3)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0038】
(実施例4)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 30.0
(商品名:クレイトンD−KX401CS、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 8.0
(商品名:オパノールB50SF、BASF)
(4)流動パラフィン 33.2
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 20.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.5
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)クエン酸 0.3
(商品名:くえん酸一水和物、和光純薬工業)
(8)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、クエン酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(実施例4)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0039】
(比較例1)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.1
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.5
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.4
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(比較例1)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0040】
(比較例2)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.4
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.5
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.1
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(比較例2)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0041】
(比較例3)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.5
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.5
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(比較例3)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0042】
(比較例4)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)クエン酸 1.0
(商品名:くえん酸一水和物、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、クエン酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(比較例4)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0043】
〈試験例1(溶解試験)〉
実施例1〜4及び比較例1〜4の製造直後及び60℃の恒温下で乾燥器に4週間保存後の粘着基剤の一部をガラスプレート上に採取し、肉眼及び顕微鏡で粘着基剤中の薬物溶解性を以下の基準で観察した。結果を表1に示す。
○:結晶なし(完全溶解)
△:わずかに結晶あり
×:結晶あり(不溶)
【0044】
【表1】

【0045】
(表1)に示されるように、リンゴ酸を特定の配合割合にて処方した実施例1〜4の消炎鎮痛貼付剤では製造直後において、薬物が完全に溶解し、60℃条件下で4週間保存した後も薬物結晶が観察されなかった。すなわち、実施例1〜3の消炎鎮痛貼付剤では薬物結晶が全く観察されず、完全に溶解していた。リンゴ酸とクエン酸を混合した実施例4においても薬物結晶が全く観察されず、完全に溶解していた。
それに対し、リンゴ酸を無配合又は少量配合した比較例1〜3、クエン酸を配合した比較例4の消炎鎮痛貼付剤では薬物が完全に溶解しなかった。本結果から、本発明の消炎鎮痛貼付剤は粘着基剤中における薬効成分(ロキソプロフェン又はその付加塩)の溶解性に優れた消炎鎮痛貼付剤であることが確認された。
【0046】
(実施例5)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 6.5
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.5
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜4の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0047】
(比較例5)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:エクソンブチル065、エクソンモービル)
(4)流動パラフィン 32.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0
(商品名:アルコンP−90、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 3.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(比較例5)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0048】
(比較例6)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 4.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 32.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 28.0
(商品名:YSレジンPXN1150N、ヤスハラケミカル)
(6)マクロゴール6000 5.0
(商品名:マクロゴール6000、三洋化成工業)
(7)リンゴ酸 3.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(8)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及びテルペン樹脂を加熱撹拌して混合した後、マクロゴール6000、リンゴ酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(比較例6)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0049】
〈試験例2(安定性試験)〉
実施例1〜5及び比較例5,6の消炎鎮痛貼付剤をアルミニウム製の袋に入れ、ヒートシーラーを用いて密封し、60℃の恒温下で乾燥器に4週間保存後、粘着基剤中のロキソプロフェンナトリウム含量及び分解物(L−メントールエステル体)を測定した。
【0050】
また、保存開始時の含量に対するロキソプロフェンナトリウム含量比(%)を求め、粘
着剤中における薬効成分であるロキソプロフェンナトリウムの安定性を評価した。結果を
表2に示す。
【0051】
【表2】

【0052】
(表2)に示されるように、リンゴ酸を特定の配合割合にて処方した実施例1〜3と5、リンゴ酸とクエン酸を併用して処方した実施例4の消炎鎮痛貼付剤は60℃条件下で4週間保存した後も薬効成分(ロキソプロフェン又はその付加塩、以下薬効成分と略記する)の含量はほとんど変化が認められず、分解物であるL−メントールエステル体の生成量も少なかった。中でも実施例1〜4の薬効成分の安定性は極めて良好であったが、実施例5ではごく僅かながらも薬効成分の含量低下とL−メントールエステル体生成の傾向があった。それに対し、比較例5〜6の消炎鎮痛貼付剤は、リンゴ酸の配合量が増量するに従い分解物であるL−メントールエステル体の生成量が著しく増加する傾向が見られ、薬効成分の含量の減少傾向が認められた。本結果から、本発明の消炎鎮痛貼付剤は粘着基剤中における薬効成分の含量の低下及び分解物の生成量が著しく抑制され、薬効成分の保持安定性に優れた消炎鎮痛貼付剤であることが確認された。
【0053】
(比較例7)
下記組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 18.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 36.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)乳酸 1.0
(商品名:乳酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
〈製法〉
スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、ポリイソブチレン、流動パラフィン及び脂環族飽和炭化水素樹脂を加熱撹拌して混合した後、乳酸、L−メントール及びロキソプロフェンナトリウムを加え、加熱混合して均一な溶融物を得た。この溶融物を、ドクターナイフ塗工機を用いて、厚さが140μmになるようにポリエチレンテレフタレートフィルム上に展延し粘着層を形成し、伸縮性の織布を積層することで(実施例7)の消炎鎮痛貼付剤を作成した。
【0054】
<試験例3(in vitro皮膚透過試験)>
ヘアレスマウス(雌、7週齢)の背部から皮膚を摘出し、皮下脂肪を取り除いた後,直径20mmの円形に打ち抜き、皮膚を採取した。直径13mmの円形に打ち抜いた実施例1〜2、比較例2、7及びロキソニンRテープ50mg(商品名、第一三共株式会社)を皮膚の角質層側に貼付し、横型拡散セルに装着した。拡散セルの外部ジャケット内に37℃の温水を循環させ、セル内部を一定の温度条件に保ち、レセプター側の拡散セルには、pH7.4に調製したリン酸塩緩衝液を充満させ、攪拌子で攪拌しながら、経時的に0.1mlずつサンプリングした。サンプリング後のレセプター溶液には、同量のpH7.4のリン酸塩緩衝液を添加した。サンプリングにより採取した溶液を高速液体クロマトグラフィ(HPLC)にて分析し、薬物濃度を測定した。その結果を表3及び図1に示す。表3および図1に示すように、実施例1〜2の製剤は、市販製剤と同程度の皮膚透過性を示し、比較例2、7の製剤よりも多量の薬物を皮膚透過した。従って、実施例1〜2の製剤が優れた薬剤の経皮吸収性を示すことが確認された。
【0055】
試験例2(安定性試験)及び試験例3(in vitro皮膚透過試験)の結果から、本発明の消炎鎮痛貼付剤は粘着剤中での薬剤の安定性および粘着剤からの経皮吸収性に優れたものであることが分かった。
【0056】
【表3】

【0057】
(実施例6)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 19.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.5
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 37.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 0.5
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0058】
(実施例7)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 5.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 35.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 26.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0059】
(実施例8)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 3.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 22.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 10.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 45.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 18.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 1.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0060】
(実施例9)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 20.0
(商品名:クレイトンD−1161JP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 10.0
(商品名:オパノールB80、BASF)
(4)流動パラフィン 31.8
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 28.0
(商品名:アルコンP−90、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.2
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 4.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0061】
(実施例10)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 5.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 4.0
(商品名:テトラックス3T、新日本石油)
(4)流動パラフィン 42.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)水素添加ロジングリセリンエステル 21.5
(商品名:KE311、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.5
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 2.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0062】
(実施例11)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 1.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 21.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 6.5
(商品名:テトラックス3T、新日本石油)
(4)流動パラフィン 32.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 35.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)クエン酸 0.5
(商品名:くえん酸一水和物、和光純薬工業)
(8)L−メントール 3.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0063】
(実施例12)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 0.5
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 24.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 7.7
(商品名:テトラックス3T、新日本石油)
(4)流動パラフィン 37.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 0.8
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0064】
(実施例13)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェンナトリウム 0.3
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 23.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 5.0
(商品名:テトラックス3T、新日本石油)
(4)流動パラフィン 37.7
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 30.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)クエン酸 0.5
(商品名:くえん酸一水和物、和光純薬工業)
(8)L−メントール 2.5
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0065】
(実施例14)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェン 3.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 15.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:テトラックス3T、新日本石油)
(4)流動パラフィン 30.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)テルペン樹脂 35.0
(商品名:YSレジンPXN1150N、ヤスハラケミカル)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 7.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【0066】
(実施例15)
以下の組成及び製法により、消炎鎮痛貼付剤を製造した。
〈組成〉
(1)ロキソプロフェン 8.0
(2)スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体 25.0
(商品名:クレイトンD−1107CP、JSRクレイトン
エラストマー)
(3)ポリイソブチレン 9.0
(商品名:テトラックス3T、新日本石油)
(4)流動パラフィン 34.0
(商品名:ハイコールM−352、カネダ)
(5)脂環族飽和炭化水素樹脂 18.0
(商品名:アルコンP−100、荒川化学工業)
(6)リンゴ酸 1.0
(商品名:DL−リンゴ酸、和光純薬工業)
(7)L−メントール 5.0
(商品名:L−メントール、小城製薬)
実施例1〜5の方法に準じて目的とする消炎鎮痛貼付剤を製造した。
【産業上の利用可能性】
【0067】
上述したように、薬効成分であるロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を含有する粘着基剤に対して、pH調節剤としてリンゴ酸を特定の配合量にて処方し、各粘着基剤成分をそれぞれ特定した配合組成とすることにより、粘着基剤中に対する薬効成分の溶解性向上、経時安定性ならびに経皮吸収性の向上が図られるとともに、皮膚に対する刺激性も見受けられないか、もしくは著しく緩和され、副作用が極めて少ない安全性の高い経皮適用を目的とした消炎鎮痛貼付剤とすることができる。また、L−メントールを配合した貼付剤とした場合、ロキソプロフェンのL−メントールエステル体の生成を著しく抑制することが可能となり、分解生成物の皮膚安全性に対する影響も殆どなく、薬効成分であるロキソプロフェン自体の有効な経皮吸収性を改善することができる。このように本発明における消炎鎮痛貼付剤は粘着基剤中での薬効成分の溶解性向上、経時安定性、経皮吸収性ならびに使用時における安全性に優れ、肩痛、関節痛、腱鞘炎、肘痛、腰痛症、筋肉痛等の治療を目的とした消炎鎮痛貼付剤として産業上大変有用である。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を含む粘着基剤100質量%に、リンゴ酸を0.5〜1.5質量%含有することを特徴とする消炎鎮痛貼付剤
【請求項2】
前記粘着基剤中に、熱可塑性弾性体、脂環族飽和炭化水素樹脂及び可塑剤を含有することを特徴とする請求項1記載の消炎鎮痛貼付剤。
【請求項3】
前記粘着基剤中に、ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を0.3〜8質量%、リンゴ酸を0.5〜1.5質量%、熱可塑性弾性体がスチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジエンスチレンブロック共重合体、スチレン−ブタジェンゴム、ポリイソブチレン、イソプレン及びシリコンゴムから選ばれる少なくとも1種である熱可塑性弾性体を13〜50質量%、脂環族飽和炭化水素樹脂を15〜38質量%、可塑剤である流動パラフィンを23〜50質量%を含有することを特徴とする請求項1又は2のうちいずれか一項に記載の消炎鎮痛貼付剤。
【請求項4】
前記粘着基剤中に、ロキソプロフェン及び/又はそのアルカリ付加塩を0.3〜7質量%、リンゴ酸を0.7〜1.3質量%、スチレン−イソプレンスチレンブロック共重合体を10〜35質量%、ポリイソブチレンを3〜15質量%、脂環族飽和炭化水素樹脂を17〜35質量%、流動パラフィンを25〜47質量%を含有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項に記載の消炎鎮痛貼付剤。
【請求項5】
前記粘着基剤中に、ロキソプロフェンのアルカリ付加塩としてロキソプロフェンナトリウムを0.5〜5質量%、リンゴ酸を0.8〜1.2質量%、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体を15〜25質量%、ポリイソブチレンを5〜10質量%、脂環族飽和炭化水素樹脂を18〜30質量%、流動パラフィンを30〜45質量%含有することを特徴とする請求項1乃至4のうちいずれか一項に記載の消炎鎮痛貼付剤。
【請求項6】
前記粘着基剤中に、L−メントールを0.1〜10質量%を含有することを特徴とする請求項1乃至5のうちいずれか一項に記載の消炎鎮痛貼付剤。



【図1】
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【公開番号】特開2010−280634(P2010−280634A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−136733(P2009−136733)
【出願日】平成21年6月5日(2009.6.5)
【出願人】(591154577)共立薬品工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】