説明

消臭剤組成物

【課題】調理臭やたばこ臭など特に空間に漂う臭いと衣類の汗・皮脂臭との両方を低減させることができ、かつミストが床等の表面に落下しても乾燥しやすい、水系の消臭剤組成物を提供する。
【解決手段】(a)総炭素数6〜18の炭化水素基を有するグリセリルエーテル、(b)水溶性香料、(c)水溶性電解質0.1〜5質量%、(d)エタノール0.5質量%以上、水80質量%以上を含有し、〔(a)成分+(b)成分〕/(c)成分の質量比が1/99〜50/50である消臭剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
生活の中で生じる臭いには様々なものがあるが、その発生源は排水口、トイレ、風呂、下駄箱、生ごみ、料理、たばこ、汗、皮脂など多岐にわたり、また一旦発生した臭いは壁や家具、衣類などを介して吸収、放散を繰り返すため、混ざり合った臭いが時に空間に漂い、不快感をもたらすことになる。臭いの発生源をもとから断つのが最も有効であり、個々の発生源に対応した消臭剤が発売されているが、料理、たばこなど、臭い発生中は発生源を断つのが適さない臭いもある。これに対し、発生後の空間に漂う臭いに対して効果を訴求した消臭剤も発売されているが、その多くは空間専用で、その消臭システムも香料によるマスキング効果や吸着剤による臭い分子の吸着によるものが多い。吸着剤による吸着作用は空間中の臭い分子の低減に効果があるが、拡散律速となるため即効性に劣ることが知られている。空間に漂う臭いと臭い発生源の両方に対して簡便に対処するには、スプレーなどを用い消臭剤をミスト状に噴霧する方法が有効である。特に、空間に噴霧した場合には、消臭有効成分及び香料がすばやく拡散することで高い消臭効果を発揮する。
【0003】
特許文献1には、アルキルグリセリルエーテルと香料とをプレミックスすることにより得られる、香り立ち、残香性などの芳香特性及び保留効果に優れた香料組成物と、この香料組成物を配合した香粧品、トイレタリー製品、芳香剤などが開示されている。特許文献2および3には物品表面を殺菌する方法として、アルキルグリセリルエーテルを含有する組成物の使用が開示されており、殺菌することで減少する菌に由来する臭いについては消臭効果があると考えられる。特許文献4には、アニオン性界面活性剤、抗菌剤、アルキルグリセリルエーテルを含有する抗菌、防臭効果を有する洗浄剤組成物が開示されている。特許文献5には、亜鉛及びアルキルグリセリルエーテルを含有する抗菌剤が開示されており、亜鉛は消臭効果も有することからこの抗菌剤は消臭性能も有していることが考えられる。また特許文献6には、アルキルグリセリルエーテルと他の消臭成分とを組み合わせることで微生物による不快臭を消臭する組成物が開示されている。特許文献7には殺菌成分、制汗成分及び消臭成分などと、アルキルグリセリルエーテルなどの界面活性剤を含む防臭化粧料組成物が開示されており、足踏み式のスプレーで組成物を吐出するなどの内容が開示されている。
【特許文献1】特開2003−238985号公報
【特許文献2】特開2004−313792号公報
【特許文献3】特開2004−315537号公報
【特許文献4】特開2001−131592号公報
【特許文献5】特開2005−170878号公報
【特許文献6】米国特許5516510号
【特許文献7】特開2001−97838号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1は、消臭剤を空間に噴霧した時の拡散速度の向上については、有効な方法を何ら示唆するものではない。特許文献2および3は、空間に噴霧した時の消臭効果は明確ではない。特許文献4は、毛髪、身体を対象とした洗浄剤の技術であり、空間に漂う臭いの消臭剤に関わるものではない。特許文献5は、亜鉛とアルキルグリセリルエーテルの併用による抗菌効果の相乗作用を主旨とするものであり、空間噴霧時の消臭性能向上に何らの示唆も与えるものではない。特許文献6は、皮膚上の菌により発生する臭いに対処する技術であり、空間消臭への用途展開については予見されていない。また、特許文献7は、水含有量が20%以下と少なく、水溶性の臭いに対する消臭効果が低いという課題がある。
【0005】
一方、スプレータイプの容器に水系の消臭剤を入れ、臭い発生源、空間それぞれに直接噴霧する方法は、空間と臭い発生源の両方に簡便に対処できる方法であるが、特に空間に噴霧した場合には、消臭速度すなわち即効性が消臭性能の評価基準として重要視される。消臭成分及び香料の拡散速度によって消臭速度が決定されると考えられることから、拡散速度が速いことが望ましい。こうした技術思想について、特許文献1〜7では特段の認識がされていない。
【0006】
このように、特に水系の消臭剤組成物を空間噴霧した時の消臭性能の向上方法はもちろん、空間噴霧時の消臭技術そのものにも触れた例もあまり知られておらず、空間消臭性能の高いスプレータイプの消臭剤の開発が望まれていた。
【0007】
本発明は、調理臭やたばこ臭など特に空間に漂う臭いと衣類の汗・皮脂臭との両方を低減させることができ、特に空間消臭速度に優れる、水系の消臭剤組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、(a)総炭素数6〜18の炭化水素基を有するグリセリルエーテル〔以下、(a)成分という〕、(b)水溶性香料〔以下、(b)成分という〕、(c)水溶性電解質〔以下、(c)成分という〕0.1〜5質量%、(d)エタノール〔以下、(d)成分という〕0.5質量%以上、水80質量%以上を含有し、〔(a)成分+(b)成分〕/(c)成分の質量比が1/99〜50/50である消臭剤組成物、並びに、該本発明の消臭剤組成物をスプレータイプの容器に充填してなる、スプレー式消臭剤に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の消臭剤組成物は、スプレータイプの容器に充填し、臭い発生源と空間それぞれに直接噴霧することで、調理臭やたばこ臭など特に空間に漂う臭いと衣類の汗・皮脂臭の両方を低減させることができ、かつ空間に使用した場合、消臭速度に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明の消臭剤組成物は、(a)成分として、総炭素数6〜18の炭化水素基を有するグリセリルエーテルを含有する。
【0011】
(a)成分における総炭素数6〜18の炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状いずれでもよく、また飽和、不飽和いずれでもよい。炭化水素基の具体例としては、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、2−メチルペンチル基、2−メチルヘキシル基、2−メチルペンチル基、2−メチルオクチル基、2−メチルノニル基、2−メチルデシル基、2−メチルウンデシル基、2−メチルドデシル基、2−メチルトリデシル基、2−メチルテトラデシル基、イソステアリル基、2−エチルブチル基、2−エチルペンチル基、2−エチルヘキシル基、2−エチルヘプチル基、2−エチルオクチル基、2−エチルノニル基、2−エチルデシル基、2−エチルウンデシル基、2−エチルドデシル基、2−ブチルヘキシル基、2−ブチルヘプチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、シクロオクチル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基、ウンデセニル基、ドデセニル基、トリデセニル基、テトラデセニル基、ペンタデセニル基、ヘキサデセニル基、へプタデセニル基、オクタデセニル基などがあげられるが、合成のしやすさの点から炭化水素基はアルキル基、中でもアルキル基が好ましい。アルキルグリセリルエーテルは、飽和アルコールにエピハロヒドリン及び/またはグリシドールを付加反応させて合成することができるが、一般的に該アルコールにグリセリンが一つ付加した本発明(a)成分のアルキルグリセリルエーテル以外に、グリセロール基が2個以上付加したアルキルポリグリセリルエーテルが副生する。このような副生物を含んだ反応生成物を(a)成分として使用してもよいが、副生物であるアルキルポリグリセリルエーテルは、(a)成分に対してアルキルポリグリセリルエーテルを5質量%以下、更に3質量%以下、更に0.0001〜2質量%、特に0.0001〜1質量%であることが、本発明の効果を得る点で好ましい。
【0012】
(a)成分の製造法としては特開2005−120036号公報、特開2000−212114号公報、特開2000−344701号公報を参考にすることができ、必要に応じて蒸留工程を設けて(a)成分含有量の高い、本発明の(a)成分として好適な高純度のアルキルグリセリルエーテルを得ることができる。
【0013】
保存安定性の点からは、(a)成分は、0〜50℃(使用温度範囲)の条件下で液状のグリセリルエーテルが好ましく、(a)成分に該当する2種以上のグリセリルエーテルを混合して用いてもよい。
【0014】
本発明の消臭剤組成物中の(a)成分の含有量は、0.001〜5質量%、更に0.002〜3質量%、特に0.01〜2質量%が好ましい。
【0015】
本発明の消臭剤組成物は、(b)成分として水溶性香料を含有する。本発明における水溶性香料とは、例えば「香料の化学」(昭和58年9月16日発行、著者:赤星亮一、発行者:佐久間祐三、発行所:大日本図書株式会社)記載の香料用化合物のうち、25℃の水への溶解度が0.001質量%以上のものと定義する。
【0016】
水溶性香料としては、下記(i)群〜(iii)群から選ばれる一種以上の香料が挙げられる。
(i)群:シス−3−ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、α−テルピネオール、l−メントール、ノポール、ネロリドール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、フェニルグリコール、シンナミルアルコールから選ばれるアルコール系香料
(ii)群:チモール、カルバクロール、オイゲノール、ジメチルハイドロキノン、バニリン、エチルバニリン、p-クレゾールメチルエーテル、ジフェニルオキサイド、アネトール、ジヒドロアネトール、シネオール、ローズオキサイド、6−メチルテトラヒドロキノリン、7−メチルキノリン、から選ばれるフェノール系香料、エーテル系香料、エポキシ系香料、又はキノリン系香料
(iii)群:メントン、メチル-n-アミルケトン、アセトフェノン、α-ヨノン、β-ヨノン、クマリン、アニシルアセトン、ショウノウ、マルトール、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、シトロネラール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、アニスアルデヒド、ヘリオトロピン、サリチルアルデヒド、シトラール、ギ酸ベンジル、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸メンチル、酢酸ボルニル、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸リナリル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉草酸イソアミル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、アンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、安息香酸、桂皮酸、フェニル酢酸、ヒドロ桂皮酸、から選ばれるケトン系香料、アルデヒド系香料、エステル系香料、又はカルボン酸系香料
【0017】
中でも、25℃の水への溶解度が0.002質量%以上のものが好ましく、0.01質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、1質量%以上が特に好ましい。消臭速度の点で、組成物中の(b)成分の比率は0.001〜10質量%が好ましく、0.005〜5質量%がより好ましく、0.01〜1質量%が更に好ましい。
【0018】
本発明の消臭剤組成物中の(a)成分と(b)成分の合計含有量は、消臭性能と乾燥速度の点から、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.02〜5質量%、特に好ましくは0.05〜2質量%である。
【0019】
本発明の消臭剤組成物は空間における消臭性能向上の点から、(c)成分として水溶性電解質を含有する。ここで水溶性電解質とは、水中でイオン解離する化合物を指す。特に好ましくは、(c1)乳酸、グルコン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、リンゴ酸、酒石酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、クエン酸、フタル酸、酢酸、安息香酸、サリチル酸、没食子酸、ジエチルバルビツル酸等のカルボン酸、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、セリン、グルタミン酸、アスパラギン酸等のアミノ酸、エタンスルホン酸、フェノールスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、m−キシレンスルホン酸等の有機スルホン酸、タウリンなどのアミノスルホン酸、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、炭酸、珪酸、アルミン酸等の無機酸、などの酸剤、(c2)モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の無機塩基、などのアルカリ剤、(c3)前記酸剤とアルカリ剤との中和生成塩、例えばクエン酸ナトリウム、安息香酸カリウム、塩化アンモニウム、炭酸ナトリウム、リン酸二カリウム、硫酸モノエタノールアミン、1号珪酸ソーダ、2号珪酸ソーダ、3号珪酸ソーダ等、が挙げられる。これらの中でも、リン酸、クエン酸、コハク酸、マレイン酸、フマル酸から選ばれる酸剤及び/またはそれらのアルカリ金属塩を配合することが好ましい。
【0020】
本発明の消臭剤組成物中の(c)成分の含有量は、0.1〜5質量%であり、0.2〜3質量%、更に0.3〜2質量%が好ましい。
【0021】
本発明では、スプレー使用時の消臭速度の観点から、(a)成分、(b)成分、(c)成分の質量比は、〔(a)成分+(b)成分〕/(c)成分の質量比で1/99〜50/50、好ましくは2/99〜35/65、更に好ましくは3/98〜25/75である。
【0022】
本発明の消臭剤組成物中の(d)成分の含有量は、0.5質量%以上であり、1〜15質量%、更に2〜10質量%が好ましい。
【0023】
本発明の消臭剤組成物の25℃におけるpHは、汗・皮脂臭に対する消臭効果とアミン類等に対する消臭効果に優れることから、6〜9.5が好ましい。また、汗・皮脂臭及び調理臭、たばこ臭に対する効果、及び皮膚刺激低減の観点から、pHは6.5〜9が好ましく、6.8〜8.5が更に好ましい。本発明の消臭剤組成物のpHは、(c)成分の種類、配合量等により調整することができる。
【0024】
本発明の消臭剤組成物には、更に、多価アルコール、一般に添加される各種の溶剤、植物抽出物、増粘剤、(b)成分以外の香料成分、シリコーン化合物、消泡剤、油剤、ゲル化剤やN,N,N−トリメチルグリシン等の塩、酸化防止剤、防腐剤、殺菌・抗菌剤、色素、紫外線吸収剤等の他の成分を添加することができる。
【0025】
本発明の消臭剤組成物の形態は、水80質量%以上を含有する液状の水系組成物であり、スプレー用として好適であり、特にスプレー、ディスペンサーを使用して、繊維製品や空間、人体(身体、毛髪)、ペット等の消臭に用いることができる。本発明の消臭剤組成物をスプレータイプの容器(すなわち、噴霧手段を具備する容器)に充填してなる、スプレー式消臭剤を得ることができる。その際、噴霧時の噴霧粒子の体積平均粒径を1μm〜500μm、一回の噴霧量を0.1〜1mlに調整したものが好ましい。
【0026】
本発明の消臭剤組成物は、衣類・布製品上の汗などの臭い及び空間に漂うたばこ臭などを消臭でき、かつ空間に使用した時の消臭速度に優れる。このため、本発明の消臭剤組成物は、即効性の高い消臭剤組成物として、衣類などから空間まで幅広い対象物に使用することができる。
【実施例】
【0027】
実施例1〜5及び比較例1〜4
<消臭剤組成物の調製>
表1に示す配合処方の消臭剤組成物を調製した。消臭剤組成物は、(c)成分に含まれる1規定の水酸化カリウム水溶液(pH調整剤(1))または1規定の塩酸水溶液(pH調整剤(2))でpH(25℃)7.8に調整した(表1中の数値は有効分)。表1中の記号の成分は下記のとおりである。
【0028】
(a)成分
・a−1:n−オクチルグリセリルエーテル
・a−2:2−エチルヘキシルグリセリルエーテル
・a−3:イソデシルグリセリルエーテル
【0029】
(b)成分
・b−1:β-フェニルエチルアルコール
・b−2:リナロール
・b−3:バニリン
・b−4:シトラール
・b−5:アニスアルデヒド
【0030】
(c)成分
・c−1:クエン酸三カリウム
・c−2:リン酸二カリウム
・c−3:炭酸水素ナトリウム
【0031】
・非イオン界面活性剤(1):ポリオキシエチレンアルキルエーテル、花王(株)製エマルゲン120
・非イオン界面活性剤(2):ポリオキシエチレンアルキルエーテル、花王(株)製エマルゲン108
【0032】
<消臭効果の評価>
(1)消臭対象物の調製
〔モデル汗臭試験布〕
木綿メリヤス布(6cm×6cm)に、臭気成分として、イソ吉草酸の10ppm水溶液をスプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて4回スプレーし(約0.16g)、30分間乾燥させた後、試験片とした。
【0033】
〔モデルたばこ臭空間〕
間口約2m×奥行き約8m×高さ約2.5mの閉め切った室内で給排気を行なわず、床面上に設置した灰皿上で市販のたばこ(マイルドセブン)を6本ほぼ同時に点火し5分間燃やし続け、室内にたばこの煙を充満させた後たばこを消し、試験空間とした。
【0034】
(2)消臭方法
上記方法にて得たモデル汗試験布に、表1に示す配合処方の消臭剤組成物を、スプレーバイアル(株式会社マルエム、No.6)を用いて6回スプレーし(計約0.24g)、1時間乾燥させた。
【0035】
一方、モデルたばこ臭が充満した空間については、たばこを消してから5分後に、吉野M3トリガー(約0.5ml/1ストローク、噴霧粒子の体積平均粒径95μm)を用いて、部屋の入り口(間口)の側から部屋の奥(6m先)に向かって、高さ1.5mの位置から水平方向に1回スプレーし、部屋の奥にパネラーを立たせて評価を行った。
【0036】
(3)消臭性能評価
試験片(汗臭(布上))については、30歳代の男性5人及び女性5人の計10人の熟練パネラーに、消臭剤組成物をスプレーした後の試験片の臭いを嗅いでもらい、また、空間(たばこ臭(空間))については、部屋の端から続けて2回スプレーし、部屋の反対側(6m先)に立たせたパネラーに30秒ごとに空間の臭いを嗅いでもらい、それぞれ下記の6段階の臭気強度表示法で評価し、その平均値を求めた。表1には消臭剤組成物の2回目のスプレー後、1分後、5分後の評価結果を示した。
0:無臭
1:何の臭いか分からないが、ややかすかに何かを感じる強さ(検知閾値のレベル)
2:何の臭いか分かる、容易に感じる弱い臭い(認知閾値のレベル)
3:明らかに感じる臭い
4:強い臭い
5:耐えられないほど強い臭い
平均値0以上1未満を◎、平均値1以上2未満を○、平均値2以上3未満を△、平均値3以上5以下を×として評価した。評価は◎又は○が好ましい。
【0037】
【表1】

【0038】
表1から、比較例の消臭剤組成物は、布上の汗臭に対しての消臭性能が低く、空間に漂うたばこ臭に対する消臭速度が不十分であるのに対し、実施例の消臭剤組成物は、汗臭に対する消臭性能が高く、空間での消臭速度が比較例に比べて速い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)総炭素数6〜18の炭化水素基を有するグリセリルエーテル、(b)水溶性香料、(c)水溶性電解質0.1〜5質量%、(d)エタノール0.5質量%以上、水80質量%以上を含有し、〔(a)成分+(b)成分〕/(c)成分の質量比が1/99〜50/50である消臭剤組成物。
【請求項2】
(b)成分が、下記(i)群〜(iii)群から選ばれる一種以上の香料である請求項1記載の消臭剤組成物。
(i)群:シス−3−ヘキセノール、リナロール、ゲラニオール、ネロール、シトロネロール、ヒドロキシシトロネロール、テトラヒドロリナロール、ラバンジュロール、α−テルピネオール、l−メントール、ノポール、ネロリドール、ベンジルアルコール、β−フェニルエチルアルコール、γ−フェニルプロピルアルコール、β−フェニルエチルジメチルカルビノール、フェノキシエチルアルコール、フェニルグリコール、シンナミルアルコールから選ばれるアルコール系香料
(ii)群:チモール、カルバクロール、オイゲノール、ジメチルハイドロキノン、バニリン、エチルバニリン、p-クレゾールメチルエーテル、ジフェニルオキサイド、アネトール、ジヒドロアネトール、シネオール、ローズオキサイド、6−メチルテトラヒドロキノリン、7−メチルキノリン、から選ばれるフェノール系香料、エーテル系香料、エポキシ系香料、又はキノリン系香料
(iii)群:メントン、メチル-n-アミルケトン、アセトフェノン、α-ヨノン、β-ヨノン、クマリン、アニシルアセトン、ショウノウ、マルトール、n−ヘプチルアルデヒド、n−オクチルアルデヒド、n−デシルアルデヒド、シトロネラール、ベンズアルデヒド、フェニルアセトアルデヒド、フェニルプロピルアルデヒド、アニスアルデヒド、ヘリオトロピン、サリチルアルデヒド、シトラール、ギ酸ベンジル、酢酸エチル、酢酸イソアミル、酢酸ゲラニル、酢酸リナリル、酢酸メンチル、酢酸ボルニル、酢酸フェニルエチル、酢酸シンナミル、酢酸アニシル、酢酸パラクレジル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸リナリル、イソ吉草酸n−プロピル、イソ吉草酸イソアミル、ピルビン酸エチル、アセト酢酸エチル、レブリン酸エチル、安息香酸メチル、フタル酸ジメチル、サリチル酸メチル、サリチル酸エチル、アンスラニル酸メチル、アンスラニル酸エチル、安息香酸、桂皮酸、フェニル酢酸、ヒドロ桂皮酸、から選ばれるケトン系香料、アルデヒド系香料、エステル系香料、又はカルボン酸系香料
【請求項3】
請求項1乃至2に記載の消臭剤組成物をスプレータイプの容器に充填してなる、スプレー式消臭剤。

【公開番号】特開2007−289221(P2007−289221A)
【公開日】平成19年11月8日(2007.11.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−117360(P2006−117360)
【出願日】平成18年4月21日(2006.4.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】