消臭剤組成物
【課題】それ自体の臭いが無く、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去することができる消臭剤を提供すること。
【解決手段】下記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭剤組成物。
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。)
【解決手段】下記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭剤組成物。
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。)
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩を含有する消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メルカプタン類、アミン類等の臭気を除去する目的で使用される消臭剤としてはメタクリル酸エステル類やアルデヒド類が挙げられる。しかしながら、メタクリル酸エステル類として一般に消臭剤に用いられているラウリルメタクリレートは、アミン類及びメルカプタン類の臭気に対しては消臭効果が弱く、また、アルデヒド類として知られるベンズアルデヒド、シトラール等はアミン類の臭気は比較的効率よく消臭できるが、メルカプタン類の臭気に対しては消臭効果が十分でなかった。また、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているピルビン酸エステル類やα−ジケトン類はアミン類、メルカプタン類に対しては消臭効果はあるものの、ピルビン酸エステル類は水溶液中での安定性が悪く、また、ピルビン酸エステル類、α−ジケトン類はそれ自体が強い臭いを有しており、消臭剤として使用することは難しかった。そこで、安定性が高く、消臭剤自体の臭いがなく、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去することができ広範な用途に利用可能な消臭剤が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開平6−121822号公報
【特許文献2】特開平8−275997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、それ自体の臭いが無く、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去することができる消臭剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、新規なシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛類を見出し、これを含有する消臭剤組成物により上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭用組成物を提供するものである。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去でき、また、それ自体臭いがない優れた消臭剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の式(1)で表わされるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩を含有する組成物は、消臭剤組成物として好適に使用することができる。
式(1)において、R1及びR5はそれそれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。
【0010】
R1〜R5の各々で表わされる炭化水素基としては、溶解性の点から、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、フェニル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。式(1)においては、上記アルキル基として、溶解性の点から、炭素数1〜7のアルキル基がより好ましい。
【0011】
炭素数1〜8のアルケニル基としては、溶解性の点から、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましい。該アルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、具体的には、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。上記のうち、式(1)においては、アルケニル基として、溶解性の点から、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
【0012】
また、フェニル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基等の基が挙げられる。
上記R1〜R5の各々で表わされる炭素数が1〜8のアルコキシ基としては、上記炭素数が1〜8のアルキル基として挙げられたものと同様の炭素数を有するアルコキシ基が使用でき、上記アルキル基の水素原子の少なくとも一つがオキシ基あるいは水酸基に置換したものを挙げることができる。すなわち、それらの炭素数は、好ましくは1〜4である。
【0013】
上記R1〜R5の各々で表わされる基のうち、本発明においては、溶解性の点から、炭素数が1〜8のアルキル基、炭素数が1〜8のアルコキシ基が好ましい。
本発明においては、上記R1〜R5は、そのうち2つあるいは1つが上記炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その場合、他のR1〜R5はいずれも水素である。
【0014】
本発明において使用しうるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩としては、上記のものが挙げられるが、具体的には、好ましくは、3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸、4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸、3−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、t−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
本発明の上記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩は、例えば、次の反応式に従って製造することができる。
【0015】
【化2】
【0016】
(上記式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ式(1)と同様である。)
即ち、原料のシクロヘキサンモノカルボン酸類と亜鉛化合物とを反応させてシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛を製造する。この反応においては、シクロヘキサンカルボン酸類は、収率の点から、亜鉛化合物1モルに対して2〜3モルの割合で用いることが好ましく、その割合は、亜鉛化合物1モルに対して2〜2.2モルであることがより好ましく、2〜2.05モルであることがさらに好ましい。
【0017】
また、亜鉛化合物としては酸化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられるが、収率の点からは、酸化亜鉛が好ましい。
上記反応は無溶媒で行ってもよいが、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランなどの溶媒を用いて行うこともできる。本発明においては、収率の点から水を用いることが好ましい。用いる溶媒の量については、攪拌をスムーズに行うという観点から、シクロヘキサンモノカルボン酸類の量に対して質量基準で1〜100倍量が好ましく、3〜30倍量がより好ましく、4〜20倍量がさらに好ましい。
【0018】
反応条件については、反応温度は、通常室温から100℃の範囲で行うことができ、50〜90℃が好ましい。圧力としては特に制限はなく、常圧、減圧、加圧いすれでも可能であるが、通常は常圧で行うことが好ましい。反応時間は反応温度などの条件によっても異なるが、通常30分から2時間程度が好ましい。反応の終点は、例えば赤外スペクトル、NMRなどにより確認することが出来る。
【0019】
本発明の消臭剤組成物中におけるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩の含有量は、その消臭対象であるメルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の濃度等によって異なるが、通常、消臭剤として使用する製品に対して0.001質量%以上含有されていればよく、消臭能力の点から、好ましくは0.01〜100質量%、より好ましくは0.01〜20質量%の範囲である。
【0020】
本発明の消臭剤組成物は、上記本発明の式(1)で表わされるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩と他の消臭剤を組み合わせて含有することもでき、さらに酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、香料、界面活性剤、色素、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することともできる。消臭剤として用いる場合の形態は、使用目的に応じて液状、粉状、ゲル状、粒状等いずれの形態を採ることもできる。
【0021】
また、本発明の消臭剤組成物は、例えば腋臭や足臭などの体臭に対しては、制汗塩に混合しエアゾール製品中に配合する方法等により、また、台所周りに発生する生ごみ臭、トイレの悪臭などに対しては、種々の芳香剤中に香料と混合する方法またはエアゾール製品中に配合する方法等により使用することができる。更に本発明の消臭剤組成物は、冷蔵庫内の悪臭、下水処理場の悪臭、塵芥処理場の悪臭、家畜舎の悪臭等の消臭にも適用することができる。
本発明の式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭剤組成物は、種々の場面で使用可能であり、シクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩の含有量は、用途や形態に応じて、調整可能である。例えば、固形として扱う場合には、そのままで使用することも可能であり、水や溶剤等に希釈する様な配合では、シクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩の配合量は0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜10重量%がより好ましい。
【実施例】
【0022】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
製造例1
200ml四つ口フラスコに3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸16.31g(0.100mol)、イオン交換水80mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛4.07g(0.050mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し溶媒を減圧除去しフラスコ内に残った白色固体である3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛18.99g(収率100%)を得た。得られた3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図1及び図2に示す。なお、IRはKBr錠剤法により、400MHz 1H−NMRは溶媒:CD3OD/CDCl3、内部標準:TMS、温度:50℃の条件で測定した。以下同じ。
【0024】
製造例2
100ml四つ口フラスコに4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸4.90g(0.031mol)、イオン交換水25mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛1.26g(0.155mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し溶媒を減圧除去しフラスコ内に残った白色固体である4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛5.10g(収率87%)を得た。得られた4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図3及び図4に示す。
【0025】
製造例3
500ml四つ口フラスコに3−メチルシクロヘキサンカルボン酸9.80g(0.069mol)、イオン交換水150mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛2.80g(0.034mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥し3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛9.31g(収率78%)を得た。得られた3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図5及び図6に示す。
【0026】
製造例4
500ml四つ口フラスコに4-メチルシクロヘキサンカルボン酸14.22g(0.100mol)、イオン交換水284mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛3.97g(0.049mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥し4―メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛7.00g(収率59%)を得た。得られた4−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図7及び図8に示す。
【0027】
製造例5
500ml耐圧式500mlフラスコに2,4−ジメチル安息香酸15.02g(0.100mol)、触媒として5%Rh/C4.50g(54.73%含水品)、エタノール195ml、イオン交換水5mlを添加し3kgf/cm2の水素雰囲気下、70℃で24時間反応を行った。触媒をろ過し溶媒の減圧除去を行った。残存物に対してジエチルエーテル50ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを加えてエーテル層に溶解するカルボン酸以外の不純物の除去を行った。下層の炭酸水素ナトリウム水溶液に対して塩酸を用いて溶液のpHを2とした。その後、その酸性溶液に対してジエチルエーテルを50ml添加し分層を行い上層のエーテル層を取り出しエーテルの減圧除去を行った。無色油状物である2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸3.60g(収率23%)を得た。
次に、100ml四つ口フラスコに上記合成した2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸3.45g(0.022mol)、イオン交換水50ml、エタノール150ml、酸化亜鉛0.89g(0.011mol)を添加し75℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し溶媒の減圧除去を行い白色固体である2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛3.92g(収率95%)を得た。得られた2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図9及び図10に示す。
【0028】
製造例6
500ml耐圧式500mlフラスコに4−ヘプチル安息香酸11.02g(0.050mol)、触媒として5%Rh/C1.00g(54.73%含水品)、エタノール195ml、イオン交換水5mlを添加し3kgf/cm2の水素雰囲気下、70℃で20時間反応を行った。触媒をろ過し溶媒の減圧除去を行い無色透明油状物の4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸11.04g(収率98%)を得た。
次に、300ml四つ口フラスコに上記合成した4-ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸10.00g(0.043mol)、イオン交換水200ml、酸化亜鉛1.71g(0.021mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷しろ紙でろ過を行い白色固体を得た。500mlのビーカーに白色固体を移しエタノール200mlを加えて室温で30分攪拌を行った。この溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥し4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛7.88g(収率72%)を得た。得られた4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図11及び図12に示す。
【0029】
製造例7
300ml四つ口フラスコにトランス-4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸19.83g(0.100mol)、イオン交換水200mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛4.07g(0.050mol)を添加し90℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥しトランス-4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛21.44g(収率93%)を得た。得られたトランス-4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図13及び図14に示す。
【0030】
参考製造例1
300ml四つ口フラスコにシクロヘキサンカルボン酸12.82g(0.100mol)、イオン交換水128mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛4.07g(0.050mol)を添加し90℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥しシクロヘキサンカルボン酸亜鉛9.52g(収率60%)を得た。得られたシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図15及び図16に示す。
【0031】
実施例1〜7及び比較例1
製造例1〜7及び参考製造例1の各々において得られたシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩について、それぞれ20mgずつとり100mLの蓋付きビンに入れ、臭気成分の水溶液として、0.1%メチルメルカプタンベンゼン溶液3μL、0.1%t−ブチルメルカプタントルエン溶液4μL、0.05%ピリジン水溶液20μL、1%グアイアコール水溶液20μL、2%イソ吉草酸水溶液100μL、8.4%アンモニア水溶液1μLを各々加え密栓した。次いで、グアイアコール、ピリジン、イソ吉草酸の場合は30℃水浴中、メチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、アンモニアの場合は室温で20分間振とうし、20分後ガステック社製のガス検知管を用いて気相部のガス濃度を測定した。同一サンプルについて3回試験を行ってその平均ガス濃度(S)を求めた。また、臭気成分のみを添加した時の平均ガス濃度(C)を求め、次式により消臭率(%)を求めた。
消臭率(%)=〔1−(S/C)〕×100
下記表1に上記消臭率(%)を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
以下に本発明の消臭剤組成物を含有する制汗デオドラントスプレー、足用防臭剤及び繊維用消臭スプレーの配合実施例を示す。
実施例8
下記表2に制汗デオドラントスプレーの組成を示す。
【0034】
【表2】
実施例9
下記表3に足臭用消臭剤の組成を示す。
【0035】
【表3】
実施例10
下記表4に繊維用消臭スプレーの組成を示す
【0036】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の消臭用組成物は、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類に由来する複合臭の低減に用いられ、例えば、腋臭や足臭などの体臭に対して制汗塩に混合しエアゾール製品中に配合する方法等により、また、台所周りに発生する生ごみ臭、トイレの悪臭などに対しては、種々の芳香剤中に香料と混合する方法またはエアゾール製品中に配合する方法等により使用することができ、更に冷蔵庫内の悪臭、下水処理場の悪臭、塵芥処理場の悪臭、家畜舎の悪臭等の消臭にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】製造例1で得られた3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図2】製造例1で得られた3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図3】製造例2で得られた4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図4】製造例2で得られた4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図5】製造例3で得られた3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図6】製造例3で得られた3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図7】製造例4で得られた4−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図8】製造例4で得られた4−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【0039】
【図9】製造例5で得られた2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図10】製造例5で得られた2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図11】製造例6で得られた4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図12】製造例6で得られた4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図13】製造例7で得られたt−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図14】製造例7で得られたt−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図15】参考製造例1で得られたペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図16】参考製造例1で得られたペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【技術分野】
【0001】
本発明は、シクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩を含有する消臭剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、メルカプタン類、アミン類等の臭気を除去する目的で使用される消臭剤としてはメタクリル酸エステル類やアルデヒド類が挙げられる。しかしながら、メタクリル酸エステル類として一般に消臭剤に用いられているラウリルメタクリレートは、アミン類及びメルカプタン類の臭気に対しては消臭効果が弱く、また、アルデヒド類として知られるベンズアルデヒド、シトラール等はアミン類の臭気は比較的効率よく消臭できるが、メルカプタン類の臭気に対しては消臭効果が十分でなかった。また、例えば特許文献1や特許文献2に開示されているピルビン酸エステル類やα−ジケトン類はアミン類、メルカプタン類に対しては消臭効果はあるものの、ピルビン酸エステル類は水溶液中での安定性が悪く、また、ピルビン酸エステル類、α−ジケトン類はそれ自体が強い臭いを有しており、消臭剤として使用することは難しかった。そこで、安定性が高く、消臭剤自体の臭いがなく、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去することができ広範な用途に利用可能な消臭剤が望まれていた。
【0003】
【特許文献1】特開平6−121822号公報
【特許文献2】特開平8−275997号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、それ自体の臭いが無く、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去することができる消臭剤組成物に関する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、新規なシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛類を見出し、これを含有する消臭剤組成物により上記課題を解決しうることを見出した。すなわち、本発明は、下記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭用組成物を提供するものである。
【0006】
【化1】
【0007】
(式中、式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。)
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の臭気を効率よく除去でき、また、それ自体臭いがない優れた消臭剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の式(1)で表わされるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩を含有する組成物は、消臭剤組成物として好適に使用することができる。
式(1)において、R1及びR5はそれそれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。
【0010】
R1〜R5の各々で表わされる炭化水素基としては、溶解性の点から、好ましくは、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数1〜8のアルケニル基、フェニル基等が挙げられる。
炭素数1〜8のアルキル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、各種ブチル基、各種ペンチル基、各種ヘキシル基、各種ヘプチル基、各種オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロオクチル基等が挙げられる。式(1)においては、上記アルキル基として、溶解性の点から、炭素数1〜7のアルキル基がより好ましい。
【0011】
炭素数1〜8のアルケニル基としては、溶解性の点から、炭素数2〜8のアルケニル基が好ましい。該アルケニル基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよく、具体的には、アリル基、プロペニル基、各種ブテニル基、各種オクテニル基、シクロペンテニル基、シクロヘキセニル基、シクロオクテニル基等が挙げられる。上記のうち、式(1)においては、アルケニル基として、溶解性の点から、炭素数2〜6のアルケニル基がより好ましい。
【0012】
また、フェニル基は、置換基を有していてもよく、置換基としては、例えばアルキル基、アルコキシ基、ヒドロキシ基、ホルミル基、シアノ基、ニトロ基、スルホニル基等の基が挙げられる。
上記R1〜R5の各々で表わされる炭素数が1〜8のアルコキシ基としては、上記炭素数が1〜8のアルキル基として挙げられたものと同様の炭素数を有するアルコキシ基が使用でき、上記アルキル基の水素原子の少なくとも一つがオキシ基あるいは水酸基に置換したものを挙げることができる。すなわち、それらの炭素数は、好ましくは1〜4である。
【0013】
上記R1〜R5の各々で表わされる基のうち、本発明においては、溶解性の点から、炭素数が1〜8のアルキル基、炭素数が1〜8のアルコキシ基が好ましい。
本発明においては、上記R1〜R5は、そのうち2つあるいは1つが上記炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その場合、他のR1〜R5はいずれも水素である。
【0014】
本発明において使用しうるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩としては、上記のものが挙げられるが、具体的には、好ましくは、3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸、4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸、3−メチルシクロヘキサンカルボン酸、4−メチルシクロヘキサンカルボン酸、2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸、4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸、t−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸等が挙げられる。
本発明の上記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩は、例えば、次の反応式に従って製造することができる。
【0015】
【化2】
【0016】
(上記式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ式(1)と同様である。)
即ち、原料のシクロヘキサンモノカルボン酸類と亜鉛化合物とを反応させてシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛を製造する。この反応においては、シクロヘキサンカルボン酸類は、収率の点から、亜鉛化合物1モルに対して2〜3モルの割合で用いることが好ましく、その割合は、亜鉛化合物1モルに対して2〜2.2モルであることがより好ましく、2〜2.05モルであることがさらに好ましい。
【0017】
また、亜鉛化合物としては酸化亜鉛、塩化亜鉛、臭化亜鉛、硫酸亜鉛などが挙げられるが、収率の点からは、酸化亜鉛が好ましい。
上記反応は無溶媒で行ってもよいが、水、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフランなどの溶媒を用いて行うこともできる。本発明においては、収率の点から水を用いることが好ましい。用いる溶媒の量については、攪拌をスムーズに行うという観点から、シクロヘキサンモノカルボン酸類の量に対して質量基準で1〜100倍量が好ましく、3〜30倍量がより好ましく、4〜20倍量がさらに好ましい。
【0018】
反応条件については、反応温度は、通常室温から100℃の範囲で行うことができ、50〜90℃が好ましい。圧力としては特に制限はなく、常圧、減圧、加圧いすれでも可能であるが、通常は常圧で行うことが好ましい。反応時間は反応温度などの条件によっても異なるが、通常30分から2時間程度が好ましい。反応の終点は、例えば赤外スペクトル、NMRなどにより確認することが出来る。
【0019】
本発明の消臭剤組成物中におけるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩の含有量は、その消臭対象であるメルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類等の濃度等によって異なるが、通常、消臭剤として使用する製品に対して0.001質量%以上含有されていればよく、消臭能力の点から、好ましくは0.01〜100質量%、より好ましくは0.01〜20質量%の範囲である。
【0020】
本発明の消臭剤組成物は、上記本発明の式(1)で表わされるシクロヘキサンモノカルボン酸亜鉛塩と他の消臭剤を組み合わせて含有することもでき、さらに酸化防止剤、pH調整剤、防腐剤、香料、界面活性剤、色素、紫外線吸収剤等の添加剤を含有することともできる。消臭剤として用いる場合の形態は、使用目的に応じて液状、粉状、ゲル状、粒状等いずれの形態を採ることもできる。
【0021】
また、本発明の消臭剤組成物は、例えば腋臭や足臭などの体臭に対しては、制汗塩に混合しエアゾール製品中に配合する方法等により、また、台所周りに発生する生ごみ臭、トイレの悪臭などに対しては、種々の芳香剤中に香料と混合する方法またはエアゾール製品中に配合する方法等により使用することができる。更に本発明の消臭剤組成物は、冷蔵庫内の悪臭、下水処理場の悪臭、塵芥処理場の悪臭、家畜舎の悪臭等の消臭にも適用することができる。
本発明の式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭剤組成物は、種々の場面で使用可能であり、シクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩の含有量は、用途や形態に応じて、調整可能である。例えば、固形として扱う場合には、そのままで使用することも可能であり、水や溶剤等に希釈する様な配合では、シクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩の配合量は0.1〜20重量%が好ましく、0.3〜10重量%がより好ましい。
【実施例】
【0022】
以下に、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0023】
製造例1
200ml四つ口フラスコに3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸16.31g(0.100mol)、イオン交換水80mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛4.07g(0.050mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し溶媒を減圧除去しフラスコ内に残った白色固体である3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛18.99g(収率100%)を得た。得られた3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図1及び図2に示す。なお、IRはKBr錠剤法により、400MHz 1H−NMRは溶媒:CD3OD/CDCl3、内部標準:TMS、温度:50℃の条件で測定した。以下同じ。
【0024】
製造例2
100ml四つ口フラスコに4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸4.90g(0.031mol)、イオン交換水25mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛1.26g(0.155mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し溶媒を減圧除去しフラスコ内に残った白色固体である4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛5.10g(収率87%)を得た。得られた4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図3及び図4に示す。
【0025】
製造例3
500ml四つ口フラスコに3−メチルシクロヘキサンカルボン酸9.80g(0.069mol)、イオン交換水150mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛2.80g(0.034mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥し3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛9.31g(収率78%)を得た。得られた3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図5及び図6に示す。
【0026】
製造例4
500ml四つ口フラスコに4-メチルシクロヘキサンカルボン酸14.22g(0.100mol)、イオン交換水284mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛3.97g(0.049mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥し4―メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛7.00g(収率59%)を得た。得られた4−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図7及び図8に示す。
【0027】
製造例5
500ml耐圧式500mlフラスコに2,4−ジメチル安息香酸15.02g(0.100mol)、触媒として5%Rh/C4.50g(54.73%含水品)、エタノール195ml、イオン交換水5mlを添加し3kgf/cm2の水素雰囲気下、70℃で24時間反応を行った。触媒をろ過し溶媒の減圧除去を行った。残存物に対してジエチルエーテル50ml、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液50mlを加えてエーテル層に溶解するカルボン酸以外の不純物の除去を行った。下層の炭酸水素ナトリウム水溶液に対して塩酸を用いて溶液のpHを2とした。その後、その酸性溶液に対してジエチルエーテルを50ml添加し分層を行い上層のエーテル層を取り出しエーテルの減圧除去を行った。無色油状物である2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸3.60g(収率23%)を得た。
次に、100ml四つ口フラスコに上記合成した2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸3.45g(0.022mol)、イオン交換水50ml、エタノール150ml、酸化亜鉛0.89g(0.011mol)を添加し75℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し溶媒の減圧除去を行い白色固体である2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛3.92g(収率95%)を得た。得られた2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図9及び図10に示す。
【0028】
製造例6
500ml耐圧式500mlフラスコに4−ヘプチル安息香酸11.02g(0.050mol)、触媒として5%Rh/C1.00g(54.73%含水品)、エタノール195ml、イオン交換水5mlを添加し3kgf/cm2の水素雰囲気下、70℃で20時間反応を行った。触媒をろ過し溶媒の減圧除去を行い無色透明油状物の4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸11.04g(収率98%)を得た。
次に、300ml四つ口フラスコに上記合成した4-ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸10.00g(0.043mol)、イオン交換水200ml、酸化亜鉛1.71g(0.021mol)を添加し85℃に昇温し1時間反応を行った。空冷しろ紙でろ過を行い白色固体を得た。500mlのビーカーに白色固体を移しエタノール200mlを加えて室温で30分攪拌を行った。この溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥し4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛7.88g(収率72%)を得た。得られた4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図11及び図12に示す。
【0029】
製造例7
300ml四つ口フラスコにトランス-4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸19.83g(0.100mol)、イオン交換水200mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛4.07g(0.050mol)を添加し90℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥しトランス-4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛21.44g(収率93%)を得た。得られたトランス-4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図13及び図14に示す。
【0030】
参考製造例1
300ml四つ口フラスコにシクロヘキサンカルボン酸12.82g(0.100mol)、イオン交換水128mlを添加し室温で攪拌を行った。酸化亜鉛4.07g(0.050mol)を添加し90℃に昇温し1時間反応を行った。空冷し反応溶液のろ過を行い白色固体得た。白色固体を500mlのビーカーに移し5%炭酸水素ナトリウム水溶液を200ml加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この固体を500mlのビーカーに移しイオン交換水200mlを加え室温で30分攪拌を行った。反応溶液をろ過し白色固体を得た。この白色固体を真空ポンプで乾燥しシクロヘキサンカルボン酸亜鉛9.52g(収率60%)を得た。得られたシクロヘキサンカルボン酸亜鉛について、400MHz1H−NMR測定及びIR測定を行い、その結果をそれぞれ図15及び図16に示す。
【0031】
実施例1〜7及び比較例1
製造例1〜7及び参考製造例1の各々において得られたシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩について、それぞれ20mgずつとり100mLの蓋付きビンに入れ、臭気成分の水溶液として、0.1%メチルメルカプタンベンゼン溶液3μL、0.1%t−ブチルメルカプタントルエン溶液4μL、0.05%ピリジン水溶液20μL、1%グアイアコール水溶液20μL、2%イソ吉草酸水溶液100μL、8.4%アンモニア水溶液1μLを各々加え密栓した。次いで、グアイアコール、ピリジン、イソ吉草酸の場合は30℃水浴中、メチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、アンモニアの場合は室温で20分間振とうし、20分後ガステック社製のガス検知管を用いて気相部のガス濃度を測定した。同一サンプルについて3回試験を行ってその平均ガス濃度(S)を求めた。また、臭気成分のみを添加した時の平均ガス濃度(C)を求め、次式により消臭率(%)を求めた。
消臭率(%)=〔1−(S/C)〕×100
下記表1に上記消臭率(%)を示す。
【0032】
【表1】
【0033】
以下に本発明の消臭剤組成物を含有する制汗デオドラントスプレー、足用防臭剤及び繊維用消臭スプレーの配合実施例を示す。
実施例8
下記表2に制汗デオドラントスプレーの組成を示す。
【0034】
【表2】
実施例9
下記表3に足臭用消臭剤の組成を示す。
【0035】
【表3】
実施例10
下記表4に繊維用消臭スプレーの組成を示す
【0036】
【表4】
【産業上の利用可能性】
【0037】
本発明の消臭用組成物は、メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類、フェノール類に由来する複合臭の低減に用いられ、例えば、腋臭や足臭などの体臭に対して制汗塩に混合しエアゾール製品中に配合する方法等により、また、台所周りに発生する生ごみ臭、トイレの悪臭などに対しては、種々の芳香剤中に香料と混合する方法またはエアゾール製品中に配合する方法等により使用することができ、更に冷蔵庫内の悪臭、下水処理場の悪臭、塵芥処理場の悪臭、家畜舎の悪臭等の消臭にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】製造例1で得られた3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図2】製造例1で得られた3−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図3】製造例2で得られた4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図4】製造例2で得られた4−メトキシシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図5】製造例3で得られた3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図6】製造例3で得られた3−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図7】製造例4で得られた4−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図8】製造例4で得られた4−メチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【0039】
【図9】製造例5で得られた2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図10】製造例5で得られた2,4−ジメチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図11】製造例6で得られた4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図12】製造例6で得られた4−ヘプチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図13】製造例7で得られたt−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図14】製造例7で得られたt−4−ペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【図15】参考製造例1で得られたペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛の400MHz1H−NMRチャートである。
【図16】参考製造例1で得られたペンチルシクロヘキサンカルボン酸亜鉛のIRチャートである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭剤組成物。
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数が1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。)
【請求項2】
メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類及びフェノール類から選ばれる少なくとも一種の消臭に用いる請求項1記載の消臭剤組成物。
【請求項1】
下記式(1)で表されるシクロヘキサンモノカルボン酸の亜鉛塩を含有する消臭剤組成物。
【化1】
(式中、R1、R2、R3、R4及びR5はそれぞれ独立して、水素、炭素数1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基を示し、R1〜R5のいずれか1つ又は2つは炭素数が1〜8の炭化水素基又は炭素数1〜8のアルコキシ基であり、その他は水素である。)
【請求項2】
メルカプタン類、アミン類、ピリジン類、脂肪酸類及びフェノール類から選ばれる少なくとも一種の消臭に用いる請求項1記載の消臭剤組成物。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2008−243(P2008−243A)
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−170957(P2006−170957)
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年6月21日(2006.6.21)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]