消臭効果確認方法
【課題】本発明は、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる消臭効果確認方法を提供することを目的とする。
【解決手段】繊維構造物の消臭効果を確認する消臭効果確認方法であって、pH指示薬及び臭気形成物質を含有する臭気確認用試薬を前記繊維構造物に吹き付ける消臭効果確認方法。
【解決手段】繊維構造物の消臭効果を確認する消臭効果確認方法であって、pH指示薬及び臭気形成物質を含有する臭気確認用試薬を前記繊維構造物に吹き付ける消臭効果確認方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる消臭効果確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維構造物は、ファイバ構造を有し、比表面積が大きいことから、臭気形成物質を吸収しやすい傾向にある。特に、衣類の場合は、例えば、体汗が繊維に吸着、分解して、不快な臭気を有する物質を形成する。代表的な臭気形成物質としては、刺激臭を有するアンモニアが挙げられる。
一方、近年は、繊維構造物に消臭性を付与した商品の開発が盛んに行われている。具体的には、例えば、紡糸用の高分子化合物に消臭剤を練り込んで混合、紡糸し、繊維構造物を成形する方法や、織物や編物にパディング法、含浸法、吸尽法、スプレー法、コーティング法等の後加工方法で消臭剤を付与し、乾燥等により繊維構造物に固定化する方法等が用いられている。
【0003】
このような消臭効果を有する繊維構造物の消臭効果の度合いを確認する方法としては、従来、試験者の嗅覚で検知する方法が行われていた。しかしながら、このような方法では、客観的に消臭効果を検証することはできず、信頼性も低いものであった。
また、機器分析を用いて臭気を測定する方法も行われているが、臭気形成物質が発する臭気のしきい値は少量であり、測定には、例えば、特許文献1に示すようにガスクロマトグラフィー等の分析機器が必要となるため、簡易な方法で安価に繊維構造物の消臭効果を確認することは困難であった。
【特許文献1】特開2002−235280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる臭気確認方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、繊維構造物の消臭効果を確認する消臭効果確認方法であって、pH指示薬及び臭気形成物質を含有する臭気確認用試薬を前記繊維構造物に吹き付ける消臭効果確認方法である。以下に、本発明について詳述する。
【0006】
本発明によれば、従来のように、臭気を試験者の臭覚で検知する必要がなく、信頼性の高い方法で幅広い範囲における消臭効果の有無を確認することができる。また、ガスクロマトグラフィー等の高価な機器を用いることなく、安価で迅速に臭気を確認することができる。更に、pH指示薬を用いることによって、視覚的に臭気形成物質の存在を確認することができるとともに、臭気形成物質が多く存在する部分と、存在しない部分とを一目で判断することができる。
【0007】
本発明の方法を用いて、繊維構造物の消臭効果を確認する具体的方法を以下に示す。
まず、pH指示薬としてのフェノールフタレインと、臭気形成物質であるアンモニアとを所定量含有する臭気確認用試薬を調製する。この時点では、フェノールフタレインは、アルカリ性であることを示す赤紫色となっている。次いで、上記臭気確認用試薬を、例えば、噴霧器等に入れて、測定対象となる繊維構造物に吹き付ける。
その結果、消臭効果を有する繊維構造物に吹き付けた場合は、アンモニアが繊維構造物に捕捉されるため、上記臭気確認用試薬中のフェノールフタレインは中性を示す無色となる。
これに対して、消臭効果を有しない繊維構造物に吹き付けた場合は、アンモニアは臭気確認用試薬中に依然として存在し、フェノールフタレインはアルカリ性を示す赤紫色のままとなる。ただし、時間が経過してアンモニアが蒸発すると、フェノールフタレインは無色となる。
これによって、繊維構造物の消臭効果の有無を視覚的に確認することができる。
【0008】
本発明において、対象物となる繊維構造物としては、例えば、糸、綿類、織編物、不織布、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のフィルム類、合成紙等の紙類や、これらを用いた二次製品等が挙げられる。
また、構成する繊維としては、例えば、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、ビスコース−レーヨン等の再生繊維、アセテート−レーヨン等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維や、これらの混紡、合糸、混繊、交編織等による複合繊維等が挙げられる。更に、凹凸を有する繊維、綿、マクロボイドを有する多孔質繊維を用いてもよい。
【0009】
上記臭気確認用試薬は、pH指示薬を含有する。
上記pH指示薬としては、上記臭気形成物質等に応じて適宜選択できるが、例えば、ピクリン酸、メチルバイオレット、o−クレゾールレッド、チモールブルー(TB、二段階変色)、2,4−ジニトロフェノール、コンゴーレッド、メチルオレンジ(MO)、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー(BPB)、ブロモクレゾールグリーン(BCG)、メチルレッド(MR)、リトマス、メチルパープル、ブロモクレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモチモールブルー(BTB)、p−ニトロフェノール、ニュートラルレッド、フェノールレッド(PR)、p−ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、チモールブルー、フェノールフタレイン(PP)、チモールフタレイン、アリザリンイエローR、1,3,5−トリニトロベンゼン等が挙げられる。
これらなかでは、フェノールフタレインが好ましい。
【0010】
上記臭気確認用試薬において、上記pH指示薬の含有量の好ましい下限は0.01g/L、好ましい上限は10g/Lである。上記pH指示薬の含有量が0.01g/L未満であると、臭気の確認を充分にできないことがある。上記pH指示薬の含有量が10g/Lを超えても、臭気確認効果の向上は見られない。上記pH指示薬の含有量のより好ましい下限は0.05g/L、より好ましい上限は2g/Lである。
【0011】
上記臭気確認用試薬は、通常、上記フェノールフタレインを溶解するための溶媒を含有する。上記溶媒としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。
なかでも、水、エタノールが好ましい。
【0012】
上記臭気形成物質としては、上記繊維構造物の消臭の対象となる物質を用いることができ、例えば、アンモニア、イソ吉草酸、酢酸、カプロン酸、硫化水素等が挙げられる。
【0013】
上記臭気確認用試薬において、上記臭気形成物質の含有量の好ましい下限は0.01g/L、好ましい上限は10g/Lである。上記臭気形成物質の含有量が0.01g/L未満であると、上記臭気確認用試薬の着色が不充分となることがある。上記臭気形成物質の含有量が10g/Lを超えると、臭気の確認を充分にできないことがある。上記臭気形成物質の含有量のより好ましい下限は0.1g/L、より好ましい上限は2g/Lである。
【0014】
上記臭気確認用試薬を繊維構造物に吹き付ける方法としては特に限定されないが、例えば、噴霧器等を用いて霧状にした状態で繊維構造物に吹き付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、従来のように、臭気を試験者の臭覚で検知する必要がなく、信頼性の高い方法で幅広い範囲における消臭効果の有無を確認することができる。また、ガスクロマトグラフィー等の高価な機器を用いることなく、安価で迅速に臭気を確認することができる。更に、pH指示薬を用いることによって、視覚的に臭気形成物質の存在を確認することができるとともに、臭気形成物質が多く存在する部分と、存在しない部分とを一目で判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0017】
(実施例)
(臭気確認用試薬の調製)
フェノールフタレイン1gをエタノール90mLと水10mLとの混合溶媒中に添加し、撹拌混合した。得られた溶液30mLに対して、25%アンモニア水3mLを混合し、 全体の容量が1Lとなるように水を添加して臭気確認用試薬を調製した。
なお、得られた臭気確認用試薬は、アンモニアの濃度が0.75g/L、フェノールフタレインの濃度が0.3g/Lであり、赤紫色を呈していた。
【0018】
(消臭効果の確認)
得られた臭気確認用試薬を噴霧器に入れ、消臭加工が施されている肌着A(グンゼ社製、「THE GUNZE」)に10cm離れた位置から3回噴射を行い、吹き付けることにより、肌着Aの消臭効果を確認した。消臭加工が施されていない肌着B(グンゼ社製、「快適工房」)に対しても、肌着Aと同様の方法で消臭効果を確認した。なお、1回の噴射で約0.2mLの臭気確認用試薬を吹き付けた。
また、肌着Aと肌着Bとを半分に折り返し、臭気確認用試薬を同時に噴射して吹き付け、両者の消臭効果を比較した。
その結果、肌着Aに吹き付けた場合は、付着した臭気確認用試薬が瞬時に無色になったのに対して、肌着Bに吹き付けた場合は、吹き付けから30秒を経過した時点においても、依然として赤紫色のままであった。
なお、臭気確認用試薬の吹き付け前、吹き付け時、吹き付け5秒後及び吹き付け10秒後の肌着Aを撮影した写真を、それぞれ図1、図2、図3及び図4に示す。また、臭気確認用試薬の吹き付け前、吹き付け時、吹き付け5秒後、吹き付け10秒後及び吹き付け30秒後の肌着Bを撮影した写真を、それぞれ図5、図6、図7、図8及び図9に示す。更に、臭気確認用試薬を肌着Aと肌着Bとに同時に吹き付けた場合の臭気確認用試薬の吹き付け前、吹き付け時及び吹き付け10秒後の肌着A及びBを撮影した写真を、それぞれ図10、図11及び図12に示す。なお、図10〜12に示す写真において、右が肌着A、左が肌着Bである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる消臭効果確認方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け前の肌着Aを撮影した写真である。
【図2】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け時の肌着Aを撮影した写真である。
【図3】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け5秒後の肌着Aを撮影した写真である。
【図4】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け10秒後の肌着Aを撮影した写真である。
【図5】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け前の肌着Bを撮影した写真である。
【図6】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け時の肌着Bを撮影した写真である。
【図7】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け5秒後の肌着Bを撮影した写真である。
【図8】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け10秒後の肌着Bを撮影した写真である。
【図9】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け30秒後の肌着Bを撮影した写真である。
【図10】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け前の肌着A及びBを撮影した写真である。
【図11】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け時の肌着A及びBを撮影した写真である。
【図12】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け10秒後の肌着A及びBを撮影した写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる消臭効果確認方法に関する。
【背景技術】
【0002】
繊維構造物は、ファイバ構造を有し、比表面積が大きいことから、臭気形成物質を吸収しやすい傾向にある。特に、衣類の場合は、例えば、体汗が繊維に吸着、分解して、不快な臭気を有する物質を形成する。代表的な臭気形成物質としては、刺激臭を有するアンモニアが挙げられる。
一方、近年は、繊維構造物に消臭性を付与した商品の開発が盛んに行われている。具体的には、例えば、紡糸用の高分子化合物に消臭剤を練り込んで混合、紡糸し、繊維構造物を成形する方法や、織物や編物にパディング法、含浸法、吸尽法、スプレー法、コーティング法等の後加工方法で消臭剤を付与し、乾燥等により繊維構造物に固定化する方法等が用いられている。
【0003】
このような消臭効果を有する繊維構造物の消臭効果の度合いを確認する方法としては、従来、試験者の嗅覚で検知する方法が行われていた。しかしながら、このような方法では、客観的に消臭効果を検証することはできず、信頼性も低いものであった。
また、機器分析を用いて臭気を測定する方法も行われているが、臭気形成物質が発する臭気のしきい値は少量であり、測定には、例えば、特許文献1に示すようにガスクロマトグラフィー等の分析機器が必要となるため、簡易な方法で安価に繊維構造物の消臭効果を確認することは困難であった。
【特許文献1】特開2002−235280号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる臭気確認方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、繊維構造物の消臭効果を確認する消臭効果確認方法であって、pH指示薬及び臭気形成物質を含有する臭気確認用試薬を前記繊維構造物に吹き付ける消臭効果確認方法である。以下に、本発明について詳述する。
【0006】
本発明によれば、従来のように、臭気を試験者の臭覚で検知する必要がなく、信頼性の高い方法で幅広い範囲における消臭効果の有無を確認することができる。また、ガスクロマトグラフィー等の高価な機器を用いることなく、安価で迅速に臭気を確認することができる。更に、pH指示薬を用いることによって、視覚的に臭気形成物質の存在を確認することができるとともに、臭気形成物質が多く存在する部分と、存在しない部分とを一目で判断することができる。
【0007】
本発明の方法を用いて、繊維構造物の消臭効果を確認する具体的方法を以下に示す。
まず、pH指示薬としてのフェノールフタレインと、臭気形成物質であるアンモニアとを所定量含有する臭気確認用試薬を調製する。この時点では、フェノールフタレインは、アルカリ性であることを示す赤紫色となっている。次いで、上記臭気確認用試薬を、例えば、噴霧器等に入れて、測定対象となる繊維構造物に吹き付ける。
その結果、消臭効果を有する繊維構造物に吹き付けた場合は、アンモニアが繊維構造物に捕捉されるため、上記臭気確認用試薬中のフェノールフタレインは中性を示す無色となる。
これに対して、消臭効果を有しない繊維構造物に吹き付けた場合は、アンモニアは臭気確認用試薬中に依然として存在し、フェノールフタレインはアルカリ性を示す赤紫色のままとなる。ただし、時間が経過してアンモニアが蒸発すると、フェノールフタレインは無色となる。
これによって、繊維構造物の消臭効果の有無を視覚的に確認することができる。
【0008】
本発明において、対象物となる繊維構造物としては、例えば、糸、綿類、織編物、不織布、ポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルム等のフィルム類、合成紙等の紙類や、これらを用いた二次製品等が挙げられる。
また、構成する繊維としては、例えば、綿、麻、絹、羊毛等の天然繊維、ビスコース−レーヨン等の再生繊維、アセテート−レーヨン等の半合成繊維、ポリエステル、ナイロン、アクリル等の合成繊維や、これらの混紡、合糸、混繊、交編織等による複合繊維等が挙げられる。更に、凹凸を有する繊維、綿、マクロボイドを有する多孔質繊維を用いてもよい。
【0009】
上記臭気確認用試薬は、pH指示薬を含有する。
上記pH指示薬としては、上記臭気形成物質等に応じて適宜選択できるが、例えば、ピクリン酸、メチルバイオレット、o−クレゾールレッド、チモールブルー(TB、二段階変色)、2,4−ジニトロフェノール、コンゴーレッド、メチルオレンジ(MO)、メチルイエロー、ブロモフェノールブルー(BPB)、ブロモクレゾールグリーン(BCG)、メチルレッド(MR)、リトマス、メチルパープル、ブロモクレゾールパープル、クロロフェノールレッド、ブロモチモールブルー(BTB)、p−ニトロフェノール、ニュートラルレッド、フェノールレッド(PR)、p−ナフトールフタレイン、クレゾールレッド、チモールブルー、フェノールフタレイン(PP)、チモールフタレイン、アリザリンイエローR、1,3,5−トリニトロベンゼン等が挙げられる。
これらなかでは、フェノールフタレインが好ましい。
【0010】
上記臭気確認用試薬において、上記pH指示薬の含有量の好ましい下限は0.01g/L、好ましい上限は10g/Lである。上記pH指示薬の含有量が0.01g/L未満であると、臭気の確認を充分にできないことがある。上記pH指示薬の含有量が10g/Lを超えても、臭気確認効果の向上は見られない。上記pH指示薬の含有量のより好ましい下限は0.05g/L、より好ましい上限は2g/Lである。
【0011】
上記臭気確認用試薬は、通常、上記フェノールフタレインを溶解するための溶媒を含有する。上記溶媒としては、例えば、水、アルコール等が挙げられる。
なかでも、水、エタノールが好ましい。
【0012】
上記臭気形成物質としては、上記繊維構造物の消臭の対象となる物質を用いることができ、例えば、アンモニア、イソ吉草酸、酢酸、カプロン酸、硫化水素等が挙げられる。
【0013】
上記臭気確認用試薬において、上記臭気形成物質の含有量の好ましい下限は0.01g/L、好ましい上限は10g/Lである。上記臭気形成物質の含有量が0.01g/L未満であると、上記臭気確認用試薬の着色が不充分となることがある。上記臭気形成物質の含有量が10g/Lを超えると、臭気の確認を充分にできないことがある。上記臭気形成物質の含有量のより好ましい下限は0.1g/L、より好ましい上限は2g/Lである。
【0014】
上記臭気確認用試薬を繊維構造物に吹き付ける方法としては特に限定されないが、例えば、噴霧器等を用いて霧状にした状態で繊維構造物に吹き付けることが好ましい。
【発明の効果】
【0015】
本発明では、従来のように、臭気を試験者の臭覚で検知する必要がなく、信頼性の高い方法で幅広い範囲における消臭効果の有無を確認することができる。また、ガスクロマトグラフィー等の高価な機器を用いることなく、安価で迅速に臭気を確認することができる。更に、pH指示薬を用いることによって、視覚的に臭気形成物質の存在を確認することができるとともに、臭気形成物質が多く存在する部分と、存在しない部分とを一目で判断することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下に本発明の実施例を挙げて更に詳しく説明するが、本発明はこの実施例のみに限定されるものではない。
【0017】
(実施例)
(臭気確認用試薬の調製)
フェノールフタレイン1gをエタノール90mLと水10mLとの混合溶媒中に添加し、撹拌混合した。得られた溶液30mLに対して、25%アンモニア水3mLを混合し、 全体の容量が1Lとなるように水を添加して臭気確認用試薬を調製した。
なお、得られた臭気確認用試薬は、アンモニアの濃度が0.75g/L、フェノールフタレインの濃度が0.3g/Lであり、赤紫色を呈していた。
【0018】
(消臭効果の確認)
得られた臭気確認用試薬を噴霧器に入れ、消臭加工が施されている肌着A(グンゼ社製、「THE GUNZE」)に10cm離れた位置から3回噴射を行い、吹き付けることにより、肌着Aの消臭効果を確認した。消臭加工が施されていない肌着B(グンゼ社製、「快適工房」)に対しても、肌着Aと同様の方法で消臭効果を確認した。なお、1回の噴射で約0.2mLの臭気確認用試薬を吹き付けた。
また、肌着Aと肌着Bとを半分に折り返し、臭気確認用試薬を同時に噴射して吹き付け、両者の消臭効果を比較した。
その結果、肌着Aに吹き付けた場合は、付着した臭気確認用試薬が瞬時に無色になったのに対して、肌着Bに吹き付けた場合は、吹き付けから30秒を経過した時点においても、依然として赤紫色のままであった。
なお、臭気確認用試薬の吹き付け前、吹き付け時、吹き付け5秒後及び吹き付け10秒後の肌着Aを撮影した写真を、それぞれ図1、図2、図3及び図4に示す。また、臭気確認用試薬の吹き付け前、吹き付け時、吹き付け5秒後、吹き付け10秒後及び吹き付け30秒後の肌着Bを撮影した写真を、それぞれ図5、図6、図7、図8及び図9に示す。更に、臭気確認用試薬を肌着Aと肌着Bとに同時に吹き付けた場合の臭気確認用試薬の吹き付け前、吹き付け時及び吹き付け10秒後の肌着A及びBを撮影した写真を、それぞれ図10、図11及び図12に示す。なお、図10〜12に示す写真において、右が肌着A、左が肌着Bである。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明によれば、簡易かつ簡便な方法で、繊維構造物の消臭効果を確認できる消臭効果確認方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け前の肌着Aを撮影した写真である。
【図2】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け時の肌着Aを撮影した写真である。
【図3】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け5秒後の肌着Aを撮影した写真である。
【図4】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け10秒後の肌着Aを撮影した写真である。
【図5】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け前の肌着Bを撮影した写真である。
【図6】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け時の肌着Bを撮影した写真である。
【図7】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け5秒後の肌着Bを撮影した写真である。
【図8】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け10秒後の肌着Bを撮影した写真である。
【図9】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け30秒後の肌着Bを撮影した写真である。
【図10】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け前の肌着A及びBを撮影した写真である。
【図11】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け時の肌着A及びBを撮影した写真である。
【図12】実施例において、臭気確認用試薬の吹き付け10秒後の肌着A及びBを撮影した写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維構造物の消臭効果を確認する消臭効果確認方法であって、pH指示薬及び臭気形成物質を含有する臭気確認用試薬を前記繊維構造物に吹き付けることを特徴とする消臭効果確認方法。
【請求項2】
pH指示薬は、フェノールフタレインであることを特徴とする請求項1記載の消臭効果確認方法。
【請求項1】
繊維構造物の消臭効果を確認する消臭効果確認方法であって、pH指示薬及び臭気形成物質を含有する臭気確認用試薬を前記繊維構造物に吹き付けることを特徴とする消臭効果確認方法。
【請求項2】
pH指示薬は、フェノールフタレインであることを特徴とする請求項1記載の消臭効果確認方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−112841(P2010−112841A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−285866(P2008−285866)
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月6日(2008.11.6)
【出願人】(000001339)グンゼ株式会社 (919)
【Fターム(参考)】
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