説明

消臭剤及びそれを用いた消臭剤組成物

【課題】 酸性〜中性〜弱塩基性の、幅広いpH領域で、高い消臭効果を示す消臭剤組成物及び消臭性香料組成物を提供する。
【解決手段】 ブラッククミン種子に含有されるチモキノンを有効成分とすることにより、従来の植物抽出物に酸化酵素を併用した消臭剤に匹敵する、非常に高い消臭効果を示し、しかも、酸性条件下においても消臭効果が低下せず、さらには、溶液中での褐変反応などの経時変化が少ない消臭剤組成物及び消臭性香料組成物を得ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メルカプタン等の悪臭成分に対して良好な消臭効果を有する消臭剤及びそれを用いた消臭剤組成物又は消臭性香料組成物に関し、特に、その安全性が高く、口腔用、家庭用、工業用などで好適に使用できる消臭剤組成物及びそれを用いた消臭性香料組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生ゴミや、冷蔵庫内などの臭い、ペットや家畜に由来する臭い等の悪臭を抑制或いは消臭することが望まれており、特に、口臭を、効率よく、抑制或いは消臭する方法が望まれている。これらの悪臭のなかでも、特に、硫化水素やメルカプタンのような硫黄化合物が問題であり、その消臭方法としては、活性炭、シリカゲル、シクロデキストリンなどの吸着剤への吸着、触媒や酸化剤による酸化、香気成分によるマスキング、消臭剤による方法等が知られているが、特に、口腔内に適用する場合には、その安全性が高いことが必要とされている。
【0003】
そこで、従来、口臭の除去、一般家庭や工場などで発生する悪臭に対する消臭剤としては、消臭力を有する、セージ、タイム、ミント、ローズマリー、オレガノなどのシソ科植物、クローブ、茶類等の植物の抽出物、或いは、キノコ類又は褐藻類を消臭有効成分として用いた消臭剤が用いられている(特許文献1〜4、非特許文献1〜3等)。
しかしながら、これらの植物性の消臭有効成分は、単独ではその消臭効果が低く、得られる効果が不十分であり、また、消臭有効成分を多量に配合すると、着色や味覚の低下、沈殿等の問題が生じる場合がある。
一方、消臭有効成分として化学薬品を使用した消臭剤は、比較的消臭効果が強いが、人体への安全面で問題があるものがある、という問題がある。
【0004】
上記の問題点を解決するものとして、これらの植物性の消臭有効成分を用いた消臭剤に、パーオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ等の酸化酵素を併用することにより、両者が相乗的に作用して非常に消臭効果の高い消臭剤が得られることが発見されており(特許文献5〜8、非特許文献4,5等)、特に、植物抽出物と酸化酵素を併用した消臭剤は、口臭予防を目的としたチューングガムや、義歯洗浄剤等に配合されるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開昭57−203445号公報
【特許文献2】特開昭57−204278号公報
【特許文献3】特開昭61−268259号公報
【特許文献4】特開昭62−152463号公報
【特許文献5】特公平7−53174号公報
【特許文献6】特開平9−38183号公報
【特許文献7】特開2008−110944号公報
【特許文献8】特開2008−131866号公報
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】常田文彦、「最新の消臭剤と消臭技術」、工業技術会、1989年発行、第5節 125〜142頁、植物性消臭剤
【非特許文献2】石川正夫、渋谷耕司、「歯科審美」、第15巻、第2号、平成15年3月発行、第130〜136頁、口臭予防による口腔環境改善に関する研究−口臭原因成分メチルメルカプタンに対する天然物の消臭効果について−
【非特許文献3】常田文彦、J. Odor Resarch and Eng.、31(2)、91-96(2000)、植物抽出物の消臭効果と口臭抑制への応用
【非特許文献4】根岸紀、根岸由紀子、小澤哲夫、「日本食品科学工学会大会講演集」、第45回、1998年、184頁、果物、野菜およびキノコによる消臭
【非特許文献5】根岸紀、「日本食生活学会誌」、Vol.10、No.3、1999年、第15〜19頁、食品と消臭
【非特許文献6】日本香料工業会編、「天然香料基原物質の解説」−食品香料ハンドブック・改訂増補版−、株式会社食品化学新聞社、平成11年8月25日発行、第389〜390頁
【非特許文献7】白水裕子、後藤元信、広瀬勉、「日本食品工学会年次大会講演要旨集」、第4回、2003年、第59頁、超臨界二酸化炭素によるニゲラ種子からの抗酸化物質の抽出
【非特許文献8】長島万弓、樋口沙耶子、八木彩野、福田靖子、「日本調理科学会大会研究発表要旨集」、2005年、第6頁、ブラッククミンの活性酸素消去能について
【非特許文献9】S. Machmudah, Y. Shiramizu, M.Goto, M. Sasaki, T. Hirose, Separation Science and Technology, 40, 1267-1275(2005); Extraction of Nigella sativa L.using Supercritical CO2:A Study of Antioxidant Activityof the Extract.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、植物抽出物に、パーオキシダーゼ、ラッカーゼ、チロシナーゼ等の酸化酵素を併用した消臭剤は、中性域では非常に高い消臭効果を示すが、酸性条件下では消臭効果が低下するという問題点を有している。その理由は、酸化酵素の至適pHが弱酸性〜中性であり、酸性条件下では、酵素による消臭成分の活性化反応が充分に進行しないため、消臭効果が低下するものと推察される。
【0008】
本発明は、以上のような事情に鑑みてなされたものであって、酸性〜中性〜弱塩基性の、幅広いpH領域で、高い消臭効果を示す消臭剤組成物及び消臭性香料組成物を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者等は、上記目的を達成すべく、鋭意検討を重ねた結果、ブラッククミン種子に含有されるチモキノンが、従来の植物抽出物に酸化酵素を併用した消臭剤に匹敵する、非常に高い消臭効果を示し、しかも、酸性条件下においても消臭効果が低下せず、さらには、溶液中での褐変反応などの経時変化が少ないという知見を得た。
【0010】
本発明は、これらの知見に基づいて完成に至ったものであり、以下のとおりのものである。
[1] チモキノンを消臭有効成分とすることを特徴とする消臭剤。
[2] 上記[1]の消臭剤を含有することを特徴とする消臭剤組成物。
[3] ブラッククミン種子の粉砕物、溶媒抽出物、又は精油を配合したことを特徴とする上記[2]の消臭剤組成物。
[4] その他の植物性消臭剤をさらに添加したことを特徴とする上記[2]又は[3]の消臭剤組成物。
[5] 抗酸化成分を添加したことを特徴とする上記[2]〜[4]のいずれか1項に記載の消臭剤組成物。
[6] 上記[2]〜[5]のいずれかの消臭組成物に香料成分を配合したことを特徴とする消臭性香料組成物。
[7] 上記[2]〜[5]のいずれかの消臭剤組成物又は上記[6]の消臭性香料組成物を配合したことを特徴とする口臭予防食品。
[8] 前記消臭剤組成物又は前記消臭性香料組成物が配合される食品のpHが5以下であることを特徴とする、上記[7]の口臭予防食品。
[9] 上記[2]〜[5]のいずれかの消臭剤組成物又は上記[6]の消臭性香料組成物を配合したことを特徴とする口腔用組成物。
[10] 前記消臭剤組成物又は前記消臭性香料組成物が配合される組成物のpHが5以下であることを特徴とする、上記[9]の口腔用組成物。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、酸性〜中性〜弱塩基性の、幅広いpH域において非常に高い消臭効果を示す消臭剤組成物及び消臭性香料組成物を提供することが可能となる。また、本発明の消臭剤組成物は、従来調味料として用いられているブラッククミンに由来するものであるため、本発明の消臭剤組成物及び消臭性香料組成物を、チューインガムやキャンディー、錠菓などの菓子類に配合できるほか、歯磨、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤などの口腔用組成物にも使用できるものである。さらに、本発明の消臭剤組成物は、褐変反応などの経時変化が少なく、安定した消臭効果を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施例4の(1)で得られた、ブラッククミン精油のガスクロマトグラムを示す図。
【図2】チモキノンの用量と消臭率の関係を示す図。
【図3】チモキノンとベンゾキノンの経時的褐変化を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、ブラッククミン種子に含有されるチモキノンが、従来の植物抽出物に酸化酵素を併用した消臭剤に匹敵する、非常に高い消臭効果を示し、しかも、酸性条件下においても消臭効果が低下しないという知見に基づくものである。
【0014】
ブラッククミンは、学名が、Nigella sativa L.、和名が、クロタネソウ、英名が、ブラッククミン(Black Cumin)であり、ブラックキャラウェイ、ニゲラ、カロンジなどの別名でも呼ばれる植物であり、地中海沿岸原産で、食用に中東やインドで広く栽培されている。キンポウゲ科に属し、高さ20〜30cmになる一年草で、花期は6〜7月、羽状葉と灰青色の花をつけ、花後に黒い種子入りの朔果をつける(上記非特許文献6参照)。
【0015】
ブラッククミンの種子は、長さ3mm、径1.5mm、厚さ1mmで、芳香が強く、辛味があり、調味料として用い、インド、エジプト、ギリシャ、トルコ料理でよく使用される。パンやケーキに風味をつけ、インドでは、ガラムマサラの原料として用いられ、カレーや野菜料理の香味づけに利用される。
【0016】
ブラッククミン種子の精油成分として、α-Pinene、p-Cymene、γ-Terpinene、Thymoquinone、Carvacrol等が報告されている。
ブラッククミン種子は、伝承薬として、喘息、咳、気管支炎、頭痛、リューマチ、熱、湿疹の治療に用いられるほか、利尿薬、催乳剤、駆虫剤として使用される。最近では、抗菌作用、抗酸化作用、抗炎症作用、平滑筋弛緩効果、抗腫瘍、鎮痛作用などを有することが知られている(非特許文献7〜9等)。
【0017】
本発明においてその消臭効果を見いだしたチモキノンは、前述のブラッククミン種子に含有される精油成分の1つであり、図1において、矢印で示すピークがチモキノンである。
チモキノンは、下記の式で表される、2−イソプロピル−5−メチル−1,4−ベンゾキノンであって、分子量164.20、沸点230〜232℃、融点45〜47℃(SIGMA−ALDRICH社 2009−2010版カタログ 第2377頁参照)の化合物である。
【0018】
【化1】

【0019】
本発明における消臭剤を含有する消臭剤組成物には、ブラッククミン種子の粉砕物、溶媒抽出物、蒸留物、チモキノン高純度品を適宜使用することができる。
粉砕物としては、ブラッククミンの種子を粉砕ミルにかけて粉砕した後、適当なサイズのメッシュを通して作製した粉末を使用することが出来る。
ブラッククミン種子から、チモキノン含有品を得るための方法は特に限定されないが、各種溶媒による抽出、超臨界炭酸ガス抽出、水蒸留、水蒸気蒸留、マイクロウエーブ抽出法、圧搾法(コールドプレス法)などにより得ることができ、これらの方法は適宜組み合わせて利用される。抽出に用いる溶媒は、極性溶媒、非極性溶媒のいずれでもよく、水、メタノール、エタノール、アセトン、酢酸エチル、ジエチルエーテル、n−ヘキサン等およびそれらの混合液を用いることが出来るが、より好ましくはメタノール、含水メタノール、エタノール、含水エタノール、アセトン、酢酸エチルが使用される。
また上記抽出溶媒に有機および無機の酸を添加した酸性溶媒や有機および無機の塩基を添加した塩基性溶媒も使用することが出来る。
【0020】
本発明の消臭剤の有効成分であるチモキノンは、天然品、合成品のいずれでもよいが、より好ましくは、(1)種子の粉砕品に水蒸気を通じて蒸留液を得、その浮油を採取する方法、(2)(1)の蒸留液にn−ヘキサンや酢酸エチル等の有機溶媒を加えて分液操作を行った後に得られた有機相を濃縮する方法、(3)種子の極性または非極性溶媒抽出物に水蒸気を通じて蒸留した後にn−ヘキサンや酢酸エチル等の有機溶媒を加えて分液操作、さらにこの有機相を濃縮する方法等により得たチモキノン含有量を高めた精油を使用することができる。
【0021】
また、本発明の消臭剤の有効成分であるチモキノンに天然品を用いる場合、前記のブラッククミン以外にチモキノン(TQ)を含有する植物として、オレガノ(学名:Origanum vulgare)、タイム(学名:Thymus vulgaris L.)ウィンターセーボリー(学名:Satureja montana L.)などが用いられる。
また、本発明の消臭有効成分はそれ単独で用いてもよく、他の消臭有効成分と組み合せて用いてもよく、例えば、本発明の消臭剤組成物に、消臭力を有する、セージ、タイム、ミント、ローズマリー、オレガノなどのシソ科植物、クローブ、茶類等の、その他の植物性消臭剤をさらに添加することができる。
また、褐変化抑制のため、本発明の消臭剤組成物にアスコルビン酸等の抗酸化成分を添加することができる。
【0022】
本発明の消臭剤は、種々の剤型に調製し得る。例えば、本発明の消臭有効成分であるチモキノンを適宜な溶媒に溶解した溶液状のもの、或いはペースト状、粉粒状、ブロック状、更にはマイクロカプセル状など、所望の形態に調製したものを使用し得る。
【0023】
本発明の、チモキノンを消臭有効成分とする消臭剤は、幅広いpH域において非常に高い消臭効果を示すので、種々の消臭剤組成物及び消臭性香料組成物を提供することができる。
特に、本発明の消臭性香料組成物は、口臭予防を目的とするチューイングガムや、キャンデー、錠菓等の菓子類に配合できる他、歯磨、マウスウォッシュ、義歯洗浄剤などの口腔用組成物に使用でき、通常は、後述の消臭性香料処方例をはじめとする各種の香料を配合して口臭予防食品、口腔用消臭剤等として用いられる。
例えば、本発明の消臭剤又は消臭剤組成物を、所定の割合で、チューインガム、キャンデー等の菓子素材に添加し、常法に従って加工することにより製造することができる。
また、口臭予防、口臭除去のための口腔用消臭剤として使用する場合、研磨剤(通常20〜60重量%)、粘結剤(通常0.3〜5重量%)、粘稠剤(通常10〜70重量%)、発泡剤(通常0.1〜5重量%)と、それに香料、甘味剤、防腐剤などの成分が配合され、これら成分を水と混和し、常法に従って製造する。また、マウスウォッシュ等の口腔洗浄剤その他においても、製品の性状に応じた成分が適宜配合される。
【実施例】
【0024】
以下、実施例及び比較例を用いて本発明について説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。
消臭試験法および成分分析法
1.メチルメルカプタン消臭試験の方法
以下、本発明に係わる消臭成分の試験法について説明する。
<試薬の調製>
(1)メチルメルカプタン10ng/μl希釈液
メチルメルカプタン標準液1μg/μlベンゼン溶液(和光純薬)2mlを99%エタ
ノールで200mlにメスアップして供試した。
(2)1/15M燐酸緩衝液pH7.0・・・中性域での消臭試験時に使用する。
燐酸緩衝液3(20倍濃縮液)(三菱化学メディエンス(株)製)1瓶を精製水で希釈して1リットルにメスアップした。
(3)1/10Mクエン酸緩衝液pH3.0・・・pH変化による消臭試験時に使用する。
0.1Mクエン酸二ナトリウム1.5水和物水溶液、0.1N HCl水溶液を混合し、クエン酸にてpH3.0に調整した。
(4)1/10Mクエン酸緩衝液pH5.0・・・pH変化による消臭試験時に使用する。
0.1Mクエン酸二ナトリウム1.5水和物水溶液に0.1N HCl水溶液を混合し、クエン酸にてpH5.0に調整した。
【0025】
<試料の調製>
各溶媒抽出物、精油およびテルペン類を95%(w/w)エタノールにてそれぞれ1%(w/w)に希釈したものを消臭試験に供した。
【0026】
<方法>
所定量の試料を30mlバイアル瓶に入れ、予め37℃に保温した緩衝液5.0mlを加え、容器を密栓した。次に上記バイアル瓶中にメチルメルカプタン10ng/μl希釈
液50μl(500ng量のメチルメルカプタンに相当)を加え、37℃で10分間インキュベートさせた。10分経過後にガスタイトシリンジにてバイアル瓶中のヘッドスペースガス5mlを抜き取り、液体窒素によるコールドトラップ装置を装着したGC−MSに導入してメチルメルカプタン量を測定した。
*なお中性域(pH7.0)での消臭試験にはリン酸緩衝液を用い、酸性域での消臭試験の場合には、クエン酸−クエン酸ニナトリウム緩衝液(pH3.0および5.0)をそれぞれ使用した。
メチルメルカプタンのピーク検出は、本成分に由来する特有のMSフラグメントイオン47および48を選択して検出するSIM法により行った。各検体のメチルメルカプタン消臭率は、緩衝液のみをバイアル瓶に入れたものを対照液として下式(1)にしたがって算出した。
メチルメルカプタン消臭率(%)=(C−S)/C×100・・・・ (1)
(式中、Cは、対照液のヘッドスペース中のメルカプタン量、Sは、検体のヘッドスペース中のメチルメルカプタン量を示す。
【0027】
<GC−MS分析条件>
[装置] GC:Agilent 6890A MS:Agilent 5973N
コールドトラップ装置: Gerstel CIS
[コールドトラップの条件] −120℃ 、30秒間、スプリットレス
[カラム] ガス分析用HP-PLOTQ: 30m×0.32mm×20μm
[温度条件] 初期温度50℃(1.5分間保持)→20℃昇温/min.→120℃(5分間保持)
[流量] 1.8ml/min
〔イオン化電圧〕 70eV
【0028】
2.揮発成分の分析方法(チモキノンの検出)
ブラッククミン種子の各溶媒抽出物および精油に含有される揮発成分の分析に用いたGCおよびGC−MS分析の基本条件は下記の通り。
<GC分析条件>
〔装置〕 GC: HP 5890 Series 2
〔カラム〕 GL Sciences TC-1:30m×0.25mm×0.25μm
〔温度条件〕 初期温度50℃→3℃昇温/min→300℃(20分間保持)
〔キャリアガス〕 He
〔流量〕 0.7ml/min
〔注入口温度〕 300℃
〔注入量〕 ・各溶媒抽出物:10%(w/w)エタノール溶液を1.0μlずつ注
入した。
・各蒸留精油:0.1μlずつ注入した。
【0029】
<GC−MS分析条件>
〔装置〕 GC:Agilent 6890A MS:Agilent 5973N
〔カラム〕 GL Sciences TC-1:30m×0.25mm×0.25μm
〔温度条件〕 初期温度50℃→3℃昇温/min→300℃(20分間保持)
〔キャリアガス〕 He
〔流量〕 0.8ml/min
〔イオン化電圧〕 70eV
〔注入口温度〕 300℃
〔注入量〕 ・各溶媒抽出物:10%(w/w)エタノール溶液を1.0μlずつ注
入した。
・各蒸留精油:0.1μlずつ注入した。
【0030】
(実施例1:ブラッククミン粉砕種子の作製)
ブラッククミン種子150gを電池式ごますり器(CB-AA10-WB(象印社製))により粉砕後、30メッシュをパスさせた。この粉砕種子10mg、30mg、50mgを用いた時のメチルメルカプタンに対する消臭試験を実施した(pH7.0)。
ブラッククミン粉砕種子のメチルメルカプタン消臭試験結果を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
表1の結果より、ブラッククミンの粉砕種子に消臭効果があり、用量依存的にその消臭率(%)が高まることが判った。
【0033】
(実施例2:ブラッククミン未粉砕種子あるいは粉砕種子の水蒸気蒸留)
ブラッククミン種子を上記と同様に粉砕して、以下の実験に供した。
(1)Linkens-Nickerson連続蒸留装置の試料用フラスコに未粉砕種子1.0kg、溶媒フラスコにペンタン:ジエチルエーテル混合液(1:1、v/v)を入れ、蒸留−溶媒抽出を同時に行った。3.5時間蒸留した後に得られた有機相をロータリーエバポレーターにて減圧下で濃縮して精油分を得た。
(2)未粉砕種子500gに水蒸気を通じて3.0時間蒸留し、得られた蒸留液から浮油を採取した。
(3)粉砕種子500gに水蒸気を通じて3.0時間蒸留し、得られた蒸留液から浮油を採取した。
(4)粉砕種子500gに水蒸気を通じて3.0時間蒸留し、得られた蒸留液を酢酸エチル600mlで分配した。酢酸エチル相を減圧下で濃縮し、精油分を得た。
【0034】
上記(1)〜(4)の精油につき、それぞれGCおよびGC−MSに供して、抽出物中のチモキノン量について比較分析した。また各抽出物(1)〜(4)の1.0mgを用いた時のメチルメルカプタンに対する消臭試験も実施した(pH7.0)。
ブラッククミン未粉砕あるいは粉砕種子から得た抽出物の収量(g)、チモキノン量(GC−MSPeak Area)および消臭試験の結果を表2に示す。
【0035】
【表2】

【0036】
表2の結果より、ブラッククミン種子を粉砕処理することにより、チモキノンの含有量が増加すること、粉砕種子の蒸留液から酢酸エチル等の有機溶媒を用いて分液操作を行うことにより、精油収量(g)が増加し、さらに消臭率(%)も高まることが判った。
【0037】
(実施例3:ブラッククミン未粉砕種子の溶媒抽出)
ブラッククミンは、インド産種子(商品名:カロンジ)を東京上野の大津屋より購入して実験に供した。濾液の濃縮には、ロータリーエバポレーターを使用した。
(1)未粉砕種子100gをイオン交換水200gに浸漬し、90℃で1時間加温抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)し、濾液を減圧下、45℃以下で濃縮した。
(2)未粉砕種子100gをメタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。
つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(3)未粉砕種子100gを95%(w/w)エタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(4)未粉砕種子100gを70%(w/w)エタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(5)未粉砕種子100gを50%(w/w)エタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(6)未粉砕種子100gをアセトン200gに浸漬し、5℃で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、25℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(7)未粉砕種子100gを酢酸エチル200gに浸漬し、5℃で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(8)未粉砕種子100gをジエチルエーテル200gに浸漬し、5℃で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、10℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
(9)未粉砕種子100gをn−ヘキサン200gに浸漬し、5℃で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、25℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。
【0038】
上記(1)〜(9)抽出物につき、それぞれGCおよびGC−MSに供して、抽出物中のチモキノン量について比較分析した。また各抽出物(1)〜(9)の1.0mgを用いた時のメチルメルカプタンに対する消臭試験も実施した(pH7.0)。
ブラッククミン種子の抽出溶媒の違いによる抽出物の収量(g)、チモキノン量(GC Peak Area)および消臭試験の結果を表3に示す。
【0039】
【表3】

【0040】
表3の結果より、ブラッククミン種子から各種溶媒によりチモキノンが抽出されること、および(2)メタノール、(3)95%エタノール、(6)アセトン、(7)酢酸エチル、(9)n−ヘキサン抽出物では1.0mgという微量で高い消臭率(%)を示すことが判った。
【0041】
(実施例4:ブラッククミン未粉砕種子の溶媒抽出物からの水蒸気蒸留)
下記方法により、ブラッククミン種子の各抽出物から水蒸気蒸留法により精油を得た。n−ヘキサン相の濃縮には、ロータリーエバポレーターを使用した。
(1)未粉砕種子100gをメタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。つぎにこの濃縮物に水蒸気を通じ、3.0時間蒸留した。得られた蒸留液をn−ヘキサン600mlで分配し、n−ヘキサン相を減圧下で濃縮し、精油分を得た。
(2)未粉砕種子100gを95%エタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。つぎにこの濃縮物に水蒸気を通じ、3.0時間蒸留した。得られた蒸留液をn−ヘキサン600mlで分配し、n−ヘキサン相を減圧下で濃縮し、精油分を得た。
(3)未粉砕種子100gを酢酸エチル200gに浸漬し、5℃で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。つぎにこの濃縮物に水蒸気を通じ、3.0時間蒸留した。得られた蒸留液をn−ヘキサン600mlで分配した。n−ヘキサン相を減圧下で濃縮し、精油分を得た。
(4)未粉砕種子100gをメタノール200gに浸漬し、常温下で3日間静置抽出した。つぎに抽出液を吸引濾過し、(ADVANTEC TOYO No.2濾紙を使用)濾液を減圧下、45℃以下で溶媒臭がなくなるまで濃縮した。つぎにこの濃縮物に水蒸気を通じ、3.0時間蒸留した。得られた蒸留液を酢酸エチル600mlで分配し、酢酸エチル相を減圧下で濃縮し、精油分を得た。
【0042】
上記(1)〜(4)の精油につき、それぞれGCおよびGC−MSに供して、精油中のチモキノン量について比較分析した。
図1は、(1)の精油のガスクロマトグラムを示すものである。
各精油(1)〜(4)の1.0mgを用いた時のメチルメルカプタンに対する消臭試験も実施した(pH7.0)。
ブラッククミン未粉砕種子の溶媒抽出物からの精油収量(g)、チモキノン量(GC Peak Area)および消臭試験の結果を表4に示す。
【0043】
【表4】

【0044】
表4の結果から、ブラッククミン種子溶媒抽出物の水蒸気蒸留によりチモキノンを含有する精油を得ることが出来、特にメタノール抽出物由来の精油では1.0mgという微量で92%(ヘキサン抽出)、94%(酢酸エチル抽出)という非常に高い消臭率(%)を示すことが判った。
【0045】
(実施例5:チモキノンとテルペン化合物のメチルメルカプタンに対する消臭試験)
チモキノンと各種香料に使用されるテルペン類の試料1.0mgを用いた時のメチルメルカプタンに対する消臭効果について比較検討した(pH7.0)。消臭試験の結果を表5に示す。
<供試試料>
チモキノンは、SIGMA-ALDRICH社製の試薬(99%品)を使用した。その他のテルペン類は、香料原料として使用されているグレードのものをそれぞれ、α−Pinene(日本テルペン化学(株)製)、β−Pinene(ヤスハラケミカル(株))、p−Cymene(日本テルペン化学(株)製)、Limonene((株)佐々木香料店製)、1,8−Cineole(高陽ケミカル(株)製)、γ−Terpinene(高砂香料工業(株)製)、4−Terpineol(シムライズ(株)製)、Carvone(塩野香料(株)製)、Thymol(シグマアルドリッチジャパン(株)製)、Carvacrol(シグマアルドリッチジャパン(株)製)、β−Caryophyllene((株)井上香料製造所製)を使用した。
チモキノンとテルペン類のメチルメルカプタンに対する消臭効果の比較を表5に示す。
【0046】
【表5】

【0047】
表5の結果から、チモキノンが香料に使用されるテルペン類((2)〜(12))と比較して特に高い消臭率(%)を示すことが判った。
【0048】
(実施例6:チモキノンの用量−消臭率(%)について)
チモキノンの消臭効果における用量依存性について確認することを目的に、pH7.0におけるチモキノン量(mg)−
消臭率(%)の関係について調べた。消臭試験の結果を図2に示す。
図2の結果より、チモキノンは0.05mgという極微量で60%近い消臭率を示し、その効果は用量依存的であることがわかった。
【0049】
(実施例7:ブラッククミン抽出物、チモキノンと酵素酸化型消臭剤のpHの違いによるメチルメルカプタンに対する消臭試験)
次に本発明品と酵素酸化型消臭剤の酸度条件の違い(pH=3、5、7)による消臭効果を比較検討した。消臭試験の結果を表6に示す。
*酵素酸化型消臭剤=「ポリフェノール化合物と酸化酵素(ラッカーゼやパーオキシダーゼ等)の組み合わせによる消臭剤」
<緩衝液>
中性域: 1/15Mリン酸緩衝液pH7.0を使用
酸性域: 1/10Mクエン酸−クエン酸ナトリウム緩衝液(pH3.0あるいは5.0)
を使用。
【0050】
<供試試料>
(1)チモキノン(1.0mg)・・・SIGMA-ALDRICH社製試薬(99%品)
(2)メタノール抽出物(1.0mg)・・・実施例3.−(2)と同一
(3)メタノール抽出物由来の精油(1.0mg)・・・実施例4.−(1)と同一
(4)ミントリーフ(1.0mg)+ラッカーゼ(0.5mg)
「ミントリーフ」・・・インド、Arjuna社製「ミントリーフ」脱臭品を使用。
「ラッカーゼ」・・・大和化成(株)製「ラッカーゼダイワM120」を使用。
(5)ミントリーフ(1.0mg)+パーオキシダーゼ(0.5mg)
「ミントリーフ」・・・同上
「パーオキシダーゼ」・・・和光純薬工業(株)製「パーオキシダーゼ」を使用。
(6)オウゴン抽出物(1.0mg)+ラッカーゼ(0.5mg)
「オウゴン抽出物」・・・局方オウゴン(栃本天海堂薬局社製、刻み)100gにイオ
ン交換水700gを加え、液温88〜90℃で1時間加熱抽出
を行い、No.2濾紙(ADVANTEC TOYO社製)を用いて吸引濾過
した(濾液1:474.53g)。さらに上記抽出残渣にイオ
ン交換水700gを加え、液温88〜90℃上記同様に1時間
加熱抽出後、吸引濾過を行った(濾液2:691.02g)。濾
液1および濾液2を合わせ、減圧下で濃縮乾固(収量:51.
94g)したものを試験に供した。
「ラッカーゼ」・・・同上。
(7)オウゴン抽出物(1.0mg)+パーオキシダーゼ(0.5mg)
「オウゴン抽出物」・・・同上
「パーオキシダーゼ」・・・同上
(8)、(9)ローズマリー抽出物・・・油溶性ローズマリーエキス(インドSynthite社製)を使用。
*なお対照液は各pHの緩衝液をそれぞれ使用した。
ブラッククミン抽出物、チモキノンと酵素酸化型消臭剤のpHの違いによるメチルメルカプタン消臭効果の比較を表6に示す。
【0051】
【表6】

【0052】
表6の結果から、酵素酸化型消臭剤(4)〜(9)はpH3において、著しい消臭効果の低下を示すが、チモキノン(1)およびブラッククミン種子のメタノール抽出物由来の精油(3)は、中性域〜酸性域の幅広いpH域で高い消臭率(%)を示すことが判った。
【0053】
(実施例8:チモキノンとベンゾキノンの経時的褐変化の比較、及びアスコルビン酸添
加による褐変化抑制実験)
本実施例においては、チモキノンとベンゾキノンの経時的褐変化の比較ならびにアスコルビン酸(ビタミンC)添加による褐変化への影響を比較検討した。
<試料>
(1)チモキノン
(2)ベンゾキノン(東京化成製)
(3)アスコルビン酸(イワキ社製)
【0054】
<試料溶液の調製>
(1) チモキノン溶液
チモキノン0.01gを精秤して試験管(ガラス製、径12mm×120mm長)に入れ、95%エタノール0.99gを加え溶解させた後、さらに1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)4.0gを加えた。
(2)チモキノン+アスコルビン酸溶液
上記(1)で得られた溶液にさらにアスコルビン酸5.0mg(終濃度:0.1%)を加えた。
(3)ベンゾキノン溶液
ベンゾキノン0.01gを精秤して試験管(ガラス製、径12mm×120mm長)に入れ、1/15Mリン酸緩衝液(pH7.0)4.0gを加え溶解させた後、95%エタノール0.99gを加えた。
(4)ベンゾキノン+アスコルビン酸溶液
上記(3)で得られた溶液にさらにアスコルビン酸5.0mg(終濃度:0.1%)を加えた。
【0055】
<測定方法>
経時的褐変化の様子を調べるため、光電比色計(東京光電社製、製品名:ANA-18A+)を用いて、室温条件下で、上記(1)〜(4)の各試料溶液の一定時間経過後の420nmにおける吸光度(Abs.)を測定し、各試料溶液の0分時に対する吸光度の差(変化値)を求めた。
ベンゾキノンは0、5、15、30、及び60分後まで測定した。一方、チモキノンもベンゾキノン同様に測定を行い、60分経過後も表7の通りに12日目まで測定を継続した。
測定結果を表7に示す。
表8は、チモキノン及びベンゾキノンの消臭率(pH7.0)を示すものである。
【0056】
【表7】

【0057】
【表8】

【0058】
<結果>
図3は、表7の結果をグラフにしたものである。
図3から明らかなように、ベンゾキノン溶液は測定開始直後から褐変化が始まり、60分後にはAbs.1.248に達し、アスコルビン酸の添加によってもほとんど褐変化を抑制することは出来なかった。一方、チモキノンはベンゾキノンと比較して褐変化の進行が遅く、測定開始から緩やかに褐変化する様子が観察された。最終的に測定開始10日後にはAbs.1.228に達するが、0.1%濃度のアスコルビン酸の添加によりその褐変化は著しく抑制されることが判明した。
【0059】
(実施例9:香料の処方例)
以下にチモキノン又はブラッククミン種子溶媒抽出物(*)を配合した消臭性香料処方例を示す。
<ミント香料>

【0060】
<バナナ香料>

【0061】
<グレープ香料>

【0062】
<ストロベリー香料>

【0063】
<パイナップル香料>

【0064】
<ローズ香料>

【0065】
<ジャスミン香料>

【0066】
<ラベンダー香料>

【0067】
<グリーンアップル香料>

【0068】
以下に、本発明の消臭剤を配合した、水系芳香剤、消臭性チューインガム、消臭性キャンデー、練歯磨、マウスウォッシュの処方例を示す。
【0069】
[水系芳香剤の処方例]
消臭剤又は消臭性香料(*) 1.5(質量%)
ソルフィット(3-Methyl-3-methoxy butanol) 1.5
界面活性剤(**) 2.2
水 残部
合 計 100.0

*:チモキノン又はブラッククミン由来の消臭剤、或いは消臭性香料
**:溶解力向上の為に、以下のようなHLBの異なるものをブレンド
約70wt%の硬化ヒマシ油型非イオン性界面活性剤
約20wt%の脂肪酸エステル型非イオン性界面活性剤
約10wt%の硫酸塩型陰イオン性界面活性剤
【0070】
[シュガーレスガムの処方例]
ガムベース 25(質量%)
粉末マルチトール 40
粉末キシリトール 19
粉末エリスリトール 8
マルチトール シロップ 6
スクラロース 0.02
アセスルファムカリウム 0.05
MCT 0.2
消臭剤 1.0
香料 0.73
合 計 100.0
【0071】
[シュガーレスキャンディーの処方例]
還元パラチノース 97.9(質量%)
クエン酸 0.7
アスパルテーム 0.3
色素 0.1
消臭性香料(前記消臭性香料の処方参照) 1.0
合 計 100.0
【0072】
[練歯磨]
水酸化アルミニウム 43(質量%)
グリセリン 20
カルボキシメチルセルロースナトリウム 2
ソジウムラウリルサルフェート 2
香料 1
サッカリンナトリウム 0.1
消臭剤 0.15
ポリフェノールオキシダーゼ 0.05
N−ラウロイルサルコシンナトリウム 0.2
水 残
合 計 100.0
【0073】
[マウスウォッシュ]
エタノール 20(質量%)
香料 1
サッカリンナトリウム 0.05
消臭剤 0.2
o−アミノフェノールオキシダーゼ 0.1
モノフルオロリン酸ナトリウム 0.1
クロルヘキシジン塩酸塩 0.01

ラウリルジエタノールアマイド 0.3
水 残
合 計 100.0
【産業上の利用可能性】
【0074】
チモキノンおよびそれを含有するブラッククミン種子の粉砕物、精油または抽出物を配合することにより、幅広いpH(酸性〜中性〜弱塩基性)域において非常に高い消臭効果を示す消臭剤組成物や消臭性香料組成物を提供することが出来る。それら消臭剤組成物や消臭性香料組成物は、チューインガムやキャンディー、錠菓などの菓子類に配合できるほか、消臭芳香剤や義歯洗浄剤などの消臭にも使用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
チモキノンを消臭有効成分とする消臭剤。
【請求項2】
請求項1記載の消臭剤を含有する消臭剤組成物。
【請求項3】
ブラッククミン種子の粉砕物、溶媒抽出物、又は精油を配合したことを特徴とする請求項2に記載の消臭剤組成物。
【請求項4】
その他の植物性消臭剤をさらに添加したことを特徴とする請求項2又は3に記載の消臭剤組成物。
【請求項5】
抗酸化成分を添加したことを特徴とする請求項2〜4のいずれか1項に記載の消臭剤組成物。
【請求項6】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の消臭剤組成物に香料成分を配合したことを特徴とする消臭性香料組成物。
【請求項7】
請求項2〜5のいずれか1項に記載の消臭剤組成物又は請求項6に記載の消臭性香料組成物を配合したことを特徴とする口臭予防食品。
【請求項8】
前記消臭剤組成物又は前記消臭性香料組成物が配合される食品のpHが5以下であることを特徴とする、請求項7に記載の口臭予防食品。
【請求項9】
請求項2〜5いずれか1項に記載の消臭剤組成物又は請求項6に記載の消臭性香料組成物を配合したことを特徴とする口腔用組成物。
【請求項10】
前記消臭剤組成物又は前記消臭性香料組成物が配合される組成物のpHが5以下であることを特徴とする、請求項9に記載の口腔用組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−168554(P2011−168554A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35458(P2010−35458)
【出願日】平成22年2月19日(2010.2.19)
【出願人】(390019460)稲畑香料株式会社 (22)
【Fターム(参考)】