説明

消臭性、抗菌性及び調湿性を保持する内装材

【課題】 使用安全性が高く、且優れた消臭性と抗菌性及び調湿性を保持する内装材の提供。
【解決手段】
粒径が30μm以下に粉砕され、少なくともカルシウム分35重量%以上とマグネシウム分0.3重量%以上及び微量の遷移元素酸化物を含むアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体が45乃至60重量%と、比表面積が120m/g以上の人工ゼオライト粉体が25乃至35重量%、及び水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが12乃至20重量%、並びにノニオン若しくは両性界面活性剤が2乃至5重量%割合で配合された配合塗材の全体量に対し20乃至30重量%割合で加水し高粘度状態で配合混練し、更に配合塗材全体量に対し10乃至20重量%割合の追加加水により低粘度状態で配合混練させて塗料状となす内装材。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は使用安全性が高く且消臭性や抗菌性及び調湿性を保持する内装材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建物施設における内装手段としては古くから木板材や石板材の張設や土壁及びしっくい壁の如き天然素材が使用されていたが、その後軽量安価で且多様な美装効果にも優れる合成樹脂化粧板材や壁紙材を張設し、或いは合成樹脂塗料の塗着が積極的に採用されてきている。然るに近年では環境保全や環境浄化が最優先課題とされるに至ったことから、衣食住全般に亘っての高い安全性が要請されるに至っている。
【0003】
これがため、建物施設においては一方において建築技術の向上や新建材や建築金物等の採用とにより建物空間の密閉性が高まっており、合成樹脂化粧板材や壁紙材或いは合成樹脂塗料等が内装材として使用された場合には、合成樹脂素材に配合され若しくは接着剤等に配合されてなる有機溶剤や可塑剤或いは化学物質等が蒸散や揮散若しくは溶出して有害ガスや臭気ガスとして密閉性の高い建物空間内に滞留充満し、各多の疾病を惹起せしめる所謂シックハウス症候群の原因たることが解明されたこととも相俟って、無公害な素材による安全性の高い内装材の開発が強く要請されている。
【0004】
ところで天然素材による内装材は、前記の如く古くから木板材や石板材も使用されているが、今日では相対的にコストが極めて割高となり且多重でもあることからその利用も著しく限定されてなり、更には石灰を主成分とするしっくい塗材や炭酸マグネシウムを含有する石灰を主成分とするドロマイト及び焼石こうを主成分とするプラスター塗材、或いはセメントを主成分とするモルタル塗材、若しくは土を主成分とした土壁塗材や砂壁塗材等も使用されているが、これら塗材は塗着施工に際して高度の塗着施工技術が要求されるばかりか、該塗着施工技術者の絶対的不足とも相俟ってその実用普及には大きな問題に直面している。
更に塗料においては、極めて安価で且塗装も簡便になしえるものの、形成される塗膜は合成樹脂素材の固化したものに過ぎず、且特段の機能も無く而も豪華さや自然感等も殆んど無いため、今日の如く生活水準の向上と高級化や個性化が求められる建物内装材としては陳腐化された内装材と化している。
【0005】
発明者等はかかる経緯に鑑み研究を重ねた結果、天然珊瑚が地殻変動により地中深く埋没し且数千万年にも昇る長期に亘って高圧高温による続成作用を受けた後隆起し産出される天然化石珊瑚は、炭酸カルシウムを主成分とする斜方晶構造、即ちアラゴナイト系炭酸カルシウムからなるとともに、その比表面積が0.35m/g以上と多孔質のうえ多量のマグネシウムを初め略80種に及ぶミネラル分を含有し、更に酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化ルテチュウム等の遷移元素酸化物を含有するため、光エネルギーや熱エネルギーの受容により分子構造並びに電子結合が惹起されてエネルギー準位が著しく高まり、且基底状態への返還に際して強い電磁波の再放射即ちりん光発光現象を創出するため、該強い電磁波再放射により直接的に有害ガスや臭気ガスの分解や消臭及び細菌や黴の繁殖抑制、並びに近傍の水分子の解離によるマイナスイオンの生成に伴う間接的な有害ガスや臭気ガスの分解や消臭と抗菌作用が発揮されること、及びカルシウムに加えてマグネシウムを多く含有することから強い粘性が創出されて、薄い塗膜においても屈撓性が保持され、亀裂や剥離のない強靭な塗膜形成がされることを解明し、更には適宜の基材に塗膜形成させることにより壁紙としての利用も可能なることを究明し本発明に至った。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は使用安全性が高く、且優れた消臭性と抗菌性及び調湿性を保持する内装材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述の課題を解決するために本発明が用いた技術手段は、少なくともカルシウム分が35重量%割合以上とマグネシウムが0.3重量%割合以上及び微量の酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化ルテチュウムからなる遷移元素酸化物が含有されてなるアラゴナイト系天然化石珊瑚を、その粒径が30μm以下に粉砕させてなる天然化石珊瑚粉体が45乃至60重量%に、その粒径が30μm以下で且比表面積が120m/g以上の人工ゼオライト粉体が25乃至35重量%、及び水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが12乃至20重量%及び分散剤としてノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5重量%割合で配合されて配合塗材が形成され、且この配合塗材全体量に対し20乃至30重量%割合の加水で高粘度状態で配合混練がなされ、更に配合塗材の全体量に対し10乃至20重量%割合の追加加水により低粘度状態で配合混練をなして塗材状となした内装材の構成に存する。
【0008】
加えて本発明では天然化石珊瑚粉体が70乃至80重量%に、水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが12乃至20重量%割合に、ノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5重量%割合で配合されて抗菌消臭配合塗材が形成され、且この抗菌消臭配合塗材の全体量に対して20乃至30重量%割合の加水による高粘度状態で配合混練がなされ、而も該配合塗材の全体量に対し10乃至20重量%割合の追加加水により低粘度状態で配合混練をなして塗料状となした内装材の構成に存する。
【0010】
更にかかる構成の内装材は塗料状であるから塗料に係わる施工技術者による施工に委ねられるものの、塗着施工技術者の絶対的不足により普及に大きな問題を抱えている。
そこで本発明では天然化石珊瑚粉体45乃至60重量%に人工ゼオライト粉体25乃至35重量%、水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクル12乃至20重量%及びノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5重量%割合で配合されてなる配合塗材、或いは天然化石珊瑚粉体70乃至85重量%に水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが12乃至20重量%にノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5重量%割合で配合されてなる抗菌消臭配合塗材に、脱脂されてなる綿若しくは麻からなり、その長さが0.1mm以下に切断されたチョップドストランドが2乃至7重量%割合で更に配合されて補強配合塗材となしたるうえ、該補強配合塗材全体量に対して20乃至30重量%割合の加水をなして高粘度状態で配合混練したうえ、更に該補強配合塗材全体量に対し10乃至20重量%割合で追加加水し低粘度状態で配合混練して塗料状の内装材となしたるうえ、紙や不織布、織物若しくは合成樹脂シートからなる基材の一側面に、70乃至350g/mの塗着目付を以って塗着膜を形成させて壁紙状となした内装材の構成に存する。
【発明の効果】
【0011】
本発明は上述の如き構成からなるもので、天然化石珊瑚粉体は多孔質とともに斜方晶構造で且その組成中に炭酸カルシウムが35重量%にマグネシウムが0.3重量%以上に加え多種で微量の遷移元素酸化物を含有するため、加水によりマグネシウムによる展着性も付与されるため、塗料として薄い塗着膜でも強靭で且屈撓性も保持され長期使用においても亀裂発生や剥落も防止される。そして人工ゼオライト粉体との配合においては、その膨大な比表面積率すなわち多孔性とも相俟って物理的吸着に伴う有害ガスの吸着や消臭に加えて極めて高い調湿性が発揮され、而も該調湿作用により塗着形成される塗着膜が短時に固化形成されるため著しく塗着施工時間が短縮される。
【0012】
そして天然化石珊瑚粉体は、その含有されてなる遷移元素酸化物と且斜方晶構造とも相俟って熱エネルギーや光エネルギーの受容に伴い励起作用が促進されエネルギー準位が著しく高まり、このエネルギーの放出に際して強い電磁波再放射とりん光現象をも発生するため、塗着膜近傍の有害ガスや臭気ガスが直接分解や消臭され、及び水分子の解離によるマイナスイオンの生成に伴う間接的ガス分解や臭気分解或いは菌類や黴の繁殖も抑制され、安全で快適且衛生的な建物空間が形成される。
【0013】
加えて本発明ではビヒクルとして広範囲の被着面とも強力な塗着力を保持する水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが用いられ、且配合塗材に脱脂された綿若しくは麻からなり、その長さが0.1mm以下に切断されたチョップドストランドが2乃至7重量%割合で配合されて補強配合塗材とされたうえ、該補強配合塗材全体量に対して20乃至30重量%の加水で高粘度状態で配合混練するため、ビヒクル成分の多孔質微細孔隙内への侵入が防止され、次いで補強配合塗材全体量に対して更に10乃至20重量%割合の追加加水で低粘度状態で配合混練がなされるため、ノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤とも相俟って良好な分散混練がなしえ、且多孔質の微細孔隙の閉塞も防止され吸着性や調湿性が保持された塗料状の補強内装材が形成される。
【0014】
そしてかかる補強内装材を、紙や不織布、織物若しくは合成樹脂シートからなる基材の一側面に、70乃至350g/mの塗着目付量を以って塗着膜を形成させて壁紙状となすことにより、建物空間壁面には適宜の接着剤を用いて簡便に展張貼着が可能となる。
そして柔軟な基材の一側面に塗着された塗着膜は、ビヒクルの強度の塗着力と且天然化石珊瑚粉体のマグネシウムによる粘性や展着性の付加と且チョップドストランドの補強作用とが相俟って屈曲や巻回した場合にも塗着膜の亀裂や剥落も防止され壁紙として十分に使用できることとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
カルシウム分が35重量%及びマグネシウム分が0.3重量%以上で、且微量の酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化ルテチュウムからなる遷移元素酸化物を含有するアラゴナイト系天然化石珊瑚を30μm以下の粒径に粉砕した天然化石珊瑚粉体が45乃至60重量%に、その粒径が30μm以下で比表面積が120m/g以上の人工ゼオライト粉体が25乃至35重量%及び水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが12乃至20重量%並びにノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5重量%割合で配合させて配合塗材となし、この配合塗材全体量に対し20乃至30重量%割合で加水し高粘度状態で配合で混練し、更に配合塗材全体量に対し10乃至20重量%割合で追加加水のうえ低粘度状態で配合混練させて塗料状となす。
【実施例1】
【0016】
以下に本発明実施例を図とともに説明すれば、本発明においては使用安全性が高く且消臭性や抗菌性及び調湿性に優れる内装材を提供することにある。
これがためには使用素材として化学物質や有機溶剤等が関与せぬ素材の使用が望まれることから、発明者等はアラゴナイト系天然化石珊瑚に着目したものである。
即ち一般的な珊瑚砂や風化珊瑚は、海洋で造礁する珊瑚類が海洋条件により破壊され侵食されて死滅し海底に堆積したものであるから、多孔性も滅失されてその比表面積も0.1m/g以下と極めて小さく、且カルシウム分の溶出性や光、熱エネルギーの受容による励起作用も殆んど窺われない。
【0017】
反面天然化石珊瑚は、珊瑚虫により造礁された珊瑚が地殻変動により地中深く埋没し膨大な圧力と高温度により極めて長期間に亘り続成作用を受けて鉱物化し再隆起したもので、その構造がアラゴナイト系即ち斜方晶構造を有し、その比表面積も0.3m/以上と風化珊瑚等に比べ極めて大きく而も活性の高いカルシウムイオンの溶出性が著しく高く、且マグネシウム分を多量に含有しており、更には多種に亘る微量の遷移元素酸化物を含有することにより光や熱エネルギーの受容に伴い分子構造や電子結合に励起作用が働き、エネルギー準位が著しく上昇し且このエネルギーの放出に伴う強度の電磁波再放射がなされる特性を保持する。
【0018】
そこでカルシウム分が35重量%以上及びマグネシウム分が0.3重量%以上で且微量の酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化ルテチュウムからなる遷移元素酸化物が含有されてなるアラゴナイト系天然化石珊瑚を、塗着形成される塗着膜4が平滑に形成されるよう且光や熱エネルギーの受容に伴う電磁波の再放射効率を高めるうえで放射表面積率を大きくすることが望まれること等により、その粒径としては30μm以下望ましくは10乃至20μmに粉砕して天然化石珊瑚粉体1Aとなす。
【0019】
そしてこの天然化石珊瑚粉体1Aは、活性の高いカルシウムイオンの溶出による有害ガスや臭気ガス等への化学的な分解作用や消臭作用或いは細菌や黴に対する繁殖抑制即ち抗菌性を発揮させ、更にはその斜方晶構造と含有される多種に亘る微量の遷移元素酸化物による光や熱エネルギーの受容に伴う強度の電磁波再放射による有害ガスや臭気ガスに対する物理的且直接的な分解作用や消臭作用或いは抗菌作用、及びマイナスイオンの生成による間接的分解作用や消臭作用或いは抗菌作用を発揮させるには好適なものの、該天然化石珊瑚粉体1Aのみでは湿気の吸湿並びに放湿による速やかな調湿性の実現には難点がある。
【0020】
これがため、該天然化石珊瑚粉体1Aとしては45乃至60重量%割合で使用するとともに、調湿性を十分に発揮させるうえから人工ゼオライト粉体1Bが25乃至35重量%割合で配合使用される。
この人工ゼオライト粉体1Bは、石炭灰等の無機産業廃棄物中の主要成分たる酸化珪素や酸化アルミニウムを一旦アルカリ剤で溶出させたうえ、オートクレープによる高圧高温条件により多孔質構造に形成させたもので、配合使用する人工ゼオライト粉体1Bとしては天然化石珊瑚粉体1Aと同様にその粒径として30μm以下で、且その比表面積としては少なくとも120m/g以上のものが好適であって、更に望ましくはその塩基置換容量(meq/100g)が少なくとも150mg以上が好都合である。そしてこの人工ゼオライト粉体1Bの具体的配合量は、塗着形成される建物空間の調湿度合や塗着形成される塗着膜4の塗着形成時間及び配合される天然化石珊瑚粉体1Aの配合量等により決定される。
【0021】
そして配合されるこれら天然化石珊瑚1Aや人工ゼオライト粉体1Bには、更にこれらを塗料状となしたるうえ建物空間の内壁面等の下地面4Aに塗着せしめて塗着膜4を塗着形成させるためのビヒクル1Cが12乃至20重量%割合で配合される。
このビヒクル1Cは、使用安全性特には塗着膜4の形成時はもとよりその後の使用経過においても有機溶剤や化学物質等の揮散や溶出の無いものが要請されることから、水溶性で且配合される素材相互との接着性はもとより塗着膜4の形成に際して、建物空間内壁面等の下地面4Aを形成する多様な被着面にも強固な塗着と且強靭な塗着膜4を形成させるうえから、水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物が選択される。かかる場合のアクリル酸エステル共重合物の具体的なものとしては、アクリル酸エステルとアクリル酸メチルやアクリル酸エチル若しくはアクリル酸ブチル或いはアクリル酸アマイド等が挙げられる。
【0022】
更に配合される天然化石珊瑚粉体1A並びに人工ゼオライト粉体1B及びビヒクル1Cが均質に分散された塗料状となすうえから、ノニオン系若しくは両性界面活性剤からなる分散剤1Dが2乃至5重量%割合で配合されて、図1の如き配合塗材1が形成される。
かかる場合においてノニオン系界面活性剤の具体的なものは、ポリオキシエチレンアルキルエーテルやポリオキシエチレンアルキルアリルエーテルが挙げられ、両性界面活性剤としては、アルキルベタインやアミドベタイン等が挙げられる。
【0023】
かくして配合された配合塗材1は、その配合された天然化石珊瑚粉体1Aや人工ゼオライト粉体1B、並びにビヒクル1C及び分散剤1Dが十分に分散混合された塗料状となしたるうえ塗着し塗着膜4を形成させるもので、通常の塗着手段であるウーローラーや砂骨ローラー或いは刷毛等による場合には、その水分率が略45乃至55重量%割合で且その粘度は略10,000乃至40,000cp(センチポアズ)程度でなされる。
而して配合塗材1を形成する天然化石珊瑚粉体1Aや人工ゼオライト粉体1Bには吸着性や調湿性に寄与する多数の微細孔隙1Eが形成されてなり、従って配合塗材1に直接45乃至55重量%割合の水を加水のうえ分散配合混練を図ると、低粘度化したビヒクル1C成分が該微細孔隙1E内部にまで侵入して、該微細孔隙1Eが閉塞される危険がある。
【0024】
これがため図2に示すように、配合塗材1の全体量に対して20乃至30重量%割合の加水2をなし略60,000乃至100,000cp程度の高粘度状態において分散混練させることにより、高粘度のビヒクル1C成分が微細孔隙1E内に侵入されにくく相互の素材外表面に接着した状態で分散混練される。
そして配合塗材1の全体量に対して更に10乃至20重量%割合で追加加水2Aをなして低粘度状態で分散混練を図ることにより、塗料状の内装材3が形成される。
【0025】
かかる如くしてなる塗料状の内装材3は、建物空間の内壁下地面4Aにウーローラーや砂骨ローラー、刷毛或いは吹付機具等を用いて所要の塗着目付量を以って塗着することにより、図3に示すよう所要の厚さを以って塗着膜4が形成される。
かかる場合において塗着目付量は建物空間の利用状態や建物空間の区画内容積によっても異なるが、建物空間の区画内容積を基準とした場合には区画内容積が略50乃至100mでは略70乃至150g/m、区画内容積が150乃至300mでは略200乃至300g/mの塗着目付量が目処となる。
【0026】
ところで建物空間は、その利用目的により建物構造を初めインテリアや付帯設備等も著しく異にするものであるが、近年の如く大型集合ビルや都市ホテル、劇場ホール、レストラン等においては大規模な空調設備が完備されており、建物区画毎の温度や湿度管理も比較的良好に保持されている。
しかしながら多くの就労者を抱え若しくは多くの顧客や利用者の出入りする建物区画内には、就労者や利用者から排出される汗や体液或いは飛散する毛髪や皮膚片若しくは飲食に係わる食物残滓等が多量に落下し、これらが細菌や黴等の恰好の餌料となり且建物区画内は年間を通して温暖であるから、建物区画の随所でこれら細菌や黴が急速に繁殖し著しく非衛生的となるばかりか、該繁殖に伴う繁殖臭と且繁殖に伴う腐敗や変敗臭が発生し著しく不快な建物空間と化す。
【0027】
そこで本発明においては更に消臭性や抗菌性を強化して衛生的且快適な建物空間を実現するために、天然化石珊瑚粉体1Aを70乃至85重量%と水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクル1Cを12乃至20重量%と、ノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤1Dを2乃至5重量%割合で配合して抗菌消臭配合塗材10となしたうえ、この抗菌消臭配合塗材10の全体量に対して20乃至30重量%割合で加水2して高粘度状態で配合混練し、更に抗菌消臭配合塗材10の全体量に対して10乃至20重量%割合で追加加水2Aして低粘度状態で配合混練して、塗料状の抗菌消臭内装材30として用いる構成に存する。
そしてかかる抗菌消臭内装材30を所要の塗着目付量を以って塗着し形成された塗着膜4においては、塗着膜4の主成分たる天然化石珊瑚粉体1Aの熱や光エネルギーの受容に伴う強度の電磁波再放射により、有害ガスや臭気ガスへの直接的分解や消臭及び細菌、黴の繁殖抑制並びにマイナスイオンの生成による有害ガスや臭気ガスへの間接的分解や消臭及び細菌や黴の繁殖抑制がなされる。
【実施例3】
【0028】
ところで塗料状の内装材3及び30は、建物空間内の壁面等下地面4Aに塗着して塗着膜4を形成するものであるから、実用使用においては塗着施工技術者に委ねられるものであるが、現状においては塗着施工技術者が絶対的に不足しており、建築業界でも大きな問題に至っている。
反面壁紙の張設には、接着剤の選択如何で素人においても簡便に張設が可能であって、且施工業社も膨大数に存在する。
そこで本発明における塗料状の内装材3若しくは抗菌消臭内装材30を、適宜の基材5の一側面に塗着せしめて塗着膜4を形成させた壁紙状の内装材33としての実用使用が有利となる。反面壁紙においては通常長尺状に形成され且取扱いのうえからロール巻き状とされ、而も張設に際しても屈曲されて使用されることもあることから、巻回や屈曲に際しても塗着膜4が亀裂や剥落せぬ対処が不可欠となる。
【0029】
そこで本発明においては天然化石珊瑚粉体1Aが45乃至60重量%に人工ゼオライト粉体1Bが25乃至35重量%と、水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクル1Cが12乃至20重量%、及びノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤1Dが2乃至5重量%割合で配合された配合塗材、或いは天然化石珊瑚粉体1Aが70乃至85重量%に水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクル1Cが12乃至20重量%、及びノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤1Dが2乃至5重量%割合で配合された抗菌消臭配合塗材10に、脱脂された綿若しくは麻からなり、その長さが0.1mm以下に切断されてなるチョップドストランド6が更に2乃至7重量%割合で配合して補強配合塗材31となしたるうえ、該補強配合塗材31全体量に対し20乃至30重量%割合の加水2をなして高粘度状態で配合混練し、更に該補強配合塗材31の全体量に対し10乃至20重量%割合の追加加水2Aをなし低粘度状態にして配合混練して塗料状の補強内装材32となす。
かかる場合のチョップドストランド6の径は細径のものほど塗着膜4の形成に際して好適であって、望ましくは10μm以下のものを使用すべきである。
【0030】
かくしてなる塗料状の補強内装材32は、図4に示すように紙や不織布、織物若しくは合成樹脂シートからなる基材5の一側面に所要の塗着目付量を以って塗着した塗着膜4を形成させてなる壁紙状内装材33が形成される。
かかる場合の塗着目付量は塗材として塗着する場合と同様に70乃至350g/mを目処とすれば十分であって、且合成樹脂シートの具体的なものとしてはポリウレタンやポリアミド若しくはエチレン−酢ビ共重合樹脂シート等が挙げられる。
そして配合混練されるチョップドストランド6の配合割合は塗着目付量が多く塗着される場合、及び人工ゼオライト粉体1Bが配合された内装材3の場合にはやや多めの配合割合が望ましい。当然に着色の必要がある場合には配合塗材1若しくは抗菌消臭配合塗材10或いは補強配合塗材31内に、無機顔料が0.5乃至3重量%割合で配合される。
【0031】
以下に本発明による消臭比較試験結果を述べれば、試験に用いた試料は天然化石珊瑚粉体45重量%に人工ゼオライト粉体35重量%、水溶性アクリル酸エステルからなるビヒクル18重量%及びノニオン界面活性剤からなる分散剤が2重量%割合からなる塗料状の内装材を用いたものを試料1とし、天然化石珊瑚粉体80重量%に水溶性アクリル酸エステルからなるビヒクル18重量%及びノニオン界面活性剤からなる分散剤2重量%割合からなる塗料状の抗菌消臭内装材を用いたものを試料2とし、これらを厚さ1mmのアルミ板の一側面に塗着目付量200g/mで0.1mmの塗着厚さに塗着膜を形成させたものを用い、対照にはアルミ板のみを用いた。また試験条件は25℃で且2,000ルクスの白色蛍光灯の下で行った。
【0032】
消臭性試験は内容積18lのデシケーターを用い、試料及び対照を20×20cmに切断のうえデシケーター内に投入し、アンモニアガス及びイソ吉草酸ガスを所要濃度に注入のうえ密閉し、経過時間毎に残留ガス濃度をガス検知管で測定したもので、結果は表1の通りであって、光エネルギーの受容により天然化石珊瑚粉体の強い電磁波再放射による高い消臭性が発揮されていることが理解される。
【0033】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0034】
所要の組成成分割合に配合された配合塗材、抗菌消臭配合塗材若しくは補強配合塗材に所要の加水により高粘度状態の配合混練と、且追加加水により低粘度状態の配合混練して塗料状の内装材となすことにより、ウーローラーや砂骨ローラー、刷毛若しくは吹付機具で簡便に塗着ができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】 配合塗材の説明図である。
【図2】 塗料状内装材の配合混練説明図である。
【図3】 塗着膜の側面拡大説明図である。
【図4】 壁紙状内装材の説明図である。
【符号の説明】
【0036】
1 配合塗材
1A 天然化石珊瑚粉体
1B 人工ゼオライト粉体
1C ビヒクル
1D 分散剤
1E 微細孔隙
10 抗菌消臭配合塗材
2 加水
2A 追加加水
3 塗料状内装材
30 抗菌消臭内装材
31 補強配合塗材
32 補強内装材
33 壁紙状内装材
4 塗着膜
4A 下地面
5 基材
6 チョップドストランド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒径が30μm以下に粉砕され、少なくともカルシウム分が35重量%以上とマグネシウム分が0.3重量%以上及び酸化鉄、酸化銅、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化セリウム、酸化ハフニウム、酸化イリジウム、酸化ルテチュウムからなる遷移元素酸化物が1乃至600ppmの微量に含有されてなるアラゴナイト系天然化石珊瑚粉体が45乃至60重量%と、その比表面積が120m/g以上の人工ゼオライト粉体が25乃至35重量%と、更に水溶性アクリル酸エステル若しくはその共重合物からなるビヒクルが12乃至20重量、及びノニオン若しくは両性界面活性剤からなる分散剤が2乃至5重量%割合で配合されて配合塗材が形成され、この配合塗材全体量に対し20乃至30重量%割合で加水して高粘度状態で配合混練し、更に配合塗材全体量に対し10乃至20重量%割合の追加加水により低粘度状態で配合混練させて塗料状とした内装材。
【請求項2】
アラゴナイト系天然化石珊瑚粉体が70乃至85重量%、ビヒクルが10乃至20重量%、及び分散剤が2乃至5重量%割合で配合し抗菌消臭配合塗材となしたるうえ、該抗菌消臭配合塗材全体量に対し20乃至30重量%割合で加水のうえ高粘度状態で配合混練し、更に抗菌消臭配合塗材全体量に対して10乃至20重量%割合で追加加水し低粘度で配合混練のうえ塗料状となした請求項1記載の内装材。
【請求項3】
配合塗材若しくは抗菌消臭塗材の全体量に対し、脱脂された綿若しくは麻からなり、且その長さが0.1mm以下に切断されたチョップドストランドが2乃至7重量%割合で配合され補強配合塗材となしたるうえ、加水による高粘度状態の配合混練及び追加加水による低粘度状態で配合混練して塗料状となした請求項1乃至請求項2記載の内装材。
【請求項4】
補強配合塗材に加水して高粘度状態で配合混練し、且追加加水により低粘度状態で配合混練して塗料状となしたるうえ、紙や不織布、織物若しくは合成樹脂シートからなる基材の一側面に70乃至350g/mの塗着目付量を以って塗着膜を形成させて壁紙状となした、請求項3記載の内装材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2008−115351(P2008−115351A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−326307(P2006−326307)
【出願日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【出願人】(505384601)株式会社ディ・トリップ (12)
【Fターム(参考)】