説明

消臭剤および消臭方法

【課題】 低級アルキル(メタ)アクリレートの臭気を低減もしくは感知しない程度にできる消臭剤と消臭方法を提供する。
【解決手段】 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とからなる消臭剤であって、低級アルキル(メタ)アクリレートに接触させることにより低級アルキル(メタ)アクリレートの刺激臭を消臭できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消臭剤と消臭方法に関し、さらに詳しくは、低級アルキル(メタ)アクリレートの臭気を低減もしくは感知しない程度にできる消臭剤と消臭方法に関する。
【背景技術】
【0002】
メチルアクリレート、エチルアクリレート等の低級アルキル(メタ)アクリレートは合成樹脂、合成ゴム、塗料用バインダー等の各種製品の原料となるモノマーとして有用である。
しかしながら、低級アルキル(メタ)アクリレートは特有の臭気を有しており、製品製造時および製品使用時に悪臭を発するため、臭気を低減することが望まれている。
例えば、特許文献1には、低級アルキル(メタ)アクリレートを輸送した後の空容器内の消臭剤としてトリエチレンテトラミンが有効であることが開示されている。しかし、開示の消臭剤は消臭効果が十分でなく、また、水との混合物であることで乾燥時の問題や塗料に用いた時に塗膜強度が弱くなる欠点を有している。
また、特許文献2には、塗料、接着剤、コーティング剤などに有用なアクリル系重合体エマルジョンの脱臭方法に関し、キノリン化合物、フェナントロリン化合物などで安定化されたヒドロキシアミンの添加による脱臭方法が開示されている。しかし、開示の脱臭剤は脱臭効果が十分でなく、水性であるため乾燥に時間を要する欠点を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−29577
【特許文献2】特開平6−73121
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そこで、本発明は前記従来技術の欠点を有さず、低級アルキル(メタ)アクリレートの臭気を低減もしくは感知しない程度にできる消臭剤と消臭方法を提供することを目的とする。
本発明者等はかかる目的を達成するべく鋭意検討の結果、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とを組み合わせて得られる消臭剤によって、さらには、これに香料を加えた消臭剤によって、低級アルキル(メタ)アクリレートの臭気を低減もしくは感知しない程度にできることを知見した。
本発明はかかる知見に基づきなされたもので、本発明の消臭剤は請求項1記載の通り、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とからなることを特徴とする。
また、請求項2記載の消臭剤は、請求項1記載の消臭剤において、さらに、香料を含ませてなることを特徴とする。
また、請求項3記載の消臭剤は、請求項1記載の消臭剤において、前記ポリオキシエチレン硬化ひまし油20〜60重量%、非イオン系界面活性剤1〜15重量%、陰イオン系界面活性剤30〜70重量%の配合割合であることを特徴とする。
また、請求項4記載の消臭剤は、請求項2記載の消臭剤において、硬化ひまし油20〜60重量%、非イオン系界面活性剤1〜15重量%、陰イオン系界面活性剤30〜70重量%、香料0.01〜10重量%の配合割合であることを特徴とする。
また、請求項5記載の消臭剤は、請求項1又は2記載の消臭剤において、前記非イオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの何れか一種以上であることを特徴とする。
また、請求項6記載の消臭剤は、請求項1又は2記載の消臭剤において、前記陰イオン系界面活性剤が、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムの何れか一種以上であることを特徴とする。
また、請求項7記載の消臭剤は、請求項2記載の消臭剤において、前記香料がシトオネラオール、リモネン、リナロール、オイゲノールの何れかを一種以上を含むものであることを特徴とする。
また、本発明の消臭方法は、請求項8記載の通り、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とからなる消臭剤を低級アルキル(メタ)アクリレートに接触させることからなる。
また、請求項9記載の消臭方法は、請求項8記載の消臭方法において、前記消臭剤はさらに香料を含むものであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0005】
本発明によれば、消臭剤をポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とで構成したため、低沸点の低級アルキル(メタ)アクリレートを溶解させ、硬化時に重合させて高分子量化させることにより臭気を低減させることができる。また、前記消臭剤に香料を加えることで、香料のマスキング効果との相乗作用により、消臭効果を高めることでき、特に、香料中にシトオネラオール、リモネン、リナロール、オイゲノール等の化合物が含まれる場合は、これら化合物が低級アルキル(メタ)アクリレートを溶解させ、或いは、何らかの化学反応が生じ、臭気を感知させない程度にまで臭気を低減させることができる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
本発明の消臭剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とを必須の成分とする。そして、これに香料を加えることで、さらに優れた消臭効果を備えた消臭剤となる。
【0007】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(ポリオキシエチレングリセリルトリオキシステアラート)の消臭剤中の配合割合が20重量%未満では消臭効果が十分発揮されず、また、60重量%を超えるとコスト高および消臭剤が粘稠となりハンドリングが難しいので、消臭剤中の配合割合は、20〜60重量%、特に30〜60重量%とするのが好ましい。
【0008】
前記非イオン系界面活性剤としては、具体的には、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルセチルエーテル、ポリオキシエチレン−ポリオキシプロピレンブロックコポリマー、市販品では松本油脂製SG-3等が挙げられる。尚、非イオン系界面活性剤の中でもポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)エーテルとポリオキシエチレンラウリルエーテルが消臭に効果がある。
非イオン系界面活性剤の消臭剤中の配合割合が1重量%未満では消臭効果が十分発揮されず、また、15重量%を超えると低級アルキル(メタ)アクリレートに混合した際、低級アルキル(メタ)アクリレートの重合が遅くなることやコスト面で不利であるので、消臭剤中の配合割合は、1〜15重量%、特に1〜10重量%とするのが好ましい。
【0009】
前記陰イオン系界面活性剤としては、具体的には、ジアルキルスルホサクシネートやジオクチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)スルホコハク酸二ナトリウム、ポリオキシエチレンスルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸ラウリル二ナトリウム、スルホコハク酸ポリオキシエチレンラウロイルエタノールアミド二ナトリウム等が挙げられる。尚、陰イオン系界面活性剤の中でもジオクチルスルホコハク酸ソーダとポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムが消臭に効果がある。
陰イオン系界面活性剤の消臭剤中の配合割合が30重量%未満では消臭効果が十分発揮されず、また、70重量%を超えると消臭剤成分中の水分量が多くなり、消臭効果が低下しかつ乾燥時間も長くなるので、消臭剤中の配合割合は、30〜70重量%、特に35〜65重量%とするのが好ましい。
【0010】
前記香料としては、ペパーミント、ハッカ、ヒノキ、ラベンダー、ユーカリ、シトオネラオール、ライム、リモネン、リナロール、メントール、オイゲノール等の植物精油、天然香料、合成香料などが挙げられる。さらに、前記記載の合成香料として天然香料や植物精油などから混合したものなども含まれる。また、これらを原料とし配合した香料、なかでも石鹸臭、オレンジ臭などの調合香料が好ましい。
この香料の消臭剤中の配合割合が0.01重量%未満では消臭効果が十分発揮されず、また、10重量%を超えるとコスト高となり香料臭が強すぎて好ましくないため、消臭剤中の配合割合は、0.01〜10重量%、特に0.05〜5重量%とするのが好ましい。
香料の添加による消臭効果は、マスキング効果に加え、香料中にシトオネラオール、リモネン、リナロールオイゲノール等の化合物が含まれる場合、低級アルキル(メタ)アクリレートを溶解し、何らかの化学反応が生じ消臭に関与していると推定される。
【0011】
前記本発明の消臭剤によれば、低級アルキル(メタ)アクリレートを含む製品製造時および製品使用時に、原料単量体の臭気および製品中の未反応重合性単量体の臭気を低減もしくは感知しない程度にすることができる。
本発明消臭剤の好ましい使用の態様としては、低級アルキル(メタ)アクリレートに無溶剤で消臭剤を添加し、硬化するようにした塗料としたり、或いは、重合性単量体に消臭剤を添加してアクリル系合成樹脂を製造すること等が挙げられる。前記塗料の利用としては、コンクリート、アスファルトなどの床面、壁面に塗工するコーティング剤や道路用に好んで使用できる。
【0012】
尚、前記のように本発明の消臭剤を含ませて、低級アルキル(メタ)アクリレートから製造される合成樹脂、重合性単量体および重合体を含有した塗料乃至コーティング剤などに顔料を添加することができる。即ち、顔料存在下に本発明の消臭剤を共存させることが可能である。
顔料としては石膏などの天然無機顔料、コバルトブルー、カドミウムイエロー、炭酸カルシウムなどの合成無機顔料、ビチューメンなどの天然有機顔料、フタロシアニンブルー、ファーストイエローなどの合成有機顔料などが使用でき、中でも有機溶剤とのなじみ易さから有機顔料が好ましい。
塗料中における顔料の添加量は塗料乃至コーティング剤に対して0.1〜20重量%が適当である。
また、顔料の凝集を防ぐために顔料分散剤を添加することができる。
分散剤の添加量は塗料乃至コーティング剤に対して0.01〜0.3重量%である。
【0013】
また、前記のように本発明の消臭剤を含ませて、低級アルキル(メタ)アクリレートから製造される合成樹脂、重合性単量体および重合体を含有した塗料乃至コーティング剤などに骨材を添加することができる。即ち、骨材存在下に本発明の消臭剤を共存させることが可能である。
骨材としては重合時に発生する重合性単量体臭を吸収させる効果がある、砂、硅砂、石英砂や亜鉛白、炭酸カルシウム、アルミナ、ガラスビーズなどが挙げられる。粒径が平均粒径で50ミクロン以上が好ましい。その添加量は塗料乃至コーティング剤に対して0〜100重量%、特に0.5〜50%重量%が好ましい。
【0014】
低級アルキル(メタ)アクリレートおよびこれを含有する塗料における硬化する際および樹脂製造時の硬化触媒としては通常の触媒を使用することができる。例えば、メチルエチルケトンパーオキサイド、ベンゾイルパーオキサイド、シクロヘキサノンパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイドなどを例示できる。
その添加量は低級アルキル(メタ)アクリレートから製造される重合体、或いは、塗料に対し0.25〜5重量%、より好ましくは0.5〜2重量%である。
硬化触媒は、硬化に関し温度の影響を受けるため、硬化時間の調節や冬季、夏季に合わせその使用量を調節することが可能である。
【0015】
硬化促進剤としては活性ラジカルの発生を容易にする作用のある物質であれば特に制限されるものではなく、例えばナフテン酸コバルト、オクテン酸コバルト、コバルトアセチル、アセテート、ジメチルアニリンなどが用いられる。
その添加量は低級アルキル(メタ)アクリレートから製造される重合体、或いは、塗料に対し0.01〜5重量%であり、より好ましくは0.05〜2重量%である。
【0016】
低級アルキル(メタ)アクリレートの硬化時間の調節や、可使時間の調節などから塗料の場合は2液に分離し、一方の液に硬化促進剤、別の液に硬化剤と消臭剤を含有させることが望ましい。2液の分離割合は重量比で1:1とする。施工や塗布直前に2液を混合し硬化させることが望ましい。
【0017】
本発明の消臭剤を含有させた塗料の場合、好ましい可使時間は5〜30分であり、硬化剤により調節することができる。
【0018】
アクリル系合成樹脂、塗料の粘度調整などを目的とした可塑剤としては、ジブチルフタレートなどのフタル酸エステル類やエポキシ化脂肪酸エステルなどのエポキシ系高分子可塑剤が挙げられ当業者に周知の可塑剤を使用できる。
【0019】
合成樹脂および塗料等の耐薬品性を向上させる目的でエチレングリコール(メタ)アクリレートなどや耐汚れ性を向上させるためにパラフィンワックスなどが使用される。
【実施例】
【0020】
以下に実施例により本発明消臭剤および消臭方法をさらに具体的に説明するが、本発明は実施例によりなんら制限されるものではない。
【0021】
(実施例1)
〈消臭剤の調製〉
固形状のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油300gを秤量し攪拌機を備えたジャケット付きステンレス製2リッター容器に加え溶解させ、ついでポリオキシエチレンアルキルエーテル50gと、ジオクチルコハク酸ソーダ420gとプロピレングリコール(PGと略す)90gと水90gからなる成分を600g添加し均一溶液とした。さらに石鹸香料50gを添加し室温で1時間攪拌して消臭剤を調製した。
【0022】
〈塗料組成物の調製〉
メタクリル酸メチル40重量%、アクリル酸2−エチルヘキシル20重量%、メタクリル酸メチル(MMA)とアクリル酸ブチル(BA)(MMA/BA=90/10)の共重合体25重量%、フィラー(黒色有機顔料、酸化チタン、中空ビーズ)12重量%からなる前段階塗料組成物を得た。
前段階塗料組成物を2液(I液:II液重量比 1:1)に分けI液には促進剤、II液には硬化剤と消臭剤を含ませた。促進剤としてミネラルスピリット中5重量%ナフテン酸コバルト含有液を1重量%、I液に添加し、硬化剤としてベンゾイルパーオキサイドを2重量%、上記消臭剤を2重量%、II液に添加した。
【0023】
〈消臭率の試験方法〉
消臭剤の効果を確認するため、次のようにして消臭率を試験した。
アルミホイル製平底カップ(縦6cm×横10cm×深さ3cm)に塗料組成物I液、II液を各1g秤量し、アルミホイル上で1分攪拌し、その後9分静置した。9分後、3リッターフラスコ内にサンプルを置き密閉状態にし、さらに10分間静置し、その後エアポンプにてフラスコ内部を15秒間攪拌し、1分間静置後、ガステック製検知管にてメタクリル酸メチル残存量を測定した。
残存量からコントロール値からの消臭率を測定し、その測定結果を表1に示した。
【0024】
<官能試験>
また、消臭剤の効果を確認するため、次のようにして官能試験を行った。
前記消臭率の試験方法と同様に、アルミホイル製平底カップに塗料組成物I液、II液を入れ1分攪拌し、その後9分静置した。9分後、3リッターフラスコ内にサンプルを置き密閉状態にし、さらに10分間静置した。
その後15mの無臭室で3リッターフラスコを解放し無臭室を45秒間攪拌した。
その後6名入室し1分間以内で官能検査した。
官能試験は6段階臭気強度表示法により評価し、その評価結果を表1に示した。
6段階臭気強度表示法による臭気強度は以下の通りである。
臭気強度
やっと感知できるにおい 1
何のにおいであるか弱いにおい 2
楽に感知できるにおい 3
強いにおい 4
強烈なにおい 5
【0025】
(実施例2)
実施例1において、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを60gとし、ジオクチルスルホコハク酸ソーダをポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)スルホコハク酸二ナトリウム420g‐PG90g‐水90gからなる成分600gに替え、石鹸香料を40gとした以外は実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表1にその結果を示した。
【0026】
(実施例3)
実施例1において、硬化ヒマシ油を500gとし、ポリオキシエチレンアルキルエーテルをポリオキシエチレンラウリルエーテル80gに替え、ジオクチルコハク酸ソーダ280gとPG60gと水60gからなる成分を400gとし、石鹸香料20gとした以外は実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表1にその結果を示した。
【0027】
(実施例4)
実施例1において、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を600gとし、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを20gとし、ジオクチルスルホコハク酸ソーダをポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)スルホコハク酸二ナトリウム264g‐PG33g‐水33gからなる成分330gに替え、石鹸香料をオレンジ香料50gに替えた以外は実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表1にその結果を示した。
【0028】
(実施例5)
実施例1において香料を用いないで表2に示す配合量としたことを除いては実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表2にその結果を示した。
【0029】
(実施例6)
実施例2において香料を用いないで表2に示す配合量としたことを除いては実施例2と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表2にその結果を示した。
【0030】
(実施例7)
実施例3において香料を用いないで表2に示す配合量としたことを除いては実施例3と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表2にその結果を示した。
【0031】
(実施例8)
実施例4において香料を用いないで表2に示す配合量としたことを除いては実施例4と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表2にその結果を示した。
【0032】
(比較例1)
実施例1においてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を用いないで表3に示す配合量としたことを除いては実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表3にその結果を示した。
【0033】
(比較例2)
実施例1においてポリオキシエチレンアルキルエーテルを用いないで表3に示す配合量としたことを除いては実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表3にその結果を示した。
【0034】
(比較例3)
実施例1においてジオクチルスルホコハク酸ソーダ‐PG‐水からなる成分を用いないで表3に示す配合量としたことを除いては実施例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表3にその結果を示した。
【0035】
(比較例4)
比較例1において香料を用いないで表4に示す配合量としたことを除いては比較例1と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表4にその結果を示した。
【0036】
(比較例5)
比較例2において香料を用いないで表4に示す配合量としたことを除いては比較例2と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表4にその結果を示した。
【0037】
(比較例6)
比較例3において香料を用いないで表4に示す配合量としたことを除いては比較例3と同様にして消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率を測定して表4に測定結果を示した。
【0038】
(比較例7)
石鹸香料のみを用いた消臭剤を調製した。
その後、実施例1と同様にして塗料組成物を調製し、消臭率の測定と官能試験を行い表4にその結果を示した。
【0039】
(比較例8)
消臭剤を全く添加しないで実施例1と同様にして塗料組成物を調製した。
その後、実施例1と同様にして消臭率の測定と官能試験を行い表4にその結果を示した。
【0040】
【表1】

【0041】
【表2】

【0042】
【表3】

【0043】
【表4】

【0044】
上記表1乃至4から、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とからなる本発明消臭剤および消臭方法の消臭効果は優れたものであることが確認できた。特に、シトオネラオール、リモネン、リナロール、オイゲノール成分を含む香料を加えた場合の消臭効果は極めて優れたものとなることも確認できた。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明の消臭剤並びに消臭方法は低級アルキル(メタ)アクリレートの臭気を低減もしくは感知しない程度にできるので、産業上有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とからなることを特徴とする消臭剤。
【請求項2】
さらに、香料を含ませてなることを特徴とする請求項1記載の消臭剤。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレン硬化ひまし油20〜60重量%、非イオン系界面活性剤1〜15重量%、陰イオン系界面活性剤30〜70重量%の配合割合であることを特徴とする請求項1記載の消臭剤。
【請求項4】
硬化ひまし油20〜60重量%、非イオン系界面活性剤1〜15重量%、陰イオン系界面活性剤30〜70重量%、香料0.01〜10重量%の配合割合であることを特徴とする請求項2記載の消臭剤。
【請求項5】
前記非イオン系界面活性剤がポリオキシエチレンアルキル(炭素数 12〜14)エーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテルの何れか一種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の消臭剤。
【請求項6】
前記陰イオン系界面活性剤が、ジオクチルスルホコハク酸ソーダ、ポリオキシエチレンアルキルスルホコハク酸二ナトリウムの何れか一種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の消臭剤。
【請求項7】
前記香料がシトオネラオール、リモネン、リナロール、オイゲノールの何れかを一種以上を含むものであることを特徴とする請求項2記載の消臭剤。
【請求項8】
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油と、非イオン系界面活性剤と、陰イオン系界面活性剤とからなる消臭剤を低級アルキル(メタ)アクリレートに接触させることからなる消臭方法。
【請求項9】
前記消臭剤はさらに香料を含むものであることを特徴とする請求項8記載の消臭方法。

【公開番号】特開2012−254177(P2012−254177A)
【公開日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−128621(P2011−128621)
【出願日】平成23年6月8日(2011.6.8)
【出願人】(390015853)理研香料工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】